藤枝 一也委員/(株)東芝 (PDF:740KB

2012.9.27 電機・電子4団体
生物多様性保全推進セミナー
東芝グループの
生物多様性保全への取り組み
(株)東芝 環境推進部
藤枝一也
東芝グループの事業内容(2011年度)
連結売上高:6兆1,003億円
従業員数:210千人
エアコン、冷蔵庫、
洗濯機、他
その他
家庭電器
3,269
5,768(9%) (5%)
24,128(37%)
電子デバイス
16,163(24%)
半導体、HDD、他
社会インフラ
発電システム、
エレベータ、
医用機器 他
デジタルプロダクツ
16,640(25%)
TV、PC、MFP 他
2
Points
¾ 2015年目標
¾ 事業所でのビオトープ整備
3
生物多様性保全活動の4本柱
サプライ
チェーン
・生物多様性
対応取引先
からの調達体
制構築
製品
工場
社会貢献
・LIME※1を用い
た製品の定量
評価
・対象全事業所
でビオトープを
整備
・東芝グループ
150万本の森
づくり
・生物多様性へ
の採掘影響指
標(MiBiDTM)の
開発
4
第5次環境アクションプラン(2012年6月公表)
2015年目標
グローバルの主要拠点すべてで
ビオトープを整備する(対象:約100拠点)
向上
指標の例
・空中移動性の生物(蝶など)
・希少な水生生物(メダカなど)
主要サイトの効果測定
・地域固有の希少な植物(関東タンポポ)
100%
50%
主要拠点の指標選定と施策展開
50%
100%
主要拠点を調査
50%
2012
100%
2013
2014
2015
東芝グループ第5次環境アクションプランプレスリリース(2012年6月5日)
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2012_06/pr_j0501.htm
年度
5
ビオトープ整備のステップ
調査
第5次EAP
計画
2013年
100%
指標選定
測定
2014年
100%
2015年
100%
向上
調査
敷地内の生き物調査、地域のレッドリスト調査、地域の専門家による踏
査、周辺地域を含む生物多様性ポテンシャル評価、等
指標選定
調査データをもとに、対象となる指標を選定する。また、選定した指標を
保護・拡大するための施策も策定する
測定
指標を定期的に測定する
測定対象の例:生き物の種類数・個体数、植物の株数、植栽の面積、等
向上
定期的な測定の結果、指標が改善または向上している
※調査、指標選定のステップのいずれかを地域連携で進める(必須)
6
Points
¾ 2015年目標
¾ 事業所でのビオトープ整備
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東芝グループにおける事業所ビオトープの定義
①空中移動性の生き物の呼び込み
矢上川
多摩川
夢 見 ヶ崎 公 園
事業所周辺に生息するトンボ、鳥、蝶などの生
息地・休息地の設置。
対象となる生き物は希少種、普通種を問わな
い。
②希少な動植物の生息域外保全
慶應義塾大学
日 吉 キ ャン パ ス
東芝
小向事業所
鶴見 川
ホトケドジョウ
ハマカンゾウ
事業所周辺に生息する希少な動植物を
敷地内で保護、人工増殖を図り、将来的
に本来の生息地へ戻すことをめざす。
環境省指定絶滅危惧IB類
三浦半島小網代の森で盗掘
被害などにより生息域が減少
敷地内での活動
敷地内での活動
(敷地外の活動は社会貢献として推進)
(敷地外の活動は社会貢献として推進)
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①空中移動性の生き物の呼び込み(事業所)
既存の緑地は園芸種、造園種などがほとんど
⇒人間が見て美しいものではあっても、生き物の生息地(ビオトープ)になっていない
■栽培する植物と呼び込みを狙う蝶の組み合わせ(例)
栽培する植物(蝶の食草)
呼び込みたい蝶
カラムシ
アカタテハ
ハナウド
キアゲハ
ヨモギ
ヒメアカタテハ
・工場緑化は義務
・工場緑化は義務
⇒生物多様性に
⇒生物多様性に
配慮した植栽へ
配慮した植栽へ
の切り替え
の切り替え
・緑地管理費用の
・緑地管理費用の
コストダウン
コストダウン
カラムシ
ハナウド
アカタテハ(幼虫)
キアゲハ(幼虫)
アカタテハ(成虫)
キアゲハ(成虫)
・従来の緑地と比
・従来の緑地と比
較して見た目が
較して見た目が
気になる場合は
気になる場合は
看板等でPR
看板等でPR
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①空中移動性の生き物の呼び込み(家庭)
・希望する従業員・事業所に無償でユズの苗木を提供
・幼虫がついた場合に害虫としてすべてを駆除しないことを参加条件に明記
・自宅に蝶が来た従業員から報告を受けることで、蝶の生息域拡大(経年変化)を観察
ユズ
ナミアゲハ(幼虫)
ナミアゲハ(成虫)
■家庭で栽培する植物と呼び込む蝶(例)
植物(蝶の食草)
呼び込みたい蝶
ユズ
キンカン
スダチ
サンショウ
ナミアゲハ 等
クロアゲハ 等
パセリ
キアゲハ
■新聞記事掲載事例
生態系保全で広域連携
事業所内にビオトープ
東芝の首都圏9拠点
社員2.3万人に呼び掛け
企業の生態系保全
2012年2月2日付
日経産業新聞
2012年2月14日付
日経産業新聞
環境意識、自然に刺激
富士通・東芝など
生物多様性保全、身近に
等
2012年8月29日付
日経産業新聞
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②希少な動植物の生息域外保全(※)
■京浜事業所
事業所内の遊休池でホトケドジョウ、
メダカを保護
繁殖させて鶴見川源流域に戻す予定
■東芝ライテック
三浦半島小網代の森で盗掘被害に遭って
いるハマカンゾウを移植し開花に成功
株数を増やして小網代の森に順次供給する予定
(※)生息域外保全(生物多様性条約第9条)
本来の生息地では存続できない生物
について、自然の生息地の外で人工
増殖を行い、生息地を再生した上で
野生回復を図る方法。本来の生息地
で保全を図る「生息域内保全」の補完
的措置として取られる手段。
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事業所の敷地内で生息域外保全を行う意義
①従業員による管理が可能
①従業員による管理が可能
②セキュリティが確保されていることから第三者による盗掘
②セキュリティが確保されていることから第三者による盗掘
・乱獲や天敵・侵略的外来種からの捕食の恐れが少ない
・乱獲や天敵・侵略的外来種からの捕食の恐れが少ない
きわめて重要な動植物の保全区域になりうる
企業の事業所は環境負荷を
発生させるだけではない !
■新聞記事掲載事例
東芝、排水でメダカ飼育
2事業所で生態調査
2011年10月10日付
日刊工業新聞
横浜メダカ 繁殖の輪
東芝、希少生物を人工増殖
東芝事業所で孵化
個人・小学校も参加
自主的に多様性保全
首都圏7拠点で盗掘や乱獲回避
2012年6月1日付
朝日新聞
2012年8月13日付
日経産業新聞
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見込まれる効果
(1)新聞・専門誌等への記事掲載や環境報告書等での
対外訴求
(2)地域住民とのコミュニケーション強化
(3)従業員家族も巻き込んだ生物多様性保全意識の向上
(4)従業員の気分転換やストレス軽減など職場環境の
改善と生産性の向上
従業員の意識啓発・レピュテーションの向上
(5)植栽の変更による緑地管理費用の削減(コストダウン)
事業への貢献・・・【課題】
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まとめ
■第5次環境アクションプランで2015年目標を策定
・グローバル約100拠点でビオトープを整備
■事業所ビオトープを定義
①空中移動性の生き物の呼び込み
②希少な動植物の生息域外保全
■工場緑地の生物多様性配慮型への切り替え
・緑地の植栽変更による蝶の呼び込み
■従業員と協力したビオトープネットワークの構築
・従業員の家庭を簡易ビオトープ化し蝶の生息域拡大をめざす
■希少な動植物の生息域外保全
・安全な事業所敷地を利用して、動植物の人工増殖を図り
本来の生息地へ戻す
■従業員の意識啓発やレピュテーションの向上に資する企画立案
■課題:事業への貢献
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