Banks l 日本 格付概要レポート 苫小牧信用金庫 格付 格付根拠 信金財務力格付 ★★★ • 苫小牧信用金庫の信金財務力格付「★★★」は、同金庫の強固な資本基盤、堅調 な業績および良好な資産の質等を反映している。過去数年間を通じて資金利益は 安定的に増加傾向にあり、内部留保の積み上げも順調に進んでいる。現在の資本 水準に鑑みると、同金庫のリスク耐性は優れていると評価され、今後も良好な財 務力が維持される見通しである。格付のアウトルックは「安定的」である。 • 融資伸び悩みの傾向が鮮明な北海道にあって、同金庫の 2006 年度末貸出金残高 は、前年比+5.4%と好調な伸びを示した。営業地域、特に同金庫の主要取引先で ある中小企業を取り巻く景況は、本格回復には至っていない。ただし、製造業大 手の営業地域への進出に伴い、アパートマンション需要が伸びており、これを反 映して、同金庫における貸出も、事業者向けは建設・不動産、個人向けは住宅ロ ーンが貸出残高の伸びを牽引した。 • また、2006 年度末の引当金控除後の正味リスク管理債権比率は約 3.4%と、引き 続き貸出資産の質は良好であると評価される。繰延税金資産控除後の純資産に対 する正味リスク管理債権比率は約 19%と、資本対比でみた与信リスクも低く抑 えられている。2006 年度では、破綻懸念先債権の引当率を保守的な見積もりに 変更したこと、ならびに一部大口先の倒産があったことにより個別貸倒引当金繰 入が若干嵩んだが、業務純益対比では問題となる水準ではない。しかしながら、 同金庫においては上位大口先への与信の一部に金額の大きなものが含まれること や、地域の倒産件数がやや増加傾向にあるといった環境要因に鑑み、今後も引き 続き貸出先に対するモニタリングの徹底は重要であろう。もっとも、不良債権の 担保・保証も含む保全率は約 86%(リスク管理債権ベース)と高く、過去の処 分実績に鑑み担保評価も保守的であると考えられる。 • 同金庫では、営業戦略上、個人の小口決済口座の獲得を重視しているため、調達 面では要求払預金の占める比率が、他の信金に比べ高くなっている。こうした預 金構成を反映し、預金利回りは 2006 年度においても 0.08%と低水準にある。な お、同金庫は換金性に富む資産を潤沢に有しており、流動性にかかる問題は見受 けられない。 • 貸出金の伸びを受けて、2006 年度の預証率は約 38.7%と前年比では若干減少し ているが、北海道の他信金と同様、引き続き高い水準にある。保有証券のポート フォリオは、国債・地方債を中心とした高格付債券を中心に構成され、発行体の 信用リスクは限定的である。一方、変動利付債の保有割合は比較的低く、ポート フォリオ全体の金利上昇に対するリスクはやや大きいといえる。更に、同金庫に おいては固定貸出の比率がやや高いことや、要求払い預金の比率が高いことなど も資産負債全体での金利上昇に対するリスクを高めており、金利上昇局面におい てより一層慎重な ALM 管理が求められるであろう。 • 2006 年度の自己資本比率およびティア 1 比率はそれぞれ 23.91%、23.85%、繰 延税金資産控除後のティア 1 比率は 23.60%で、資本は量・質ともに優れている。 アウトルック 信金財務力格付 安定的 アウトルックは依頼に基づく格付を対象に、今後 1 ~2 年の見通しを「強含み」、「安定的」、「弱含 み」で示すものである。 財務データ 苫小牧信用金庫 総資産 (10 億円)* 純資産 (10 億円)** 当期純利益(100 万円) ROA (平均、%) ROE (平均、%) 純資産/総資産 (%) ティア 1 比率 (%) 07 年 3 月 06 年 3 月 364.3 358.9 31.6 33.8 1,205.3 1,527.4 0.33 0.43 3.69 4.78 8.81 9.27 23.85 22.50 *総資産は債務保証見返を控除後 **純資産は配当金を控除後 アナリスト 篠田 由里 03-3288-2678 [email protected] 堀内 千花子 03-3288-2972 [email protected] ★印は健全性のマークです 苫小牧信用金庫の概要 • www.fitchratings.co.jp 苫小牧信金は北海道苫小牧市に本店を置く信金で、2006 年度末時点の店舗数お よび役職員数はそれぞれ 30 店舗、253 名である。同金庫では現在効率性と利便 性を考慮した店舗網再構築を進めており、2006 年度では 3 出張所の代理店化を 実施した。 2007 年 11 月 13 日 著作権Ⓒ2007 年フィッチ·インク、フィッチ·レーティングス・リミテッド及びその子会社(One State Street Plaza, NY, NY10004)。Telephone: Tokyo 81-3-3288-2628, New York 1-800-753-4824/1-212-908-0500, London 44-171-4174222。 Fax: Tokyo 81-3-3288-2627, New York1-212-480-4435, London 44-171-417-4242。 本資料の一部又は全部を、フィッチの同意を得ることなしに複製又は頒布することは許されません。本資料に記載された情報は当社が信頼できると信ずる情報源より入手したものですが、当社はその真実性もしくは正確性を検証してお りません。本資料に記載された情報は、いかなる表明もしくは保証なしに、「あるがまま」に提供されるものです。フィッチの格付は、証券の信用力に関する当社の意見であり、いかなる証券の購入、売却又は保有の推奨ではありませ ん。
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