平成25年 5月10日 輸 入 粗 飼 料 の 情 勢 全 酪 連 購 買 部 購 買 推 進 課 外国為替(対米国ドル)の影響 外国為替 円/米国ドル (各月末営業日レート) 100 95 90 85 80 10 年 10 8 月 10 年 年 9月 10 1 年 0月 10 1 年 1月 11 12 月 年 11 1 月 年 11 2 月 年 11 3 月 年 11 4 月 年 11 5 月 年 11 6 月 年 11 7 月 年 11 8 月 11 年 年 9月 11 1 年 0月 11 1 年 1月 12 12 月 年 12 1 月 年 12 2 月 年 12 3 月 年 12 4 月 年 12 5 月 年 12 6 月 年 12 7 月 年 12 8 月 12 年 年 9月 12 1 年 0月 12 1 年 1月 13 12 月 年 13 1 月 年 13 2 月 年 13 3 月 年 4月 75 前月号でもご案内の通り、昨年11月の衆議院解散の前後から徐々に円安に動き始 め、昨年9月末は77.6円/ドルで推移していた外国為替も、12月末は85.5 円/ドル、1月末は91.1円/ドル、2月末は92.5円/ドル、3月末は94. 1円/ドルで推移し、4月末は97.9円/ドルまで円安になりました。 11年産に引続き12年産の北米産乾牧草の産地価格は、アルファルファをはじめ としたいずれの草種も、同時期に穀物や燃料も高騰した08年産と変わらないか、そ れよりも高い水準で推移しています。豪州産オーツヘイについても10年産以来、高 い水準で推移しています。一方で、外国為替は長らく円高・米国ドル安水準で推移し ていたため、乾牧草の産地価格が米国ドル建てでは高く推移しているにもかかわらず、 円貨にすると数年前と比べてあまり高くない水準で推移していました。しかしながら、 昨秋以降の円安傾向により事態は急変し、ドル建てで高いがゆえに、円貨では非常に -1- 大きな“値上げ”となっています。 13年産の北米産乾牧草の買付けシーズンが、まもなく本格的に始まろうとしてい ます。外国為替の影響が産地でも認知されていますが、少しでも買付け競争が起きる と、産地価格はたちまち高値となってしまうのが近年の傾向です。輸出している産地 側も、輸入している日本側も、今後の対応・動向には十分に注意が必要です。 北米コンテナ船情勢 各船会社とも、世界的な不況を背景にコンテナ部門の採算悪化が続いています。需 給バランスが崩れることを懸念して、海上運賃の大幅な値上げには踏み切れない一方 で、自社で負担していた様々なサービスを、停止しようと顧客へ求めてくる船会社が 増えているのも現状です。輸出(米国)側では、今まではコンテナと同様に無料で貸 出していたシャーシについても、貸出しを停止する船会社が増えつつあります。また、 輸入量が輸出の増加量に追いついていないPNW(Pacific North West area:太平洋 側北西部地区)では、引続き空コンテナが不足しています。 ビートパルプ <米国産> 産地では製糖作業が引続き行われており、遅い工場では5月下旬まで12年産ビー トパルプの生産が続く予定です。米国内酪農家のみならず、欧州や日本からもビート パルプの引合いが強い模様です。 例年であれば作付けが始まっている時期で、昨年12年産は4月下旬で既に75% の進捗となっていましたが、今年の冬は積雪が多かったため、13年産ビート大根の 作付けは4月末時点でほぼゼロの状況となっており、13年産ビートパルプの生産と 出荷は遅れてスタートすることが早くも懸念されています。また、砂糖の相場価格が 低調に推移していることから、13年産ビート大根の作付面積および13年産ビート パルプの生産量は減少することも予想されています。 アルファルファ <ワシントン産> 早い圃場では5月上旬から、13年産の1番刈の収穫が始まる予定です。PSW (Pacific South West area:太平洋南西部地区)とのフレート価格差により輸出向け と、米国乳価の低迷により米国内酪農家向けの引合いが低調に推移すると予想される ため、13年産アルファルファの作付面積は、前年対比でやや減少することが予想さ れています。一方で、トウモロコシの相場価格が昨年よりは軟調に推移していること から、アルファルファの作付面積はやや増加することも一部では予想されています。 -2- <オレゴン産> 13年産の作付面積は、12年産とほぼ変わらないと現時点では予想されています。 生育は順調で、クリスマスバレーでは例年よりも1-2週間ほど早く収穫が始まると 見込まれています。 <ネバタ産> 13年産の作付面積は、12年産とほぼ変わらないと現時点では予想されています。 生育は順調で、例年よりも2週間ほど早く収穫が始まると見込まれています。1-3 月の降雨量が少なかったために水不足が懸念されており、3番刈まで収穫ができない 圃場があることも一部では予想されています。 <ユタ産> 今年の冬は長く、春になっても気温が上がらなかったため、13年産の生育は遅れ 気味の模様です。1番刈の収穫は6月上旬ごろから始まると見込まれています。 <カリフォルニア産> インペリアルバレーの4/15時点でのエーカレージレポートによると、作付面積 は前年対比103%の133,501エーカーとなっています。産地では13年産の 2番刈の収穫が本格的に始まっています。産地価格はやや軟化して推移していますが、 UAEや中国向けが様子をみながら買付けを始めている模様です。 チモシー <カナダ産> ドライランド(中央アルバータ)では、13年産チモシーの作付面積は、前年とほ ぼ変わらないことが予想されています。レスブリッジ(南アルバータ)では、チモシ ーの他にキャノーラ(菜種)や大麦などの穀類も作付けされているため、13年産チ モシーの作付面積は、穀類の相場価格によっても変化があると考えられています。 <米国産> 近年の順調な需要を受けて、チモシーは生産コストに対して高く売れており、産地 のワシントン州では“儲かる”農産物として定着しているため、13年産は作付面積 が増えることが予想されています。アイダホ州でも、13年産は作付面積が増えるこ とが予想されています。 -3- コロンビアベースン チモシー圃場 4/25撮影 スーダングラス <インペリアルバレー産> デュラム小麦の相場価格が軟調に推移していることから、産地では小麦の作付面積 が前年の半分以下となっています。そのため、13年産スーダングラスは早播きの作 付面積が増える結果となっています。4/15時点でのレポートによると、前年対比 116%の25,091エーカーとなっています。一方で、ここ数年は話題になって いなかったインペリアルバレーでの農業用水の使用制限について、実施強化が懸念さ れ始めています。そのため、早播きについては作付面積が増えても、早播きの2番刈 や、小麦収穫後に播種する遅播き(アフターウィート)の作付面積や生産量は、減少 することが予想されています。 インペリアルバレー スーダングラス圃場 -4- 4/26撮影 クレイングラス(クレインは全酪連の登録商標です) インペリアルバレーでのクレイングラスの作付面積は、4/15時点でのエーカレ ッジレポートによると、前年対比115%の16,500エーカーとなっています。 早い圃場では13年産の1番刈の収穫が始まっていますが、韓国向けは引合いが弱ま っている模様です。農業用水の問題もあることから、今後はクレイングラスの作付面 積が減ること(刈取り回数を減らす圃場が多くなること)も予想されています。 インペリアルバレー クレイングラス圃場 4/26撮影 バミューダ インペリアルバレーでのバミューダの作付面積は、4/15時点でのエーカレッジ レポートによると、前年対比102%の50,111エーカーとなっています。早い 圃場では13年産の1番刈の収穫が始まっていますが、ほとんどが米国内馬向けに出 荷される予定です。年々上昇しているバミューダの種子の価格は、引続き高値で推移 している模様です。そのため、13年産バミューダ(特にストロー)は生産量が増え ることが予想されています。 ストロー類(フェスキュー・ライグラス) 前月号でご案内の通り、3/12から中国産稲ワラの輸入が一時保留の状態ではな くなりました。米国産ストロー類は、為替円安の影響も受けて日本向けの引合いが弱 まっていると伝えられていますが、12年産の産地在庫はほぼ売切れ(成約済み)と なっているため、歴史的な高値となっている産地価格も、大きな値下げとはならない ことが見込まれています。 フェスキューストロー、ライグラス(ペレニアル種)ストローはともに、12年産 もタイトに推移してきました。一方で、種子の需給バランスは引続き芳しくないこと も伝えられています。生産農家はストロー類よりも種子を売ることに注力しているこ -5- とから、13年産の作付面積については、フェスキュー、ライグラスともに、前年対 比でさらに減少することが予想されています。 豪州産オーツヘイ 西豪州、南豪州、東豪州(ヴィクトリア州)の全ての輸出向け産地で、12年産オ ーツヘイは収穫時期の天候が良好だったため、ハイグレード品がほとんどで、ローグ レード品のみならず中間グレード品でさえも極端に少ない作柄となっており、非常に 珍しい作柄の年となっています。西豪州を中心に各産地とも雨当たり被害を酷く受け た11年産とは、ほぼ真逆の作柄となりました。 産地では、4月中下旬から13年産の播種が開始されています。西豪州では3月中 下旬にまとまった降雨があり、ある程度は土壌水分も良い状態のようですが、東豪州 (ヴィクトリア州)では乾燥した状態となっている模様です。また、キャノーラ(菜 種)の相場価格が引続き高値で推移していることから、13年産オーツヘイの作付面 積は大きく減少することが早くも予想されています。 豪州 2013年2-4月を対象に平均降雨量と比較した図 (西豪州および東豪州(ヴィクトリア州)主産地では、平均より少なく、薄い赤で染められている。) 以 -6- 上
© Copyright 2024 ExpyDoc