東京電力グループと社会との関わり 社員との関わり 公正で安心な労働環境の整備 多様な人材が活躍できるダイバーシティの実現 東京電力は、社員一人ひとりの人格や個性を尊重すると 東京電力は、多様性重視の観点から、公平・公正な ともに公正で安心な労働環境づくりを徹底しています。 雇用を行っています。 労使関係 労働協約に基づき、管理職などをのぞく全社員が東京電 障がい者雇用 東京電力は障がい者の雇用を積極的に進めています。 力労働組合の組合員になる、ユニオン・ショップ制を採用し 2008年7月には新たな雇用の創出と、より一層の社会参加 ています。労働時間のあり方や働き方の変革を検討する労 と自立を支援するため、東電ハミングワーク株式会社を設 使委員会や、社員の安全について討議する安全協議会など 立しました。東電ハミングワーク (株)は、 「印刷・コピー業」 を定例的に開催し、 良好な労使関係の構築に努めています。 「清掃業」 「 園芸業(花の栽培・花壇への植栽) 」などを主な事 業としており、会社設立以降、50名の障がい者を雇用する 人権 とともに、特別支援学校や支援機関などからの就労実習受 本店及び各事業所に、 「人権啓発委員会」と「人権啓発推 け入れ、年間約1,500名の見学者対応、各種講演会での講 進員」を設置し、各職場で啓発研修を行っています。2009 演などを通じて、障がいのある方の就労普及のために幅広 年度は、のべ35,170名が受講しました。 い活動を行っています。 東京電力グループ全体の取り組みとして、 「電力関係人 東京電力と関係会社13社を含めた東京電力グループの 権啓発連絡会」を組織し、人権啓発標語の募集を通じた啓 障がい者雇用率は2.1%(610人、2010年6月1日現在)で、 発活動や、人権に関する情報交換を実施するとともに、必 法定雇用率1.8%を上回っています。 要に応じて人権啓発研修の講議や支援を行っています。 東京電力グループは、引き続き、障がいのある方の雇用 を積極的に推進していきます。 ■ ハラスメントへの対応 東電ハミングワーク (株) :www.t-humming.co.jp 明るく働きやすい職場づくりのために、セクハラやパワ ハラ防止のための啓発を行うとともに、社内外に相談窓口 高年齢者雇用 を設置し、社員をはじめ派遣社員など、業務に関わるすべ 「高年齢者雇用安定法」の改正(2004年6月) に合わせ、そ ての人を対象に、ハラスメントの問題解決と未然防止に取 れまでの制度を見直し、65歳まで就労可能な高年齢者雇用 り組んでいます。 制度を導入しています。 本制度の下では、社員は55歳から57歳までに、自身の 健康管理 社員の健康の保持・増進をはかるため、法定の定期健康 診断に加え、産業医による保健指導や長時間労働者に対す 働き方に関する希望に基づき、 「再雇用または転籍による 65歳までの就労」または 「60歳定年までの就労」を選択する こととしています。 る面接指導などを実施しています。 また、外部の専門機関と提携し、電話・メール・カウン セリングによる相談を通じて心身の健康問題を解決する支 援をしています。 女性社員の活躍推進 ダイバーシティ推進室を中心に、全社員の約12%を占め る女性社員の活躍を推進するための育成方策や条件整備な 2009年度は、心の健康づくりの中でも病気の予防や健 どの取り組みを展開しています。また、2004年2月以降、女 康増進に重点を置き、従来の研修に加え、新入社員研修で 性管理職やリーダーを育成する研修を継続的に開催し、約 の説明や 「 職場ストレス診断」を実施しました。さらに、新 300名が参加しています。こうした取り組みにより2009年 型インフルエンザへの対応など、社員の健康と安全の確保 度は9名を管理職に登用し、女性管理職数は63名となりま に取り組みました。 した。さらに、中堅・若手に意識啓発の機会を提供するため、 有志企業による異業種交流セミナーなどを実施しています。 64 出産・育児支援 ワーク・ライフバランスの実現 サ ス テ ナ ビ リ テ ィ の 実 現 に 向 け て 出産・育児を行う社員が安心して働き続けることができ 東京電力は、仕事と生活の調和を推進させることに るように、休職制度や職場復帰後の勤務制度を整備してい より、社員一人ひとりの生産性を高め、会社全体の ます。また、復職に対する社員の不安を解消するため、実際 業績向上につなげることを目指しています。 に育児休職を取得し、職場復帰を果たした社員の体験談を 2007年度から導入した「特別フレックスタイム勤務」 聞くことができる 「育児休職者セミナー」 を実施しています。 など、出産を控えた女性社員や育児・介護を行う社 員が安心して働ける職場づくりを推進しており、こう した取り組みにより、両立指標*の得点率が89%を 東 京 電 力 の 経 営 と C S R の 実 践 超えています。 *両立指標 仕事と家庭の両立支援対策の進展度合いを、各企業が客観的に評価することを目的に、 厚生労働省が作成した指標。 労働時間管理 育児休職者セミナー 「コンプライアンス (管理の適正化) 」 、 「業務改革 (業務効率 化や働き方の見直し) 」 、 「社員意識や職場風土改革」の3つ 東京電力における仕事と出産・育児の両立支援の取り組み 産前6週間 産前・産後休暇(法定) 出産 フバランスを実現するため、 「仕事は原則20時まで」 「ノー残 15.9 15.8 30 16.1 0 0 2007 08 2007 09 (年度) 08 09 (年度) 小学校入学 ※法定有給休暇。原則、20日/年付与。 小学1年生 修了 社員のボランティア活動支援 社員が社会貢献活動に自発的に参加できるよう「ボラン ・復職前にセミナーの開催 ・パソコンの貸出 社内イントラへの権限付与 満3歳 10 ※ 10 15 10 ○施設など利用補助 ︵保育所利用などへの補助︶ ○保育施設︵一部社宅に保育所併設︶ 15 1,500 満1歳 20 妊娠4カ月以上から出産後3カ月以内に5日間 ︵有給︶ 2,000 1,973 1,940 1,933 時間外労働の制限 (日) (時間) 時間外労働の免除 普通休暇※の平均取得日数 子の看護休暇 ︵年 5∼ 日 有給︶ 産後3カ月 1人あたりの総労働時間数 短時間勤務 ︵最大2時間/日︶ 産後8週間 育児時間 ︵法定 ︶ 分×2回/日 育児休職 ︵無給︶ 業デー」 「労働時間の見える化」 などを実施しています。 東 京 電 力 グ ル ー プ の 環 境 へ の 取 り 組 み 配偶者出産休暇 ク」 運動を展開しています。社員一人ひとりがワーク・ライ コアタイム 時∼ 時 特別フレックスタイム勤務 ︵妊娠・育児事由︶ 妊娠 の側面から労働時間管理に取り組んでおり、 「メリハリワー ※フレックスタイム勤務が適用されない職場においても、育児や介護を行う社員がフレック スタイム勤務を希望する場合、個別に適用することができる。 東 京 電 力 グ ル ー プ と 社 会 と の 関 わ り ティア休暇制度 (原則、年5日まで) を導入しています。2009 年度は、のべ1,156人が利用しました。 また、2002年4月より、 「TEPCOボランティアセンター」 「育児休職制度」利用者数 「介護休職制度」利用者数 (人 ) (人) を設置し、ホームページを通じたボランティア活動の情報提 250 供などにより、社員のボランティア活動を応援しています。 200 20 221 220 (4) (2) 東 京 電 力 と 原 子 力 発 電 17 (7) 15 173 (2) 150 0 10 9 (5) (3) 10 0 2007 08 09 (年度) (注)各年度の利用開始者数。 ( )はうち男性。 2007 08 09 (年度) (注)各年度の利用開始者数。 ( )はうち男性。 65 東京電力グループと社会との関わり 安全最優先で事業活動を推進 東京電力グループとしての安全活動の充実 東京電力は現場業務の多くを、設備の保守などを実施し 東京電力は、電気事業に関わる様々な設備を各地域 ているグループ会社及び配電・通信の協力会社(36社)と協 に設置し、社会のみなさまのご理解をいただきながら 力して行っています。このため、各社とそれぞれの安全活 事業活動を行っています。そのため、安全確保を最 動の仕組みや実施状況について意見交換を行い、災害原因 優先に全社をあげて安全活動を推進し、災害防止に などの関連情報の共有と一層の相互協力をはかっています。 2009年度の災害の発生状況は、災害防止に向けての重 努めています。 点目標としている軽傷Ⅱ以上の災害については横ばいにと どまりましたが、前年度6件発生した死亡災害は1件と減少 安全活動の推進と展開 しました。今後もリスクアセスメントなどの災害防止活動 毎年、本店と各事業所では、災害防止に向けて、リスク アセスメントなどに基づき 「安全活動計画」を策定し、活動 を展開しています。また、安全活動の実施状況を確認・評 の充実や、グループ全体の安全管理活動の一層の向上に取 り組んでいきます。 (件) 労働災害発生件数 価し、適宜見直すことによって安全管理のPDCAを回し、 死亡 継続的な改善をはかっています。 軽傷Ⅱ※2 軽傷Ⅰ※3 不休※4 社員 1 3 3 14 127 請負・委託 2 68 24 49 167 公衆 1 10 17 33 ̶ 社員 0 6 3 9 67 請負・委託 5 48 20 28 129 一方、本店では会社全体の安全ルールの改善、安全教育 公衆 1 7 18 27 ̶ の実施、重大災害の原因・対策の検討や安全管理の実施状 社員 0 0 3 8 70 請負・委託 1 56 23 22 134 公衆 0 8 16 16 ̶ 事業所では、 「安全品質担当」が推進役となり、業務に潜 む危険要因や問題点を社員一人ひとりが自ら考え、各職場 2007 年度 での討議を重ねて、災害の原因をなくすための活動を展開 2008 年度 しています。 況の確認・評価などを通じて、事業所の活動を支援してい ます。また、定期的に本店と各事業所の委員会などにおい て、安全活動の進め方や重点実施事項を評価・検討してい ます。 事業所における安全活動の概要 計画 安全方針・ 安全活動計画の策定 危険要因及び 優先実施項目の特定 2009 年度 ※1 休業14日以上の傷害(公衆の場合、医師の診断により、治療期間が30日以上の傷害) 。 ※2 休業4日以上14日未満の傷害(公衆の場合、医師の診断により、治療期間が10日以上 30日未満の傷害) 。 ※3 休業1日以上4日未満の傷害(公衆の場合、医師の診断により、治療期間が10日未満 の傷害) 。 ※4 社員、請負・委託のみ該当。 度数率※1 ・強度率※2 東京電力( 社員) ・リスクアセスメント ・安全事前評価 ・危険予知 実施 ・日常の安全管理 ・安全教育 ・災害発生時の対応 マネジメントレビュー 評価 改善 ・安全活動の実施状況 ・安全管理のプロセス評価 ・災害発生状況及び原因 安全活動の見直し 全国全産業の合計値※3 度数率 強度率 度数率 強度率 2007年度 0.33 0.12 1.83 0.11 不適合の是正 2008年度 0.29 0.00 1.75 0.10 ・不適合の報告 ・ルールの改善 2009年度 0.18 0.00 1.62 0.09 計画の実施 66 重傷※1 主な役割 事業所長 ・活動の全体統括 安全品質担当 ・取り組み状況の 確認・評価 ・安全施策の定着への 指導・支援 ※1 労働時間100万時間あたりの労働災害による休業1日以上の死傷者数を示すもので、 災害の発生頻度を示す。 ※2 労働時間1,000時間あたりの労働災害によって失われた労働損失日数を示すもので、 災害の軽重の度合いを示す (0.00は0.005未満) 。 ※3 出典:厚生労働省 「平成21年労働災害動向調査」 (2008年度から調査対象産業に医療、 福祉が追加) 研修制度 社員の活躍や能力向上を積極的に支援 サ ス テ ナ ビ リ テ ィ の 実 現 に 向 け て 日常業務を通じた指導 (OJT) と社員の自己啓発を基本と 東京電力では、社員の自主性と創造性の十分な発揮 しながら、各部門や事業所及び総合研修センターでは、 を目指し、社員の能力向上を支援するとともに、適 様々な研修を実施し、最新の専門知識・技能を短期間に習 切な評価を実施しています。 得させることや参加者の相互啓発をはかることで、社員の 能力開発を支援しています。 特に総合研修センターでは、 「経営ビジョン2010」の第3 能力・業績評価 の経営指針「人と技術を育てる」に沿って、新入社員から経 能力・業績の適切な評価を行うために、客観性・透明 営層まで広く研修体系を整えています。恒常的かつ自律的 性・納得性を高める観点から、複数の上位職者による多面 に業務品質改善・効率化に取り組む強い現場を支える「第 評価、社内イントラネット上での制度内容・評価基準の公 一線の技術・技能と課題発見・解決能力のある人材」 「マネ 開、上司との面談を通じた評価結果の本人への通知を行っ ジメント能力のある管理職人材」と、環境変化に先んじて ています。 対応し経営の変革をリードする「変革リーダー人材」の3つ 東 京 電 力 の 経 営 と C S R の 実 践 を目指すべき人材と位置づけ、個人の能力を高めるための また、面談については、モニタリングを行い、実施状況 研修を実施しています。 や内容を確認しています。 また、研修が効果的・効率的に実施されるように、研修 能力発揮のための支援制度 実施後の効果測定に基づき、確実にPDCAを回すとともに、 社員のチャレンジ意欲に応え、活躍機会を提供する「社 東 京 電 力 グ ル ー プ の 環 境 へ の 取 り 組 み 研修で習得したスキル・知識が、職場実践の中で活用され 内人材公募」などの制度により、能力の発揮を支援してい るように、職場への適切なサポートを行っています。 ます。また、高度な専門性を持つ社員に対しては、 「プロ フェッショナル制度」及び 「スペシャリスト制度」により、高 い技術・技能などを評価・認定しています。 総合研修センターが実施する主な研修 目的 対象 マネジメント能力の 付与・強化 課題発見・解決能力の 付与・強化 第一線技術・技能の 維持・継承 管理職 経営 マネジメント 研修 事業所 経営研修 W T 事務系大学卒 フォロー研修 ※3 技術者 倫理 研修 原子力部門の 若年層へのお客さま 接点業務研修 ※2 キャリアビジョン研修 W-TΣP (ダブル・ テップ)※1 消費生活アドバイザーフォローアップ研修 イノベーション リーダー 研修 研修 技術 リーダー 研修 短期集中技術講座 実践力開発 プログラム マネジメント・ ベーシックⅠ 設備自動化 システム研修 マネジメント・ ベーシックⅡ 保護制御システム 研修︵CES︶ チーム リーダー 研修 販売営業研修︵法人・生活︶ 一般職 マネジメント・ スキルアップ 研修 管理者 上級 選択 指導者 研修 研修 スタッフ目標管理︵MBO︶研修 店所GM研修 その他 意識改革など 変革リーダーの 育成 東 京 電 力 グ ル ー プ と 社 会 と の 関 わ り 東 京 電 力 と 原 子 力 発 電 新入社員研修 (新入社員導入、制御所・総合制御所、電気系大学卒、配電部門下期) ※1 W-TΣP:若手人材に潜在力を発揮・伸張できる場を提供し、新しい技術や業務革新、企業価値の創造に自ら取り組む人材を育成する。 ※2 WT研修:経営課題に関する最新情報と様々な部門からの参加者と議論する場を提供し、変革意欲を向上させ、自ら行動する前向きな姿勢を培う。 ※3 キャリアビジョン研修:自らの価値観や強みを認識し、キャリアビジョンを主体的に描くことで、実現に必要な能力の開発を動機づける。 67
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