Title Author(s) Journal URL 輸血部における不規則性抗体の検出状況について 村上, 省三; 藤原, ムチ 東京女子医科大学雑誌, 51(2):206-207, 1981 http://hdl.handle.net/10470/4273 Twinkle:Tokyo Women's Medical University - Information & Knowledge Database. http://ir.twmu.ac.jp/dspace/ 128 (六感講。9第購56葎鋤 会〕 〔学 東京女子医科大学学会 第235回例会抄録 日 時 昭和55年11月28日(金)午後1時30分より 場所東京女子医科大学本部講堂 1.6・OH・DA生下時処置ラットにおけるCPZ投与 の体温,血清Caおよび血清Pに及ぼす影響 (薬理学)○永井 対応する群の血糖値のpeakより15∼60分の時間的遅れ が見られた.これらの結果について考察した. 2.日本人におけるCoagulation Facto暫XIIIの 昇・野本 照子 目的:ラットにおけるchlorpromazine(CPZ)投与時 遺伝的多型について に生ずる電解質の変動,特に血清Caの上昇,血清P値 (法医) の一過性下降については,すでに第21工回の本学会におい ○中村 茂基・阿部 和枝・山館 伸子 凝固系第X皿因子は血漿のほかに血小板,胎盤,前立 て報告したが,今回はその労作を検討する目的で,午下 時より6−hydroxy dopamine(6−OH−DA)を投与して得た 腺,肝臓などに見出されているが,このうち,血漿中の 化学的交感神経遮断(CSx)ラットに対するapomorphine 第X皿因子だけは酵素活性を有するasubunitとcarrier (APOM)又はCPZの単独およびAPOMとCPZの proteinとみなされているbsubunitとで構成されてい 併用投与による体温,血糖,血清Caおよび血清Pの変・ る.今回はまずbsubunitについて遺伝的多型の検討を 動を観察し,2,3の成績を得たので報告する. 行なった. 実験材料:生下時より6−OH−DA 100mg/kg体重を隔日 方法は操作が容易で短時間に実施できるセルロース・ に2週間皮下投与して得たCSxラット(SD,♂体重200 アセテート膜電気泳動とImmun面xationを用いて行な ∼3009)および無処置の同系ラットを対照として用いた. った.sampleはEDTA血漿工μ1をsample apPlicator 実験方法:CSxラットと対照として無処置ラヅトをそ を用いて膜に添付し,泳動は250Vで60分行なった. れぞれ3群に分け,各群にAPOMまたはCPZを単独 Immuno飯ationはBehringwerkeの抗ヒトFactor XH− 投与,、およびAPOM投与後15分にCPZを投与した. APOM, CPZの投与量は共に10mg/kg体重を腹腔内に subunit S血清を用いて室温湿室中で60分行なった. 投与した.体温は直腸温を,採血は尾静脈より行ない, 用いた. 染色は0.5%ニグロシソで30分,脱色は1%酢酸溶液を 血糖,血清Caおよび血清P値を測定した. 222例について行なったところ,その遺伝子頻度は 実験結果:体温はCSx群の全ての群で一過性の上昇 F・X皿B1=0.020, F−X皿B2=0.264♪F−X皿B3=0.716とな を示し以後下降したが,APOMとCPZとの併用では十 った.また8家系についてその遺伝様式を検討したとこ L5℃の上昇を示した,対照群では全ての群で下降した. ろ,autosomal codominantな遺伝様式を示し,表現型は 血糖値はCSx,対照群の各群で上昇し,特に対照群で 単一遺伝子座位における3種の対立遺伝子により発現さ APoMとcPz併用群の上昇は30分値で+236・5mg/dl れるとして矛盾はみられなかった. の上昇を示した.またCSx,対照群での血糖上昇のpeark 以上より,Factor X皿一subunit Bにおける遺伝的多型の は血清Pの最低値より常に先行して出現した.血清Ca 存在は,今後親子鑑定をはじめとする法医学上の応用も 値は対照群ではCPZおよびAPOMとCPZの併用 充分可能であると考えられる. で経時的な上昇が見られたが,APOMに対する反応は 3.輸血部における不規則性抗体の検出状況について 軽微であった.血清P値は対照群,CSx群共に各薬剤に 対して一過性の下降の後,回復するが,各群の最低値は 一206一 (輸血部)○村上 省三・藤原 ムチ 過去約6年間の本院における,輸血による抗赤血球抗 129 交換輸血を施行した. 体(一部妊娠によるものを含む)中,不規則性抗体の検 その後,総ビリルビン値は12mg/d1前後で,直接ビリ 出状況について述べる. ルビン値が50%以上を占めた.胆道造影では,総胆管の いわゆる免疫によって発生する抗体では,Rh式血液 型に属するものが大部分を占め,ことに抗E抗体の検出 閉鎖と肝内胆管の網状陰影みられた.生後51日に胆嚢外 率は他の抗体よりも,はるかに多い.抗E抗体は蛋白分 解酵素法のみによって検出されるものが半数以上を占め 回造設術,更にcholedocho−jejunostomy+Ruox en Yを る.しかし間接抗グロブリン法でも抗補体抗体をふくむ も軽快した.しかしG.0・T.,G・P・T・, Z・TT・, T・T・T・, 施行した.その後,急速に総ビリルビン値が下降し黄疸 ものを使用すれぽ,その中の一部は検出可能である.欧 γ一GTP, LA・P.等は依然高値を呈した.術後30日目よ 米においては抗体検出法としては,蛋白分解酵素法はル り,便は黄色を呈するようになった.術後32日目頃一時 チンには余り使用されていない.そのため抗E抗体は遷 上行性胆管炎を思わせるような所見が現われたが,その 延性溶血性副作用をおこす重要な抗体の1つとされてい 後は順調に軽快した. るが,蛋白分解酵素法を慣用すれば,かなり防止するこ 本例は早期新生児期に強度の高ビリルビン血症を示 とができると考える. し,先天性胆道閉鎖症としては異常な経過をとった.入 抗E抗体についで抗D抗体,抗δ体などが検出され ている.Rh式血液型以外ではDiego式およびKidd式 院時,患者の単純庖疹ウイルス(HSV)抗体価は, C・F・ ユ28倍,NA・12倍(1型),4倍(皿型)であり,母親 のC・F・32倍であった.このことより本例は,H.S.V・の 血液型に属するものが検出されている. いわゆる自然抗体に属するものとしては,Lewis式血 胎内感染があったと考えられる.先天性胆道閉鎖症とし 液型およびP式血液型に属するものが多く,ことに前者 ては異常経過をとり,早期に現われた強度の高ビリルビ は抗E抗体と同程度に検出されている.また間接抗グロ ン血症等の原因として,胎内感染の関与が考えられる. ブリン試験で陽性を示す状態で検出される場合がかなり 5.市販異種生体弁の問題点と開放型異種生体弁の 存在する. 開発 以上の不規則性抗体は,抗体スクリーニングの段階 (田下外科)今村栄三郎 で,ほとんどが検出されている.しかし輸血を要する患 過去5年間教室で行なわれた異種生体弁による単独僧 者の血液が交差試験の直前に提出される場合がまだかな 帽弁置換例159例の遠隔成績を,15歳以下小児29例と, り存在するが,これらについて不規則性抗体が検出され 16歳以上の大人130例に分けて比較すると,細菌性心内 ると,適合血液の入手が至離の場合もあり,トラブルの 膜炎,および血栓塞栓症合併症は両群共に大差ないのに 原因ともなるので,輸血の必要が予想される患者の血液 対し,弁硬化症の合併頻度が小児群において異常に高い はできるだけ早く提出されるよう希望する. ことが知られる、すなわち,大人の0.3%偲丁年に対 4.早期新生児より強度の高ビリルビン血症を示し, し,小児は12.4%1患者年の高率でみられる.小児にお 単純疸疹ウイルスの胎内感染が考えられた先天性胆道閉 ける盛んなカルシウム代謝が弁硬化の主因と考えられる 鎖症の1例 が,第2の要因として低流量に対する異種生体弁の開放 機構そのものが疑われる.市服の異種生体弁は3個の弁 (小児科) 尖を閉じた状態で,グルタルデヒド固定がなされてお ○永木 茂・浦本 恭子・富本 昌子・ 山口規容子・横田 和子・福山 幸夫 り,固定により幾分硬くなった弁尖を全開放するには, (外科)馬渕 二三・中谷 雄三・山添 信幸・ ある程度以上血流量エネルギーを必要とする.水力学的 織畑 秀夫 テストでは6∼10L/min・以上の流量がなけれぽ,1個口 症例:正常分娩,T−AFD(3,7009,39W・5D),日齢5 は2個の一斗だけ開放し,残りは閉じたままでいる.閉 日目に血中総ビリルビン値22・Omg/dlとなり,光線療法 じたままの四三には血栓沈着や交連部の癒合が生じ,ま 施行したが好転せず,生後14日目に当科未熟児室に入院 すます硬化すると推定される. した.皮膚:黄緑色調,肝12.5横指触知,脾:融知せ このような問題点を解決するため,従来の閉鎖位固定 ず.体表奇形(一).哺乳力良好.便=灰白色。神経学 法に代って,半開放位固定法を創案した.Pulse−duplic− ’的所見:異常なし,血中総ビリルビン値52・8mg/dl(直接 ator試験で,弁開放機序は流量の多寡に関係なく,常に ビリルビン22・4mg/dl,間接ビリルビン30.4mgldl)で, 各弁尖とも対称性に同時運動を行なうことが証明され 一207一
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