やさしいまち本文03(PDF・835KB) - 町田市

施設事例
● 円滑な移動を確保した歯科医院
藤堂歯科医院
所在地:町田市忠生1-2-5
○屋外から診察台まで段差なく移動可能
○ゆとりのある広さを確保したトイレ
2階建て集合住宅の1階部分で開院している歯
科医院です。この医院では、屋外から診察台まで、
段差のない円滑な移動を確保しています。開院当
初から、障がいを持つ人の歯科治療に取り組んで
います。
②
受付
④
医局員室
診察室
6,363
トイレ
③
待合室
①
6,363
6,363
平面図
②市販の乗り入れブロックを用い、車いす
使用者の出入りに配慮したエントランス
①入口へ至る通路には、スロープ、手すり、
車いす使用者に対応した呼び鈴を設置
③診察台の頭の部分を反転させることで、
車いす使用者は、車いすにすわったま
ま診察を受けることができます。
④ゆとりのある広さを確保したトイレの扉は、充分な幅員を
確保した引き戸。内部は車いす使用者も使用できる広さを
確保し、便器脇には手すりを設置
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施設事例
● 地域開放の「みんなのトイレ」のある住宅展示場
三和住建 住宅展示場
所在地:町田市忠生3-7-15
○住宅展示場内の「みんなのトイレ」
○バリアフリー住宅の展示
4,550 1,820 1,820
2,275 1,820
この住宅展示場には、展示住宅に隣接して、地域
開放の「みんなのトイレ」が整備してあります。ま
た、バリアフリー住宅の展示もしており、見本とな
るバリアフリーキッチンやホームエレベーター、浴
室などを体験しながら住宅相談ができます。
展示住宅
1F平面図
③
7,580
1,670
①
②
《展示住宅内部》
●トイレの入口は引き戸とし、車いす使用者用便房内は余裕
を持った広さを確保しています。
(別棟のみんなのトイレ)
②上がりかまちの段差を処理するスロープ、靴の履き替えのため
のベンチ、右奥にはホームエレベーターが設置されています。
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①車いす使用者の使いやすさを考えた
キッチン。車いす使用者の膝下が入
り込む構造となっています。
③脱衣室と浴室の間に段差はなく、3
枚扉の引き戸を採用し、出入口幅員
を広く確保しています。また、脱衣室
内には腰掛けを設けています。
施設事例
● みんなが利用しやすい中規模会館
中規模会館 今井会館
所在地:町田市本町田3220
○玄関までの段差はすべてスロープによって処理
○建物内の床は段差がなく平坦で、さらに連続して
手すりを設置(2階へは緩やかな階段を設置)
○みんなのトイレを設置
みんなのトイレ
会室の出入口の幅員は、ゆとりのある寸法を確保し、誰にで
も使いやすい施設になっています。
5,454
④
①
③
6,363
市の補助制度により、中規模会館の整備が進んでいます。
今井会館では、道路から玄関を通って、1階の各室まで一切
段差がなく、みんなが楽に移動できます。また、廊下や大集
集会室
②
事務室
スロープ
3,636
2,727
5,454
1F平面図
● 各室入口の引き戸の下枠
は、段差なし
①傾斜の緩やかな階段とし、
手すりも両側に連続して設置
②広い廊下、幅の広い出入
口、段差のない下枠、施設
内の壁面には連続して手
すりを設置などの配慮を
しています。
③玄関外部と会館内の床面は、緩やか ④会館内のみんなのトイレ。車いす使用者の利
なスロープですりつけられています。 用にも充分な広さを確保。引き戸の扉は一定
時間で自動的に閉まる構造となっています。
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施設事例
● 高齢者・障がい者が買い物しやすい介護・福祉用品店
介護ショップ カミヤ
所在地:町田市南成瀬1-8-1
○出入口の扉は引き戸とし、戸の前後に平坦なス ペースを確保
○車いす使用者の利用に配慮した店舗内カウンター
「介護ショップ カミヤ」は、福祉・介護用品の
販売及びレンタルを行う店舗です。店舗の入口は引
き戸とし、応対カウンターは、車いす使用者の膝下
が入り込むように、けこみを充分にとったものを採
用しています。また、トイレ扉には、回転スライド
ドアを採用し、少ないスペースを有効に利用し、車
いす使用者にも使いやすい配慮をしています。
介護を受ける人が来店して、自分に合ったものを
選べます。
5,400
③
事務スペース
店舗
3,850
②
① 8,110
2,545
平面図
①入口は引き戸とし、戸の前後には
平坦なスペースを確保しています。
③店舗内のトイレ、広さは充分
*
(幅90cm×奥行き 180cm)
②店舗内のカウンター台
車いす使用者にも対応しています。
*この場合の奥行きとは、扉から便器先端までの寸法を示しています。
21
③トイレ扉には、回転スライドドアを採用し、
車いす使用者の使いやすさを確保すると共
に、省スペース化も実現しています。
施設事例
● 車いす使用者にやさしいレストラン
夢庵 本町田店
所在地:町田市本町田1868-1
○障がい者用駐車区画を店舗出入口付近に確保
○店舗内通路は充分な余裕の幅員を確保
○みんなのトイレを設置
①
②
2,000
みんなのトイレ
1,000 2,090
平面図(一部)
「夢庵」は、多様な方の来店を想定した店舗作り
をしています。まず、車いす使用者への配慮として
は、店舗入口付近に障がい者用駐車区画を確保し、
また、店舗内のテーブルのレイアウトには余裕を持
たせ、障がい者等の店舗内の移動に配慮していま
す。また、乳幼児連れの方への配慮としては、折り
たたみ式のベビーベッドを設置したみんなのトイレ
も整備されています。
2,000
●店舗入口付近に障がい者用駐車区画
を確保
①車いす使用者等の移動に配慮し、余裕
をもったレイアウトとしています。
②左)トイレの扉の誘導サイン
右)トイレ内部は充分な広さを確保し、
ベビーベッドも設置
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施設事例
● 円滑な上下移動を確保した店舗 すしおんど 町田中町店
所在地:町田市中町2-18-1
○2階店舗部分へは、エレベーターで移動可能
○ベビーベッド及びベビーチェアを備えたみんなの
トイレ
2,000 1,800
2,000
② みんなのトイレ
平面図
5,675
3,225
①
2,450
2,450
この店舗は、1階をすべて駐車場とし、2階に店
舗部分を設けているため、来客者(特に障がい者・
高齢者等)の上下方向の移動を円滑にする配慮が必
要となります。そこで、この店舗では、階段の他、
エレベーターを設置することで円滑な移動を可能と
しています。また、みんなのトイレ内に転落防止を
考慮したベビーベッドを設置するなど、親子連れの
方に対する配慮もみられます。
入口部分 平面図
①1階の駐車場と2階の店舗
部分をつなぐ 11 人乗りの
エレベーター。かご内に
は、鏡・手すり等が設置さ
れています。
●障がい者用駐車区画を確保
②みんなのトイレ内にはベビーチェア ②転落防止に配慮した折りたたみ式の
も設置してあります。
ベビーベッド
●車いす使用者の通行に支障のない
幅員を確保しています。
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②トイレの引き戸の扉に貼られたマー
ク及びベビーベッドの利用を案内す
る標示
『ひとにやさしいまちづくり』とは…
高齢者と障がい者の動向
近年のバリアフリー整備の背景に、急速な高齢社会の進展があげられます。全国の高齢者( 65 歳以上、
2003 年)人口は約 2,384 万人(人口比 18.9 %)で、都で 191 万人( 15.9 %)、町田市では約 62,200
人(15.9%)です。高齢者の概ね15%の方は日常生活で何らかの支援や介護が必要と言われています。
* は、全国で 437 万人 ( 人口比 3.4 % ) 、都で
一方で、身体に障がいのある人(手帳所持者、2002 年 )
37万人(3%)、町田市で約8,600人(2.2%)です。
具体的な事例を紹介します。全国のオストメイトは約20万人と言われ、町田市の手帳所持者は約300
人です。また、酸素ボンベによる在宅酸素療法等が必要な呼吸器障がい者は全国で約12万人と言われ、
町田市の手帳所持者は約 190 人です。施設整備の前提として、高齢者や多様な障がいへの的確な理解と
配慮が求められています。
福祉のまちづくり・バリアフリーからユニバーサルデザインへ
これまでの福祉のまちづくりやバリアフリー施策は、障がいへの個別対応を基本にしてきました。一方
で、高齢者・障がい者・妊産婦・子育て世代・外国人など、可能な限りすべての人が利用できる施設・ま
ちづくりの考え方であるユニバーサルデザインが注目を集め、実践が始まっています。出入口に階段とス
ロープを併設する場合は、より多様な人が使いやすいスロープをメインにする設計が優れています。
ユニバーサルデザインとは
ユニバーサルデザインの要素には、①あらゆる世代・性別・障がいへの対応、②使いやすさの追及、③
安全性、④美観、⑤市場性(入手しやすさ)があります。
トイレと子育て支援環境の事例で具体的にお話しましょう。車いす使用者が利用できるトイレ(みん
なのトイレ)では、ベビーベッドやオストメイト設備等、多くの人が利用しやすい機能・大きさ・表示等
の改善を進めてきました。さらに、大規模施設では男女別に、かつ異性介護(混雑時の異性利用)を配慮
して入口近くにみんなのトイレを設置する事例が増えています。また、一般トイレには、ベビーベッド・
ベビーチェアや、腰掛式便器・手すり付き・少し広め・開けやすいドアの便房を整備し、高齢者や障がい
のある人に配慮する事例が増えています。
より積極的な子育て支援として、トイレの子育て支援環境整備に加えて、ベビーベッド・ベビーチェ
アや授乳スペースを備えたベビー休憩室を整備する事例も出ています。
これらは、ユニバーサルデザインの要素を取り入れたトイレと子育て支援環境の整備事例です。個別
整備で様々な要望を取り入れるのか、施設全体で考えるのかは、施設規模・目的等で変わってきます。
正確な情報収集と当事者の意見反映で施設・まちづくりを 視覚障がい者がよく来る飲食店では点字メニューを用意し、聴覚障がい者がよく来る店舗では手話や筆
談で応対する等のサービスが少しずつ広がっています。
障がいを持つ人に人気のディズニーランドでは、計画段階から障がいを持つ人や専門家に直接意見を聞
いて、施設づくりを行いました。それらはハード面だけでなく接客サービス・情報提供等のソフト面に及
んでいます。
これからの施設づくりでは、様々な利用者の要望を的確に把握し、反映した施設・まちづくりが求めら
れています。
*: 国が定めた障がい区分には、身体障がい、知的障がい、精神障がいの3区分があります。身体障がいには、視
覚障がい、聴覚・平衡感覚障がい、音声・言語・そしゃく機能障がい、肢体不自由と、内部障がいがあります。
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用語解説
●ノーマライゼーション
日本語では「正常化」、
「日常化」と訳され、子どもや障がいのある人、高齢者など、すべての人があ
たりまえの社会生活を送ることができるようにしようと努める考え方で、北欧の知的障がい者の親の運
動から提唱され、日本へも1970年代から紹介されています。
●バリアフリー
障がい者等の行動を制限したり、時には差別する障壁(=バリア)を取り除くこと。バリアには、都
市環境・建築等の物理的なバリアの他、人間の意識や態度・行動等の背景にある心理的なバリア、社会
的な制度におけるバリア、文化・情報によるバリア等があります。
●オストメイト
直腸、膀胱等の機能障害の疾病治癒の目的で、身体に造設した人工肛門、人口膀胱(ストーマ)を
持っている人をオストメイトと呼んでいます。
●交通バリアフリー法
「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」
。
正式名称は、
高齢者、身体障がい者、そのほか妊産婦などの公共交通機関を利用した移動の利便性及び安全性の向上
を促進するため、駅・旅客バスターミナル等、あるいは鉄道車両・バス・旅客船などのバリアフリー化
を定めた法律。また自治体は関連する事業者と協力して駅などの旅客施設を中心とした一定の地区にお
いて、旅客施設、周辺の道路、駅前広場などのバリアフリー化を重点的かつ一体的に推進する基本構想
を作ることができます。
●ハートビル法
正式名称は「高齢者、身体障害者が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」。
不特定多数の人が利用する建築物は、高齢者や身体障がい者、妊産婦などすべての人が利用しやすい建
築物にする必要があります。2003年4月から改正ハートビル法が施行され、一定規模以上の特定の用途
の建築物については、利用円滑化基準に準拠して建築することが義務付けられました。
●福祉のまちづくり条例
町田市では、1974年に「町田市の建築物等に関する福祉環境整備要綱」を定め、1995年には、要綱
を充実させた「町田市福祉のまちづくり総合推進条例」を施行しました。
ここでは、すべての人々がひとりの人間として尊重され、社会参加の機会を平等に持つことにより、自
己実現を果たせる社会、すべての市民にとって住みやすい社会を実現することを宣言しています。
内容は、建築物・道路・公園・住宅・公共交通施設・公共車両のバリアフリー整備のみならず、地域社
会の連帯、健康の確保、社会参加の促進、在宅福祉の充実が規定されています。
《参考文献》
●『町田市福祉のまちづくり総合推進条例 整備基準等マニュアル』2002.3 町田市
●『高齢者・身体障害者等の利用を配慮した建築設計標準』2003.2 国土交通省
●『道路の移動円滑化整備ガイドライン』2003.1(財)国土技術研究センター
●『公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン』2001.8 交通エコロジーモビリティ財団
●『公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン 追補版』2002.12 交通エコロジーモビリティ財団
●『東京都福祉のまちづくり条例 施設整備マニュアル』2001.1 東京都福祉局
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