第6回講義

表面物理6
固体の表面(界面)
• 対称性の破れ
• 次元性の低下
“新しい物質群”
2014.05.19
バルクとは異なる構造
「表面再構成」
異なる電子状態
表面の電子状態とダイナミクス
福谷 克之(生産研)
1.表面に局在する電子状態1:ショックレー準位
2.ダングリングボンドとエネルギー安定化
3.表面に局在する電子状態2:鏡像準位,タム状態
4.化学吸着と物理吸着
5.吸着の統計力学
6.第一原理からの電子状態計算(大野)
7.吸着子の脱離現象:熱脱離と電子・光励起脱離
8.表面プラズモン.表面電子状態・ダイナミクスの研究例.
表面に局在する電子状態1
•原子・分子の電子状態
結合軌道の形成: 移動(共鳴)積分
(電子のエネルギーが低下するとはどういうことか)
分子の電子項の表し方:σ,πとは何か
•内部ポテンシャルとバルクの電子状態
•表面準位の形成
エネルギー準位と波動関数の性質
金属表面に見られるショックレー準位
水素原子の電子状態
H  E
H 
2
+
2
e


2m
r
me 4 1
En   2 2
n  1,2,3
2 n
  Rnl (r )Ylm ( ,  )
e-
E
0
水素分子イオン
a
2
h

2m
b
+
h  E
+
e- 
r
  a*
Ca haa  Cb hab  ECa  ESCb
 b*
Ca hba  Cb hbb  ESCa  ECb
•シフトした
軌道エネルギー( 1s )
haa 
•移動(共鳴)積分 ( -t )
hab 
S
•重なり積分
結合性軌道と反結合性軌道
haa  E
hab  ES
EB 
hab  ES
0
hbb  E
, B 
 a  b
2(1  S )
結合性軌道 (Bonding)
EA 
, A 
 a  b
2(1  S )
反結合性軌道 (Antibonding)
 
r1 , r2
水素分子:電子が2つのとき
 2
e2
e2

i      
H  

2m
ri  Ra ri  Rb
i 1

2

2
 e
 r  r
 1 2
2
  hi  v12
i 1
  BB
E    * Hdr1dr2
  B (1)*B (2)* (h1  h2  v12 )B (1)B (2)dr1dr2
U   B (1)*B (2)* v12B (1)B (2)dr1dr2
核間距離による全エネルギーの変化
R  R A  RB
A
R
B
分子における電子の角運動量

原子における波動関数(角度部分)
Ylm ( ,  )  eim Pl m (cos  )
a
b
z
分子軌道を考えると
 
B  a b  eim Pl m (cos  a )  Pl m (cos  b ) 
2(1  S )
の固有値(m)=保存量
mをと書き
=0,1,2 ・・・
m:角運動量の分子軸
分子軌道の分類と電子状態の表し方

2 S 1
 g /u
z
   i
i
i 番目の電子
=0,1,2 ・・・
S: 全スピンの量子数
g/u: 分子中心に対して
例:酸素分子
2px
2py
2pz
2px
2py
2pz
p ax , y  p bx , y
p az  p bz
( g ) 2 ( u ) 4 ( gx )1 ( gy )1
表面近傍の電荷分布と電位
ジェリウムモデルで導かれる
表面の電荷分布
電子は
表面からしみだす
真空
-
-
-
-
-
+
+
+
+
+
固体
内部ポテンシャルと電子のエネルギー準位
電気2重層
(表面項)
V0
運動
エネルギー
交換・相関ポテンシャル
(バルク項)
結晶の電子状態と表面準位
電子の波動関数
原子・分子:
結晶:
表面準位:
自由電子:
p2
2
H0 


2m
2m
運動方程式: H 0   E
2 2
kF
2m
バルクの電子状態:Nearly free electron model
自由電子に
弱い周期ポテンシャル
摂動: V ( x)  2V cos(2x / a)
H  H 0  V ( x)
H   
  C1 exp(ix / a )  C 2 exp( ix / a )
2  2

( )
2m a
2 2
E
k
2m
周期性:
バンドギャップ中の準位
バルクバンドの分散関係
E  E ( k z , k // )
- バルク中の許容準位 →
kz:
- バンドギャップ中の準位 →
kz:
kz=複素数 として
バンドギャップ中の準位の性質を考察
z方向1次元
表面
H  H 0  V ( z)
V ( z )  2V cos(2z / a )
ブリルアンゾーン境界で
z方向の波数として複素数を考える.
波動関数は
0
z
H   
 exp( i (

a
 exp( i ( 
2 
(  iq ) 2 C1  VC2  C1
2m a
2

VC1 
(  iq ) 2 C2  C2
2m a
 iq ) z )

a
 iq ) z )
2  2
2 2

( ) , 
q
2m a
2m
とおくと,
(   )    2i 
V
V
(   )    2i 
      V 2  4
において
とおくと,
      V cos 2
: 0

: 0

q:

0
 :  V 

4
V2
4
2mV 2
4  2
~


2

0

0

 V
0
波動関数
2 
(  iq ) 2  
C2
  2m a
C1
V
2

2 
1     2
2


(
)
q
2
iq







V  2m  a
 2m a



1
    i 4  
V
1
 V cos 2  iV sin 2 
V





1 

 exp(i (  iq ) z )  exp(i (   iq ) z  i 2 ) 
a
a
2



1


exp(  qz ) exp( i ) exp(i ( z   ))  exp( i ( z   )) 
a
a
2




a
 z 
2
z
0
ポテンシャル
V0
vac 

vac
vac

2m   V0

a
z 
2


 vac
 z   a vac
2
z 
a
2
波動関数は滑らかに接続
表面準位:
vac  C exp(
2m   V0

in  2 exp(  qz ) exp( i )
z)
 cos(

a
z )
z
0
真空
固体
金属表面に見られるショックレー状態
金属のバンド構造
Au, Ag, Pt etc.: 面心立方格子
Agのバンド構造
電子配置: (内殻)+ 4d105s1
→X
(001) 方向
x-y面内の
波動関数を考える
バンドの分散 ーX
d x 2  y 2 軌道
エネルギー
d xy 軌道
Lの分散:
金属のバンドギャップ
バルクの投影バンド
E (k // )   E (k // , k  )dk 
例えば
at k //  0
-0.3<E<3.6eV には
バルクの状態なし
k  : 111 (  L)
表面準位の分散関係
Au(111)
Ag(111)
投影バンドギャップ中:
自由電子的分散
表面準位
 2 k //2
ESS  E0 
2mS*
バルク準位
 2 k //2
EB  E 0 
2mB*
B