テキスト - Biglobe

第1章
16
式と証明・方程式
4
2次方程式
§1 複素数とその計算
2
x = 1 の解は x = ±1 であるが,x 2 = −1 の解,つまり 2 乗して−1 になる実数はない。そこで,
数の拡張工事をして x 2 = −1 になる数を考える。しかしどう表記するか。実在しない想像上
の数(imaginary number)なので imaginary の i をイタリック体にして i と表すことにした。これ
が虚数単位と呼ばれるものである。i だけでは形も大きさもわからないが,2 乗すると−1 と
いうはっきりとした形になって我々の前にその姿を現わす。これを使うと x 2 = −4 の解は
x = ±2i と表せる。
i は文字と同じように扱ってよいが, i 2 になったら−1 に置きかえること。
i 2 = −1, i 3 = i 2 × i = −i, i 4 = (i 2 ) 2 = ( −1) 2 = 1
定義
虚数:2 乗すると負になる数
虚数単位(i):2 乗すると−1 になる数
i = −1
計算の約束( a,b は実数)
例
3 × i = 3i, 5i + 3i = 8i
a × i = ai ai + bi = (a + b)i ai × bi = abi 2 = − ab
2i × 3i = 6i 2 = −6
(x − 1) 2 = −3 の解はどうなるだろうか。
x − 1 = ± 3i
∴ x = 1 ± 3i
と今度は a + i のような形になる。このように (実数 ) + ( 虚数 )
の形で表される数を複素数という。
定義
a, b を 0 ではない実数とする。このとき a + bi と表される数を複素数という
各パートの名称は次のようになっている。
3
2i
3 + 2i
3
実数
純虚数
複素数
実数
+
2i
虚数
3
2
i
+
実部
虚部
前にも述べたように,i は文字とみなして計算してよい。ただし, i 2 = −1 の置き換えをお忘
れなく。
πi
「博士の愛した数式」(小川洋子著)の中で博士が愛した数式とはオイラーの公式 e + 1 = 0 であった。e は数Ⅲの
範囲である。
数学ⅡB
hm2k0004
第1章
17
式と証明・方程式
( x − 1) 2 = −3 の解は x = 1 ± 3i だったが,1 + 3i と1 − 3i のように虚数の+と−の符号だけが
異なる複素数を,共役な複素数(conjugate complex number)という。ちょうど夫婦のそれぞれ
の相手を配偶者というようなものである。共役な複素数は 3 + 2i = 3 − 2i のように (バ
ー)をつけて表す。
定義
複素数 α = a + bi に対して, a − bi を α の共役複素数とよび, α で表す。
分数の計算では,次のように共役な複素数をかけて分母を有理数にする。
1
2−i
2−i 2−i
=
=
=
2 + i (2 + i )(2 − i ) 4 + 1
5
複素数の計算
(1) i を文字のように扱う
(2)
i 2 = −1 に注意
例
5 + 2i + (5 − 2i ) = 5 + 5 = 10
(2 + 3i )(2 − i ) = 4 + 4i − 3i 2
= 4 + 4i − 3(−1)
= 7 + 4i
α + α = (a + bi ) + (a − bi ) = 2a (実数 )
α ⋅ α = (a + bi )(a − bi ) = a 2 + b 2 (実数 )
例題1 次の計算をせよ。
(1) (8 − 2i ) − (6 + 3i )
3
(2)
⎛ − 1 + 3i ⎞
⎟
⎜
⎟
⎜
2
⎠
⎝
(3)
i 2010 + i 7 + i 21
3 + 2i + 3 + 2i
= 3 + 2i + 3 − 2i = 6
(3 + 2i )(3 + 2i )
= (3 + 2i )(3 − 2i ) = 9 + 4 = 13
2−i
2i
−
1 − 2i 3 + i
解答 (1) 与式 = (8 − 6) + ( −2 − 3)i = 2 − 5i
( −1)3 + 3( −1) 2 ( 3i ) + 3( −1)( 3i ) 2 + ( 3i ) 3
(2) 与式 =
8
− 1 + 3 3i + 9 − 3 3i
=
8
8
= =1
8
(4)
数学ⅡB
(3)
与式 = (i 4 ) 502 × i 2 + (i 4 ) × i 3 + (i 4 ) 5 × i
(4)
= 1 × ( −1) + 1 × ( −i ) + 1 × i
= −1 − i + i = −1
2i (3 − i )
2 + 3i − 2i 2 6i − 2i 2 4 + 3i 2 + 6i
(2 − i )(1 + 2i )
=
−
−
−
=
与式 =
5
10
(1 − 2i )(1 + 2i ) (3 + i )(3 − i )
1 − 4i 2
9 − i2
8 + 6i − 2 − 6i 3
=
=
10
5
hm2k0004
第1章
18
式と証明・方程式
x = 2 + i , y = 2 − i のとき,次の値を求めよ。
例題2
(1)
解答 (1)
x+ y
(2)
xy
(3)
x2 + y2
(4) x 4 + y 4
x + y = (2 + i ) + (2 − i ) = 4
(2)
xy = (2 + i )(2 − i ) = 4 − i 2 = 5
(3)
x 2 + y 2 = ( x + y )2 − 2 xy = 4 2 − 2 ⋅ 5 = 6
(4)
x 4 + y 4 = ( x 2 + y 2 )2 − 2 x 2 y 2 = 62 − 2 ⋅ 52 = −14
2 つの複素数が等しいとは実部どうし,虚部どうしが共に等しいときと約束する。
a + 2i = 3 + bi ならば a = 3 かつ b = 2 である。また, (a − 3) + (2 − b)i = 0 なら実部= 0,虚部= 0
より a − 3 = 0 かつ 2 − b = 0
∴ a = 3 かつ b = 2 として求めてもよい。
複素数の相等
α = a + bi β = c + di とするとき
α = β ⇔ a = c,b = d
α =0⇔a=b=0
例題3 (3 − 2i ) x + (4 + 3i ) y = 5 − 9i となる実数 x,y を求めよ。
解答 与式から, (3 x + 4 y ) + ( −2 x + 3 y )i = 5 − 9i したがって, 3 x + 4 y = 5 , − 2 x + 3 y = −9
これを解いて, x = 3 , y = −1
数学ⅡB
hm2k0004
第1章
19
式と証明・方程式
§2 2次方程式の解
次の 2 次方程式を解いてみよう。すぐに因数分解できないので平方完成(perfect square)を使っ
て解くことにしよう。
3 x2 − 4 x − 1 = 0
3 x2 − 4 x = 1
4 ⎞
⎛
3⎜ x 2 − x ⎟ = 1
3 ⎠
⎝
4
4 1 4
x2 − x + = +
3
9 3 9
2
2⎞
7
⎛
⎜x− ⎟ =
3⎠
9
⎝
x−
2
7
=±
3
3
2
7 2± 7
±
=
3 3
3
毎回この平方完成をするのは少し大変。公式のようなものがあると便利なので,2 次方程式
x=
を ax 2 + bx + c = 0 (a ≠ 0) として,公式作りに挑戦してみる。
方法 1
方法 2
( a ≠ 0)
ax 2 + bx + c = 0 b ⎞
⎛
a ⎜ x 2 + x ⎟ = −c
a ⎠
⎝
b
c
x2 + x = −
a
a
ax 2 + bx = −c
4 a 2 x 2 + 4 abx = −4 ac
(2ax + b)2 = b 2 − 4 ac
2
b ⎞
b2
c
⎛
⎜x+
⎟ = 2−
2a ⎠
a
4a
⎝
2ax + b = ± b 2 − 4 ac
x=
− b ± b 2 − 4 ac
2a
=
x+
− b ± b2 − 4 ac
2a
b 2 − 4 ac
4a2
b
b 2 − 4 ac
=±
2a
2a
x=
x=
( a ≠ 0)
− b ± b 2 − 4 ac
2a
( a ≠ 0)
これで a,b,c の値を代入すれば x の値がわかる。上の例では a = 3 , b = −4 , c = −1
とすると
x=
− (−4) ± (−4)2 − 4 ⋅ 3 ⋅ ( −1) 4 ± 28 2 ± 7
=
=
2×3
6
3
と電子レンジでチンするような感じで解凍ならぬ解答が求まる。
数学ⅡB
hm2k0004
第1章
20
式と証明・方程式
b が偶数のときは必ず 2 で割れることから,初めから 2 で割った次のような偶数バージョン
もある。
x=
− b'± (b' )2 − ac
a
b' =
b
2
4 x 2 + 4 x + 1 = 0 を解の公式で解くと, x =
− 2 ± (−2)2 − 4 ⋅1 − 2 ± 0
1
=
=−
4
4
2
2 x 2 + 3 x + 2 = 0 を解の公式に代入すると, a = 2, b = 3, c = 2 だから,
− 3 ± 3 2 − 4 ⋅ 2 ⋅ 2 − 3 ± − 7 − 3 ± 7i
=
=
2⋅2
4
4
2
ここまでで,2 次方程式 ax + bx + c = 0 の解は,
x=
ア
○
a = 3 , b = −4 , c = −1 のとき…2 つの異なる実数
イ
○
a = 4 , b = 4 , c = 1 のとき…1 つの実数(これを重解という)
ウ
○
a = 2 , b = 3 , c = 2 のとき…2 つの異なる虚数
ア ,○
イ ,○
ウ のとき根号内はそれぞれ,+,0,− になっていた。したがって解の種
となった。○
類だけ必要なときは√内の b 2 − 4 ac の符号を見れば事足りることがわかる。そこで b 2 − 4 ac
を判別式といい,discriminant の d を普通大文字にして用いる。
2 次方程式の解
ax 2 + bx + c = 0 (a, b, cは実数) の判別式を D = b 2 − 4 ac とする。
x が実数
x が複素数
D>0
異なる 2 実数解
D>0
異なる 2 実数解
D=0
実数の重解
D=0
実数の重解
D<0
解なし
D<0
異なる 2 虚数解
例題1
解答
2 次方程式 x 2 + (3a + 1) x + 2a 2 + 2 = 0 の解を判別せよ。
x 2 + (3a + 1) x + 2a 2 + 2 = 0 の判別式を D とする。
このとき, D = (3a + 1)2 − 4(2a 2 + 2) = a 2 + 6a − 7 = (a + 7)(a − 1) 。
D > 0 のときは, a < −7 または1 < a
D = 0 のときは, a = −7 または 1
D < 0 のときは, − 7 < a < 1
数学ⅡB
hm2k0004
第1章
21
式と証明・方程式
したがって,
1 < a のとき異なる2実数解
⎧a < −7, ⎪
1
のとき重解
⎨a = −7, ⎪− 7 < a < 1
のとき異なる2虚数解
⎩
実際に 2 次方程式を解かなくても,2 つの解の和と積なら即座にわかる。判別式よりもっと
すごいのが解と係数の関係である。
たとえば x 2 − 3 x + 1 = 0 の 2 つの解の和は 3,積は 1 である。実際に解いてみると x =
3± 5
2
だから,2 つの解を α,β (α < β )
とすると,
⎧
3+ 5 3− 5
+
=3
⎪α + β =
2
2
⎪
⎨
⎞
⎞⎛
⎛
⎪αβ = ⎜ 3 + 5 ⎟⎜ 3 − 5 ⎟ = 9 − 5 = 1
⎟
⎟
⎜
⎜
4
⎪⎩
⎝ 2 ⎠⎝ 2 ⎠
となり,確かに和は 3,積は 1 である。種明かしは簡単で,
2 つの解が x = α , x = β ならば, ( x − α )( x − β ) = 0
∴ x 2 − (α + β ) x + αβ = 0
以上より x の係数と定数項をみれば和と積がわかるしかけである。これを解と係数の関係と
いう。
数学ⅡB
hm2k0004
第1章
22
式と証明・方程式
§3 解と係数の関係
ax 2 + bx + c = 0 の 2 解を α,β とすると,
例
3x 2 + 4 x − 1 = 0
b
c
α + β = − , αβ =
a
a
4
3
α + β = − ,αβ = −
1
3
x2の係数が 1 でないときはその係数で割ることと,和のときはxの係数の符号をかえることで
ある。
x 2 + 3 x + 4 = 0 の 2 つの解をα,βとするとき,次の式の値を求めよ。
例題1
(1)
α+β
(2)
αβ
(3)
α2 + β2
(4)
β α
+
α β
(5)
α3 + β3
解答 解と係数の関係より
(1) α + β = −3
(2) αβ = 4
(3)
α 2 + β 2 = (α + β ) 2 − 2αβ = (−3) 2 − 2 ⋅ 4 = 1
(4)
β α α2 + β2 1
+ =
=
α β
αβ
4
(5)
α 3 + β 3 = (α + β )(α 2 − αβ + β 2 ) = −3(1 − 4) = 9
例題2
2 次方程式 x 2 + 4 x + 2 = 0 の 2 解をα ,βとする。このとき α 2 , β 2 を 2 解とする 2
次方程式のうち, x 2 の係数が 1 であるものを求めよ。
解答 求める方程式は, x 2 の係数が 1 だから ( x − α 2 )( x − β 2 ) = 0 とおける。
式変形すれば, x 2 − (α 2 + β 2 ) x + α 2 β 2 = 0 となる。
ここで, α + β = −4 , αβ = 2 だから
α 2 + β 2 = (α + β )2 − 2αβ = (−4)2 − 2 ⋅ 2 = 12
α 2 β 2 = (αβ ) 2 = 22 = 4
よって,求める 2 次方程式は x 2 − 12 x + 4 = 0
4
2
例題3 x + x − 6 を複素数の範囲で因数分解せよ。
解答 x 4 + x 2 − 6 = ( x 2 − 2)( x 2 + 3)
L①
2
L②
= ( x + 2 )( x − 2 )( x + 3)
= ( x + 2 )( x − 2 )( x − 3i)( x + 3i ) L③
①は整数の範囲
②は無理数の範囲
③は複素数の範囲
での因数分解
数学ⅡB
hm2k0004
第1章
23
式と証明・方程式
§4 剰余の定理と因数定理
実際に計算しなくても求めることができるシリーズの最後は剰余の定理だ。
整式の割り算で,たとえば 3 x 3 − 4 x 2 + x − 6 を x − 2 で
割ったときの余りを求めたい。右のように実際に計算
をすると余りは 4 とでるが,次のように考えると割り
算を実行しなくても余りが出せる。
3 次式を 1 次式でわったときの余りは定数になる。
これを R とする。商は 2 次式になるが,これは Q( x) で
表すことにする。そうすると
3
3x 2
+ 2x
+5
x − 2 3x
3
− 4x
2
+x
3x
3
− 6x
2
2x 2
+x
2
− 4x
2x
5x
−6
−6
5 x − 10
2
3 x − 4 x + x − 6 = ( x − 2) ⋅ Q ( x) + R となり, Q( x) の値
4
いかんにかかわらず両辺に x = 2 を代入すると,
3 ⋅ 2 3 − 4 ⋅ 2 2 + 2 − 6 = (2 − 2)Q (2) + R ,つまり
4 = Q ( x) ⋅ 0 + R となり, R = 4 と求まる。
商は quotient,余りは remainder なので Q( x) ,R の様に表す。となると,もとの整式は P( x) と
注]
表すのが自然だろう。
[○
剰余の定理
P ( x) = ( x − α )Q ( x) + R
整式 P( x) を 1 次式 ( x − α ) で割ったときの余りは R
これを発展させると,P(α ) = 0 なら P( x) は ( x − α ) で割りきれることになる。これを因数定理
という。
因数定理
整式 P( x) が ( x − α ) で割り切れる ⇔
P(α ) = 0
P( x) = ( x − α )Q( x) と因数分解できる
たとえば,P( x) = x 3 − 3 x 2 − x + 3 とすると,P ( x) = ( x − 1)( x + 1)( x − 3) だから,P( x) は ( x − 1) ,
( x + 1) , ( x − 3) で割り切れる。そのため, P (1) , P(−1) , P(3) の値はいずれも 0 になる。実
際,
P (1) = 13 − 3 ⋅12 − 1 + 3 = 0
P (−1) = (−1)3 − 3 ⋅ (−1)2 − (−1) + 3 = 0
P (3) = 33 − 3 ⋅ 32 − 3 + 3 = 0
注
○
整式は integral expression だが,多項式が polynomial expression なので polynomial のイニシャルの p を用い
ていると思われる。
数学ⅡB
hm2k0004
第1章
24
式と証明・方程式
次の例題で確かめてみよう。
次の問いに答えよ。
例題1
(1)
P ( x) = 7 x 3 − 3 x 2 + 6 x − 4 を x + 1 で割ったときの余りを求めよ。
(2)
2 x 3 − 3 x 2 − 5 x + 6 を因数分解せよ。
P( x) を x + 1 で割ったときの商を Q( x) ,余りを R とすれば,P( x) = ( x + 1)Q( x) + R
解答 (1)
とおける。よって, P (−1) = 7 ⋅ (−1)3 − 3 ⋅ (−1)2 + 6 ⋅ ( −1) − 4 = −20 だから,余りは − 20
(2)
P ( x) = 2 x 3 − 3 x 2 − 5 x + 6 とおくと, P(1) = 2 − 3 − 5 + 6 = 0
したがって P( x) は x − 1 を因数にもつ。
よって,P ( x ) = ( x − 1)(2 x 2 − x − 6)
= ( x − 1)(2 x + 3)( x − 2)
例題2
整式 P( x) を x + 1 で割ると 4 余り,x − 2 で割ると 1 余る。P( x) を x 2 − x − 2 で割った
余りを求めよ
解答
x 2 − x − 2 でわった余りは 1 次以下なので,商を Q( x) ,余りを ax + b とおける。この
とき, P ( x) = ( x 2 − x − 2)Q ( x) + ax + b
= ( x + 1)( x − 2)Q ( x ) + ax + b
また,条件より P ( −1) = − a + b = 4 L ①
P (2) = 2a + b = 1L ②
①,②より a = −1 , b = 3
よって求める余りは − x + 3
数学ⅡB
hm2k0004
第1章
25
式と証明・方程式
§5 高次方程式
3 次以上の方程式を高次方程式というが,ここでは 3 次方程式と 4 次方程式を扱うことにす
る。残念ながら高校の数学の範囲では,すべての 3 次・4 次方程式を解くことはできない。(し
たがって解けるものだけしか出題されない)
x 3 = 1 を解いてみよう。
x3 −1 = 0
( x − 1)( x 2 + x + 1) = 0
x = 1, x =
− 1 ± 3i
2
ところで,この方程式の解は,しばしば ω という文字を用いて表現される 。 ω (オメガ)は
ギリシア文字最後の 24 番目の文字である。この解にはおもしろい性質があり,
ω=
− 1 + 3i
とすると(どちらをωにしてもよい。
)
2
− 1 + 3i 2 − 2 − 2 3i − 1 − 3i
となり,
共役な複素数であるもう 1 つの解になる。
) =
=
2
4
2
ω の性質をまとめると
ω2 = (
ω の性質
ω 3 = 1 ω 2 + ω + 1 = 0
ω 2112 + ω 9 + ω 3 = (ω 3 ) 704 + (ω 3 ) 3 + ω 3 = 1 + 1 + 1 = 3
ω 1974 + ω 11 + ω = (ω 3 ) 658 + (ω 9 )ω 2 + ω = ω 2 + ω + 1 = 0
次の方程式を解け。
例題1
(1)
x3 − x2 − x − 2 = 0
(2)
x4 + 5x2 + 9 = 0
(3)
x4 + 4 x3 + 5 x2 + 4 x + 1 = 0
解答 (1)
P ( x) = x 3 − x 2 − x − 2 とおくと,
(1)は因数定理を用いる。
P (2) = 8 − 4 − 2 − 2 = 0 より,
P ( x) = ( x − 2)( x 2 + x + 1)
(2)
∴ x = 2,
この方法が一般的であ
− 1 ± 3i
2
x 4 + 5 x 2 + 9 = ( x 2 + 3)2 − x 2 = ( x 2 + x + 3)( x 2 − x + 3)
となるから与式の解は
x=
− 1 ± 11i 1 ± 11i
,
2
2
る。
(2),(3)は特別なケース。
(2) は x 2 = 0 と お い て も
因数分解できないので,
○ 2 − △ 2 の形 にもちこ
み,和と差の積に因数分
解する。
数学ⅡB
hm2k0004
第1章
26
式と証明・方程式
x4 + 4 x3 + 5 x2 + 4 x + 1 = 0
x = 0 を上式に代入すれば, 左辺 = 1 となり,
(3)は係数を並べると 1,4,5,
この方程式は x = 0 を解にもたない。よって
な方程式は相反方程式とよば
(3)
2
2
4,1 となっている。このよう
x ≠ 0 だから,両辺を x で割ると
4 1
x2 + 4x + 5 + + 2 = 0
x x
て 2 次方程式にもちこむこと
これを式変形していくと,
により解ける。
x2 +
れ, x 2 で割り x +
1
= t とおい
x
1
1⎞
⎛
+ 4⎜ x + ⎟ + 5 = 0
2
x⎠
x
⎝
2
1⎞
1⎞
⎛
⎛
⎜ x + ⎟ + 4⎜ x + ⎟ + 3 = 0
x
x⎠
⎝
⎠
⎝
ここで, x +
1
= t とおくと, t 2 + 4t + 3 = 0 となる。よって, (t + 3)(t + 1) = 0
x
t = −3 のとき, x +
よって, x =
−3± 5
2
t = −1 のとき, x +
よって, x =
1
= −3 だから x 2 + 3 x + 1 = 0
x
1
= −1 だから x 2 + x + 1 = 0
x
− 1 ± 3i
2
高次方程式
高次方程式:3 次以上の方程式
① P( x) = ( x − α )( x − β )( x − γ ) = 0 ならば, x = α , β , γ
② 複 2 次式は○2 − △2を作り因数分解
③ 4 次の相反方程式は x +
例題2
1
= t とおき 2 次方程式
x
実数を係数とする方程式 x 3 + ax + b = 0 の 1 つの解が x = 1 + 3i のとき a,b の値お
よび他の解を求めよ。
解答
x = 1 + 3i が解ならば, x = 1 − 3i もこの方程式の解である。
x = 1 ± 3i より x 2 − 2 x + 4 = 0 となり,もうひとつの解をαとすると
x3 + ax + b = ( x − α )( x 2 − 2 x + 4) とかける。
( x − α )( x 2 − 2 x + 4) = x 3 − (α + 2) x 2 + (4 + 2α ) x − 4α だから,係数を比較して
数学ⅡB
hm2k0004
第1章
27
式と証明・方程式
⎧0 = −α − 2
⎪
⎨a = 4 + 2α
⎪b = −4α
⎩
これより, α = −2 , a = 0 , b = 8
以上より, a = 0 , b = 8 で,他の解は − 2, 1 − 3i
3 次方程式にも解と係数の関係があり,
( x − α )( x − β )( x − γ ) = x 3 − (α + β + γ ) x 2 + (αβ + βγ + γα ) x − αβγ
= x 3 + px 2 + qx + r
このとき, α + β + γ = − p, αβ + βγ + γα = q, αβγ = − r
これを使うと,前例題の x 3 + 0 x 2 + ax + b = 0 において,残り 1 つの解を α とすると,
(1 + 3i ) + (1 − 3i ) + α = 0 がいえるので, α = −2
また, (1 + 3i )(1 − 3i ) + (1 − 3i )(−2) + (−2)(1 + 3i ) = a となり, a = 0
さらに, − (1 + 3i )(1 − 3i )(−2) = b となり, b = 8 となる。
解と係数の関係を用いてもう 1 つ解いてみよう。
例題3
解答
x 3 − (2a + 1) x + 2a = 0 が 2 重解をもつとき a の値を求めよ。
P ( x) = x3 − (2a + 1) x + 2a とおくと,P (1) = 1 − 2a − 1 + 2a = 0 より 3 次方程式 P ( x ) = 0 は
ア 1,1,α
x = 1 を解にもつ。問題文の条件から P( x) の解は,○
イ
○
1, β , β
のいずれか。
ア
○
1,1, α のとき
解と係数の関係から,1 + 1 + α = 0 よって α = −2
このとき1 ⋅1 ⋅ (−2) = −2a より, a = 1
イ
○
1, β , β のとき
解と係数の関係から,1 + β + β = 0
よって β = −
1
2
1
⎛ 1⎞ ⎛ 1⎞
このとき 1 ⋅ ⎜ − ⎟ ⋅ ⎜ − ⎟ = −2a より, a = −
8
⎝ 2⎠ ⎝ 2⎠
以上より, x 3 − (2a + 1) x + 2a = 0 が 2 重解をもつときは a = 1, −
数学ⅡB
1
8
hm2k0004