地域連携室便り 第9号 - 医療法人 雄心会

かわら版
寝たきり“ゼロ”への10箇条
リハビリテ-ション科
1. 脳卒中と骨折予防・・・寝たきり“ゼロ”への第一歩
長期間ベッド上で安静にしていると、元のように動けるように
なるには、相当のリハビリと根気が必要になります。
まずは予防することが大切です。
2. 寝たきりは寝かせきりから作られる“過度の安静逆効果”
一度体調を崩すと、ベッド上で過度の安静生活をしがちです。
自分から動きたがらない人には、医療者・家族からの働きかけ
が必要です。
3. リハビリは早期開始が効果的“始めようベッド上から訓練を”
寝たきりは、病気そのものだけでなく関節が硬くなり、筋力が
低下したり、呼吸が悪くなったりして悪環境を作ります。
そうならないためにも訓練は早期からの介入が必要になります。
4. 暮らしの中のリハビリは“食事と排泄、着替え”から
自分で出来ることは、出来るだけ介助者が手を出さず、本人に
やってもらうことが家庭におけるリハビリの基本です。
食事に関しては使いやすい食器の工夫、食事をするときの体位
の工夫、排泄に関しては尿意・便意のある方は可能な限りトイ
レかポータブルトイレへ。
着替え・整容ではボタンのかけはずし、髪を櫛でとかすなど
高齢者に応じたリハビリを考えることが大事になります。
5. 朝起きて着替えて身だしなみ、寝・食分けて“生活にメリハリを”
人間には時間による生活のリズムが必要です。ベッド上で一日
生活していると、昼夜逆転などの傾向に陥りやすく、精神的にも
衰えてきます。生活にメリハリをつけるためにも、決まった時間
に目覚め、衣服を着替え、顔を洗いベッドから離れることが大事
となります。
6.“手は出さず、目は離さず”が基本、自立の気持ちを大切に
自分で出来ることは手をださず時間がかかっても自分でするよう
に介助者は援助しましょう。
しかし、転倒などの事故防止のため、注意は必要です。
7. ベッドから移ろう移そう車椅子へ
ベッド上生活という狭い空間から、行動範囲を広げましょう。
8. 手すりをつけて段差をなくし住みやすく“アイデア生かした住まいの活用”
9. 家庭でも社会でも喜びを見つけ、みんなで防ごう閉じこもり
痴呆の誘因は、閉じこもり引きこもりが大きく影響しています。
家族との会話・食事・家庭での役割を持つこと、デイサービス・
デイケア・外来リハビリなど人と関わることで防ぐことができます。
10. 進んで利用、機能訓練・デイサービス、寝たきりなくす人の和、地域の輪
地域医療連携
だ よ り
日本医療機能評価機構認定病院
医療法人 雄心会
函館新都市病院
地域医療連携係
〒041-0802
函館市石川町331番地1
TEL 0138-46-1321
FAX 0138-46-1351
(連携係)
http://www.yushinkai.jp/
平成21年10月1日発行
沖縄県は長寿国で
無くなった
院長 青野 允
少し前、91 歳女性の患者さんの手術の麻酔を行った。
(麻酔科)
無事手術を終えて、翌日患者さんの病室を訪れた。既に元気になられて
いた。そのまた翌日、再度の術後回診の時、ご本人は新聞を読まれていた、それも眼鏡なしで
ある。少し話した後に、彼女は眼鏡なしでは小さい字を読めないという見舞いに来た娘さんと
私に向かって、
“私の世代は長生きしているが、今の若い人はそうは行かない”と話された。こ
の見識に驚いた私は、
“日本で最も長寿の国沖縄県がトップの座から降りた”とうい報告を思い
浮かべた。
終戦後、沖縄は不幸にも米軍の占領地となって、1972(昭和47)年に日本返還された。
すなわち占領と同時にアメリカ駐留軍とその家族が移住したために、欧米型の生活習慣が日本
本土に先行して広まり、現在では全国一の肥満者が多い県となった。また、各種統計でも高血
圧、耐糖能異常(糖尿病)、高脂血症、低HDL血症(いわゆる善玉のコレステロール低値)な
どの頻度が全国平均と比べて高く、これと平行して、男性の平均寿命(正確には、今年生まれ
た子が死ぬまでの年齢:平均余命)が 2000 年には全国で 26 位にまで落ちた。 それでも 2006
年までは高齢者の平均余命は全国一位であるため、若年者に増加している肥満やメタボリック
シンドロームによって、長寿が損なわれつつあると考えられる。
沖縄県住民はほぼ同じ遺伝子背景を有しているのに、長寿と非長寿が共存していることから、
普段の生活習慣がどんなに大切かを明白に私たちに示している。これを沖縄のある医師が「3
C」が足を引っ張ったと表現した。3Cとは、コレステロール(高脂血症)、シガレット(タバ
コ)とカー(車に乗って、運動不足)である。
あの北海道日本ハムファアイターズでめきめきと成績を上げてきた糸井選手がお立ち台でそ
の“好調の原因は”と聞かれて、
“規則正しい生活です”と誇らしげに答えた。私は心から喝采
をおくった。
政府は、40歳から 74 歳までの国民に、いわゆるメタボ健診を奨励しているが、成果は思わ
しくない。まず健診を受けて、自分の体の状態をよく知った上で、規則正しい生活をしましょ
う。世界中は今、まさにインフルエンザ騒ぎ真最中。ワクチンも勿論大切ですが、それより前
にインフルエンザに負けない身体を作るように心がけましよう。
分かりやすく言えば、「早寝、早起き、腹八分目そして禁煙」です。
脳神経外科
循環器内科
循環器とは、心臓と血管から構成されており、血液が循環
されることにより、このしくみの中を酸素と栄養分が全
身の組織に運ばれ、組織からは老廃物が運び出されます。
循環器疾患を防ぐために「高血圧」や「動脈硬化」を予
防しましょう。
日
理事長
伊藤 丈雄
科長
加藤 孝顕
脳血管内治療
センタ-長
真鍋
宏
医長
原口 浩一
医師
外山 賢太郎
郎
副院長
佐藤 正敏
医長
長嶋
脳卒中は突然、発作が起こるケースが多いのですが、前ぶれの軽い症状として、次のような
自覚症状がある場合には注意しましょう。
脳神経外科疾患の主な症状
頭痛・吐き気
め
耳
ま
鳴
い
り
:
:
:
頭痛はいろんな原因で生じますが急に生じた頭痛で、特に"普段経験したこと
のない強い痛み"の場合には要注意です。頭痛が強い場合には頭痛に伴ってはき
け(嘔気・嘔吐)を伴う場合が多いです。
めまいには回転性めまい(景色がくるくる回って見える)
、浮遊感(船に乗っ
たようにゆらゆらする)などがあります。急に生じためまいでは嘔気・嘔吐を
伴うことが多いです。めまいの原因にはいろいろあり、脳卒中が原因の場合は
一部です。しかし、急に生じためまいでは脳卒中が原因である可能性がありま
す。特に、手足のしびれや脱力、物が二重に見えるなどの症状を伴っている場
合にはめまいの症状が軽微でも要注意です
年齢とともに耳鳴りを経験される患者さんが多くなります。セミの鳴き声の
ように小さな音である耳鳴りは加齢現象で生じる場合が多いようです。脈拍に
一致してザクザクあるいはザーザーという大きな耳鳴りが生じた場合には動
静脈瘻という病気が原因である場合があります。
循環器疾患の主な症状
高
動
し び れ ・ 脱 力 :
し ゃ べ れ な い :
物が二つに見える:
物が見えにくい
:
顔とか右あるいは左の片側の手足の感覚がなくなる(しびれ)
、右あるいは左
の片側の手足の力がぬけてしまう(脱力、まひ)が急に出現した場合には脳卒
中発作を第一に考える必要があります。例えば、無意識に手にもったものを落
としてしまうことや上手に歩けないことで、脱力やまひに気付くことがよくあ
ります。
舌や口の周りの筋肉の麻痺によって呂律が回らなくなることです。
片目ずつではちゃんと見えるが、両目で見るとものがだぶって二つに見えると
いうことが急に生じた場合には、眼科的な病気よりは脳卒中など脳に原因があ
る場合が多いようです。
視野(視界)の半分が急に見えにくくなる(視野障害)や急に片側の目が真っ暗
になり見えなくなる(黒内障)場合には脳卒中が原因である場合があります。
視野障害の場合は大脳(後頭葉)の視覚中枢の障害、黒内障の場合には大脳を栄
養する内頚動脈の枝である眼動脈の血流障害が原因で生じます。
血
脈
圧
硬
:
自覚症状がない場合が多く、健康診断や病院へ行った時にたまたま血圧を測っ
てわかることが多く頭痛、めまい、耳鳴り、肩こり、動悸などは血圧が高くな
り始めた初期で、ある程度の期間持続するとこれらの症状が軽減したりなくな
ることもあります。塩分の過量摂取や生活習慣により発症します。
化 :
動脈硬化は目に見えない老化で、一見元気そうな働き盛りの人を襲います。
足の血管は心臓から最も遠い位置にあるのでつまりが途中にあると歩行中の
痛み(間歇性跛行)が生じます。
全身の動脈硬化、閉塞性動脈硬化症の早期発見に有効で、特に糖尿病の足の壊
疽の予防に重要です。
冠 動 脈 疾 患 : 狭心症と心筋梗塞をまとめて冠動脈疾患と呼びます。働き盛りの過労死、突然
死が現代病として問題となっていますがその7割は心臓病によるといわれて
います。心臓自身の血管である冠動脈がつまって起こる心筋梗塞が原因です。
また、年齢とともに増加するので高齢者の心臓病としても重要です。特に要注
意は高血圧、タバコ、コレステロール、糖尿病を持つ人、また性格的には責任
感の強い、せかせかタイプの人です。
不
意 識 を 失 う : 急に目の前が真っ暗になり、気を失なった場合には脳と心臓の両方に原因が
ある可能性があります。脳に原因がある場合では頚部や頭蓋内の太い血管が細
くなったための脳貧血で生じる場合があります。心臓に原因がある場合には不
整脈(脈の乱れ)にて生じる場合があります。
健一郎
整
脈
:
不整脈のうち最近増加しているのは、心房細動や心室期外収縮です。動悸や
めまいなど突然不快な症状を起こして人々を悩ませます。
失神を繰り返す重症不整脈には人工ペースメーカ植込みが必要なことがあり
ます。
当院ではこの植込み、バッテリー交換を行っています。
当院で行っている主な循環器検査および治療
★ 心電図(運動負荷、24 時間ホルター)
★ 心エコー
★ 冠動脈CTA検査
★ 心臓カテーテル検査(冠動脈造影、右心カテーテル)
★ ABI(動脈硬化度測定)
★ 経皮的冠動脈形成術(PCI)
★ ペースメーカー移植術