現代ビジネス用語辞典(その2、肩書き集) - 栄泰産業株式会社

#0834、2008年10月5日
今週の話題
現代ビジネス用語辞典(その2、肩書き集)
私の趣味のひとつは幕末明治期の歴史資料の発掘ですが、明治期の文書を見
ていて、政府や企業の組織の中で、課長、掛長(かかり長と読む)、主任は見か
けますが、部長という肩書きはほとんど見たことがありません。おそらく大正か
昭和初期にできた名前なのでしょう。社長はかなり初期からありました。その昔
は、会社の社員というのは、出資して経営に参加する人のことで、今でいう社員
は雇われた従業員のことでした。(今でも商法上は変わっていないかもしれませ
ん。)社長は、株主である社員の中から互選で選ばれることになっていました。
一人の起業家が自分の資金で会社を興す場合は、形式的には上記の手続きを踏む
にしても、実質的には会社のオーナー兼社長でした。
20世紀も後半になると、日本経済の急成長に伴い、企業組織は複雑になり、
上場する企業も増えました。そのためかどうかわかりませんが、新しい組織や役
職が次々と創設される事態となりました。現在では一般的になっていますが、事
業部長、本部長、会長などは、案外新しい職責なのです。最近では社内カンパニ
ー制の社長などという、わけのわからない肩書きもあります。これだけ肩書きを
増やしても足りないのか、副、代理、補佐、心得などというサフィックスもたく
さんあみ出されています。
ちょっと気になった例を上げてみます。
CEO(Chief Executive Officer)
実質的に社長と変わらない。米国なら雇われ社長で、業績が悪いと簡単にすげ
替えられる。日本ならば従業員から年功序列で上り詰めたエリート社員が定年を
何年か延長できるポジション。会社で大きな不始末があっても、頭を下げれば退
職金を満額もらって円満退職できる。
CFO(Chief Financial Officer)
要は経理部長のこと。会社の実務など知らなくても、金勘定が多少わかるとな
んとかこなせるので、金融関係に勤めた経験者にとっては、あこがれの職責。上
場企業で一度 CFOになると箔が付くので、米国では会社から会社へと渡り歩
いて高給とストックオップションをさらっていく。どういうわけか、 CFOが
活躍すると会社の採算は悪くなる。
上級副社長(Senior Executive Vice President)
大会社が副社長を作り過ぎてしまった時に、何とか差を付けるために、苦し紛
れに創設した肩書き。もう能力的には限界の人のためのポジションなので、さら
に昇進して社長になる可能性は小さい。当然のことながら代表権などはない。米
1
国の上場企業ならば、株主の役員会に出ることさえ許されていない。昔の日本企
業ならば、嘱託の顧問。ただし給与は高い。
執行取締役(Director)
従来の日本企業の取締役が、本当は株式会社の役員ではなく、一従業員に過ぎ
ないことを明確にするために付けた接頭語。ただ、その企業で長年仕事をしてき
た経験があるので、実務には強い。
ステラテジスト(Strategist)
金融証券関係の企業にのみある市場予測を専門にする職責。そのまま日本語に
翻訳すれば戦略家ということになるが、会社がその予測で動くわけではない。や
っていることは、競馬場で封筒に入った情報を売っている予想屋さんとあまり変
わりはない。「大穴だよ。」というので買ってみると、内容は月並みなことが多
い。ただ彼らのレポートと給与ははるかに高額。
支配人(General Manager)
企業がよその国に支店やオフィスを置くに際して、現地の責任者としての職責。
日本企業ならば、社内の課長クラスを送り込むが、現地の言葉ができないので、
実務は現地の日本のできるスタッフに任せきり。米国企業ならば、現地で、実務
はともかく英語の出来る人間を雇い入れる。いずれにせよ、主要な業務は、本社
から訪れる社員のガイド役。会社の実務には疎いが、現地のレストランやゴルフ
コースについては一言あり。
考えてみたら、弊社は社長と平社員がいない変な会社でした。他所の評論など
していたら、世の中の流行に置いていかれているようです。
沼倉研史
DKN リサーチ
イベントスケジュール(DKNリサーチ関連)
1.
2008年10月22日 TPCA Show 2008, Taipei/Taiwan,
3rd IMPACT (International Microsystems, Packaging, Assembly and
Circuits Technology Conference) and the 10th EMAP (International
Conference on Electronics Materials and Packaging)
Presentation “Advanced Screen Printing Process” -Practical
Approaches for Printable & Flexible Electronics- by Dominique
Numakura
2.
2008年11月14日、 日本印刷会館、東京都中央区新富 1-16-8
2
日本印刷学会主催、2008 年度E&S研究会セミナー、スクリーン印刷の
フレキシブルエレクトロニクスへの応用
「スクリーン印刷によるプリンタブルエレクトロニクスの実用化」
沼倉研史
今週のヘッドライン
10月5日
1. サムスン電子(韓国エレクトロニクス最大手)9/18
フラットテレビ販売の増大に対応するために、2008年は、台湾からの
液晶パネルの購入を44%増やす計画。
2.
Seagate(米国HDDメーカー最大手)9/25
コスト削減のため、北アイルランドのアルミニウム・サブストレート工場
(従業員1000名)を閉鎖へ。生産業務はマレーシアへ移管。
3.
Gigabyte (台湾マザーボードメーカー大手)9/26
グランド層と電源層に2オンスの厚い銅箔を使った、高信頼性
マザーボードを発表。低い発熱量と高い放熱性。
4.
DIGITIMES (台湾の業界メディア)9/26
液晶パネルメーカーが、第3四半期に減産体制を取ったために、
ドライバICメーカーの在庫が増大。生産調整が必要な状況に。
5.
Enlight(台湾のPC用筐体メーカー)9/26
中国における人件費、材料、諸経費の高騰のため、予定していた新工場の
建設を無期延期。月あたり、5千万台湾ドルの赤字を予想。
6.
Brantham(英国のEMSメーカー)9/26
プリント基板組立工程のウェーブソルダー装置から出るはんだ酸化物を
再生する装置を設置。これまでは廃棄物として処理。
7.
Sanmina-SCI(米国のEMS大手)9/26
以前に操業していたフランスの Nord-Cotentin で、再度生産を行うことで、
地元政府と合意。150万ユーロを投資の計画。
8.
Carat Electronics(ブルガリアの機器メーカー)9/26
電気メーター製品の組立てのために、2番目のプリント基板表面実装
ラインを設置。年産でプリント基板5千万枚の実装能力。
9.
LG Micron(韓国の基板メーカー大手)9/29
LG電子系の電子部品メーカーの LG Innotek 社を年末までに合併。
グループ全体の効率化を期待。
3
10.
IPC(米国の基板業界団体)9/29
8月の北米プリント基板業界のB/Bレシオは0.01上がって
0.95。硬質基板は0.95、フレキシブル基板は0.90。
11.
Tyco Electronics(米国の部品、基板メーカー大手)9/29
Radio Frequency 部品とそのサブシステムの事業を、Cobham グループの
防衛システム事業部に売却。
12.
SKM Leiterplatten(オーストリアの基板メーカー)9/29
最近の需要低迷により、資金繰りが困難になり、倒産。従業員80名。
負債は約550万ユーロ。
13.
Flextronics(シンガポールのEMS大手)9/29
ルーマニア、Timisoara の子会社 AdoptSMT Romania 社の基板組立能力を
上げるために、新たに6モジュールの Fuji QP 242E を発注。
14.
Propartner(ノルウェーのEMSメーカー)9/30
倒産の申請。CEOは操業と雇用を継続するために、オーナーが
バイアウトすることを期待。
15.
Essemtec(ヨーロッパの実装装置メーカー)9/30
中国国内のユーザーのSMT実装装置のトレーニングを行うための
技術センターを蘇州に開設。
16.
Falcon PCB Group(ヨーロッパの基板ディーラー)9/30
英国のフレキシブル基板メーカーの老舗、MBM Flexible Circuits 社を
買収。今後は Merlin Flexible Circuits 社と社名を変更の予定。
17.
DIGITIMES(台湾の業界メディア)9/30
カナダと日本のスマートフォンメーカーから、高密度多層基板の
大口注文があり、大手メーカーの稼働率は改善。
3+n+3、4+n+4が主体。マージンが大きく、採算改善に寄与。
18.
3M(米国電子材料メーカー大手)10/1
接続ギャップが2mmの
新しい薄型ボード・ツー・ボード・スタッキングコネクタを発売。
19.
Liquavista BV(英国のヴェンチャー企業)10/1
フルカラーのフレキシブルディスプレイの実用化に目処。
12百万ポンドの予算で、次世代の技術を開発へ。オランダの
4
フィリップス社が開発した技術を活用。
20.
Assembleon(オランダの装置メーカー)10/2
世界的にプリント基板用表面実装装置の需要が減退してきており、
その対応として、全社で510〜720名を整理する計画。
21.
DIGITIMES(台湾の業界メディア)10/2
台湾のNCドリリング用ドリルビット市場は、日本メーカーのユニオン
ツールと台湾地元メーカーとが厳しく競合。この状況は2009年まで
持ち込まれる見込み。
(注)このヘッドライン・ニュース・レターは速報性を重視するために、若干の
誤訳や数字の変換に誤りがある場合もございます。ご了承下さい。
DKNリサーチ
栄泰産業株式会社
最近の興味深い文献から
Articles of DKN Research
1. “Screen Printing for High-Density Flexible Electronics”, Robert
Turunen, Masafumi Nakayama and Dominique Numakura, Printed Circuit FAB,
October, 2007, http://pcdandm.com/cms/content/view/3846/95/
2. 「印刷法による高密度多層フレキシブル•エレクトロニクス回路の総合加工プ
ロセス技術」沼倉研史、電子材料、 2007年10月号、 工業調査会、
“Total Process Solution for the High-Density Multi-layer Flexible
Printable Electronic Circuits”, (Japanese only) Dominique Numakura,
Denshi Zairyo, October, 2007
3. New 「ロール・ツー・ロール(RTR)によるフレキシブル基板の製造可能
性と課題」沼倉研史、2008年3月、情報機構
“Roll to Roll Production of Flexible Circuits, Possibilities and
Issues” Dominique Numakura, Joho Kiko, Tokyo, March 2008 (Japanese
only)
4. “Coombs’ Printed Circuits Handbook, 6th Edition, Part 15-Flexible
Circuits”, Dominique Numakura, McGraw Hill, New York, September, 2007
5
5. New “Screen Printing Process for High Density Flexible Electronics”,
Robert Turunen, Dominique Numakura, Masafumi Nakayama and Hisayuki
Kawasaki, IPC Printed Circuit Expo/APEX and the Designers Summit, April
2008.
6. New “Global Flexible Circuit Industry, Market Trends and Technology
Trends by Applications”, Dominique Numakura, International Symposium of
KPCA Show, April, 2008 (English power point file is available.)
7. New 「高精度多層印刷技術の動向と部品内蔵基板への展開」(沼倉研史)
Electronic Journal 第 183 回 Technical Symposium, 「極薄・超高密
度実装技術★徹底検証」
From the Major Industry Magazines
1. “PCB and Package Convergence”, Per Viklund, CircuiTree, September
2008.
2. “Cutting Machine Programming Time”, Edward Faranda, Circuits
Assembly, August 2008.
3. “Innovation – Design Focus Redefined”, Rob Evans, SMT, August 2008
4. “Product Development Challenges in a GLOBAL MARKET”, John Isaac,
Printed Circuit Design & FAB, August 2008.
5. “Advanced Micro Imaging of Gold-gold MEMS Wafer Bonds”, Tom Adams
and Kevin Turner, Advanced Packaging, July, 2008
6.“Microflex Circuit Applications for Medical Devices”, Luke Volpe, MD
& DI Magazine, January 2008
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