第 32 回兵庫医科大学卒業式 祝辞 本日、兵庫医科大学第32回卒業式

第 32 回兵庫医科大学卒業式
祝辞
本日、兵庫医科大学第32回卒業式を迎え、104名の卒業生の皆様、保護者
の皆様、ご家族の皆様、誠におめでとうございます。
保護者の皆様方の長年のご苦労が、こうして本日のご卒業と言う形で、実を結
びました。感無量のことと存じます。
ご卒業される皆さんに兵庫医科大学後援会を代表して、
また先輩の 1 人として、
2 点、お話をさせていただきます。
1点目は、これからの研修の事です。今、医師国家試験が終わり、ほっと一息
ついておられると思います。卒業記念旅行をされた方も多いと存じます。
しかし、この4月からは2年間の前期研修が始まります。兵庫医大の学生の皆
さんは、優しい性格をお持ちの一方、人と競う覇気が少ないと、わたしは感じて
います。これから始まる研修では、
「大学の講義のように」座って待っていたら知
識が与えられると言う受身の姿勢でなく、自分から取りに行くといった積極的な
態度が必要です。ご存知のように 2004 年から、
「新臨床研修制度」が始まりまし
た。この制度は、医師の臓器別の専門性が高まった一方、患者さんの全体像を診
る力が足りないとの反省に立って作られました。この制度の根本は「優秀な医師
を育てよう」と言う事です。今この制度を含め、医療に関する議論が起こり迷走
していますが、医療崩壊なるものは、基本的には日本社会の高齢化にそもそも国
の対応が遅れたためではないでしょうか?色々な議論はさておき、皆さんには、
今の臨床制度の根本や理念を理解していただきたいと思います。以前に比べ給料
も保証され、勉強するには十分な環境が作られているのですから、それぞれの分
野を貪欲に学んで下さい。さまざまな苦労もしっかり受け止めて下さい。卒業後
の数年間の頑張りは、後々になって皆さんの実力の源にきっとなります。
さて、2点目は、感謝の気持ちです。皆さん方がこの大学で勉強できたのも、
保護者の支援と、国からの医学部に対する助成があったからです。1 人の医師を育
てるのに約1億円のお金がかかると言われています。本日こうして卒業できたの
も、高額な学資を出してくれた保護者がいたことを、決して忘れてはなりません。
自分に恵まれた環境が与えられた事を感謝し、今後は、恩返しの意味を含め、社
会に役立つよう、世の光になることを目指し精進して下さい。
最後になりましたが、6 年間厳しく、また暖かくご指導していただきました、大
学の先生方、職員の皆様方、本当にありがとうございました。お蔭さまで、今日
この日を迎えられましたことに心より感謝申し上げます。これからも、引き続き
若い先生方のご指導をよろしくお願い申し上げます。
卒業生の皆様、皆様方がすぐれた研究者や医師として、今後、大きく羽ばたか
れますよう祈念し、私の祝辞と致します。本日は誠におめでとうございます。
平成 21 年 3 月 5 日
兵庫医科大学後援会会長 池添逸夫