関係部署にご回覧ください 編集・発行 三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング株式会社 2010.12.22 第 1033 号 SMBC経営懇話会 TEL:フリーダイヤル 0120-7109-49 FAX:(03)5211-6394 URL:http://www.smbc-consulting.co.jp - 主要シンクタンクの 2011 年度経済見通し - 12 月 9 日に内閣府より発表された 2010 年 7-9 月期GDPの 2 次速報値を受け、民間の主要シンクタ ンクがわが国の 2011 年度GDP成長率予測値の改訂を行いました。概要とその背景は下記の通りです。 ◆主要シンクタンク各社の予測値は、実質GDP成長率が+0.3~+1.6%、名目GDP成長率が▲0.5 ~+0.8%と広範囲に分布したものの、実質GDP成長率を+1.0%程度、名目GDP成長率を+0.4~ +0.5%と予測する見方が大勢です。 ◆日本経済の現況は、輸出の減速と政策効果の剥落で停滞感があるものの、海外経済の回復や円高 の是正に伴い輸出の伸びが高まること、反動減の影響一巡により個人消費も持ち直すことから、 2011 年度は緩やかな回復軌道に戻るというのがメインシナリオとなっています。 1.わが国経済の中心的な見通し 主要シンクタンク各社の見通しを総括すると、2010 年度後半の日本経済は、 (1)海外経済の減速によ る輸出の鈍化、(2)政策効果の剥落、(3)既往の円高進行などを背景に減速する見込みです。 そして、2011 年度に入ると、 (1)中国経済の自律的回復を背景にわが国の輸出は拡大傾向を辿り、 (2) 反動減の影響一巡により個人消費も増加に転じることから、4-6 月期は景気に停滞感が残るものの、その 後国内景気は再び上向いていくと予想しています。 2.輸出 - 海外経済の動向 シンクタンク各社が共通して指摘する、今後の日本経済の鍵は海外経済の動向です。 多くのシンクタンクによると、 「世界経済の牽引役と期待される中国をはじめとするアジア経済は自律 的回復をみせる」と予想しています。 また、みずほ総合研究所、第一生命経済研究所は、 「足元で米国経済において景気の減速傾向に歯止め がかかりつつあることを示唆する複数の経済指標が発表されたことは明るい材料」と解説しています。 (次頁に続く) (1033-2/2) 3.内需 - 雇用・所得環境 多くのシンクタンクが予想するメインシナリオは下記の通りです。 すなわち、 「2010 年度 10-12 月期から 2011 年度 4-6 月期にかけてはエコポイント制度終了、家電販売 の反動減により景気は足踏みの状態」が続きます。一方で、 「海外経済の回復を背景にわが国の輸出は拡 大傾向を辿ることから、年後半以降は設備投資や雇用・消費の回復も期待できる環境になる」と予想し ています。 さらに、ニッセイ基礎研究所の分析によると、 「住宅投資は長期にわたり低迷が続いてきたものの、こ のところ持ち直しの動きとなっており、住宅版エコポイント制度が当初予定の 2010 年末から 2011 年末 まで延長されることとなったため、当面の住宅投資を下支えする」と説明しています。 4.リスク要因 全体的に楽観的な見通しを示すシンクタンクが多い中で、日本総合研究所は、 「2011 年度は耐久財購入 刺激策などのプラス効果が剥落し、日本経済の脆弱さが浮き彫りになる局面」と予想しています。 厳しい予想の根拠は、(1)アジア・新興国向け輸出の回復が遅れること、(2)景気刺激策の反動減 が現れること、(3)内需の回復力が脆弱にとどまること、の3点です。 要するに、海外経済の回復が遅れると、わが国の輸出・生産から所得・支出へ波及するメカニズムが 弱まるリスクが存在するということでしょう。また、日本総合研究所は、 「円高による輸出競争力の低下」 もリスク要因の1つと指摘しています。 それ以外には、大和総研は、「中国など新興諸国は、先進国の金融緩和を背景にしたマネーが流入し、 商品価格は高騰、インフレにより景気が腰折れする可能性」等もリスク要因として指摘しています。 図 表 2011年 度 日 本 経 済 の 見 通 し (前期比年率、%) 実質GDP 寄 与 度 個人消費 住宅投資 設備投資 在庫投資 (寄与度) 政府消費 公共投資 内 需 寄与度 名目GDP 外 需 寄与度 ニッセイ基礎研究所 1.6 0.7 5.1 4.0 - 0.6 ▲ 1.8 (1.3) (0.3) 0.8 みずほ総合研究所 1.4 0.2 7.6 3.9 (0.3) 0.9 ▲ 4.0 (1.2) (0.2) 0.5 日本経済研究センター 1.3 0.3 5.9 3.8 - ▲ 3.4 (1.0) (0.3) 0.1 三菱総合研究所 1.0 ▲ 0.1 4.3 3.6 (0.1) 1.1 ▲ 9.5 (0.6) (0.4) 0.4 大和総研 1.0 0.3 2.3 1.3 - 0.9 ▲ 6.0 (0.6) (0.4) 0.4 第一生命経済研究所 1.0 0.0 8.3 3.4 (0.1) 0.7 ▲ 2.9 (0.7) (0.3) 0.2 日本総合研究所 0.3 ▲ 1.1 4.2 3.4 (0.1) 1.0 ▲ 1.4 (0.2) (▲ 0.1) ▲ 0.5 - *出所:2011年7-9月期GDP2次速報反映後、主要シンクタンクが発表している日本経済の見通しよりSMBCコンサルティング作成。 【本稿に関するご照会窓口】 SMBCコンサルティング 担当:富田 TEL:03-5211-6383
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