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Title
円形の下向き水平伝熱面からの膜沸騰熱伝達の解析
Author(s)
茂地, 徹; 川江, 信治; 時田, 雄次; 山田,
Citation
長崎大学工学部研究報告, 19(33), pp.7-12; 1989
Issue Date
1989-08
URL
http://hdl.handle.net/10069/24295
Right
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長崎大学工学部研究報告 第19巻 第33号 平成元年7月
7
円形の下向き水平伝熱面からの膜沸騰熱伝達の解析
茂地 徹*・川江 信治*
時田 雄次**・山田 ?*
An Analysis on the Film Boiling Heat Transfer from a Horizontal
Circular Plate Facing Downward
by
Toru SHIGECHI*, Nobuji KAWAE*, Yuji TOKITA**
and Takashi YAMADA*
Thg two−dimensional, steady−state, laminar film boiling heat transfer from a horizontal circular
plate facing downward to a stagnant saturated Iiquid has been studied theoretically based・on that the
flow of vapor beneath the circular plate is induced by the hydrostatic pressure gradient due to the
change in the vapor film thickness. In the present analysis, the effect of plate edge and contribution
of radiation heat transfer are taken into account. The boundary−1ayer equations for the vapor film are
solved by the integral method. The vapor film thickness, coefficients of convection heat transfer and
contribution of radiation heat transfer are examined for the solution obtained numerically for water
at atmospheric pressure. Also, the present analysis 1s compared with the experimental data ln terms
of total wall heat flux,
1.まえがき
対する熱伝達の計算結果はIshigaiら1)の測定値の約
有限の下向き水平面から静止した飽和液体への膜沸
%の大きさである,ことを報告している.Farahatら
騰においては,伝熱面は中心で最大厚さを有する安定
の解析結果が蒸気膜の形状に関して上記の実験観察と
な蒸気膜で覆われ,伝熱面下の蒸気は伝熱面に沿って
一致していないことおよび測定値よりかなり小さい熱
中心から端部へと流れ上昇流出する,ことが実験:1・2)で
流束の値を与えることの理由として,彼らの解析にお
観察されている.したがって,このような系において
いては伝熱面が有限であること(つまり伝熱面端部の
は,対流熱伝達は伝熱面の形状と端部の影響を強く受
効果)』および放射伝熱の寄与が考慮されていないこと,
けることが推測される.さらに,膜沸騰においては,
が考えられる.
伝熱面の温度が高い場合には放射三熱の寄与も無視す
著者らは,前報4)において有限幅の水平下向き伝熱
ることができない.
面から静止した飽和液体への2次元定常層流膜沸騰熱
Farahatち3)は,円形の水平下向き伝熱面からの安
伝達を,伝熱面の端部の効果と放射伝熱の寄与を考慮
定な層流膜沸騰熱伝達を理論解析し,.飽和水に対する
して,プロフィル法(境界層積分法)で理論解析した.
数値計算結果は,(i)蒸気膜は伝三面中心で最も薄く半
得られた解析解(厳密解)の大気圧水に対する計算結
径方向に厚くなること,および(ii)直径50mmの伝熱面に
果から,蒸気膜の形状と厚さおよび熱伝達係数の大き
平成元年4月28日受理
・機械工学科(Departmellt of Mechanlcal Engineering)
・・大学院博士課程海洋生産科学研究科(Graduate School of Marine Science and Engineering)
8
茂地 徹・川江信治・時田雄次・山田 昭
さに関して重要な知見を得ることができた.
:対流と放射を総括した場合
’
本報では,前報4)と同じ方法を有限の円形伝熱面に
:平均値
d/一
適用して理論解析を行い,大気圧水に対して蒸気膜厚
さと熱伝達係数を定量的に検討し,さらに,Ishigaiら1)
2.理論解析
とSekiら2)の測定値との比較検討を行う.
一様温度乃〃の下向き水平円形伝熱面から静止し
た飽和液体(温度7b)への2次元定常膜沸騰熱伝達を
記 号
考える.Fig.1に示すように,三熱面は中心で最大膜厚
α
:液体の吸収率
を有する安定な蒸気膜で覆われているものとする.こ
oρ
:定圧比熱
の系に対して,対流伝熱と放射伝熱とを総括した三熱
9
:重力の加速度
流束は次のように計算される.
ぬ
:熱伝達係数
局所三流束:
し
:伝暦世の半幅
1
:蒸発潜熱
0
P
:円形零墨面の直径
σ
σア=(ぬ,,.+砺。d)△7冶
(1)
平均二流束:
:圧 力
σ≡。知∬の2・・〃
:熱流束
=(ぬ。十二αd)△7冶
:円形伝男面の半径
(7,y):Fig.1で定義される座標系
丁 :温 度
乃 :飽和温度
(2)
ここに,△7bは壁面過熱度(=7加一7b)で観,.と砺
は,それぞれ,次式で定義される局所と平均の対流熱
伝達係数である.
丁ω :伝野面温度
△鴛 :過熱度
肱・≡一意鑑
(3)
履≒翫∬瓜・2・・〃
(4)
(π,の:(γ,y)方向の速度成分
防 :代表速度,式(22)
β1∼β3:数値定数,式(27)∼(29)
γ、∼γ3:数値定数,式(30)∼(32)
δ
:蒸気膜厚さ
δo
:伝三面中心での蒸気膜厚さ
δR
:平熱面端部での蒸気膜厚さ
ε
:伝熱面表面の放射率
η
:無次元座標(=y/δ)
θ
:温度分布,式(23)
λ
:熱伝導率
μ
:粘性係数
レ
:動粘’性係数
ρ
:密 度
σ
:Stefan−Boltzmann定数
φ
:・速度分布,式(22)
添 字
砺ωは放射の熱伝達係数で次式で与えられる.
σ(Tzo4−7「s4)
砺鋸=
(1/ε+1/α一1) △7冶
式(5)は,蒸気膜は放射に対して完全に透明であり,
放射率εの伝二面と吸収率αの気液界面は灰色体平
行二平面を構成する,と仮定して導かれた.
次に,対流熱伝達をプロフィル法で解析する.解析
に際して,次の仮定をおく.
(1)三熱面下の蒸気膜はなめらかな気液界面を有する
R
:液 体
V
:蒸 気
γ
二局所値
6
:対 流
00
:放射解熱を考慮しない対流のみの場合
7召4
:放 射
R
Tw
● ● ■ ■ ● . ● ● ● ● ● ・ ● ■ ● ●
@● o ● o ● ● ● ● ・ ● ● ■ ● o ・
f●
L
(5)
謫
● ・ o ● ● 膨 ● ● o
撃撃堰F51ii. ■ o ● ● ・ ● ●
● ・ ● ・
r
@・ ● ● ●
ツ.二:’
:T二=vapor ● ・ ● ● 0 ● 0 ■ ● ● ●
δ
δR
@●
Ts
↓9
唐≠狽浮窒≠狽・п
@ liquld
@ y
Fig.1 Physical model and co−ordinate system
9
円形の下向き水平伝熱面からの膜沸騰熱伝達の解析
画(聯+〃・舞)一《仇一画)・劣
層流境界層とみなすことができる.
(2)表面張力の効果は無視できる.また,液体の飽和
+・離 (19)
温度は液位による変化を無視し一定とする.
(3)物性値は一定である.
以上の仮定から,蒸気膜に対する質量,運動量およ
式(6),(10)および(12)を用いて式(19)を積分する
びエネルギの保存式は次のようになる.
と次式が得られる.
警+葺+二一・ (6)
4 δ
4δ
・ナ編吻+(ρL一ρv)・δ万
/∵)=拶
∂2π
(7)
さらに,式(9)を,式(15)と式(6)の積分形を用いて
(8)
偽(・廻心+傷)一λ帯
一仰(1∂,!)
蕃、一」勉一・ (2・)
同様に積分すると次式が得られる.
陥÷券∬・〃{(7’一7b)+差}の
(9)
+λ組一乃剛△鴛一・ (21)
境界条件は
y=0:駕=θ=O
(10)
T=T”
(11)
y=δ:π=0
(12)
鳥=n
(13)
:Z「=鴛
(14)
ここで,蒸気膜内の速度と温度のプロフィルを次のよ
うに仮定する.
z6=z4ア φ(η) (22)
T一π=△Ts θ(η) (23)
ここに,π,は代表速度で,φとθは次式で定義される
ηだけの関数である.
万1押△鴛
∂T
一λ
一婦編δ鱒
η≡夕/δ (24)
(15)
式(22)と式(23)をそれぞれ式(20)と式(21)に代入し,
yをηに変換すると,次のδと%,に関する連立常微
である.
分方程式が得られる.
伝三面から遠く離れた乱されていない静止液体に対し
峠げ(7δ脇2〃)+・(音一・δ劣
て,静圧勾配は次のように与えられる.
仇・三主一・
(16)
式(13)を用いて式(8)と式(16)を組み合わせると,蒸
気膜内の半径方向の静圧勾配は次のように得られる.
肇一号ル・一仰)・の (17)
+(γ1一γ2)・三一・
(25)
(β・+肱猛)÷ゴ(嚢)
λv ぬrαd
十γ3
=0 (26)
ρvCPvδ ρvCPv
ここに,β1,β2,β3,γ1,γ2およびγ3は次のように定
仮定(3)により(ρL一ρv)は一定であるから,式(17)
は次のようになる.
誓一(ρL一ρv)・嘉 (18)
義される数値定数である。
&イ拗
(27)
&≡∫1φ吻
(28)
&イφθ吻
(29)
式(18)から,蒸気膜内の水平方向の静圧勾配は蒸気膜
厚さの流動方向の変化によって確立される,ことがわ
かる.式(18)を式(7)に代入すると,運動量の式は次
のようになる.
茂地 徹・川江信治・時田雄次・山田 昭
10
偽≡
カ!
η≡
梶A
(30)
なお,物性値を評価する代表温度は飽和温度とする.
蒸気膜内の速度と温度のプロフィルとして次の関数
(31)
を採用した.
φ(η)=・=η一η2 (38)
(32)
為≡
式(25)と式(26)に対する初期条件を次のように与える.
δ=δo (finite)
}一・
(33)
(39)
これらのプロフィルは境界条件,式(10),(11),(12)
および(14)を満足し,前報4)の解析においても採用さ
れている.式(38)と式(39)により,式(27)から式(32)
(34)
防=0
θ(η)二(1一η)2
で定義される数値定数は次のように定まる.
ここで,伝三面中心の蒸気膜厚さδ。はまだ確定してい
β1=1/30, β2=1/6, β3=1/20
ないので,式(25)と式(26)を解くためには,さらにも
γ1=1, γ2= 一1, γ3= 一2
う一つの条件を付加する必要がある.本研究では,伝
上記条件に対する数値計算結果をFig.2からFig.5
熱面の端部において次の境界条件を与える.
に示す.
劣一…t・一R
(35)
蒸気膜の伝熱面中心と端部での厚さδ。と莇を
Fig.2に,蒸気膜の半径方向分布をFig.3に示す.これ
式(35)の条件は,すでに,前報4)の有限幅の伝画面の解
らの図から,(i)蒸気膜は中心(γ=0)で最大膜厚を有
析において採用されているが,式(35)を適用すること
し,膜厚は伝一面の周辺に行くに従い次第に小さくな
により,伝熱面中心の蒸気膜厚さが最小となる理論解
り端部(γ=R)で最小値をとること,および(ii)蒸気
を得ることができる.これは,物理的には対流熱伝達
膜は伝熱面直径2Rおよび過熱度△鴛が大きくなる
係数が最大となる理論解を求めることに相当する.し
につれて厚くなること,がわかる.
たがって,式(25)と式(26)は次の境界条件の下に,2
Fig.4に蒸気膜厚さδを伝熱面中心での値δ。を用
点境界値問題として解かれることになる.
いて規格化した(δ/δ。)の半径方向の分布を示す.この
{
z47=O at 7=0
2.0
4δ
万=一。。・tドR
water(0.1MPa) ε;a=1
一δo
蒸気膜厚さδが定まると,対流熱伝達係数は次のよ
一一.
うに計算される.
一1.5
昌
局所値:
ぬ。,。一(一γ3)λv/δ
(36)
平均値:
vR2)ん
屍一2(一γ3
㊥◎隻
〃
ビ∼ら
6GG
一
6
ホ
01.0
關縺V
ツR
り
ム()()
20Q
(37)
多80(弊
3.結果と考察
式(34)と式(35)の境界条件に従う連立微分方程式,
式(25)と式(26)を次の条件の下に,境界値問題に対す
る射的法(shooting method)5)で数値的に解いた.
沸騰液体:大気圧水(7む=100℃),吸収率 α=1
0.5
/慶’重q
4三三三三搬
二一一一一
0
10 20 30 40 50 60
70 80
D=2R [㎜〕
伝熱面:直径 2R=10,20,40,80 mm,
過熱度 △7b=200∼800 K,
放射率 ε=1
Fig.2 Vapor film thicknesses at the plate
center and the plate edgeδo,δR
11
円形の下向き水平伝熱面からの膜沸騰熱伝達の解析
2.0
water(0.1MPa) ε昌a=1
目
一
△Ts=200 K
一一一 400K
1.5
___一 、
、 、
、、
、
ぎ
\
細
心
1.0
》
働一一隔r嘔
、、
、、
、、
___.___ 一_
、 \
\\ \\
偏 一』{r」曳、 一一_
一一一_軸 ’ 、、 、
、\一\、、
の ロコじ
↓
600K
一一一一一一 800K
\報
0.5
困
り
0
0
10
20
30
40
r 【㎜】
Fig.3 Vapor film distribution along the radial direction
1.0
300
8
water(0.IMPa)
鳶
ε=a=1
嘆250
2R=80 mm △Ts=800 K
三
2R=10㎜△Ts=800 K
『
2R=10,801nm,△Ts=200 K
一…
P塾・_
一一一
月150
8
1『100
1ぎ
・煤≠・ワ¥hrad
・B馬B・Bere・・。・6)
2R【㎜】
//一10
’
/20
/
\、__一’ ノ
…一
≧
200
1ざ
0。5
water(0.1MPa) ε富a=1
一「 jc
三
、、、
ヘ ノ
/ /一重。
’屯∼一\\/ /=・謡、
一’ Yく一;乏=こ
語
、 ノ
lm】
20
、 、
40
50
0
0 0.5 1.O
r/R
2R
10
80
hrad,Eq.(5)
0
200 400 600 . 800
△Ts [K]
Fig.4 Relationship between normalized vapor
film thickness (δ/δo) anα non−
dimensional co−ordinate(η安)
Fig.5 Average heat transfer coefficients
乃,。より常に小さく,過熱度△乃または直径2Rが大
図は,(δ/δo)が(γ欠)の関数として一本の曲線で近似
きくなると減少することがわかる.過熱度が大きくな
できることを示唆している.
ると,放射による三熱は対流による熱伝達と同程度に
熱伝達に関する計算結果をFig.5に示す. Fig.5に
なり,さらに直径が大きい場合には,放射伝熱の方が
おいて,ぬ。は式(37)から得られる平均対流熱伝達係
対流伝熱より大きくなる.つまり,このような場合に
数,乃,。は式(26)で編dを零とおいて計算される放射
は,放射伝熱が支配的となり,対流熱伝達よりも放射
伝熱を考慮しない対流のみの平均熱伝達係数,ぬ剛は
伝熱を正確に評価することがより重要な課題となる.
式(5)で与えられる放射の熱伝達係数,島は対流と
Fig.6は伝熱面の幾何学的形状の違いによる影響を
放射を総括した熱伝達係数,である.また,Fig。5には
調べたもので,ぬの添字ののは本報の円形伝承面を,
上向き水平面に対するBerensonの式[文献(6)の式
肋は前報4)の有限幅の白熱面を表している.なお,両
(36)]から計算される対流熱伝達係数乃。qβを伝熱面
者の比較において,三熱面直径2Rと三熱面幅2みの
の向きによる影響を調べるために示している.砺は
値は同一にして計算した.図において,対流めみの熱
12
茂地徹・川江信治・時田雄次・山田昭
1.3
water(0.1MPa)ε=a=1
A=D=25㎜
a ξ1.2
R−11(0.1迎。)by S。ki。t。1.2)
l」=
δ
1」=
20㎜
40㎜
80㎜
1.4
ε
1.2
C3D=30㎜
1.0
80
40
δ1.3
1」=
3×105
1.1
2R=21旨10㎜
8・
B3D冨50㎜
1.2
J 1‘β P.1
1.0
E瑠?践。)by、。h、g。、。,。、.・)
1.3
105
1.4
1.3
20
2R=2L=10
1.2
㎜
『
ミ
三
1σ・
8・
δ
ユコ
縁1.3
8
1ぎ μ=1.2
1.3
2R=2L=10∼801m
1.2
!!
10鉢
C !/
△Ts [K】
Fig.6 Comparison of average heat transfer
coefficients between a circular plate
/一._blr,Farahat。t a1.3)
ノ
! water,D富50mm
200 400 600 800
! Present theory
5×103
−a3water,2R=25㎜(ε3a=1)
=E,w。t・。,2L・25㎜(ε・a・1)4)
一一一
一b=wate「・2距50㎜(ε冨a=1)4)
一一一 aC=water,2L=50㎜(ε冒a=1)
and a finite−size plate [4]
===二:, :餐:圭圭:塁{こ二;8;=監1茎:8:蓋:=}:圭;4)
伝達係数の比(乃。。,ψ/妬!ρ)はほと.んど一定でその大
、100
である.したがって,有限幅の伝熱面の解析解(予報4))
を利用して,形状のみが異なる円形伝熱面の対流熱伝
500 1000
△Ts [K]
きさは1.27である.また,(肱ψ/紘ρ)の大きさは約1.3
Fig.7 Comparison of t取e present
analysis
with experimental data
達係数の大きさの目安をつけるためには,大気圧の飽
和水に対して,約し3の乗数を使えばよいことがわか
る.
本解析と測定値とを定量的に比較し,本解析で設定
された仮定と境界条件を吟味するためには,今後,伝
最後に,本解析結果とIshigaiら1)とSekiら2)の測
熱面下に形成される蒸気膜の挙動を詳細に観察すると
定値との比較を沸騰曲線で示したのがFig.7である.
・ともに,沸騰特性の測定においては,放射伝熱の寄与
また,同図には,前報4)め有限幅の伝舌面に対する解と
を決定するために必要な伝画面放射率の大きさを評価
Farahatら3)の直径D=50 mmの円形伝熱面の理論解
することも重要である.
「も併せて示してある.本解析結果は,放射と対流を総
括した全熱三二の過熱度と伝三面直径に対する依存1生
参考文献
に関しては測定値と定性的に一致している.しかしな
1)Ishigai, S., Inoue, K, Kiwaki, Z., Inai, T.;
がら,定量的には,本解析結果はFarahatら3》の理論
Interhational Development in Heat Transfer,
と比較して改良されてはいる魁測定値と比較すると
ASME, Paper 26, pp.224−229,1961.
まだ2倍程度の偏差がみられる.
2)Seki, N., Fukusako, S., Torikoshi, K.;Trans.
ASME, J. Heat Transfer, Vol.100, pp.624−628,
4.むすび
1978.
有限の円形下向き水平伝熱面から静止した飽和液体
3)Farahat, M. M., Madbouly, E. E.;Int. J. Heat
への膜沸騰熱伝達を,伝熱面下の蒸気の流動は蒸気膜
Mass Transfer, Vol,20, pp.269−277,1977.
厚さの変化に起因する水平方向の静圧勾配によって誘
4)茂地,川江,金丸,山田;日本機械学会論文集(B
起されると仮定して理論的に解析した.プロフ、イル法.
編), 54, pp.1808−1813,1988.
で得られた理論解の大気圧水に対する数値計算結果か
5)Conte, S. D., de Boor, C,;Elementary Numeri−
ら,蒸気膜の厚さと形状,対流熱伝達係数の大きさお.
cal Analysis,2nd ed., McGraw−Hii, pβ73,1972.
よび放射伝熱の寄与を明らかにした.また本解析は測
6)Berenson, P. J.;Trans. ASME, J. Heat Trans−
定値と約2倍の偏差で定性的に一致することを示した.
fer, Vo1.83, pp.351−358,1961.