黄色ブドウ球菌感染牛群に対する飼養改善によるバルク乳中体細胞数

黄色ブドウ球菌感染牛群に対する飼養改善によるバルク乳中体細胞数低減の試み
西播基幹家畜診療所
○山村佳宏
三谷
森本啓介
睦
松岡
宮本孝明
健
佐野
努
是枝明博
バルク乳中体細胞(バルク乳中 SCC)数が高い A 酪農家において乳汁中細菌検査を実施したとこ
ろ黄色ブドウ球菌(SA)が高率に分離された。泌乳期中の治療を選択せず,飼養管理改善によるバ
ルク乳中 SCC 数低減を試みたのでその概要を報告する。
材料および方法
対象農家:成乳牛 43 頭を繋留方式,育成牛 17 頭をパドックにて飼養する A 農家
調査期間:2008 年 1 月から 2009 年 12 月
飼養管理改善:乾草給与方法(飽食の中止),暑熱対策(ダクトファンの設置,換気扇の増設)
調査項目:バルク乳中 SCC(2007 年 1 月から),リニアスコア(LS),バルク乳中尿素窒素(MUN,2008
年 4 月から),バルク乳中乳蛋白質,乳汁中細菌検査(1 回目 2009 年 2 月,2 回目 2009 年 12 月,2
回目は搾乳立会),血液生化学検査(MPT,1 回目 2009 年 3 月,2 回目 2009 年 11 月),給与飼料,
死廃事故頭数,病傷事故頭数,出荷乳量,分娩頭数
結
果
①バルク乳中 SCC は 2008 年の年間平均 43.4 万/mL から 2009 年は年間平均 26.2 万/mL と減少した。
②LS は 2009 年 4 月には平均 2.63 まで低下したが,その後増加に転じた。
③バルク乳中 MUN は 2008
年の夏季に大きな変動を認めたが,2009 年は 10.1∼13.9mg/dL の間で安定した。④バルク乳中蛋
白質は期間中 3.13∼3.44%の範囲で推移した。⑤乳汁中細菌検査において SA は 1 回目 25 頭中 15
頭,2 回目 32 頭中 11 頭から分離された。2 回目の検査時に新規感染と思われたものは 5 頭であっ
た。⑥1 回目の MPT では低血糖が乾乳期と泌乳初期で,低コレステロールが乾乳期に認められた
が 2 回目には改善されていた。⑦給与飼料診断において問題はなかった。⑧死廃事故頭数は 2008
年 6 頭,2009 年 5 頭であり,うち乳房炎によるものは各年 1 頭であった。⑨乳房炎の病傷事故は
2008 年 6 頭,2009 年 4 頭であった。⑩出荷乳量は 2008 年 251.78t,2009 年 276.81t であった。
⑪分娩頭数は 2008 年 39 頭,2009 年 34 頭であった。
まとめ
今回,周産期の新規感染防止と第一胃の恒常性を保つことによるストレスの緩和を目的に飼養
管理改善を行い,SA 感染牛群に対するバルク乳中 SCC 低減を試みたところ良好に推移していた。
しかしながら LS は良化が認められず牛群の問題は解決されていなかったこと,新規感染牛が多く
認められたことより適切な搾乳衛生の実施,乾乳期治療,盲乳化または個体の淘汰が必要と考え
られた。