SCCの研究拠点として - 社会システム工学科

構造物の信頼性向上のための
自己充填コンクリート(SCC)
SCC普及のためのブレークスルー
SCCの研究拠点として
気泡潤滑型自己充填コンクリート
コンクリートは量的にも支出額でもわが国で最も使用
1998年の創設以来,高知工科大学コンクリート研究室は
構造物への信頼性付与のための画期的な高性能材料
されている建設材料です。水,セメント,骨材(砂,砂
SCCの一般化のための研究を行ってきました。化学混和
と評価の高いSCCですが,単位セメント量の大きさから
利)といった天然に近い材料を用いた,手軽に製造し
剤による分散・減水・増粘効果の定量化法,水セメント比
普通コンの約2倍のコストを要し,高強度を必要としな
使用できる安価な材料と位置付けられています。しか
と減水剤添加量の同時調整法,模擬粗骨材としてガラス
い一般構造物への普及の妨げとなっていました。
しながら,コンクリートは鉄筋を有する型枠内に確実
ビーズを用いたフレッシュモルタルの固体粒子間摩擦の
高知工科大学コンクリート研究室では自己充填性
に締固められることによってのみ設計通りの性能を発
定量化法,打設現場での全量受入れ検査法など,SCC
の要素定量化技術と化学混和剤評価技術を武器とし
揮します。締固め作業には熟練した高度な技術が必
の実用化のための要素技術の開発を主導してきました。
てこの課題に挑み,その解を見出しました。その鍵はコ
要です。これが不十分な場合,強度のみならず長期
ンクリートの凍結融解抵抗性向上のために連行してい
の耐久性も損ないかねません。
る空気泡(エントレインドエア)でした。これによるフレッ
シュコンクリートの変形の際のボールベアリング効果を
明らかにしその性能を向上させ,配合設計に活かして
います。粉体として普通セメントのみを用いて単位セメ
ント量400kg未満・単位水量170kg程度と普通コンと同
程度に抑えました。一方,自己充填性の水準は従来型
SCCと同等です。これが気泡潤滑型自己充填コンク
普通コンクリート
自己充填コンクリート
フレッシュモルタルの固体粒子間摩擦の定量化法
リート(Air-enhanced SCC;略称airSCC)です。2013
年にプロトタイプが完成しました。
その解決策が自己充填コンクリートです。自己充
これらの技術を通じて,SCCを活用した大型構造物
airSCCは一般の構造物の信頼性を向上させるた
填コンクリートは鉄筋を有する型枠内に重力の作用
の工期短縮,高密度配筋構造物への確実な充填,コール
めの材料です。硬化後の強度を普通コン並みにしてコ
のみで確実に充填するコンクリートです。施工の良否
ドジョイントの防止や建築の意匠美の実現など,多くの実
ストを抑えた高信頼コンクリートです。
に左右されずに性能を発揮します。東京大学の岡村
施工に貢献してきました。その成果はSCC用の材料開発
甫教授(現 高知工科大学理事長)が提唱し,前川宏
をはじめ,土木学会指針や全国生コンクリート工業組合マ
一と小澤一雅(現 東京大学教授)によって1988年に
ニュアルにも活かされています。世界各国のSCCの研究
プロトタイプが完成しました。既存のコンクリート用材
者が集う国際会議も2回主催しました。
本 発 の オ リ ジ ナ ル 技 術 と し て “Self-Compacting
Concrete: SCC”の名で広く知られ,多くの国で研究
が行われ実構造物・建築物に用いられています。振
単位骨材容積(リットル/m3)
料のみを用いたコンクリートです。世界に先駆けた日
700
普通コン
600
セメントの一部を空気泡に置換
500
単位セメント
量の削減
従来型
SCC
ボールベアリ
ング効果
単位骨材量の増加
400
配合を普通コンに近づける
動締固め作業が不要なことから,作業環境の改善に
300
も役立っています。
新名神高速・近江大鳥橋
東京ガス・地下LNGタンク
200
300
400
500
単位セメント量(kg/m3)
600
700
1968年 茨城県生れ
技術の開発を通じた技術者の育成
専門:土木工学,コンクリート工学
フラの建設と維持コスト
頼へ」をテーマに技術開発を行っています。長期間に
学位:博士(工学)(東京大学,1997年)
わたる空間の確保と維持が主命題である土木構造
主な出願特許
法・厚さ)削減よりも安価な高信頼性材料の十分な量
・粗骨材による流動性低下が抑制された自己充填コンクリート,
の使用の方が経済性向上に効果的だからです。
特願2013-157174号,2013年7月29日
高知工科大学コンクリート研究室の目的は現場
で役立つコンクリート技術の開発と,それを通じた社
会の役に立つ適応範囲の広い技術者の育成です。
圧縮強度
(価格が付随)
新たな挑戦
60 N/mm2
技術指導員 宮地日出夫 Hideo MIYAJI
元 日本セメント(現 太平洋セメント)研究所
コンクリート
需要の5%
学生数(2015年3月現在)
・博士後期課程 2名(タイ,カンボジア)
・修士課程2年生 2名+1年生 2名;学部4年生 6名+3年生6名
コンクリート
需要の95%
普通コンク
リート
気泡潤滑型自己充填
コンクリート(airSCC)
信頼性(設計どおりの性能を付与できる確率)
高
当面の目標
2014年現在の技術水準
普通コン
700
(20150301)
単に空気量を大き
くすることによる自
己充填性付与
600
従来型
SCC
500
5
10
空気量(%)
15
学部卒業・修士終了後の主な進路(最近5年間;含内定)
建設:大林組,大林道路,奥村組,奥村組土木興業,佐藤工
業,大成建設,大和ハウス工業,東亜建設工業,西松建設,
ピーエス三菱,大鉄工業,若築建設
コンサルタント:エイト日本技術開発,八洋コンサルタント
メーカー:住友大阪セメント,大和クレス,ユニ・チャーム
建設機械:技研製作所;電力設備:かんでんエンジニアリング
800
単位骨材容積(リットル/m3)
年12月16日
元 高知県生コンクリート工業組合技術部長
SCC:普通コン
の2倍の単価
0
・フレッシュモルタルの品質評価法,特許願 9912161号,1999
20
公立大学法人 高知工科大学
システム工学群 建築・都市デザイン専攻
/大学院 社会システム工学コース
コンクリート研究室
〒782-8502 高知県香美市土佐山田町宮ノ口185
E-mail: [email protected](大内)
TEL 0887-57-2411(大内)/2740(宮地・学生)
FAX 0887-57-2420
http://www.infra.kochi-tech.ac.jp/m-ouchi/
高
―性能から高信頼へのパラダイムシフト
物や建築物には,高性能(高強度)化による数量(寸
コンクリート研究室
研究テーマ:自己充填コンクリート,イン
高知工科大学コンクリート研究室は「高性能から高信
気泡潤滑型自己充填コンクリート
教授 大内 雅博 Masahiro OUCHI
社会で役立つ,量的貢献の大きな