(様式4) 二国間交流事業 共同研究報告書 平成22年 4月13日 独立行政法人日本学術振興会理事長 殿 共同研究代表者所属・部局 九州大学・高等研究機構 (ふりがな) 職・氏 名 1. 事 業 名 相手国( フランス )との共同研究 2. 研 究 課 題 名 すぎやま 特任准教授・杉山 だいすけ 大介 振興会対応機関( 仏外務省 ) 全胚胎仔培養を用いたヒト造血幹細胞発生メカニズムの解析 3. 全 採 用 期 間 平成 20 年 4 月 1 日 ~ 平成 22 年 3 月 31 日 ( 2 年 0ヶ月) 4. 研 究 経 費 総 額 (1)本事業により交付された研究経費総額 初年度経費 1,000 2,000 千円 千円、 2年度経費 1,000 千円、 3年度経費 (2)本事業による経費以外の国内研究経費総額 千円 千円 -1- 5.研究組織 (1)日本側参加者 (ふりがな) 氏 すぎやま だいすけ 杉山 大介 み ず お ち 水落 く る 所 属・職 名 名 ち よ ちよ く う か せ む ゆ か 堀尾 佐々木 全胚胎仔培養を用いたヒト造血幹細胞発 九州大学・技能補佐員 生メカニズムの解析 九州大学・技術補佐員 有可 さ さ き 九州大学・特任准教授 九州大学・博士研究員 クルクウ・カセム ほ り お 研 究 協 力 テ ー マ た つ や 九州大学・大学院生 達哉 (2)相手国側研究代表者 所属・職名・氏名 国立保健医学研究所・主任研究者・Manuela Tavian (3)相手国参加者(代表者の氏名の前に○印を付すこと) 氏 名 ○Manuela Tavian 所属・職名(国名) 国立保健医学研究所・主任研究者 全胚胎仔培養を用いたヒト造血幹細胞 (フランス) Judith Vallet 研 究 協 力 テ ー マ 発生メカニズムの解析 国立保健医学研究所・テクニシャ ン(フランス) Katia Biasch 国立保健医学研究所・大学院生 (フランス) -2- 6.研究概要(研究の目的・内容・成果等の概要を簡潔に記載してください。) <目的> 造血幹細胞とは、すべての血液細胞を作ることが出来る、自己複製能と多分化能を備えた血液の 大元の細胞である。ヒト造血幹細胞は、成体では骨髄、出生時では臍帯血に多く存在する事がわかっており、 この造血幹細胞を移植する事で、各種血液疾患の治療が行われている。この造血幹細胞移植療法を更に普遍 化するために、造血幹細胞を試験管内で作製する研究や、またこれらを試験管内で増幅する研究が行われて いるが、未だ臨床応用されていない。これは、ヒト造血幹細胞発生メカニズムの解明が発展途上である事に 起因する。造血幹細胞は胎生初期に大動脈−生殖隆起−中腎領域で発生し、中期には肝臓へホーミング(移動• 定着)し、増幅の後、最終的に骨髄へホーミングすると考えられている。これら発生イベントをヒト胎児サ ンプルを用いて解析する事は、本邦においては倫理上様々な制約があり困難であるが、フランスにおいては ある適切なガイドラインの元その解析が進んでいる。ヒトのモデル動物であるマウスにおける実験結果はマ ウスにおける現象を保証するものであるが、ヒトにおける現象のすべてを反映しない。よって、マウスで得 られた知見を最終的にヒトへ還元するためには、ヒト胎児サンプルを用いて造血幹細胞発生研究を行う事は、 避けて通れない。以上の理由から、ヒト胎児造血幹細胞サンプルをフランスにおいて入手し、ヒト造血幹細 胞発生メカニズムの解析を行う。 <内容> フランスにおいて、本邦では倫理的に入手困難な中絶胎児より、胎生初期あるいは中期のヒト胎 児造血幹細胞を採取する。一方日本においては、既に設立されているバンクより臍帯血を入手し、胎生後期 のヒト胎児造血幹細胞を採取する。これらヒト胎児造血幹細胞をヒト生体内においてリアルタイムに観察す る事は困難なので、マウス胎仔へ移植し、続けて全胚胎仔培養を行う。本法により造血微小環境を再構築す る事で、ヒト胎児造血幹細胞はマウス胎仔肝臓へホーミングし、増幅する事が予測される。そこで、肝臓へ ホーミングしたこれらヒト胎児造血幹細胞を再度採取し、遺伝子発現の推移を解析する事で、ヒト造血幹細 胞増幅メカニズムを解明し、臨床応用する事を目指す。 <成果> 平成20年度 <フランス側チーム> 実施計画に基づき、申請者研究室 において、マウス全胚胎仔培養法、マウス胎仔注射法及び 培養に必要な新鮮ラット血清の調整法に関して講義を受講 し、実習を行った。12 月 9 日には Tavian 博士に九州大学 において講演をしていただいた。 (演題名:Hematopoietic stem cell emergence in the human embryo) <日本側チーム> 本年度実施計画に基づき、Tavian 博士 研究室において中絶胎児よりヒト造血幹細胞採取に関して 講義を受講した。堕胎胎児は入手出来ず実習が行えなかっ たため、ヒト胎児凍結保存サンプルを用いて、In situ hybridization 法の実習を行った(右図;Renin に対する probe を使用)。2 月 17 日には申請者は INSERM Unite682 において講演を行った。 (演題名:Whole embryo culture analysis on hematopoietic cell development in the mouse embryo) -3- 平成21年度 <フランス側チーム> 実施計画に基づき、申請者研究室において、マウス全胚胎仔培養法及びマウス胎仔 注射法の実習を行った。技術の習得にもっと期間を要する事が判明したため、臍帯血をマウス胎仔へ移植す る実験は延期し、日本側チームが継続する事とした。 12 月 14 日に九州大学と久留米大学、15 日に熊本大学で Tavian 博士に講演をしていただいた。 (演題名:Hematopoietic stem cell emergence in the human embryo) <日本側チーム> 出張期間中に中絶胎児は得られず、既に凍結包埋してあるヒト胎児を用いて、免疫染色 により胎生期造血幹細胞を染色した。 上図のように胎生期ヒト造血幹細胞は CD34 陽性であり、CD45 の発現により2つの集団へ分類可能な事 が明らかになった。現在日本側チームのマウスデータと併せ、投稿準備中である。 共同研究代表者は、3 月 8 日、INSERM Unite682 において講演を行った。 (演題名:Hepatoblasts comprise a niche for fetal liver hematopoiesis through extracellular matrix and cytokine production.) また、3 月 9 日、Maison du Japon, Strasbourg において講演を行った。 (演題名:Hematopoietic development in mice and implications for haematotherapy.) -4-
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