Ⅲ 教員による授業の自己点検・自己評価 - 静岡県立大学短期大学部

Ⅲ
教員による授業の自己点検・自己評価
「教育活動に関する自己点検自己評価」の一環として、
「教員による授業の自
昨年と同様、
己点検自己評価」を行うことにした。評価にあたっての一連の作業については昨年度の方法
を踏襲することとし、各専任教員(今年度退職者も含む)にフィードバックされた「学生に
よる数値による評価および自由記述」の結果を基に所定の書式に従い原稿を作成してもらい
報告書として掲載することにした。
なお、今年度特例として看護学科の臨地実習に関しては看護学科助手に対しても授業評価
を行ったが、助手については「教育活動に関する自己点検自己評価」の報告は要請しないこ
ととした。
今回の学生による授業アンケート結果に対する教員の自己点検・自己評価報告書の記述項
目は下記(Ⅰ∼Ⅲ)の通りである。
Ⅰ「授業のあり方」について
Ⅱ「教え方」について
Ⅲ「総合評価」について
記載方法は、Ⅰ∼Ⅲいずれの項目に関しても
① アンケート結果 (結果と共に配布した各ブロック単位の平均値など
を参考にする。)
②昨年度からの経緯もふまえた分析
③今後の課題・改善への展望
のそれぞれの内容を簡潔にまとめて頂くよう当該教員に対して周知徹底を図った。
記述要領は次の通りである。
1.原則として、各教員2ページ以内とする。
2.科目の欄は、「教員による授業の自己点検・自己評価」の対象とした科目名を記入。
3.『報告書の書き方』のⅠ∼Ⅲ全ての項目について、記述することを原則とする。
4.各項目の記述内容及び記述量(行数)は、担当教員に一任するが、添付のフォーマ
(注1)に従い、2ページ内に収まるように工夫する。
(文字のサイズ、フォントは標準設定のままとする。)
注1:「教員による授業の自己点検・自己評価」原稿のフォーマット
用紙サイズ: A4(余白:上 35mm、下 30mm、左 30mm、右 30mm)
文字数と行数:40 文字(1 行)、40 行(1 ページ)
フォント:MS明朝、10.5(サイズ)
次頁から、各教員が記述した「教員による授業の自己点検・自己評価」を掲載する。掲載順
1
は一般教育等の教員から五十音順とする。
各教員から提出されたものに、
委員会が指示した記載内容に添っていない箇所があったり、
誤記や所属学科の名称の不統一などがあったりしても、一切手を加えず提出されたものをそ
のまま掲載した。
2
A
一般教育等
学科
一般教育等
職名
講師
氏名
伊藤順啓
担当科目:一般教育科目:A『現代社会学』一看・福祉・介護1年生 回答数 22(23 人)
B『地域社会論』 福祉・介護
1年生
41(49 人)
専門教育科目:C『社会福祉論』 二看・歯科・一看1・2年生 95(140 人)
Ⅰ「授業のあり方」について
(1)
「授業の目的・展開」
・・・・・4.36 3.88 3.44。授業の達成目標や該科目を学
ぶ意味については、意識的に初講・終講で言及するとともに、第二∼十四講の毎回
「授業要旨」を 10 分前に入室して、板書したのだが・・・・。
(2)「内容の質と量」・・・・・4.23 3.59 3.20。
(3)
「課題の質と量」
・・・・・・3.64 2.85※ 3.44。※『地域社会論』の初講で、あ
らかじめ「課題の質・量を承知できること」を約束してもらったつもり。もちろん成績評価
に際してもそれを加味したが、アンケート時にはまだわかっていない。
Ⅱ「教え方」について
(6)「理解度への配慮」・・・・・3.68 3.02 2.88。
(7)「教え方の工夫」・・・・・・・3.95 3.29 3.12。
(8)「レポートへのコメント」・・4.27 3.56 3.46。
(6)
・
(7)では、まだまだ私の配慮不足が訴えられた。(8)については、科目によっ
て事後になされたコメントもある。
Ⅲ「総合評価」について
(9)「基礎的知識の理解」と(10)「該分野への関心」は、昨年度の(8)・(7)と
同一設問であり、昨年度版「報告書」でもとくに分析・考察の対象にしておいたので、
年次比較しながら述べる。
(10)
昨(7)
(9)
昨(8)
A『現代社会学』
3.64 > 2.66
3.55 > 2.50
B『地域社会論』
2.93 < 3.37
2.90 < 3.28
C『社会福祉論』
3.14 > 3.02
3.08 > 2.84
A・Cはわずかながらもアップしてくれたが、Bでは両問ともダウンする結果に終わっ
た。さきの(3)
・(8)とも相関する回答反応といえようが、翌学期初めに「成績評価」
やレポート・答案に付せられたひとりひとり宛の「コメント・推敲の赤ペン」を知らされ
た時点でアンケートされるならば、いくらかはちがうのではないかと望みを託したい。
一般的にいって、社会科学系科目における「理解度」や「興味・関心度」は、終講した
ばかりで即効的に顕われてくるのは少ない。むしろ一定の時間をかけて、復習的にテスト
勉強をしたり、みずからで調べ・考えながらレポート作成するなどの過程を経ることで、
ようやくしかも徐々に 社会科学的思考が自覚化される性格の学問である。上述した設問
(3)
・(8)
・(9)・
(10)もふくめて、アンケートする時点を勘案してもらいたい気が
しないでもない。
二学年度にわたって、受講生の側からする「声なき声」が聴取された。昨年度版「報告
3
書」で、あまりにも担当科目の評価が低いことに大きな衝撃を受けた旨を告白しておいた。
抜本的な改善にはほど遠いが、ともかくも“なんらかの試み”はしたつもりだが、feed-back
されたデータからすると、所詮は弥縫策にとどまったようだ。「自己点検・評価」するとき
の規準・尺度・ものさしを、一般教育等グループはどのように共有しているのかを再検討
できないままに、教壇を去る。同時に、一般教育学会(現・大学教育学会)の名簿からも
本学部の名前が消える。
・
・
・
・
・
・
一般教育の専門スタッフ性(identity)を、なんらかのかたちで証してほしい。
4
学科 一般教育等
担当科目: 文学
職名
教授
氏名
梅田祐喜
Ⅰ「授業のあり方」について
教養科目「文学」のクラスは、第一看護学科(2 年前期)、第二看護学科(2 年前期)、社
会福祉学科社会福祉専攻(1 年前期)
、社会福祉学科(2 年後期)、歯科衛生学科(1 年後期)
であるが、質問項目は、(1)教員は授業の目的を明示し、計画的に授業を展開していた。
(2)授業内容は、短大教育にふさわしい質と量であった。(3) 教員から与えられた課題(宿
題)は、質・量ともに適切であった。(4) 教員は、授業(実習、演習等)において安全への配
慮を行なっていた。(5) 休講はなかった。あるいは休講の場合、教員は適切な対応を行なっ
ていた、となっているが、第一看護学科、第二看護学科、社会福祉学科社会福祉専攻、社
会福祉学科介護専攻では、質問項目のいずれにおいても、4.5 以上の評点であり、学生が
授業に満足している様子がうかがえる。それは、「本を読むことが楽しく興味深いものにな
りました。
」、
「楽しかったです。作家への理解が特に深まりました。」、「忙しい毎日の中で、
文学の講義はなぜか落ち着くことができました。」、「心が疲れてきたら、読書をしようと思
いました。
」「受講したことで、考える種ができました。」等々の自由記述の感想にも現われ
ていて、改善の必要がないことに拍子抜けするほどである。こうした傾向は昨年度と同じ
である。ただし、今年度、歯科衛生学科では、質問項目(1)が評点 3.9、
(2)が 3.5、(3)
が 3.9 とやや低めの評価であるが、これは内職(別の科目のリポート作成)や居眠りを再
三注意しなければならなかったこのクラスの雰囲気にも関係があるようだ。因みに、同学科
の学生自身の自己評価項目である(12)
自分はこの授業に対し、自分を律し真剣に臨んだ。(私
語、メールなど授業外のことはしなかった。健康管理はしっかりできた。
)(13) 自 分 は こ
の 授 業 に 関 し た 資料や文献に目を通したり、技術などの習得をしたりして自己研鑽に努め
た、の項目はそれぞれ、評点 3.8、3.5 となっていて、両者の相関関係を表しているようだ。
(4)の質問項目、安全への配慮は、講義科目の場合、評価をどう読めばいいのだろうか(2の
評価の学生も一人いる。
)
、さらに不可解なことは、休講は確かにあったけれども、いずれの
学科とも休講分はきっちり補講して 15 週の講義を行ったにもかかわらず(介護福祉専攻は実
習の関係で 13 回の講義しか、したくともできなかったのであるが)、4 点台の評点となって
いることである。これは、補講をするのは、「適切な対応」ではないとする学生の意見ででも
あるのであろうか。
Ⅱ「教え方」について
「教え方」についても、
「授業のあり方」とまったく同様の傾向がよみとれる。質問項目、
(6) 教員は、学生の理解度に配慮して授業を進めていた。(7) 教員は、学生の理解が深まる
ように工夫していた。
(話し方・説明の工夫、実演及び実物の提示、プリント作成、板書の工
夫、VTR活用、テキスト活用等 )
(8)教員は、学生に対して誠実に対応していた。(質問へ
の対応・レポートへのコメント等)については、第一看護学科、第二看護学科、社会福祉学
科社会福祉専攻、社会福祉学科介護専攻とも 4.5 以上の評点であり、さしせまった授業改
善の必要を感じない。歯科衛生学科では、「授業のあり方」に記したとまったく同じ傾向が
読み取れる。質問項目、(6)、(7) 、(8)はいずれも、3.6、3.6、3.9 となっている。
5
Ⅲ「総合評価」について
項目 (9) 自分は、この分野の基礎的知識や手法の理解が深まった。(10) 自分は、この
はいずれも評点4から5の間におさまっていて
(歯
分野について関心が持てるようになった、
科はいずれも 3.7)
、年齢も年齢になったことだし、ことさら気張ることもなく、今年度のよ
うな講義を続けていきたいと思っている。
文学の講義の目的は、文学作品の面白さに目を開き、ことばの表現を微細に感じ分けられ
るようになることにあって、その意味では、講義の期間中の感想ではなく、これから図書館
や書店で文学作品を手にとって、文学が身近なものになることにあるのであるが、その意味
で、講義が終了した春休みに、
『蹴りたい背中』(綿矢りさ)を読んだけど、先生の感想はど
うでしょうかとか、
『世界の中心で愛をさけぶ』
(片山恭一)や『号泣する準備はできていた』
(江國香織)など当節流行の作品を次の学生たちのために取り上げてもらえたらどうでしょ
うかなどと、ほかほかの読後感を研究室で話していく学生がいることは、まことにうれしい
かぎりである。最初の授業のとき書かせる「文学のイメージ」という課題に、文学は漢字が
いっぱいつまっている肩の凝る本、あるいはすぐに眠くなる本などと書いた学生が、そんな
ことを言ってくるのがうれしいのであるが、そうした態度がどこまで続いていくのかな、な
どと余生のあまりない人間が、他の人の人生を心配する滑稽さも文学の味わいの一つであろ
うかと思い、余談を付け加えた次第である。
6
学科 一般教育等
担当科目: 生物学
職名
助教授
氏名
金子
智子
Ⅰ「授業のあり方」について
高校で生物学を履修した学生とそうでない学生とのギャップに配慮して、授業内容は高
校生物1Bを少し上回る程度のものとし、個々の知識を有機的に繋げることで何とか短大
生にふさわしい内容にできると考えて授業を進めてきた。第一看護学科、第二看護学科、
社会福祉学科社会福祉専攻、社会福祉学科介護福祉専攻の学生は昨年と同様、授業内容に
あまり不満はないと思われる結果が出たが、歯科衛生学科には授業内容に不満を持ち、難
しいと感じている学生が多かった。短大の授業として、授業内容のレベルを現在より下げ
ることはできないので、理解を深めるためには授業方法の検討と工夫が必要だと思う。ま
た、授業の中で現時点での理解の程度を確認する意味で、高校の様子を聞くことが度々あ
ったが、これが学生にとって不快で、嫌みに聞こえたようだ。理解の程度を確認すること
は必要不可欠なことと考えるのでこのような時の問いかけ方を再考しなければならないと
思う。
Ⅱ「教え方」について
最初に「授業内容についての不満や疑問は申し出てほしい。分からないことをそのまま
放置しないで質問するように。
」と伝えて学生と意志の疎通をはかりたいと考えたが、学生
からの積極的な働きかけは皆無で、授業中のこちらからの問いかけにも反応は少なく、大
した効果はあげられなかったと感じている。そこで、来年度は口答だけでなく、高校での
生物学履修の有無や短大での生物学の授業に求めるものを問うアンケートを実施したいと
考えている。それによって授業に望む姿勢について学生自らが考えることを期待し、学生
の求めるものを把握したいと思う。また、実験がおもしろかったとの声が多かったことか
ら、より具体的、視覚的なものが効果的と思われるので、実習を充実させるのと同時に講
義の中ではビデオ教材などを有効に使う方法を検討したいと考えている。
Ⅲ「総合評価」について
学生が何に興味を持ち、何をおもしろいと感じるのかが分からないと思わされることが
多いので、少しでも興味や関心が深まるように意図して今日的課題、例えばクローン、ゲ
ノム、遺伝子組み換えなども取り上げてみたが、それらの問題にも大した反応を示さなか
った。教師が学生の興味を引き出すだけの力量を持ち合わせていないともいえるが、何の
反応も示さないもどかしさを感じたのも事実である。アンケート結果で、最も不満の多い
歯科衛生学科の学生の欠席と遅刻が他学科に比べて突出している現状から、求めていない
意欲のない学生に興味を持たせる難しさが浮き彫りにされたとも考えられる。短大生とし
て何を学び、何を身につけなければならないかについて自ら考えて表現することを課すこ
とによって、学生の意欲を引き出し、さらに、教師が学生の求めるものを理解できれば、
よりよい教育効果が期待できるのではないかと考えている。
7
学科 一般教育等
職名
助教授
担当科目:統計学入門(第一看護学科
・
氏名 館山光一
社会福祉学科)
Ⅰ「授業のあり方」について
第一看護学科に関しての結果は例年こんなものであろう。教える内容が大体決まっている
ので、評価にも大きな変化はない。導入教育なしには手の入れようがない、というのが現
実である。
社会福祉学科に関しては、授業時間が実習のため十分確保できないという理由で、量・質
ともに十分なものとはいえない。ただ、難しい部分がかなり省略されるので、他の学科の
「統計学入門」よりは取り組みやすいだろう。従って、ここの評価は分かれて当然である。
実習の日程に改善が見られない限り、評価を大きく向上させるのは難しい。
Ⅱ「教え方」について
第1看護学科については、比較的よい評価ではないだろうか。しかし、今年の学生は最後
の頃欠席が多く、アンケートに答えたのは「まじめ」な学生である。欠席が多いこと自体
が「教え方」へのマイナス点ともいえる。
社会福祉学科の場合これらの項目は、人数が少ない関係で評価は例年好意的である。これ
くらいの人数(6人)なら確かに教育効果はかなり期待できる。
Ⅲ「総合評価」について
統計学は難しい。第一看護学科の場合教える立場としても、目標とするレベルと学生の基
礎知識の程度のギャップに呆然とするばかりである。他の項目との評価の違い(低い)が
ここにある。導入教育なしにこの項目に高い評価を得るのは不可能ではないだろうか。学
生は正直である。高校での教育が十分なされていない以上、高校卒業を前提とした授業を
行えば、真面目に授業を受けたが、内容は難しくてよくわからなかった、というしかない
だろう。しかし、社会福祉学科の評価は比較的よい。人数が少なければ難しい内容もそれ
なりに消化できるということなのだろうか。それに、教えるものとして授業内容は全然満
足していない。しかし、学生の評価は他のクラスよりよい。レベルを下げれば学生にはう
ける、ということなのだろうか。ある程度の結論がでるまで授業内容、教え方はこのまま
いくしかないだろう。。
8
学科 一般教育等
職名 助教授
担当科目:情報処理演習(社会福祉学科
氏名
社会福祉専攻)
館山光一
Ⅰ「授業のあり方」について
「情報」という科目が中学・高校でも浸透してきているのか、基礎のできている学生がか
なり多くなってきている。そのため、相対的に基礎のできていない学生への対応が難しく
なっている。How to 的な内容では満足できない学生に対応しようとすればするほど「速い」
「難しい」という意見がでてくるのは昨年同様といえる。今年度からの科目「情報の活用」
があるということを前提に、難易度、進度ともに初心者向けの科目にしていかなければな
らないだろう。
Ⅱ「教え方」について
授業内容の質を確保しようとすると難易度がましてしまう。このあたりの点数が低いとい
うのも、そのあたりを反映していると思われる。数字には表れていないが、今回は履修の
取りやめが多かったというのも反省点としなければならない。
Ⅲ「総合評価」について
「理解が深まった」よりも「関心がもてるようになった」のほうが点数がよい、というと
ころに問題がある。面白そうだ、ということは感じてもらえるようだが、理解が深まると
ころまでいかない学生がまだまだ多い、というところだろう。理解が深まる学生の数を増
やすことが課題となる。
9
学科 一般教育
担当科目: 言語と表現
職名
助教授
氏名
鶴橋俊宏
Ⅰ「授業のあり方」について
点数評価については昨年度とほとんど変わらないが、自由記述に「難しい」という評価
が若干増えた。これは、本年度の授業内容に起因することかもしれない。昨年度までは、
言語の具体的あるいは物理的現象を扱ってきた。今年度は、ことばの意味を中心に据えた
ため、講義内容が抽象的になったためかと思われる。映像資料、副教材などを充実させる
べく準備を進めている。
Ⅱ「教え方」について
これも上記と同様である。
「難しい」という声は、教授能力に対する評価ともうけとるこ
とができる。
「分かりやすさ」と水準の確保は二律背反的な面もあるが、日常の実際的な例
を盛り込むなど、より親しみやすいものにするよう工夫をすべきであると考えている。
忖度するところ、講義で用いることばが難解というわけではないようである。難解な術
語を使わないわけにはいかないし、術語との格闘が大学での学習の大きな比重を占める。
この点は繰り返し説いてきたところである。
日頃から theoretical な思考に慣れていない点であるとすると、スタートラインを考え
直さなくてはならないと思う。
講義内容をよりよく理解してもらうために、今年度から独自のテキストを編んだ。アン
ケート結果に見る限り、効果はあったものと思われる。しかし、内容を精選したことがか
えって理解の幅を狭めた結果になったかもしれない。参考図書の紹介などによってそれを
補っていきたいと考えている。
Ⅲ「総合評価」について
言語学の分野への関心という点では、昨年同様、一定の評価が得られた。しかし、その
内容が言語学理論そのものへの関心というよりは、例としてあげた事実そのものであった
のではないかと危惧している。
専門とする通時論に言及する機会を増やし、言語研究の方法論についても触れていきたい
と考えている。
10
学科 一般教育等
担当科目: 「食生活と環境」
職名 講師
「臨床栄養学」 「家政学概論Ⅱ」
氏名 内藤初枝
「家政学実習Ⅱ」
学
Ⅱ
栄
養
臨
床
家
家
政
政
学
実
学
概
活
と
生
食
習
論
環
境
Ⅱ
人数
Ⅰ 「授業のあり方」について
科目評価の実態は昨年度の結果を参考として比較した。なお担当科目が学科間をこえてい
るためグループ単位の平均点は提示していない。いずれの科目も昨年の評価より高い傾向が
明らかにされた。複数教員で構成されている(食生活と環境・家政学概論・家政学実習など)
科目では昨年度の結果は複数教員の平均値であったが、今年度は純粋な自分に対する数値が
示され、結果については真摯に受け止め
「授業のあり方」について
たい。
5
今年度は、昨年の結果を踏まえ脚下照
4.5
4
顧、改めて「学生の実態」に耳を傾け、
3.5
小さな声(意見)も大切にする姿勢を心
3
14年度
2.5
掛けた授業を実施してきた。
その結果「食
15年度
2
1.5
生活と環境」・「家政学概論」「家政学実
1
習」では平均点が4.2以上を示し的確
0.5
0
な対応ができたと自負している。今後の
課題としては、自らも医療・福祉系短期
大学に求められる学生の資質向上に関し
内外に目を向け、従来に増して積極的な
指導ができるよう努力していきたい。
11
養
学
Ⅱ
床
栄
臨
家
政
学
実
習
論
学
概
家
政
食
生
活
と
環
境
Ⅱ
点数
Ⅱ「教え方」について
この項目についても昨年度の結果と比べ概ね高い評価を示した。特に「食生活と環境」で
高い点数を示した点については、学生と教員間の距離を縮めるため毎回その日の授業で
取り上げたテーマにつきレポートの提出を義務づけ、教員は必ずレポートにコメント
を記し返却するという地道な対応が
「教え方」について
功を奏したものと分析した。160人
5
余というマンモス講義ではあるが、教
4.5
4
員にとって「レポートを課す」ことに
3.5
より受講しているすべての学生の考
3
14年度
2.5
え方を知ることができ次回の授業に
15年度
2
1.5
還元することも可能となり、回を重ね
1
る度に教員・学生の共通認識の輪が広
0.5
0
がっていったことが実感できた。教
員・学生にとって毎回のレポート実施
は多少手間が掛かるが、今回のアンケ
ートの自由記述などを見てその重要
性を再確認することができた。今後も学生がその日の授業のまとめとして、より整理
しやすい質問項目を設定したレポートを課していきたい。また「食生活と環境」は講堂
が講義室であり学生には不便をかけているが、見づらい板書を改めプリントを配布したりビ
デオ実写中は後方の照明を絞って手元が暗くならないように配慮するなどの工夫・改善を実
施していきたい。
臨
床
栄
養
学
習
Ⅱ
学
実
家
政
学
概
家
政
食
生
活
と
環
境
論
Ⅱ
点数
Ⅲ
「 総 合 評 価 」 に つ い て
総合評価項目の内容は、それぞれの科目
「総合評価」について
に対する関心の高さ・技術の習得状況な
5
4.5
どの評価を求めているため、実習科目の
4
「家政学実習」では4.5と非常に高い
3.5
3
14年度
評価を示していた。自由記述でも調理技
2.5
15年度
2
術が向上したことあるいは栄養学的根拠
1.5
に立った治療食を学べたことなどに関し
1
0.5
て素直に満足しているようであった。ま
0
た臨床栄養学は昨年度より若干低い結果
を示した。本授業ではお粥の試食とみそ
汁の塩分濃度測定など治療食の原点を実
体験できるような授業展開を行っているが、昨年度と今年度では上記のような体験の実施時
期が異なったことがアンケート評価に影響していたようである。
総括
以上今年の授業アンケート評価結果については、全体的には昨年の結果を踏まえて改善・
工夫したことが効果的に受け止められ、評価点の向上という形で展開てされていた。ただ少
し気になった点としては、昨年度は自由記述欄に所狭しと授業に関する「是・非」さまざま
な意見が記述されていたが、今年度については、自分の科目に限っていえば「食生活と環境」
を除いて自由記述が少なかったことは多少物足りなく寂しい気がした。良い点・悪い点学生
の忌憚のない率直な意見は教員にとって何よりの「良薬」となるはずである。今後の課題と
しては、教材開発なども含め分かり易い授業を行うことを心掛けるとともに、学生がさまざ
まな問題解決にあたって自らが思考し検索していく姿勢の大切さを習得してもらえるような
指導に力点をおいて自己研鑽していきたい。
12
学科 一般教育
職名
担当科目:英語、応用英語
講師
氏名
中山徹
Ⅰ「授業のあり方」について
評価項目Ⅰ(1)∼(3)の結果について。前年度にくらべ、第一看護の「応用英語」で
は評価が上がり、社会福祉学科介護福祉専攻の「英語」では評価が下がっている。第二看護、
社会福祉専攻ではあまり変化はみられない。
昨年度のアンケートでは、第一看護の学生から「英文が簡単すぎる」
、「医療英語を勉強し
たい」という意見・要望が寄せられた。今年度は、その意見・要望を考慮し、医療をテーマ
にした新聞・雑誌記事を教材として選んだ。それが、第一看護で改善がみられた理由である
と思われる。また、第二看護「応用英語」では、少人数授業のやりやすさを実感した。自由
記述からは、その実感が学生にも共有され、授業に対する満足度を上げていることが読み取
れる。
今後は、介護福祉専攻の「英語」のような、多くの履修者を抱える授業でいかに学生の満
足度を高めるかが課題になる。次年度以降は、(第一看護の事例を参考にして)履修者の知的
関心を刺激する内容と質をもった英語・英文を教材として準備すること、そして大人数であ
っても授業への参加意識が維持できるような課題(宿題)を学生に課すことを通じて、改善
に努めたい。
Ⅱ「教え方」について
「教え方」については、同一クラス内であっても、学生によってまったく異なる感想を抱
いていることが分かった。たとえば、自由記述欄には、授業の進み方が「はやい」という感
想と「ていねいでよい」という感想が、授業内容が「わかりにくい」という意見と「わかり
やすい」という意見が、混在している。
この結果は、主に、学生間の英語力の差異に起因すると思われる。
今後は、授業を「はやい」
「わかりにくい」と感じる学生の学習をどう支えるかが課題にな
る。上記のように現在の授業の進め方を「よい」と感じる学生が一定数いる以上、授業自体
の速度を下げることはむずかしい。したがって、前者のような学生に対しては、office hour
などを利用した個別指導の充実がもっとも効果的、効率的であると思われる。また、リスニ
ングやジョークの読解などを「おもしろい」と感じる学生が多いことが分かったので、今後
もそうした教材を有効に使ってゆきたい。
Ⅲ「総合評価」について
ここでは、二つの科目のアンケート結果に注目したい。(一)第二看護学科「応用英語」
。
自由記述には「楽しかった」という感想が三件寄せられている(回答枚数は22)。しかし、
項目Ⅲ(9)で5をつけた学生は0人、
(10)で5をつけた学生は1人であった。(二)社
会福祉学科「英語」
。この科目は専攻別(社会福祉専攻と介護福祉専攻)に行われているが、
授業内容はまったく同じである。しかし、結果をみると、いっけん微細に見えるが重要な差
異が現れている。たとえば、項目Ⅲ(9)の平均をみると 0.4 のひらきがある(社会福祉専
攻は 3.6、介護福祉専攻は 3.2)
。また、項目Ⅲ(9)で1をつけた学生は社会福祉専攻では
0人、介護福祉専では2人であった(項目Ⅲ(10)でも同じ結果が出ている)。
上記(一)の結果は、授業のなかで「学習(独習)法」に関する講義時間を設けなかった
13
ことに起因すると思われる。
(実際、そうした講義を行った他の学科の授業では、項目Ⅲ(9)
(10)で5をつける学生がすくなからず存在している。
)上記(二)の結果は、Ⅱ「教え方」
の欄で述べたこととも関連するが、学生間の基礎学力の差異に対する考慮が欠けていたため
に起こったと思われる。
こうした問題を解決するために、今後は、学習法(独習法)の指導をさらに充実させるこ
とと、個別指導の機会をふやすことをめざしたい。
14
学科 一般教育
職名 講師
氏名
那須恵子
担当科目:食 生 活 と 環 境 、 栄 養 学 、 臨 床 栄 養 学 、 歯 科 栄 養 学 、 小 児 栄 養 学
Ⅰ「授業のあり方」について
従来、講義と実習に分かれていたが本年度より演習科目に変更され、基本的時間数が減少
した科目があった。濃縮した内容の授業形態をとったため、学生には課題が多過ぎる感があ
ったが、よく頑張って学習していた。昨年度指摘された授業目的の明示等、意識して伝えた
結果、全体的に評価が向上したようである。
今後はいかに学習の質を落とさず短時間に理解させるかが課題であり、カリキュラム上の工
夫も必要である。
Ⅱ「教え方」について
視覚的教材を使用したり、講義内容を実習で示すことで学生の関心や理解が深まるようで
あり、実習を取り入れた科目では評価が向上していた。理論だけでなく具体的な事例がより
興味を持たせるようであり、今後もより実生活にそった話題を挟みながら、授業をすすめる
必要があると考える。また、多人数の授業では授業時に声が小さいとの指摘もあるので改善
していきたい。
Ⅲ「総合評価」について
授業を通して食への関心が高まったとの意見が多く、総合評価も多くの科目で昨年度より
向上していた。本年度は課題を与えて学生が自分で考える場を多くしたため、目的意識が強
まり、受け身の授業が少し減少したように思われた。
今後も学生が自分から取り組む必要があるような授業形態を考えていきたい。
15
学科
一般教育
担当科目:生活の化学
職名
講師
氏名
野嶋秀子
Ⅰ「授業のあり方」について
① アンケート結果
(1)(2)(4)および(5)の評価点は5.0の満点,(4)は4.0であった.すべ
ての項目においてグループの平均値を上まわった.その幅は0.1から1.0の値であった.
項目(4)は課題の質と量に関する項目であり,教員側では適当と考えている課題の質と量
が学生側からはそのように捉えられていないことが明らかになった.
② 昨年度からの経緯もふまえた分析
厳密に見れば昨年の項目と一致していないのであるが,(1)から(3)までが本年度のⅠ
に対応するものとすれば,昨年度の評価点の平均点は4.2であり,本年度のそれは4.8
であり,多少の改善点が与えられていると考えられる.この原因として,本年度はより実生
活に即した実験(食用油からの脂肪酸ナトリウム(石鹸)の合成と身の回りの放射線の測定)
を取り入れた点が挙げられると考える.
③ 今後の課題・改善への展望
脂肪酸ナトリウムの合成と身の回りの放射線の測定については,学生の興味をそれ以前の
実験よりもより強く引いた,その結果 学生の学習態度の向上も観察されたので,これから
も続ける意向である.
その他の改善点?として,課題の質と量の問題が残るが,この問題については教員として
短期大学と言えども大学であると考えれば,あまり多くを学生側に譲ることは出来ないと考
える.
さらに,高校化学未履修者に化学の面白さを伝えることに微力を尽くしたいと考える.
Ⅱ「教え方」について
① アンケート結果
(6)は4.3,
(7)および(8)は5.0の評価点であった.これらもグループの平
均点よりも上回った評価点であった.満点でなかった(6)は学生の理解度への配慮に関す
る項目であるが,教員側には講義終了時にはより多くの知識を身につけていて欲しいとの希
望がありより多くのものを学生に望む結果となり,その結果このような満点でない評価点と
なったと考える.学生達の理解度は講義毎に課す課題に現れると考えている.決して学生の
理解度に配慮していないのではない.
② 昨年度からの経緯もふまえた分析
厳密に見れば昨年の項目と一致していないのであるが,
(4)から(5)までが本年度の
Ⅱに対応するものとすれば,昨年度の評価点の平均点は4.0であり,本年度のそれは4.
8であり,多少の改善点が与えられていると考えられる.
③ 今後の課題・改善への展望
受講生数が昨年度2,本年度は3名であり,殆ど個人指導といってよい状態である.この
ような数で推移していくのであれば最大限きめ細かな指導とともに共に学ぶ姿勢を貫く所存
である.
Ⅲ「総合評価」について
①
アンケート結果
(9)の評価点は4.3であり,
(10)のそれは5.0であった.どちらの項目でもグ
16
ループの平均値を上まわった.0.6と1.3の差があった.
(9)および(10)は学生自
身による自己評価を含む項目である.基礎的知識や手法に関して理解が深まったと感じてい
る点と関心が持てるように変化した点について上記のようなよい点が得られたことは,教員
としてもこれ以上に無い望外の喜びである.
② 昨年度からの経緯もふまえた分析
厳密に見れば昨年の項目と一致していないのであるが,昨年度の(7)および(8)が
本年度のⅢに対応するものとすれば,昨年度の評価点の平均点は4.0であり,本年度のそ
れは4.7であり,多少の評価点の低下が見られる.しかし この2年度の間に本質的な何
かの違いがあるとは考え難い状況であるのでもう少し状況を見極めたいと考える.
③ 今後の課題・改善への展望
総合評価に対する評価点には概ね満足できる結果であった.今年度のように学生が興味を
持てる題材を取り入れることに努力していきたいと考える.
さらに 受講者数の増加を図るためにいろいろ考えていきたい.
また 高校化学未履修者に化学の面白さを伝えることに微力を尽くしたいと考える.
17
学科 一般教育等
担当科目:体育実技
職名
教授
氏名
長谷川憲一
Ⅰ「授業のあり方」について
体育実技では、毎年学生の希望を尊重し、硬式テニスを主に、雨天の場合はバトミント
ン、バレーボール、その他レクリエーション種目等を実施している。これら授業の学生の評
価については、各学科とも概ね良好であった。しかし自由記述によると、一部学生の中にサ
ッカー、バスケットボール等、他のスポーツも行って欲しいとの要望もあるが、担当教員一
名で200名の学生の希望を、全て授業の中で適えることは、現実問題として難しいと言わ
ざるをえない。
Ⅱ「教え方」について
個人的に私は、授業の成否は動機付け、興味付け等導入部にあると思います。また、実
技等の授業では、初期効果が年間の授業の方向性を左右することが多いので、授業の初期、
つまり夏休みまでは、希望者にはコミュニケーション効果も含め、積極的に補習授業を導
入している。また、授業では全ての学生と連絡ノートにより、授業への要望や要求を、で
きる範囲で取り上げている。授業については、学生の授業評価とは関係なく、毎年、担当
者として反省はするものである。今年度の授業は学生の協力もあり、比較的良い授業展開
ができたと考えている。
Ⅲ「総合評価」について
限られた時間の中で体育実技のような実技を伴う教科は、あれこれと種目数を増やした
のでは、虻蜂取らずになることが多い。結果的に何も身に付かず、授業を終えることを避
けるため、授業では硬式テニスを中心に行っているが、授業終了後には、相当数の学生が、
テニスを楽しめるレベルまでに到達し、担当者としても喜びである。学生評価についても、
概ね良好であり、自由記述にもその旨垣間見ることができる。しかし一方では、硬式テニ
スに馴染めない学生も若干おり苦慮している。
18
学科 一般教育等
担当科目:健康科学論
職名
教授
氏名
長谷川憲一
Ⅰ「授業のあり方」について
学生評価は、4点を前後している。
健康科学論は、テストを含め7回程実施している。シラバスに従って、授業を進めるこ
とはもちろんであるが、健康学そのものが、極めて広漠な分野であることから、授業の中
では、現代人が抱える様々な問題、社会が抱える問題等を、その都度話題として取り上げ
るように配慮している。しかし、学生の健康に関する学問的な関心は、担当者の責任でも
あるが、あまり高いとはいえず、今後の課題といえよう。
Ⅱ「教え方」について
授業内容に沿って、毎回資料を作成配布し、図説とともに比較的分かり易く授業は進め
ているつもりである。また、必要に応じてビデオ教材や映画等も利用しているが、一部学
生を除き、消極的な者も多く苦慮しているのが実際である。
学生評価4点を、どのように判断するかは別にしても、今後とも、授業に対する一層の
興味付けの必要を感じている。
Ⅲ「総合評価」について
学生評価は、学科によって多少異なるが、3.6∼4.5 点とあまり芳しいものではなかった。
授業では、健康という身近な問題を取り上げてはいるが、若い学生に対して、社会への関
心、健康な精神性、より高い身体の健康度を求めることの難しさを痛感した。
本来、大学の教科学習は授業で動機付けや問題提起をし、学生自身の学習によって、推
し進められるものと考えるが、参考図書や文献を紹介しても読まれたフシも見られず、難
しいというのが実感である。
19
学科
一般教育等
職名
教授
担当科目: 生活の化学,情報処理,情報処理演習
氏名
原田
茂治
評価点
大学では「授業」とは言わず「講義」と言うのは,「業を授ける」のではなく「義を講ず
る」からであるとその昔新入生のときに聞いて,「なるほど」と思ったことがある。講ぜら
れる内容がなぜ問題とされるのかすら理解できないこともあったが,大抵の場合「自己の
知と技の貧困」に打ちひしがれた。講義内容を理解しようと大いに学んだが,わかり得た
部分はそう多くはない。講義1時間に対して予習復習2時間を充てて,それを15週やっ
て1単位,とは大学の単位の数え方であるが,そんな程度の勉学で間に合うはずがない。
大学とは学問とはかくも奥深いものだと感じた。その気持ちは今も変わらない。これが学
生諸君の「わからない」「難しい」という記述への回答の一つである。「講義をただ聞いて
いるだけで理解するのは困難です。自分のものにするまで思考して下さい。そこから新し
い考えが生まれることもあります。講義を休むと論理の繋がりがわからなくなります。」
それとは別のところに原因の一つがある。それは後期中等教育において「(従来の)大学
教育を受けるための基礎的事項の勉学」を「科目選択」の名の下につまみ食いするように
なったからである。自然科学を基礎とする諸科学を学ぶのならば,高校程度の「数学」と
「物理学」の基本的考えを理解しておくことと,問題の所在を看破しその解答を導き出す
論理的「国語力」は必須の事項だ,とはもはや言うまい。歯科衛生学科では「生活の化学」
が必修扱いである。その1年生はほとんどすべて高校化学ⅠB既履修である。よって高校
化学Ⅱに相当する部分に大学教養課程の基礎事項をミックスし「生活の化学」を論じ,歯
科衛生学科の専門科目につなげればよいことになる。しかしそれを実施すると,教室の雰
囲気は拒絶反応以外の何ものでもなかった。学生諸君に問うてみると,「高校で化学ⅠBは
履修したが,教科書の前の方をやっただけ」と答える者が多数を占めた。「炭素原子の結合
の手は4本」も学んでいなかった。言葉が通じていないのである。結局,未習得者のため
に多くの時間を割く講義となった。しかしそれでは,高校化学習得者に不満が残るであろ
うから,彼らに学んでほしい発展的内容を含ませた(それが未習得者に「難しい」と感じ
させる原因になった可能性があるが,この部分を落とすと単に高校化学を2単位で復習す
ることになってしまう)。
今年度の「授業アンケート」の分類Ⅰ∼Ⅳの評価平均点を以下に図示した。昨年度の評
価項目は今年度のそれとは同一ではない
14年度
授業のあり方
が,
(1)∼(3)をⅠ,
(4)∼(6)を
15年度
5
Ⅱ,
(7)と(8)をⅢ,
(9)∼(11)
4.5
平均
をⅣとして集計した。水平線で示した平均
4
3.5
点は教養科目理系科目のそれである。
3
2.5
Ⅰ「授業のあり方」について
2
歯科衛生学科における講義内容の平易
1.5
1
化によって評価点があがったのは皮肉で
0.5
ある。「授業内容は,短大教育に相応しい
0
Ⅰ看化学 歯科化学 社福化学 介護情報 Ⅱ看情報
質と量であった」にだけ着目すれば,歯科
衛生学科では2.0から3.2への大幅増
加であった。本年度の「授業のあり方」では,概ね平均点を得た。社会福祉専攻の14年
度のデータが欠落しているのは,受講者がゼロだったからである。15年度は6名。ケア
するのに好都合な人数だったことが高評価点を得た理由であろう。
20
14年度
評価点
教え方
15年度
Ⅱ「教え方」について
5
歯科衛生学科の評価点はやや低い。そし
4.5
4
て相反する自由記述を得ている。「難し
平均
3.5
い」
,
「理解できない」という評価と「学生
3
2.5
の理解力にあわせて丁寧に授業をしてく
2
1.5
れたのが非常に良かった」,「基礎から説
1
明してくれてわかりやすかった」という評
0.5
0
価である。これ以上易しくすることは学ば
Ⅰ看化学 歯科化学 社福化学 介護情報 Ⅱ看情報
ないことだと思う。例えば pH も知らない
卒業生は出したくない。歯科衛生学科では昨年度同様「たまにぼそぼそとしゃべる時があ
って聞き取りづらかった」という記述が複数あった。学生の私語がひどくなると,講義者
の意欲が減退する。そのとき注意を喚起する意味で大きな声は出さないことにしているが,
それに対する評価である。何を言っているか全然聞き取れない,という評価にならないこ
とを願う。他のクラスの評価点は概ね平均点であった。実は第一看護学科で一番気持ちよ
く講義ができた。学生の概ねの評価は「難しいところもあるが,興味がもてるし,実験も
面白い」であった。望む評価である。情報処理科目の自由記述は概ね肯定的であった。感
謝の言葉を聞くと嬉しい。
14年度
15年度
総合評価
Ⅲ「総合評価」について
ここまで述べてきたことを反映して,歯
科衛生学科では低評価。他のクラスでは平
均点またはそれ以上の評価であった。
5
4.5
4
平均
評価点
3.5
3
2.5
2
1.5
Ⅳ「授業に対するあなたの取り組み」
これについては多くを語るまい。出席し
ていれば良いというものではない,とだけ
申し上げておく。
1
0.5
0
Ⅰ看化学 歯科化学 社福化学 介護情報
授業に対するあなたの取り組み
14年度
Ⅱ看情報
15年度
5
4.5
4
Ⅴ「今後の改善点」
自己点検の結果,自己批判に値する内容
はなかった。大学教育への導入(補習)教
育が必要なのかをどうかを真剣に検討した
いと思っている。
平均
評価点
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
Ⅰ看化学
21
歯科化学
社福化学
介護情報
Ⅱ看情報
B
看護学科
学科 第一看護学科
職名 教授
氏名 荒谷喜代美
担当科目:看護学概論(前期)、症状別看護、看護管理(後期)、臨地実習(通年)
Ⅰ「授業のあり方」について
1 看護学概論:①「目的の提示」「質と量」がともに 3.8 であった。②昨年度との比較で
は多少改善された。③今後は目的の明確性を高め、量的な工夫を図る。
2 症状別看護:本年度から国家試験の方法が改正され、国家試験出題基準にみられる対
象となる症状数が多くなっている。そのため、授業に少しでも多くの症状を取り上げよ
うと今年度は授業形態を変えた。グループワークは昨年度と同様であるが、昨年度実施
した症状毎のグループの割り当てや各症状の基本的知識の発表方法も取らず、時間を浮
かせ、全学生が全ての症状について学習するように配慮した。学生に用意させた(教員
の点検)資料をもとに、症状発生のメカニズムから看護診断、看護計画を関連図として
作成させた。できあがった関連図を発表する時間がとれず、学生の中には不満足に終わ
ったように思われる。その結果、①課題の「質・量」についての項目が 3.0 と低く評価
された。②昨年度との比較は授業の方法論が異なり、そのまま比較できないが、低かっ
た。③今後の課題としては、取り上げる症状の精選を図りたい。
3 看護管理:昨年度まで看護管理は看護学概論Ⅱと称していたもので、内容を管理に相応
しいものに、しかし、あくまでも看護学概論範疇のもので整え直した。教授単元毎に質問
を提示し、それにグループで回答する形式を取った。①授業の目標と質問との整合性を図
ろうとして、質問項目が多くなりすぎ、それに伴って必要な資料数も多くなった。それを
反映したのか、
「課題数」が 3.2 と低く、
「あまりそう思わない」ものが 27%いた。②昨年
度の比較は単純に出来ない。③今後の課題は課題数の多さに、
「時間のゆとりがない、説明
がもらえない」などと自由記述にみられるため、目的を明確に、また課題数を厳選・工夫
し少なくする。
4 臨地実習:該当項目の評価は 4.2∼4.7 であった。「あまりそう思わない」と回答した
学生1人いたが、実習では患者に恵まれたり、恵まれなかったりの要素や病棟差の要素
が加わるため、この1人で問題にする必要は考えられない。したがって、実習のあり方
としては問題なかったと考える。
Ⅱ「教え方」について
1 看護学概論:①「工夫」
「対応」では 3.6、3.9 であったが、
「理解度に配慮」に対しての
評価が平均 3.0 であり、理解度の配慮について不足している。②昨年度と比較しても悪い
評価であったことは努力した効果が反映されていない。③今後は授業内容をわかりやすく
し、授業中の学生の反応や理解度を確認しながら行う。また、授業のまとめを述べること
も改善につながると考える。
2 症状別看護:①授業で取り上げた項目の多さが、学生の理解度についての配慮を不足
させる結果を招いたと考えている。そのため、「理解度の配慮」「理解が深まる工夫」の
項目評価が 3.1、2.9 と個人で学生にしてもらっている各授業終了後の評価より悪く、予
想以上の悪さであった。全てをグループでの協同学習にしたこと、全ての症状をグルー
プ全員が学習する形態を取ったことで学生にゆとりがなくなったこと、教員からのフォ
ローがないと感じたことなどが結果に影響したと思われる。②昨年度と単純に比較出来
22
ないが悪い。③今後は一つ一つの症状を基礎知識部分を講義し、残りをグループワーク、
発表と解説の時間にあてる工夫をする。
3 看護管理:①「理解度の配慮」「理解が深まる工夫」ともに 3.4 であり、ともに「そう
思う」から「どちらでもない」までに 78.4%回答している。違いは後者に「あまりそう思
わない」
「そう思わない」に約 12%、10%回答していたことである。理解を深まる工夫がさ
れていないと評価している学生が約 22%いたことになり、工夫したことが効果的でなかっ
たことを意味する。③今後の課題は、工夫してことが課題の多さに打ち消されてしまっ
たと考えられるため、この授業に期待される内容をさらに吟味し、適切な課題を学生に
提示する。
4 臨地実習: 該当項目の評価は 4.0∼4.3 であった。その中で、「学生の理解が深まるよ
う工夫している」について「あまりそう思わない」と回答した学生が2人いた。今後の
課題として、学生とのコミュニケーションを図りながら、必要とされる情報を提供する
よう努力し、また工夫したい。
Ⅲ「総合評価」について
1 看護学概論:①「理解の深まり」「関心」は 3.6、3.2 と低く、特に関心度は低いことが
わかった。これは概論が直接的に学生に関わるものというより、看護の本質的なものであ
るため、内容が抽象的にならざるを得ないことも低さの要因になっていると考えている。
③今後は抽象的な内容に具象化を図り、出来るだけ個々に説明出来るよう努力したい。
2 症状別看護:国家試験出題基準に捕らわれるあまり、学生への理解を深める欲求への
配慮が十分でなかった。①「理解の深まり」「関心がもてる」は 3.3、3.4 であり、教え
方の悪さは反映していないように思った。③今後は、授業のあり方や教え方にも書いた
ような方法論の改善と工夫をして学生のニーズに応えたい。
3 看護管理:①「理解の深まり」「関心」は 3.5、3.4 であった。看護管理は卒業後臨床
で働くものとして最低限要求されることを念頭に置いたにもかかわらず、学生の中には
そこまで考えが至らない学生もいることがわかった。③今後の課題は、前述のⅠ、Ⅱに
提示した内容で工夫をする。また、これまでは教本を持たせなかったが、内容的に相応
しい教本が得られたので、それを用いてグループワーク形式もとり入れながら、講義す
る。
4 臨地実習:該当項目の評価は 4.3、4.5 であり、「知識や手法の理解が深まった」「関心
が持てる」について「そう思う」が 40%、58%で、「ややそう思う」が 50%、31.6%であった。
「あまりそう思わない」
「そう思わない」と回答した学生はいなかった。③今後ともおしえ
かたについての工夫をしながら、これを継続してゆく。
23
学科
第一看護学科・第二看護学科
職名 助教授
氏名 石田貞代
担当科目:①母性の健康と看護、②母性の健康障害と看護、③セクシュアリティ、
④各論前実習、⑤母性看護実習、⑥継続看護実習
Ⅰ「授業のあり方」について
担当科目の①②③は講義形式の授業である。①では昨年度、課題が多くて負担が大きか
った、といった意見が多く見られたため課題の内容、量ともに見直しをして学生の負担の
軽減を図った。その点が評価されたのか、授業の理解度は比較的よく、全般的に見ても昨
年度よりよい評価を得た。しかし、②授業内容の一部について、わかりにくかった、とい
った感想を書いた学生がわずかだが見られた。また、休業中の課題やその課題を基にした
グループワークの課題が多すぎた、といった感想を書いた学生もわずかだがいた。したが
って、これらの点を工夫することが必要だと考える。③は今年度はじめて担当した科目で
あったが、学生の評価や感想は他の2科目に比べて非常によい評価であった。
④⑤⑥は実習科目である。各実習の目標が達成できるよう④では共同で実習を担当する
教員と、また⑤や⑥では領域内の教員や実習施設での実習指導と事前の打ち合わせや実習
中の連絡調整を行い、学生が受持対象者のケアを行う中で学びが深まり、スムーズに実習
が展開できるよう配慮している。この視点から見た学生の評価は高いと思われる。
今後は学生がもっと主体的に学べるような授業のあり方を目指したい。
Ⅱ「教え方」について
上記科目①②③では、毎回授業のポイントをまとめた資料を配付して学生の理解を促す
工夫をしている。この点はいい評価を得ていると考える。また、④⑤では基礎的な知識や
技術を身につけられると共に受持対象者のケアを通して目標が達成できるよう、適宜質問
をしながら学生の理解度を確認し、不足部分を補うよう努力している。しかし、対象者の
ケアを通して教える場合の教え方について、ごく一部の学生からだが、もっと配慮をして
ほしい、との意見が見られた。こちらは配慮しているつもりでも、その配慮が学生に分か
るように伝える努力が足りなかったのかも知れない。⑥では、学生が提示した目標や実施
したい内容にできるだけそった形で実習が展開できるよう調整をしている。これらの調整
は昨年度に比べてスムーズにできたため、学生の学びも深まり、よい評価が得られたと思
う。
今後は学生がもっと理解しやすい教え方を工夫する必要がある。
Ⅲ「総合評価」について
①②は昨年度に比べていい評価が得られた。④⑤は昨年よりやや低い結果であった。③
は新規科目で、⑥の一部も新規科目であったがいい評価であった。総合的に見て、工夫し
ている点がある程度評価されていると思うが、上記にあげた不足点、学生からの指摘は真
摯に受け止め、改善する余地が十分あると考える。
24
学科
担当科目:
第二看護学科
職名
講師
氏名
金城やす子
小児看護概論
小児の成長発達と生活
小児期の健康障害と看護
臨地実習・小児看護
Ⅰ「授業のあり方」について
1・講義科目について
小児看護の講義について、小児看護概論の初回講義時に小児看護の講義の全体の流れ
と実習との関連について説明し、さらに、各講義のはじめには講義予定や講義内容など
を具体的に提示している。また、内容については単元ごとのテーマと学習目標、学習
内容がわかるように資料として提示し、学生が何を学ぶのかが理解しやすい工夫をし
ている。
小児の成長発達と生活は、発達段階の各期に分けて講義立てしているが、時間数が
少なく、ビデオなどの視聴覚教材を活用するには少し無理があり、発達の具体的な講
義をどのようにしたら良いのか検討課題である。
小児期の健康障害と看護では、急性期疾患の看護、慢性期疾患の看護、予後不良児・
長期療養児の看護など、すべてを一人の教員が担当しているが、どうしても教員の専
門の分野に時間がとられる傾向になってしまうのではないかと危惧している。
講義科目では、なるべく多くの項目を説明しようと詰め込み授業になりやすいが、も
う少し内容を吟味し、一つ一つを丁寧に説明できる時間とゆとりを持ちたいと考えてい
る。
2・演習について
小児に特徴的な看護技術についての演習の時間が、講義課目の中での組み立てとな
るため、演習を行う時期の問題、演習する技術項目の問題など、検討課題は多い。ま
た、現在の学生は子どもとの接触体験が少なく、子どもとのかかわりが持てない状況
が多いために、できるだけモデルを使用した演習やデモンストレーションなどを取り
入れたいと考えている。
3・臨地実習について
小児看護の実習では、受け持ちを通して対象としての子どもの理解や具体的な援助
を学んでいる。実習目的を提示し、病棟指導者と連携をとりながら実習を進めている
が、子どもとの関係がとれず実習目的が十分達成されない学生もみられ、実習方法の
見直しも必要なのではないかと考えている。
また、病院の特殊性から、現在一人の教員が2病棟を担当する方法をとっているが、
教員不在の実習をする学生が過度の緊張や不安をもつことがあり、効果的な実習がで
きないことも考えられる。学生の評価にも、「教員のかかわりが少なく、自主性が必要
だった」など、教員がいないことについての指摘がされている。この点に関しても検
討していきたい。
Ⅱ「教え方」について
25
1・講義科目について
昨年の評価において問題となったことは、話しかたが早すぎる、声がソフトなので眠
くなってしまう、マイクの調子が悪く声が通らない、というしゃべり方そのものに対す
ることがあった。評価を受けて改善を試みた結果、今年度の評価では上記のような内容
はなかった。しかし、毎回接続の悪さからかマイクが入らない、電池が切れていて使用
できない、など機器の問題があり、何回か学生課に連絡するということがあり、学生に
迷惑をかけたと感じている。
講義ではテキスト以外に毎回講義内容をプリントした資料を配布し、学生が記入しな
がら使用できることで評価は良かった。見やすい資料や使いやすい資料などの評価を得
た。
講義ではできるだけ臨床での事例や具体的な場面を通して説明したり、モデル人形を
使用するなどの工夫をし、学生の小児に対するイメージと理解につとめたが、十分理解
できるまでにはいかなかったのではないかと反省している。
2・実習での教え方
臨地実習では、なるべく多くの実践ができるようにベッドサイドでの指導を多くし
た。学生と一緒にケアすることで具体的な方法を指導した。ケアの根拠について個別指
導を取り入れたり、臨床の指導者と連携を図るようにした。
Ⅲ「総合評価」について
学生の評価では、昨年は 3.5∼4.0 が多かったが、今年度は 4.5 以上が多いとかなり良い
評価になっている。点数だけでは評価の説明はつかないが、昨年の学生の意見を参考に、
資料の工夫や、講義内容の整理などを行ったことが評価につながったのではないかと考え
る。今年度の学生からは、
「資料がわかりやすい。使用しやすい。講義がおもしろく理解で
きた」などの意見が聞かれていた。
臨床での事例や看護の経験を通して授業を進め、小児看護について考えるという方法を
取り入れてきたが、学生の子どもに対するイメージを増し、小児についての理解を深める
ことができたのではないかと評価する。
課題が多いことが学生には負担になっているようである。講義時間数との関係から、で
きるだけ自己学習してほしいと考え課題をだしているが、過度の負担にならないように内
容や回数・量の検討をしていきたいと思う。
26
学科
看護学科
職名 教授
氏名 久保田君枝
担当科目:第一看護学科:母性看護概論、セクシュアリティ、臨地実習母性看護
第二看護学科:母性看護概論、母性の健康と看護、母性の健康障害と看護、
臨地実習母性看護
Ⅰ「授業のあり方」について
教員は情熱を持って教授し、学生は学ぶ喜びが実感でき、双方が授業に主体的に参加
できること。また、授業を通して知識や技術の定着が得られ、自己成長につながる授業
を目指している。
母性看護学は妊娠・出産・育児を通して生命の尊さや人間として成長するための基盤
づくりの大切な時期にあることを考えさせ、学生自身の母性や父性を助長させる機会に
なるような授業や臨地実習を行っている。授業科目の目的を達成するために課題を提示し、
授業と臨地実習に主体的に参加できるようにしているが、課題の内容に質・量的に負担に
なった学生がいた。学生としての学習時間の使い方を学生とともに考えていきたい。
教員は授業、臨地実習時の学生への安全や学習時間を厳守し、学生の学習環境を尊重し
た姿勢で教授していきたい。
Ⅱ「教え方」について
授業科目の目的を単元ごとに授業内容を提示し、事前に学習できるようにしている。
授業の単元の内容にあわせて、レジメと資料を配付し、知識の獲得の一助にしている。
学生の集中力を高めるために、身近な事例や体験談、視聴覚教材を入れながら、メリハ
リのある授業になるように努力している。
授業の進め方は学生の理解度、反応、授業態度を重視した授業を行っているが、昨年に
引き続いて「板書を増やして欲しい」という意見があり、授業の工夫に努力していきたい。
単元ごとに学生に授業評価をしてもらい、その結果を次回の授業で学生に返している。
教員は授業評価の結果を元に次回の授業で補足したり、復習したりしている。
Ⅲ「総合評価」について
学生の記述内容から「興味深い内容だった」
「考え方が変わった授業であった」
「わかり
やすかった」
「私たちの判断に任せて下さり、そっと見守っていて下さるのを強く感じた」
など、学生の知識の開発に役立ち、概ね、学生は満足していたと思われる。しかし、板書
に関する意見と課題の内容と量に関しては、学生の意見を真摯に受け止め、授業の工夫に
努力していきたい。
教育目標の達成と教育内容の質的向上に日々研鑽していく努力の必要性を感じている。
時代とともに変化する社会の動向をタイムリーに捉え、タイムリーに反応できる教授力を
培っていく努力をしていきたい。また、その成果を授業に反映した授業展開をしていきた
い。
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学科:看護学科
職名:助教授
氏名:小島洋子
担当科目:
小児看護概論
小児の成長発達と生活
小児期の健康障害と看護
臨地実習・小児看護
Ⅰ「授業のあり方」につて
履修要項以外に講義予定表を提示し、学習目的を知らしめているつもりだが、時代の変化
を取り入れていくために、説明したいことが多くなり表面的になったり、詳しく説明しよう
とすると,他のことを省かざるを得なくなったりと、難しさを感じる。16 年度は資料以外に、
毎回授業要旨の配布を考えたい。
受け身ではなく、自らが資料を探し考えることができるようにと、課題を出しているのだ
が、多くなる講義ほど学生の評価は悪くなる。自分でまとめることで、保育園実習や病院実
習で役に立っていると感想をよせてくれる学生がある反面、課題への不満が多い者ほど試験
の結果は悪い。一方通行的な課題は出していないし、みんなの提出したものをまとめたり、
回答例を渡したりと努力はしているつもりなので、提出の義務化をしない(確認を希望する
者のみ提出)か、お互いに楽だからやめようといいたくなる。学生の変化に応じて、こちら
が対応して、如何にやって良かったといえるような内容を考えなくてはならないのでしょう
が。実習の記録は、学生の行動の意味を、日々一緒に考え裏付けが可能なことや、今年度担
当した学生の意欲が高かったことから、課題を肯定的に捉えていると考える。
素朴な疑問。演習を伴わない授業の安全への配慮とは、何ですか。温度、空気の流れ、学
生の身体状況の確認ですか。学生は自己管理ができて当然の年齢。逆に実習における評価が
高く、配慮があったと認識している。そのように考えると学生のつけた評価の意図がわから
ず、自己評価のしようがなく、改善策を考えることはできない。
休講ついては、結果の点数がどうこうではなく、休講とは何かは、疑問に思う。個人的理
由での休講はないし、開講回数も減少していない。講義初日に理由を明示し予定表を配布し
ている。実習と講義が同時進行であるため、火曜日が、月曜休みのため実習初日であったり、
学生の方に他の実習が組まれると休講して、
別の日に補講をせざるを得ないのが現状である。
理由を説明しても、教員の動きを認識しようなんて考えていない学生に理解してもらうのは
難しい。学生が3年になり、実習で教員が講義などに戻ることで、両方担当していることを
知り、研究室にいっても不在だった意味を理解する。カリキュラム編成を抜本的に考えない
限り、休講がないとはいえない。
Ⅱ「教え方」について
自分の知識が曖昧だと、学生にわかるように話すことは難しいことを痛感している。子
どもをイメージできない学生に対し、できるだけ具体的例を話したり、ビデオを用いたり、
あとでも確認できるようにと資料を作ったりはしているのだが、大切なところをいってほ
しいとか、同じように講義を聞いていても教科書を読むだけという反応があったり、わか
りやすくて資料が良かったという反応があったりとで受け取り方は様々である。興味を引
き出す話し方を学ぶことは必要だが、60 人いる学生の個々のレジネスを考慮して組み立て
ることは無理なので、個々の反応を把握できるように、1クラスの人数を減らすこともで
きたらと思う。技術演習は学生 30 人に、教員3人でやっている。その点、実習は学生の理
解度に合わせて、一緒に考えることができるので、説明すべき内容が変えることが可能で
ある。
小児看護概論は1年後期に入っているが、小児に関する統計や社会制度などがメインに
28
なっている。自分の健康保険の種類さえ知らない学生がいるのに、医療費助成の説明をし
ても混乱するだけ。公衆衛生や関係法規は2年の前期にあるので、基礎的知識がないまま
講義がスタートする。小児の病棟に勤めたいのだが、覚えなくてはならないかとか、一つ
一つのことばが難しくて覚えることができないという反応が結構ある。小児看護概論を2
年前期にもってきて、小児の講義関係を2年次に集中させることも、解決策の1つかと考
える。
出席カードを毎回配布し。あれば疑問・意見・感想を記入してもらい、次の講義日に疑
問に対しては答えている。これは続行する予定である。ただ、学生の評価の配点記入をみ
ると、人間だからいたしかたないのだが、お互いにうまくいかない関係があることがよく
わかる。個としての関係になる、実習においては可能なら担当にならないことを祈る。
Ⅲ「総合評価」について
子どもを理解する・子どもの生活援助ができるのは、実習などで子どもの直接的反応を
見ることができたり、責任を持って援助したときに関心が高まるものである。制度面がメ
インの概論は知識を要求されているので、評価が低いのは頷ける。そして講義が進むにつ
れてわずかではあるが、評価が上がっている。そして、臨地実習・小児看護の終了時点で、
自分なりの子ども観をもち、子どもが好きになってほしいと思っている。
29
学科 第一看護学科
職名 講師
担当科目:慢性期成人看護・成人看護Ⅲ
氏名 坂本知子
1.授業に対する理念
慢性期成人看護の授業は、慢性的健康障害をもって生きる対象者との関わりと
自己管理行動支援および症状マネージメントに対して、①学生が自身の思考を働かせ
る、②本質の発見や気づき、③納得し、理解する、という思考と探求の能力を形成す
る場であると考える。
したがって、学習の保障として、①科目の基礎・基本を系統的に展開する。②学習
者の主体的能力形成に寄与する形で授業を実現してゆくことを目指している。そのた
め、学生が集中できる授業を作り出す努力を積み重ねてゆきたいと考えている。
2.授業運営の自己評価
1)受講生に対する配慮
〔発問に対して指名する場合〕
指名は、指導を焦点化する効果と達成を評価する側面を持つ。そのため、指名され
た学生が、ひとつの答えにたどり着いて回答するまで待ち、集団における一斉授業内
での達成評価局面がスポット化され、否定的学習にならないようにしている。
2)授業方法の工夫・努力
①教科書に加えて、慢性的健康障害と看護の一部に対してだが、病態―症状―看護の
一連について OHP を作成して図示している。理解の促進と他の慢性的健康障害と
看護の理解への学習の転移を促している。
②グループ毎に、各慢性的健康障害の別にまとめ、発表する機会を設けている。
3)副教材等作成の現状
①経過が複雑な慢性的健康障害については、発症機序から看護援助まで、OHP を作
成して図示している。
②演習・シュミレーションについては、実技・方法・解説を作成して、配布している。
4)学生による授業アンケートに対する自己評価
①わかり難い→教材を活用した効率的な授業運営を工夫する。
授業開始時に講義項目を明示する。
②字が小さい、きたない→板書は少なくして OHP を活用し、時間内にまとめる。
③声が小さい、聞こえにくい→マイクの音量を確認する。
5)授業改善への展望
慢性期成人看護では、慢性的障害を持って生きる対象者への自己管理行動と生活の
再構築に関する患者教育と症状マネジメントを進めてきた。今後はさらに、自己管理
行動支援について、幾つかの慢性的健康障害事例を作成・提示し、学生自身が、調べ、
思考し、表現して具体化しやすい組み立てを試みたい。
30
学科 第 2 看護学科
職名 教授
担当科目:解剖生理学、病態学 II、病態と治療 II(外科系)
氏名 佐橋 徹
Ⅰ「授業のあり方」について
専門基礎領域は、将来の臨床講義や実習に欠くことのできない基礎学力を習得する学問
である。アンケート調査によると、残念ながら、その重要性は十分に認識されていないよ
うである。昨年度にもこの傾向は見られた。入学早々の 1 年生に、臨床講義や実習を意識
することは困難ではあろうが、ぜひ、専門基礎領域の重要性を理解してほしい。
Ⅱ「教え方」について
アンケート調査には、“量が多い”、“スピードが速い”、“単調であった”、“大切なポイ
ントがわからない”
、
“黒板の字が汚い“などの意見があった。医学部では、約 2 年かけて
行う解剖学、生理学や病態学を、前期あるいは後期の 15 時限で講義をするためには、必然
的に量は多くなり、スピードも早くならざるを得ない。教科書に準拠して、板書をしなが
ら講義を続けているが、プリント、ビデイなどの利用も必要であろうと考えている。しか
し、講義を聴き、ノートをとってそして理解し記憶する利点も捨てがたい。担当科目は、
知識注入型で生徒が講義や教科書の内容を読み取り、理解して、自分自身で考える内容と
は異なるために、講義は単調になり、商店が定まりにくくなる傾向にあるが、臨床での経
験なども取り入れて、立体的な講義にして興味を増すような努力をしたい。
Ⅲ「総合評価」について
最も得点が低かった項目は、
(6)、「教員は、学生の理解度に配慮して授業をすすめてい
たか?」という設問であった。大量の内容を限られた時間で講義するためには、内容を検
討して、講義する部分と自己学習に任せる部分とを取捨選択する必要があるかもしれない。
プリント、レジメ、ビデオなどを有効に利用することも必要と考えて、積極的に取り入れ
たい。また、大切な事項を強調するために、まとめの時間を作ったり、小テストを行った
りしてみたい。
31
学科
第一看護学科・第二看護学科
職名
担当科目: 講義: 看護学概論・臨床看護総論
臨地実習:基礎看護Ⅰ、Ⅱ.継続看護
教授
氏名
関根龍子
Ⅰ「授業のあり方」について
「 看護学概論」はそれぞれの専門領域に必要な看護実践の基礎となる科目であり、その
内容は、看護とは何か、看護の本質、看護の目的、看護の機能と役割、看護に関係する法律、
看護管理、教育制度等で、
「臨床看護総論」は「看護概論」「基礎看護技術」とその他の専門
領域で学んだ知識や技術を活用し「あらゆる年齢層の健康障害をもつ対象」に看護者として
の役割と責任を重視した援助方法を統合して応用できることを授業のねらいとしています。
学生さんからの評価の総合点の平均は 4.3 で昨年より改善されての評価でした。授業の最初
には具体的な進め方、資料の提示、小テストの回数、評価の方法等をオリエンテーションし
ました。授業時間が 135 分と長いために間に休憩を取ったことは良かったと。しかし、この
2 科目とも内容は難しい科目で発問が抽象的であったが熱意が伝わってきたので問われてい
ることは何かを必死に考えたとコメントされました。後期の「臨床看護総論」はグループ学
習を主としましたが、学生さんは「大変だったが自分達で積極的に学習し、協力して発表原
稿を作り、ためになった」との評価でした。なるべく内容は具体的にと考えて改善して授業
を展開したのですが、まだ分かりにくい内容の部分もあるとのことですから、さらに工夫す
る必要があると考えます。
基礎看護の臨地実習は初めて受け持ち患者に接するので、看護の喜びや楽しみが味わえる
ように患者選定には研修をし、了解を求め、計画を密にしているためか評価は昨年より高い
評価でした。学生の中にはもっと教員が学生と一緒にケアしてほしかったとコメントしてあ
りました。これらについては希望に添うよう努力する必要があると考えています。
Ⅱ「教え方」について
毎回講義の際には資料の提示に心がけ、更に自分が体験した事例の説明、自作のビデオの
映写等によって工夫しました。学生からのコメントには体験談が聞けて良かったとの評価で
した。
今後もこれらの工夫は続けて活かして行きたいと考えています。
臨地実習については学生となるべく一緒にケア出来る機会を作って行きたいと考えます。
Ⅲ「総合評価」について
「看護学概論」は 3.9 で「臨床看護総論」は 4.2 の評価でした。
「看護学概論」は難しい
ために学生さんは最初からは興味が湧かなく、
関心が余り持てないと考えられますが、
「臨床
看護総論」については、後期であるため他の学科目も進み理解出来る状況になっていると思
います。
グループ学習を多く組んでいますが、学年によって考え方が異なるように思います。出来
るだけ自主的に学習できるようにテーマの選択、グループ分け、発表方法などの改善を試み
たいと思います。臨地実習については学生の実習に対するストレスが少しでも和らぐような
関わり方、ケアについては看護の実践を行うことで少しでも看護の喜びや楽しさが理解でき
るように、患者には理解してもらえるような関わり方をしていきたいと考えています。さら
に改善すべきところは謙虚に受け止めて行きたいと思います。
32
学科 看護学科
職名 講師
氏名 高林 ふみ代
担当科目: 第一看護学科 1年 前期 生化学 後期 薬理学
第二看護学科 1年 前期 生化学 後期 薬理学
Ⅰ「授業のあり方」について
昨年に引き続き、
「看護師教育に必要な内容を吟味し、基本的な事項について繰り返し教
える。疾患理解・患者理解を深めるためのツールとして生化学、薬理学の知識が役立つよう
に、疾患と関連づけた講義を行う」ことに心がけた。また、生化学・薬理学は学生の負担感
を考慮し授業内容の取捨選択をすすめているが、質量ともに修得には学生の自宅学習が欠か
せない。そこで、学生が復習をしやすいように「教科書ページを明示した、計画的な授業を
する」に心がけた。実習と授業が重なりやむなく休講とした回数に関しては、補講を実施し
14 回の授業時間を確保した。
学生の評価をみると 4.0 を上回っており、めざす「授業のあり方」としてはほぼ満足い
く結果であったといえる。
Ⅱ「教え方」について
看護教育で必要とする薬理学の内容は、「疾患症状の生化学的理解に基づいた医薬品の
作用メカニズムの理解」であると考える。そこで、薬理学では関連の深い生化学部分につい
て、生化学教科書のページや図表番号を示し、二者を関連づけた授業展開を行った。さらに、
高校生物学・化学の基本的事項の確認を必要とする学生が少なからずいることを考慮し、高
校生物・化学の内容を示すことにも心がけた。また、板書を写すことに腐心し授業に集中で
きない学生が多いので、薬理学では授業内容のポイントや板書の一部を記載した「書き込み
ノート形式のプリント」を毎回作成し配布した。加えて、なるべく生化学・薬理学学習に興
味を持つよう、学生が臆せず自由に質問できるフレンドリーな雰囲気作りには非常に神経を
注いだ。その結果、最初は一部の学生が授業後に質問刷るのみであったが、授業回数を重ね
るにつれ授業中にも質問や意見が出されるようになり、生気ある授業になった。さらに加え
て、授業に集中できない学生が他の学生の妨げにならないよう、授業開始をはっきり認識で
きるように心がけた。
学生の評価は 4.0 を上回っており、教員側の「教え方」に関する工夫に理解が得られて
いると考えられる。
Ⅲ「総合評価」について
「総合評価」は平均が 4.1 であり、「授業のあり方」「教え方」と比較すると低い得点で
あった。生化学・薬理学は内容を看護に強く関連する部分に絞るよう努力しているが、授業
内容量に比較して授業時間が短い。
従って学生の負担感が大きくなっていると考えられるが、
看護師に対する社会的期待の高まり、医療の急速な高度化を鑑みるとき、授業内容が多くな
ることはやむを得ず、教育を担う者として苦慮する点である。
また、
「学生の授業に対する取り組み」の質問項目では、授業に関連した資料や文献に目
を通すなどの自己研鑽の得点が他より低い。科目の性質上、かなりボリュームのある教科書・
授業の基本事項を確実に覚える必要があるので、余力がないのかもしれない。
しかし、学生の自由記述をみると、
「重荷な科目であったけれど、一生懸命勉強した」様
子がうかがわれ、学生の努力に敬意を表したい。
今後も、授業内容を単に暗記させるだけでなく、基礎的事項を学ぶ中で合理的思考過程を
身につけてもらえるよう、授業内容・方法を吟味し学生の声に耳を傾けながら真摯に努力し
33
ていきたい。また、質のよい看護師を送り出すという社会的期待に応えるよう最善を尽くし
たい。
34
学科
看護学科
職名
教授
氏名
竹下誠一郎
担当科目:解剖生理学I、病態学総論I、病態と治療I内科(第一看護学科)
解剖生理学、病態学総論I、病態と治療I内科(第二看護学科)
I「授業のあり方について」
解剖生理学・病態学総論・病態と治療の3科目全体の評価の平均値は 4.64 であり、現行の
授業内容・進め方で学生からの満足が基本的に得られたと理解している。専門基礎科目は、
医学や看護学を修得する上で基盤となる重要な科目である。解剖生理学では、正常の人体の
構造とその生理機能を理解することを目的とする。病態学総論や病態と治療では、病気(主
に内科系疾患)の原因、病態、臨床症状、診断とそれに必要な検査法、治療および予後を学
ぶことを目的とする。従って、人体の正常編から異常編までを密接に関連付けて授業するこ
とが重要と考えている。
II「教え方について」
解剖生理学・病態学総論・病態と治療の3科目全体の評価の平均値は 4.62 であった。解剖生理
学・病態学総論・病態と治療では、難解な医学用語が多数出てきて暗記することが膨大であるため、
学習方法に悩む学生が多いのが現状である。従って、看護師を目指す学生にとって、記憶すべき
最低限の事項をプリントで明確に示すことを心がけている。また解剖生理学の講義は単調になりが
ちなので、過去の国家試験問題の提示や傾向を踏まえて紹介し、学生の学習意欲が高まるような
工夫をしている。解剖生理学の講義の最初に、前回の講義で指摘した“暗記すべき最低限の事項”
を確認するために、小テストを毎回実施した。その小テスト施行が学生にとって過度の負担になった
かどうか不安であったが、学生の反応は概ね良好だった。病態学総論・病態と治療の講義では、自
らの臨床経験や事例を紹介しながら、学生の関心が高まるように努力した。教科書を中心にした授
業を行い、重要なポイントや最新のトピックスを紹介したプリントを配布した。また、図書館にある教
育用ビデオを活用して、視聴覚からも理解を深められるように努力した。一方で、病態学総論・病態
と治療では講義内容が多くてスピードが速すぎたとの指摘があり、今後の課題として改善したいと考
えている。
III「総合評価について」
解剖生理学・病態学総論・病態と治療の3科目全体の評価の平均値は 4.30 であった。この3教科
は看護学生にとって範囲は膨大で内容が難解であるので、これらの分野の「理解」と「関心」が深ま
ったかどうかに対する評価は若干低くても致し方ないと考えている。講義内容の量を減らして“ゆと
り”のある授業にする方法もあるが、学生の自主学習の量が結果的に増えるため、なるべく現行の授
業内容を削減したくない。決められた時間内で、いかに効率よく教育できるかを再検討して、今後さ
らに充実した講義ができるように努力したい。
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学科
看護学科
職名
助教授
担当科目: 一看 終末期成人看護、一看 成人総合看護、一看
一看・二看 臨地実習
氏名
塚本康子
看護研究、
Ⅰ「授業のあり方」について
学生へのアンケート結果では、「授業のあり方」を問うている5項目の点数は昨年よりわずかに
上昇し、どの科目も 4,5∼ 5,0 で、概ね学生たちは満足しているものと思われた。授業内容の整理
を試みたことが効果的だったと考えている。また、本年度から担当した「看護研究」の授業では、平
均 5,0 が 3 項目あり、幸いにして点数は高かった。14 人という少人数での授業だったということも
影響しているものと推測できるが、この結果を次年度に繋げていきたい。
ただ、課題の質と量に関する項目では、平均が 4,5 となり、学生達の満足度はやや低くなってい
る。学生に対する課題の返し方を次年度への課題としてあげておきたい。
Ⅱ「教え方」について
「教え方」を問うている3項目については、講義ではどの科目でも 4,5∼5,0 と点数は高
く、学生は授業の進め方や工夫、学生への対応についてはほぼ満足しているものと推測で
きる。しかし、臨地実習となると平均 4,3 と点数は低くなる。少人数ながら 1 や 2 という
点数の学生もあり、自由記述でも指導への不満を記述している。グループの実習であるが、
同一のグループ内で「教え方」に満足している学生と、不満を持っている学生の存在を意
味している。戸惑い、不安の強い病院実習では、個々への細やかな配慮を必要としている。
少しでも学生が自信をつけられるような「教え方」をさらに検討していきたい。
Ⅲ「総合評価」について
この分野の理解が深まり関心がもてるようになったかについての「総合評価」は、平均
4,3∼4,6 であった。点数として低くはないが、「授業のあり方」や「教え方」より低くな
るのは、
「どちらともいえない」と答える学生が増えたからである。学生達の学習成果を保
証する方法を検討していきたい。また、病院実習では緊張感も伴うが、興味関心を惹起す
るものと考えていたが、点数は最も低かった。病院実習は学習の機会や質・量でも貴重な
学習体験の場であり、学生達の理解や興味関心を引き出し伸ばしていくためにも、教育方
法を振り返りながら今後も検討していきたい。
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学科 看護
職名 講師
氏名 永野 ひろ子
担当科目:(1)基本技術,(2)日常生活援助技術,(3)診療・検査補助技術
Ⅰ「授業のあり方」について
人間理解に根ざした,科学的思考による熟練した技と創造性を育成し,将来看護の現場(社
会)
でより良く生き抜くことのできる自主性と,より良い人間形成を教育の理念としている。
また,広い視野に立って看護の対象としている人間観,看護観を培い,さらには物事を常に
批判的かつ建設的にとらえ,主体的に学ぶ態度・姿勢を育成する。
Ⅱ「教え方」について
研究(共感的理解尺度)と平行してカウンセリング技法(ミニカウンセリングを行い逐語
録の取り方)を取り入れ,又体験的学習過程方式により学生の具体的な体験から抽象概念の
形成を図り,学習への関与を促進させている。特に,昨今,医療の高度化・専門化が進展す
るなか,看護の現場におけるより鋭い観察力,判断力が求められており,国家試験の出題傾
向もその難易度がますます高くなっている。平成9年来,授業内容「基本技術及び日常生活
援助技術」の精選とその展開を検討し作成した,
「看護技術学習手引き書∼こころに触れる
援助技術∼2002」と既存のテキストを平行させ,理論的かつ適切な根拠に基づく的確な看護
の技術が提供できる実践的な学びができることをねらいとして活用し,実践的レベルでの習
得に取り組んでいる。
Ⅲ「総合評価」について
教育課程(2 年間)において,時間数(前期 15 回)と教授内容から鑑みて時間的制約下に
ある展開においては,内容が過密であることは避けられない。結果は,出席状況>目的明示
>教員の熱意度>真剣なとり組み>誠実な対応>興味の喚起>内容のレベル>容量>個別的
な工夫の順位であった。これらのことから学生自身の自己評価値(出席状況,真剣度)と教
員評価値(熱意度,目的明示)とは相関が認められ,学生のとり組みは教員の熱意度に依存
することが示され,寄与しているものと考える。又,授業では難易度の高い理論(ロイ適応
モデル)
,および科学的根拠の重要性が臨地実習においては理解が深まった。一方,個別的な
理解の工夫・教授容量・内容のレベルに関しては,当該年度による学生観,特にレデイネスと
授業の内容および方法の妥当性について吟味し,検討していくことの必要が示唆された。一
般的には短期大学から大学への移行期にあるなか,また,地域のニーズが求めるものを考え
ると,第一に看護教育の質の向上,さらには,進行中の研究及び社会活動を教育の現場にい
かし,人間の尊厳とより良く生き抜くことのできる自主性を教育理念として,今後の授業改
善を図る。具体的には,副教材「看護技術手引書∼こころに触れる援助技術∼」における内
容の精選と妥当性の検討・修正を図り充実させていく。一方,学生は過去の学習体験を引き
ずっており(特に第二看護学科の学生)
,それが正当であるなしにかかわらず,学習過程を「体
験学習モデル(Kolb,D.1984)
;学生の具体的な体験,観察,抽象概念の形成と一般化,新
しい概念の適用と反映」を取り入れ,科学的思考と創造性を喚起・育成するための教育効果
の視点からも検討し改善していくことである。
37
学科
第二看護学科
職名
教授
氏名
深江 久代
担当科目:第一看護学科:老年看護概論、老年期の健康障害と看護、老年期の保健・医療・
福祉、臨地実習(老年看護、地域看護、継続看護) 第二看護学科:老年看護概論、老年期
の健康障害と保健医療福祉、臨地実習(老年看護、各論前実習、地域看護、継続看護)
Ⅰ「授業のあり方」について
① アンケート結果
評点の平均値:第一看護学科:老年看護概論 4.6、老年期の健康障害と看護 4.3、老年期
の保健・医療・福祉 4.7、 第二看護学科:老年看護概論 4.5、老年期の健康障害と保健医療
福祉 4.7、臨地実習(第一看護学科、第二看護学科)4.6
自由記載では「わかりやすい」
「深く学べた」などの記述が多かったが、課題の質・量につ
いて「多くて大変だった」という学生が一名いた。
② 昨年度からの経緯もふまえた分析
評点の平均値を見ると、概ね良い評価であると考える。昨年度とアンケート項目が違う
ため一概に比較は出来ないが、類似の内容で比較をするとほぼ同様の点数であった。老年
期の保健・医療・福祉はやや点数が向上したが、購入したビデオを活用するなど、教え方と
の関連があると思われる。課題の量や質については「そう思う」の5につけた者が最も多い
ため、個別的な配慮が必要と考える。
③ 今後の課題・改善の展望
全体的に問題はないため、引き続き目的の明示、計画的な展開、安全への配慮等を継続し
ていく。授業内容については、社会情勢、国家試験の動向、学生の意見などで常時見直しな
がら改善していく。課題についてはどの学生も主体的に取り組めるような動機づけを心がけ
ていく。
Ⅱ「教え方」について
① アンケート結果
評点の平均値:第一看護学科:老年看護概論 4.4、老年期の健康障害と看護 4.5、老年期
の保健・医療・福祉 4.7、 第二看護学科:老年看護概論 4.4、老年期の健康障害と保健医療
福祉 4.7、臨地実習(第一看護学科、第二看護学科)4.6 自由記載では全体的に「わかりやすい」
「イメージがわく講義」
「質問について丁寧に対応してくれた」「グループワークが役に立っ
た。
」などの記載が多かった。しかし、「誤字脱字が多い。
」「3冊の教科書が十分に使われて
いない。
」
「グループワークをまったくやらない学生がいて腹がたった。
」
などの記載もあった。
② 昨年度からの経緯もふまえた分析
以前より、高齢者の疑似体験や高齢者への生活史のインタビューを取り入れたり、福祉サ
ービスについては市町村への聞き取りを体験させ、具体的に理解できるよう工夫している。
また、自分の体験や事例を多く取り入れ関心が高まるよう配慮したり、各自が学んで授業で
確かめられるよう、課題を出したり、グループワークを取り入れている。さらに、毎回講義
の感想、疑問点、意見等を書く紙を配布し、疑問点については次回の講義で復習を兼ねて説
明し、疑問点の解消に努めている。学生は、事例を活用した講義には熱心に参加する。昨年
度病院での臨床経験が少ないため、実習での事例を大切にしたいと評価し、以前より心がけ
て紹介した。また、国試の問題も多く紹介していった。以上により昨年度と同様によい評価
が得られたと考える。
③ 今後の課題・改善の展望
教科書については、国家試験対策等を考えるとどうしても 3 冊必要と考える。また、教
科書のみの講義では、学生の興味関心が薄くなり、また不十分となる。今後は最初の講義
38
計画を話す時に教科書の活用方法を加えて説明しく。また、誤字脱字については注意をし、
グループワークは全員が参加して臨めるよう配慮していく。引き続き体験例、新聞、ビデ
オ、グループワークなどを積極的に取り入れ、学生各自が関心を持って学習し、授業で確
かめられるような講義を行っていく。
Ⅲ「総合評価」について
① アンケート結果
評点の平均値:第一看護学科:老年看護概論 4.3、老年期の健康障害と看護 3.9、老年期
の保健・医療・福祉 4.4、 第二看護学科:老年看護概論 4.4、老年期の健康障害と保健医療
福祉 4.6、臨地実習(第一看護学科、第二看護学科)4.6 各科目の項目を見ていくと、第一看護
学科前期に行っている「老年期の健康障害と看護」の(9)基礎的知識や手法の理解、(10)関心
の二項目が共に一番低かった。臨地実習の自由記載では「看護の基礎となることを学べて
よかった」
「楽しくて学びの多い実習だった」「いろいろな看護技術を実施することができ
た」など、良い評価の記載が多かった。しかし「1 回の訪問で記録するのは大変」「訪問が
少ない」
「教員が 2 施設掛け持ちの担当で心細い」「何を目標として学ぶべきかわからなか
った」などの記載もあった。
② 昨年度からの経緯もふまえた分析
老年期の健康障害と看護の基礎的知識や手法の理解は、昨年も一番低かった。その要因と
して臨床経験がないため、病院内での体験例の話は少なく、文献に頼って展開していること
が大きいと考え、作年度末に「高齢者の急変時の対応、異常の早期発見のポイント」の研修
に出かけたり、実習体験を大切にして授業で紹介するなどの工夫をしたが、さらに改善が必
要と考える。
実習は評点からは良い評価と考えるが、
「何を目標として学ぶべきかわからなかった」と
いう意見はたとえ一人であっても問題と思われるので、今後このようなことがないよう改
善が必要と考える。
③ 今後の課題・改善の展望
講義については臨床経験ができることが一番望ましいが、現体制では不可能なため、臨
床指導者等から学ぶ、実習体験を大事にする、臨床での事例等の文献による検討を深める
などを行い、改善に努める。臨地実習については実習施設との関連が大きく、実習を受け
てくれる施設が少ないため改善が難しいが、現在お願いしている施設には、学生の意見を
伝えるなどして調整をしていく。また、訪問看護ステーションは増えているのでさらに開
拓してよりよい施設の選定をしていく。目標については学生個々の問題意識を確認して、
各自が学びたい内容とこちらが学ばせたい内容の調整を図る努力をしていく。
39
学科 第一看護学科
職名 助教授
氏名 牧野典子
担当科目: 急性期成人看護、
成人看護概論、
臨地実習(各論前実習、急性期成人看護、継続看護)
Ⅰ「授業のあり方」について
これに関連する 5 項目の評価点数は 4.1∼4.8 で、平均 4.4 と比較的良い結果である。授
業の目的を示して、課題を与えながら誠実に行っているので予想通りの結果であるが、小
項目をみると、
「短大教育にふさわしいか」「課題の適切性」の 2 項目が平均より低い。「授
業内容が短大教育にふさわしい質と量であるか」を第一看護学科の学生が判断できるのか
は疑問であるが、高校時代に看護の授業を受けた第二看護学科の学生は比較できるので参
考になるかもしれない。結果は 4.3 であった。このクラスの反応を来年度も見ていき、「短
大の授業内容は高校より専門性を追求している」と感じてくれればうれしい。昨年度の結
果は「レベルが適当か」と聞いていて「短大教育にふさわしいか」とは聞いていないので
比較できない。
また、課題の質と量に関する評価については、おもしろい結果が得られた。課題をほと
んど出さなかったクラス(4.1)より出したクラス(4.3)の方が評価が高い。前者のクラ
スから課題を出してほしいという自由記述はないが、「テキストを読んでおくように」とか
「ミニテストで間違った所を復習しておくように」という呼びかけだけでは、満足できな
かった者もいたのであろう。学生は課題を出されると学習せざるを得ない。しかしその結
果、自分はよく勉強したという満足感も生まれるのではないか。第一看護学科 1 年生と 2
年生の「自己研鑽」点が低いのは、課題をほとんど課されなかったことが一因であったか
と反省している。
課題に関連して、実習における課題(特に実習記録用紙を完成させること)と学生の自
己学習あるいは自己研鑽への努力との関連性について述べる。実習指導を担当する教員は、
学生に毎日課題を課し、翌日に提出させている。カンファレンスで発表させることもある。
学生は、課題が実習の学びを助けるために課されていること、患者によりよいケアを提供
するためのアドバイスをもらうためであること、学習の成果を示すまとめであり評価の対
象であることなどを理解して努力してくるのである。学生は実習が終了すると強い達成感
を得る。ちなみに、実習を終了した学生の「自己研鑽」点は 4.4 であり、満足感がうかが
われる。このように、課題は出し方によって学生の自己学習を換気し、達成感につながっ
ている。今後授業でも上手に活用して行くことを考えたい。
Ⅱ「教え方」について
これに関連する 3 項目は 3.9∼4.5 で平均すると 4.2 であった。クラス別に見ると、第二
看護学科 2 年の急性期授業 4.4、臨地実習 4.3、第一看護学科 2 年の急性期授業 4.2、第一
看護学科 1 年の概論授業 4.0 の順である。概論は、急性期看護の授業や実習と比較して抽
象的で具体性に乏しくなりやすい。しかも看護場面をほとんどイメージできない学生が対
象であるので、教え方に工夫が必要である。
急性期の授業は、救急や急変時の看護と、手術を受ける患者への術前から退院までの看
護(周手術期の看護)とを修得することが目的である。しかし第一看護学科の 2 年生は、
実習経験が少ないために救急場面や術後の状態をイメージすることができない。術後患者
に看護を行うには、手術後の患者の身体に何が起ころうとしているのかを理解して、その
40
ような状態の人にどのようなケアが必要かを考えなければならない。その過程を丁寧に教
えていく必要がある。
一方教員は、授業で学習したことが実習の時に役立ってほしいし、国家試験で取り上げ
られた手術患者の看護については授業で教えたいと考える。その結果、限られた時間内で
最大限の事例を取り上げて教えることになる。しかし、一部の学生が「進み方が早すぎる」
「学生の理解度に配慮していない」とコメントしている。もっと事例を厳選して解るまで
ゆっくり教える必要があるのかもしれない。ただし、「わかりやすく興味が持てた」「大切
なところをしっかり教えてくれた」など嬉しいコメントも多い。
また、学生の遅刻・早退は第一看護学科 2 年生において特に目立ち、学生自身も 3.8 と、
他のクラスが 4.5 以上であるのに対してこのクラスは低い。私も、大幅に遅刻して平気な学
生や授業態度の悪い者を無視できず、授業のやる気をなくしてしまったことがある。多くの
学生は授業内容を理解しようとまじめな態度で臨んでいるのであるが、他のクラスよりやり
にくさを感じた。
Ⅲ「総合評価」について
これに関連する 2 項目は 3.5∼4.4 で平均は 3.9 である。「知識や技法の理解が深まった」
「関心が持てるようになった」と 4.0 以上を示したのは、実習と第二看護学科の急性期看
護の授業であった。特に実習で「関心が持てるようになった」という点が 4.4 と高くなっ
ている。ただし、実習の点数は第一看護学科 3 年生と第二看護学科 2 年生の総合評価であ
り、実習の種類も 3 種類が混ざっているので、急性期看護の分野に限った関心ではないが、
少なくとも看護に関心を持ってもらえたことはよかったと思う。今後は、第一看護学科の
授業でもよい結果が得られるように努力したい。
41
学科 看護学科
職名
講師
氏名 三輪木君子
担当科目:基本技術、日常生活援助技術、基礎看護実習Ⅱ、基礎看護実習
Ⅰ「授業のあり方」について
1.授業について
学生がこの授業をとおして、何を学んでほしいか、何ができるようになってほしいのか
を明確にするため、授業開始時には授業計画を示している。毎回の授業では授業の目的、目
標および学習内容を示し、学習への動機づけを図っている。また学内実習では学生がどのよ
うに行動したらよいか具体的内容を示し計画的に展開している。したがって、昨年と同様に
アンケート結果も高い評価を得た。
学生の関心を引きだし、主体的に学習に取り組み、考えて行動できるように、根拠や原理・
原則などをはじめから示すのではなく学生自身に考えさせるように体験学習、実験、グルー
プワークなどを取り入れるなどの工夫をしている。課題はチェックリストの作成や自己の健
康アセスメントなど内容を精選し、学生の負担が多くならい程度に課している。
今後も学生のやる気を引き出し、主体的な学習姿勢を育てるような授業を心掛けたい。
2.実習について
臨床実習は患者との関わりを通して学ぶことに学校では学ぶことのできない意義がある。
しかし、患者が治療を受ける医療の現場において行われる授業であるため、学内実習のよ
うにやり直しがきかない特質がある。学生が実習目標を達成するためには、この実習で何
を学習させるのか、効果的な指導をするためには具体的にどう関わるかなど実習指導計画
を立てるとともに、学生には具体的な展開内容を示し計画的に展開している。また、実習
は教員と病棟の看護師全員との協力体制によって成り立つ。実習が円滑に展開できるよう
に、臨床指導者とも事前および日々密に連携を取り合い、学生と患者、医療スタッフとの
間の関わりが推進するように学習環境を整えている。さらに学生が初学者であるため患者
におよぼす影響も大きく、受け持ち患者の安全と安楽を確保し、学生の能力では不十分な
部分については教員が補足、補完している。学生のアンケート結果からは高い評価を得る
ことができた。今後も円滑な実習展開ができるよう学習環境を整えると共に、実習目標が
達成できるような指導や学生への支援、患者の権利保証と安全性の確保に努力していきた
い。
Ⅱ「教え方」について
1.授業について
前期に基本技術 60 時間、後期に日常生活援助技術 90 時間を合わせて1年間通して同じ対
象に関わっている。この授業は講義の他に、学内演習・実習を含む授業であり、教員と学生
との人間的な関わりが学習効果に影響をおよぼす。教え方で配慮したことは
① 学生の名前と顔を早期に覚え、授業でも名前で呼ぶように心掛け、1人ひとり
を大切にし対話するように心掛けた。
② 授業に対する理解度への配慮は授業毎の出席カードを活用し、授業に対する感想、意
見、質問などを書いてもらい、次の授業で質問への回答や授業の改善に努力した。但
し学内実習終了後のまとめが充分できていないので今後、時間配分に注意する。
③ 授業には講師1人と助手が3人指導にあたっている。学生が同じ内容とレベルで指導
が受けられるように、1回の授業に2回の打ち合わせを行い、詳細な授業案を示して
内容を検討し、指導内容の共通理解と統一を図ると共に、教員の技術力を高め、モデ
ルとなるように練習と確認を行い、学内実習に臨んだ。
④ 看護技術のビデオ教材を作成し、授業で活用した。また、技術習得のために学生がい
42
つでも自由に練習できるように実習室の開放と、自己学習用ビデオをいつでも見られ
るように実習室にビデオデッキを配置している。
⑤ 個々の学生の理解度と技術習得への配慮では、今年度は学生カルテを作り、学生の理解
度や技術の習得状況をみて形成的な評価をしながら指導した。また、学内実習だけでは
なく、実技テスト前の自己学習においても関わりを多く持った。
アンケートの結果より
① 授業をとおして、看護者としての態度の育成や身だしなみの徹底などの注意などをし
ているため時に厳しく接することもあった。
前期の評価では教員の対応への評価が 4.0
と低く、自由記述において教員の言葉がきついと指摘されたため、後期の授業では誠
実に対応するように努力した。後期の評価では 4.8 に改善し、丁寧な指導を受けたと
評価を得た。
今後も学生に誠実に対応するために、学生に関心を持ち、学生1人ひとりを尊重し、
認めること、誰に対しても公平であること、自由に質問できる雰囲気を作り、応えて
いくことなどを心掛けていきたい。
② 前期の基本技術では学内実習の時間にゆとりがなく、時間がオーバーするのは困る
という意見が多かった。後期ではその反省をふまえて事前に準備するなど時間配分に
ゆとりを持って行った。結果、否定的な意見はなくなり、むしろもっと時間がほしい、
充実していた等肯定的な意見もあり、学生のなかに授業や自分の技術習得に対する取
り組み姿勢が前向きに変化してきていることが伺える。
2.実習について
教え方については高い評価を得た。学生にとって臨床実習は学内の授業と違って、患者
への援助を通して看護に実際を学ぶために、実践に関する知識の不十分さや技術の未熟さ、
患者や看護師との関係を作る上で不安や緊張などストレスが強い。そのストレスをできる
だけ軽減し学習を継続し実習の目標が達成できるように学生を支援するように心掛けた。
今後も配慮していくことは①学生の不安や問題に早く気づくように常に学生に関心を持っ
て関わる。②ベッドサイドにともに行き、生活援助場面にできるだけ立ち会い、学生の主
体的な行動を見守るとともに必要時補完したりロールモデルを示す。③
カンファレンスを通して気づきや体験が意味づけられるように導く。
Ⅲ 「総合評価」について
授業や実習をとおして知識の理解の深まりや技術の習得、関心が高まったと評価が高か
った。しかし学生の自己評価は甘く、実技テスト終了後はできていても実習では個別の状
況に合わせた技術の適用は難しい。援助の必要性と根拠が考えられ、どんな状況において
も原理・原則をふまえた技術の実践ができるように教育方法の検討を続けていきたい。
43
学科
看護学科
職名 助教授
担当科目:精神看護概論、精神保健、看護臨床看護、精神看護実習
氏名 吉浜 文洋
Ⅰ「授業のあり方」について
アンケート結果からすると、実習はほぼ平均点といえるのだが、講義はどの項目も平均
点以下。昨年も同様であった。
今学期の学生の授業へ臨みかたで印象に残っているのは、第一看看護学科 2 年の私語の
多さ。第二看護学科 1 年の居眠り(後期は 5 限ということもあってか特に多かった)。
私語については、アンケートでも指摘があったし、注意したことを学生から支持されたこ
ともあった。
これは、学生の側にも最低限の授業のマナーとして考えてもらわなければならない。し
かし、教員の方にも、私語や居眠りを越える、聞きたくなる授業を展開する工夫が要求さ
れていると反省している。
自由回答のなかに国試への不安がのべられている。これまでも、国試問題の解説を授業
に取り入れていたが(今年度は少なかった)、この不安を授業に活用することも考えたい。
国試解説を授業のポイントに使えば学生の関心を引き寄せられるだろう。
演習をどう取り入れるかも課題。現在は、精神臨床看護の時間に 3 こまグループ発表を取
り入れているが、討論にならず、教員からの質問と解説で終わっている。簡略化した IBL が
やれないかと考えている。
実習については、次年度は、実習への導入をスムーズにするためにオリエンテーションの
一部を実習病院の見学に当てることにしている。
Ⅱ「教え方」について
アンケートで、評価が低いのは、
「理解」に関する点。どれだけ理解したか学生からのフ
ィードバックを受けないまま授業を進めている点は、改善したい。授業の最後に、分から
なかった点、感想などを書いてもらい、次の授業でそれへの回答を行うことにしたい。
ビデオ、事例等で、まず精神障害者のイメージをつかんでもらい、精神看護のケアにつ
いて抽象的にではなくリアルに理解を深めてもらいたいと考えている。しかし、それだけ
でなく、ポイントを押さえた知識の整理を学生は求めている。国試が不安だからとは思う
が、レジュメ、教科書に書いてあるからそれを参照してくださいでは、通用しないようだ。
授業の随所に知識の整理を盛り込んで、理解を深める工夫をしたい。
臨床での体験談に関心をもち、興味深く聞いてくれる学生もいるようだが、それは、枝
葉のことだから幹の部分に力をいれるようにとの学生の声もある。臨床での問題解決には、
ただ暗記されただけの知識では役に立たない。覚えておかなければならない知識と、その
具体的な活用についてのイメージ。授業での両者の按分、からませかたに工夫がいるとい
うことだろう。
授業の目的を明確にすることも求められている。これまでも、レジュメに書き、授業の
冒頭で話してきたつもりだが、さらに随所で強調していくつもりである。
発問を多くし、学生の反応を確かめ、対話を心がけることがまず第一かもしれない。一
方的な授業になりがちであった。
実習については、
申し送り時間の工夫、
保護室等の見学など実習施設に要望を伝えている。
44
実習体制を大きく変えることは不可能だが、年々改善し、学習環境は充実してきている。
Ⅲ「総合評価」について
学生の評価で考えなければならないと思うのは、やはり理解しにくい授業であるという
点。精神看護は、こころ、精神といった目に見えないもの、形として示しにくいものを工
夫して学生に提示しなければならない。そのことの困難さを言いいたてるだけでは逃げに
なる。学生は、精神看護に関心がないわけではなさそうだ。一こま一こまの授業を、伝え
たいポイントを絞って丁寧に説明しいくという凡庸なことをまず、実行することにしたい。
教育の消費者である学生の意向にみあった商品をそろえ購買意欲をそそるといった感覚
での授業が構想されなければならないのだろう。
45
C
歯科衛生学科
職名:教授
氏名:有泉祐吾
学科:歯科衛生学科
担当科目:歯科保存学、歯科材料学、診療補助実習
Ⅰ「授業のあり方」について
昨年度とほとんど同様な評価と考えられるため、学生に対する講義としては、ほぼ妥当
なものと考えられる。
短大の限られた時間内で、教授したいことは数多く存在する。そこで、量的な不足を補
う為にプリントや資料として配付しているが、それでもかなりの分量となっており、量的
な指摘を懸念していたが、学生の評価としては、ほぼ満足がいくものと考えている。
今後はさらに質的に深い講義としたいが、このためには現状以上の時間数が必要で
あり、短大という枠を考えた場合、なかなかに難しい問題であると考える。
実習においては時間数の関係から、同一実習の複数回の実施が難しく(空き時間の個
人自習は推奨している)、その点を記載している学生がいた。
Ⅱ「教え方」について
「授業のあり方」について記載した通り、時間数が限られているため、昨年度と同様、講義と
学生自身のまとめ(復習)とが、効率よく連携するよう講義の要点をプリントとし、それに
穴埋め形式で記載していく方式を採っている。また講義前には、前回の復習と学生の理解
度をはかる為、小テストを行っているが、今回の評価からは、さらなる理解度への配慮を
考えたいと考える。
また、昨年と同様、大多数の学生が、まったく新たな知識として受講するわけであるか
ら、当初は専門用語をなるべく平易な言葉で解説し、理解が容易になるよう配慮している。
一方、実習にあたっては、なるべく講義と実習が連動するようカリキュラムを編成し、
可能な限り大多数の教員で担当し、目の行き届いた実習を心掛けている。
授業を受けたその時点では完全な理解には至らなかったが、実習等を通じて深い理解
に至ったという学生の言葉を毎年聞くことからも、講義、実習のさらなる連携を考えて
いきたい。
Ⅲ「総合評価」について
各評価項目の結果を考察すると、概ね、講義、実習ともに、ほぼ満足のいく結果ではな
いかと思われたが、さらに各個人の関心、理解度を高める方策を模索していきたい。
すべての学生があらゆる面で満足のいく授業を行うことは極めて難しいことではあるが、
昨年と同様ではあるが、その講義に興味を抱き、自ら学習(研究)していく意欲を惹起せし
めるような授業へと進めていきたい。
また実習においては、それぞれの学生の修得状況は、各個人によって異なっているので、
今まで以上に個々人に沿った目の行き届いたもの(理想は、一対一)としていきたいが、そ
のためには多少であっても教員側の人員増員も必要と考える。
46
学科:歯科衛生学科
職名:講 師
氏名:海老名和子
担当科目: 予防的歯石除去実習、障害者(児)介助補助実習
Ⅰ「授業のあり方」について
①学生のアンケート結果では、平均 4.5 と 4.2 で、授業の計画性、授業内容の量、質、 課
題等について学生が、ほぼ満足している結果ではないかと考える。
②昨年度は、担当する両科目とも 4.2 という結果であった。昨年度と今年度を比較しても
学生のアンケート結果は、大差なく「授業のあり方」については、それほど問題はないと
考えている。
③担当科目の授業計画は、開講時に学生に示すようにしている。授業変更も変更がわかっ
た時点で学生に連絡するように努めている。特に予防的歯石除去実習は、歯科衛生士の専
門性を示す歯科衛生士養成教育として重要な科目で、授業内容、量ともに必要最低限とな
っている。しかし授業は、1年前期から2年前期までの3期間で合計 135 時間の長い授業
である。このように実習時間数が多いので毎回の授業の目標を明確にするようにしている。
しかし実習内容によっては、1回限りの実習もあり学生にとっては、技術を修得するとこ
ろまで到達できない項目もあるのが現状である。そのため授業の目標設定が高いという意
見もあるかもしれない。今後、教授項目の時間配分等については、学生の理解度に応じて
変えていくことも必要かと考えている。そしてなるべく効率の良い授業展開をしていきた
い。そうすることで実習回数が、現状より増えると良いと考えている。また教科書には載
っていない最新の知識、技術についても取り上げていきたい。
Ⅱ「教え方」について
①学生のアンケート結果では、予防的歯石除去実習では、平均 4.1、障害者(児)介助補
助実習が 4.1 でそれほど教え方に問題があるとはいえない。しかし自分自身、満足のいく
教授方法ではなく反省点が多々ある。具体的には、学生にわかりやすくしたい、確実に伝
えたいということを考えすぎてしまい、何回も同じ事を繰り返してしまうことがあり、学
生は「くどいな」と感じたことがあるのではないかと思われる。また手元の操作等は細か
な動作で講義時間に教卓上で見せても見にくく理解しにくいいった意見もあった。
②昨年度の学生アンケート結果は、3.9、3.8 という評価であったので、今年度は昨年度
に比べ結果としては良くなっている。昨年度のアンケート結果では、実習の時間を増やし
て欲しいといった意見が多かった事から、今年度の2年生の実習回数を昨年度より増やし
たことも良かったようである。また講義で話すスピードがのろいという意見は昨年同様今
年度にもあり、自分としては少しスピードを上げて説明したつもりではあったが、学生が
さらに早くて良いと考えていることがわかった。
③今後の改善点、課題としては講義は、ゆっくりと、丁寧な細かな説明だけではなく、ポ
イントを抑えて簡潔明瞭に説明するように心がけたい。そして理解しやすくなるような視
聴覚教材を活用していくことを検討したい。そして多くの知識、技術をただ学生に教え込
むのではなく、学生に自らやる気を起こさせるような授業展開を目指したい。
47
Ⅲ「総合評価」について
① 予防的歯石除去実習の今年度の学生アンケート結果は、4.3、障害者(児)介助補助実
習 4.2 となっていて学生は高い評価をしてくれている。特に予防処置の技術としては、
学内のこの授業の実習だけではけっして満足のいくものではない。しかし歯科衛生士の
専門技術として基本的技術は、身につけてくれたのではないかと考えている。また学生
自身が、興味、関心を持ち技術の向上に向けて自己研鑽してくれることを期待している。
総合評価項目である「この分野についての知識、技術というものは確実に学生に身につ
いた」とは言い難い。学内実習だけでなく臨床での経験により技術の習得が得られるもの
である。そのため学生は、臨床実習にでて実際の患者さんに行うことで多くのことを学び
取るのである。卒業後も歯科衛生士として専門技術を研鑽して行かねばならないと実感し
てくれていると思う。
② 昨年度の総合評価は、3.8、3.9 なので今年度のほうが少し高い評価結果となっている。
障害者(児)介助補助実習は、わかふじ大会でわかふじアミィとして活動することにな
っていたことで、学生は例年に比べより身近で現実的に障害者に関心を持てたのではな
いかと思われる。
③ 今後の課題としては、担当科目が今後歯科衛生士の専門性を発揮する業務に関連する科
目であるということを学生に十分理解させること。そして学生が、自らやる気を出させ
る授業を展開できるように努めていきたい。また学生は、両科目とも熱心に取り組んで
くれている事を担当者として嬉しく思う。
48
学科: 歯科衛生学科
職名: 講師
氏名: 鈴木 温子
担当科目: 齲蝕予防処置実習、高齢者介助補助実習
Ⅰ「授業のあり方」について
授業の改善に最も直接に役立つものとして、学生からの反応(フィードバック)と同僚
からの助言があるだろう。大学教育の目的が学生に何らかの変化をもたらすことであるな
らば、学生からの情報こそは授業の改善のための基礎データとなる。学生による授業評価
はこの種の情報を得るのに最も直接的な方法であるが、他にも教室での試験や授業中の学
生の態度なども教員にとっては学生の反応を知る有効な情報源である。勿論学生が好むこ
とが常に教育に最も貢献するものになるとは限らないから、学生の反応だけを唯一の情報
源とする必要はない。しかし学生に自ら学ばせようとするためには、学生に何らかの関心
や注意を抱かせなければならないのであり、その点で学生の反応は授業の改善を考える上
に価値ある判断材料となりうる。
学生による授業評価は、第一義的には教員が自分の教授活動を改善するために行われる
べきものである。自分の授業の内容が学生に十分理解されているか、授業方法は学生の学
習活動にとって有効に作用しているか、総じて自分の教育目的が授業の中でどれだけ達成
されているかなど、これらのことを知るためには、何らかの形で自分の授業について評価
がなされなければならないのはむしろ当然のことと考えている。
「授業のあり方」に関する今回の授業評価結果は、(1)授業の計画性、(2)授業内容の質
と量、(3)課題(宿題)の質と量、(4)安全への配慮、(5)休講の有無及び休講時の対応など、
5項目2科目分の平均値は 4.7 でまずまずの評価をもらったが、2科目とも課題の量がか
なり学生たちに重くのしかかっていたようであり、ともに評価は 4.2 であった。学生たち
がしっかり課題に応えてくれていたことをいいことに、まったく自己満足に陥っていたの
かと強く反省している。他教科からの課題を合わせれば、かなりの量を学生たちは常にこ
なしていることも認識しており、学生たちにもそのことを問いかけながら無理のないよう、
且つ効果を上げるべく対処してきたつもりであったが、それも残念ながら結果的には自己
満足であったようだ。学生たちの評価が恐らく真実なのだろうと真摯に受け止めている。
昨年度の授業評価からの反省点は「授業延長をしないこと」であり、要注意であった学
内実習時にはとくに気を引き締めて行なうようにし、何とかクリアーできたと胸を撫で下
ろしていたのであるが、一難去ってまた一難、今回はまた別の観点から自己の授業を見直
さなければならないことを改めて感じている。
Ⅱ「教え方」について
アメリカの報告によれば、授業評価の善し悪しと、学生の学習の到達度や達成感との間
にはゆるい相関関係があるという。
まず、教員にとってのTeaching における満足とは一体何だろうかと考えてみると、そ
れは学生の成長発達をみる喜びであり、また問題意識と新鮮な考えをもつ学生との知的交
流の喜びなのではないかと考える。さらには学生との討論のなかで適切な質問をタイムリ
ーに投げかけたり、曖昧であったものを適切な事例によって明確にしたりして、学生たち
の考えをうまくまとめたりすることから来る喜びでもあるだろう。
私は、教員が楽しんでTeaching を行なうことが学生に情熱を伝え、学ぼうとする意欲
を起こさせる唯一の方法であると考えている。さらにそのことが、教員が自分自身の授業
を常に改善しようとする気持ちをもち続けることにも繋がるという点において、大変重要
49
なことだと考えている。
しかし、どうしたらわれわれ教員は学生たちに学ぶ喜びをかきたたせ、われわれ自身の
なかに教える楽しみを日常に感ずることができるようになれるのだろうかと考えると、答
えはなかなか出てこない。少なくともわれわれ教員は、単に何を教えるかということだけ
ではなく、如何にして教えるのかという方法論に対しても、従来よりももっと多くの配慮
をしなければならないと考えている。
「教え方」に関する今回の授業評価結果は、(6)学生の理解度への配慮、(7)話し方・教
材など授業の工夫、(8)誠実な態度など、3項目2科目分の平均値は 4.7 であり、最高値は
4.8 であった。個人的に反省点はあるものの、前項目(1)∼(5)以上に高い評価をもらうこ
とができたことは大変喜ばしいことである。学生の評価が教員にやる気を起こさせてくれ
るのがむしろ有り難い。このことがTeaching する者とLearning する者との間に、喜びと
楽しみを見出す相互作用をもたらすものなのだということを再認識するのである。
Ⅲ「総合評価」について
「総合評価」に関する今回の授業評価結果は、(9)基礎的知識や手法の深まり、(10)関心
の高まりなど、2項目2科目分の平均値は 4.6 であった。学生たちにとって、まずまずの
教育効果があったのではないかと考える。
「自由記述欄」について常々思うことは、点数化した評価にはなかなか見えてこないも
のが、学生たちの綴る自由記述に、実は真実があるのではないかと思うことである。学生
たちの心からの感謝の気持ち、主張したかったこと、やりたかったこと、思いなど、「ねえ
聞いて」と問いかけられているようで、何かやり残したことに出会ったような思いに駆ら
れることがあるのである。学生たちがよく考え、真っ直ぐに私を見て忠告をしてくれたこ
とに深く感謝している。
全体的に昨年度の評価結果とほとんど点数的には変わらず、良い評価をもらえたことは
大変喜ばしいことではあるが、個人的にはふりかえってみて反省点は多々ある。学生の評
価に決して甘えることなく、これからも自らの授業活動の改善に対して真摯に取り組んで
行かなければならないと考えている。
50
学科:歯科衛生学科
職名:助教授
担当科目:歯科保健指導法Ⅰ、歯科保健指導法Ⅱ
氏名:田島
睦子
Ⅰ「授業のあり方」について
①歯科保健指導法Ⅰ
授業の目的は、歯科保健指導及び歯科保健教育を実践する上で必要な基本知識や技法を理
解し、歯科臨床や地域歯科保健指導活動で実践できる能力を養うことにあるので、前期で歯
科保健指導の基本的知識を学び、後期で市場調査や実習・演習での使用体験を通して知識や
技法を自分の物にし、相手に指導できるようにと考えている。そのため前期は講義形式が多
く、後期は実習・演習形式が多くなる。そのため、学生の評価にもみられるように実習・演
習授業の結果をみるために報告書の提出が多くなっている。授業の結果をみる方法を考え(5
分間テストなど)少なくするよう努力したいと思う。
②歯科保健指導法Ⅱ
授業の目的は、集団への歯科保健指導(学童を対象)を学び、相手に口腔の健康状態を理
解させ、積極的に健康の保持・増進ができるように支援する指導(技術)能力を養うことに
あるので、集団指導の相手の特徴を理解し、必要な歯科保健の知識・技術を分かりやすく理
解できるように指導する方法を学び、予演会などを通し、自分の役割だけでなく、他のグル
ープの評価をすることで、歯科保健指導のスキルを上達するようにしている。しかし、4月
の授業開始後、、7月初めの実施まで短期決戦の為、ゆっくり準備期間が無いのが現実であ
る。学生の評価にも1年生の時から準備を」などの声がある。実習先との関係もあり難しい
と思うが検討をしていきたい。
Ⅱ「教え方」について
①歯科保健指導法Ⅰ
清掃用具など、最新の情報を提供できるように、学会や研修会に参加し、提供している。
また、その用具使用に関しても、効果的な使用方法を授業の中で学生と一緒に考え、相手の
疑問に答えられるように体験している。また、指導対象で内容が違うことを症例研究や演習
でグループワークを通し理解するようにしている。学生の評価でも、理解されているのでは
ないかと思う。今後とも提出物になるべくコメントを書くなどし、コミュニケーションを深
めていきたいと思う。
②歯科保健指導法Ⅱ
学童の特徴を知り、口腔の健康の保持・増進に必要な事を学童に気付かせ改善の支援を集
団指導を通して指導する。学生にそれぞれ担当学年を決め、その学年に必要な歯科的知識・
技術を理解させ、指導計画を立て、指導媒体を作成し、実施するまで丸2か月いかに効率良
く進めるかが課題で、この辺の努力不足が学生の評価でも見られた。今後も検討していきた
いと思う。
Ⅲ「総合評価」について
51
①歯科保健指導法Ⅰ
歯科保健指導は、指導相手により指導方法は異なる。しかし、全てのケースを取り上げる
ことは物理的に無理であることから、事前学習(レポート)と事後学習(レポート)に負う
所が多くなっている。今後量的な面やまとめの時間を取るなどし、学生の評価を受けたいと
思う。しかし、事前学習をし、授業に自ら参加し、対象の理解をし、問題の解決をする能力
を身につけて欲しいと思うのでその面からも、より充実した授業を検討していきたい。
②歯科保健指導法Ⅱ
集団への歯科保健指導は、指導計画ができ、媒体野作成ができたら後は、繰り替えし、練
習することが一番である。1人でなくグループで実習するため、練習で遅くまで残ったり、
また媒体の作成で遅くなったりすることが多かったと思う。グループで交代するとか、考え
気をつけていきたいと思う。
また、今年度は当日になり、実施時間の変更があり、媒体が足りなかったり、教室が狭かっ
たりと大幅な変更にもかかわらず、学生は自ら落ち着いて、裏方に回る者、媒体の運搬をす
る者、指導を2人で分担する者など全員で協力し、全クラスで実施することができ、学校側
からも感謝の言葉を戴く。これは全ての学生が、シナリオを理解し、練習をしていたことで
達成できたと思う。私も学生に感謝。
52
学科:歯科衛生学科
職名:教授
氏名:田中丸治宣
担当科目:歯科臨床概論、小児歯科学、口腔衛生学、口腔生理学
Ⅰ「授業のあり方」について
歯科衛生士に必要な基礎的知識及び技術を習得させることはもちろん重要であるが、それ
に加えて臨床の場において種々の対象者に対応する専門職としての責務を自覚することの大
切さを学生に伝えていきたいと考えている。そこで、個々の学生が授業を通して専門領域へ
の興味、関心を高めていけるようにすることを心がけている。
また、人と関わる専門職を育成するという視点から、専門職としての対人関係について適
切な知識と態度を身に付けさせ、
「心のつながり」
を実践できる社会人に成長するのに役立つ
ような教育をしたいと考えている。
昨年度の学生による評価で、授業内容の量が適切ではない(おそらく多すぎる)との批判
が少なからずあったことを考慮し、
学生が授業内容を多すぎると感じさせないように改善
(工
夫)を試みた。すなわち、実際は授業内容をほとんど減らしていないが、重点を明確にして、
説明を簡略化するなど、学生がより受け入れやすいように変えた。本年度の学生による評価
では、
“授業内容は、短大教育にふさわしい質と量であった”の質問項目で対象の4科目中 1
科目を除いて“そう思う”の回答が最も多く、改善(工夫)の効果が表れたと考えている。
しかし、未だ授業の内容が多いと感じている学生もおり、今後も学生に詰め込みすぎの授業
と感じさせないように注意していきたい。
Ⅱ「教え方」について
1)受講生に対する配慮
知識や技術の習得に必要な組み立てを無視した、一方的な授業にならないように配慮し
ている。すなわち知識等の組み立てに必要な事項や関連する事項については、その時点で
の他の科目での教授の進行状況や、学生の理解の状況を確かめて、講義を進行するように
している。
2)授業方法の工夫・努力
学生に授業へ参加している認識を持たせることを目的として、板書し、学生がノートを
取りながら、授業内容を説明することを基本的な授業の形態としている。特に、専門領域
の内容を理解し整理するのに、学生が自分でノートに書くことが有効であると考えている。
また、スライドやパソコンによるプレゼンテーションを作成し、適宜使用している。授業
の量や内容により、板書よりもプリントの方が教授しやすい場合には、プリントを作成し、
配布している。特にスライド等の使用に際しては、ノート代わりとしてプリントを配布し
ている。
さらに、臨床等で用いる器材や臨床症例の写真やX線写真など実際のものを用いると理
解しやすいと考えられるものは、なるべく、学生に見せ、触れさせるようにしている。学
生からの記述に、
“この様な資料の提示は理解に役立ち、良いと思います。
”との内容のも
のが多数みられた。
3)昨年の学生による授業アンケートに対する対応、改善
前年度の授業アンケートで、板書に対する批判的な記述(量が多すぎる、整理されてい
ない、字が読みにくい等)が多かったことを踏まえて、上記の授業内容の改善(工夫)に
合わせて、板書の量をわずかに減らし重点を明確にした。昨年に比べ批判的な記述は大幅
53
に減少し、2年生から板書が見やすくなったとの記述もあり、改善の効果はあったと思わ
れる。しかし、少数ではあるが今年度も板書が読みにくいとの批判もあり、今後さらに改
善の必要があると考えている。
Ⅲ「総合評価」について
1)昨年の学生による授業アンケートに対する対応、改善
昨年度の授業評価において、
“あなたはこの授業分野に対して興味が喚起された。
”
及び
“あ
なたはこの分野の基礎的知識や手法が身についた。
”
の質問項目については他の項目より若干
低い評価であった。そこで以下のような方法を試みた。
すなわち、昨年度の外部評価会において、飛田良文先生から、アメリカでは、授業は10
分前に終わってそれから質問を受けるという習慣があると伺い、これを真似て、毎回、講義
の最後の5∼10分を使って、「今回の講義について、あるいは関連して何か質問はない
か?」と、学生に投げかけている。学生からの質問は今までのところ多いとはいえないが、
そこで学生から質問があった場合にはできる限り対話形式で応えるようにしている。これに
ついて、約80%以上の学生が、質問の時間を設定していることを有効であると“思う”あ
るいは“ややそう思う”と回答しており、学生におおむね好ましい方法と受け止められてい
ると考えられる。
加えて、毎回、講義の最後に2∼3人の学生に、その回の講義内容で自分が「なるほどと
思った事項」や「興味をもった事項」を挙げさせている。
昨年と表記が少し異なるが、本年度の授業アンケートにおける、
“自分は、この分野の基礎
的知識や手法の理解が深まった。
”及び“自分はこの分野について関心がもてるようになっ
た。
”の質問項目での評価が、昨年より向上したことに、これらの方法が結びついているもの
と考えている。しかし、さらに学生が知識や技術の習得を実感できる授業となるように改善
していきたい。
2)今後の課題・授業改善への展望
前年度の自己点検・自己評価報告書の随所に、接遇、話法など専門職としての対人関係に
ついての教育が適切になされていないと指摘されている。
授業のあり方の項で、
「人と関わる
専門職を育成するという視点から、専門職としての対人関係について適切な知識と態度を身
に付けさせ、
『心のつながり』
を実践できる社会人に成長するのに役立つような教育をしたい
と考えている。
」
と述べたが、
対人関係の教育が容易でないことは言うまでもない。しかし個々
の授業の中で、少しでも学生が良好なコミュニケーションを取れるように導くことを心がけ
ていくことが必要であり、学生が対象者への関わり方について考える機会をなるべく多く与
えるよう心掛けていきたい。
54
学科:歯科衛生学科
職名:教授
氏名:藤原 愛子
担当科目: 歯科衛生士概論、歯科診療補助論、地域歯科保健指導実習、臨床実習
Ⅰ「授業のあり方」について
特に1年生科目では、学生が歯科衛生士像を描くプロセスに関わっていることを大切に
授業している。その意思が授業に反映できていたようで、相対的に高い評価であった。歯
科衛生士としての自分を考えるきっかけになった様子が、コメントされていた。
2年生の演習科目では、地域歯科保健に関連する資料を自ら得て取り組ませていた単元
を、本年度は状況設定課題に変更し、学生が検索する資料の範囲がほぼ同一になるように
代えた。授業の目的はよく伝わり、演習への配慮は適切であったと回答していた。しかし、
ふさわしい質・量であったかについては、評価が分かれていた。これらのことから、特に
課題の量についてさらに吟味すべきと考えている。
臨床実習では、短期間の実習科目についても充実感のある実習であったと、評価されて
いた。その分、もっと理解する時間あるいは理解を深める時間をもって実習したかったと
も述べられていた。
Ⅱ「教え方」について
プリントあるいは具体例を用いた授業展開は、興味をもって理解できたという評価であ
った。しかし、一昨年より板書する量を増やしたがまだ少なく、そのことが授業進度を速
めていて、ついて行くのに精一杯になることがあると評されていた。
「考える時間」
「理解を深める時間」として活用できるように、板書の内容および分量につ
いて検討したい。
診療補助論では、他科目との関連から一部の実習を当科目の授業内容に取り入れざるを
得なくなっている。実習を行うことについて学生は、座学での学びが連続した流れの中で
具体的になることおよび身体を動かすことで納得できることなど、楽しく学べたと回答し
ていた。考え方を伝える手段として実習を活用するように、プログラムしたい。
臨床実習指導では、レポートの評価を通した学習が有効であった様子が窺われた。従っ
て、レポートの返しが遅くなったケースについては、ふり返りを通した学習ができなかっ
たことが残念であったと述べられていた。
Ⅲ「総合評価」について
歯科衛生士という職業を考えるあるいは自分は何を目指して学んでいるかについては、
具体的な要素を得て考えることができたと評価しているのではないかと思われた。見学実
習あるいは学内実習が活用できるカリキュラムについて、検討すべき課題であろう。
授業あるいは課題の質・量について4点と回答した者が 1/3 程度あった科目では、総合
評価で約5割が4点と回答しており、充分に学びきれなかった様子が見られた。授業課題
は、静岡県の近年の統計資料に求めるようにしており、この点は次年度も同様に展開した
い。しかし、授業のまとめとなる自己学習の題材の選定を工夫することで、総合的な学習
の達成感を高めたい。次年度の題材は、「5割以上の学生が身近に感じることができるも
の」であることを目標にして選定する予定である。
臨床実習では、人間関係の難しさを感じる一方で、他者に育てられていることを実感し
ていた。人間関係については、学内教員が配慮しなければならないと考えられた。
55
学科:歯科衛生学科
職名:助教授
氏名:吉田直樹
担当科目:歯周療法学,微生物学,口腔微生物学,口腔衛生学,口腔生理学
Ⅰ「授業のあり方」について
私の授業に対する理念の中では、
「学問」をしていると学生が感じられることを大切にし
たいと常々考えている。私は、学生自身が、学問の場に、身をおいているということを実
感させたいという希望を強く持っている。学ぶことは、純粋に自分の興味、探究心から生
じて、それを追求して行く場合と、様々な人々、社会、世界に役立てるためである場合と
大きく二つある。学問によっては、両方を満たす場合もあれば、どちらかにかたよってい
る場合もある。いずれにしても、真摯に学問をしてほしいと考えている。
アンケート結果に基づいて、授業のあり方を評価していく。
休講をすることは無かったため、授業の進行等に支障をきたしたことは、全く無かった。
このことに関しては、教員として、当然の務めであると考える。
安全への配慮は、授業においては、問題なかったと考える。
授業の内容に関しては、短大教育にふさわしい質と量を心がけたが、あえて、全員は理
解できないことが予測される、難易度の高い内容を意図的に盛り込んだこともあった。こ
のことは、更なる学習意欲を生み出す効果を狙っての事である。実際に、学生から、難し
い内容があったという意見も得られた。
講義を聞いている中で、理解できていると感じることは、楽しいことである。一方、理
解できていないと感じる時は、楽しくはない。むしろ、つらいことである。しかし、それ
を乗り越えて、理解できれば、より大きな学問の喜びが得られるであろう。ゆえに、講義
内容の難易度を適切に設定することが、非常に重要である。
歯科衛生学科の学生は、卒業後、ほとんどが、歯科衛生士として活躍することとなる。
科目によって、直接、歯科衛生士の業務に関連の強いものは、特に授業の目的を明示する
以前に、学生自身が、授業の目的を理解していると感じる。一方、歯科衛生士の業務に直
接は、つながらず、間接的につながる、あるいは、関連が稀薄な場合は、授業の目的を明
示することが難しいと同時に重要であると感じる。
具体例を一つ挙げる。“微生物学”の講義の中で、“病原微生物各論”は、一つの大きな
章であるが、その中の、
“口腔内のグラム陰性桿菌”に関する講義では、それが、歯周疾患
との関連が深いことから、歯科衛生士という職業柄、充分学ぶ必要性を感じることができ
る。一方、
“リケッチア”に関する講義では、それが、恙虫病と関連があるという事を話し
ても、授業の目的を理解させるのは難しい。歯科衛生士が恙虫病を理解しておく必要性は、
ひとつには「医療人として、知っておかなければいけない(微生物の)知識は、知ってお
かないといけない」ということになろうか。
しかし、逆に、学生が学ぶ必要性を強く感じていない事項を教える場合、「学生にいかに
興味を持たせるか」ということが、教える側(教員)にとって大きな課題となる。このよ
うな状況においては、特に、教え方の工夫が重要になってくると考えられる。
Ⅱ「教え方」について
副教材として、プリント、ビデオ、スライド等を用いて、学生の理解が深まるように工
夫した。
しかし、副教材を使いすぎるとそれに頼ってしまうきらいがあるので、気をつけなけれ
ばいけないと感じている。
56
また、重要な事項として、プリントに記載して、学生に見てもらうように配慮している
のだが、「板書」の量が、少なくなる。
基本的に、学生のノートの執り方を見ると、話を聞いて、自分なりに内容まとめてノー
トに書ける者は、少ないようである。大多数は、「板書」されたものをそのまま、ノートに
書き写すという作業を行っているようである。つまり、「板書」の量が少ないと、ノートに
書き写すという作業の減少を引き起こす。それに対する学生の反応は、二分した。作業が
減って、楽だというものと、作業の中で、覚えることもあるので、板書を増やして欲しい
という意見だ。これも、程よい量というものを意識しないといけないと感じている。中庸
が重要である。
その一方で、今、述べたこととは、矛盾するようなことであるが、通年あるいは半年の
講義の中で、一度くらいは、副教材等を用いることなく、また、板書もすることなく、純
粋な話だけで、学生が興味を持続できるような講義をしてみたいものだと考える。このこ
とは、時代に逆行しているようではあるが、真に、話の内容、表現力(話術)が如実に表
れるであろう。そういった意味で、面白い。挑戦してみたいと考えている。
また、アンケート調査の結果によると、学生に対して誠実に対応できていたようである。
特に、質問に対しては、できる限り、丁寧に対応したいと常々考えているのだが、実行で
きたようである。学生のコメントにおいても、それが、充分行われていた事が伺える。
Ⅲ「総合評価」について
学生は、受講した科目に関心をもてるようになったようであり、また、基礎的知識や手法
の理解も高まったようである。
学生のコメントの中で、散見されたのであるが、教員である私が、楽しそうに、講義して
いる事は、学生に、伝わるようである。教える側が、強く関心を持っている内容を講義する
場合に認められる事と考えられる。常に、そういった状態で講義できることが望ましいので
あろう。
私は、複数科目を担当している。その中で、いわゆる、「取っ付きやすい科目」と「取っ
付きにくい科目」との間で、若干、学生の評価に差が出ているように感じた。
今後の課題としては、学生が、初めは、興味が、あまりないような分野に対して、興味
を引き起こさせるような授業を行えることである。難しいことを平易に説明できること。
学生が難しいと感じている時に「わからない」と、あきらめずに「理解したい」という気
持ちを引き起こさせること。それが、向上へ繋がることになる。
容易ではないが、それを可能にするような手法を、教員として、習得することが必須で
ある。そして、授業の中で展開して行くことが重要である。
57
D
社会福祉学科
学科
社会福祉学科
職名
教授
氏名 漁田俊子
前期担当科目:発達心理学(社会福祉学科社会福祉専攻1年),乳幼児・児童の心理(社会福
祉学科社会福祉専攻2年),社会福祉演習(社会福祉学科2年)
後期担当科目:老人の心理(社会福祉学科介護専攻1年),人間関係と援助技術(介護専攻1
年)
,発達心理(第一看護学科・第二看護学科1年)
,人間関係と援助技術(社
会福祉学科社会福祉専攻2年,第一看護学科・第二看護学科1年,歯科衛生学
科1年),総合演習・卒業研究(社会福祉学科2年)
Ⅰ「授業のあり方」について (アンケート項目(1)∼(5)より)
①担当科目全体について
担当した8科目,即ち,
「発達心理学」「乳幼児・児童の心理」
「社会福祉演習」「老人の心
理」
「人間関係と援助技術(介護専攻1年)
」「発達心理」
「人間関係と援助技術(社会福祉学
科社会福祉専攻2年,第一看護学科・第二看護学科1年)」
「総合演習・卒業研究」の学生評
価は全て 4.5 以上であり,社会福祉学科の講義科目または演習科目の全体の平均値より上回
っていた.これらポジティブな評価を受けて,来年度以降も,同様の姿勢を保ち,一層の準
備を整えて授業に臨みたい.
②「人間関係と援助技術」の歯科衛生学科1年の評価について
疑問が残るのは,後期の授業「人間関係と援助技術」の歯科衛生学科1年の評価である.
この「人間関係と援助技術」の講義は,社会福祉学科社会福祉専攻2年,第一看護学科・第
二看護学科1年,歯科衛生学科1年の計184名が講堂で一斉に受講している.このうち歯
科衛生学科の受講生38名の評価平均のみ,(1)∼(5)項目全てにおいて平均値をおよそ1点
下回るという大変厳しい評価であった.歯科衛生学科からのこの低い評価についてはもちろ
ん真摯に受け止め,反省をせねばならない.しかし,4学科184名の学生が一斉に授業を
受けている中で,3学科約140名は全て平均値より高く評価をし,なぜ歯科衛生学科の学
生38名のみ,極端に低い評価を私に出したのであろうか.これ程有意に低い評価が出たの
は統計上,何らかの意味があるに違いない.特に評価が低かったのは「休講」に関する項目
であった.この授業は,私ともう1名の教員の計2人で担当している.今期に限って,私以
外の1名の教員は開講期間に病気のため授業が行えず,補講期間中に補講をして不足分を補
った.そうした事情を受けて,私は本来の授業担当コマ数以上に多めに授業を担当した.に
もかかわらず,歯科衛生学科の学生の評価が一番厳しかったのは「休講」に関する項目であ
った.実際には余分に授業をした私が「休講した」となぜ4学科184名の学生の中で歯科
衛生学科の学生38名だけが誤解したのであろうか.なお,この理由を自由記述欄から読み
とろうとしたが,歯科衛生学科の学生は自由記述が全くなかった.一方,歯科衛生学科以外
の3学科の学生たちは,自由記述欄の記入が合計40あり,全てポジティブな反応(わかり
やすい,興味深い,等)であった.ちなみに,昨年度「人間関係と援助技術」は同様の授業
内容を同様に講堂で行ったが,歯科衛生学科は他の3学科と同様,全てポジティブな評価で
あった(自由記述欄も多数書かれていた).
Ⅱ「教え方」について (アンケート項目(6)∼(8)より)
①担当科目全体について
これも全くⅠと同様,担当した8科目,即ち,「発達心理学(社会福祉学科)
」「乳幼児・児
58
童の心理」
「社会福祉演習」
「老人の心理」
「人間関係と援助技術
(介護専攻1年)
」
「発達心理
(第一第二看護学科)
」
「人間関係と援助技術(社会福祉学科社会福祉専攻2年,第一看護学
科・第二看護学科1年)
」
「総合演習・卒業研究」の学生評価は全て,社会福祉学科の講義科
目または演習科目の全体の平均値より上回っていた.これらポジティブな評価を受けて,来
年度以降も,一層の授業方法の工夫を念頭に講義と演習に臨みたい.
②「人間関係と援助技術」の歯科衛生学科1年の評価について
Ⅰと同様,全ての項目において,後期の授業「人間関係と援助技術」の歯科衛生学科1年
の評価のみ,平均値よりより遥かに下回っている.Ⅰでも述べたが,この授業は184名一
斉の講堂での授業で,座席も自由である.歯科衛生学科の学生38名に対してのみ,特にひ
どい教え方をしたとは私自身は思いあたらないが,歯科衛生学科の学生はほとんど全員がそ
のように感じたのであろう.対応が難しいところである.
③その他
今年度一番反省させられたのは,このアンケート評価には表れていないが,聴覚障害を
もった学生1名への対応であった.前期「乳幼児・児童の心理」の授業中に,この学生の
症状が一段と悪化していることに気づかず,適切に対応できなかった.後期「人間関係と
援助技術」では,機器や個別のプリントを用意するなどして対応することができた.
昨年学生から要望のあった,発達心理(第一看護学科・第二看護学科1年)の教室が一杯
で空席が探しにくく,座りにくい,ということに関しては,毎授業前に空席をアナウンスし,
学生が座りやすいように配慮したため,今年度はそのような不満はなくなった.
Ⅲ「総合評価」について (アンケート項目(9)∼(10)より)
①担当科目全体について
これもⅠ・Ⅱと同様,担当した8科目,即ち,
「発達心理学(社会福祉学科)
」
「乳幼児・児
童の心理」
「社会福祉演習」
「老人の心理」
「人間関係と援助技術
(介護専攻1年)
」
「発達心理
(第一看護学科・第二看護学科)
」
「人間関係と援助技術(社会福祉学科社会福祉専攻2年,
第一看護学科・第二看護学科1年)
」
「総合演習・卒業研究」の学生評価は全て,全体の平均
値より上回っていた.これらポジティブな評価を受けて,来年度以降も,一層の授業方法の
工夫を重ね,講義と演習に臨みたい.
②「人間関係と援助技術」の歯科衛生学科1年の評価について
Ⅰ・Ⅱと同様,全ての項目において,後期の授業「人間関係と援助技術」の歯科衛生学科
1年の評価のみ,平均値より遥かに下回っている.Ⅰ・Ⅱが低いので,総合評価が低くなる
のは当然である.しかし,この授業は4学科184名一斉の講堂での授業で,歯科衛生学科
38名に対してのみ休講にしたわけでもなく,また歯科衛生学科38名に対してのみ特にひ
どい教え方をしたとはやはり私自身は思いあたらない.この有意差の原因究明をしたいと思
ったが,現システムでは,学生の書いた生のデータを見ることができるのはアンケート集計
業者だけであるということなので,今回はこの有意差についてこれ以上言及することができ
ない.
59
学科
社会福祉学科
職名
助教授
氏名
石野 育子
担当科目: ①介護福祉論 社会福祉専攻2年前期、②介護福祉論Ⅱ 介護福祉専攻1年後期、
③形態別介護技術Ⅰ(高齢者の介護)介護福祉専攻1年前期、④介護実習Ⅰ介護福
祉専攻1年後期、⑤形態別介護技術Ⅳ(内部障害を抱える人の介護)介護福祉専攻2
年前期、⑥介護技術Ⅱ(介護過程)介護福祉2年通年、⑦形態別介護技術Ⅱ(居宅介
護)介護福祉専攻2年後期、⑧介護実習Ⅱ介護福祉専攻2年前期、⑨介護実習Ⅲ介
護福祉専攻2年後期、⑩社会福祉演習 介護福祉専攻・社会福祉専攻1・2年通年、
⑪総合演習・卒業研究社会福祉専攻2年通年
Ⅰ「授業のあり方」について
科目数が多いため、とりわけ評価が低かった科目を取りあげる。
全体的には、社会福祉専攻2年や介護福祉専攻1年の科目は、全て平均を上回っており、自由
記述が多く昨年と同様に肯定的な意見が多かった。
しかし、介護福祉専攻2年の「介護実習Ⅱ・Ⅲ」は実習全体の平均4.5を大きく下回り、2つの実
習を平均すると3.7であった。この理由を追求しようと回答結果を見てみたが、回答そのものを理解
することがさらに困難であった。たとえば教員の休講は現実皆無であったにもかかわらず、「あまりそ
う思わない」と回答した学生がいた。また、授業の目的の明示、授業内容の質と量、課題の質と量に
ついては、1の「そう思わない」から5の「そう思う」まで回答が広がっていた。実習の授業目的につい
ては個別の教員によるものではなく実習の手引きに記載されたものであるから、学生の回答が個別
の教員に対する評価なのか、学校の実習計画そのものに対する評価なのか、あるいは実習施設の
指導に対する評価なのか理解に苦しむところであった。このように否定的な回答を寄せた学生は1
名ないしは2名であったが、学生の何らかのメッセージとして受け止め継続してその理由を追及した
い。
講義・演習が平均点に近かった科目は、介護福祉専攻2年の「形態別介護技術Ⅳ」である。この
科目についても、教員の休講と遅刻は皆無であったのに、「休講が無かった」と認識していない学生
が13.4%もいたことは不可解であった。
Ⅱ「教え方」について
この回答の傾向も前述した傾向と同様であった。社会福祉専攻や介護福祉専攻1年は平均を上
回り、介護福祉専攻2年の講義・演習は平均前後であった。
またここでも介護福祉専攻2年の「介護実習Ⅲ」は平均よりもかなり低く3.5(「あまりそう思わな
い」と否定的な回答を寄せた学生は 2 名あった)であり、一方介護福祉専攻1年の「介護実習Ⅰ」は
4.7であってその差は際立っていた。2年生に対する指導上の不十分さとしては、学生が実習を重
ねることによって変化していくことについて、教員が適時に対応していなかったのではないかと思っ
た。1年の実習では新鮮で初々しい感覚で実習に臨めるが、2年の一ヵ月の実習になるとどうしても
マンネリ化してしまうため、学生の状況をキャッチして教員が支えになるような指導をしていかねばな
らないと思った。
介護福祉専攻2年の演習科目である「形態別介護技術Ⅳ」は、内部障害を持つ人に対する介護
の科目であり、医学一般の科目と関連させて教授する必要がある。例年介護福祉専攻の学生は医
学的知識が弱いことが課題となっているので、講義においてはVTRや実物に触れるなど工夫して
いるが今だ十分とはいえなかった。医療の内容が理解できないと、医学知識に対する苦手意識が
強まってしまうことが懸念される。毎回授業後に意見を書いてもらっているが、今年度は気になる傾
60
向があった。従来は授業で新しい知識を得ることに対する喜びがあったが、「こんなことも知らないと
いけない」というように新たな知識の獲得に対して否定的な受け止め方をする学生が目立った。知
識を得ることに喜びが感じられるように授業を工夫していかなければならないと思った。「学生の理
解度に配慮している」と感じられなかった学生が17%あったことは反省したい。
また介護福祉専攻2年の「介護技術Ⅱ」は、「介護過程」の演習科目である。この科目は介護実
習との関連が深く、実習中の利用者の情報を学内のグループでケースカンファレンスを行い、介
護アセスメントや介護計画立案を行う。この科目は受身の知識習得ではなく、知識を使って「問題
解決的」思考方法を演習するものであり、学生個々の能力差が大きい分野である。グループ学習
によって学習の相乗効果をねらっているが、「できる学生」に押し付けることが例年見られていたの
で、効果的な演習の仕方についてグループディスカッションを行った。利用者に対してのみならず
自分自身に対しても問題解決的な姿勢が持てるように試みた。このような学生が決めた演習方法
を採用するといった工夫は、学生には大変好評であった。
Ⅲ「総合評価」について
前述と類似の傾向にあった。とりわけ介護福祉専攻2年の「介護実習Ⅲ」の平均は3.8とかなり低
かった(「そう思わない」と否定的な回答した学生は1名だった)。ここで評価されている「理解の深ま
り」や「関心の深まり」は、学生自身の学習意欲の影響が大きいので、「授業に対するあなたの取り組
み」の回答を見ると、「遅刻・欠席がない」「自分を律し真剣に臨んだ」「関連した文献に目を通すな
どの自己研鑽に努めた」についても評価が3.7と低かった。つまり、介護実習において意欲が高ま
らなかった学生がいたことが考えられた。この理由が詳しく理解できないのが残念である。考えられ
る実習方法の昨年との違いは、帰校日が訪問介護実習に使われたことである。変則勤務実習も重
なって、実習中に学生の話をじっくり聞けないことがしばしばあった。限られた時間の中でも学生の
変化や悩み事などをキャッチして、きちんと聞けるように教員自らを整えなければならないと思った。
全体を通しても介護福祉専攻2年は、講義・実習ともに評価が低く、実習がとりわけ低かった。また、
「授業に対するあなたの取り組み」の回答にある、「遅刻・欠席がない」「自分を律し真剣に臨んだ」
「関連した文献に目を通すなどの自己研鑽に努めた」についても評価が3.2∼3.9点であり、社会
福祉専攻2年や介護福祉専攻1年が4.2∼5.0以上あったのに対して際立って低かった。介護福
祉専攻2年生は授業中に私語を注意することがたびたびあったことや、欠席者か多くなったことなど
から考えると、学生の自己評価の結果は妥当だと思われた。
これらのことから学生が授業に集中できないことや、クラス間に著しい差異をもたらした原因と対
処について今後さらに検討していきたいと思う。学生が授業に集中できて、自分もがんばれたと自
己評価か高まれば、授業の最終目標である「基礎的知識や手法の理解及びこの分野に対する関心
(総合評価)」が高まることが考えられる。まずは授業に集中できるように、教え方を工夫していかな
ければならない。
61
学科 社会福祉学科
担当科目
:
職名
講師
氏名
井上
桜
介護技術Ⅰ,介護実習Ⅰ∼Ⅲ,社会福祉演習
Ⅰ「授業のあり方」について
介護技術Ⅰ:昨年の指摘を受け、今年は介護技術のクラス編成を 1 クラスにまとめて演習
を実施したことにより、学生が行う授業時間数が増えた。アンケート結果によると、介護
技術Ⅰについてはどれも平均を上回っている。時間割上の時間数を増やすことなく、学生
に適切な授業が行えた結果ではないかと考える。しかし、平均は超えたものの、宿題・課
題の量についてと、計画的な授業であったかどうかということについて、若干の学生が「や
やそう思う」につけていることから、より学生にわかりやすい授業展開を行いたい。ただ
し、課題の量については演習が主の授業であるため、学生自身の個人的な差にもよるもの
が大きいと思われる。
介護実習Ⅰ:今年度は授業について「人間理解」をテーマに個別指導を進めてきた。その
結果「課題の量」について若干いろいろな教材を試みたことから、学生への負担感は多か
ったようである。来年度は少し、課題量について考えてみたい。平均は上回っていた。
介護実習Ⅱ:介護実習Ⅱは人数が少ないのでコメントしにくいが、1 年次のようなテーマ
設定を特に行わずに実習指導を行った。しかし、どれも平均は上回り、どの項目もほぼ理
解されていたようである。来年も同じように行っていきたい。
介護実習Ⅲ:実習の 3 段階ではまとめの実習ということであったが、施設数がかなり多く
担当した為、学生への配慮が不足しがちであったのではないかと反省している。「課題の量
が多い」とつけている学生がいるが、3 段階で個人的に課題を出した覚えはないので、こ
れは全体の実習と考え違いをしているのではないかと考える。また、休講があったとつけ
ている学生がいるが、これも休講はしていないので、考え違いがあったと思われる。平均
よりは上回っていた。来年度は 3 段階実習については施設数の個人負担が減ることにより、
学生への配慮も深められると考える。
社会福祉演習:
「人が最後までその人らしく生きられる環境、地域について」ということを
テーマに学生と様々な施設や地域福祉サービスの見学、現場の社会福祉士、介護福祉士と
の交流会を通して、考えてきた。机上のゼミではないことから、意識的に「書かせる」こ
とを学生に指導したため、
「課題の量」について若干の学生が多いと感じたようであった。
しかしながら課題については個人差があるので、来年度も今年度同様、行っていきたい。
平均は上回っていた。
Ⅱ「教え方」について
介護技術Ⅰ:1 クラス学生数が増えたことも原因なのか、「理解度に配慮して授業を進めた
か」という項目については半数強の学生しか「そう思う」につけていない。演習の授業で
あるため、個々人の差も原因と考えられるが、時間数は沢山確保してあったので、来年も
この体制で行う中、学生への練習の徹底やわかりやすい授業展開を心掛けていきたい。し
かし、この項目についても平均は上回っていた。
介護実習Ⅰ:
「理解度への配慮」が平均を下回っている。これは「人間理解」をテーマに個
別指導を行った関係上、1 年生で難しい内容であると感じた学生も多少いたようである。
来年度は 1 人ひとりを見ながら行っていきたい。
介護実習Ⅱ:どれも平均を上回り、学生の理解は得られたようであった。来年も同じよう
62
に行っていきたい。
介護実習Ⅲ:教え方については学生の理解は深められたようである。平均も上回っている。
社会福祉演習:教え方はほぼ全員が理解できたようである。平均も上回っていた。昨年か
ら意識的に行っているのは、学生から意見が出せるように、学生の意見を常に中心にゼミ
を考えている。一人ひとりとのコミュニケーションの時間も多かったため、理解が深まっ
たのだろうと考える。
Ⅲ「総合評価」について
介護技術Ⅰ:
「教え方」の項目にもあげたが、「理解度に配慮して授業を進めていたか」と
いう項目の「そう思う」の数と「総合評価」の「理解が深まったか」の「そう思う」ほぼ
同数であった。1 クラスで演習を実施したこと、それに伴い学生と教員との距離感も若干
あったかもしれない。しかし、介護技術は個人差の大きなものであり、練習を個々人が行
わなければ理解出来ないものでもあるため、時間数はを増やしたことから、今後は学生の
練習を促すような指導を行っていきたい。これらも平均は上回っていた。
また、自由記載に書かれていた「人間として考えるべきことを考えさせられた」「奥深か
った」
「介護は技術だけでないということをこの授業から学んだ」という声から、担当者の
伝えたかった「介護観」が伝わっている学生もいることが実感できた。
介護実習Ⅰ:平均を上回っているものの、「理解度が深まった」の「そう思う」が半数強で
「ややそう思う」が多くつけられていることから、「人間理解」のテーマが学生の個人個人
で考えるとやや難しかった学生もいたようである。来年度は今年度のアンケートを参考に
内容を考えていきたい。
介護実習Ⅱ:どれも平均は上回り、理解は深められたようである。ただし、学生の取り組
みを見ると遅刻などについての項目は何名かつけており、個別指導における学生への時間
の徹底など心掛けていきたい。
介護実習Ⅲ:どちらも平均を下回ってしまった。学生の個人差もあると思うが、やはり、
施設数への影響もあるかと思う。来年度は学生個々人の最後の実習に丁寧に向き合ってい
きたい。
社会福祉演習:学生自身の理解も深められたようであった。平均も上回っている。来年度
もゼミは一人ひとりを大切にしながら行っていきたい。
63
学科 社会福祉学科
職名
講
師
氏名
今井
朋実
担当科目:社会福祉援助技術演習
Ⅰ「授業のあり方」について:
(1)に関して3と答えた人が 25%いた。毎回の授業の目的
を明らかにし、学生にはっきりと示す必要があると感じた。また、シラバスで提示するだ
けでなく、計画的に授業を展開していることを十分に学生に伝える必要があると思われる。
(6)に関して、1あるいは2と答えた人が 15.7%いた。学生の理
Ⅱ「教え方」について:
解度に配慮して授業を進める必要がある。また、(7)に関しても、1あるいは2と答えた
人が 15.7%いた。学生の理解が深まるように、話し方・説明の工夫、実演の提示、プリン
ト作成、板書の工夫、VTR活用、テキスト活用を行いたい。グループでの演習は効果的
であったが、時間配分に工夫が必要であったようである。より効率よくなるように工夫を
重ねていきたい。
Ⅲ「総合評価」について:
(9)では、3のどちらともいえないに答えた人が 45%、(10)
では 33%いた。この分野の基礎的知識や手法の理解が深まるように、またこの分野につい
て、学生が関心を持つように工夫する必要がある。
担当科目:介護実習Ⅱ
Ⅰ「授業のあり方」について:授業のサイズも7名と少人数制であったので、実習の進捗
状況について7名と十分にディスカッションすることができたので、学生の満足度も高い
ようであった。介護福祉士教育へアプローチを模索しながらの授業であった。学生の評価
にもあるが(3)に1をつけた学生が1名いた。課題を工夫して与える必要があると思わ
れる。
Ⅱ「教え方」について:
(7)に関して、3をつけた学生が2名いた。学生の理解が深まる
ように、プリント作成、板書の工夫、またVTR活用やテキスト活用を更に行いたい。
Ⅲ「総合評価」について:
(9)に関して、3をつけた学生が1名いた。実習における基礎
的知識や手法の理解が更に深まるよう、授業を工夫したい。
担当科目:医療福祉論
Ⅰ「授業のあり方」について:
(2)に関しては、86%の学生が授業内容が短大教育にふさ
わしい質と量であったと評価していた。学生の自由記述にもあるように、学生が興味のあ
るテーマを持ち寄り、発表、ディスカッションさせるゼミ方式にしたことにより、医療福
祉に対する知識をより高められたと思う。
Ⅱ「教え方」について:
(7)(8)に関しては、71%の学生が学生の理解が深まるような
工夫や、学生に対する対応を5「そう思う」と評価していた。登録人数が9名であり、や
はり少人数制の教育は、学生にも好評であった。当然の結果として高い教育効果が得られ
るものであると思う。
Ⅲ「総合評価」について:86%の人が、この分野の基礎的知識や手法の理解が深まり、こ
の分野について関心が持てるようになったと評価をしていた。1名だけ3「どちらとも言
えない」と回答していた。関心の持てるトピックの更なる工夫をしたいと思う。
担当科目:社会福祉援助技術
Ⅰ「授業のあり方」について:
(1)に関して、17.7%の学生が、1、2を選択し、授業の
目的の明示や、計画的の展開であったと評価しなかった。病気加療明けのため、必死の思
いで2時限続きで補講したが、十分吟味をして力を注いだ授業とは言い難いので、痛い評
価ではあるが、当然の評価であると真摯に受け止めている。授業目的の明示を明らかにし、
64
授業の計画的展開を試みる努力をしたいと思う。
Ⅱ「教え方」について:
(6)に関して 37.8%の学生が3の「どちらともいえない」を選択
していた。介護教育におけるソーシャルワークの導入に際しては、学生を混乱させないよ
う、理解度に十分配慮して取り入れる必要性がある。また、(8)の学生に対しての誠実な
対応、については、4割が「どちらとも言えない」と回答していた。授業を重ねる中で、
学生との信頼関係が築くことが必要であった。
Ⅲ「総合評価」について:37.8%の学生がこの分野の基礎的理解や手法の理解が深まり、
この分野についての関心がもてたかどうかについては、3「どちらともいえない」と回答
している。介護福祉教育においてもソーシャルワークの視点を持つ重要性を学生に理解さ
せ、興味を持ってもらえるような授業の展開を工夫したい。
担当科目:人間関係と援助技術
Ⅰ「授業のあり方」について:第一看護・第二看護学科の 87 名の評価では、6割がた、授
業の目的が明示され、計画的授業の展開であったと評価し、また、授業内容や課題につい
ても、質・量ともに適切であり、短大教育にふさわしい質と量であったと評価していた。
一方、看護と一緒に授業を行った歯科衛生学科 39 名の評価では、4割がた、授業の目的や
計画的授業の展開の評価に関して「どちらともいえない」の評価であった。同時に行った
授業なのにこれはなぜなのか。おそらく、ソーシャルワークの必要性を学生がよく理解で
きる土壌が既に看護にあるのではないか。介護福祉専攻 34 名の評価では、6割がた、また、
社会福祉専攻 47 名の評価では、7∼8割がた、授業の目的が明示され、計画的授業の展開
であったと評価していた。また、授業内容や課題についても、質・量ともに適切であり、
短大教育にふさわしい質と量であったと評価していた。社会福祉学科へのソーシャルワー
クのアプローチは容易であるため、学生の理解力にも反映する。社会福祉専攻への授業は、
既に援助技術を学習済みの学生であることを鑑み、他の授業と重ならない内容の授業の工
夫を試みたい。
Ⅱ「教え方」について:第一看護・第二看護学科、歯科衛生学科の授業では、パワーポイ
ントによるスクリーン表示で授業を行った。レジュメは配布しなかったので、学生には授
業内容が分かり難いという意見がでた。次回の授業の際はこれを教訓とし、学生にレジュ
メを配布したいと思う。
Ⅲ「総合評価」について:社会福祉専攻は(9)(10)ともに、5「そう思う」、4「や
やそう思う」に分布しているのに対し、介護福祉専攻、看護学科は(9)(10)が、3「ど
ちらとも言えない」に分布し、歯科衛生学科は(9)(10)は4「ややそう思う」に多く
分布していた。授業の組み合わせの都合で、看護、歯科衛生合同授業となり、社会福祉、
介護は別々の授業になったわけだが、それぞれの将来の保健医療福祉専門職に、興味があ
り且つ役に立つ援助技術のトピックを工夫したいと思う。
65
学科
社会福祉学科
担当科目:前期
後期
職名
教授
氏名
岡田
節子
①保育内容・環境、②社会福祉演習、③介護実習Ⅱ
①障害児保育、②社会福祉演習・卒業研究、③介護実習Ⅰ、
④介護実習Ⅲ
Ⅰ「授業のあり方」について
今日の日本における「社会福祉学」は、固有の単一科学とは言い難く、学際的な諸科学の
複合の上に成り立っている。しかし、社会福祉学が分化した諸科学の「寄り合い世帯」的な
ものであってはならず、社会福祉サービス利用者のニーズを的確に捉え、専門性や科学性を
もったものでなければならない。これらのことから、授業にあたっては、根拠をもって事実
を客観的に把握して知識を深めること、科学的な思考方法を身につけることに重点をおいて
取り組んだ。これらが欠如したままで思いやりや優しさ、倫理観等を強調することは、学問
としての社会福祉を曖昧なものにしてしまうためである。
学生のアンケート結果の中、
「授業のあり方」について前期授業科目の平均点は、①4.4、
②4.4、③4.6 点であった。相対的に実習指導についての評価が高かったのは、実習現場で遭
遇する様々な課題や困難性に個別的な対応及び実習記録への詳細なコメント等を行ったため
であろう。②の保育内容・環境の授業では、前年度の反省を踏まえ、演習科目としての利点
を生かした応答性のある授業を展開し、学生の興味関心を喚起できるように努めた。前年度
とは受講学生が異なるために単純に比較できないが、評価点が多少向上したのはその成果で
あると考える。③ゼミでは、
「21 世紀の障害児(者)福祉のあり方と方向性を探る」を共通
テーマとし、゙障害とは何がを学生自らが主体的に考察できるようにした。そのために、学
生は確かな手応えを持って障害について学べたと考えられるが、
本年度も受講生が 13 名と多
く、ゼミ本来の特性を十分発揮し得たとはいえない。
後期授業科目の平均点は、①4.5、②4.7、③4.8、④4.6 点であった。前期と同様に卒業研究
や実習指導のような少人数授業の評価が高い傾向にあった。特に、③の実習指導Ⅰは介護福
祉士としての進路の選択に大きな影響を与えるので、
評価点が高かったことは成果であった。
①の障害児保育に関しては、障害の個別性(内容・程度)の理解と対応方法を全て網羅した
授業を展開するには、半期 30 時間では余りにも時間が不足している。その点に関しては、昨
年同様今回も学生からの指摘があり、授業時間の延長または補講等を行う必要性を痛感する。
②の卒業研究に関しては、5 人の学生を担当したが、学生をして「こんなに勉強したことは
なかった!」と言わしめるほど、真剣に取り組んだ最も大学らしい授業であった。テーマへ
の主体的取り組みと実証性を重んじた結果であると考える。
Ⅱ.「教え方」について
前期授業①、及び後期授業①では授業内容を理論的・実践的に理解できるように教科書の
内容を要約したレジュメを作成すると共に最新資料(OHP、ビデオ)、スライド、各種検査・
評価用具等を用いて、より分かりやすい授業を行うようにした。また、その日の授業を通し
ての質問・意見・感想を「5 分間レポート」
(フィードバック)として提出してもらうように
した。それによって、授業担当者としてその日の授業の振り返りができ、学生の質問・意見
に対応できるためである。前期②と後期②は、ゼミ形式の授業であり両専攻の学生が共に学
べることの利点を生かし、学生相互、教員と学生の相互交流・意見交換が深められるように
した。前期③と後期③、④の実習指導では、学生が各の実習段階に見合った課題意識をもっ
66
て実習に臨み、主体的に実習に取り組めるように個々の実習先に合わせた個別指導に重点を
おいた。実習中は学生が必要なときに何時でも連絡がとれる体制をとった。実習記録からは
学生が現場で何を学ぶことができたかを把握しつつ詳細なコメントをするように努めた。
前期授業科目の平均点は、①4.3、②4.4、③4.6 点であり、後期授業科目の平均点は、①4.3、
②4.9、③4.6、④4.9 点であった。ここでも、少人数授業が多人数授業よりも評価点が高いと
いう結果が示された。前期①(保育内容・環境)
、後期①(障害児保育)は、演習科目である
にも関わらず、講義形式の授業展開になっている傾向が払拭されていない。そのために、学
生の興味・関心を十分喚起し得ていないことが、今年度の評価にも現れている。後期②(卒
業研究)に比して、前期②(社会福祉演習)の評価点が低いのは、ゼミ形式の授業が意図し
た方向が前期②では達成できなかったためである。単に人数の多さだけではなく、「意見交
換」を苦手とする学生を対象としたゼミを有意義なものにするためにどのような対応が必要
かを検討していかなければならない。
Ⅲ.「総合評価」について
総合評価についての前期授業科目の平均点は、①4.1、②4.5、③4.4 点であり、後期授業科
目の平均点は、①4.5、②4.7、③4.7、④4.7 点であった。この結果は、私自身の授業への取り
組み状況を率直に反映していると思われる。即ち、学生に教授すべきことが整理され、ある
意味で「自信」をもって授業展開ができ、したがって学生の問題意識に沿った授業ができる
科目への評価点は比較的高かった。評価点の低かった①保育内容・環境については、平成 16
年度授業では、学生自身による保育環境調査と発表、子どもに適した環境創り等を課し、応
答性のある演習授業を工夫するようにしたい。
私の担当科目に対する「学生による授業アンケート」結果は、昨年度よりも今年度、今年
度前期よりも後期の評価点が全体的に向上している。そのことは、私自身がアンケート結果
を踏まえた授業のあり方、
教え方を実践しようと努力してきたことの現れであると思われる。
しかし、一方で、学生は授業評価ができるほどに成熟しているのか、「授業評価」について
のマンネリ化、疲れ(沢山の科目を毎学期行うことへの)はないかとの疑問が生ずる。また、
全体的に、Ⅰ授業のあり方・Ⅱ教え方・Ⅲ総合評価に比して、Ⅳ授業に対するあなたの取り
組みの評価点が低い。
これらのことから、全体的に授業には大きな不満はないが、過密なカリキュラムに疲れ、
意欲的な学びが少ない学生の平均的な姿が浮かんでくる。すなわち、興味・関心をもって授
業に参加できていない学生が極めて多い。自己点検・自己評価で最も問われるのはこうした
学生の実態への対応ではないだろうか。
67
学科
社会福祉学科
担当科目:
家政学実習Ⅰ
職名
助教授
介護実習Ⅰ
介護実習
氏名
奥田
家族福祉論
都子
家族援助論
Ⅰ「授業のあり方」について
この領域についての評価を平均すると、「家政学実習Ⅰ」で4.0、「介護実習Ⅰ」で4.
5、
「介護実習」で4.9、
「家族福祉論」で4.2、「家族援助論」で3.6であった。この
うち、目立って低い評価となった「家族援助論」について、その原因を考察してみる。
「家族援助論」は、社会福祉専攻の学生を対象に、保育士資格取得における必須科目とし
て、今年度から初めて開講されたものである。厚生労働省から示される授業内容は、子育て
家族を支援することのできる保育士の養成という観点から、①現代家族の機能不全状況への
理解を図る内容、②子育て支援の各種制度や取り組みを理解させるための内容、③具体的な
家族支援を提供するための関係機関との連携を理解させる内容の3つから構成される。しか
し、学生によれば、本学においては、これらの内容のうち家族そのものの理解に関する部分
をのぞいては、ほとんど他の科目において学習ずみであるという。そのため、学生がこの科
目に求めるのは、子育て支援の法律・制度・政策等の話題ではなく、より具体的な援助の方
法や、虐待やDV等家族の問題状況に直面したときの対応など、すぐに役立つ援助の知識や
方法、学生の言葉を借りれば「役に立つ豆知識」
「具体的に実践に関わってくる内容、援助方
法など」ということになる。
確かに、
「家族援助」という言葉から、具体的な援助のあり方や方法を学ぶことができる
科目として、学生が「家族の援助法」を期待するのはもっともである。このような学生の思
いに対し、残念ながら科目担当者は、その期待にうまく答えることができなかったことをた
いへん心苦しく思っている。その最大の理由は、「具体的な援助の方法を教授できる専門性」
を持ち合わせていないということに尽きる。理想的には、家族援助の臨床経験(現場経験)
をもつ担当者が望ましいのだが、私自身には専門職としての対人援助の経験もなく、社会福
祉援助技術を教授できるだけの専門性も備えていないため、軽々しく援助の方法を講じるな
どということはしてはならないと思っている。したがって、この講義の中で採ったのは、保
育者との対話の中で家族がどのように感じるか、これをふまえて保育者はどのように対応し
なければならないかを、あくまでも家族の視点から解説するという方法である。
そもそも厚生労働省シラバスにおいて、具体的な援助方法の教授という項目は置かれてお
らず、保育士としては、家族の子育ての困難をいち早く見抜き他職種につなげること、より
専門的な援助の知識をもつ他の専門職との連携ができることが目標にされているにすぎない。
しかしながら、本学の学生については、その大多数が社会福祉士資格も視野に入れているた
め、家族援助への関心も高く、より専門的な知識・技術への志向が強いこともあって、厚労
省シラバスどおりの「家族援助論」では、いかにも物足りないという不満につながったので
はないかと思われる。
以上が、
「家族援助論」への低い評価をもたらした最大の要因と考えている。このような
学生の思いを受けとめ、魅力的な授業の構築に向けてなすべきことは、関連する他の科目と
の重複を調整して内容の精選・充実をはかるのみならず、厚労省シラバスに含まれない内容
をも積極的に導入していくことではないか。そのためにも、科目担当者の専門性でカバーし
きれない部分について、ゲストスピーカーの招聘や、学内教員の協力を仰ぐことも積極的に
検討したい。
68
Ⅱ「教え方」について
この領域についての評価は、平均すると「家政学実習Ⅰ」で4.1、
「介護実習Ⅰ」で4.
3、
「介護実習」で4.9、
「家族福祉論」で4.4、
「家族援助論」では3.6である。ここ
「家族援助論」の評価は他と比べて顕著に低くなっており、これについての原因を考え
でも、
てみる。まず思い当たるのは、コメントに記された「難聴のクラスメイトへの配慮がない」
という厳しい指摘が示すように、聴覚障害を持つ学生に対して、授業の理解をはかるための
配慮が十分ではなかったという点である。
この学生に対する配慮の必要については、学科代表からも要請されたとおりに、マイクを
使わないで肉声だけで授業する、はっきりと話す、板書する、わからないことはないか声を
かけるなどの面でつとめて心がけていたつもりであったが、結果的にはまったく配慮してい
ないのと大差なかったことが学生からの評価でわかり、衝撃を受けるとともに、学びたいと
いう姿勢にきちんと応えられなかったことにたいへん申し訳ない思いである。
今回のケースに限らず、今後多様な障害をもつ学生を授業に受け入れる可能性があること
を考えるならば、それぞれの障害の状況に応じて、どのような対応が必要になるのか、どの
ような授業方法が効果的なのか等、障害児(者)教育などの観点から、教員がきちんと学び、
教育力を高めるために参考になる図書や映像資料などの情報が必要だし、研修の機会を設け
ることも必要になってくるのではないかと思われる。障害の有無にかかわらず授業を受ける
ことを可能にするために、自分ができることは何でもしてみようという意欲はあるが、実際
にどうすればよいのかわからない。自分なりの工夫を試みても、結局なんの効果もなかった
ことをふまえ、すでに何らかのノウハウがあるならば、ぜひそのような方法を試みてみたい
と思う。
Ⅲ「総合評価」について
この領域についての評価は、平均すると「家政学実習Ⅰ」で3.8、
「介護実習Ⅰ」で4.
5、
「介護実習」で4.5、
「家族福祉論」で3.8、「家族援助論」では3.5である。ブロ
ック別平均値と比べると、
「介護実習」「介護実習Ⅰ」では平均を上回ったが、他の講義・演
習系科目では全て平均値を下回っており、改善のための取り組みの必要性を強く感じさせら
れた。
では何を改善すればよいのか。目標とすべきは、学生の興味関心を引き出し、そこにうま
く応えられるような授業展開であること、新たな知識や手法を獲得できたという実感をもっ
てもらえることだろうが、
具体的にどのような手だてをとればよいのかは難問である。
ただ、
自分の授業に対する反省点として、伝えたいことがあまりにもたくさんあるために、どうし
ても一方的な説明や解説が多くなりがちで、学生とのキャッチボールが十分でないというこ
とを常々感じているので、今後は授業の中に作業やディスカッションを取り入れることから
取り組み始め、そこからさらなる改善の糸口を見いだせればと思っている。
69
学科:社会福祉学科
職名 助教授
氏名
川島 貴美江
担当科目: 社会福祉援助技術論、社会福祉援助技術演習、保育実習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、社会福祉演習、
総合演習・卒業研究
Ⅰ「授業のあり方」について
社会福祉援助技術論(ソーシャルワーク)と社会福祉援助技術演習は、相互に関連をもって理
解されなければならない。学生からは、「常に自分だったらどうするかという自己問答にせまられる
機会」、「緊張感があった」という記述が大変多かった。「自己理解の辛さ」も表現されている。しか
し、社会福祉援助実践は、周到な準備としての演習における援助技術論の検証を学生自身が取
組んでみて、現場に出て行くことなくしては不可欠である。「論」と「演習」授業の目的を明確にし、
用意したプログラムへの動機づけを十分行った結果、学生が主体的に臨場感を持って取組んだと
思われる。また、専門職にとって自己確知の必要性を意識することができたと思われる。
臨床経験と理論とを結ぶ実習も援助論と演習とを結びつける教材として位置づけ、理論と実際
への応用、多くの事例、必要とされるであろう援助方法と援助技能や援助原則などの多様さと創造
性への気づき、利用者の権利の尊重や倫理観をどう形成するかを実習体験の中から導いた。実
習は、現場との生きたつなぎ目であり、学生にとっては、社会福祉援助技術論と実践との整合性,
連続性に気づく良い機会となる。実体験を振り返る時間的な余裕を持たせ、演習プログラムの意
味を理解させた上で、自己への気付きを助けるよう援助した。授業は、学生が自分だったら利用者
とどう向き合い、何がニーズであるかを思考し、自分ならどう援助するかの道をひとまず見つけ出
すよう答を出させた。その上で、何を生活課題としてとらえるかによって援助方法は極めて多様で
あり、利用者と向き合う時は多様性の中で幾通りもの可能性を考慮しながらモニタリングしていくこ
との大切さを学ぶことに力点を置いた。おおむね学生からは、自分と向き合う厳しく辛い、しかし充
実した学びがあったという評価は得た。社会福祉演習、総合演習・卒業研究は、援助技術論の一
つであるグループワークの手法を学生自身も学んでみることを主題とした。テーマは、何であれ、
グループで学ぶことの手法を何時も伝え(計画性、テーマの設定の方法論、リーダーシップの発揮、
グループの発展過程、メンバーの葛藤の処理などなど)、ぶつかり合うことや支え合うことのメンバ
ー間のやりとりを大切にした。学生は、グループへの帰属感や時には疎外感を持ちつつ、グルー
プに貢献できる喜びや自分の存在感を知ることができたようである。
保育士資格取得のための保育実習Ⅰは、1年次において、10 月に保育所、2月に児童福祉施
設を中心とした社会福祉施設で実習する。保育所実習は比較的学生の希望に添って配属できる
が、施設実習はあらかじめ確保してある幾つかの種別の福祉施設に配属するため、必ずしも学生
の希望どおりとはならない。学生には十分な理解を求め、主体的に取組むことができるよう配慮し
ている。保育実習Ⅱ(保育所)と保育実習Ⅲ(児童福祉施設を中心とした社会福祉施設)は、保育
実習Ⅰの実習成果を踏まえて学生自身がどちらかを選択し、2年次に履修する。保育実習Ⅱと保
育実習Ⅲは必修化されて2年目であり、学生の希望に添えるよう施設確保に努めた。実習は大変
であるが学ぶことが多いという評価をほぼ全員の履修生が持っている。
Ⅱ「教え方」について
ロールプレイ、事例研究、討論、ゲーム、ビデオ視聴など、社会福祉援助技術演習においては、
さまざまな教材を用いた。ただし、社会福祉援助技術論と同演習におけるそれらの教材を用いる
70
意味(動機づけ)を明確にすることには十分配慮した。また、授業後の技能習得度や疑似体験に
よる学生間の体験の共有についても時間をとることに努めた。「楽しくおもしろい」という学生の感
想は貴重であるが授業の目的や効果が薄れることのないよう、また決して「How to」もの(援助の仕
方)を学ぶものではないことは常に力説した。
保育実習については、保育実習担当教員が事前講義をそれぞれの専門分野を生かし保育実
習と関連させて講義する。また、現場で直接処遇にあたっている保育士や、福祉施設職員の講和
など、実習生を受け入れる立場からの視点も含めて、施設理解についての講義を取り入れてい
る。
Ⅲ「総合評価」について
短大教育においては、ソーシャルワーク教育が不十分であると指摘する声は多い。しかし、どん
なに十分な時間があっても豊かな感性の育ちと専門的自我の成長なくしては、ソーシャルワーク教
育は意味がない。また、「理論と実際は別」という錯覚を持つことなく、卒業後にしっかり援助者とし
て成長していけるようソーシャルワークの基礎を学ばせることが使命であると考える。しかし、二年
後の国家試験まで区切りとして、この教育効果方法がないことや、実習を通しての現場と大学との
教育システムが十分でないことが課題である。
保育実習は、すべての実習終了後、何人かの学生の代表が実習報告をし、報告会の運営も学
生の手による。合計3回の報告会を通して、課題の発見、問題意識や観察の視点の深まり、保育
士としての将来に向けての自覚、自身の保育観の形成の芽生えなど、実習を終えていくたびに成
長がみられる。事前講義の内容や方法の検討、学生の適性や学内での生活の様子を常に把握し、
保育実習運営委員会において、それらの情報交換をはかることが重要である。保育実習運営委
員会は、定期的にかつ必要に応じて開催する中で、実習に対する指導の反省を踏まえて事前・事
後学習の改善を図っている。
71
学科 社会福祉学科
担当科目
職名
教授
氏名
川村邦彦
実習指導Ⅰ、実習指導Ⅱ、
Ⅰ「授業のあり方」について
上記項目について「実習指導Ⅰ」のアンケート平均は4,3、「実習指導Ⅱ」は4,2であ
った。特徴的なのは「実習指導Ⅱ」の「教員から与えられた課題は質、量ともに適切であっ
たか」の項が3,6と低い評価であったこと。学生の本心からすれば「適当ではなかった」
の気持ちと拝察する。思い当たるのは外部講師の講演やビデオ鑑賞の後に課した感想文であ
る。学生からも同様趣旨のコメントが寄せられている。いわく「感想文を書くのが辛い」
「他
の課題もあって厳しい」等。本当にそれほど負担なのだろうか。
講演を聴いて後、自分が何を書きたいのか、書くべきなのか、それが学生の内部に湧き上
がってくれば書くことは負担にはならない。だが、それは一朝一夕に獲得できる能力ではな
い。そこで抜本的対策とは言い難いが、私ならこんな事を書く、と教員が書くにあたっての
視点や留意点を例示して見せることを次年度は実施してみたい。それによって幾分か、書く
事への負担が軽減されるのではないだろうか。
その他、全体の「授業のあり方」の今後の工夫として,今日この授業で何をやり、何を解
ってもらいたいかのか、それを授業の冒頭で明示し、達成の度合いを終了間際に確認するよ
うな方法を来年度は探ってみたい。
Ⅱ「教え方」について
「実習指導Ⅰ」は4,Ⅰ、
「実習指導Ⅱ」は4,3であった。数値は特段に低くはないが、
但し否定的なコメントが多く記されている。
「説明がよく解らなかった」
「解りやすくしても
らいたい」等。その他、今回は学生から直接の名指しはなかったが「川村の話しは長い」と
いう悪しき評判を常ひごろ得ている。授業の工夫が足りない、という学生からの苦言として
肝に銘じているつもりだったが、未だ改善は不十分のようだ。自己流の、のった喋りが等質
に聞き手に伝わるとはよもや思っていないが、その落差を私自身がまだ本当に解っていない
ようだ。
これから心掛けるべきは、授業における喋りは要点をまとめて短くかつ的確に、さらに一
本調子にならない授業、グループ討議等を多く取り入れた授業、ということになる。
Ⅲ「総合評価」について
評価平均4,1である。アンケートによると学生がアクティブな授業、変化ある授業好む
傾向が出ている。具体的には「卒業生等の話しが聞けて良かった」等のコメントが寄せられ
ている。今後もこうした学生の関心に基づいた学習法を積極的に導入していきたい。
72
担当科目
介護実習Ⅰ、介護実習Ⅲ、形態別介護技術Ⅲ
Ⅰ「授業のあり方」について
「介護実習Ⅰ」の評価平均が4,1、「介護実習Ⅲ」が4,2であった。決して低くはな
いが、実習中の学生たちの様子を知る者としてはもう少し高い評価が得られるのではないか
と思っていたので、この評価には正直がっかりした。この学生の評価と、担当者の期待を含
めた自己評価の相違の出所が正直なところ解らないでいる。私自身の問題なのか、それとも
実習施設の環境的な問題なのか。私自身の問題とすれば、私が今後どうあるべきなのか、資
料が乏しくそうした具体的な改善策がこれでは講じられない。困った。
現在のところ、学生は実習中に担当教員に見せる表情とは裏腹の一面を持っている、とい
う理解だけはしておくことにする。
「形態別介護技術Ⅲ」のこの項目の平均評価は4,5であったが、これは担当者自身の自
己評価に較べて高い。講義だけではなく実習室を使っての演習やビデオによる学習等、比較
的多彩な授業形態を取り入れたことが評価につながったものと思われる。
Ⅱ「教え方」について
「介護実習Ⅰ」のこの項目の平均評価は3,9、「介護実習Ⅲ」は4,5であったが、正
直なところ「介護実習Ⅰ」の評価にも少しばかり驚いている。何が原因のこの低さか。但し、
これについては思い当たる節もある。私とすれば論理的であってほしいとの願いからだが、
学生との面談の際にも、反省会の学生の発言の際にも、
「なぜそう思うのか」を連発する。そ
れが昂じて1年次の学生には「責められている」と映ってしまうものと思われる。もしそれ
が的を射ているのであれば、教育技術の問題であり早急に改善したい。
「形態別介護技術Ⅲ」のこの項目の平均評価は4,5であった。教授内容の中心が担当者
の得手の分野であり、それだけに授業に熱が入っていた証しかもしれない。
Ⅲ「総合評価」について
入学の動機がはっきりしている学生が多いので、授業で知識を得れば素直に「理解が深ま
った」
「関心を持った」につながる。そのためこの項目の平均評価は4,2と比較的安定して
いる。さらに評価を高めるには、実習に限って言えば、実習中の学生の不安を取り除く教員
の関わりが重要と思われる。それには巡回を頻回に行うことはもちろんだが、その際にでき
るだけ時間をとって学生と面談することが大切。巡回の実態は、授業の合間を縫っての綱渡
りのような時間のやり繰りで何とか週2回の巡回ペースを維持できているが、今後もその努
力を継続することが評価向上につながると思われる。
73
学科 社会福祉学科
職名
教授
氏名
佐々木
隆志
担当科目:老人福祉論(社専、通年)
、老人福祉論(介専、通年)
、児童福祉論(介専、後期)
、
、社
社会福祉援助技術現場実習指導(社専)、総合演習・卒業研究(両専攻、通年)
会福祉演習(両専攻、通年)
Ⅰ「授業のあり方」について
「授業のあり方」分野の質問項目は、
「授業の目的明示と、計画的な授業の展開」「授業内
容の質と量」
「教員から与えられた課題の質と量」「授業において安全への配慮」「休講及び
その対応」の5項目である。以下、担当者平均とブロック別平均を見てみる。
〔担当者、平均〕 〔ブロック別、平均〕
・老人福祉論(社専、通年)
4.60
4.32
・老人福祉論(介専、通年)
4.46
4.34
・児童福祉論(介専、後期)
4.72
4.34
・社会福祉援助技術現場実習指導(社専) 4.73
4.48
・総合演習・卒業研究(両専攻、通年) 4.9
4.58
・社会福祉演習(両専攻、通年)
4.84
4.68
上記の結果から、筆者の担当した科目について、学生の授業評価で5項目中一番平均が高
かった項目は、
「教員は、授業の目的を明示し、計画的に授業を展開していた」である。これ
は、講義の開講後それぞれの授業科目の目標及び内容をプリントし、学生に具体的にどの時
間で、何をどのように進めていくか等を説明した成果の現れであると理解できる。つまり「授
業のあり方」の主要な部分は、その担当の専門科目の概念構造を明確にし、他の社会福祉関
係科目との関連性等も講義当初に話すことが重要であると思われる。
授業のあり方については、基本的にその担当科目に関する基本的理念が重要であり、筆者
は前年度の自己評価・自己点検の報告のなかで、以下のように述べてきた。常に世界最高の
水準と最新のデータで講義を進める。具体的には、第1にわかりやすい講義、第2に明るい
講義、第3にユーモアのある講義の形成である。今回のこの調査から、昨年同様高い数値を
示しており、概ね課題は達成されていると理解している。
今後の検討事項として2点考えられる。第一は「児童福祉論については半期では足りませ
ん。1年やってもいいテーマだと思いました。」といった意見である。第二は、
「教員から与
えられた量と質」の課題である。前者については、カリキュラム上の問題であり、今後の検
討を必要とする。後者については、教員自身が学生に対してレポート課題等提出した際、学
生はその課題が多いと感じる場合等、講義の質の向上と、学生自身のニーズとの関連性につ
いてさらに授業のあり方を検討していく。
Ⅱ「教え方」について
「教え方について」分野の質問項目は、教員は「学生の理解度に配慮して授業を進めて
いた」
「学生の理解が深まるように工夫していた」「学生に対して誠実に対応していた」の
3項目である。担当者平均とブロック別平均を対比してみると以下のようになる。
・老人福祉論(社専、通年)
・老人福祉論(介専、通年)
〔担当者、平均〕
4.5
4.3
74
〔ブロック別、平均〕
4.2
4.26
・児童福祉論(介専、後期)
4.76
4.26
・社会福祉援助技術現場実習指導(社専) 4.7
4.4
・総合演習・卒業研究(両専攻、通年)
4.9
4.76
4.8
4.83
・社会福祉演習(両専攻、通年)
上記6科目のなかで担当者平均が最も高い科目と低い科目を分析してみる。高かった「総
合演習・卒業研究」
(4.9)は平成 16 年度より保育士養成必修科目として位置付けられ
た科目であり、今年度は8名の学生により進められた。今年度は、「世界の少子高齢社会の
現状と課題−子どもの幸福を探求−」のテーマで取り組み、その進め方は、ゼミメンバー
で協議した結果、3本の柱のなかで実施した。第1に少子化の原因を多角的に分析し、そ
れぞれの領域からゼミメンバーがテーマを設定し、個人発表すること。第2に、少子社会・
子育て支援の担い手の施設「子育て支援センター」等の訪問観察の実施。第3に、少子化
子育て支援の集大成として絵本の製作。これら三つの課題について学生は本当によく努力
された。この多くの課題達成の満足感、安堵感が評価に現れていると思われる。また、最
も担当平均が低かった「老人福祉論」(介護施設専攻)4.3であり、「教え方」部分では、
「学生の理解度を配慮して授業を進めていた」のところが、「そう思う」39.2%、「や
やそう思う」45.1%となっており、今後さらに学生のレベルにあった講義を進める予
定である。
Ⅲ「総合評価」について
「総合評価」分野の質問項目は、学生自身が「この分野の基礎的知識や手法の理解が深ま
った」「この分野について関心が持てるようになった。」の2項目である。
〔担当者、平均〕 〔ブロック別、平均〕
・老人福祉論(社専、通年)
4.35
4.2
・老人福祉論(介専、通年)
4.15
4.15
・児童福祉論(介専、後期)
4.5
4.15
・社会福祉援助技術現場実習指導(社専) 4.5
4.45
・総合演習・卒業研究(両専攻、通年)
4.85
4.65
・社会福祉演習(両専攻、通年)
4.7
4.6
介護福祉専攻の「老人福祉論」については担当者平均が4.15と一番低く(平成 15 年
度 4,4)
、今後はこの科目については、生活のなかでの高齢者と老人福祉に関連する具体的
内容をさらに取りあげ、質の高い講義を展開する予定である。具体的には、講義で取りあ
げる老人福祉法、老人保健法、介護保険法を中心とする主要な高齢者サービスの総体と、
現状を示しながら老人福祉についてさらに学生が興味、関心が持てるように講義を進める
予定である。そのなかで、高齢者が抱える生活問題の背景とその内容について、これまで以
上に詳しく展開し、討論型演習を取り入れながらレポート課題等を通じて学生のニーズ把握
にさらに努め、基礎的知識や手法の理解が深まるように改善を試みる。
その為にも、教員自身の教育、研究を更に発展させる予定である。
75
学科
社会福祉学科
担当科目
障害者福祉論
職名
講師
社会福祉演習
氏名
立花 明彦
介護実習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ
実習指導Ⅰ・Ⅱ
Ⅰ「授業のあり方」について
いずれの授業も、その目的については初回で学生に伝え、また意識付けるため、折に触れ
話すように心がけている。そのうえで、授業は基本的にシラバスに示した計画に基づいて進
めているが、学生へのアンケートからはそれらを裏付ける結果が示された。
教員が与えた課題の質と量においては、介護実習Ⅲで平均値を 0.3 ポイント下回った。実
習にあたっては、その前後で個人の実習課題等をまとめたり、報告書提出などの課題・宿題
が全員に課される。最近の学生は表現力が乏しく、それを痛感するので、その過程では何度
も書き直しを指示することが多い。それが学生には幾分かの負担となっていて、アンケート
の結果に反映したのではないかと考えている。
Ⅱ「教え方」について
講義科目では、授業の終わりにその日の内容についての感想や意見、質問などを提出して
もらい、それによって学生の理解度を確認し、合わせて次回の授業の参考にしている。寄せ
られた質問や特筆的な意見については、次の時間の冒頭で答えたり紹介する。また講義内容
についての理解を援助するツールとして、
可能な限り関連するビデオを用意し使用している。
さらに可能な限り、受講者の視覚に訴えるべく講義テーマに関連した実物を用意し見せるよ
うにもしている。加えて今年度は、障害をもつ方におこし願い、講義いただく機会も設けた。
これは学生にとって特に印象的であったようで、高評価を得た。
演習科目では、学生の関心・考えを引き出せるよう環境づくりと十分な時間の確保に努め
た。
こうした教員の態度が受講者に伝わり、一定の評価が得られ安堵している。
Ⅲ「総合評価」について
講義科目において、内容の理解、基礎的な知識の習得、関心度ではいずれも平均を上回る
結果が示された。教員の意図する点が学生に伝わり、授業の目的が概ね達成できたとも言え
る結果であり、ホッとしている。一方、介護実習Ⅱ・Ⅲではこれらの点は平均をやや下回っ
た。教え方の項目では高評価を得ながら、実際の知識・技術の習得ではそれを反映する結果
が得られず、矛盾を生じる。実習に臨む学生の意識は個々に異なるであろうが、この分野に
おける関心をもてるよう教員として指導に努めなければならないと気持ちを新たにしている。
同時に卒業後も長く受講者の記憶の中に留まる内容であり、インパクトのある指導・講義を
展開していきたいと考えている。
76
学科 社会福祉学科
担当科目
職名
教授
氏名 増田樹郎
社会福祉原論・社会福祉援助技術論・社会福祉援助技術演習・社会福祉演習
Ⅰ「授業のあり方」について
大学用テキストはあるが、定番のテキストなどはないというのが大学本来の授業だろう。
知識や技術を伝えることもさることながら、その向こう側にある〈事柄〉のあるべきすがた
を捉える思考力こそ、授業の醍醐味である。一枚の資料が何時間にもわたって受講生の関心
を引きつける。その課題を深化させていく過程こそが「参加型」学習のもつ力動感だ。
転勤にともなって一部の講義等では集中講義形式となり、受講生に負担をかけた。それで
も援助技術演習に関しては、むしろ参加型学習の成果を確実にするために却って有効ではな
かったか。
自由記述に見る受講生の「初々しい戸惑い」は、語る言葉の「難しさ」である以上に、大
学で学ぶべき〈事柄〉の「難しさ」であろう。「人間であること」の課題を正面に据えて、福
祉について考えるとき、老いや障害の理解を深め、受講生自らの関心を繋いでいくことは簡
単なことではないからだ。受講生に語りかけ、その応答に学ぶ授業ができることを目標とし
たい。
Ⅱ「教え方」について
『社会福祉原論』の講義では、テキストはあくまでも補助であり、たえず制度政策や状況
の変化に敏感に反応しつつ、これを素材として議論を深めることをねらいとした。原論=総
論(社会福祉入門)ではなく、社会福祉的な営為を相対化しつつ、その思想や原理を検証し
ていくことこそ原論の授業である。そのために、いま地域や現場から見えてくる老いや病、
障害の実像を伝え、ゲームやビデオ、資料なども多用して内容の充実に努めたが、受講生の
評価は相半ばしている。
『社会福祉援助技術論』及び『演習』は、多様な領域で用いられるケアマネジメントの意
義と技法について、可能なかぎり参加型学習を取り入れ、現場感覚に富んだ事例を活用して
学習することを心がけた。目標は事例をとおして生活課題を考え、援助を計画化する技法を
ケアマネジメント過程をとおして身につけることであったが、半期でこれを消化することに
今後の工夫と課題が残った。
たくさんの自由記述を読むかぎり、福祉を学ぶ「意義」と「方法」について、私の教え方
に反発したり、共鳴したりしつつ、受講生自らがこれに気づいていく機会になっている様子
が窺える。受講生に感謝している。
Ⅲ「総合評価」について
平均点がどの程度なのか不明だが、4段階以上の評価は、去りゆく教師への送別の意味も
あるのかと思う。例年「難しい」という批評が一般的であり、それを変えるための工夫を重
ねてきたつもりだった。今年はことのほか「わかる」という表現に繋がっていることに安堵
している。この評価を大切にして、今後とも地平線の向こう側を共に見つめていく教室であ
りたいと願っている。
77
学科
社会福祉学科
職名
講師
氏名
松平千佳
担当科目: 社会福祉援助技術論
Ⅰ「授業のあり方」について
①アンケートの結果について:平均4.7という得点には大変満足している。
②昨年度からの経緯も踏まえた分析:今年度から着任したため昨年までの経緯がわからな
いので、踏まえた分析はできないが、学生の学習に対する姿勢や熱意が予想以上に高く、
予定していた内容よりさらに進んだ内容を教えることができたと思う。
③今後の課題・改善への展望:ソーシャルワークの実践を学ぶこの科目には常に創意工夫
が必要である。人権尊重、権利擁護、自立支援など、ソーシャルワークのキーワードをい
かにわかりやすく授業の内容に入れ込んでいくのかについて、さまざまな教材を使って取
り組んで行きたい。
Ⅱ「教え方」について
①アンケートの結果について:平均4.8という得点には大変満足している。
②昨年度からの経緯も踏まえた分析:今年度からの着任なので前年度との比較はできない
が、学生との対話や学生が自己表現することを強く要求した授業に対しては、初めは戸惑
いがあったものの、最終的には力がついたと感じている学生がいるようだ。
③今後の課題・改善への展望:学生自身の持っている学ぼうとする意欲を大事に、それを
さらに大きく引き伸ばしていくように、ファシリテーター(学習促進者)としての役割
を充実させたい。
Ⅲ「総合評価」について
①アンケートの結果について:平均4.6という得点には満足している。
②昨年度からの経緯も踏まえた分析:前述どおり、昨年度との比較はできないが、ソーシ
ャルワークやソーシャルワーカーの基礎的な役割を大事に考え、わかりやすい授業の展開
に努めた。
③今後の課題・改善への要求:課題やアクティビティを始める前の導入を大事に説明する
ことを心がけたい。
担当科目: 社会福祉援助技術演習
Ⅰ「授業のあり方」について
①アンケートの結果について:平均が4.8という得点には大変満足している。
②昨年度からの経緯も踏まえた分析:学生の学習に対する姿勢や熱意は予想以上に高いの
だが、演習科目に求められる参加の姿勢や、互いに強調しながら一つの活動を進めていく
という基本的な行動が分からない、苦手とする学生が多かったそのため、計画していた演
習の内容を変更し、聴く、見る、話す、というソーシャルワークの3つの基礎的技能の修
得を演習のはじめにおこなった。
③今後の課題・改善への展望:来年は適切なコミュニケーション技法の習得により重点を
置くと共に、学生自身のエンパワーメントができる演習を行いたい。
Ⅱ「教え方」について
①アンケートの結果について:平均が4.9という得点には大変満足している。
②昨年度からの経緯も踏まえた分析:今年度からの着任なので前年度との比較はできない
が、演習を通して、ソーシャルワークに必要な倫理観や価値基準が少し見得たのではない
かと自負している。意見を述べることを強く要求したこの演習に学生は戸惑いつつもよく
78
参加してくれたのではないかと考える。
③今後の課題・改善への展望:教員がファシリテーター(学習促進者)としての役割に徹
するように、演習内容に工夫したい。教材の開発をさらにおこないたい。
Ⅲ「総合評価」について
①アンケートの結果から:平均が4.7という得点には大変満足している。
②昨年度からの経緯も踏まえた分析:前述どおり、昨年度との比較はできないが、ソーシ
ャルワークやソーシャルワーカーの実践に必要な基礎的技術とそれを支える専門価値の修
得に努めた。
③今後の課題・改善への要求:課題やアクティビティを始める前の導入を大事に説明する
ことを心がけたい。
担当科目: 社会福祉現場実習指導
Ⅰ「授業のあり方」について
①アンケートの結果について:平均が4.7という得点には大変満足している。
②昨年度からの経緯も踏まえた分析:今年度から着任したため昨年までの経緯がわからな
いので、踏まえた分析はできないが、学生の学習に対する姿勢や熱意は予想以上に高いの
だが、今まで学んできた学習を総合する実習を重要な教育として位置づけ、きめ細かな指
導をおこなうように努力した。
③今後の課題・改善への展望:実習事前指導に使える時間が、他の実習との時期の関係に
おいて足りないことを何とか解決したいと考えている。さらに具体的な実習計画書を作成
できる事前学習のあり方を探りたい。
Ⅱ「教え方」について
①アンケートの結果について:平均が4.9という得点には大変満足している。
②昨年度からの経緯も踏まえた分析:今年度からの着任なので前年度との比較はできない
が、実習という重要な科目に対して十分な取り組みができたとは思っていない。事前学習
⇒ 実習 ⇒ 事後学習の流れをより明確にしながらその3段階でクリアすべき課題を学
生にしっかり提示していきたい。
③今後の課題・改善への展望:不必要な不安を払拭しながら、学生の実習に対する意欲を
最大限引き伸ばせるようにスーパーヴィジョンをしっかりおこないたい。
Ⅲ「総合評価」について
①アンケートの結果から:平均が4.7という得点には大変満足している。
②昨年度からの経緯も踏まえた分析:前述どおり、昨年度との比較はできないが、実習の
事前事後学習に使える時間配分を考えていきたい。
③今後の課題・改善への要求:実習生を送り出すその先の施設や機関との良い関係を作っ
ていくことが、実習を成功させるために大事だと考える。また、実習生同士がさまざまな
不安や情報を共有しあえるような時間を設定していきたい。
79
学科 社会福祉学科
担当科目
職名
助教授
氏名
三田英二
教育心理学,臨床心理学,青年の心理,社会福祉現場実習指導,社会福祉演習
Ⅰ「授業のあり方」について
講義科目については、学生の出席をとらないことが、私の授業に対する理念である。出席
が少ないのは、私の授業に学生たちが魅力を感じないためであると考えるからである。何を
置いても、私の講義に学生が出席したくなるような講義ができるように、常に努力をしてい
きたいと考えている。
学生も高校までの授業とは違うという認識を深めてもらいたいと思う.
Ⅱ「教え方」について
学生の授業中の私語は、必ず注意をする。授業を聞きたい他の学生にとり不利益が多くな
るからである。しかし、上述 1 の記述のように注意しなくとも、講義に気持ちが引きつけら
れるような講義を目指したいと思っている。
学生からの評価は概ね平均点を下回っている.内容がまだまだ難しいのかもしれない.専門
用語を使用するときには,十分配慮していたつもりであったが,まだまだ足りないのかもし
れない.今後とも注意しながら使用していきたい.
また,講義内容に沿ったテキストを作成するだけの力量が私にはまだないため,テキストは
用いていないが,毎回資料を配布している.どちらかといえば,専門用語を多く覚えさすことよ
りも,私の専門とするところの人格心理学的な見方を学んでいってもらいたいと考え授業を
展開している.このため,講義中心の授業となってしまう.学生からの自由記述欄に「授業の
流れが一定のため眠くなってしまう」とあった.しかし,今後とも講義中心の授業展開は変わ
らないと思う.
Ⅲ「総合評価」について
前述のように学生からの評価は概ね平均点を下回っている.授業は教師にとってのパフ
ォーマンスの場である,と私は考えている.しかし,エンターテイメントに走ることなく,
あくまでもアカデミックに,知的にインスパイヤーするパフォーマンスのあり方を追求し
て期待と思う.
80
学科 社会福祉学科
職名
助教授
担当科目
氏名
三富
道子
社会福祉学科「介護技術Ⅰ」「介護実習ⅠⅡⅢ」「社会福祉演習」
歯科衛生学科「介護概論」
Ⅰ「授業のあり方」について
介護技術については、昨年度「介護技術」の科目として1∼2年通年科目として評価し、
しかも2年次の後期に評価されたため、私の担当した介護技術は、今年度が初の評価である
ことを始めに申しおきたい。この科目は、演習科目であるとともに、他のグループ科目とか
なり異質な科目であることをあわせて申しおく必要がある。なんとなれば、この科目は、多
くの回数を極めて短期間のうちに開講していることと、実技科目として位置づけられている
ことである。そのため、このグループに含まれる他の科目と単純に比較すること自体無理が
あり、これによって他の介護技術系科目の評価に単純集計による比較をすることは、むしろ
危険性すら感ずる。
とは言うものの、学生からの評価は真摯に受け留めるとするならば、いずれにしても非常
に高い評価を得ていることは、間違いない。昨年度は、この科目について一部の学生の評価
をもとに2年次にも開講すべく一部の教員から揶揄されたことは、ぜひ触れておきたい。
この科目の目標とするところは、経験則にとらわれるのではなく大学教育の一貫として人
間の身体や、力学として介護技術を科学的に捕らえることとあわせ、介護技術を提供する利
用者の人権や人間の尊厳に配慮した利用者理解をもとに、技術習得をすることにある。この
点を考えるならば、安易に学生の評価を受け入れることは早計な気がしないでもない。教員
の教育目標からすると、アンケートの結果に安住し、あたかも分かったかのような学生を送
り出すことに危機感を抱く必要がある。
介護実習Ⅰ、Ⅱ、Ⅲについては、むしろ「実習指導」の科目との関係の中で評価すべきで
あり、これについては何を自己点検すればよいか不明である。
社会福祉演習についても同様のことが言える。この科目の目的や目標を十分理解している
とは思わない。数合わせのためだけに配属され、ゼミ方式を取るに足らない学生数の中で行
うことに所詮無理があると考える。
歯科衛生の介護概論については、昨年度より非常に高い評価得た。これは、昨年度に変わ
り学生の質の変化とは一概に評価できない。Ⅱで述べたように授業の方法の変更が、大いに
あると思う。
Ⅱ「考え方」について
介護技術Ⅰについては、昨年度の部内批判を受けながら他の介護技術系科目では、実技演
習できないとの意見を配慮して変更した。学生に自主的な連取を促しても、1年次の過密時
間割には無理が見られた。そうした事をも配慮し、授業内で反復練習を行える機会を増すた
め、1クラスで助手を含め5人の教員を配置し、いつでも学生の質問や方法の誤りについて
応えられる体制で実施した。結果は、学生からの評価はとても高い。また、実際の開講回数
は、指定回数よりも20回も多く開講することになった。しかし、これが自己学習や反復練
習につながるとはいえないばかりか、その必要性を否定しないとも限らない。この点工夫が
待たれる。
介護実習Ⅰ、Ⅱ、Ⅲについては、Ⅰでも述べたように「実習指導」の科目に依拠するとこ
ろが多く、学生の評価は高いものの、これが即担当教員の授業の評価につながると思われな
い。むしろ、学生側の主観的な評価が強いと思われる。
社会福祉演習は、これも学生からの評価は高いがむしろ懸念材料と言わざるをえない。な
81
んとなれば、
Ⅰでも述べたように科目の目的が理解できていない学生の関心を引くためには、
教材、とりわけ視聴覚教材を学生に興味を喚起するものを選ぶ工夫が必要である。しかし、
これによりゼミ本来の持つ学習ができたか、はなはだ疑問である。
歯科衛生学科の介護概論については、本年度は昨年度の経験から学生に「介護」をイメー
ジできるように授業内容を工夫した。視聴覚教材の導入タイミングやその後、歯科衛生士と
関連できうるように、配慮した。結果評価は高かったが、医療と福祉の考え方の相違や共通
項目に結び付けるには、やはり学生だけの評価でははかれないものがある。ましてや、8回
の中で3回の演習を組み込むことは非常に難しい。
Ⅲ「総合評価」について
介護技術Ⅰについては、学生からの評価が高いものの、この理由と課題について、すでに
Ⅰで述べたところである。2年次に介護系の技術科目が専任教員で開講されているにもかか
わらず、基礎的介護技術である「介護技術Ⅰ」の延長線上に応用技術として実技演習されて
いるかどうかは、十分とはいえない。このことは、今後検討されるべきである。さらに言う
ならば、介護系教員が科目の認識とそれぞれの担うべき役割を担ってこそ初めて可能である
といえる。昨年度は、話し合いの機会を持ったものの、この機能が働いていたとはきわめて
言いがたい。さらに今一歩言うならば、
「介護技術Ⅰ」を担当する教員と助手の負担は、「介
護実習」
「実習指導」をも担当することから考えると授業の負担度は、他の介護技術系教員の
比ではない。これらの調整が今後の大きな課題と言わざるをえない。
介護実習Ⅰ、Ⅱ、Ⅲについては、担当教員の評価によるものではなく昨年度同様「介護実
習」と「実習指導」と関連してひとくくりにして評価すべきである。単に担当教員の好感度
で学生の主観的評価を行うことは、教育的視点から逸脱しているといっても過言ではなかろ
う。
社会福祉演習の総合評価は、Ⅰ、Ⅱの学生評価点は低い。これは、教員の指導方法や教材
選択以前の問題があるといえる。Ⅰ、Ⅱの高い評価と全く矛盾する評価を単純集計すること
にむしろ疑問を感じ得ない。科目の目的性を十分理解せず単なる数あわせ的に学生を割り振
りに問題性を見出すべきであり、これを教員の評価とするのは、適切でないと思われる。ま
してや、希望が多い教員の負担感だけで興味のない学生を担当する教員は、やりきれない。
基本としては、なぜ短期大学でゼミに相当する社会福祉演習を今一度問い直す必要性がある
のではないかと考える。単なる、個々人の教員に任される問題ではないと考えるのは私だけ
だろうか。めいっぱい介護の学生へ開講過多の状況にある教員にとって、とりわけ厳しい躾
まで言う教員に興味を持つだろうか。むしろ、それをなさらない教員の方が厳しいのではな
いかと思う。
歯科衛生学科は、昨年度の自己点検の中でも述べたことが、今回も同じく言わざるをえ
ない。学生の評価だけで言えば極端には異なるが、結論としては同じである。
「介護概論」を
8回で動機付けるのは難しい。
「社会福祉概論」
とセットでしかも 15 回の講義を組めば、「介
護」にもっと関心が持てるのではないかと思われる。
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学科 社会福祉学科
職名
助教授
氏名
宮本
悟
担当科目
−社会保障論(社会福祉専攻)1年通年
−社会保障論(介護福祉専攻)1年後期
−公的扶助論(介護福祉専攻)2年後期
−総合演習・卒業研究(社会福祉学科)2年通年
−社会保障制度論(第一看護専攻)2年後期、(第二看護学科)1年後期
Ⅰ「授業のあり方」について
① アンケート結果は、概ね良好であった。なお、担当講義の性格上、「安全への配慮」の
設問には学生側が回答に苦慮したように思われる。
② 昨年度も「授業のあり方」に関する諸項目は一定の評価が得られていたが、「公的扶助
論」の授業内容については数名の学生が「量」的問題を指摘していた。今年度は、歴史
関係の授業内容を圧縮して今日の政策・制度に関する内容をさらに充実させ、授業の改
善を図った。アンケート結果からは、この改善策が有効に機能したことが読み取れる。
③ 今後も極力休講を避け、開講当初に掲げるシラバスを尊重しつつ、「短大にふさわしい」
授業を展開するよう努める。
Ⅱ「教え方」について
① アンケート結果は、概ね良好であった。「自由記述欄」にも、「教え方」に関するポジテ
ィヴな見解が多く記されていた。
② 昨年度も、
「学生の理解度への配慮」
・
「授業の工夫」に関する項目は高い評価を得てい
た。今年度も一人ひとりを尊重する「教え方」が学生に理解されたことは、十分な成果
といえよう。
③ 担当科目の性質上、歴史・理論・制度などを中心に取り扱わざるを得ないが、受講生の
理解度を高めるべく、さらに「教室内コミュニケーション」を重視しつつ授業を展開し
ていきたい。
Ⅲ「総合評価」について
① アンケート結果は、概ね良好であった。
② 昨年度の結果と大きな変化はない。一般に学生が苦手意識をもちやすい歴史・理論・制
度などが主な講義内容なので、「基礎知識」や「関心」が高まったかどうかについて判
断しにくい学生もいるであろう。もっとも、受講以前に比べれば「社会保障」や「公的
扶助」に関する新聞記事に目が向くようになった旨の「自由記述」にみられるように、
当該授業への「基礎知識」
・
「関心」が着実に高まっていると自覚している学生も散見さ
れる。
③ 「基礎知識」を一定程度獲得し「問題関心」の高まった学生へのさらなるサポートとし
て、関連文献の紹介をさらに重視していきたい。
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学科 社会福祉学科
職名
助教授
氏名 宮脇長谷子
担当科目
①基礎技能Ⅰ(音楽) ②基礎技能Ⅱ(音楽) ③保育内容Ⅰ(表現)
⑥社会福祉演習
④保育内容Ⅱ(表現) ⑤音楽
Ⅰ「授業のあり方」について
上記科目③、④は前期のみ開講、他は通年開講科目である。また、①と③が1年生、②④⑤
⑥は2年生を対象としている。この項目群に対する学生の評価は全て 4.0 以上であり、平均
すると 4.7 となった。専攻のA群・B群の平均 4.4 と比べて多少高く評価されている。しか
し2年生に比べて1年生の評価が低く、前者の平均が 4.9 であるのに対して後者は 4.5 であ
った。一番低い項目は「教員から与えられた課題(宿題)は質・量ともに適切であった。
」で
あり、4.0 であった。2年生の平均 4.9 に比べてかなり低いが、一年次開講の基礎技能Ⅰ・
保育内容Ⅰはともに基礎的な知識や技能を養う目的をもっているために、やむを得ない結果
であると考える。自由記述をみても、保育現場で使える教材の学習に人気が集中し、表現能
力育成の基礎となる「音楽理論」の学習や「発声法」「伴奏法」の学習は「難しい」と毛嫌い
される傾向にあるが、大学教育に於けるアカデミズムのあり方を考えつつ、さらに興味付け
の工夫を重ねていきたい。
Ⅱ「教え方について」
Ⅰと同様に2年生の平均 4.8 に対して、1年生は 4.2 と評価が下がるが、全体の平均でみ
ると 4.5 となり、専攻A群・B群の平均 4.3 よりも上回っている。その中で、③「保育内容
Ⅰ(表現)
」における(6)
「教員は学生の理解度に配慮して授業を進めていた」という項目
は 4.0 の評価であった。この科目が保育士選択学生の必修であることをふまえ、音楽的な興
味や基礎学習経験のない学生に対しては個別的な指導を心がけたいと考える。
Ⅲ「総合評価」について
総合評価においても2年生と1年生の評価に差があり、
前者の平均 4.9 に対して後者は 4.0
であった。特に、上記③が低く 3.8 であった。ここで初めて専攻A群・B群の平均 4.2 より
も下回ったことになるが、その理由と今後の課題を考察する。
まず、上記③が必修科目(保育士選択学生のみ)であるため、音楽に興味のない学生も受
講していること、また同じ1年生対象の①が通年開講であるのに対して、③は前期開講科目
のため、ようやく興味がもてた頃には授業が終わってしまうということが理由として考えら
れる。さらに音楽理論の学習と課題を取り入れている授業は③のみであることが、評価を下
げている最大の理由である。昨年のアンケートでも同様の結果であった。しかし、音楽表現
の基礎となる理論の学習は授業全体の2割程度に過ぎず、内容も中学校の教科書から抜粋し
ているレベルであるから、それほど負担を与えるものではない。ただ、自分で実際に伴奏部
分を考えて、楽譜に表すという課題に負担を感じているきらいがあるので、課題の量を削減
して、実際に弾いてみる活動への転換を試行する。加えて福祉の分野との直接的な結びつき
の認識が十分なされていないという理由も考えられるが、表現することは人間存在の根源に
関わることであり、豊かな人間性こそが福祉の精神を支えるものであることを伝えていきた
い。昨今の学生たちの要求は現場で使える手遊び等の技術伝授に偏ってきており、知識に対
する興味・関心が薄れてきているが、そうであるからこそ、与えすぎることなく学生の主体
的な学習活動を促す努力を継続していきたいと考える。
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学科
社会福祉学科
職名
教授
氏名
山田
美津子
担当科目:社会福祉概論、児童福祉、社会福祉演習、保育実習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、総合演習・
卒業研究
Ⅰ「授業のあり方」について
児童福祉論、社会福祉概論は、それぞれ社会福祉士、介護福祉士養成における指定科目
であり、養成期間の如何に拘わらず時間数・内容ともに決められている。学生にとっては、
「量」と「質」において負担感を持ちやすい科目である一方、社会福祉・児童福祉制度の
改革が極めて著しく、なお一層の難しさを感じてしまう。今日の日本においても国際的に
も、社会福祉制度やシステムが社会のニーズにより対応してそのあり方を変えていけばい
くほど、常に学ぶ質と量は増え続けるという領域である。学生にとっては、法律事項を丸
暗記するのではなく、人類の叡智の結集である制度・しくみの背景にあるものを学ぶこと
を心掛けるよう講義している。社会的な福祉の問題に関心を持ち、どのように制度が作ら
れ、見直しがされ、改正されていくかという経緯を学ぶという姿勢は、資格取得に目先が
奪われることなく、今後、社会福祉の専門職に携わりつづけていく職業人には不可欠な学
びの視点であることを動機付けている。
Ⅱ「教え方」について
毎年のように変わる制度について、最新の情報を提供する。社会的活動によって得た情
報は、いち早く教材提供している。講義だけでは理解しにくい内容や、時事的に効果ある
事件などや、社会福祉の国際比較などは、ビデオなどを使用したりする。聞き慣れない歴
史的な法律があるため、板書は必要であり、板書量が多いことはあるが、試験の際、音で
捕らえた誤字がみられるので配慮している。座学であるので、学生の意見を述べ合う機会
を設けているが、このことは、学生間の社会福祉・児童福祉問題への関心度や意識の違い
を認識させる機会であり、社会福祉が知識習得(暗記するもの)ではなく、共感したり、
身近かに気づいたりさせることにつながる。本来、社会福祉の仕事につくにあたって大切
なことは、援助を必要とする人の暮らしの生活課題や生活困難な状況にあることへの痛み
を感じ、そこに至った時間的・社会的背景を広い視野から考え、制度・しくみの有り様を
常に検証していくことが求められる。しかも、今日においては、広く国際的な視野をもつ
ことが重要であり、まず、自分の周りの福祉の課題を手がかりにすることを大切にしてい
る。
Ⅲ「総合評価」について
社会福祉概論、児童福祉論の講義や体験学習としての実習を通して、学生は福祉の課題
を発見する。社会福祉演習や卒業研究においては、学生が見つけた特に興味のある問題に
ついて取組む自主性を尊重している。意欲をもてる社会福祉の課題に通年取組むことがで
きるし、講義の進度と照らしてより掘り下げることができる。グループに等質性があるた
め、学生同士の切磋琢磨する社会福祉演習と卒業研究は大きな成果を得ている。学生は、
将来、福祉の仕事につくことを目指して意欲的に学ぶが、時には現実への失望感を抱いた
り、学生自身が福祉課題の当事者である場合がある。グループ学習は同じ世代が支え合っ
て学ぶという大変有意義な場となっており、教員が講義に反映する学生からの学びを感じ
ている。
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