従業員とともに - 日立化成株式会社

いきいきと、安全で健康的に働ける職場をつくる
従業員とともに
人材育成の指針―望む人材像
人権の尊重
P5 CSR取り組み方針 4 7
P5 CSR取り組み方針 4 7
日立化成グループは、人材育成の指針として「望む人
● 人権教育の推進
材像」を定めています。この指針は、企業ビジョンの達成
企業が持続的に発展するためには、従業員一人ひとり
に向けて日立化成グループが求める人材像を明確に示
の人権と人格を尊重し、個性と創造性を最大限発揮でき
すため、従業員に望む姿を5項目にまとめたものです。
る企業風土の形成が不可欠です。
また、各国・地域の法令を遵守することはもとより、公
この認識のもと、日立化成グループでは、人権啓発の
正な雇用と適切な労働環境の整備や、従業員が意欲的に
ための研修に力を入れており、2006年度は管理職や新
仕事に取り組み、その能力を最大限に発揮できる職場環
入社員を対象に研修を実施しました。
境の整備に努めています。
● ハラスメントの防止
日立化成グループでは、
「日立化成グループCSRガイ
望む人材像
ドブック」
(P8参照)などを活用し、
セクシュアルハラスメ
1.夢と情熱を持って未知の領域に挑み、新事業・新製品
を創生する
ントやパワーハラスメントの防止に向けた啓発活動を展
2.個々人の個性とグローバルな多様性を尊重し、事に当
たっては一致協力する
3.社会やお客さまとの約束を誠実に守り、社会人として
誇れる行動をとる
開しています。
各事業所には「セクハラ相談員」や「苦情処理委員会」
を設け、万一ハラスメントが発生した場合には迅速かつ
適切な対応がとれる体制を整備しているほか、相談・通
4.スキルを磨き、人格を高め、
自身を更に前進させる
報は「日立化成グループほっとライン」
(P9参照)でも受
5.世界で戦うプロとなる
け付けています。また、管理職層に対しては、研修などで
ハラスメントの防止について指導しています。
女性従業員が働きやすい環境づくりに取り組む「女性社員活躍プロジェクト」が始動
日立化成では、女性従業員が働きや
を各事業所で実施しました。意見交換
全従業員が一体となって活動を進め
すい職場環境をつくるため、
「女性社
会では、
「女性社員の活躍推進に向け
ています。
員活躍プロジェクト」という新たな活
た会社の取り組みを知りたい」
「社員
動を2006年度から開始しました。
同士の意見交換や情報発信の場が欲
役員・従業員の意識啓発を目的に、
2006年8月には執行役を対象とした
とから、
会社の取り組みを紹介するペー
講演会を実施したほか、社内報に関連
ジや掲示板を備えた「女性社員応援サ
記事を掲載しました。
イト」をイントラネットに開設しました。
また、現状の理解と女性従業員自身
への啓発のため、
「女性社員意見交換会」
19
しい」といった意見が多数挙がったこ
日立化成グループ 社会的責任報告書 2007
多様な人材がいきいきと活躍でき
る環境の整備に向け、経営層、管理職、
イントラネット「女性社員応援サイト」
日立化成グループでは、
2006年10月、海外拠
点のナショナルスタッフ
を集め、
「第2回海外
フォーラム」を開催しま
した。フォーラムでの討
論 内 容などに基づき、
ナショナルスタッフを中
心に、日々世界各地で
海外売上拡大のための
共同プロジェクトに取り
組んでいます。
障がい者雇用率推移
(%)
2.5
2.0
1.99
2002
2003
1.86
2.04
2.15
1.5
1.0
0.5
0
多様な人材の活躍推進
1.92
2004
2005
2006 (年度)
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ー
ト
・
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ネ
ジ
メ
ン
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女性比率は0.9%でした。
お
客
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ま
、
お
取
引
先
と
と
も
に
● 障がい者雇用の促進
P5 CSR取り組み方針 7
● 人材多様性のグローバル展開
日立化成グループは、企業ビジョンのなかで掲げてい
る「時代に先駆けた新たな価値の創造」を世界各地で実
践するため、事業のグローバル化を進めています。
日立化成グループは、就労意欲のある障がい者に社会
参加の機会を積極的に提供するため、障がいを持つ従業
員の職域拡大や施設の改善を進めています。
2006年度の単独の障がい者雇用率は法定雇用率を
グローバル化を実現するには、従業員の国籍や性別に
上回る2.15%でしたが、
グループ会社のなかには法定
関わりなく、多様な考え方やバックグラウンドを有する優
雇用率を下回っている会社もあるため、情報共有を図り
秀な人材の採用・育成が求められることから、
グループを
ながらグループ全体での雇用促進に取り組んでいます。
横断した人材発掘や教育体系の整備に積極的に取り組
従業員の能力向上とキャリア支援
んでいます。
● 女性の活躍推進
従
業
員
と
と
も
に
P5 CSR取り組み方針 7
従業員が性別に関わりなく能力を十分に発揮し意欲的
に働き続けることは、日立化成グループの今後の発展に
日立化成では、従業員の能力やスキルの向上と自己啓
発のため、
さまざまな教育・研修を実施しています。
不可欠です。このため、2006年度から「女性社員活躍
全社の教育体系を「マネジメント・階層別教育」と「職
プロジェクト」をスタートし、また2007年4月には専任
能別教育」に分け、従業員の階層・職能によって受けるべ
部署を設置して社内の意識改革や働きやすい職場環境
き教育を明確にするとともに、従業員自ら選択できる教
づくりに注力しています。また、数値目標を設定し、女性
育も実施しています。また、eラーニング基盤「Hitachi-
の採用拡大や管理職への登用を進めています。2006
LearningGate」を活用し、従業員が常時学習できる環
年度の単独の女性管理職数は4名、管理職全体に占める
境を整備しています。
社
会
の
な
か
で
日立化成の主な人事制度
項目
主な制度・活動
キャリア・マネジメント・システム
将来の職務やスキル獲得に向けた取り組み方などを従業員自らが考え、所属部門長と話し合いを持つ制度です。従業
員一人ひとりが自分の将来を考える機会を得ることで、所属部門長とのコミュニケーションを図りながら、
自らキャリア
を考え、学び、
自己実現を図ることを目的としています。
グループ人材公募制度
戦略的な新規事業の立ち上げなどで、新たな人材が必要となる場合、
イントラネットを通じてグループ内から広く人材
を公募しています。
社内FA(フリー・エージェント)制度
60歳以上の再雇用制度
地
球
環
境
の
た
め
に
「別の職場で自分の専門性を活かしたい」など意欲ある従業員の希望を実現する制度です。2006年度は3名が利用
しました。
定年退職後に再雇用を希望する方の意欲と、長年にわたり蓄積された経験・知識を活かす制度です。2006年度は4
名を再雇用しました。
日立化成グループ 社会的責任報告書 2007
20
いきいきと、安全で健康的に働ける職場をつくる
従業員とともに
ワークライフバランスへの配慮
場であると考えています。そこで、迅速かつ適切に従業
員の課題に対応できるよう、経営層と従業員、また従業
員同士のコミュニケーションを促進しています。
P5 CSR取り組み方針 7
日立化成グループは、仕事と家庭の両立を目指す従業
員の支援に向けた制度を整備しています。
日立化成のイントラネットには、経営トップが日立化成
グループを運営するうえでの考え方を直接伝えるサイト
育児休職は子供が1歳に到達した後の3月末まで取得
のほか、
相談窓口・意見交換掲示板などを開設しています。
することができます。さらに子供が小学校3年生になる
また、
2006年度より「日立化成のCSRを考える会」と「女
までは短時間勤務を選択できるほか、育児や介護、配偶
性社員意見交換会」
(P19参照)を実施しています。
者の転勤を理由に退職した元従業員の再雇用制度を整
備しています。また、育児・介護を支援する在宅勤務制度
従業員意識調査の実施
や、深夜労働の免除や時間外労働を制限する制度も整備
しています。
P5 CSR取り組み方針 3 4
これら各制度の内容は、
イントラネットでわかりやすく
日立化成では、2006年8月に全従業員4,100名を対
紹介していますが、今後は制度の利用を一層促進してい
象に「従業員意識調査」
(P8参照)を実施し、会社生活の
く考えです。
満足度やコンプライアンス意識などについて調査しました。
今後は2年に1回、同様の調査を行い、
より働きがいの
従業員とのコミュニケーション
ある職場環境づくりに反映していきます。
P5 CSR取り組み方針 3 7
日立化成グループでは、従業員個人が抱えている課題
を解くカギは現場にあり、従業員が達成感を得るのも現
従業員の提言を反映し、CSR活動のレベルを向上
日立化成では、若手・中堅の従業員
ションの活性化が必要だ」との意見が
の問題意識をCSRの施策に反映させ、
多数挙がりました。この結果を受け、
将来の持続的な発展につなげること
2007年度のCSR行動計画にこの会
を目的に「日立化成のCSRを考える会」
で出された意見を盛り込んだほか、具
を7事業所で開催し、計146名が参加
体的な提案についても今後実施に向
しました。
け検討を進めていきます。
少人数のグループでディスカッショ
ンを行い、
「お客さま満足の追求と、そ
の源泉となる働きやすい職場づくりの
ためには、
社内外におけるコミュニケー
21
日立化成グループ 社会的責任報告書 2007
日立化成では、今後もこうした従業
員の声を聞く活動を継続していきます。
日立化成山崎事業所での「CSRを考える会」
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労働安全衛生の推進
抜本的な改善に取り組んでいきます。
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引
先
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も
に
● 労働安全衛生の推進体制
P5 CSR取り組み方針 7
● 労働安全衛生への取り組み
日立化成グループでは、
毎年3月に「全社CSR会議」
(P8
従業員の安全と健康は働きやすい職場の根幹です。日
立化成グループは、従業員はもとより、地域社会の方々
の安全・健康を第一に考え、安全衛生活動を推進してい
ます。
参照)を開催し、労働安全衛生に関するグループ全体の
方針を審議・決定しています。
同会議で策定した計画に基づき、各事業所でそれぞれ
の特性に合わせた行動計画を定め、安全衛生活動を推進
具体的には、労働安全衛生マネジメントシステムOSH-
しています。また、
OSH推進者による「OSH推進者会議」、
MSを2000年に導入し、
リスク評価により定常・非定常
各事業所の行動計画を具体的に推進する「安全衛生委
作業時の危険源や老朽化した機械設備の特定と改善を
員会」、新規導入設備の安全性を審査する「保安監査委
推進しています。しかし、近年こうした活動に不活発な面
員会」などが、部門を横断した安全衛生活動を推進して
が見られることから、2006年度より「OSH(安全衛生)
います。
従
業
員
と
と
も
に
推進者制度」を設け、各職場での主体的な安全衛生活動
● 安全防災への投資
を強化しています。
機械設備の設計・完成時には、
国際安全規格(ISO12100
など)に準じた審査を行い、本質的安全化を推進してい
事故災害を防止するためには、安全防災への積極的な
投資が不可欠です。
ます。これにより、機械設備に起因する事故災害の撲滅
2006年度は設備老朽化対策や労働安全衛生対策を
を目指しています。また、
危険予知訓練(KYT)、
ヒヤリ・ハッ
中心に、単独19億円、連結32億円を投資しました。この
トなどの安全活動を実施しています。
結果、日立化成の1990年度以降の安全防災累積投資
今後も、真に安全・安心な職場づくりに向け、各職場で
額は93億円となりました。
事故・災害につながりかねない問題を徹底的に洗い出し、
社
会
の
な
か
で
「OSH推進者制度」を導入し、安全衛生活動を強化
日立化成は、2006年度より「OSH
ため、新たに任命するOSH推進者に
(安全衛生)推進者制度」を導入し、各
対しては、安全衛生分野についての知
職 場 で 全 従 業 員 の 約 4 % にあ た る
識や知見を深めるための教育を実施
133名を登録しました。
しています。
OSH推進者は部門長が任命し、現
場レベルでの安全衛生活動を主導し
全体に広げ、職場の安全衛生活動をよ
ています。
「安全衛生委員会」とも連
り強化していきます。
携し、
リスク評価の指導やリスク低減
地
球
環
境
の
た
め
に
2007年度は、
この制度をグループ
OSH推進者を対象とした研修
の計画を作成するなど、自部門の推進
リーダーとして活動しています。この
日立化成グループ 社会的責任報告書 2007
22
いきいきと、安全で健康的に働ける職場をつくる
従業員とともに
● 安全監査の実施
このほか、管理監督者を対象とした「環境・安全衛生発
日立化成グループでは、労働安全衛生マネジメントシ
ステムOSH-MSに基づき、製造事業所およびグループ
表会」を年1回開催し、労働安全衛生の改善事例などに
関する情報共有を図っています。
の製造会社に対して、環境安全監査時に安全に関する書
類審査と現場監査を年1回実施しています。
● 防災訓練の実施
また、2005年度からは海外製造会社を地域別ブロッ
日立化成グループは、不慮の災害・事故に対する応急
クに分け、ブロック内での相互監査を実施しています。
防護を目的に自衛消防隊を設置し、自主訓練や地方自治
2006年12月には「第 2回東南アジアブロック環境安
体が主催する合同演習への参加を通じて緊急時に迅速
全衛生会議」を Hitachi Chemical Automotive
な対応がとれる体制を整備しています。
Products, (Thailand) Co., Ltd.で実施し、監査ととも
また、
5月14日を「事業所防災の日」、
11月14日を「全
社防災の日」、
これらを含む各1週間を「防災週間」と定め、
に研修・発表会を行いました。
グループ全社で総合防災訓練などを実施し、防災管理体
● 労働安全衛生教育の推進
制の見直しや防災安全設備の点検を行うとともに、防災
日立化成グループは、過去の事故の原因と対策を考察
意識の向上を図っています。
し、チェックポイントと解説を掲載した「職場安全監査の
着眼点」を作成し、労働安全衛生に関する研修を行って
います。日本語版だけでなく、英語版・中国語版も作成し、
海外グループ会社での教育活動に利用しています。
また、
過去の事故原因を整理して制定した「安全10則」
● 健康管理とメンタルヘルスケア
日立化成グループは、従業員に年1回以上の健康診断
を実施しています。さらに、体とともに心の健康をケアす
るため、各事業所で専門家による講演会や産業医による
を記載したカードを従業員に配布・携帯させることで、安
面接指導を行っているほか、
コミュニケーションの活性化
全に対する意識を徹底するよう努めています。
を図っています。
中国で「第1回中国ブロック環境安全相互監査」を実施
2007年2月、中国東莞市において
中国国内のグループ会社による「第1
Hitachi Storage Battery (Dong
回中国ブロック環境安全相互監査」を
Guan) Co., Ltd. の監査、Hitachi
実施しました。
Powdered Metals (Dongguan)
この監査は、2006 年 6 月に同地
23
計40名が出席し、環境安全発表会、
Co., Ltd.の現場巡視を行いました。
で開催した「中国ブロック環境安全研
環境安全発表会では、各社の改善事
修会」で教育を受けた監査員による
例を基に参加者間で活発な議論が行
初 め て の 相 互 監 査です。H i t a c h i
われました。また、監査では、不安全箇
Chemical (Dongguan) Co., Ltd.
所を洗い出し、そのリスク低減対策を
など中国国内のグループ会社7社から
討議しました。
日立化成グループ 社会的責任報告書 2007
環境安全発表会
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また、従業員が気軽に健康に関して相談できるよう、健
康保険組合の被保険者とその家族の方を対象に24時間
無料の電話相談サービスを提供しています。
山崎事業所(桜川)での死亡事故に関する報告
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引
先
と
と
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に
2007年1月10日、
山崎事業所(桜川)の屋外で死亡事
このほか、健康管理の一環として、
ヨガ教室やウォーキ
故が発生しました。
被災者は、熱処理炉出し作業の準備中に、野外に2段積
ング大会などの活動も行っています。
みされたフレコンバックの下段が何らかの原因で破損して
いることに気づき、
こぼれ出たコークスの片付けおよびフ
● 事故災害の発生状況
2006年度における日立化成グループの休業災害件
数は、単独3件(うち死亡災害1件)、連結10件となり、前
年度の単独2件、連結12件から改善できませんでした。
このため、2007年度はCSR取り組み方針においても
「働きやすい職場づくり」を引き続き重点目標とし、行動
レコンバックの補修を行っていましたが、
上段のフレコンバッ
クが被災者の上に崩れ落ち、その下敷きとなって、救助活
動の甲斐なく亡くなりました。
日立化成グループでは、
この事故の記憶を風化させない
よう、従業員一人ひとりが気を引き締め、安全意識の一層
の徹底を図ります。
従
業
員
と
と
も
に
計画に基づく活動をさらに強化しています。
休業災害発生件数推移
(件) ■ 単独 ■ 連結
15
13
12
12
10
9
6
3
3
1
0
2003
2
2
2004
2005
3
2006(年度)
社
会
の
な
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で
メンタルヘルスケアの一環として「体験カウンセリング」を実施
メンタルヘルスケアへの取り組みの
といった感想が聞かれました。
一環として、2007年2月∼3月にか
こうした取り組みは直接的なストレ
けて、下館事業所では専門機関の産業
スの軽減効果だけでなく、必要な時に
カウンセラーによる「体験カウンセリ
は気軽にカウンセリングを利用できる
ング」を実施しました。
職場の雰囲気の醸成につながると考
対象者は、事前に実施した「心の健
地
球
環
境
の
た
め
に
えています。
康度チェック」の結果、ストレスの度合
いが高いと判断された中堅層の従業
体験カウンセリング(手前が従業員)
員で、体験後は「悩みを気軽に話すこ
とができた」
「話をしてすっきりした」
日立化成グループ 社会的責任報告書 2007
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