事業報告書 - 中外炉工業

第58期
事業報告書
平成11年4月1日∼平成12年3月31日
1
1
58期事業報告書
株主のみなさまへ
株主のみなさまには、
ますますご清栄のこととお慶び申しあげます。
当社は、
平成12年3月31日をもって第58期営業年度を終了いたしましたので、
その営業の概況を
ご報告申しあげます。
当期におけるわが国経済は、
金融システム不安の解消や政府の経済対策効果により、
公共投資
や住宅投資が増加し、
景気に底打ち感が出てまいりました。
しかしながら、
個人消費の低迷や設備・
雇用の過剰感からデフレ圧力はなお強く、
円高進行による輸出環境の悪化も加わり、
景気は民間需
要に力強さが欠けた回復感の乏しい状況で推移しました。
世界経済は、
米国ではインフレ懸念が根強いものの、
いぜん高成長を持続しており、
欧州ではユー
ロ安を背景に輸出主導の回復が見られ、
アジアについては通貨危機から脱却し、
回復基調が一段
と鮮明になってまいりました。
当社の関連する国内市場では、
合併・提携による完成車メーカの集約がほぼ一巡した自動車業
界や、
高炉メーカ間の提携が顕在化した鉄鋼業界におきまして、
長引く不況の影響を受けて、
設備
投資の減少傾向が、
なお継続いたしました。
しかし一方、
鉄鋼業界の一部におきましては、
アジア諸
国向け輸出の好調を背景に、
供給能力増強の動きが出てまいりました。
こうした状況に対応して、
当社は受注・売上を確保し、
収益構造を改善するため、
激変する市場
環境に即応した組織・体制に再編、
開発体制の強化と一段のコスト低減に取り組み、
高性能工業炉
関連の改造案件や、
蓄熱脱臭装置、
地方自治体向け環境設備、
さらには堅調な投資が続く情報・
通信関連設備の拡販に懸命の努力を重ねました。
しかしながら米国でのダンピング問題から、
期待しておりました海外大型案件の設備投資計画が
延期されたため、
受注高は24,256百万円(前期比88.8%)
を確保するに留まりました。
58期事業報告書
2
2
売上面では、
期初受注残高が例年にもまして少なかったため、
修理・改造分野など短納期案件の
確保に全社をあげて注力いたしましたが、
顧客の投資マインドは依然として慎重な姿勢を継続し、
売
上高28,927百万円(前期比86.1%)
を計上するに留まりました。
利益面におきましては、
従来から継続しております原価・経費の低減活動や固定費削減等による
経営体質のスリム化を今まで以上に強力に推進いたしました結果、
営業・経常損益は、
それぞれ前
期比1,170百万円、
1,416百万円改善いたしましたが、
減収の影響は拭えず営業損失410百万円、
経
常損失276百万円となりました。
また、
固定資産売却益の計上はありましたものの、
一部の海外大型
工事におきまして、
現地の特殊事情による予期せぬ追加コストの発生や子会社支援損等により、
特
別損益が悪化し、
当期損失927百万円計上の止むなきに至りました。
なお、
配当金につきましては、
前営業年度と同額の1株につき3円とさせていただきました。
今後の見通しといたしましては、
わが国経済は民間設備投資に回復の兆しが見られ、
緩やかなが
ら回復して行くものと期待されておりますが、
個人消費が雇用不安や所得の伸び悩みを背景に足踏
み状態を続けるものと予想され、
本格的な回復には、
なお相当の時間を要するものと思われます。
また世界経済の行方も、
好調の米国景気に、
貿易赤字の拡大や株価の下落懸念など不安材料も
あり、
内外とも先行き予断を許さない状況が続くものと思われます。
さらに、
情報や通信技術の加速度的進展は社会を大きく変えつつあり、
変化は国の内外・政治・経済・
社会現象にまで及んでおります。
このように引き続き厳しく、
変化のスピードが速い経営環境を踏まえ、
当社は受注の拡大と利益の
確保を図り、
全社を挙げて業績の建て直しに邁進してまいります。
具体的には、
個別案件の採算管理とエンジニアリング力の強化を図り、
顧客ニーズにマッチした新
製品の開発を推し進め、
併せて業務を効率化し、
経営体質のスリム化努力を継続して行います。
ま
た事業戦略として掲げております「既存分野におけるエネルギー有効活用の追求」
・
「環境保全分
野の拡大」
・
「次世代分野(情報・通信の高機能化)への挑戦」をさらに強化し、
市場の動向変化に
合わせ、
経営資源をより成長性の高い分野へ移して、
安定的な業績があげられる確固たる経営基
盤を確立してまいる所存でございます。株主のみなさまにおかれましては、
今後ともなお一層のご理
解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。
平成12年6月
代表取締役
社
長
3
58期事業報告書
事業の概況
■ 工業炉部門
売上高 144.50億円(前期比:77.2% 構成比:50.0%)
国内鉄鋼メーカより、
エネルギー消費と窒素化合物(NOx)
を従来
炉に比べ大幅に削減し、
地球温暖化と酸性雨の抑止に貢献する「新
型鋼片加熱炉」を受注しました。この他、熱処理加工会社向けに環
境配慮型の「次世代型真空浸炭炉」を受注したのをはじめ、
国内磁
性材メーカ向け「デジタル磁気テープ原料熱処理設備」や、
海外電機
メーカ向け「ブラウン管熱処理設備」などの成約を得ました。
とくに情報・
通信分野向けでは、
PDP
(プラズマ・ディスプレイ
・パネル)
やPALC
(プ
ラズマ・アドレス液晶)
メーカ向け「真空成膜装置SUPLaDUO」、
「PD
P量産用連続封着炉」、
電子部品メーカ向け「スパッタリング装置」、
さ
らには「次世代太陽電池用予熱炉」などの将来有望視される製品群
を受注いたしました。この結果、
受注高は前期比24.3%増の13,285百
万円となりました。
売上面では、韓国メーカ向けに自動車鋼板製造に使用される「連
続亜鉛メッキ設備」を納入したのを始め、
国内鉄鋼メーカ向け「新型
鋼片加熱炉」や「新還元製鉄用テスト設備」などを中心に、
売上高は
14,450百万円(前期比77.2%)
を計上いたしました。
■ 産業機械部門
売上高 72.95億円(前期比:87.2% 構成比:25.2%)
受注面では、
国内自動車関連メーカ向け「メタルパッキン製造用ゴ
ムコーティングライン」や、
欧州鉄鋼メーカ向け「ステンレス鋼板連続光
輝焼鈍設備用スキンパスミル及びテンションレベラー」、
さらには今後
需要が増大すると予想されます国内外PDPメーカ向け「量産型テー
ブルコータ」など好調を示した受注もありましたものの、
期待しておりま
したステンレス関係の海外大型案件が、
米国でのダンピング問題から
商談も延期となり、
受注高は2,256百万円(前期比24.8%)
を計上する
に留まりました。
一方、
売上面では期初受注残高を順調に消化し、
7,295百万円(前
期比87.2%)
を計上いたしました。その主なものは、
高級品指向の「全
自動カラー鋼板連続塗装設備」を国内外のメーカに納入したのを始め、
欧州鉄鋼メーカ向け「ステンレス鋼板連続光輝焼鈍設備」や国内外
PDPメーカ向け「テーブルコータ」、
LCD関連メーカ向け「フィルム連
続コーティングライン」などであります。
58期事業報告書
4
■ 燃焼機器部門
売上高 19.74億円(前期比:89.6% 構成比:6.8%)
受注面では、
国内鉄鋼メーカ向け「取鍋予熱装置」や国内半導体
素材メーカ向け「火炎溶融球状化設備」などの受注はありましたが、
主な需要先の設備投資抑制の影響を受け、
受注高は1,882百万円(前
期比85.3%)
と前期を下回る結果となりました。
売上面につきましては、
省エネルギー対応設備である「低NOx型リ
ジェネレーティブバーナシステム」や、
複数バーナの最適燃焼制御を自
動的に行う
「インテリジェントバーナシステム」などを納入いたしましたが、
長期にわたる景気低迷の影響で短納期案件が減少、
売上高は1,974
百万円(前期比89.6%)
を計上するに留まりました。
■ 環境設備部門
売上高 52.06億円(前期比:120.3% 構成比:18.0%)
地方自治体から「下水汚泥焼却設備」や「一般廃棄物焼却設備
用ダイオキシン分解装置」を受注したのをはじめ、
大気浄化の観点か
ら法規制が厳しくなっていく中、
化学・薬品業界の新規顧客より
「蓄熱
脱臭装置」の引き合いが増加し、
受注高6,831百万円(前期比128.1%)
を計上することができました。この分野の商品群は、
地球環境保全意
識の高まりと、
環境関連の法規制の強化を背景に、
今後より一層拡販
が図れるものと確信いたしております。
売上高も、
前期比20.3%増の5,206百万円を計上することができま
した。その主なものは、
受注と同様、
地方自治体向け「下水汚泥焼却
設備」
と
「一般廃棄物焼却設備用ダイオキシン分解装置」、
各種産業
界向け「蓄熱脱臭装置」などであります。
第58期 部門別売上高 計 289.27(単位:億円)
燃焼機器部門
工業炉部門
19.74
(6.8%)
144.50
(50.0%)
環境設備部門
52.06
(18.0%)
産業機械部門
72.95
(25.2%)
受注高・売上高・利益の推移
(単位:億円)
受注・売上
経常利益
500
20
10
0
242.56
289.27
98.94
47.34
94.68
160.98
130.08
160.85
171.29
174.52
140.25
0
160.61
100
273.05
200
336.16
355.70
359.87
404.69
397.89
372.98
300
442.44
400
第54期
第55期
第56期
第57期
第58期
(8年3月期) (9年3月期) (10年3月期)(11年3月期) (12年3月期)
-10
受注 売上 経常利益
-20
うち輸出
58期事業報告書
5
決算の概要
貸借対照表
(平成12年3月31日現在)
(単位:千円)
科 目 金 額
〔資産の部〕 流
動
資
産
現 金 及 び 預 金
受
取
手
形
売
掛
金
有
価
証
券
自
己
株
式
製
品
原
材
料
仕
掛
品
未 成 工 事 支 出 金
前
払
費
用
短 期 貸 付 金
その他の流動資産
貸 倒 引 当 金
科 目 金 額
32,567,233
4,966,249
1,241,921
18,795,121
5,473,159
408
62,210
163,628
97,067
930,114
103,921
385,219
532,281
△184,071
資 産
物
物
装 置
搬 具
備 品
地
6,835,028
4,142,638
1,106,527
53,719
819,127
2,866
195,567
1,964,830
無 形 固 定 資 産
ソ フ ト ウ エ ア
電 話 加 入 権 等
21,230
11,266
9,964
固
定
資
産
有 形 固 定
建
構
築
機 械 及 び
車 輛 運
工 具 器 具
土
投
投
子
子
長
保
長
そ
貸
資
資
資 有 価 証
会 社 株
会 社 出 資
期 貸 付
証 金 及 び 敷
期 前 払 費
の 他 の 投
倒 引 当
産
合
等
券
式
金
金
金
用
資
金
2,671,159
1,560,515
235,579
25,190
356,995
78,645
15,364
399,173
△303
計
39,402,261
〔負債の部〕 流
動
負
債
支
払
手
形
買
掛
金
短 期 借 入 金
未
払
金
未 払 法 人 税 等
未
払
費
用
未 成 工 事 受 入 金
預
り
金
賞 与 引 当 金
その他の流動負債
固
定
負
債
長 期 借 入 金
繰 延 税 金 負 債
負
債
合
計
22,119,965
3,418,543
8,441,817
8,605,000
36,486
22,668
578,699
458,864
88,920
233,325
235,638
902,384
787,000
115,384
23,022,349
〔資本の部〕 資
本
金
法 定 準 備 金 資
利
剰
本
益
準
準
備
備
余
金
金
金
固定資産圧縮積立金
別 途 積 立 金
当 期 未 処 理 損 失
(うち当期損失)
資
本
合
6,176,724
8,400,703
6,863,623
1,537,080
1,802,483
189,372
2,500,000
886,889
(927,473)
計
16,379,912
負債及び資本合計
39,402,261
注)(1)子会社に対する短期金銭債権
545,150千円
356,995千円
子会社に対する長期金銭債権
486,446千円
子会社に対する短期金銭債務
1,400,546千円
(2)受取手形割引高
6,239,506千円
(3)有形固定資産の減価償却累計額
(4)担保に供している資産
2,849,955千円
有価証券
(5)重要な外貨建資産
258,128千円(2,431千US$)
売掛金
482,380千円
(6)保証債務
9円78銭
(7)1株当たり当期損失
(8)貸借対照表に計上した固定資産のほか、電子計算機等については、
リース契約により使用しております。
(9)記載金額は千円未満を切り捨てて表示しております。
58期事業報告書
損益計算書
(平成11年4月1日から平成12年3月31日まで)
科 目
(単位:千円)
金 額
〔経常損益の部〕 営 業 損 益 の 部
28,927,981
25,760,091
3,578,323
売
上
高
売
上
原
価
販売費及び一般管理費
営
業
損
失
営 業 外 損 益 の 部
410,433
営
業
外
収
益
受取利息及び配当金
そ の 他 の 収 益
営
業
外
費
用
支払利息及び割引料
そ の 他 の 費 用
経
常
損
377,685
129,274
248,411
243,456
128,427
115,028
失
276,204
〔特別損益の部〕 特
別
利
益
828,429
固 定 資 産 売 却 益
有価証券評価損戻入額
投資有価証券売却益
貸 倒 引 当 金 戻 入 額
特
別
損
失
414,910
348,407
49,431
15,680
1,481,191
工 事 補 償 金
子 会 社 支 援 損
役 員 退 職 慰 労 金
特
別
退
職
金
適格退職年金過去勤務費用
563,589
347,000
255,927
172,917
141,755
税 引 前 当 期 損 失
928,965
14,000
△15,491
927,473
40,584
△130,875
法人税、住民税及び事業税
法 人 税 等 調 整 額
当
期
損
失
前 期 繰 越 利 益
過年度税効果調整額
税効果会計適用に伴う固定
資産圧縮積立金取崩額
当 期 未 処 理 損 失
注)
(1)子会社に対する売上高
子会 社 からの 仕 入 高
子会社との営業取引以外の取引高
130,875
886,889
82,976千円
1,674,860千円
60,954千円
(2)記載金額は千円未満を切り捨てて
表示しております。
利益処分
(単位:円)
摘 要
当
期
未
処
理
損
失
固 定 資 産 圧 縮 積 立 金 取 崩 額
別 途 積 立 金 取 崩 額
計
金 額
886,889,025
22,415,793
1,200,000,000
335,526,768
これを次のとおり処分いたします。
利
益
準
備
金
利益配当金(1株につき3円)
次
期
繰
越
利
益
7,101,187
284,485,440
43,940,141
6
7
58期事業報告書
株式の概況
(平成12年3月31日現在)
250,000,000株
94,830,015株
17,188名
■ 会社が発行する株式の総数
■ 発行済株式の総数
■ 株主数
■ 大株主
(千株未満は切り捨て表示)
当社への出資状況
株 主 名
持株数
三 菱 商 事 株 式 会 社
株 式 会 社 大 和 銀 行
第一生命保険相互会社
株式会社第一勧業銀行
日本生命保険相互会社
株 式 会 社 ク ボ タ
株 式 会 社 三 和 銀 行
株 式 会 社 錢 高 組
興銀信託銀行株式会社
谷
川
し
ず
江
5,045
4,740
4,531
3,785
2,838
2,500
2,195
1,750
1,734
1,348
当社の当該大株主への出資状況
出資比率
千株
5.32
5.00
4.78
3.99
2.99
2.64
2.32
1.85
1.83
1.42
持株数
%
1,089
4,334
―
1,276
―
800
670
500
―
―
出資比率
千株
0.07
0.21
―
0.04
―
0.06
0.02
0.68
―
―
%
注)株式会社大和銀行、株式会社第一勧業銀行及び株式会社三和銀行への出資比率については、同行発行の議決権のない優先株式を
除いて算出しております。
株式分布状況
金融機関
33.24%
個人
40.65%
外国人
1.05%
国内法人
24.47%
証券会社
0.40%
1,000株以上
16.48%(9,184名)
所有
株数別
5,000株以上
7.44%(1,168名)
所有者別
その他 0.19%
5,000,000株以上
5.32%(1名)
1,000株未満
1.08%(5,955名)
10,000株以上
12.59%(741名)
50,000株以上
4.37%(60名)
1,000,000株以上
33.64%(15名)
500,000株以上
100,000株以上 7.66%(11名)
11.42%(53名)
地域別分布図
北海道
0.11%
(81名)
※海外:0.84%(20名)
中国
3.06%
(1,149名)
九州
1.70%
(590名)
四国
2.19%
(716名)
東北
0.34%
(220名)
中部
近畿
49.76%
(9,025名)
5.96%
(2,188名)
関東
36.04%
(3,199名)
58期事業報告書
企業結合の状況
8
連結対象子会社は、株式会社シーアール、
中外エンジニアリング株式会社、
中外テック株式会社、
中外プロックス株式会社、
中外エアシステム株式会社、
中外環境エンジニアリング株式会社、
中外
プラント株式会社、
台湾中外炉工業股 有限公司、Chugai Ro of America Inc. 及び中外炉
(上海)有限公司の10社です。
連結財務諸表(ご参考)
●連結要約貸借対照表
●連結要約損益計算書
(平成12年3月31日現在)
(単位:百万円)
科 目
金 額
科 目
(資 産 の 部)
動
資
産
33,983
固
定
資
産
6,566
為替換算調整勘定
20
産
合
計
40,570
(負 債 の 部)
金 額
高
31,126
価
27,292
販売費及び一般管理費
4,136
売
流
資
(平成11年4月1日から平成12年3月31日まで)
(単位:百万円)
上
売
上
営
原
業
損
失
302
営
業
外
収
益
328
1,372
営
業
外
費
用
283
計
24,061
経
常
損
失
257
少 数 株 主 持 分
特
別
利
益
824
6
特
別
損
失
1,481
流
動
負
債
22,689
固
定
負
債
負
債
合
(少数株主持分)
(資 本 の 部)
資
本
資
本
準
連
結
剰
金
6,176
税
備
金
6,863
当
余
金
期
等
調
純
整
損
前
914
失
金
3,461
自
己
株
式
△0
法人税、住民税及び事業税
31
資
本
合
計
16,501
法 人 税 等 調 整 額
△15
負債、少数株主持分及び資本合計
40,570
当
期
純
損
失
注)連結要約貸借対照表及び連結要約損益計算書の記載金額は百万円未満を切り捨てて表示しております。
930
9
58期事業報告書
58期事業報告書
トピックス
■ 21世紀へ向けて
10
◆エネルギーの有効活用
中外炉工業は「熱技術」を核として、
エネルギーの有効活用や環境保全などの社会的要請に的確
エネルギー関連分野の
技術開発と市場浸透
にお応えするとともに、
情報・通信の高機能化など先端分野にも新しい価値を創造して、
社会に貢献
することをベースに様々な活動を行ってきております。そのなかで、
中期的に当社の目指す方向につい
てお伝えいたします。
昨今の過去に例を見ない厳しい状況下、
当社といたしましては、
この激変する市場環境に対応した
確固たる経営基盤の構築が優先課題となっております。来る21世紀におきましても安定した基盤を維
持するため、
下記三分野に重点を絞り
「技術立社」を志向してまいりたいと存じます。
鉄鋼、
自動車、電機など基幹産業の発展を支え続けてきた工業炉、燃焼機器などの既存分野
におきましては、地球温暖化防止を前提としたエネルギーのさらなる有効利用を追求し、
さらに
燃焼制御のインテリジェント化、品質・生産性の向上に努めて、
これら分野の商品の技術開発
と市場浸透を図ってまいります。
地球環境の保護・保全気運の一層の高まりとともに規制範囲の拡大・強化によって、市場の
投資意欲が着実な伸びを示している環境保全分野を大きなビジネスチャンスと捉え、当社が得
意とする廃棄物処理やリサイクル、大気汚染防止のためのダイオキシン対策や脱臭対策など
に一層の注力をしてまいります。
テレビやディスプレイのブラウン管に代わるPDP
(プラズマ・ディスプレイ・パネル)やLCD
(液晶
グ
ロ
ー
バ
ル
な
事
業
展
開
よ
り
高
度
な
熱
技
術
を
目
指
し
て
高性能工業炉
燃焼制御の
品質・
インテリジェント化
生産性アップ
◆地球環境の保全
環境保全分野の
深耕・拡大
廃棄物処理
ダイオキシン/
リサイクル
脱臭
パネル)などの大型表示装置、市場が急拡大している携帯電話や携帯情報端末などの電源
には必須の二次電池、
そして半導体や太陽電池など、情報・通信産業分野を21世紀における
発展の核と捉えて、
デバイスの高機能化ニーズに応える精密コーティング技術やクリーン乾燥・
熱処理技術の研鑚に努めてまいります。
◆情報・通信の高機能化
情報・通信関連分野への
技術の研鑽
PDP・
二次電池/
高機能材/
次世代LCD
半導体
プラスチック・フィルム
9
58期事業報告書
58期事業報告書
トピックス
■ 21世紀へ向けて
10
◆エネルギーの有効活用
中外炉工業は「熱技術」を核として、
エネルギーの有効活用や環境保全などの社会的要請に的確
エネルギー関連分野の
技術開発と市場浸透
にお応えするとともに、
情報・通信の高機能化など先端分野にも新しい価値を創造して、
社会に貢献
することをベースに様々な活動を行ってきております。そのなかで、
中期的に当社の目指す方向につい
てお伝えいたします。
昨今の過去に例を見ない厳しい状況下、
当社といたしましては、
この激変する市場環境に対応した
確固たる経営基盤の構築が優先課題となっております。来る21世紀におきましても安定した基盤を維
持するため、
下記三分野に重点を絞り
「技術立社」を志向してまいりたいと存じます。
鉄鋼、
自動車、電機など基幹産業の発展を支え続けてきた工業炉、燃焼機器などの既存分野
におきましては、地球温暖化防止を前提としたエネルギーのさらなる有効利用を追求し、
さらに
燃焼制御のインテリジェント化、品質・生産性の向上に努めて、
これら分野の商品の技術開発
と市場浸透を図ってまいります。
地球環境の保護・保全気運の一層の高まりとともに規制範囲の拡大・強化によって、市場の
投資意欲が着実な伸びを示している環境保全分野を大きなビジネスチャンスと捉え、当社が得
意とする廃棄物処理やリサイクル、大気汚染防止のためのダイオキシン対策や脱臭対策など
に一層の注力をしてまいります。
テレビやディスプレイのブラウン管に代わるPDP
(プラズマ・ディスプレイ・パネル)やLCD
(液晶
グ
ロ
ー
バ
ル
な
事
業
展
開
よ
り
高
度
な
熱
技
術
を
目
指
し
て
高性能工業炉
燃焼制御の
品質・
インテリジェント化
生産性アップ
◆地球環境の保全
環境保全分野の
深耕・拡大
廃棄物処理
ダイオキシン/
リサイクル
脱臭
パネル)などの大型表示装置、市場が急拡大している携帯電話や携帯情報端末などの電源
には必須の二次電池、
そして半導体や太陽電池など、情報・通信産業分野を21世紀における
発展の核と捉えて、
デバイスの高機能化ニーズに応える精密コーティング技術やクリーン乾燥・
熱処理技術の研鑚に努めてまいります。
◆情報・通信の高機能化
情報・通信関連分野への
技術の研鑽
PDP・
二次電池/
高機能材/
次世代LCD
半導体
プラスチック・フィルム
11
58期事業報告書
トピックス
エネルギーの有効活用①
大幅な省エネルギーを達成する
新型加熱炉を納入
エネルギーの有効活用②
次世代型真空浸炭炉の受注好調
1月には燃料消費量を従来方式に比べ30%
削 減 すると同 時に、排ガス中の窒 素 化 合 物
( NOx)
を半減する「新型鋼片加熱炉」を国内
鉄鋼メーカ殿に納入いたしました。
この設備は、当社が所属する社団法人日本
工業炉協会・高性能工業炉開発プロジェクトチ
ームのまとめた研究成果が、
地球温暖化と酸性
雨の抑止に貢献することが高く評価され、昨年
11月に「第9回日経地球環境技術大賞」
(日本
経済新聞社主催)
を受賞いたしましたが、
そのコ
ア技術を実際に反映させた最新鋭の加熱炉と
して完成したものです。
今後、
この技術は国内のみならず、海外へも
普及していくものと期待しております。
3月には、性能、品質はもちろん環境にも配慮
した熱処理炉の新商品「次世代型真空浸炭炉」
1号機を、
自動車関連の熱処理加工会社殿に納
入いたしました。この商品は、
昨年春から販売活
動を開始して以来、
既に複数基を受注いたしま
したが、
現在引合い案件も順調に増えて来ており、
その将来性に期待しております。
さらに周辺技術といたしましては、
IT
(情報技術)
を駆使して納入設備の運転状況監視や、予防
保全・故障診断などのアフターサービス分野を
充実させる当社独自の「CRMS:遠隔情報通信
技術を駆使したリモートメンテナンスシステム」を
開発し、
本格的に販売を開始いたしました。
58期事業報告書
地球環境の保全
R-RTOが「優秀省エネルギー機器
日機連会長賞」受賞
12
情報・通信の高機能化
大型PDP用精密コーティング装置の
受注好調
2月には、
平成11年度(第20回)優秀省エネル
ギー機器の表彰式が行われ、当社の「回転式
蓄熱脱臭装置(R-RTO)」が、
社団法人日本機
械工業連合会会長賞を受賞いたしました。この
表彰制度は、機械工業の立場から省エネを推
進するため、
省エネ効果の著しい産業用機器を
表彰することにより、
当該機器の普及と開発意
欲の増進を図ろうとするもので、昭和55年度に
創設されました。
本件は社団法人日本工業炉協会の推薦を得
て申請し、
R-RTOが従来の触媒燃焼式や直接
燃焼式に比べ熱効率が極めて高いこと、運転
費が低コストであること、
省エネルギー性に優れ
ている点が評価されたものです。
50型超の大型プラズマ・ディスプレイ
・パネル
(P
DP)
の背面パネルに隔壁を形成するプロセス用
の塗工装置として、
量産型「テーブルコータ」を含
めて電子・電気関連メーカ複数社殿から、受注
することができました。当社のテーブルコータは、
豊富な実績を有する写真フィルムや印画紙など
への精密塗工技術をベースとして、
平成8年春に
製品として開発いたしました。その後、
PDPや液晶、
半導体などの電子デバイス関連用途向けに、
着実に実績を伸ばしております。
本装置は、粘度の高い塗工液でも高精度に
均一塗工できるという特徴から、次世代の大型
壁掛けテレビ、
あるいはディスプレイとして期待さ
れておりますPDPの、本格的な量産による低価
格化に有望な手法の一つとして着目され、
お客
様各位から高くご評価頂いたものです。なお、
下
工程では、
MgO真空成膜装置や連続排気/封着・
排気装置などの特徴ある製品も実績を重ねてき
ております。