平成 18 年 3 月 22 日 各 位 会 社 名: 月 島 機 械 株 式 会 社 (コード番号:6332 東証・大証第 1 部) 代 表 者: 役 職名: 代表取締役社長 氏 名: 山 田 和 彦 問い合せ責任者: 役 職名: 経 営 企 画 部 長 氏 名: 高 野 亨 電 話: (03)5560-6982 新中期経営計画「NEXT100」を策定 ∼次なる 100 年へ向けた事業の自立∼ 当社は、このたび平成 18 年度を初年度とする 3 カ年(平成 18 年 4 月 1 日∼平成 21 年 3 月 31 日)にお ける月島機械グループの中期経営計画を策定いたしましたので、お知らせいたします。 当社は、創業 100 周年にあたる平成 17 年度までの 3 カ年を「技術を基盤とする強靱な収益体質の構築」 を狙いとした中期経営計画「NF100」に基づき経営を進めてまいりました。その結果、IT を駆使した業務改 革、グループ企業の再編、更には水環境事業における業務提携の積極展開を果たすことが出来ましたが、 一方で、当社の主力事業である水環境事業における事業環境の悪化、具体的には公共投資予算の縮減並 びに競合他社との価格競争の激化により、当社グループ全体としての収益力の回復が課題として残りまし た。 このような状況下において、当社グループは主力分野及び成長分野に、より一層の経営資源を集中投入 することで事業の自立を図ると共に、各事業を支える経営基盤の改革の速度をより上げることで事業収益力 の回復を図ることを目指した、新中期経営計画「NEXT100」を策定したものであります。 記 【中期経営計画の概要】 1. 中期経営計画「NEXT100」の基本的な考え方 NEXT100 においては、次の 4 点を基本的な考え方とし、3 年後には「官民比率 50:50 の事業構造を 確立し」、「各事業ドメインにおいてグローバルニッチトップの達成」を目指します。 1/6 (基本的な考え方) ・ 選択と集中により成長分野へ経営資源を集中し、市場の開拓を進める ・ 事業部制を導入し、権限委譲を進め責任と権限を明確にし、各事業の自立を図る ・ 差別化商品とコストダウンにより、ニッチ分野でのより一層の付加価値の向上を図る ・ 事業を支える経営基盤の改革を推進する 尚、NEXT100 の実施にあたっては、事業セグメントを次のように変更いたします。 この変更は、当社の事業構造が、「官需を主要マーケットとする水環境事業」と「民需を主要マーケットと する産業事業」に大別され、それぞれの事業領域における当社グループの位置付け、事業の方向性が 異なることから、当社グループの事業の実態をより正しくご理解いただけるよう、事業セグメントの変更を 実施するものです。 注) 新セグメントの法定開示導入は、平成 18 年度(平成 18 年 4 月 1 日∼平成 19 年 3 月 31 日)からの予定 (事業セグメントの変更) 現行セグメント(変更前) 2. 新セグメント(変更後) ・ プラント ・ 水環境事業 ・ 単体機器類他 ・ 産業事業 数値目標(連結ベース) NEXT100 の 3 カ年においては、事業構造改革(官民比率 50:50 の達成と各事業ドメインにおけるグ ローバルニッチトップの達成)を推進しつつ、平成 17 年度連結営業利益を倍増することを数値目標とい たします。 《目標値》 平成 18 年度 平成 19 年度 平成 20 年度 受 注 高 735 億円 830 億円 930 億円 売 上 高 810 億円 825 億円 875 億円 営 業 利 益 25 億円 30 億円 40 億円 経 常 利 益 25 億円 30 億円 40 億円 当期純利益 14 億円 18 億円 25 億円 2.8% 3.6% 4.8% R O E 2/6 3. 基本施策 当社グループは、自社工場を保有することで市場に適した機器の開発・設計・製造・販売、更には自 社機器並びに自社プロセスを核としたプラントビジネスを手掛けることの出来るユニークなビジネスモデ ルを構築しております。 NEXT100 においては、この特長を活かし、他社より優位な当社グループの強みを更に強化していく ことに注力いたします。 (1) 水環境事業 (基本施策) 今後の市場の拡大は望めないものの、「処理の高度化」、「省エネ化」には引き続き投資が向け られることが予測される中、新商品による技術優位性とこれまでの納入実績、また、「汚泥の月島」 としてのブランド力に裏付けされた市場からの信頼を背景とした最適提案営業を強化することで、 PFI、運転管理・維持管理の包括委託(*1)等民活対応へビジネスモデルを変えていくことを施策 の中心に据えます。 水環境事業 ◇事業施策◇ ☆ 各事業分野ごとに市場に合わせた施策展開を実施 ☆ 富士電機システムズ、クボタとの業務提携効果の実現 施 策 【既存公設】(*2) 事業規模︵ 受注高︶ 【オペレーション・メンテナンス(従来委託)】 富士電機システムズとの業務提携効果 補修工事のリソース集中 【ライフサイクル・ビジネス】 【包括委託(O&M)】 拡大展開/リソース集中投入 【既存公設】 現状規模の維持(競合の駆逐) 得意分野(汚泥処理)へリソースの集中 ・商品の差別化(新商品の上市、コストダウン) ・クボタ提携効果の実現(商品補完・コストダウン) ・コストダウンによる価格競争力の強化 【ライフサイクル・ビジネス】(*3) 【包括委託(O&M)】(*4) ・PFI実績を基にした更新先への事業提案 (PFI・DBO)(*5) ・創エネルギー(*6)分野における新プロセスの開発、 事業化(汚泥燃料化等)(*7) ・新事業モデル(包括的民間委託等)の取り込み → ニッチ分野トップへ 【オペレーション・メンテナンス(従来委託)】 【現在】 【将来/09.3期】 ・補修工事へのリソース集中(月島テクノメンテ サービス) ・富士電機システムズ協業による営業力強化 (2) 産業事業 (基本施策) 産業事業の業容拡大と収益力強化は NEXT100 の最重要課題です。スチームチューブドライヤ等の 主力単体機器の拡販並びに、エネルギー不足から生じる火力発電所建設需要に対応する海水法 による排煙脱硫プラント(*8)等ニッチ分野のプラントビジネスの拡大を施策の中心に据えます。 3/6 また、平成 17 年度に当社グループに迎入れた月島日鉄化工機㈱を中核とした焼却システムビジ ネスによる安定収益の確保、成長分野と位置づけている真空分野での事業拡大を図ってまいりま す。 産業事業 ◇事業施策①◇ ☆ 事業の選択と集中により、得意分野におけるニッチ市場でのトップ企業を目指す ☆ STD(*9)、バイオマスエタノール(*10)、精糖プラントにおける技術優位性を生かした差別化 提案の実施 施 策 産業プラント 砂糖バイオ 焼却 真空 廃棄物処理 【産業プラント・単体機器】 → ニッチ分野トップへ 事業規模︵ 受注高︶ 【砂糖・バイオ】 ・製糖プラントの現有シェア死守 ・バイオマスエタノールの商用化 及び 海外市場の開拓 ・排煙脱硫プラントにおける海水法の技術導入 ・STDコストダウン、プロセスオーナーとの関係強化 →シェア70%を死守 ・新適応分野の開拓(石炭乾燥) ・海外プラント(EPC(*11))遂行のための基盤整備 【砂糖・バイオ】 → ニッチ分野トップへ 【産業プラント】 ・排煙脱硫新プロセス導入(海水法) ・STDコストダウンによる競争力強化 →競合の駆逐 【現在】 ・廃建材エタノール製造プロセスにおけるブランド を活かした案件の提案営業 ・精糖プラントにおけるコストダウンの推進 2 【将来/09.3期】 産業事業 ◇事業施策②◇ ☆ ニッチ分野におけるトップ地位の死守(EBW(*12)関連、国内廃液燃焼プロセス) ☆ 焼却における海外市場の新規市場開拓 ☆ 真空成膜技術の確立及び、事業としての早期自立を目指す 産業プラント 砂糖バイオ 焼却 真空 【真空】 ・EBW関連の事業の拡大 ・成膜技術の早期確立 策 【焼却】 → ニッチ分野トップへ 事業規模︵ 受注高︶ ・技術優位性及び、コストダウンを通じた国内廃液 燃焼市場における競争力の強化 →既存シェア70%の死守 ・中近東、中国を中心とした廃液燃焼市場の拡大 ・大型固形産廃焼却の実績に基づく、月島ブランド の確立 【真空】 【焼却】 ・国内市場のシェア確保 ・海外市場の開拓 【現在】 施 廃棄物処理 → ニッチ分野トップへ ・EBW関連におけるブランドを活かした事業の拡大 ・事業拡大へ対応すべく、能力増強へ向けた設備 投資の実施 【将来/09.3期】 4/6 28 (3) 業務提携 当社グループでは経営戦略上、業務提携を重要な施策と位置づけております。前中期経営計 画の 3 カ年において業務提携を実施した、富士電機システムズ㈱、㈱クボタ、更には、新日鐵グル ープから当社グループに迎え入れた日鉄化工機㈱(現:月島日鉄化工機㈱)とのシナジー効果を 最大限に発揮することが、NEXT100 を実行する上では重要であると認識しております。 富士電機システムズ㈱とは「電機と機械」の融合による新たな事業分野の創出を目的とし、㈱ク ボタとは「機械と機械」の組み合わせによる既存設備の相互補完を目指しております。また、日鉄 化工機㈱を当社グループに迎え入れ、焼却事業を同社に集約し焼却事業の強化と拡大を図って おります。 (4) コストダウン ここ数年の減益要因の一つは、市場環境の変化に応じた価格競争力を維持できなかったことに あると認識しております。NEXT100 においては、コストダウンを最重要施策の一つとして捉え、業 務提携、BPR による IT 投資等の効果がコストダウンに結びつくよう努力してまいります。 ・ プロジェクト管理、計画・設計、調達、建設の各機能ごとに施策を展開 ・ 富士電機グループおよび㈱クボタとの業務提携効果の早期実現 ・ IT を活用した BPR 推進による業務の効率化効果としての外注費および固定費の削減 (5) 研究開発 当社グループがこの厳しい事業環境の中で勝ち残るためには、他社に対する差別化技術・技術 優位性を保持することが必須であると認識しております。当社グループにおいては、そのビジネス モデルから全般的な傾向として開発から成果(受注)が顕在化するまで最低 2∼3 年の時間を必要 としますが、事業に則した研究開発と将来のための研究開発投資を引き続き継続してまいります。 4. 株主還元の基本的な考え方 当社は「財務体質と経営基盤の強化を図りながら、可能な限り安定的且つ継続的な利益還元を行う ことを利益配分に関する基本方針」としておりますが、更なる株主重視の姿勢をご理解いただけるよう、 「連結当期純利益に対する総還元性向 40%を目標とし、安定配当に努める」ことを株主還元の基本的 な考え方として今後の経営にあたることといたします。 以上 《注意事項》 本資料に含まれる予想値及び将来の見通しに関する記述は、弊社が現在入手可能な情報による判断及び仮定に基づいておりま す。従い、その判断や仮定に内在する不確実性及び事業運営や内外の状況変化により、実際に生じる結果が予想内容とは実質 的に異なる可能性があります。 5/6 【用語解説】 *1: 包括委託 オペレーションとメンテナンスをあわせた委託を、一般的に「包括委託」と呼ぶ。 *2: 既存公設 現在の官需業務の発注方式の主流。発注仕様書に記載された機器を設計・製作して提供したり、規定された人員 で維持管理を行うこと *3: ライフサイクル・ビジネス 機器・設備の売り切りにとどまらず、維持管理、副産物引き取りまで含む長期間のライフサイクルを念頭においたビ ジネス。 *4: O&M [Operation & Maintenance] 処理施設の運転管理、保守管理、補修(オーバーホール)などの業務とユーティリティの供給。従来はそれぞれを 個別に単年度で委託されている。 *5: DBO [Design-Build-Operate] 事業会社に施設の設計(Design)・建設(Build)・運営(Operate)を一括して委ね、施設の所有、資金の調達は行政 が行う方式。 *6: 創エネルギー エネルギーの省力化にとどまらず、新たなエネルギーに転換または生み出すことにより、エネルギー創造を行うこ と。 *7: 汚泥燃料化 下水汚泥を低温で蒸し焼きにすることでカロリーを残し、石炭代替燃料として利用する技術。創エネルギーのひと つ。 *8: 海水法排煙脱硫プラント 排煙脱硫技術の一種。大量の海水を使い石炭ボイラーなどから排出された硫化物を水洗除去する技術。脱硫媒 体として海水を使用するため副生物が発生せず、また脱硫後の海水は曝気されて海にもどされるため、環境への 配慮もある。 *9: STD [Steam Tube Dryer] 月島機械の得意とする大型乾燥機の一種。石油化学や食品産業など中・大量生産プロセスにおいて、高効率乾 燥・密閉構造、品種切り替えによる製品の汚染を防止できる構造の乾燥機。テレフタル酸分野では、世界の 7 割の シェアを誇る。 *10: バイオマスエタノール バイオマス資源を分解し、エタノールを製造する技術。 *11: EPC [Engineering, Procurement, Construction] エンジニアリング作業を大別、「設計」「調達・製作・検査」「建設・据付工事」を意味する。 *12: EBW [Electron Beam Welding] 溶接技術の一種。真空下で電子ビームを使い溶接することから、酸化や窒化が生じず、また材料へのひずみの少 ない溶接が可能な技術。 6/6
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