特集:協会を支える分科会活動 リサイクル技術分科会 代表幹事 荻田 哲也 Tetsuya OGITA 1.はじめに 2.平成24年度の活動について 2年前に東北を襲った震災の爪痕は、我々に数 最近の活動実績を表−1 に示す。平成20年度か 多くの課題を与えた。瓦礫の処理とリサイクルは ら「資源循環と CO2削減」を2大テーマとして掲 各自治体の長期スパンのテーマとなり、また原子 げ活動してきたが、24年度は、貴重資源の一つレ 力に代わる新たな再生可能エネルギーなど、新た アアースの回収を狙った二次電池のリサイクルの な技術の見直しが余儀なくされた。 現状や震災がれきのリサイクル、そして再生可能 リサイクル技術分科会は、循環型社会形成に向 けてリサイクルシステムに貢献できる粉体技術の なエネルギーとして注目を浴びているバイオマス 発電の見学を実施した(写真−1、2)。 開発に役立つことを目的に、平成12年12月に発足 した。リサイクル施設の見学会や講演会を通して、 会員の方々へリサイクル技術に関する技術情報と ともにリサイクルを事業化する方法論について成 功例の形で提供し、企業・研究機関との人脈を築 きながら知識レベルを上げてきた。現在、コー ディネータを北九州市立大学の大矢 仁史先生、 副コーディネータを熊本大学の外川 健一先生に お願いしている。 写真−1 表−1 年 月 日 場 所 講 平成24年度第1回分科会 講演会場 最近の活動実績 演 者 テ ー マ ①バイオ燃料製造技術の開発動向と国際展開 ②見学会:!バイオマス研究施設 !醸造技術研究施設 !バイオマスガス化設備 産業技術研究所 中国センター 産総研 H23. 11. 15 東京八重洲ホール JETRO 小島 道一 DOWA 吉成 明夫 九州テクノリサーチ 佐藤 明史 ①中国を中心とした東アジアのリサイクルの現状 ②環境・リサイクル事業の海外展開 ③リサイクルビジネスのアジア展開 H24. 2. 23 エコシステム山陽 福岡女子大 ①微量 PCB の適正処理と課題 ②見学会:!微量 PCB 処理工場 7. 10 H24. 豊中市緑地駅ビル 関西大学 芝田 隼次 関西大学 小田 廣和 三徳 金子 明仁 DOWA エコシステム 藤田 浩示 ①二次電池のリサイクルの現状と動向 ②各種蓄電デバイスに用いる炭素材料電極の特性 ③リチウムイオン電池の正極材料の取り組み ④廃リチウム電池処理 H24. 9. 28 仙台市 仙台市 ①「震災がれきのリサイクルと処理」解説 ②土井搬入場の見学 H25. 3. 5 大牟田エコタウン 大木町バイオマス発 電施設 6. 29 H23. Vol. 5,No. 4(2013) 井土搬入場 坂西 欣也 野馬 幸夫 松浦 淳一郎 !焼却工場 ①紙おむつのリサイクルの見学 ②バイオマス発電施設の見学 (1) 1 第3回は、これからの新燃料のキーワードとな る水素の製造と利用技術の講演・見学会を福岡市 で開催する(表−2)。 平成25年度の活動計画 表−2 写真−2 回 予定月 場所 テ ー マ 1 6月 敦賀 二次電池のリサイクル 2 9月 仙台 太陽光パネルのリサイクル 3 H26. 3月 福岡 水素製造・利用技術 4.最近の粉体技術動向について 平成24年度第2回分科会での見学会 「資源循環」としてレアメタルリサイクルが、 3.今後の活動計画 「創エネルギー」としてはバイオマスが最近は注 分科会活動の方向性を図−1 に示すが、中期活 目を浴びてきた。 動テーマとして「資源循環」と「創エネルギー」 レアメタルは、小型電気、電子機器のリサイク の2本柱に「震災廃棄物」を加えて平成25年度よ ル法が昨年成立し、研究段階を終えた。実用化段 り活動していく。 階では、個別の対象として、二次電池、磁石、電 第1回は、電気自動車の普及により今後ニーズ が高まると予測される二次電池のリサイクル設備 子回路基板などがリサイクル対象として開発事業 化が計られている。 を見学する。 バイオマスは、国内での利用形態はすでに事業 第2回は、震災復興計画の一つである太陽光発 化しているものが増えてきており、研究は海外事 電施設の見学と、太陽光パネルのリサイクルに関 業化を目指したものが主流となってきた。さらに わる講演会を被災地仙台で開催する。 は、原発事故の教訓から、エネルギーの多様化の ᢏ⾡䛾㧗ᗘ㍈ ᆅᇦ㈨※ᚠ⎔䚸ᅜෆ㈨※ᚠ⎔䛛䜙ᅜ㝿㈨※ᚠ⎔䜎䛷䚸ᕷሙ䛻㐺ྜ䛧䛯 ⎔ቃㄪᆺ䝸䝃䜲䜽䝹ᢏ⾡䛾㛤Ⓨ ᪤Ꮡ䛾䜶䝁䝍䜴䞁䚸⎔ቃ䝁䝭䝳䝙䝔䜱䞊䝃䞊䝡䝇䛸䛾㐃ᦠ ᣢ⥆ྍ⬟♫ 䛻ᑐᛂ 㟁ụ䚸☢▼䚸ኴ㝧ග 䝟䝛䝹䛾䝸䝃䜲䜽䝹ᢏ⾡ ᐙ㟁䚸⮬ື㌴䚸ᑠᆺ ᐙ㟁䛾䝸䝃䜲䜽䝹ᢏ⾡ 㻞㻜㻜㻜ᖺ௦䛛䜙⾜䛥䜜䛶䛝䛯ಶูရ┠䛾 ἲᚊ䛸䛧䛶䝸䝃䜲䜽䝹ᑐ㇟䛸䛺䜚䚸䠏㻾䛜ᮏ᱁ 䚹ྛ✀ᢏ⾡ㄢ㢟䛿⌧ᅾ᳨ウ䚸㛤Ⓨ୰䚹 㧗ຠ⋡䜶䝛䝹䜼䞊 ⏝ᢏ⾡ ᪂䜶䝛䝹䜼䞊㛤Ⓨ䛸ᮍ⏝䜶䝛䝹 䜼䞊⏝䛺䛹䛸䛸䜒䛻ᅾ᮶䜶䝛䝹 䜼䞊䛾㧗ຠ⋡⏝ᢏ⾡䜢᥎㐍䛩䜛䚹 䝝䜲䝔䜽ᗫ㟁Ꮚᶵჾ䜔䠤䠡䠲䞉䠡䠲䛺䛹 䛾ᬑཬ䛻䜘䜛㟁ụ䚸☢▼䚸ኴ㝧ග䝟䝛 䝹䛺䛹䛛䜙䛾䝺䜰䝯䝍䝹䚸㈗㔠ᒓ䛺䛹䛾 㧗ຠ⋡䝸䝃䜲䜽䝹䚹 Ỉ⣲⏝ᢏ⾡ 䝞䜲䜸䝬䝇⏝䛻䜘䜛䝞䜲䜸䜶䝍䝜䞊 䝹䛛䜙Ỉ⣲〇㐀䛻⮳䜛䠟䠫䠎䜢ฟ䛥䛺 䛔䜽䝸䞊䞁䛺ᢏ⾡䜈㌿䛩䜛䚹 ⯆ィ⏬ ᨺᑕᛶᗫᲠ≀㐺ṇฎ⌮ ⮬↛ඹ⏕♫ 䛻ᑐᛂ 㔠ᒓ㈨※ 㻔䝺䜰䝯䝍䝹㻕 ⏕ྍ⬟ 䜶䝛䝹䜼䞊 䠄䝞䜲䜸䝬䝇䠅 䞉Ᏻᚰ♫ 䛻ᑐᛂ 㟈⅏ᗫᲠ≀ 㧗㱋♫䛻ᑐᛂ 䠏㻾䛾䜏䛺䜙䛪㛗ᑑタィ䜔⎔ ቃᑐᛂタィ䛺䛹┿䛾ᚠ⎔ᆺ♫ 䛾ᵓ⠏䛜ᮃ䜎䜜䜛䚹 ไస䠖䝸䝃䜲䜽䝹 ไస䠖 䝸䝃䜲䜽䝹ᢏ⾡ศ ⾡ศ⛉ ⛉ ᘓタᗫᮦ䛾䝸䝃䜲䜽䝹䚸 㐺ṇฎศ ᮾ᪥ᮏ㟈⅏䛸⚟ᓥ➨୍ཎⓎᨾ䛻䜘 䜛ᗫᲠ≀ฎ⌮䜢ྵ䜐⯆ィ⏬䜢୰ᮇⓗ 䛻⪃䛘䜛ᚲせ䛜䛒䜛䚹ྠ䛻ᨺᑕᛶᗫ Რ≀ၥ㢟䜒ゎỴ䛩䜉䛝ㄢ㢟䛷䛒䜛䚹 㻞㻜㻝㻝ᖺ㻟᭶㻝㻝᪥䛻㉳䛣䛳䛯ᮾ᪥ᮏ㟈 ⅏䛻䜘䜛⎰♟䛺䛹䛾ᘓタᗫᮦ䜈䛾䝸䝃䜲 䜽䝹䚸㐺ṇฎศ䛿ႚ⥭䛾ㄢ㢟䛷䛒䜛䚹 ⌧ᅾ ㏆ᮍ᮶ コーディネータ :北九州市立大学 大矢 仁史 副コーディネータ:熊本大学 外川 健一 代表幹事 :赤武エンジニアリング㈱ 荻田 哲也 副代表幹事:㈱椿本バルクシステム 蓮池 達央 分科会会員数:183名 ᑗ᮶䠄ክ䠅 㛫㍈ 図−1 リサイクル技術のロードマップ 2 (2) 粉 体 技 術 方向に進んでいる。 分科会であり続けたい。 本リサイクル技術分科会は、プロジェクト型分 地域資源循環から国際資源循環まで、さまざま 科会として粉体技術を如何にリサイクル分野に応 なエリアにおけるテーマを掲げながら、時間軸に 用し、新しいビジネスチャンスがあるかを常に議 おいては人々が目指す社会、すなわち持続可能で 論してきたが、最近は循環型社会、持続可能社会、 自然共生しつつ安心であり、また高齢社会にも対 自然共生社会とともに東日本大震災を契機として 応した真の循環型社会の構築に、どのようにリサ 高齢社会を念頭に置いた安全・安心社会に対応す イクル技術を活かしていけるのかを会員と共に今 る技術にも注目が集まるようになった。 後も探っていきたい。 おぎ た てつ や 荻田 哲也 赤武エンジニアリング㈱ 営業本部 営業開発室 室長 5.おわりに リサイクル技術分科会ではリサイクルシステム の全体を理解しつつ、極力今日的な話題そして将 来を見据えた視点でテーマを決め、会員に役立つ Vol. 5,No. 4(2013) (3) 〒410−0302 静岡県沼津市東椎路632 TEL:055−925−6666 FAX:055−925−6688 E-mail : [email protected] 3
© Copyright 2024 ExpyDoc