基盤となるテクノロジー 大和研究所 - IBM

新たな価値の創造
基盤となるテクノロジー
研究開発(R&D)拠点としての大和研究所
神奈川県大和市に所在する大和研究所は、IBMの日本および世界における重要な研究開発拠点です。
IBMでは米国、ヨーロッパ、アジアなど世界各地で、40拠点以上の基礎研究所や開発研究所が活動
しています。その中でも大和研究所は基礎研究をはじめ、ハードウェア、ソフトウェア、ソリュー
ション・サービスまですべての機能を備えたユニークな存在となっています。
大和研究所ではそれらが部門を越えて協業し、さらには世界中のIBMの研究開発拠点と常に密接に協
業しながら、世界最先端のテクノロジーや新たな価値をお客様にお届けし、継続的に社会に貢献で
きるように努力しています。またIBMの研究開発拠点がない国や地域でも、大和研究所と大学、政府
機関やお客様の研究開発部門との連携により、日本発のイノベーションを世界に先駆け実践してい
ます。
IBMの研究開発拠点
●●● 北京
● ロンドン
● トロント
● ロチェスター
● オタワ
● ウェストフォード
●● 上海
● ベッドフォード
●● ハーズレイ
●● ボブリンゲン
● ボストン
● チューリッヒ
● バーリントン
● イーストフィッシュキル
● モスクワ
●● ポケプシー
● シリコンバレー
● ローマ
●●● 大和
● ラゴード
●トゥールーズ
●● 台北
● ヨークタウン
● サンノゼ
● プリンストン
● アルマデン
● レキシントン
● コスタ・メサ
● フェニックス
●●● ハイファ
● ツーソン
● デリー
●● バンガロール
●● プネー
● ボカラトン
●● ラーレイ
● グアダラハラ
●●● オースティン
● 基礎研究所
● ハードウェア開発
● ソフトウェア開発
大和研究所の各組織の活動概要
実現しています。これらにより、
ゲーム機、デジタルTV、デジタル
は以下のとおりです。
データの処理速度を速くし、汎用
カメラ、デジタルビデオ、携帯電
性を強化しながら、システム全体
話などの家電製品から、複合機、
システム開発研究所
の性能を向上させて省電力を図る
プリンター、通信インフラ機器な
業界最速クラスの転送速度で
など、地球環境に配慮した製品開
どの工業製品まで非常に多岐にわ
ある毎秒 1 テラバイト(約1兆バイ
発を実現しています。
たり、日々の生活の利便性やビジ
ト/秒)の大容量を実現したテー
マイクロエレクトロニクス事業
め、企業向け製品の機能拡張開発
PowerPC®と呼ばれるプロセッ
を行っています。
サーをコアとするSoC(System on
製造
また、急激に増大する情報量へ
Chip)という最先端の半導体技術
製造部門は当社製品に関するサ
の対応を効率的に行うため、IBM
を生かし、お客様の製品に合わ
プライ・チェーン・マネジメント
のXIVと呼ばれるハードディスク
せ て、 計 算 用 プロセッサー 回 路
も担当しています。
製品と組み合わせる技術を開発
し、より可用性の高いシステムを
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ネスの効率の飛躍的な向上に寄与
プ・ストレージ装置の開発をはじ
(ASIC)
を開発製造しています。
こ れ ら の 使 用 用 途 と し て は、
しています。
地球環境の保護が求められる一
方で、より早く、より正確に、必
要なものを必要な人や場所に届け
ウェア製品を開発しています。
の基盤づくりに貢献しています。
ることが、物流の世界では終わり
例えばCognos® Content Analytics
さらに、オフィスにおけるI T/
のない命題です。そして、その答
というテキスト・マイニング製品
事務機器の使用状況を適切に管理
えを求めて、世界的な規模で最適
を使うと、一見無関係に見える膨
して省電力化を図るソフトウェア・
化を進めています。
大なテキスト文書の中から、隠さ
ソリューションを開発するなど、
I T 技術と豊富な経験を駆使し
れた意味や傾向を見出すこと(マ
環境経営の実現に役立っています。
て、最短・最速の物の流れをコン
イニング)ができます。
トロールすることで、一般のお客
ま た InfoSphereTM eDiscovery
ソフトウェア・テクニカル・サポート
様に見えない部分で社会に貢献し
Analyzerは膨大な電子メールを高
ソフトウェア製品をお使いいた
ています。
速で検索・分析することにより、
だくお客様に対し、ヘルプデスク
規制遵守の証明や証拠開示要求へ
等の技術支援を行うソフトウェ
ソフトウェア開発研究所
の対応に不可欠な電子メールをい
ア・テクニカル・サポートも大和
ソフトウェア開発研究所では、
ち早く見つけ出すことができま
研究所の一員です。
全世界向けのさまざまなソフト
す。これにより、一層安心な社会
お使いいただいているお客様か
大和研究所の位置付け
IBMコーポレーション
取締役会
CEO
・・・・
・・・・
日本IBM
・・・・・・・・・
大和研究所
システム開発研究所
システム製品 & 半導体製品
マイクロエレクトロニクス事業
製 造
ソフトウェア開発研究所
ソフトウェア製品
ソフトウェア・テクニカル・サポート
基礎研究
東京基礎研究所
らソフトウェア製品改善のための
立されました。現在、世界 8ヵ所
くる社会システムに対し、基礎研
情報を集めるとともに、ソフト
(米国ヨークタウン/サンノゼ/
究による技術革新を通して貢献し
ウェアの開発部門に的確にフィー
オースチン、スイス、イスラエ
ています。
ドバックすることもこの部門の使
ル、中国、インド、日本)のおよ
28年 の 歴 史 の 中 で、 か な 漢
命です。そしてこのサイクルを有
そ3,000名 か ら な るIBMリ サ ー チ
字 変 換、 機 械 翻 訳、 音 声 認 識、
効に回すことにより、お客様の満
部門の一員として、また日本の開
JavaTM JITコ ン パ イ ラ ー、 液 晶 技
足度を高め、ひいてはより良い製
発拠点である大和研究所の基礎研
術、X M L(Extensible Markup
品の開発に努めています。
究部門として研究活動を行ってい
Language)
/ Webサービス、視覚
ます。
障害者向けのアクセシビリティ技
東京基礎研究所
研究者たちはIBMの製品・サー
術など、ビジネスと社会に貢献す
東京基礎研究所は、1982年に
ビスのみならず、お客様のビジネ
る革新的な研究成果を生み出して
アジア初の基礎研究施設として設
ス、さらには、よりよい未来をつ
います。
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新たな価値の創造
基盤となるテクノロジー
-東京基礎研究所が中心となって取り組んでいるプロジェクト例 -
車まるごとシミュレーション
自動車の電子技術は近年ます
Simulation)によるテストでは、
ションすることによって、これ
ます複雑かつ高度化しています。
障害が再現できない、時間や費
らの課題を克服し、開発期間の
自動車の中枢神経を構成する
用などがかかる、といった問題
短縮・コスト低減のみならず、
ECU(電子制御ユニット)
の数は、
がありますが、コンピューターの
製品の信頼性向上に寄与するも
高 級 車 で は 数 十 個 に 達 し、 各
中でまとめて高速にシミュレー
のと考えられます。
ECUにはエンジンやブレーキな
どを高度に制御するソフトウェ
車まるごとシミュレーション
アが組み込まれています。
こ の 研 究 は、 制 御 対 象 を 含
む複合制御システム、サスペン
ションやシャーシなどの運動解
プラントのモデリング
高速
シミュレーション
サーバー
析、さらには空気の流れの影響
な ど、 現 象 を 単 純 に は 分 解 で
コントローラーの
プログラミング
きない解析を含んだ“車まるご
と ”シミュレーション の 実 現 に
運動解析
非線形解析
向 け、 必 要 な 要 素 技 術 の 研 究
を行うものです。従来の実車・
HILS(Hardware-in-the-Loop
ミリ波無線技術
次世代の超高速無線通信や車
研究開発を進めています。特に
デモシステムの構築に力を入れ
載レーダーセンシング技術として
高速の信号処理技術を生かして、
ています。さらに近年は、指向
脚光を浴びているミリ波無線の
ギガビット/秒を超えるデータを
性の強いミリ波ビームを、送信
先進的な技術ソリューションにつ
効率良く伝送できる最先端の変
したい方向・受信したい方向に
いて、米国T.J.ワトソン研究所
調・符号化方式の研究や、テク
自由に向けることのできるビー
(ヨークタウンに所在)と共同で
ノロジー・ショーケースとしての
ムステアリング技術を使った、ミ
ミリ波無線技術による近未来、さまざまな可能性
家電
リテール
ショッピングセンター
ケーブルレス
超高速の
無線伝送システム
リテール
ロボット
広告
人・車
セキュリティー
ホーム
安心・安全な
情報の受発信
料金所
電車内
オカメラからPCにダウンロード
することや、さまざまな人・物
からの大量の情報を瞬時に集め、
人々の判断に直接働きかけるこ
とのできる鮮度の高い情報を的
電子看板
パーキングゲート
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ミリ波無線技術を活用するこ
タ1時間分をわずか数秒でビデ
信頼性
交通
能化の研究も進めています。
とにより、例えばHD録画デー
瞬時ダウンロード
交差点
リ波無線システムの一層の高性
確に配信することが可能となり
ます。
エコ・パテントコモンズ
GTO(Global Technology Outlook)
2008年1月、IBMとWBCSD*1 は、ノキア、ピツ
IBMは、1982年以降、四半世紀以上にわたって
ニーボウズおよびソニーと協力して、環境保護に
全世界約3,000名の研究者の力を結集して、毎年
貢献する特許を開放する初の試みであるエコ・パ
Global Technology Outlook(以下「GTO」)と呼ば
テントコモンズを設立しました。2010年3月現在、
れるレポートを作成しています。
さまざまな業界を代表する世界的な企業 9 社がこ
GTOは 1 年に及ぶ集中的な作業、すなわちアイ
れに参加し、合わせて100件近くの特許が開放さ
デアの創出、データの収集、課題についての徹底
れています 。
的な議論を通じてまとめ上げられます。これらの
エコ・パテントコモンズでは、環境保全を目的
作業の中では、3 ~ 10年先を見据えて、研究機
とすることを条件に、誰でも企業が開放した特許
関や市場における技術動向を注意深く、かつ包括
に無償でアクセスし、活用することができます。
的に分析することにより、ビジネスに大きな変革
開放された特許には、環境問題に焦点を当てたも
をもたらし、また新しいビジネスの創造につなが
の、環境保全にプラスの効果をもたらす製造やビ
る重要な技術トレンドをいち早く予見します。過
ジネス・プロセスのイノベーションなどが含まれ
去には、コンピューターが自分自身で問題箇所を
ています。エコ・パテントコモンズにより、環境
自己修復することを目指すオートノミック・コン
保護に関する新しいイノベーションを醸成する企
ピューティングや、システム開発におけるナノテ
業間の協業の促進が期待されます。
クノロジーの可能性などを予見してきました。
WBCSDおよびエコ・パテントコモンズの参加
GTOは、IBMが将来の技術動向について正しい
企業は、地球環境保護のためのイノベーションや
決定や投資を行うことに寄与し、また、これらの
コラボレーションの促進に賛同いただける個人お
技術動向が個々の業界に与える影響を予測するこ
よび企業の、本取り組みへの参加を呼び掛けて
とを可能にしています。
います。参加要領および開放された特許一覧は、
IBMは、お客様や学術機関のみならず、競合他
WBCSDが主催するエコ・パテントコモンズ専用
社をも含めた IT に影響を与えるあらゆる社外の
ウェブサイト *2 で公開されていますのでご参照
機関に対して、研修や説明会などを通じてGTOの
ください。
概要を紹介しています。
*1 The World Business Council for Sustainable Development(持続可能な
開発のための世界経済人会議)の略
*2 http://www.wbcsd.org/web/epc
エコ・パテントコモンズの仕組み
エコ・パテントコモンズ
環境保全につながる
特許群を構築するイニシアチブ
エコ技術を世界に発信
特許権者
● リーダーシップを発揮する
企業としての認知
●
特許開放による
コラボレーションの促進
特許利用者
●
開放特許の無償利用
●
グローバルな環境問題に貢献
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