プログラム・抄録集 - 大阪大学大学院医学系研究科・医学部

第7回NOTES研究会
プログラム・抄録集
当番世話人
2013年
第
回 NOTES 研究会
日
時/平成25年11月27日(水)16:00∼20:30
場
所/福岡サンパレスホテル&ホール
〒812-0021 福岡市博多区築港本町 2-1
TEL 092-272-1123(代表)
当番世話人/土岐
祐一郎
(大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学)
事務局:事務局長
中島
〒565-0871
清一
大阪府吹田市山田丘 2-1
大阪大学産学連携本部A棟 408-2
大阪大学臨床医工学融合研究教育センター
次世代内視鏡治療学共同研究部門(プロジェクト ENGINE)
TEL&FAX:06-6876-0550
担当:次田、渡辺
―1―
ご 挨 拶
第 7 回 NOTES 研究会の開催にあたって
第7回NOTES研究会 当番世話人
大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学
土岐 祐一郎
この度、第7回 NOTES 研究会の当番世話人をおおせつかりまして、誠に光栄の至りと存
じます。
本研究会は、2007年11月の設立以来、北野・田尻両代表世話人のご指導のもと、我が国が世
界に誇る高い内視鏡治療・腹腔鏡手術の技術力、治療成績を背景に、クオリティの高い
NOTES 研究・臨床活動を支える柱として大きな役割を果たしてまいりました。しかしながら、
この間に NOTES が臨床的に見て成功したとは決して言い難く、世界的に見ても一部の先進
施設における実験的な取り組みを超えるレベルには至っていないのが現状です。
一方で、NOTES は腹腔鏡医が「腹壁破壊」のあり方を考え直すきっかけとなり、これが近
年の Reduced Port Surgery の興隆の一因となりました。同時に、NOTES は、内視鏡医の作
業フィールドを消化管粘膜や粘膜下層の限られた領域から消化管全層を含むより広い領域へと
拡げるきっかけともなり、これが POEM や LECS(腹腔鏡内視鏡合同手術)の普及の一助と
なっていると考えることもできるでしょう。単孔式手術の普及に伴って見直されてきた needlescopic device や articulating device、消化管
孔や瘻孔の閉鎖用として認知されつつある
新型クリップや縫合器等、新しい医療機器も少ないながら登場しつつあります。NOTES は確
かに内視鏡治療、腹腔鏡手術のあり方に影響を与えてきたのではないでしょうか。
これまでの6年間に、我々は NOTES を通じて何を学び、何を学ばなかったのか。そして、
我々はどこへ向かうのか(Quo Vadis?)
。今回の第7回研究会は、これまでの NOTES 研究を
我々自身で「総括」し、今後の低侵襲内視鏡治療の方向性を見極める場としたいとの思いから、
「特別企画」に例年より長い時間を取り、皆様で大いに議論いただくこととしました。また、
招請講演として、シンガポールで軟性内視鏡ロボット MASTER の開発を手がけ、世界初の
ロボット ESD 臨床例を成功させている National University of Singapore の Lawrence Ho 教
授に、大変エキサイティングなお話しをいただく予定です。
NOTES 研究の発展には、内科と外科、基礎と臨床、医学と工学、学界と行政など横断的な
連携が不可欠といえます。本研究会が、若手研究者を中心に学問的交流を深め、国民に安全で
低侵襲な新時代の治療法を提供していく基礎とならんことを切に願っています。
本会開催にあたり、NOTES 研究会の役員の先生方および研究会事務局の皆様、ならびに関係
各位には大変お世話になりました。厚く御礼を申し上げます。第26回日本内視鏡外科学会総会
前日でご多忙とは存じますが、是非多くの皆様にご参加いただけますようお願い申し上げます。
―2―
日程表 11月27日(水)
福岡サンパレスホテル&ホール 2階
14:30
第1会場
第2会場
パレスルームA
パレスルームB
常任世話人会
14:45
15:00
15:15
15:00∼15:30
施設代表者会議
15:30
15:45
16:00
16:15
16:30
開会の挨拶
研究助成報告
16:00∼16:30
16:30∼18:00
16:30∼18:00
16:45
17:00
17:15
一般演題①
一般演題②
17:30
17:45
18:00
18:00∼19:30
18:15
18:30
18:45
特別企画
19:00
19:15
19:30
19:45
19:30∼20:30
特別講演
20:00
20:15
平安
14:30∼15:00
閉会の挨拶
20:30
20:30∼22:00
20:45
21:00
情報交換会
21:15
21:30
21:45
22:00
20時30分より『パレスルームB』にて情報交換会を予定しております。
お時間の許す限りご参加ください。
―3―
第7回 NOTES 研究会プログラム
■開会の挨拶
第1会場 2F『パレスルーム A』16:00∼16:05
当番世話人:大阪大学
■平成25年度研究費助成金受賞者表彰
土岐祐一郎
第1会場 2F『パレスルーム A』16:05∼16:10
慶應義塾大学
■平成24年度研究助成課題報告
消化器外科
北川雄光
一般・消化器外科
第1会場 2F『パレスルーム A』16:10∼16:30
座長:東京慈恵会医科大学
田尻久雄
消化器・肝臓内科/内視鏡科
1.豚を使用した安全な経腟的 NOTES 肝切除
東邦大学医療センター大森病院
片桐敏雄
消化器外科
2.胸腔からの経横隔膜的腹腔鏡(Trans-phrenic Peritoneoscopy)を用いた超低侵襲内
視鏡的大網充填術の前臨床的検討
大阪大学
宮崎安弘
消化器外科
3.Overstitch を用いた ESD 後潰瘍の閉鎖(全層切除後欠損部閉鎖との比較)
東京慈恵会医科大学
■一般演題①
炭山和毅
内視鏡科
第1会場 2F『パレスルーム A』16:30∼18:00
貝瀬 満
和田則仁
座長:虎の門病院 消化器内科
慶應義塾大学 一般・消化器外科
1.経胃的 NOTES 腹腔内観察における胃粘膜下トンネルの閉鎖法の検討
大分大学
消化器・小児外科
二日市琢良
2.Non-translumenal な胃全層切除術“NEWS”と内視鏡的粘膜縫合
後藤
慶應義塾大学医学部腫瘍センター低侵襲療法研究開発部門
修
3.共焦点顕微内視鏡を用いた消化管筋層の観察
東京慈恵会医科大学
小林雅邦
内視鏡科
4.婦人科における Pure-NOTES の確立と発展普及に向けて
倉敷成人病センター
黒土升蔵
婦人科
5.当科における腹腔鏡内視鏡合同手術導入後の十二指腸粘膜下腫瘍切除の経験
東邦大学医療センター大橋病院
―4―
外科
長尾さやか
6.Hybrid NOTES による結腸切除術後の経腟的標本摘出法の工夫
立川綜合病院
蛭川浩史
外科
7.経腟 NOSE に RPS を融合した完全腹腔鏡下大腸癌手術
厚生連長岡中央綜合病院
西村
消化器病センター外科
淳
8.NOTES 研究を振り返る
大阪医科大学
朝隈光弘
一般・消化器外科
9.胃 GIST に対する内視鏡的全層切除術(endoscopic full-thickness resection: EFTR)
の成績
杏林大学
■一般演題②
阿部展次
外科
第2会場 2F『パレスルーム B』16:30∼18:00
座長:九州大学
大平
山本
先端医療イノベーションセンター
足立共済病院
猛
学
1.NOTES 下食道吻合用新デバイスの開発
東京大学
石丸哲也
小児外科学
2.生体吸収素材を用いた腹腔鏡補助下 EFTR の開発
∼SM 胃癌に対するセンチネルナビゲーション EFTR の開発∼
金沢医科大学
北方秀一
消化器内視鏡学
3.軟性内視鏡操作支援ロボット開発の課題と対策
産業医科大学
第3内科
久米恵一郎
4.新 規 洗 浄 吸 引 一 体 型 カ テー テ ル「エ ン ド シャ ワー®」の 臨 床 評 価 お よ び 使 用 経 験
(NOTES 領域への応用を目指して)
大阪大学
消化器外科
宮崎安弘
5.経膣 Hybrid NOTES 胆嚢摘出術の手技の工夫
外科
門多由恵
消化器内科
布袋屋修
慶應義塾大学
6.胃粘膜下腫瘍に対する LECS 25例の成績
虎の門病院
7.当院における胃粘膜下腫瘍に対する腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)の検討
KKR 札幌医療センター斗南病院
―5―
外科
山本和幸
8.細径鉗子と natural orifice specimen extraction(NOSE)による直腸癌に対する究極
的低侵襲手術
国立がん研究センター東病院
大腸外科
塚田祐一郎
9.経直腸 NOSE+RPS の工夫と経直腸 NOTES への応用の可能性
熊本中央病院
外科
外山栄一郎
■特別企画:NOTES 研究会の総括「Quo Vadis?」
第1会場 2F『パレスルーム A』18:00∼19:30
座長:大阪大学 消化器外科
大阪大学 次世代内視鏡治療学
土岐祐一郎
中島 清一
1.NOTES が開く内視鏡医の未来
東京慈恵会医科大学
内視鏡科
炭山和毅
2.外科医から見たこれからの NOTES の行く末
東邦大学医療センター大橋病院
外科
斉田芳久
天心堂へつぎ病院
外科
安田一弘
第2開発本部
斉藤吉毅
メディカルアフェアーズ
村山史雄
3.研究会事務局の立場から
4.学産共同開発に対する企業側からの提言
オリンパスメディカルシステムズ
5.一医療機器 Company の取り組み
コヴィディエンジャパン
■特別講演
第1会場 2F『パレスルーム A』19:30∼20:30
座長:大阪大学
消化器外科
森
正樹
Flexible robots and related technologies for natural orifice translumenal endoscopic surgery
Chair, University Medicine Cluster; Head, Department of Medicine;
National University Health System, Singapore
■閉会の挨拶
■情報交換会
Khek-Yu Ho
第1会場 2F『パレスルーム A』
第2会場 2F『パレスルーム B』20:30∼22:00
―6―
■ 平成24年度研究助成課題報告
1.豚を使用した安全な経腟的 NOTES 肝切除
東邦大学医療センター大森病院
消化器外科
○片桐敏雄、大塚由一郎、土屋
勝、前田徹也、石井淳、久保田喜久、田村
晃、
金子弘真
【はじめに】Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgery (NOTES)は低侵襲外科
を背景として発展を続けている.肝切除においては、腹腔鏡下肝切除の臨床例が増加して
いる。しかしながら経腟的 NOTES 肝切除(以下 TVNOTES-H)は施行されている例は
稀であり、依然として最先端の術式となっている。臨床導入への評価を行う際に、先行し
てブタによる動物実験を施行し、さらなる安全性への検討が必要である。
【方法】35-40kg の雌ブタ9頭を用い実験を行った。臍部に 15mm トロッカーを挿入し、
気腹下に腹腔鏡を挿入。腹腔鏡直視下で 15mm 経腟トロッカーを挿入した。経腟トロッ
カーより腹腔内に軟性内視鏡を挿入した。軟性内視鏡を肝下面までガイドし、視野を腹腔
鏡から軟性内視鏡へ切り替えた。臍部および経腟トロッカーよりデバイスを挿入した。仮
想腫瘍をマーキングしサージカルマージンをとった切離ラインを決定し肝切離を施行した。
切離した肝臓を回収バックに挿入し経腟的に摘出した。実験終了後、肝切離面の状態、胆
汁廔や術中出血、経腟的に摘出できる肝臓の大きさ、手術時間の評価を行った。
【結果】9頭の豚で安全に TVNOTES-H が施行可能であった。肝部分切除を行った部位
は、全例、肝辺縁でかつ肝下区域であった。外側区域切除を模擬し行った分葉切除では検
体を経腟的摘出の際、分割すると摘出可能であった。術後、肝臓切離面からの出血、胆汁
廔は認めなかった。平均手術時間 112min 出血量は 88ml であった。検体の平均は 8.2×
7.4cm であった。
【考察】TVNOTES-H では、肝切除に使用できるトロッカーと鉗子の数が限られるため、
肝切離ラインの角度制限やトライアングレーションの確保が困難であった。動物実験にて
安全に肝臓を切離できる部位は部分切除であれば肝下区域(S3,4b,5,6)の辺縁に限定され
た。ステイプラーを用いた分葉切除では、検体を分割しないと摘出不可能であった。安全
に TVNOTES-H を施行するにはトロッカーの数や摘出できる検体の大きさに関してもさ
らなる検討が必要であると考えらえた。
―7―
2.胸腔からの経横隔膜的腹腔鏡(Trans-phrenic Peritoneoscopy)を用
いた超低侵襲内視鏡的大網充填術の前臨床的検討
1)大阪大学
消化器外科
2)大阪大学
次世代内視鏡治療学
3)大阪大学
心臓血管外科
4)大阪大学
呼吸器外科
1)
○宮崎安弘 、広田将司1)、山崎
誠1)、甲斐沼尚3)、宮川
繁3)、澤端章好4)、
中島清一1), 2)
【背景】胸部外科領域における大網充填術は開胸・開腹にて胃大網を把持・挙上し、胸腔
や縦隔内の病巣(縦隔炎、膿胸、気管断端瘻など)へ充填する術式であり、広く選択され
る術式であるが、対象患者の多くは慢性消耗期にあり、開腹手術侵襲が原病態をさらに悪
化させるパラドクスが存在する.近年は腹腔鏡を補助的に用いる手法も報告されているが、
静脈還流が著しく低下し、low cardiac output を呈するリスクを無視できない。我々は
NOTES で培った軟性鏡手技を応用し、開胸創内から経横隔膜ルートで腹腔に到達するこ
とにより低圧気腹下手術による低侵襲化が図れると考えた。
【対象と方法】雌ブタ6頭を
対象とし、全身麻酔・右片肺換気、左肋間開胸下において次の2手技を試み、安全性・
フィージビリティーについて検討した。手技1:胸腔側から横隔膜へ 12mm 腹腔鏡用
ポートを挿入する。手技2:軟性鏡(GIF-Q260J、オリンパス)を腹腔内へ導き、軟性鏡
用 把 持 鉗 子 に て 大 網 を 胸 腔 内 へ 誘 導 す る。
【結 果】手 技 1:4 例 で 腹 腔 鏡 を 併 用 し
(Hybrid 群)
、2例で腹腔鏡を用いず経横隔膜的エコ−ガイド下に施行した(Pure 群)
。
全例で完遂可能だったが、Pure 群の1例で肝左葉の被膜損傷による出血を経験した。
Hybrid 群では 4∼8mmHg の低圧気腹下に安全に手技が行えた。手技2:4例で完遂.
大網の展開不良が主因で2例が未完遂となった.このうち1例(Hybrid 群)は軟性鏡鉗
子による把持のみ可能で、残る1例(Pure 群)は大網の把持自体が不可能であったが、
いずれも腹腔鏡補助を加えることで大網拳上が可能となった。
【まとめ】開胸手術時、
TPP は安全に施行可能で、有効な腹腔到達法と考えられた。軟性鏡のみでの TPP 下大
網挙上術には技術的な課題が残るが、腹腔ポートとの Hybrid 手術は、現段階における現
実的な手法と考えられた。
―8―
3.Overstitch を用いた ESD 後潰瘍の閉鎖(全層切除後欠損部閉鎖との比較)
1)東京慈恵会医科大学
内視鏡科
2)東京慈恵会医科大学
1)
内科学講座
消化器肝臓内科
1), 2)
○炭山和毅 、田尻久雄
背景目的:強 固 な 消 化 管 全 層 縫 合 を 行 う こ と が で き る 内 視 鏡 用 縫 合 器(Overstitch,
Apolloendosurgery)を用いて内視鏡治療後潰瘍および消化管全層欠損の閉鎖が可能か検
討した。方法:ESD 後潰瘍モデル群(ESD 群)に7頭、全層壁欠損モデル群(EFTR
群)3頭、計10頭のブタモデルを全身麻酔下に使用した。ESD 群では 3cm 以上の ESD
潰瘍を2箇所に作成し、EFTR 群では 3cm 以上の全層壁欠損を胃体部前壁に作成した。
潰瘍・壁欠損部はいずれも Overstitch を用いて潰瘍面・壁欠損部が視認できなくなるま
で閉鎖した。ブタは1週間の生存期間の後、解剖をおこなった。結果:欠損部の一時閉鎖
成功率は ESD 群で85.7%(12/14)
、EFTR 群で100%(3/3)であった。しかし、1週間
後に閉鎖部を観察すると ESD 後潰瘍上の縫合は全て解離していた。一方、EFTR 群の閉
鎖部は全て維持されていた。結論:粘膜のみの縫合は強度に関わらず長期間の維持が難し
く、消化管壁を縫合するには層・層もしくは漿膜・漿膜を合わせる縫合が必要と考えられ
る。
―9―
■ 一般演題①
1.経胃的 NOTES 腹腔内観察における胃粘膜下トンネルの閉鎖法の検討
1)大分大学医学部
消化器・小児外科
2)臼杵医師会立コスモス病院
3)天心堂へつぎ病院
外科
外科
1)
○二日市琢良 、赤木智徳1)、圓福真一朗1)、杉田
吉住文孝2)、白下英史1)、衛藤
諭1)、草野
徹1)、平塚孝宏1)、
剛1)、安田一弘3)、猪股雅史1)、白石憲男1)、
北野正剛1)
【背景・目的】Natural orifice translumenal endoscopic surgery(NOTES)では、安全に
腹腔内に到達し、アクセスルートを確実に閉鎖することが必要である。当科では粘膜下層
剥離術(ESD)の技術を用いた胃粘膜下トンネル法を確立し、経胃的腹腔内観察を行ってい
る。今回、我々はブタを用いて胃粘膜下トンネルの安全性およびアクセスルートの閉鎖法
について検討を行った。
【方法】40kg の雌ブタ18頭を用いた。全身麻酔下に内視鏡的に胃粘膜下トンネルを作成し、
腹腔内観察を行った後、アクセスルートの閉鎖に粘膜クリップを用いた群(n=7)
、トン
ネル内にフィブリングルーを充填した群(n=5)
、閉鎖処置を行わなかった群(n=6)に
分け、手術成績、術後合併症、および病理組織所見について検討した。
【結果】胃粘膜下トンネル法による腹腔内への到達は全例合併症なく行えた。アクセス
ルートの閉鎖に粘膜クリップを用いた群およびフィブリングルーにて充填した群では全例
で腹膜炎の所見はなく、創傷治癒過程は良好であった。閉鎖処置を行わなかった群では汎
発性腹膜炎の所見はなかったものの、1例の粘膜下トンネル作成部分に潰瘍を形成し限局
性の腹膜炎を認めた。
【結語】経胃的 NOTES 腹腔内観察における腹腔内到達法として、胃粘膜下トンネル法は
安全で有効な方法であった。アクセスルートの閉鎖に胃粘膜クリップまたはフィブリング
ルーを用いることでより安全性が向上した。
― 10 ―
2.Non-translumenal な胃全層切除術 NEWS と内視鏡的粘膜縫合
1)慶應義塾大学医学部
腫瘍センター
2)慶應義塾大学医学部
○後藤
1)
低侵襲療法研究開発部門
一般・消化器外科
修 、竹内裕也 、川久保博文2)、佐々木基1)、加藤文彦2)、坊岡英祐2)、
松田達夫2)、松田
2)
諭2)、藤本
愛1)、落合康利1)、堀井城一朗1)、浦岡俊夫1)、
北川雄光2)、矢作直久1)
内視鏡的全層切除術は管腔壁の体腔側に操作が加わることから、NOTES の一つと考え
られている。一方、translumenal な処置を伴う NOTES は腹腔内感染の克服も課題の一
つとして挙げられている。非
孔式胃壁内反切除術(Non-exposed endoscopic wall-in-
version surgery:NEWS)は、軟性鏡と腹腔鏡を用いて経管腔的な操作をすることなく
任意の範囲で胃壁を局所全層切除することが可能な方法として考案され、動物実験を経て
臨床導入された。病変周囲の漿膜筋層を管腔外から腹腔鏡で漿膜筋層のみを切開し、病変
を内反させながら縫合した後、管腔内から軟性鏡で粘膜切開を行って経口的に病変を回収
する本法は、hybrid な手技でありながら translumenal となる瞬間がない。したがって、
NOTES における課題の一つである「感染予防」は理論的にすでに克服していることにな
る。また、腹膜播種の危惧もないため、経管腔的操作による手技では禁忌となる上皮性腫
瘍への適応拡大が期待されている。
さらに我々は、より安全で確実な NEWS の確立を目的として、病変切除後の粘膜を縫
縮する内視鏡的粘膜縫合法(Endoscopic hand-suturing:EHS)を開発した。Throughthe-scope タイプの持針器と逆行防止弁付縫合糸を用いて粘膜を軟性鏡で連続縫合するこ
とにより NEWS 後病変切除部における二層縫合を完成させることが可能となり、より理
想的な手技へと近づくことが期待される。現在、さらに「簡便で確実な縫合」を追求すべ
く開発を継続している。
NEWS の臨床例および EHS の動物実験を動画で紹介するとともに、NOTES 研究で培
われたノウハウを本法に応用できるかを検証する。
― 11 ―
3.共焦点顕微内視鏡を用いた消化管筋層の観察
1)東京慈恵会医科大学
内視鏡科
2)東京慈恵会医科大学
消化器肝臓内科
3)大阪大学
消化器外科学
4)大阪大学
次世代内視鏡治療学
1)
○小林雅邦 、炭山和毅1)、松井寛昌1)、樺
俊介1)、田尻久雄1,2)、高橋剛3,4)、
中島清一3,4)
背景・目的:我々は基礎検討において、神経組織を選択的に染色できる蛍光色素を局所散
布することで GIST や消化管神経叢の共焦点内視鏡(CLE)観察が可能であることを明
らかにした。本研究では前臨床試験として現在臨床使用可能な唯一の蛍光色素であるフル
オレセイン染色下に筋層の生体内観察が可能か生体ブタモデルを用い検討した。方法:全
身麻酔下に、体重約 30kg のブタを2頭使用した。1頭目では、まず、胃体部大彎、小彎、
前庭部前壁の粘膜下層に、ESD の要領で 10mm の人工的空間を作成し、筋層を露出させ
た。次に、CLE プローブを内視鏡の鉗子口から挿入し、筋層に押し当てた状態でフルオ
レセインを静注し、引き続き CLE 観察をおこなった。2頭目では、前庭部前壁に 20mm
の ESD 後潰瘍を作成した後に開腹し、潰瘍底を胃内腔側と漿膜側両面から CLE 観察を
行った。結果:1頭目では、体上部小彎で静注5分後、体部大彎、前庭部では静注15分後
に、間質に漏出したフルオレセインに浮き出される形で、錯綜する筋線維が観察された。
2頭目では残存粘膜下組織の存在により内腔側からの筋組織の描出は困難であったが、漿
膜側はフルオレセイン静注10分後、20分後いずれも筋線維が確認された。結語:フルオレ
セインは細胞内に取り込まれにくいが、間質に漏出することで筋線維の走行を描出した。
また、フルオレセイン静注後、筋層の CLE 観察が可能になるまでの時間は、粘膜描出ま
での時間より長く、観察対象の部位によってばらつきがあった。
― 12 ―
4.婦人科における Pure-NOTES の確立と発展普及に向けて
倉敷成人病センター
婦人科
○黒土升蔵、柳井しおり、高野みずき、中島さおり、海老沢桂子、藤原和子、
羽田智則、太田啓明、福田美香、金尾祐之、安藤正明
NOTES における体腔内への到達ルートとして利用される自然孔として、口や肛門、腟
が挙げられる。中でも腟を利用した NOTES は、腟式子宮全摘術で腹腔内への感染事例
が極めて少ないことが経験的に知られていることから、最も利用しやすい到達ルートとし
て考えられ、すでに外科領域では腟を利用した胆嚢や虫垂摘出等の手術法が臨床応用され
ている。
NOTES では、すべての手術操作を到達ルートのみを介して行う Pure-NOTES(PN)
と、体表に1または 2port を設置して手術操作をアシストする Hybrid-NOTES(HN)に
分類される。当科ではこれまで HN を実施してきたが、今回症例を限定し7例の卵巣腫
瘍 に 対 し、十 分 な informed consent を 行っ た 上 で、自 然 開 口 向 け 内 視 鏡 用 拡 張 器
(GelPOINT Path Transanal Access Platform )を腟に装着し、PN として付属器摘出術
を行った。4例において PN として手術を完遂し、残る3例は内臓の妨害により術野確
保が困難となり、臍より 1port 追加し HN へ移行して手術を完遂した。
婦人科における PN では、骨盤内を観察するために経膣的に挿入した軟性内視鏡を
180°屈曲させるため、患者の股側に座した術者自身の方向にカメラが向けられ、映像が
mirror image となる特殊な環境下で手術を行う特徴をもつ。当科では、実際の腹腔内を
想定した NOTES 専用のドライボックスを作成し、mirror image 下での手術に対応でき
るようトレーニングを行っている。一方、肥満症例や癒着症例における PN では、内臓
の妨害により術野確保が不良な場合、腟側から挿入した鉗子では内臓を十分圧排すること
が困難であり、腹壁より port を追加して HN へ移行しなければならない場合がある。
PN は、腹壁に一切の創がないことから整容性に優れ、早期離床が可能で術後24時間で
洗濯ができるまでに回復しえたケースも経験し低侵襲性にも優れていた。婦人科における
PN では、mirror image や術野確保への対応など課題も残されているが、今回の手術法
を原型として、関連器機や技術の開発により将来発展普及していくことが望ましい。
― 13 ―
5.当科における腹腔鏡内視鏡合同手術導入後の十二指腸粘膜下腫瘍切除の経験
1)東邦大学医療センター大橋病院
外科
2)東邦大学医療センター大橋病院
消化器内科
1)
○長尾さやか 、長尾二郎 、斉田芳久1)、榎本俊行1)、高林一浩1)、渡辺良平1)、
大
1)
絢子1)、永岡康志1)、草地信也1)、北川智之2)、伊藤紗代2)、佐藤浩一郎、
前谷
容2)
近年胃粘膜下腫瘍に対し腹腔鏡・内視鏡合同手術(以下LECS)が選択され、当科でも
13症例を経験している。今回、十二指腸粘膜下腫瘍に対するLECSを経験したので報告す
る。症例は75歳男性。健康診断で異常を指摘、上部消化管内視鏡検査で十二指腸ファー
ター乳頭対側に20mmの粘膜下腫瘍を認めた。生検にてGISTの診断であり十分なICのの
ちLECSを施行した。5ポートにて十二指腸を受動、腫瘍の4方につり上げの固定糸を置
き、ESD手技にて十二指腸全層切開。腫瘍粘膜面が管腔内から露出しないよう腹腔鏡下に
全周切開し腫瘍をEZパースに回収後、十二指腸を短軸方向に縫合閉鎖。内視鏡にて管腔
の狭窄がないことを確認し手術終了とした。出血量は10ml手術時間は296分。実際の手
技を供覧する。縫合不全や狭窄等の合併症は認めなかった。GIST手術の原則として最低
限必要なマージンを確保すること、予防的リンパ節廓清は不要であること、可及的に臓器
機能を温存すること、が挙げられる。胃GISTに対し、内視鏡を用いて胃内から腫瘍の切
離ラインを決定し、腹腔鏡下に切離部位を手縫いで縫合することで胃壁の過剰切除や変形
を避けて機能温存ができる本術式は低侵襲で有用な手技と考えられる。一方十二指腸
GISTは胃と比較して頻度は低いが悪性度が高いことが多く、発見時腫瘍径が大きく進行
例が多いとされ、解剖学的にも腹腔鏡手術は容易ではなく開腹手術が施行されることが多
い。しかし本症例の様に乳頭対側病変であればLECSは安全に施行でき有用であると考え
られた。
― 14 ―
6.Hybrid NOTES による結腸切除術後の経腟的標本摘出法の工夫
立川綜合病院 外科
○蛭川浩史、岡村拓磨、佐藤洋樹、武居祐紀、多田哲也
当科では2011年より経腟的内視鏡、経腟的標本摘出による hybrid NOTES による結腸
切除術を行ってきた。切除標本は癌細胞の撒布を予防するため回収バックに収納し摘出し
た。しかし標本や腫瘍の大きさによっては摘出に難渋する場合があった。NOTES あるい
は NOSE の手技では標本摘出方法の工夫は重要と考える。標本摘出のための当科の工夫
を報告する。
【手術方法】臍に開腹法で 12mm の、左上腹部に 5mm のトロッカーを挿入。鏡視下に観
察しつつ経腟的トロッカーを挿入。以後、腹腔鏡は経腟トロッカーから挿入し、臍と左上
腹部のトロッカーからの操作で完全腔内切離吻合を行った。S状結腸では経腟的内視鏡の
視野では手術は困難で、通常の腹腔鏡下手術を行い摘出のみ経腟的に行った。切除標本の
一端を綿テープで結紮し標本バックに回収した。経腟的に摘出する際は、まず袋の辺縁を
体外に誘導し、標本の一端に結紮したテープを牽引した。標本のテープが見つけられない
場合は、バックを気腹用ガスでふくらませ、ここに腹腔鏡を挿入しテープを検索し牽引し
た。膣切開口は婦人科医師により経腟的に縫合閉鎖した。
【結果】これまで、11例に対し完全鏡視下切除吻合後、経腟的標本摘出を行った。このう
ち拡大結腸右半切除術を行った2例で摘出が困難だった。共に BMI が25以上、腫瘍径は
4cm 以上の大きさだった。6例目より同手技を施行。その後は全例で摘出は容易だった。
【結語】同手技は、標本の一端に綿テープをかけて標本径が最小となる様、長軸方向に牽
引できるようにすること、回収バックをふくらませることにより癌細胞を撒布する事なく、
標本を牽引できることに意義があると考える。同手技は単孔式手術などでも応用可能であ
る。
― 15 ―
7.経腟 NOSE に RPS を融合した完全腹腔鏡下大腸癌手術
厚生連長岡中央綜合病院
○西村
消化器病センター外科
淳、川原聖佳子、河内保之、牧野成人、北見智恵、田島陽介、臼井賢司、
新国恵也
【目的】
腹腔鏡下手術の低侵襲化として Natural orifice specimen extraction があり、NOTES
関連手技と位置づけられている。当院では膣を腹腔へのアクセスルート、および切除標本
のデリバリールートとして用いてきた。腹壁創の減数・縮小への取り組みを報告する。
【方法】
対象は閉経後の経腟分
歴のある女性。局在 C∼Ra の深達度 sSS 以下の癌。臍窩の創
(開排して直径約 20mm)に GelPOINT を装着して2本のポートを集約。後腟円蓋を約
3cm 切開し、Alexis Wound Retractor と FreeAccess を装着して気密を保ち、助手用
鉗子を挿入する。局在 S∼RS ではこれに右下腹部 5mm ポートを追加して、郭清・授動
操作の後、体内で遊離した標本を経腟的に摘出。完全体内吻合を Double stapling technique で行う。最近は、局在 C, A の早期癌ではスコープと助手鉗子を経腟的に挿入し、臍
以外の追加ポートなしで切除から functional end to end anastomosis までを行っている。
術後の合併症、疼痛、再発に関し定期サーベイを行った。
【結果】
23例に試み、全例完遂した。1例は胆嚢摘出を併施。平均手術時間223.5分(172- 300
分)
、出血量 32.7ml(0- 165ml)
。術後在院日数6.1日(4- 11日)
。合併症は創ヘルニア
1例、乳糜腹水1例。1、3、5病日の疼痛スコア(NRS 0∼10)は、平均2.7、2.0、
1.0。12例は、1病日午前の硬膜外麻酔終了後、鎮痛剤を使用しなかった。再発例なし。
【考察】
本手術は安全に施行できた。術後鎮痛効果が良好で、hybrid NOTES に匹敵する低侵
襲性が得られたと考えている。
― 16 ―
8.NOTES 研究を振り返る
大阪医科大学
○朝隈光弘、林
一般・消化器外科
道廣、宮本好晴、廣川文鋭、米田浩二、井上善博、内山和久
[背景]Kalloo が NOTES の概念を提唱した際に、多くの内視鏡外科医、内視鏡医が想像
した未来は、典型的には内視鏡室で鎮静剤投与のみで2時間程度で軟性内視鏡で経口胆摘
が行われ、数時間の経過観察後帰宅する。というところであったと思われる。それから8
年弱が経過したが、残念ながらそのような症例が実現したというニュースは現在のところ
ない。私は、2007年から2009年というまさに NOTES 研究が世界的にもっとも加熱して
いた時期に、フランスのジャックマレスコー教授の IRCAD に留学し主体的に研究に関
わった。今、振り返り、果たして NOTES 研究は敗北であったのかどうか、当時の研究
のビデオを今一度供覧し、今後にどう生かすべきなのかを考えてみたい。
[研究]NOTES 後腹膜経路:経腟的に後腹膜の層に入っていくルートで NOTES でしか
実現しないと思われる。
センチネルノード生検+ESD:ESD の前にリンパ節を生検することで ESD の適応拡大を
図る方法。
胆嚢摘出術:実際の経胃胆摘のビデオを供覧
[まとめ]NOTES が一般的に普及、発達しなかった要因としてよく挙げられる新規機器
の開発の困難さ、がある。確かにそれも一因ではあるが、それだけとも思えない。しかし
ながら、最初に挙げた NOTES のような症例が実現していないからと言って、NOTES
研究が無駄であった、また、これからも無駄であるということは決してない。そのことは
NOTES の Spin off ともいえる、単孔式手術、POEM、LECS、経腟標本摘出、などの現
在の盛り上がりを見ても明らかであり、NOTES は多くの外科医に新たな低侵襲手術を考
えるきっかけとなった。新たな機器開発などを通じて今後もさらに NOTES 研究は必要
であり最終到達目標として大きくは外れておらず、NOTES の機材開発がさまざまな分野
の機材開発に feedback していくものと考えられる。
― 17 ―
9.胃 GIST に対する内視鏡的全層切除術(endoscopic full-thickness
resection:EFTR)の成績
杏林大学
外科
○阿部展次、竹内弘久、得津敬之、橋本佳和、大木亜津子、長尾
玄、森
俊幸、
杉山政則
(目的)胃 GIST に対する内視鏡的全層切除術(endoscopic full-thickness resection:
EFTR)の手技と手術短期成績を供覧する。
(対 象)対 象 は EFTR を 行っ た 胃 内 突 出 型 の 胃 GIST 症 例 6 例。平 均 腫 瘍 最 大 径 は
24mm(16-35mm)
。
(EFTR 手技)経鼻挿管全身麻酔下、炭酸ガス送気下で行う。ESD 手技に準じて進め、腫
瘍に切り込まないよう筋層を切離。途中、鰐口鉗子で腫瘍部位を把持牽引し、胃内にて漿
膜を確認しながら全層を切除。胃壁欠損部は牽引で直線化したうえ、切除中あるいは切除
後にクリップにて筋層閉鎖する。標本は経口的に回収。内視鏡的に閉鎖困難であれば腹腔
鏡下に縫合閉鎖する。
(成績)平均手術時間は181分、平均出血量は 68ml であった。3例(50%)で内視鏡的ク
リップ閉鎖が困難であり、腹腔鏡下縫合閉鎖を行った。内視鏡的クリップ閉鎖が困難で
あった症例では、胃壁欠損部漿膜面に胃周囲間膜の付着が見られず、胃内脱気が起こり、
視野不良による閉鎖操作が困難であった。一方、内視鏡的クリップ閉鎖が可能であった症
例では、胃壁欠損部が胃周囲間膜によって裏打ちされており、脱気が起こらないか軽微で
あり、安定した視野で閉鎖操作が可能であった。いずれの症例も術後合併症は認めず、術
後平均在院期間は8日であった。
(結論)EFTR では胃内腔からの内視鏡処置を最優先させるため、必要最小限の切除ライ
ン設定が可能である。内視鏡的クリップ閉鎖が可能であれば、腹腔鏡操作すら必要ない究
極の低侵襲治療になり得るが、その成功の可否は腫瘍部位とその漿膜面胃周囲間膜付着部
との位置関係に依存してしまう。
― 18 ―
■ 一般演題②
1.NOTES 下食道吻合用新デバイスの開発
東京大学大学院医学系研究科
○石丸哲也、畑中
小児外科学
玲、高澤慎也、小西健一郎、岩中
督
【目的】当科では食道閉鎖症に対する NOTES 下根治術の開発に取り組んできた。今回、
NOTES 下食道吻合をより簡便に実現するための新デバイスを製作し、実現可能性を ex
vivo にて検証した。
【方法】オーバーチューブ先端に取り付けが可能で EVL デバイスのように輪ゴムを放出
する結紮用デバイスと、バルーン拡張が可能な金属ステントを製作した。ブタから摘出し
た3検体(食道+胃)に以下の術式を行った。
1.食道中部を離断して両断端を縫合閉鎖し、食道閉鎖モデルとする。
2.先端に結紮用デバイスを装着したオーバーチューブ(新デバイス)を上部食道盲端
近傍まで進める。
3.上部食道に内視鏡を挿入して上部食道盲端を切開後、内視鏡を食道外へ進めて下部
食道盲端を切開する。
4.軟性内視鏡用縫合デバイス(BraceBarTM)を用いて上部食道盲端に牽引用の糸を
留置する。
5.開発したステントをバルーンカテーテルに装着して下部食道内へ挿入したあと、ス
テントをバルーンで拡張する。
6.内視鏡を上部食道内へ戻し、牽引糸を把持する。
7.牽引糸とバルーンカテーテルを牽引して上部食道盲端を内反させ、下部食道を上部
食道内へ重積させる。
8.ステントの部位で新デバイスを用いてゴム結紮する。
【結果】全検体で手技に成功し、手技時間の中央値は24分(19-25分)であった。また、吻
合部の開存を全例で確認した。
【考察】本法は実現可能であり、手技時間は十分と思われた。長期生存動物実験による吻
合の信頼性評価が今後の課題である。
― 19 ―
2.生体吸収素材を用いた腹腔鏡補助下 EFTR の開発
∼SM 胃癌に対するセンチネルナビゲーション EFTR の開発∼
1)金沢医科大学
消化器内視鏡学
2)金沢医科大学
一般消化器外科学
1)
○北方秀一 、伊藤
透1)、木南伸一2)、小坂健夫2)
【緒言・目的】早期胃癌において sentinel node consept が成り立ち、SN 陰性であれば
lymphatic basin 以外の郭清は省略可能である。我々はこれまでに SN 陰性 SM 胃癌に対
する腹腔鏡補助下内視鏡的胃全層切除術(LA-EFTR)の動物実験および臨床治験につい
て発表してきた。内視鏡的に切除することは病変の範囲を確認しながら切除できる点で理
想的であるが、視野の確保(
孔により胃が虚脱)や胃液の流出による腹腔内感染の危険
性の点からデメリットがあった。今回、これらの問題点を解決するため、生体吸収素材
シートを用い、胃の虚脱、胃液の流出を防ぐ方法を試みた。
【方法】生体ブタを用い、腹腔鏡下に仮想病変の漿膜側に、生体吸収素材であるポリグリ
コール酸不織布(ネオベール )を置き、フィブリノゲン、トロンビン液(ボルヒール )
を同時に散布し接着させ、接着強度、胃内腔からの空気の漏出の程度を調べた。さらに、
強度を高めるためシリコンシートを挟み、同様の実験を行った。
【結果】全層切開後も、胃は虚脱せず胃内の観察が可能であった。また、内腔から押して
もはがれることはなかったが、病変切除後、腹腔鏡用鉗子でネオベールをはがし、回収す
ることが可能であった。間にシリコンシートを挟むことで、ネオベールの損傷を防ぎ、安
定した視野でスムーズに切除が可能であった。
【結語】漿膜にシートを貼ることで、胃の虚脱、胃液の流出を抑え、安定した視野で胃内
腔からの全層切開が可能であった。病変の範囲を確認しながら切除を行うため、必要かつ
最小限の切除にとどめることが可能となり、縮小手術の1つとして、有用な治療法となり
うると考えられた。
― 20 ―
3.軟性内視鏡操作支援ロボット開発の課題と対策
産業医科大学
第3内科学
○久米恵一郎
【背景】次世代軟性内視鏡システムとして、Direct Drive System や EndoSAMURAI 等
のプラットフォームが開発されているが、これらは内視鏡先端部で実際に治療の手足とな
る鉗子群とそれらの操作装置で、通常の内視鏡操作を既存のハンドル操作に依存している。
一方、円滑な臨床の実現には、内視鏡の先端部が如何なる部位にも発生しうる病変に自在
に到達可能とすることが必須と考え、近隣大学工学部との医工連携により1)現行の用手
的内視鏡操作からのスムーズな移行と2)内視鏡先端を当該病変部位へ到達させる内視鏡
本体の操作を可能とするマスタスレーブ型ロボットの開発に着手した。
【1号機】現行の軟性内視鏡操作の4要素、即ち1)上下アングル、2)左右アングル、
3)回旋、4)スコープの挿脱の4軸を2つのジョイスティックで操作するよう構成した。
まず、この1号機を用いて大腸内視鏡トレーニングモデルにおける盲腸までの挿入実験と
豚 胃 を 用 い た ESD を 実 現 し た(World J Gastrointest Endosc. 2011 : 3 ; 145-150,
Endoscopy 2012 : 44 ; E399-E400, 特願 2009-129643)
。
【2号機】1号機では、駆動系を内視鏡スコープに直付けしたため緊急時に取り外して従
来の用手的操作を可能にする安全機構がなかったので、現行の内視鏡に容易に着脱できる
操作支援装置として完成させた(特願 2010-107658)
。
【3号機】消化管、特に複雑に屈曲する大腸に挿入する軟性鏡の操作は、挿入される消化
管からの反力とスコープ自体のしなりを合わせた力覚を前提に行っている。この力覚をマ
スタ装置で感じ、術者がマスタ装置に加えた力量が等量で内視鏡の先端に伝達する双方向
の力覚フィードバック機能を搭載した3号機(特願 2012-060468)のプロトタイプを開発
した。
― 21 ―
4.新規洗浄吸引一体型カテーテル「エンドシャワー 」の臨床評価および使
用経験(NOTES 領域への応用を目指して)
1)大阪大学
消化器外科
2)大阪大学
次世代内視鏡治療学
1)
○宮崎安弘 、広田将司1), 2)、高橋
瀧口修司1)、森
剛1)、山崎
誠1)、黒川幸典1)、宮田博志1)、
正樹1)、土岐祐一郎1)、中島清一1), 2)
【背景】我々が開発した新規洗浄吸引一体型カテーテルである「エンドシャワー 」は消
化管内視鏡における3つの基本操作(洗浄、吸引、色素撒布)を1本のカテーテルのみで
行える、現状では世界唯一のデバイスである。また、本カテーテルを用いれば、腹腔鏡下
手術における滅菌水を用いた洗浄吸引操作と同様の処置が消化管管腔でも可能となり、本
カテーテルの臨床応用範囲は広いと考えられる。【目的】エンドシャワー の臨床評価お
よび使用経験について報告する。【対象と方法】①上部消化管内視鏡検査時に使用し、ス
コピストによるエンドシャワー 臨床評価を、以下の項目について3段階(満足・普通・
不満)で行った。1)鉗子孔への挿入しやすさ
出・洗浄力
4)使用時の視野
鏡からの抜去しやすさ
度
②胃潰瘍
2)目的部位への留置しやすさ
5)吸引時のつまり
6)使用中の組織損傷有無
8)注射シリンジとの接続および洗浄・吸引操作
3)吐
7)内視
9)総合的満足
孔に対する腹腔鏡下手術時において術中内視鏡時にエンドシャワーを使用
した。
【結果】①計34名の患者に使用した。 満足あるいは普通 と答えた割合はエンド
シャワー性能(吐出・洗浄力、使用時の視野、吸引時のつまり、使用中組織損傷有無)に
ついてはいずれも85%以上であり、留置しやすさ、抜去のしやすさ、シリンジ操作につい
ては95%以上であった。挿入のしやすさについては76%で、総合的満足度は満足53%・普
通41%・不満6%であった。②腹腔鏡下に
孔部を確認しながら、滅菌水を用いた胃内洗
浄を行い、十分な洗浄が可能であった。【まとめ】鉗子孔への挿入性にやや問題を認めた
が、洗浄・吸引・色素撒布いずれの操作においても満足度の高い臨床評価が得られた。同
時に、滅菌水を用いた洗浄も可能であり、軟性内視鏡を使用する NOTES 領域において
も、本カテーテルはその効果を発揮できる可能性が示唆された。
― 22 ―
5.経膣 Hybrid NOTES 胆嚢摘出術の手技の工夫
1)慶應義塾大学医学部
外科
2)慶應義塾大学医学部
1)
婦人科
1)
○門多由恵 、和田則仁 、板野
阿部雄太1)、八木
洋1)、北郷
理1)、有馬宏和2)、片岡史夫2)、日比泰造1)、
実1)、篠田昌宏1)、北川雄光1)
目的:今回我々は、臍部の補助ポートを使用した経膣 Hybrid NOTES 胆嚢摘出術を施行
し、良好な結果を得たので報告する。
方法:本臨床研究は当院倫理委員会および NOTES 研究会の承認を得たプロトコールで実
施された。症例は以前より胆嚢結石を指摘されていた70代の女性。食事に伴う頻回な胆石発
作を認めていた。まず、臍内を 5mm 縦切開してオプティカル法により 5mm トロッカーを
挿入した。気腹後、その傍に 2mm のトロッカーを挿入した。次に同 5mm トロッカーから
軟性腹腔鏡を挿入し、後膣円蓋から 5mm トロッカーを2本挿入した。軟性腹腔鏡と助手用
の把持鉗子を膣ポートから挿入し、術者右手のエネルギーデバイスおよび左手の細径把持
鉗子は臍ポートから挿入した。胆嚢摘出の手技は単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術に準じて行い、
エネルギーデバイスとして電気メスおよび超音波凝固切開装置を用いた。切除した胆嚢は
組織回収袋に収めて膣ポートから摘出した。膣トロッカー抜去部位は婦人科医により直視
下に縫合閉鎖された。使用器具は承認されたもののみで、保険診療内で実施可能であった。
考察:膣腔が狭小でありポート挿入に難渋したため、今後は術前評価によりエストロジェ
ン膣剤等の工夫が必要と考えられた。また、術者左手用 2mm 把持鉗子の把持力が弱く胆
嚢の牽引に難渋したため、新たなデバイス開発等を要すると考えられた。一方で膣ポート
から挿入した助手用の把持鉗子は胆嚢の拳上および術野展開に有効であった。本症例の術
後経過は臍部創の整容性を含め極めて良好であり、また、従来型および単孔式腹腔鏡下胆
嚢摘出術に比較し疼痛も軽微であり、有用な術式であったと考えられた。
結語:手術に伴う腹壁の損傷を最小限に留め、より優れた整容性を有する本術式はアウト
カムとしては NOTES に近いものといえる。今後、本症例の経験を踏まえた鉗子類や機
器の開発、手技の更なる工夫により、Pure NOTES での胆嚢摘出術を目指していくこと
が望まれる。
― 23 ―
6.胃粘膜下腫瘍に対する LECS 25例の成績
1)虎の門病院
消化器内科
2)虎の門病院
消化器外科
1)
○布袋屋修 、貝瀬
満1)、春田周宇介2)、篠原
尚2)、宇田川晴司2)
【背景】胃粘膜下腫瘍(SMT)の術前診断は通常の生検はもとより、EUS-FNA にてもし
ばしば術前に病理組織診断が得られないこともある。現在では経時的サイズ増大や表面デ
レの形成などの肉眼所見に、EUS や CT などによる画像診断を加味して治療適応を決定
し、外科的切除後に最終確定診断が確定することも多かった。しかし近年、胃 SMT に対
す る 内 視 鏡 的 粘 膜 下 層 剥 離 術(ESD)の 応 用 や、腹 腔 鏡 内 視 鏡 合 同 胃 局 所 切 除 術
(LECS)が開発され、胃温存あるいは局所切除範囲を最小限にすることが可能となり、
より低侵襲で確実な治療として導入する施設も増加している。
【目的】胃 SMT に対する LECS の成績と内視鏡側の観点からの工夫を報告する
【対象と方法】当院における胃 SMT に対する治療は GIST 診療ガイドラインのアルゴリズ
ムに沿って、絶対的手術適応、相対的手術適応(鏡視下手術を含む)
、経過観察に分け、相
対的手術適応と判断した病変のうち、術前の EUS にて病変が筋層由来で内腔発育型のため、
腹腔側からのみでは切除境界が不明なものや、壁外発育型でも、LECS によって切除範囲
を最小限にすることが可能(例;噴門側胃切除術の回避が可能)となる病変を適応とした。
【成績】2011年2月∼2013年3月までに当院で LECS による胃局所切除を施行した症例は
25例。腫瘍径は平均腫瘍径 32.3mm(12-72mm)
、断端陰性一括切除率100%、切除マー
ジンは 5.3mm(1-13mm)
、手術時間は163分(77-323分)でうち ESD 処置時間は25.2分
(8-81 分)で あっ た。病 理 結 果;GIST 16(low 15 high 1)
、myoma 5、迷 入 膵 2、
schwannoma 1、海綿状血管腫1であった。噴門より 2cm 以内の症例5例はすべて噴門側
胃切除を回避できた。全例、鏡視下に手術を完遂し、平均在院日数は10.5日(8-18日)
、
術後合併症は1例に縫合不全を認め、再手術を行った。平均観察期間
14.5月(3-24月)
において、通過障害、逆流症状、stasis いずれも認めず、投薬治療を行っている症例も認
めていない。
【考察】胃 SMT に対する LECS は内視鏡エキスパートと腹腔鏡エキスパートの協同によ
り良好な成績が得られ、臓器温存と根治性を両立した優れた治療法である。LECS の成功
には内視鏡の利点および腹腔鏡の利点を最大限に生かした役割分担とストラテジーが重要
であると考えられた。
― 24 ―
7.当院における胃粘膜下腫瘍に対する腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)の検討
1)KKR 札幌医療センター斗南病院
2)KKR 札幌医療センター斗南病院
1)
1)
外科
消化器内科
○山本和幸 、北城秀司 、大場光信 、川原田陽1)、森
加藤航司1)、小野田貴信1)、境
1)
綾乃1)、岩城久留美1)、
剛志1)、鈴木善法1)、川田将也1)、大久保哲之1)、
奥芝俊一1)、加藤紘之1)、住吉徹哉2)、近藤
仁2)
【はじめに】胃粘膜下腫瘍に対する腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)は、胃壁の切除を最
小限とし、機能温存が可能な術式である。当科ではこれまで胃粘膜下腫瘍に対する LECS
を21例経験した。特に delle を有する症例に対しては、播種の危険性を考慮し、胃壁を開
放することなく切除が可能となるよう、漿膜筋層を腹腔鏡下に切開した後に、腫瘍を切除
する術式を採用した。腫瘍径が大きい内腔突出型の腫瘍に対しては、全層切開した後に、
胃壁を吊り上げることで、播種の予防を行ってきた。また、腹壁の破壊を最小限とするた
め、単孔式手術も導入し、7例に施行した。これまでの症例を検討し、報告する。
【結果】
LECS を施行した症例の平均年齢は62.5歳、男女比は 11:10、平均手術時間は163.4分、
平均出血量は 10.1ml、平均腫瘍径は 34mm、平均在院日数は9日であった。合併症は1
例に胃内容排出遅延を認めたのみであり、概ね良好な結果であった。単孔式手術を施行し
た症例でも、合併症や出血量の増加を認めなかった。現在のところ、いずれの症例にも播
種再発は認めていない。【結論】LECS は安全に施行可能であり、機能温存の面で有用な
術式である。また腹壁の破壊を最小限とした単孔式手術は今後、NOTES への応用の面で
も有用であると考えられた。
― 25 ―
8.細径鉗子と natural orifice specimen extraction(NOSE)による直
腸癌に対する究極的低侵襲手術
国立がん研究センター東病院
大腸外科
○塚田祐一郎、伊藤雅昭、齋藤典男
抄録本文:
【目的】細径鉗子および trans-rectal specimen extraction の手技を用いた低侵襲な腹腔鏡
下直腸切除術の手術手技を開発し、その成績を評価する。
【手術手技】2mm または 3mm の細径鉗子を使用し、直腸の剥離受動および血管処理を一
般的な腹腔鏡下低位前方切除術と同様に施行する。肛門側腸管切離の際に、腫瘍より肛門
側で直腸をクランプし直腸内洗浄施行。腫瘍より少なくとも 2cm 肛門側の直腸壁を超音
波凝固切開装置を用いて離断。術者は肛門側へうつり、肛門をローンスターリトラクター
で開大、標本側の直腸断端を直視下に縫合閉鎖。その縫合糸を牽引することで切除標本を
残存直腸断端を経由して体外に誘導し、口側腸管を切離し標本を摘出。口側腸管断端に
サーキュラーステープラーのアンビルヘッドを装着し腹腔内に環納。残存直腸断端をタバ
コ縫合で閉鎖後、術者は再び腹腔側に戻り、腹腔鏡下に single stapling technique(SST)
で腸管吻合する。
【方法】この手術手技を施行した5例の患者(直腸癌または直腸カルチノイド)の手術お
よび術後の成績を評価した。
【結果】手術関連死は認めず、全ての患者に対し R0 手術が施行された。平均手術時間270
分、平均出血量 100ml。術後縫合不全を1例に認めたが保存的に軽快した。この手術の最
大創長は 10mm 以下であり、その他の創は 2-3mm であった。患者は軽い創痛および小さ
な創に満足していた。
【結論】細径鉗子と NOSE 手技を用いた腹腔鏡下直腸切除術は実現可能で低侵襲な手術手
技である。
― 26 ―
9.経直腸 NOSE+RPS の工夫と経直腸 NOTES への応用の可能性
1)熊本中央病院
2)熊本再春荘病院
外科
外科
1)
○外山栄一郎 、玉置裕香1)、吉田
泰1)、村野武志1)、那須二郎1)、川田康誠2)、
久保田竜生2)、大原千年2)
近年新たな低侵襲手術の手技として ReducedPortSurgery や NeedleScopicSurgery が
注目されている。共通の目的は腹壁破壊を最小限度とすることであり、これらの手技に自
然管腔からの標本摘出(NOSE)を加えることでより NOTES に近い低侵襲性が得られる
可能性がある。2012年より左側結腸/直腸病変に対して経直腸 NOSE を併用 RPS を14例
に施行し、良好な経過を得ているのでその手技につき報告する。
臍よりオプティカル法にて 5mm ポートを留置し、腹腔鏡観察下に右手用 5mm および
左手用 3mm ポートを挿入する。手術はカメラ助手および術者のみで行い、助手の鉗子は
使用せず臓器の牽引にはエンドグラブを用いる。型通りの廓清・授動が終了したら口側お
よび肛門側の切離予定線を全周に剥離し、ガットクランパーにて腸管を緊縛して直腸を
2∼3L にて十分に洗浄した後に肛門側切離線を開放する。肛門からウンドリトラクターを
誘導し、管腔を確保した後に口側腸管を切離して腸管を離断。口側腸管に体内でまつり縫
いを行い、肛門から挿入した自動吻合器をオープンとしてアンビルを挿入固定し、一旦本
体を抜去する。標本を摘出する際には口側断端から回収し、ウンドリトラクターを口側に
拳上して管腔を最大限に利用することがコツである。肛門側腸管の閉鎖は反転して自動縫
合器で行って DST で再建するか、体内で巾着縫合を行ってシングルステープリングで再
建する。直腸病変で反転が可能なものは通常の反転法を行い、反転腸管を切開してアンビ
ルを腹腔内に挿入して同様に DST で再建する。
今日まで良性3例、悪性11例にこの手技を行い、腫瘍の占拠部位は下行結腸までは可能
であった。1例に minor leak を認めた以外は大きな合併症を経験していない。術後に鎮
痛剤を使用した患者は3例のみであり、臍部痛を訴えた症例はなかった。
直腸ルートは性差のない普遍的管腔であり、今後 NOTES への応用も期待される。
― 27 ―
■ 特別企画:NOTES 研究会の総括「Quo Vadis?」
1.NOTES が開く内視鏡医の未来
1)東京慈恵会医科大学
内視鏡科
2)東京慈恵会医科大学
1)
内科学講座
消化器肝臓内科
1), 2)
○炭山和毅 、田尻久雄
一時の世界的な NOTES ブームにより、NOTES という言葉は本邦の内視鏡医にも広
く認知されるようになった。しかし、消化器内科を背景とする多くの内視鏡医にとって、
実際に胆嚢や虫垂切除を実施することは困難で、社会的需要も低い。一方で、NOTES の
魅力的な no scar surgery の概念は、医師のみならず、医療機器産業をも大いに刺激し、
軟性内視鏡領域の技術開発に飛躍的進歩をもたらした。例えば、内視鏡医にとって長年の
夢であった、内視鏡的消化管全層縫合器の開発は、NOTES の出現により一層加速化され
た。さらに、消化管壁を破り消化管外へ出た経験は、内視鏡医の関心対象を消化管表層か
ら、より深層へと押し広げた。我々は、粘膜下層にトンネルを作成すれば、消化管深層や
消化管壁外への内視鏡の安全なアクセス経路として活用できると考え submucosal endoscopy mucosal flap safety valve(SEMF)を考案した。SEMF では、例え粘膜下層内で筋
層を傷つけたとしても、トンネルを覆う被蓋粘膜によって簡単にシーリングできる。この
SEMF の開発は、現在、国際的に普及しつつある、粘膜下層トンネル内でアカラシアの
病的に肥厚した内輪筋のみを選択的に切開する per oral endoscopic myotomy(POEM)
開発の礎となった。さらに現在では、SEMF を応用し、粘膜下層や筋層由来の粘膜下腫
瘍のような疾病を、内視鏡的に診断する方法の開発が試みられている。
― 28 ―
2.外科医から見たこれからの NOTES の行く末
東邦大学医療センター大橋病院
外科
○斉田芳久
外 科 医 の 立 場 か ら 特 別 企 画、
「主(NOTES)よ、何 処 へ 行 き た も う(Quo Vadis,
Domine?)
」の問いかけに答えなければいけません。NOTES は2004年に報告されてから
内視鏡外科に続く新しい医療技術の出現と期待され世界中で研究が開始、われわれも2009
年には消化器内科と TOHO-NOTES チームを作り NOTES 研究会の承認上で全層胃壁閉
鎖術の動物実験を行い(東邦医会誌 2010)
、既存の機器で十分な胃壁の閉鎖が可能だとの
良好な結果からすぐにでも臨床応用への発展を期待した。実際に多くの施設で動物実験後
に NOTES 関連の手技が臨床応用されたが、現在実際に広く臨床応用をされているのは
Laparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery:LECS(ProgDigEndosc 2011)およ
び Per-Oral Endoscopic Myotomy:POEM である。またコンセプトから派生した手術が
単孔式や Needlescopic surgery などである。これらは NOTES 関連手技ではあるが新し
い管腔から
破した軟性内視鏡で手術を行う本来の NOTES とは言い難い。外科医の立
場からは十分に NOTES の臨床応用が出来るだけの研究は行われたのにと残念な思いが
するが、結局は NOTES 用の内視鏡がないことがすべての原因と思われる。腹腔と管腔
いずれにも使用可能な内視鏡が開発されれば Breakthrough するのではないか?いまでも
非常に期待している。内視鏡外科手術の出現で患者さんに対する低侵襲に対する取り組み
を真剣に始めた外科医がこれからどのように低侵襲を発展していくのか?その答えは
NOTES のコンセプトにあり、これからも輝き続けていくことと信じている。Aperi portam possibilitatis tuae, tuo proprio lumine comitatus.(可能性の扉を開け、汝自身の光に
付き添われて)
― 29 ―
3.研究会事務局の立場から
1)天心堂へつぎ病院
2)大分大学医学部
外科
消化器・小児外科
3)大分大学長
○安田一弘1)、白下英史2)、猪股雅史2)、北野正剛3)
NOTES 研究会は日本内視鏡外科学会と日本消化器内視鏡学会による NOTES 二学会
合同委員会が基盤となって、本邦の NOTES 研究を効率的かつ安全に進めるために2007
年に設立された。NOTES 研究の特徴のひとつは開発の当初から外科医と内視鏡医が協力
して研究を進めてきたことであり、研究会は両学会を代表してこの分野の研究を促進して
きた。
これまでの主な活動は、年に一度の研究会の開催に加えて、臨床研究の評価・登録制度
の確立、研究助成金制度の設立、NOTES 白書の発表、ハンズオンセミナーの開催などで
ある。カンファレンスや研究会では技術開発者も含めて検討を行い、産学共同研究の基盤
作りを進めてきた。臨床研究のレジストリーには、経胃的腹腔内観察や経腟的胆嚢摘出術、
経腟的胃局所切除、腹腔鏡補助下内視鏡的胃全層切除、POEM など8術式が登録されて
おり、これまでの総症例数は532例である。研究助成金制度においては、2010年から毎年
3研究、各研究100万円の助成を行っており、本年度の助成課題は本研究会で発表される
予定である。2008年に報告された NOTES 白書は概念や用語の解説、倫理規定などとと
もに本邦の研究事情を考慮した基礎および臨床研究の指針が盛り込まれ、ガイドラインと
して活用されてきた。
NOTES 研究会が進めてきた内科系と外科系学会の協力体制の確立や産学共同研究の推
進、そして臨床例の登録システムなどは、今後も低侵襲内視鏡治療の発展に関わるさまざ
まな研究に生かされていくものと思われる。
― 30 ―
4.学産共同開発に対する企業側からの提言
オリンパスメディカルシステムズ
第2開発本部
○斉藤吉毅
2006 年 に 日 本 内 視 鏡 外 科 学 会 と 日 本 消 化 器 内 視 鏡 学 会 に よ る 二 学 会 合 同 委 員 会
Working Group が発足され、これまで、数々の取組みがなされてきた。
弊社(オリンパスメディカルシステムズ(株))は、賛助会員としてこの活動に参加し、
NOTES の基礎研究と臨床応用に向けた検討を続けてきた。特に、NOTES 白書(2008
年)にて掲げられた7つの課題のうちの1つである、Multitasking Platform の開発にお
いてはプロトタイプ(EndoSAMURAITM)を製作し、NOTES 研究の一翼を担ってきた。
今回、Multitasking Platform(EndoSAMURAITM)開発の経過を報告し、その開発にお
ける課題/問題を報告する。加えて、この活動中に経験した学産共同開発の枠組みに対し
て、企業サイドからの提言をしたい。
1.EndoSAMURAITM の開発経過とその成果
2.学産連携活動における問題点
3.NOTES の今後に対する弊社の期待
― 31 ―
5.一医療機器 Company の取り組み
コヴィディエンジャパン
メディカルアフェアーズ
○村山史雄
内視鏡外科が普及した今日も、より低侵襲・高い外科治療効果を求めて、Advanced
Minimum Invasive Surgery (A-MIS)の研究続けられています。
当社は低侵襲医療を目指す機器 company として、2007年に研究者の協力を得て30人超
の ス タッ フ を 擁 す る A-MIS 組 織 を 発 足 さ せ ま し た。こ の 組 織 は Natural Orifice
Translumenal Endo-Surgery (NOTES)と Single Incision Laparoscopic Surgery (SILS)
を中心に検討し推進する組織でした。
Advisory Board、Customer Survey、Pre-clinical Study 等を行い、デバイスを模索し
ました。この2つのイノヴェーションに使うデバイスは平行的に開発が進められ、技術的
に Feasibility の高かった SILS 機器の経験の上に、NOTES 機器の開発を行ってきました。
日本では2009年の第1回 NOTES 研究会から、賛助会員として参加させていただき、研
究者の方々から多くの情報を頂き、本社での開発の参考とさせて頂きました。
新しい技術を臨床適応する場合、操作可能なデバイスの開発、臨床使用承認、その後の
臨床評価、技術指導・教育が必要です。さらに開発を効率的に行うには、それらの統括が
重要と考えられます。Covidien はそれぞれに関わる専門部署を統括する Medical Affairs
(MA)を約5年前より強化し、日本にも2年前に MA を配置しました。安全、効果的、
低侵襲、経済的な技術をサポートする機器を供給していくことが我々の使命であり、今後
も低侵襲手術に対する見識の高い NOTES 研究者の方々に、常に情報を頂き開発を進め
てきたいと考えています。
― 32 ―
■ 特別講演
Flexible robots and related technologies for natural orifice translumenal endoscopic surgery
Chair, University Medicine Cluster ; Head, Department of Medicine ;
National University Health System, Singapore
Khek-Yu Ho
The concept of scarless natural orifice transluminal endoscopic surgery (NOTES) holds
much promise for both surgeons and patients. Yet, progress in NOTES has been sluggish,
with advancement impeded by the lack of suitable endosurgical equipments for its safe
implementation. Unlike conventional surgical approaches, NOTES requires all surgical
tools to be passed down through a narrow conduit and operated within the confines of
the peritoneal cavity. It thus requires an endosurgical system much more capable than
the ones presently in use ― one that can support stable, precise, yet highly dextrous
execution of surgical instruments. To meet the higher technical demands, innovators
have come up with several enhanced endoscopy systems. These include multi-tasking
endoscopic systems such as the Incisionless Operating Platform, the Endosamurai, the
Anubis-scope, and the Direct Drive Endoscopic System, among others, as well as novel
robotics-enhanced endosurgical system such as the MASTER-SPACE. Most of the former
new equipments were designed upon existing endoscopy platforms with unique new
features to support more dextrous performance of specific surgical tasks in endoscopic
surgery. In contrast, the MASTER-SPACE incorporates robotics technology, enabling a
transformative change in the way endoscopic surgery is performed. By incorporating
robotics, it addresses most of the critical technical constraints present in NOTES today
and allows surgery to be performed by the operator remotely, through a human-machine
interface.
― 33 ―
― MEMO ―
― 34 ―
広告掲載・協賛会社一覧
□ 有限会社アサヒバイオメッド □ 大鵬薬品工業株式会社
□ 味の素ファルマ株式会社 □ 中外製薬株式会社
□ アステラス製薬株式会社 □ 株式会社ツムラ
□ アストラゼネカ株式会社 □ テルモ株式会社
□ 株式会社アムコ □ 東レ株式会社
□ イーエヌ大塚製薬株式会社 □ 株式会社トップ
□ エーザイ株式会社 □ ニプロ株式会社
□ エム・シー・メディカル株式会社 □ 日本メディカルネクスト株式会社
□ 大塚製薬株式会社 □ ノバルティスファーマ株式会社
□ 小野薬品工業株式会社 □ 株式会社八光
□ オリンパス株式会社 □ ファイザー株式会社
□ 科研製薬株式会社 □ 富士フイルム株式会社
□ コヴィディエンジャパン株式会社 □ 扶桑薬品工業株式会社
□ 小西医療器株式会社 □ 株式会社プロシード
□ サノフィ株式会社 □ 宮野医療器株式会社
□ ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 □ 村中医療器株式会社
□ ゼリア新薬株式会社 □ 株式会社メディコン
□ センチュリーメディカル株式会社 □ 株式会社ヤクルト本社
□ 大衛株式会社 □ 山科精器株式会社
□ 大正富山医薬品株式会社 □ CSL ベーリング株式会社
(50音順 2013年11月18日現在)
― 35 ―
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Challenge & Realize
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〒693-0024
〒761-0301
〒465-0024
〒113-0034
〒650-8677
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神 戸 市 須 磨 区 弥 栄 台 2 丁目1 2−1
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姫路市三左衛門堀西の町7番地
明 石 市 魚 住 町 住 吉 2 丁目1−3 3
丹波市柏原町上小倉152−1
豊 岡 市 正 法 寺 4 6 − 2
尼 崎 市 水 堂 町 3 丁目1 5−1 4
吹 田 市 岸 部 中 2 丁 目 2 − 1 3
大阪市福島区吉野5丁目5−9
東 大 阪 市 菱 屋 東 2 丁目1 4−2 0
堺 市 西 区 山 田 2 丁 2 7 − 2
和 歌 山 市 秋 月 4 1 2 番 地 の 1
京都市南区上鳥羽南中ノ坪町20番地
京都市伏見区竹田中川原町381番地
舞 鶴 市 字 倉 谷 1 5 5 5 番 地の4
奈良市 西 九 条 町 2 丁目1 0−6
橿 原 市 醍 醐 町 1 3 2 番 地 1 1
岡 山 市 南 区 新 保 1 3 0 7 − 1
広 島 市 西 区 井 口 5 丁目2 3−1 5
福 山 市 南 蔵 王 町 3 丁目1 2−1 3
鳥 取 市 秋 里 1 3 5 6 番 地
米 子 市 流 通 町 1 5 8 − 1 9
出 雲 市 塩 冶 神 前3丁 目 8 − 6
高 松 市 林 町 2 5 3 8 − 8
名 古 屋 市 名 東 区 本 郷1丁 目1番 地
東 京 都 文 京 区 湯 島 2 丁 目 1 6 −7
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姫路市三左衛門堀西の町7番地
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(078)
302−7001
(代表)
〒135-0062 東京都江東区東雲一丁目7番12号
2012年10月作成
2012年11月1日より、
「 小林メディカル株式会社」は
「日本メディカルネクスト株式会社」
として新たな一歩を踏み出しました。
今後とも、宜しくお願い申し上げます。
第 7 回 NOTES 研究会事務局:
大阪大学臨床医工学融合研究教育センター
次世代内視鏡治療学共同研究部門(プロジェクト ENGINE)
中島 清一
〒565−0871 大阪府吹田市山田丘 2−1 産学連携本部A棟 408−2
TEL & FAX:06−6876−0550
担当:次田、渡辺
第7回NOTES研究会
プログラム・抄録集
当番世話人
2013年