音声認識を用いた児童相談支援システム

音声認識を用いた児童相談支援システム
福井工業高等専門学校
電子情報工学科5年
山田 章博
1、ビジネスプラン策定背景
最近、中学生の自殺などのニュースをテレビや新聞でよく見かける。その原因はやは
りその人に何か悩みがあり、それを自分ひとりで抱え込んでしまうことにあると私は考
える。学校や家庭などの環境についての悩み、それは人それぞれである。悩みを自分ひ
とりで抱え込まずに相談することができればこのようなニュースを見ることは今より
も少なくなるはずである。実際に悩みを電話等で相談する児童相談所というものがある
が、人対人の会話ややりとりでは話しにくいことも多々あると思う。そこで悩みを抱え
る子供たちが気軽に相談でき学校生活を楽しく送るために、子供たちの悩みの相談を受
ける「音声認識技術を用いた児童相談支援システム」を提案する。
2、ビジネスプラン概要
2、1
「児童相談支援システム」について
この児童相談支援システムは悩みを抱える子供たちがこのシステムにマイクを使
用して自分の声で悩みを相談することで、Web を通してサーバからその対策案を検
索し表示してくれるというものである。図1にシステム構成のイメージ図を示す。
図1:システム構造図
2、2
システム使用にあたっての流れ
① システムを起動する。
② まずユーザ登録を行う。ユーザ登録を行うことによって、このシステムを利用
する度にシステムが利用者の人柄を学習していくことができる。学習すること
によって利用者に対する最もベストである対策案を答えてくれるようになる。
③ 実際にマイクを使用して悩みを相談する。
④ Web を通して悩みをサーバに送信する。
⑤ サーバはその悩みに対する適切な対策案を考え利用者に返信する。
⑥ 利用者から相談された悩み、返信した対策案をサーバに管理、保存する。
2、3
従来の児童相談と本システムとの比較
従来の児童相談には主に以下の 2 つがある。
⑦ 電話で相談
⑧ 相談所に行っての相談
この従来の 2 つと本システムとの比較を行った結果を表1に示す。
表 1:従来の児童相談と本システムとの比較
児童相談
支援システム
電話
直接会話
場所
どこでも
どこでも
指定の場所
話しやすさ
話しやすい
話しにくい
話しにくい
話の伝わりやすさ
伝わりやすい
伝わりにくい
伝わりやすい
利用者の緊張
なし
あり
あり
時間制限
なし
あり
あり
利用費用
インター
電話代
ネット代
なし
(交通費は別)
利用者の手間
なし
なし
あり
相談相手の手間
なし
あり
あり
相談内容の管理
サーバに保存
相談相手が管理
相談相手が管理
総合評価
◎
△
△
2、4
社会貢献性
このシステムが普及すれば悩みを気軽に相談でき、対策案を答えてくれるので悩み
を一人で抱え込む子供たちが減る。その結果自殺などといった最悪の選択をしてしま
う子供たちが減り、社会が明るいものとなる。
2、5
想定リスクと回避方法
① 音声認識の精度
現在の音声認識精度は必ずしも 100 %ではない。特に、自然言語である話し言
葉ではあいまいさが残る。そのため用語範囲を限定する。(マイナスイメージ用語)
② 方言の認識
最初は福井県に対応したサービスを行う。地域を拡大するにしたがってその地域
に対応したシステムに改良する。
③ 利用者が子供であること
子供はその言葉の意味が思っているのと違う場合でも気づかずに使ってしまう
可能性がある。そこでシステムは相談された言葉を鵜呑みにするのではなく全体的
な結果から対策案を候補として表示する。
2、6
市場規模
年々、パソコン又はインターネットが人々の身近なものになりつつある。
図 2 にインターネット利用者数と人口普及率についてのグラフを示す。
出典元:総務省「通信利用動向調査」
図 2:インターネット普及率
3、事業展開計画
将来の事業展開計画を表 2 に示す。徐々にシステムを改良していき、サービスできる
地域を拡大していく。パソコンだけではなく、携帯電話でも利用可能にする。
表 2:事業展開計画
~2008 年
高専の研究でシステムに必要な知識(自然言語処理、音声認識)につ
いて学ぶ。
2009 年 3 月
2009 年 3 月下旬
2009 年 4 月
システムの完成。
システムの資料配布、説明会参加への呼びかけ。
福井において法人組織の有限会社設立。
会社や扱うシステムの説明会を実施する。
2009 年 6 月
アンケートを実施。アンケートを参考にさらに使いやすいように改
良。このシステムの情報、アンケート結果をネットで公開。
2010 年
サービスを開始。
初年度はサービスを福井県内に限定する。
2011 年
サーバ増設、サービスを北陸地区に拡大。
順次システムの改良を行う。
2012 年
サービスを中部地区に拡大。
2013 年
サービスを全国に拡大。
2014 年
携帯電話での利用もできるように携帯電話版のシステムの開発に
とりかかる。
2018 年以降
本システムだけでなくその他システムの開発にも力を注ぐ。
4、資金計画
本ビジネスの自己資金は 300 万円とする。収入は、システムをユーザに安く提供す
るためにすべて広告収入とする。1 年目は福井県内企業の広告を掲載する。1 アクセス
毎に 15 円とし、月のアクセス数が 1000 アクセス、10 社の広告を掲載すれば月の収入
が 15 万円となる。2 年目からはサービス対象地域の拡大に伴い、掲載広告を増やす。
5 年目までの資金繰り計画を表 3 に示す。
表 3:資金繰り計画
1年目
2年目
3年目
4年目
5年目
繰越金
3,000,000
505,000
705,000
2,105,000
5,005,000
年間売上
1,800,000
3,600,000
5,400,000
7,200,000
7,200,000
売上原価
0
0
0
0
0
粗利益
1,800,000
3,600,000
5,400,000
7,200,000
7,200,000
人件費
2,400,000
2,400,000
3,000,000
3,300,000
3,300,000
諸経費
1,895,000
1,000,000
1,000,000
1,000,000
1,000,000
出金合計
4,295,000
3,400,000
4,000,000
4,300,000
4,300,000
-2,495,000
200,000
1,400,000
2,900,000
2,900,000
505,000
705,000
2,105,000
5,005,000
7,905,000
損益
翌年繰越金
5、プラン作成者のプロフィール
氏名は山田章博。1988 年生まれ。福井工業高等専門学校電子情報工学科 5 年に在学。
4 年時のインターンシップでは、ソフトウェア会社においてビジネス支援パッケージを
開発した。5 年時の夏にあった中学生対象のオープンカレッジでは、音声認識の説明を
実践を含めて行った。現在、卒業研究で「自然言語処理による複文の構文解析について
の研究」について研究中。