8.硬化コンクリートの力学的・物理的性質 8.硬化コンクリートの力学的

8.硬化コンクリートの力学的・物理的性質
8.硬化コンクリートの力学的・物理的性質
空気(40~60㍑)
C
W
セメント(300~450kg、
100~150㍑)
水(150~180kg、
150~180㍑)
G
水セメント比:W/C

圧縮強度の影響因子

(質量比)
調合

Fc=a+b・(C/W)
小さいほど強度大、限
界W/C=20%程度、通
常の製造では最高強
度150N/mm2

S
粗骨材(850~1100kg、
350~400㍑)
水セメント比(W/C)

細骨材率:s/a
細骨材(700~900kg、
300~350㍑)
(容積比)

空気量

a
1%の増加で4~6%の
強度低下
コンクリート 1m3
8.硬化コンクリートの力学的・物理的性質

8.硬化コンクリートの力学的・物理的性質
圧縮強度の影響因子

セメントの種類



混和材の種類




セメント強度K
Fc=K(a+bX) X:セメント水比
Fc=m+n(C+α・Ad)/W
シリカフューム α=大
フライアッシュ α=小(短期的)

圧縮強度の影響因子

製造・施工

加圧


養生時間

骨材

強度



粗な表面→付着良好→強度増大
寸法

大→幾何学的非均質性増大→応力集中→強度低下
材齢7~14日まで大幅に
増進、28~91日で安定、1
年以上での増進少ない
養生温度

形状・表面性状


低強度の骨材→C/Wを増加させても頭打ち
強度大、蒸気養生と併せ
ると300N/mm2以上も可

4~60℃程度の高温→材
齢28日までの強度増加
低温ほど長期強度増進
8.硬化コンクリートの力学的・物理的性質

圧縮強度の影響因子




大きい→強度小
大きい→強度小


載荷速度


寸法
高さ直径比

鉄筋とコンクリートとの付着強度
支配要因



鉄筋の配置方向


ブリーディングの影響
鉄筋の表面形状
圧縮強度の1/5〜1/8
応力ひずみ曲線

鉄筋とセメントペースト間の粘着力
 鉄筋とセメントペースト間の摩擦力
 鉄筋表面の凸凹の機械的付着力(最も支配大)
影響因子
M:破壊モーメント、Z:断面係数(=bh2/6)
8.硬化コンクリートの力学的・物理的性質


3等分点載荷
Fb=M/Z

一時的に乾燥→強度増加
8.硬化コンクリートの力学的・物理的性質
割裂試験
Ft=2P/πdℓ
圧縮強度の1/10〜1/13
曲げ強度

大きい→強度増加
乾湿状態

引張強度

供試体



試験方法


8.硬化コンクリートの力学的・物理的性質
モルタル・コンクリート
曲線(非弾性体)
 骨材とペースト界面に発生する微細ひび割れ
 最大応力時のひずみ=0.2~0.3%


ペースト・骨材

ほぼ直線
8.硬化コンクリートの力学的・物理的性質

弾性係数

8.硬化コンクリートの力学的・物理的性質

静弾性係数
ポアソン比

初期接線弾性係数
 割線弾性係数



静的破壊強度の1/3の応力の点と原点を結んだ直線の勾配
載荷軸方向のひずみ(εi)に対する直角方向のひ
ずみ(εt)の比
μ=εt/εi=1/5~1/7
εi
接線弾性係数
 影響因子



8.硬化コンクリートの力学的・物理的性質

乾燥収縮

εt
圧縮強度(Fc)、コンクリートの気乾密度(γ)
E=33500×(Fc/60)1/3×(γ/2.4)2 (kN/mm2)
周囲の拘束
8.硬化コンクリートの力学的・物理的性質

熱的性質・耐火性


→ひび割れ発生

収縮ひずみ


0.06~0.10%
影響因子


単位水量大
→乾燥収縮大
骨材の弾性係数大
→乾燥収縮小
熱膨張係数

鉄筋とほぼ同じ
鉄筋コンクリート構造の一体性
耐熱性・耐火性



化学的結合水の脱水
水酸化カルシウムの分解
骨材の変質


→強度・弾性係数の低下
 500℃
強度
常温時の60%以下
弾性係数
常温時の10~20%
→爆裂(緻密・高含水率のコンクリート)
9.硬化コンクリートの耐久性



耐久性

9.硬化コンクリートの耐久性
塩害

気象作用・化学的浸食作用・物理的摩耗作用な
どの劣化作用に抵抗し、構造物に要求される性
能を長期間に渡って保持する能力
一定量以上の塩化物イオン(Cl-)
→不動態皮膜(アルカリ環境下)の破壊
→アノード(陽極)・カソード(陰極)の発生
→鉄筋の腐食
→錆(腐食生成物)の体積膨張
→鉄筋に沿ったコンクリートのひび割れ
→酸素と水の容易な供給
→腐食の加速
→コンクリートの剥落・鉄筋断面積の減少
→部材耐力の低下
劣化現象

化学的


塩害、中性化、化学的浸食、アルカリ骨材反応
物理的

凍害、すり減り
9.硬化コンクリートの耐久性
Cl-,
H2O,
O2
Cl-,
Cl-,
H2O,
FeFe2++ 2e-

I
eカソード
カソード
9.硬化コンクリートの耐久性
O2
2Fe(OH)2 + 2(OH)-  2Fe(OH)3
Fe2+ + 2(OH)-  Fe(OH)2
H2O+1/2O2+e- 2(OH)-
アノード
腐食電流  腐食速度
不働態被膜
機構
塩害
9.硬化コンクリートの耐久性

9.硬化コンクリートの耐久性
塩害

対策


腐食性物質の除去

腐食性物質の浸入・浸透の抑制

かぶり厚さの増加、ひび割れ幅の抑制

鉄筋の腐食性物質からの保護

鉄筋の材質向上

腐食反応の抑制






コンクリート中の塩化物イオン量0.30kg/m3以下(0.60kg/m3以下:防錆
対策)

中性化
空気中の二酸化炭素のコンクリート中への拡散
(C=A√t、A:中性化速度係数)
→水酸化カルシウムの炭酸化(Ca(OH)2+CO2→CaCO3+H2O)
→アルカリ性の低下
→不動態被膜の破壊
→鉄筋の腐食
密実なコンクリート(低水セメント比、微粉末混和材の使用)
コンクリート表面ライニング、樹脂含浸コンクリート
エポキシ樹脂塗装鉄筋、亜鉛めっき鉄筋

耐塩性鉄筋
影響因子

水セメント比
低水セメント比→A減少(W/C=40%以下:A≒0)
亜硝酸塩系防錆剤
9.硬化コンクリートの耐久性

機構
中性化
9.硬化コンクリートの耐久性

中性化

対策




密実なコンクリート
かぶり厚さの増大
仕上材(タイル、石張り、
高気密性の吹付け材)
判定方法

フェノールフタレインの
1%エタノール溶液(中性
化部分:無色)
9.硬化コンクリートの耐久性
9.硬化コンクリートの耐久性


アルカリ骨材反応(アルカリシリカ反応)
アルカリ骨材反応(アルカリシリカ反応)
機構


細孔溶液中の水酸化アルカリ(KOH、NaOH)





セメント原料(粘土鉱物:Na2O、K2O)
海砂・外部浸入の塩化物(NaCl)
化学混和剤
骨材中のアルカリ反応性鉱物
湿潤状態


打ち放しコンクリート
内部が乾燥しにくいマッシブなコンクリート
→膨張性の反応生成物(アルカリシリカゲル)
→コンクリートのひび割れの発生
→凍害・化学的浸食に対する抵抗性の低下
9.硬化コンクリートの耐久性

アルカリ骨材反応(アルカリシリカ反応)

対策
無害と判定された骨材の使用
 ポルトランドセメント(低アルカリ形)の使用
 混合セメント(高炉セメントB種、フライアッシュセメントB
種)の使用
 コンクリートのアルカリ総量規制(3.0kg/m3以下)

9.硬化コンクリートの耐久性

化学的浸食

硫酸・塩酸


セメント水和物の分解
硫酸塩
水酸化カルシウム、C3Aと
反応
→膨張性物質の生成
→ひび割れ

対策



コンクリート表面の保護
セメント(耐硫酸塩、中庸
熱、高炉、フライアッシュ)
低水セメント比
9.硬化コンクリートの耐久性

凍害(凍結融解)

9.硬化コンクリートの耐久性

凍害(凍結融解)
機構
水の凍結膨張(9%)
→水分移動
→水圧の発生
→スケーリング・ひび割れ

対策



微細な空気(3~6%)の連行(AE剤、AE減水剤)、気泡間隔係数
の減少
密実なコンクリート(低水セメント比)
水切り・水勾配の工夫
9.硬化コンクリートの耐久性

ひび割れ発生の原因と特徴

材料・調合

沈下・ブリーディング




ひび割れ発生の原因と特徴

施工

1~2週間で発生
表面ひび割れ(内部拘束)・貫通ひび割れ(外部拘束)

2~3ヶ月で発生
開口部・隅部では斜めひび割れ、梁では等間隔
反応性骨材

多湿箇所
打継ぎ処理の不良



打継ぎ箇所、コールドジョイント部分
急激な乾燥

乾燥収縮



セメントの水和熱


打込み後1~2時間で発生
鉄筋上部・壁と床の境目に発生
9.硬化コンクリートの耐久性
打込み直後、不規則な微細ひび割れ
初期凍結

微細ひび割れ、スケーリングを伴う
9.硬化コンクリートの耐久性

ひび割れ発生の原因と特徴

環境条件

凍結融解繰返し




ひび割れ発生の原因と特徴

外力

鉄筋に沿う大きなひび割れ
かぶりコンクリートの剥離につながる
曲げ応力


表面全体の亀甲状ひび割れ
鉄筋の腐食


スケーリング
火災・表面加熱

9.硬化コンクリートの耐久性
せん断応力


部材の引張側に垂直ひび割れ
45°方向のひび割れ
不同沈下

45°方向の大ひび割れ