真冬のストームトラックの経年変動と地球温暖化との関係 - dpac

真冬のストームトラックの経年変動と地球温暖化との関係
稲津 將・木本 昌秀 ´東京大学気候システム研究センターµ
½º はじめに
北半球上部対流圏の冬季の気候値は、総観規
模擾乱が活発なストームトラック域により特徴
づけられる。ストームトラックは定常低気圧の
やや下流に存在する。太平洋では、北西太平洋
にある強力な定常低気圧の下流で極大に達する
´ Ð
ÑÓÒ Ø Ðº¸ ½
µ。大西洋ストームトラッ
クも、定常低気圧の下流に存在する。このよう
なストームトラック分布の概略は、渦の最大成
長率が西風の鉛直シアに比例するという線形傾
圧不安定論 ´Ä Ò Þ Ò Ò
ÖÖ Ðи ½ ¼µ によっ
て説明される。また、ストームトラックの終端
は、渦がその運動エネルギーを平均流に返す順
圧的エネルギー変換によると見られている ´Ä ¸
¾¼¼¼µ。さらに、太平洋ストームトラックの終端
には、ロッキー山脈による対地摩擦の効果も重
要であろう ´
Ò
Ò ÇÖÐ Ò× ¸ ½ ¿µ。
また、ストームトラックの経年変動は、概ね準
定常流の経年変動に同期している。Ä Ù ´½
µ
は太平洋と大西洋のストームトラック変動に対
して主成分分析を行った。彼らの解析では、太
平洋の第 ½ モードと大西洋の第 ¾ モードとして、
ストームトラックは弱 ´強µ くなった時、定常低
´高µ 気圧偏差がストームトラックの北に存在す
る変動を取り出した。太平洋第2モードと大西
洋第 ½ モードでは、ストームトラック軸の南北
変動を表した。これらすべてのモードにおいて、
定常流とストームトラックの関係は、線形傾圧
理論と整合的である。また、これらは大規模なテ
レコネクションパターン ´Ï ÐÐ
Ò
ÙØÞÐ Ö¸
½ ½µ に似ている。特に、後者2つはおのおの
ÈÆ 、Æ Ç に対応する。
このような大振幅で大規模な変動とは対照的
に、東アジアの冬季には、非常に強い亜熱帯ジ
ェットコアの存在に起因する別種の変動が卓越
している。その変動は、傾圧不安定理論に反し
て、強 ´弱µ いストームトラックが弱 ´強µ い亜
熱帯ジェットと共存するパターンを示す。気候
値においても、ストームトラックは比較的穏や
かな亜熱帯ジェットを好んで、秋と春にもっと
も活発になり、真冬にはやや弱い。これを「真
冬の振幅極小」と呼ぶ ´Æ
ÑÙÖ ¸ ½ ¾µ。近
年、東アジア冬季には、ストーム活動の増大と
亜熱帯ジェットの弱化のトレンドが示されてお
り ´Æ
ÑÙÖ
Ø Ðº¸ ¾¼¼¾µ、これは西太平洋特
有で、Ä Ù ´½
µ では示されていない。
ŵ
本研究の目的は、大気大循環モデル ´
を使って、東太平洋と大西洋に見られる大規模
な変動と西太平洋の比較的局所的な変動を比較
し、それらと地球温暖化のシグナルとの関係を
調べることにある。明瞭な議論のため、本文で
は真冬 ´½ 月、¾ 月µ の対流圏上部 ´¿¼¼ È µ のス
トームトラックと西風に焦点を当てて解析した。
¾º モデル実験
½
本研究では、
ËÊ»ÆÁ Ë» Ê
Å
を使用した。水平解像度は ̽¼ ´½¼¼ Ñ 格子間
Å には、
隔相当µ で鉛直 層である。この
物理過程として、放射、積雲対流、大規模雲凝
結過程、鉛直拡散、地表面水文過程、および重
力波抵抗のパラメタリゼーションを含む。詳細
は、ÆÙÑ ÙØ Ø Ðº ´½
µ および近日出版予
定の報告書を参照のこと。
本研究では、まず現在気候の大気組成に、½
年から 年までの観測された海面水温および海
氷を与え、¾¼ 年積分した。この設定下で初期値
を変えて ¿ つのアンサンブル実験を行った ´以
下、標準実験群µ。次に、現在気候の ¾ 倍の二酸
化炭素 ´ Ǿ µ を与え、¾¼ 年積分を以下のよう
な条件のもとに 回行った。この積分で与えら
年から 年
れた海面水温は、現在気候の ½
までの観測値に、各研究機関において行われた
倍増 Ǿ 下の大気海洋結合モデル実験の温暖化
に伴う気候値の増分を加えた値¾ である。各研究
½
東京大学気候システム研究センター»国立環境研究所»
地球環境フロンティア研究センター
¾
温暖化実験で加算する気候値の増分は、 Ò ¹
機関の海面水温の差違は、熱帯では微小で、高
緯度でも高々¾Ã 程度である。よって、これら
つの実験を ½ つのアンサンブルと見なすことが
出来る ´以下、温暖化実験群µ。温暖化の応答は
ここでは両実験群の差で見積もる。
¿º 気候値
本研究で用いた
Å は、冬季の気候値を
非常に良く再現する。図 ½ の陰影は、標準実験
群における ¿¼¼ È 面における総観規模 ´¾ß 日
の周期を持つ変動成分µ の渦の運動エネルギーで
ある。標準実験群のストームトラックは太平洋
と大西洋にあり、ラブラドル海からノルウェー
海にかけての過小評価を除き、モデルの充分な
解像度のおかげで定量的にも観測と非常によく
似ている。図 ½ の等値線に ¿¼¼ È の定常波分
布を示す。観測同様、定常波の低気圧は日本の
北とラブラドル盆地に位置する。観測と比較し
て、このモデルではラブラドル盆地の定常低気
圧が若干弱く西にややずれている。これはおそ
らく先に述べたストームトラックのバイアスと
関係しているだろう。
図 ½ は、ストームトラックと定常波の温暖
化に対する応答を示している。補助的に図 ½ に
よって、ストームトラックの現在気候と温暖化に
対する応答を示す。温暖化実験群では、¿¼¼ È
のストームトラック活動度 ´図 ½ ¸ µ が東太平
洋、大西洋、そして地中海から中東といった多
くの地域で減少していることがわかる。定常波
の地球温暖化に対する応答 ´図 ½ の等値線µ は、
ストームトラックが不活発になった米国西岸か
ら西ヨーロッパまで西風を弱める傾向がある。
これは傾圧不安定理論と整合的である。対照的
に、西太平洋では、温暖化に伴って、ストーム
活動 ´北緯 ¼ 度、東経 ½ ¼ 度µ は強化され、西
風ジェット ´北緯 ¿¼ 度、東経 ½¿¼ 度µ は弱まる
図 ½ ´ µ 標準実験群における ¿¼¼ È 面の ½ 月か
´図 ½ ¸ µ。地球温暖化の応答に対するモデル依
ら ¾ 月 ´Â µ 平均値。定常波成分のジオポテンシャル
Ò
ÒØ Ö ÓÖ Ð Ñ Ø ÅÓ ÐÐ Ò
Ò
Ò ÐÝ× ×、 高度 ´等値線 ѵ と総観擾乱の渦の運動エネルギー
ËÊ»ÆÁ Ë» Ê
、 Ù×ØÖ Ð ³×
ÓÑÑÓÒÛ ÐØ
´陰影 Ѿ × ¾ µ。等値線間隔は ¼ で、陰影の階層は
Ë ÒØ ¬ Ò ÁÒ Ù×ØÖ Ð Ê × Ö ÇÖ Ò Þ Ø ÓÒ、およ
¼¸ ¼¸ および ½¼¼ である。´ µ ´ µ と同じ、温暖化
び Å Ü ÈÐ Ò
ÁÒ×Ø ØÙØ ÙÖ Å Ø ÓÖÓÐÓ
と Æ Ø ÓÒ Ð
の ÓÑÑÙÒ ØÝ
ÒØÖ
ÓÖ
ØÑÓ×Ô Ö
Ê × Ö
Ð Ñ Ø ËÝ×Ø Ñ ÅÓ Ð と È Ö ÐÐ Ð Ð Ñ Ø ÅÓ Ð を用
いて行われた温暖化シナリオ実験から見積もった。ただ
し、それぞれの全球平均値が
ËÊ»ÆÁ Ë モデルのそれ
と一致するように調整した。海氷は海面水温に見合うよ
うに与えた。
と濃影は
の応答。等値線間隔は 、淡影は
をそれぞれ示す。´ µ ´ µ の陰影と ´ µ の等値線を重
ねた。
図 ¾ 標準実験群における総観規模渦の運動エネル
ギーの経年変動の標準偏差。等値線間隔は ¾ で陰影
は ¾¼ である。太実線で囲まれた ÏÈ、 È、およ
び ÌÄ の領域は主成分分析で用いる。
存性については、本文最後で補足する。
º 経年変動
º½º 主変動モード
図 ¾ は標準実験群における ¿¼¼ È の真冬の
総観擾乱渦の運動エネルギーの経年変動の標準
偏差である。これをみると、東太平洋と大西洋
に明瞭な極大が存在する。準定常波の経年変動
にもほぼ同じ位置に極大がある ´図略µ。これら
は大規模な変動と関係すると考えられる。以下
で、我々はストームトラックの主たる経年変動
を調べるため、主成分分析を行う。しかし注意
しなければならないのは、大域的な視点からだ
けでは、大振幅で大規模な変動は抽出できても、
中程度の振幅を持つ局所的な変動を見逃してし
まうことである。上述のように、西太平洋の大
気の振る舞いは、東太平洋や大西洋のそれとか
なり異なる。そこで、我々は主成分分析の対象
領域を、東経 ½¼ 度から ½ ¼ 度 ´Ïȵ、西経 ½
度から ½¼ 度 ´ ȵ、および西経 度から ½ 度
´ Ìĵ の ¿ つに分割した。なお、すべての領域
は、緯度方向に北緯 ¾¼ 度より ¼ 度で区切って
いる。ÏÈ 域が Æ
ÑÙÖ
Ø Ðº ´¾¼¼¾µ よりや
や狭く、また È 域が変動の極大よりやや東に
ずれている。しかしこのような多少の領域の変
更は、以下の結果には本質的な影響を与えない。
以下、第 Ò モードの主成分得点 ´È µ とそれに
付随する Ç パターンは、È Ò´規格化された
図 ¿ ÏÈ 域における総観規模渦の運動エネルギー
の È ½ への ´ µ 総観規模渦の運動エネルギー ´等値
線間隔 ¾µ および ´ µ 定常波 ´等値線間隔 µ への回
帰。温暖化へのシグナルを陰影で示した。´ µ は淡
で濃影は
で、´ µ は淡影は ½¼ お
影は
½¼ である。ここでは標準実験群の
よび濃影は
¿¼¼ È 面における Â 平均の経年変動データを解析
した。
時系列µ と Ç Ò ´次元付き空間構造µ と各々書
くことにする。
図 ¿ の等値線は、ÏÈ 域におけるストームト
ラック変動の È ½´寄与率 ¿º ±µ への回帰図で
ある。これを見ると、È ½ が ½ の時、日本の沖
合いの総観擾乱の運動エネルギーは ¾¼± 減少
し ´図 ¿ µ、日本から西太平洋にかけて定常低気
圧が広がっている ´図 ¿ µ。この場合、ジェット
はそのコア ´北緯 ¾ 度から ¿ 度µ により集中
し、やや強化される。ゆえに、 Ç ½ において
は、強 ´弱µ いジェットと不活発 ´活発µ なストー
ム活動が並存する。日本付近のストームトラッ
ク軸の北偏を表現する Ç ¾´½ º ±µ はあまり
重要ではない。なぜなら第 ½ モードに比べ分散
が顕著に小さいからである。ジオポテンシャル
高度で計算した Ç ½»¾ のパターンは、ストー
な高気圧 ´北緯
度、西経 ½½¼ 度µ のアノマリ
に関係している。
º¾º 温暖化のシグナルとの関係
´左 µ Ê ½ の ½
年から ¿ 年のデータの
ÏÈ 域における総観規模擾乱の運動エネルギーの経
年変動の È ½。破線はトレンドを示した。´右µ 総
観擾乱の運動エネルギー ´等値線間隔 ¾µ と定常波成
½ で濃影は
分のジオポテンシャル高度 ´淡影は
½ µ で、共にストームトラック変動の È ½ への
回帰。
図
ムトラックで計算した Ç ½»¾ に伴うものと極
めてよく似ていることも付記する ´図略µ。
年から ¿ 年までの Ê ½ デー
図 は、½
タをもとにして計算した ÏÈ 域におけるストー
ムトラック変動の第 ½ 主成分である ´Æ
ÑÙÖ
Ø Ðº¸ ¾¼¼¾ と同様の解析であるµ。観測では明
瞭なトレンドが見られるのに対し、標準実験群
の Ç ½ ではそのアンサンブルのどの時系列の
中にも明瞭なトレンドを持つものがなかったが、
その空間パターンは観測の空間パターンに非常
に類似している。このことは
Å が気候値
のみならず変動もよく再現していることを示す
½ つの証拠である。
これとは対照的に、東太平洋のストームトラッ
クが共に寄与率が ¾ ± 程度の ¾ つの主変動が
存在する。 Ç ¾ はジオポテンシャル高度で計
算した Ç ½´寄与率 ¼º ±µ と本質的に同じで
あり、また Ç ¾ へ回帰したジオポテンシャル
高度の分布が ÈÆ パターンに似ていることか
ら、われわれは Ç ¾ を取り出した。ちなみに
Ç ½´ジオポテンシャル高度で求めた Ç ¾µ
は、東太平洋全体のストームトラックの増減の
変動を示す。図 は、東太平洋における Ç ¾
とそれに関係するジオポテンシャル高度である
´Ä Ù¸ ½
の Ⱦ に対応µ。 Ç ¾ の正値は米国
西岸 ´北緯 ¼ 度、西経 ½½¼ 度µ でのストーム活
動の減少と、ハワイの北 ´北緯 ¿ 度、西経 ½ ¼
度µ でのストーム活動の増大を示す。これらは
度、西経 ½ ¼ 度µ と定常
定常な低気圧 ´北緯
第 ¿ 節と第 º½ 節を総合すると、地球温暖化の
応答は ÏÈ や È の場合共に、主変動のある位
相に対応する。ÏÈ 域のストームトラックの場
合、地球温暖化のシグナルは明らかに標準実験
における Ç ½ の負の位相に対応する ´図 ¿ µ。
北緯 ¼ 度より南のジオポテンシャル高度につ
いても、温暖化のシグナルと主変動の間によい
対応が見られる ´図 ¿ µ。これとは対照的に È
域の場合は、かなり複雑である。地球温暖化の
強制力は、確かにストームトラックを米国西岸
´北緯
度、西経 ½¾¼ 度µ で弱めているが、同
時にハワイの北 ´北緯 ¿¼ 度、西経 ½ ¼ 度µ でも
弱めている ´図 µ。これらストームトラックの
温暖化の応答のうち前者は Ç ¾ の負の位相に
よい関連がある。また、 Ç ¾ は特に定常波の
応答 ´図 µ をよく説明する。しかし、ハワイ
の北にあるストーム活動の減少という地球温暖
化のシグナルは、 Ç ¾ とは明らかに無関係で
図
È 域における図 ¿ と同様の図。
あり ´図 µ、地球温暖化の定常波の応答とも不
整合である ´図 µ。従って、われわれは主変動
と地球温暖化の関係を定量的に見積もる必要が
ある。
その目的のため、温暖化実験群におけるストー
ムトラック変動 を標準実験群の各モードへ射
影した。つまり、
ª
´
µ
´
µÔ
Ó×
ここで、 は経度、 は緯度、
´½µ
´
µ
は標準実
図
温暖化実験群における総観擾乱の運動エネル
ギーを ´上部µÏÈ および ´下部µ È の標準実験の各
モードへの投影。横軸は Ç モードの番号。白黒
はそれぞれ正負値を表す。
強化という我々とは幾分異なる結果を得ている。
温暖化の応答自身はモデル依存があることは当
然であり、ここではわれわれのモデルが他より
優れていると主張する意図はない。もしも観測
に明瞭なトレンドがなければ、温暖化の応答を
推測することさえ難しいからである。たとえば、
温暖化実験の結果、東太平洋のストームトラッ
クと定常波の応答が、一部 ÈÆ パターンのよ
うであったが、ÈÆ 指数のトレンドはいまのと
ころ検出されていない。このモデルの結果は、
本研究では地球温暖化のシグナルが現在気候の
主変動に依存していることを強調したい。
さらに、西太平洋での特有の現象について補
足する。地球温暖化のシグナルの中でも、モデル
´図 ¿µ および観測 ´図 ¸ Æ
ÑÙÖ
Ø Ðº¸ ¾¼¼¾µ
の主変動の中でも、また観測に見られる近年のト
º 議論
レンド ´図 ¸ Æ
ÑÙÖ
Ø Ðº¸ ¾¼¼¾µ の中でも、
高解像度
Å を用いてストームトラック
亜熱帯ジェットが弱くなった時、ストームトラッ
の温暖化の応答と現在気候における主成分との
クはより活動的になった。これははじめに示した
関係を調べた。東西太平洋とも、地球温暖化の
ように気候値の季節変化の中に見出される。こ
シグナルは現在気候の主変動によって解釈でき
れは明らかに伝統的な傾圧不安定理論と矛盾す
た。温暖化実験のストームトラックを標準実験
る。近年
Ò Å
´¾¼¼ ¸  ˸ ×Ù Ñ ØØ µ が
の各モードに射影すると、ÏÈ では Ç ½ の負
東西方向に局在化した東西風の南北勾配が傾圧
方向へ、 È ではでは一部 Ç ¾ の正の方向へ、
渦の成長率を抑制するという鮮やかな説明を提
少なくともわれわれのモデルでは温暖化すると
案した。近日これらの詳細を調べる予定である。
変化した。温暖化の主変動への依存性は、理想
最後に、地球温暖化に対する降水の応答はス
的または現実的モデルを用いてこの点を証明し
トーム活動と必ずしも整合するとは限らないこ
た È ÐÑ Ö ´½
µ と整合的である。
とを補足する。実際、 Ǿ の増加に伴い、ス
ここでのこのような地球温暖化に対する応答
トーム活動は全般的に弱化するが降水量は増加
がモデル依存であると疑う読者もあろう。確か
する。何故なら、個々のストームは確かに強い
に À ÐÐ Ø Ðº ´½
µ は、我々のモデルより低い
雨を伴うであろうが、降水量は気温に強く依存
解像度の ÍÃÅÇ のモデルを用いて、ストーム
する水蒸気量にも依存している。大気の湿潤過
トラックの北東方向への移動とその終端部分で
験群における規格化された Ç 、そして ª は
積分領域 ´ÏÈ または ȵ を示す。
図 は ÏÈ または È 域における を示す。
ただし
はその量が小さいので割愛した。
ÏÈ では、 ½ が
´
¾µ より十分大きい。 ½
の値が負値で大きいということは、温暖化の応
答がストームトラックの活発化と対応すること
を意味する ´図 ¿ µ。同様に È において、 ½
と ¾ の両方が
´
¿µ より大きい。また地
球温暖化と第 ½¸¾ モードとの不完全な一致を調
整するため、
や
は幾分大きな値になって
いる。ここで ½ が正値で大きいことは、東太平
洋のストームトラックが全体的に不活発化する
ことに対応し、 ¾ が正値で大きいことは米国西
岸でストーム活動が抑制されることを意味する。
程とストーム活動との関係は、今後研究課題と
して残る。
謝辞 本研究推進にあたり、真冬の振幅極小に
ついて深い洞察を提供していただいた東京大学
中村尚氏に感謝します。本研究は、科学技術振
興機構、戦略的創造研究推進事業「水の循環系
モデリングと利用システム」および文部科学省
の「人自然地球共生プロジェクト」の研究費に
より遂行された。本文中の図の作成には、地球
流体電脳クラブのライブラリーを利用した。
参考文献
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