厚生年金基金の代行返上にかかる政省令等について

2003.3.
No.419
目 次
厚生年金基金の代行返上にか
かる政省令等について
厚生年金基金の代行返上にかかる政省令等について
【積立不足がある場合に一括拠出すべき額】
1.はじめに
厚生労働省は平成15年2月7日付けで、ホー
○代行返上を行う場合において、基金の積立金
ムページ(http://www.mhlw.go.jp/)を通じて、
の額が最低積立基準額を下回るときに、基金
政省令の改正案等を記載した『代行返上関係の
が設立事業所の事業主から一括して徴収する
改正予定内容』を提示して、厚生年金基金から
こととなる額を、「最低責任準備金以上最低
確定給付企業年金に移行(代行返上)する際の
積立基準額以下で規約で定める額」とする。
手続及び物納に係る要件・手続等についての意
(確定給付企業年金法施行令)
見募集を行いました。今月号では、その概要を
【基本部分の上乗せ部分の取扱い】
ご紹介します。なお、物納に関しては、物納時
○基本部分の上乗せ部分についても、加算部分
価評価基準概要(案)や物納の要件(案)が提
と同様、確定給付企業年金に移行した上で、
示されるとともに、物納手続の流れ(案)がフ
必要な手続きを経て給付設計の変更を行い、
ローチャートにまとめられておりますが、これ
本人の選択による一時金給付の仕組みを設け
らにつきましては、ご説明を一部割愛しており
ることは可能である。
(新通知)
ます。その他の事項も含め、詳しくは、厚生労
【厚生年金本体と基金とで支給要件や支給停止
働省のホームページをご覧願います。
の方法が異なる場合の取扱い】
以下、「厚生年金基金」を「基金」といいます。
○在職老齢年金の支給や雇用保険との併給調整
などにより、厚生年金本体の支給がされない
2.主なポイント
部分に関し、基金において独自に給付を行っ
『代行返上関係の改正予定内容』では、政省
ている場合の当該給付の取扱いについても、
令の改正案や新設される通知(案)「確定給付
「基本部分の上乗せ部分の取扱い」と同様で
企業年金法施行令等の一部を改正する政令等の
ある。
(新通知)
施行について」(以下「新通知」といいます。)
【物納関係】
の概要が示されており、代行返上に際しての、
○複数の基金が共同して物納をする取扱いを設
具体的な手続きや要件の概要が明らかになりま
ける。
した。その中で、主なポイントは以下のとおり
【施行期日等】
です。
○基金から確定給付企業年金に移行(代行返上)
−1−
厚生年金基金の代行返上にかかる政省令等について
する法律の施行期日を平成15年10月1日と
の受渡しがあった日において、厚生労働大臣
する。
(政令)
から年金資金運用基金に当該有価証券が寄託
されたものとみなす。
○確定給付企業年金の規約については、5月か
⑥物納の許可の申請に係る申請事項及び添付書
ら事前相談を行う。
(新通知)
類を規定する。
○物納を希望する基金については、5月から物
⑦複数の基金が共同して物納をしようとする場
納に関する事前相談・事前指導を行う。(新
合の取扱いは、以下のとおり。
通知)
○代行返上の認可等(物納の許可等を含む)に
・複数の基金が共同して物納をする場合は、基
ついては、7月1日から申請を行うことを可
金から申請のあった按分率により算定された
能とする。なお、10月1日付で認可されるた
額を各基金の最低責任準備金の支払いに充て
めには、7月中に申請を行う必要がある。
るものとする。
・複数の基金が共同して物納をする場合に、最
(確定給付企業年金法施行令、新通知)
低責任準備金の支払いの額の計算の過程で
50銭未満の端数が生じたときは、これを切
3.政令
り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたと
確定給付企業年金法施行令等の一部改正(案)
きは、これを1円に切り上げる。
の概要(2.に掲げたものを除きます。)は、
・複数の基金が共同して物納をする場合は、す
以下のとおりです。
【確定給付企業年金法施行令の一部改正(案)
】
べての基金において、按分率及び端数処理に
○代行返上の認可の後、企業年金基金は財産報
より算定された額が最低責任準備金に相当す
る額を下回っていなければならない。
告書を作成し、厚生労働大臣の承認を受けな
ければならないことなど、確定給付企業年金
【国民年金法等の一部を改正する法律の施行に
への移行に係る手続に必要な規定を整備する。
伴う経過措置に関する政令の一部改正(案)
】
○代行返上を行う場合、代行部分に係る過剰積
○物納関係
立金に相当する額を国が徴収する。
①物納をすることができる有価証券の種類は、
国内債券及び国内株式とする。
4.省令
②基金は、物納に係る有価証券を、年金資金運
確定給付企業年金法施行規則の一部改正(案)
用基金又は年金資金運用基金が指定する運用
の概要(2.に掲げたものを除きます。)は、
機関に移換しなければならない。
以下のとおりです。
③物納に係る有価証券の価額は、金融商品に係
○代行返上(物納を含む)に係る必要な規定の
る会計基準(別紙1として厚生労働省ホーム
整備
ページに掲載されている)
に準拠して算定する。
④物納に係る有価証券の価額を算定する基準日
①1つの厚生年金適用事業所について複数の確
は、厚生労働大臣の指定する日(原則、変更
定給付企業年金を実施できる場合に、代行返
申請書の受付日の3営業日後)とする。
上の認可等の日から起算して5年を経過して
いない場合を追加する。
⑤年金資金運用基金又は年金資金運用基金が指
②加入者(受給権者を除く)の給付減額をする
定する運用受託機関が、物納に係る有価証券
−2−
【図】代行返上に関する標準的事務処理(案)
ことができる理由に、代行返上を行った場合
将来返上申請
約1ヶ月
↓
将来返上認可①
↓
記録整理(仮完了)
↓
代行返上申請・確定給付企業年金規約申請・物納申請
↓
を追加する。
③代行返上を行う場合の財政計算の計算基準日
を、代行返上の認可等を受けようとする日前
1年以内のいずれかの日又は当該代行返上に
約2ヶ月
代行返上認可等・確定給付企業年金規約承認②
係る基金における事業年度の末日(認可等を
受けようとする日前1年6月以内の日に限
記録整理(完了)
↓
財産報告書申請
↓
る。)とする。
④代行返上の認可等の申請に当たっては、申請
社会保険業務センターへのデータ移管
約1週間
財産報告書承認③
前1月以内現在における基金の財産目録、貸
3日 【現金納付の場合】
【現物納付の場合】
10日以内
借対照表及び最低責任準備金の額の明細を示
納入告知④
↓
現金納付
↓
完
結
物納変更申請
↓
評価基準日決定通知⑤
↓
評価基準日
↓
物納要件審査⑥・現物評価⑦
↓
納入告知⑧・物納許可⑨
↓
現物納付
↓
20日以内
調査決定⑩・納付書⑪
(更正減) (残額)
↓
残額(現金)納付
↓
完
結
した書類等を添付して行うこととする。
⑤その他、代行返上(物納を含む)に係る必要
な規定を整備する。
○物納の取扱い
①物納をすることができる有価証券の要件を規
定する。(別紙2として厚生労働省ホームペ
ージに掲載されている。)
②物納をしようとする有価証券は、厚生労働大
臣の指定する日(物納に係る有価証券の価額
3営業日
5営業日
3営業日
(注)
・代行返上施行日以降は、将来返上を行わずに代行返上を行うことも
可能となるが、この場合もまず記録整理を仮完了させた上で代行返
上申請を行うこととなる。
なお、代行返上施行日以降も将来返上をまず行いその後代行返上を
行うことも認められる。
・ は国の作業・行為で、他は各基金における作業・行為である。
厚生労働省企業年金国民年金基金課 ①∼③
〃
運用指導課 ⑤、⑥、⑦、⑨
社会保険庁経理課 ④、⑧、⑩、⑪
を算定する基準日 (原則、変更申請書の受付
日の3営業日後)と同日。)において要件を充
たさなければならない。
5.通知
新たに設けられる通知(案)「確定給付企業
年金法施行令等の一部を改正する政令等の施行
1)代行返上の認可等の申請及び確定給付企業年金
について」の概要(2.に掲げたものを除きま
規約の承認申請(規約型)は同時に行う。(基
金型に移行する場合、規約の作成は代行返上の
す。)は、以下のとおりです。なお、既存通知
認可に必要な行為とされている。
)
についても、必要な改正を行うこととされてい
2)代行返上の認可等の申請から認可等までの標準
ます。
的事務処理期間は、概ね2ヶ月程度である。た
○代行返上(物納を含む)に係る事務手続き
だし、申請の状況等により、さらに期間を要す
る場合があり得る。
①代行返上の認可等(物納の許可等も含む)に
3)代行返上の認可等の申請を行うためには、基金
係る標準的な事務処理スケジュールは、「代
における記録整理が仮完了している(厚生年金
行返上に関する標準的事務処理(案)」(【図】
基金連合会における記録の事前突合の結果、不
突合データがない)ことが必要である。
ご参照)のとおりである。
−3−
厚生年金基金の代行返上にかかる政省令等について
②代行返上の認可等
があり得ること、及び、その際は代行相当部
・代行返上の認可等の後に行われる基金による
分に係る給付の社会保険庁からの支払いが通
常より遅れることがあり得る。
記録確定が、国(社会保険業務センター)の
額改定処理の期限に間に合い、代行返上の認
(注)遅延の可能性については、基金の記録整理状況等を勘案し、
各基金の判断により必要に応じ周知する。
可等の属する日の翌月分から、代行相当部分
に係る給付を定期支払日に国(社会保険庁)
②代行相当部分に係る給付の支払いのための口座
から支給できるよう、代行返上の認可等を行
・代行返上前において、厚生年金本体の支払い
と基金からの支払いが、別の口座により行わ
う日を次のとおりとする。
〔認可等が偶数月の場合〕当月上旬まで
れている場合であっても、代行返上後におい
〔認可等が奇数月の場合〕当月末まで
ては、代行相当部分の支払いは厚生年金本体
と同一になり、従来の厚生年金本体の支払い
(注)社会保険業務センターにおける記録データ処理量に限度が
あることから、代行返上の認可等が一時期に集中しそうな場合
は、認可等の日を調整することがあり得る。
のための口座へ支払われる。
③代行返上に係る問い合わせ
・代行返上の認可等の後に行われる基金による
・受給者等からの代行返上に係る種々の問い合
記録整理が完了していない場合であっても、
わせについては、各基金において対応する。
当該認可等の日から2週間を経過した場合
○物納の取扱い
は、その時点における記録を社会保険業務セ
・物納手続の詳細と留意事項、複数の基金が共
ンターに移管することとする。
同して物納をしようとする場合の取扱い、物
○基金から受給者等に事前に周知することが必
納資産の時価の算定方法の詳細について、規
要な事項
定する。
①代行相当部分に係る給付の支払い及び遅延の
○登録免許税非課税のために必要な手続き
可能性
・代行返上を行う基金のうち企業年金基金に移
・代行返上の認可等の日の属する月の翌月分か
行するものについては、新たに企業年金基金
ら厚生年金本体の額が改定され、代行相当部
を設立し事務所の登記を行う際の登録免許税
分に係る給付が社会保険庁から支給されるこ
を非課税にするために、厚生労働大臣の証明
ととなる。
書の発行が必要である。
・基金の記録整理状況等により記録の確定が遅
○各種申請様式等を規定する。
延し、額改定の事務処理が間に合わない場合
企業年金ノート No.419
平成 15年 3月
年金信託部
〒100-8112 東京都千代田区大手町 2 ー1 ー1 TEL. 03
(5202)
5409
〒540-8607 大 阪 市 中 央 区 備 後 町 2 ー 2 ー 1 TEL. 06
(6268)
1866
りそな信託銀行発行
りそな信託銀行はインターネットにホームページを開設しております。
【http://www.resona-gr.co.jp/resona-tb/】
りそな信託銀行は、インターネットを利用して企業年金の各種情報を提供する「りそな企業年金ネットワーク」を開設しております。
ご利用をご希望の場合は、企画部までお問い合せ下さい。
(TEL 06(6268)1810)
受付時間…平日 9:00∼17:00
※土、日、祝日、12月31日∼1月3日、5月3日∼5月5日はご利用いただけません。
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