第6章 福島市の観光振興の課題 平成 26 年度の基礎調査における事業者アンケート調査や団体・組織ヒヤリング調査の結果、及び福島 市観光振興計画策定懇談会において、明らかとなった本市観光振興の課題等をまとめます。 【課題1】観光資源のブラッシュアップ 本市には、花、くだもの、温泉といった本市を代表する地域資源がありますが、これらに加え、地域 の歴史や文化、豊かな自然環境などを観光資源としてさらに磨き上げていく必要があります。こうした 観光資源を旅行商品や体験プログラム等へ積極的に活用し、観光客の誘客促進につなげていくための課 題は、以下のとおりです。 ① 本市の強みである「花」や「くだもの」の観光資源としてのさらなる磨き上げと、着地型プロ グラム等の充実 ② 花見山観光客の市内観光スポットや温泉への誘導、回遊・滞在につなげる工夫 ③ 花やくだものをテーマとした「食の提供」や「おもてなし」 ④ くだもののもぎ取りなど農業と連携したコンテンツづくり ⑤ 歴史・文化資源の磨き上げと観光資源としての活用 ⑥ 市内3箇所の温泉地の特色ある磨き上げとネットワーク化 ⑦ 国際的に誇れる「磐梯吾妻・浄土平」の磨き上げと自然体験プログラムの開発 ⑧ 福島を代表する祭り「福島わらじまつり」のさらなる磨き上げ ⑨ 「まち歩き」や「グルメ」など、まちなかの魅力の発掘・磨き上げと利活用 【課題2】観光振興を推進する人づくり・組織づくり 本市の観光振興を推進するためには、その土台となる人づくりと組織づくりを進め、市民・民間事業 者・行政が協働により取り組んでいく必要があります。これを進めるための人材育成、組織間の連携強 化、本市観光を戦略的に推進する組織の構築等の課題は、以下のとおりです。 ① 各組織や団体を統括し、観光振興を牽引するリーダーの育成 ② 観光ボランティアガイドの育成と各ボランティア組織のネットワーク化 ③ 市民・民間事業者・行政が一体となった「おもてなし」の実践 ④ 市民の誇りと愛着につながる地域学の導入と観光意識の醸成 ⑤ 観光振興の中核組織となる「日本版DMO」の確立 ⑥ 行政内における、関係部局の横のつながりの強化 【課題3】広域観光による観光の振興 近隣自治体等と連携を強化し、広域による観光情報の提供や周遊ルートを確立することで、さらなる 観光誘客が期待できます。こうした広域観光推進に向けた課題は、以下のとおりです。 ① 既存の広域連携組織の活性化 福島市観光振興計画 27 ② 周辺自治体等と連携した観光プロモーションの展開 ③ 歴史や文化、スポーツなどテーマごとの広域周遊ルート・旅行商品の造成 ④ 東北六魂祭を核とした東北6市6まつりの連携 ⑤ 東北中央自動車道の開通を見据えた沿線市町村連携による広域観光の振興 ⑥ 広域観光を推進する中核組織(DMO)の確立 【課題4】インバウンドへの取り組み 東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、今後ますます外国人旅行者が増加すると見込まれ ることから、本市においてもインバウンドへの対応は急務であり、その対策のための課題は、以下のと おりです。 ① 2020 年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えた外国人観光客の誘客促進 ② ムスリムなど、新たなターゲットづくり ③ ホームページやパンフレットの多言語化や、SNS等を活用した外国人目線・ニーズに合った 情報発信 ④ 受入環境のインフラ整備(Wi-Fi 環境、案内表示の多言語化など) ⑤ 外国人ニーズに応える体験プログラム等の提供 ⑥ 外国人観光客の利便性を高める免税店の普及 ⑦ 県や東北観光推進機構、周辺自治体と連携した広域観光プロモーションの展開 【課題5】農業をはじめとする他産業と観光の連携 観光は、農業などの多様な産業と連携を強化することにより、本市の地場産業全体へ経済効果を波及 させることができます。本市ならではの付加価値の高い特産品づくりや販路拡大等を進める、観光と他 の地場産業との連携強化に向けた課題は、以下のとおりです。 ① 農業と観光の連携による特産品・土産品の開発 ② 特色ある地場産品づくりと販路拡大 ③ 観光客と農業従事者の交流を促す体験プログラムや旅行商品の造成 ④ 農業従事者が将来に希望を持てるような新品種や加工品開発 ⑤ 農産物の風評を払拭する正確な情報発信 【課題6】情報の発信 本市の観光情報や復興に向けた取り組みに関して、ターゲットのニーズに応じて、効果的に情報を発 信することが求められています。本市の情報を戦略的に発信するための課題は、以下のとおりです。 ① 観光情報の収集や観光マーケティング調査による観光客の動向・ニーズの把握 ② 東日本大震災からの復旧・復興を発信する教育旅行の誘致やスタディーツアーの実施 ③ SNSを活用した情報の受発信 ④ 民間企業等との連携による情報発信やプロモーションの展開 福島市観光振興計画 28 【課題7】バリアフリー観光の推進 年齢や障がい等の有無などに関わらず、誰もが安心して本市を旅行できる受入環境の整備や情報の 発信が求められています。本市のバリアフリー観光を推進するための課題は、以下のとおりです。 ① 旅行者の安心を担保する情報発信 ② 観光バリアフリーに資するインフラ整備(交通施設、宿泊施設、飲食店等) ③ 車いす等の貸し出しなどの支援強化 【課題8】利便性の高い二次交通の整備 外国人観光客や高齢者など、マイカー利用以外の観光客にとって、主要駅や温泉、観光施設間等をつ なぐ交通手段の整備は大変重要です。周遊や滞在型観光を促す利便性の高い二次交通の整備を進めるた めの課題は、以下のとおりです。 ① 駅と主要観光地を結ぶシャトルバスや季節バスの運行 ② 3つの温泉地をつなぐバス路線や、温泉地と各観光施設を結ぶバスの運行 ③ 定額タクシーや観光タクシーの運行 ④ レンタカーやレンタサイクルの利用促進 【課題9】組織的かつ積極的なコンベンションの誘致 コンベンションの開催は、多くの集客により、交流人口の拡大につながるため、行政機関や民間企業、 関係団体と連携した積極的なコンベンション誘致が求められています。本市の強みを発揮するためのコ ンベンション誘致に関する課題は、以下のとおりです。 ① 規模や内容等、主催者ニーズに柔軟に対応できるコンベンション誘致と開催支援 ② 国際会議等の開催が可能なコンベンション施設の整備 ③ 東京オリンピック・パラリンピック関連の競技等誘致 ④ 市内スポーツ施設を活用したスポーツツーリズムの推進 ⑤ 国内外で人気の高い、シティーマラソンやサイクルロードレース等の大会誘致 【課題 10】観光振興計画の進行管理 観光振興計画策定後は、毎年度事業を検証し、事業実施状況や目標達成度等の状況を的確に把握する 必要があります。計画に位置付けられた各施策や事業を着実に実行していくための課題等は、以下のと おりです。 ① 具体的な数値目標の設定 ② 実効性を伴うアクションプログラムの策定 ③ PDCAサイクルによる事業の検証と評価 福島市観光振興計画 29 福島市観光振興計画 30
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