盛岡広域圏社会経済動態調査・実施計画書 (一部抜粋) - 盛岡市

資料4
盛岡広域圏社会経済動態調査・実施計画書
(一部抜粋)
平成26年9月1日
株式会社日本経済研究所
一般財団法人岩手経済研究所
一般財団法人北海道東北地域経済総合研究所
1
1.分析の全体像
調査分析の現段階における全体イメージを以下に示す。広域圏の未来を担う若年層の流出を防ぐため、魅力
ある職場の創出が求められる。そのためには、労働生産性を改善し、給与を上げる必要がある。同改善には、
広域圏の高度IT人材を、観光や食品等の地域資源型産業に活かすことがポイントとみられる。
仮説
書面調査
各種統計デー
タに基づく整理
ヒアリング調査
盛岡広域圏の
連携に関する
調査
分析・
提言
上記を踏まえ
た分析と提言
• 盛岡広域圏
• 社会経済の特性
• データ分析
• 盛岡広域7市町を対
象としたヒアリング
調査
• 産業構造の特徴
• 戦略産業
• 潜在的資源
• 若年者雇用・人口
移動の現状と課題
• データ分析
• 若年層の定着には魅力ある
産業の振興が必要
• 生産年齢人口減少に伴う人
手不足を奇貨に、労働生産性
改善(=給与増)を図るべき
• 広域連携に関する
先進地調査(視察)
• 労働生産性の改善には、広
域圏に散在する地域資源の
活用が必要
• 同活用には、広域圏市町の
連携が鍵を握る
• 経済成長に向けた
課題の整理
• 産業政策
課題
• 人手不足を奇貨とした労働生
産性の改善(=給与増)を通
じて、若年層の定着を図る
産業政策
• IT等を活用した労働生産性の
向上と魅力ある職場の創出 2
2.データ整理 全体像
整理項目ア~オの内容と関係を下図に示す。ア→オの順に、短期→長期(構造)となる。
ア
イ
ウ
エ
オ
経済活動の状況:域内総生産(GDP)、消費(家計調査)、特化係数(産業)等
商工業、農業、観光産業等→地域資源型産業の整理
産学官連携の現状:コラボMIU、デジタルコンテンツ産業、ILC等
雇用状況:若年者雇用、ミスマッチ、人手不足の懸念等
人口動態:将来推計人口(自然増減、社会増減)
イ
ア 経済活動の状況
商工業、農業
観光産業等
ウ
産学官連携の現状
オ
エ 雇用
人口動態
3
3. 経済活動の現状(1)
経済活動の現状(短期)を把握する指標としては、下表に掲げたものが一般的であるが、盛岡広域圏に絞っ
て把握することができるのは、本調査チームの岩手経済研究所が実施している岩手県内企業景況調査であ
る。同調査を盛岡広域圏向けにカスタマイズすることによって、正確に現状を把握する。
区分
調査・統計名
出所
個人消費
大型小売店舗販売額
東北経済産業局
乗用車新車登録販売台数
岩手県自動車販売店協会
住宅着工
新設住宅着工戸数
県建築住宅課
生産活動
鉱工業生産指数
県調査統計課
公共工事
公共工事請負額
東日本建設業保証㈱岩手支店
雇用
求人倍率(有効、新規)
岩手労働局
企業倒産
企業倒産(件数、金額)
㈱東京商工リサーチ盛岡支店
観光
主要スキー場入込客数
岩手経済研究所
農業
野菜出荷状況
JA全農いわて
総合
(業況、売上、利益、
在庫、資金、雇用、等)
岩手県内企業景況調査
→盛岡広域にカスタマイズ
岩手経済研究所
独自収集データ
岩手経済
研究所が
毎月整理
岩手経済
研究所が
四半期毎
に整理
4
4. 経済活動の現状(2)雇用指標
調査チームである、岩手経済研究所の独自調査によると、岩手県内企業の雇用人員BSI(過剰-不
足)は、マイナス幅が拡大しており、急速に人手不足感が強まっている。これは震災復興に加え、生産
年齢人口減少の影響が本格化したためとみられる。
岩手県内企業 雇用人員BSI(過剰-不足)
2014/4
2014/7
2014/4
今後3ケ月
全産業
-18.9
-26.8
-29.4
製造業
-4
-14.1
-23.5
食料品
-40
-33.3
-33.3
金属製品
0
-28.6
-42.8
電気機械
28.6
25
12.5
非製造業
-25.3
-33.1
-32.4
建設
-45.5
-38.1
-47.6
小売
-22.2
-28.1
-25
-19
-42.4
-42.3
サービス
0
2014/7
今後3ケ月
-5
全産業
-10
製造業
非製造業
-15
-20
-25
-30
マイナスは
人手不足
-35
5
5. 経済活動の現状(3)広域圏の経済構造
短期的な景況よりも重要なのは、広域圏の経済構造の把握である。下図に構造把握のフロー図を示す。
域外
消費(家計調査)
域内総生産(GDP)
全体
産業別
付加価値(産業別GDP)
一人当たり付加価値
(≒労働生産性)
産業
従業員
最重要指標
6
平成24年工業統計表「工業地区編」データ [経済産業省大臣官房調査統計グループ] (平成26年4月25日公表)より作成
食料品製造業
金属製品製造業
印刷・同関連業
2012特化係数=各産業の盛岡広域圏等における構成比/同全国
その他の製造業
繊維工業
業務用機械器具製造業
電子部品・デバイス・電子回路製造業
岩手県
輸送用機械器具製造業
木材・木製品製造業(家具を除く)
電気機械器具製造業
プラスチック製品製造業
窯業・土石製品製造業
生産用機械器具製造業
飲料・たばこ・飼料製造業
パルプ・紙・紙加工品製造業
情報通信機械器具製造業
はん用機械器具製造業
家具・装備品製造業
鉄鋼業
石油製品・石炭製品製造業
0
非鉄金属製造業
4
水運業
航空運輸業
漁業(水産養殖業を除く)
非鉄金属製造業
ゴム製品製造業
鉄鋼業
電気機械器具製造業
業務用機械器具製造業
輸送用機械器具製造業
運輸に附帯するサービス業
はん用機械器具製造業
倉庫業
パルプ・紙・紙加工品製造業
情報通信機械器具製造業
化学工業
プラスチック製品製造業(別掲を除く)
インターネット附随サービス業
生産用機械器具製造業
窯業・土石製品製造業
石油製品・石炭製品製造業
各種商品卸売業
繊維・衣服等卸売業
電子部品・デバイス・電子回路製造業
金属製品製造業
金融商品取引業,商品先物取引業
職業紹介・労働者派遣業
宗教
情報サービス業
家具・装備品製造業
学術・開発研究機関
不動産取引業
その他
持ち帰り・配達飲食サービス業
飲料・たばこ・飼料製造業
印刷・同関連業
専門サービス業(他に分類されないもの)
映像・音声・文字情報制作業
水産養殖業
飲食店
その他の生活関連サービス業
なめし革・同製品・毛皮製造業
繊維工業
協同組織金融業
各種商品小売業
無店舗小売業
ガス業
広告業
その他の教育,学習支援業
娯楽業
建築材料,鉱物・金属材料等卸売業
織物・衣服・身の回り品小売業
機械器具卸売業
郵便局
貸金業,クレジットカード業等非預金信用機関
その他の卸売業
木材・木製品製造業(家具を除く)
電気業
補助的金融業等
設備工事業
機械等修理業(別掲を除く)
医療業
不動産賃貸業・管理業
技術サービス業(他に分類されないもの)
その他の事業サービス業
洗濯・理容・美容・浴場業
飲食料品小売業
その他の製造業
協同組合(他に分類されないもの)
職別工事業(設備工事業を除く)
保険業(保険媒介代理業,保険サービス業を含む)
郵便業(信書便事業を含む)
社会保険・社会福祉・介護事業
その他の小売業
道路貨物運送業
廃棄物処理業
機械器具小売業
食料品製造業
道路旅客運送業
通信業
自動車整備業
総合工事業
物品賃貸業
飲食料品卸売業
銀行業
鉱業,採石業,砂利採取業
学校教育
保健衛生
政治・経済・文化団体
宿泊業
その他のサービス業
放送業
水道業
林業
農業
鉄道業
6.経済活動の状況(4)盛岡広域圏全産業の特徴
盛岡広域圏の全産業(除公務)における特化係数(2012従業者数基準)を下図に示す。農林業、
宿泊業、食品卸、食品製造等の特化係数が高く、広域圏の特徴となっている。
(備考)平成24年経済センサスより作成
3
盛岡広域
2
1
ITサービス産業
食関連産業
7
7.経済活動の状況(5)盛岡広域圏製造業の特徴
盛岡広域圏製造業の付加価値額(=GDP)内訳を下図に示す。食料品製造業が最も多く、全体の約
1/3を占める。食品製造業は長らく苦境が続いてきたが、後述のように、日本酒やスイーツ(←乳製品)
が急成長しつつある。
35000
付加価値額(2012、百万円)
30000
25000
20000
15000
10000
乳製品
他畜産
パン
弁当
牛乳
清酒
肉加工
生菓子
3303
3228
2957
1840
1466
1306
931
763
5000
0
8
8.経済活動の状況(6)盛岡広域圏製造業:一人当たり付加価値
盛岡広域圏製造業の一人当たり付加価値(≒給与、労働生産性)を下図に示す。食品製造業に象徴される労働
集約型が多く、全国平均を下回っており、同改善が若年層定着に重要とみられる。労働生産性の改善には機械化
が必要であり、機械化のポイントは、機械を動かすソフトウエアにある。域内IT人材の活用等が望まれる。
30,000
200%
一人当り付加価値(千円)
同全国比
25,000
20,000
15,000
100%
10,000
石油製品・石炭製品製造業
印刷・同関連業
業務用機械器具製造業
金属製品製造業
パルプ・紙・紙加工品製造業
非鉄金属製造業
窯業・土石製品製造業
電気機械器具製造業
木材・木製品製造業(家具を除く)
鉄鋼業
飲料・たばこ・飼料製造業
製造業計
食料品製造業
はん用機械器具製造業
家具・装備品製造業
電子部品・デバイス・電子回路製造業
その他の製造業
プラスチック製品製造業(別掲を除く)
情報通信機械器具製造業
輸送用機械器具製造業
生産用機械器具製造業
0
繊維工業
5,000
0%
9
平成24年工業統計表「工業地区編」データ [経済産業省大臣官房調査統計グループ] (平成26年4月25日公表)より作成
9.六次産業
6次産業の中核は農産物の直売所である。盛岡の再開発中核テナント(クロステラス盛岡:賢治の大地
館)をはじめ、盛岡広域圏には大規模直売所の集積がみられる。
産地直売所数(2010)農業センサス
岩手県6次産業(百万円、2012、6次産業化総合調査)
30
16,000
24
25
20
15
12,000
3
4
岩手町
10,000
5
葛巻町
10
11
11
紫波町
17
八幡平市
14,000
13
6
盛岡市
滝沢村
雫石町
6,000
矢巾町
0
8,000
4,000
2,000
農家レストラン
農家民宿
観光農園
農産物直売所
農産物の加工
0
10
10.日本酒産業
被災3県の清酒出荷を左図に、岩手県の内訳を右図に示す。震災を契機に高級酒が伸長(最も成長→純
米酒、次に、純米吟醸酒。翌年8月には品薄となりピークアウトしたが需要は強い。一般酒は減少が続く
18
被災3県(岩手、宮城、福島)
清酒出荷(12ヶ月累計千kl)
1,400
岩手清酒出荷量(12ヶ月累計kl)
4,000
品薄
3,500
1,200
17
3,000
1,000
16
2,500
800
15
2,000
純米酒
本醸造酒
純米吟醸酒
吟醸酒
一般酒(右軸)
600
14
400
特定名称酒
13
一般酒
1,500
1,000
200
500
0
0
2103
2107
2111
2203
2207
2211
2303
2307
2311
2403
2407
2411
12
2009_3
2009_5
2009_7
2009_9
2009_…
2010_1
2010_3
2010_5
2010_7
2010_9
2010_…
2011_1
2011_3
2011_5
2011_7
2011_9
2011_…
2012_1
2012_3
2012_5
2012_7
2012_9
2012_…
東日本大震災
2303はH23年3月(2011/3)
(備考)日本酒造組合中央会まとめの概数より作成
11
11.産学官連携
盛岡広域圏には、産学官連携の拠点が多い。分野的には岩手県立大学ソフトウエア学部に象徴される
IT関連が大層を占める。またアルプス電気の開発拠点が存在(2002年撤退)したことから、同スピンアウト
を中心にIT関連起業の集積もみられる。
今後期待されるのは、食品産業等へIT技術を活用し、労働生産性を改善することである。盛岡広域圏に
は、組み込みソフトや生産管理システム等、活用可能な関連IT技術が集積しているとみられる。
機関名
設置者
特徴
1984
岩手県産学官交流アクセスフォーラム
産学官
先駆け
1992
岩手ネットワークシステム
岩手大工学部等
先進事例
2002
岩手県地域連携研究センター
2005県出先⇒岩手県立大学内組織へ
ソフトウエア学部
2003
岩手大学地域共同研究センター
岩手大学
いわて産業振興センター
2004
いわて産学連携推進協議会
岩手大学、岩手銀行、日本政策投資銀行
2006メンバー拡大
2007
岩手医科大学リエゾンセンター
岩手医科大学
薬学部設立を契機
2007
盛岡市産学官連携研究センター(コラボMIU)
岩手大学、盛岡市
デジタルコンテンツ産業等
2008
盛岡市新事業創造センター(M-tec)
工業技術センター隣接
赤武酒造等が入居
2008
いわて未来づくり機構
岩手大学、岩手県立大学、経済同友会等
一次産品の高機能化等
2009
滝沢村(現滝沢市)IPUイノベーションセンター
岩手県立大学
組み込みソフト等
2014
IPU第二イノベーションセンター開所
〃
〃
12
12.分析 全体像
分析のフローを下図に示す
ア
イ
ウ
エ
オ
産業構造の特徴
戦略産業
潜在的資源
経済成長に向けた課題
その他経済戦略の策定において考慮すべき事項
ア
産業構造の特徴
イ
戦略産業
エ
経済成長に向けた課題
ウ 潜在的資源
オ
その他経済戦略の策定に
おいて考慮すべき事項
13