短時間の筋肉タンパク合成反応と筋肉量の変化との関係は? Mitchell

短時間の筋肉タンパク合成反応と筋肉量の変化との関係は?
Mitchell CJ et al. J Appl Physiol 2015; 118: 495-7.
この論文には要旨がないので、以下は内
容の要約。
水素や炭素の同位体元素を含んだアミノ
酸が一定時間内に筋肉タンパクへ取り込ま
れ る 速 度 が 、 筋 肉 タ ンパ ク の 合 成 速 度
(FSR, Fractional Synthesis Rate)とし
て測定されている。栄養成分の補給や運動
でFSRは上昇する。しかし、その反応には
個人差があったり、初めての運動後の上昇
にくらべて二度目以降の運動後の上昇は小
さかったりする。そして、FSRの上昇と筋
肉量の変化とは一致しない。すなわち、FSR
という短時間の変化は、筋肉量の変化とい
う長期間の変化とは一致しない。FSRが上
昇するような刺激が、筋肉を肥大させると
は限らない。
FSRは、さまざまな要因の筋肉タンパク
合成に対する影響の指標になる。しかし、
その刺激が筋肉を肥大させるかどうかは、
長期間の実験によって筋肉量の変化を評価
する必要がある。(2015年3月11日 岡村
浩嗣)
食品中には筋肉タンパク合成を高める成分が
含まれている。これらの食品や成分が、摂取後
短時間の筋肉タンパク合成速度を高める研究は
多い。しかし、長期間の実験で筋肉が肥大した
ことを示した研究は少ない。筋肉タンパク合成
が高まると筋肉が増えると考えがちである。し
かし、筋肥大は合成量が分解量を上回った状態
が数週間あるいは数カ月、続くことが必要であ
る。短時間の筋肉タンパク合成速度だけで評価
された食品や物質による筋肥大が体感されない
ことには、以上のことが関わっていると思う。
(岡村浩嗣)