医療トピックス (癌胎児性抗原) は, 多くの正常組織 (食道, 胃, 大腸, 胆管, 膵, 乳腺, 肺胞, 気管 支など) で産生される糖蛋白であり, それら組織の産生細胞の崩壊, 再生や癌化によって血中 レベルが上昇するとされています。 したがって は癌以外の良性疾患でも基準値を越えるこ とがあります。 加えて, は性差は認めないが喫煙と加齢の影響を少なからず受けることが 種々の報告に見られ, データの読み取りを煩雑にしております。 従来から代表的カットオフ値 は, が用いられていますが, これは, 喫煙量と加齢を考慮することなく定められた健 常人上限値である事より桑原ら1) は, 偽陽性率を低下させる意味で喫煙量, 加齢を考慮したカッ トオフ値 (基準値の上限値) を設定して応用していますので参考にデータを示します。 1) 非喫煙者 ( 歳未満, 歳以上), 喫煙者の血清 (表1) (単位 年 非喫煙者 齢 別 歳未満 歳以上 基準値 (平均値±2 ( ∼ ) ( ∼ ) ) 値 (表1, (表2) (単位 注1) ) 喫 煙 者 ☆表1, 2の検討対象 ・健康診断で異常が認められず喫煙歴が把握できた健康人 (男・女) ・喫煙歴:上記 例を非喫煙者 ( 歳未満, 歳以上) と喫煙者 ( (注1) (ブリックマン指数) =1日の喫煙本数×喫煙期間(年) 2) 各種疾患における血清 ) 基準値 (平均値±2 未満 ( ∼ ) 以上∼ 未満 ( ∼ ) 以上∼ 未満 ( ∼ ) 以上 ( ∼ ) ) ) 例を対象とした。 4段階) に分類して作成した。 値 評 価 癌症例を早期例 (Ⅱ期以 下) と進行例 (Ⅲ期以上) に分けると進行例に高値例 が多く見られる。 一方非癌 疾患 例では 以 上は 例であり他はすべて 未満であった。 し かし前述の年齢, 喫煙量を 考慮した健常人の 値 (カットオフ値) に当ては 図1. 各種疾患における血清 値の分布, 非喫煙健常者の分布 めると異常は6例となり偽 実線:喫煙量別 値の平均値±2 の範囲 陽性率が低下し有意義であっ 破線: 歳未満の非喫煙者の上限値 , 歳以上非喫煙者の上限 , たと述べています。 また禁 一般的カットオフ値 , が 以上の喫煙者の上限値 煙した場合の血清 値の 推移を把握する場合, らは 以上であった喫煙者が禁煙後1ヵ月で低下傾 向を示し更に禁煙後3ヵ月後に喫煙経験者の平均値が非喫煙者のそれに近い値を示したと報告 しており, 参考になるものと考えられます。 文献1) 桑原正喜他 基準値の再検討 (血清 値に及ぼす喫煙, 性, 加齢の影響), 臨床検査 ∼ , . (臨床検査センター検査実施班課長補佐 濱田ミズ子) 鹿児島市医報 第 巻第8号 (通巻 号) (平成 年)
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