ÈÙ Ð ÓÒÓÑ ×¸ ¾¼¼ » ͹ ¾ 漸進的税制改革½ 別所俊一郎¾ これまでの最適課税論の分析は,いわば白紙の状態に最適な課税制度を構築するときの条件を考 えるものだった.最適税制の導入には大きな税率変更が伴うであろうし,そのための管理費用など も無視できないかもしれない.そこでここでは,既存の税制から望ましい税制に変更するときにど のような税制改革を行えばよいかということについて検討する.ここで検討されるトピックは, ¯ 政策担当者の目的を満たし,かつ,実行可能な漸進的改革が存在するか. ¯ もしそのような漸進的改革が存在するなら,その方向性はどのようなものか. ¯ 実際に行われた改革から政策担当者の目的を逆算できるか. といったものである. 「漸進的」改革は,微小な税率の変化として扱われる. 「大幅な」改革を行うと きにはしばしば管理費用( Ñ Ò ×ØÖ Ø Ú Ó×Ø×)がかかるが,ここではそのような管理費用は明示 的には扱わない. Å º¾º 用いる理論 物品税改革を想定する¿.消費者価格ベクトルを Õ ´Ò ¢ ½µ,生産者価格ベクトルを Ô ´Ò ¢ ½µ と し,Ò 財¹À 家計が存在する競争経済を考える.生産者に発生する超過利潤は ½¼¼±課税され,家計 の考慮する価格は消費者価格 Õ のみ,企業の考慮する価格は生産者価格 Ô のみとする.政府は税率 を変更することを通じて消費者ベクトルを操作でき,新たな均衡では消費者価格と税率に整合的に 生産者価格が決まる.ここで扱う問題は,政府が消費者価格を微小に変化させるとき,実行可能で, かつ,厚生が増加するような政策変更が存在するか,である. 実行可能性 ´Õ½ ¡ ¡ ¡ ÕÒ µ から微小な変化 Õ ´ Õ½ ¡ ¡ ¡ ÕÒ µ を加えて新たな消 費者価格 Õ · Õ ´Õ½ · Õ½ ¡ ¡ ¡ ÕÒ · ÕÒ µ とするとき,新たな価格体系のもとでの需要量を満たす だけの生産が企業によって行われるかどうかが,ここでの実行可能性( × Ð ØÝ)の定義. いま,税率変化 Õ を基準化するために,当初の価格 Õ と直交する価格ベクトルすべてからなる集 合 Ì ´Õ µ を考え,Õ ¾ Ì ´Õ µ とする.すなわち, 政府が消費者価格を当初の Õ Õ¼ Õ ¼ ½ Ð ×Ø Ò(½ ),井堀(½ ¼)第 ¿ 章,福島(½ ¿)も参照せよ. ¾ ×× Ó Ø ÓÒº عٺ º Ô.間違いがあったらすぐにお知らせください. ¿ 理論自体は物品税のみに適用されるものではない. ½ ÈÙ Ð 家計 ÓÒÓÑ ×¸ ¾¼¼ » ͹ の需要関数ベクトルを Ü ´Õ µ ´Ò ¢ ½µ,経済全体の生産可能性フロンティアを ´ µ ¾ ¼ で表 現すると,実行可能性の条件は À ´ ´Õ µµ Ü ´Õ µ ¼ ´ º½µ ½ 生産可能性フロンティア上で生産が行われている競争経済では生産者価格ベクトルは接点の傾きに 等しいから,Ö に比例する.税制改革が実行可能であるとき,改革後の資源配分を当初の価格で 評価すると,もとの資源配分よりも支出額は少ない.すなわち, Ò Ò ½ Õ Õ ½ ¼ Ô ここで,総需要関数を価格で微分した行列(Â Ó ¼ Õ½ ºº º ¡¡¡ ºº º Õ½ ¡¡¡ ½ Õ Ò ½ ÕÒ ºº º ½ Ò)を Õ と定義する. ´ º µ Ò ÕÒ これを用いると実行可能性の条件は以下のように行列表現できる. ¼ Ô¼ Õ Õ Ö ¼ Õ Õ ´ º¿µ これは,ベクトル Ö と Õ Õ が鈍角をなすことを示している.ベクトル Ö は生産フロンティア の法線ベクトルであり, Õ Õ は価格変化に伴う総需要の変化であるから,この ¾ つのベクトルが鈍 角をなすということは,変化後の資源配分が生産フロンティア内部にあることを示している .さて, 今後の分析のために,Ö Ö ¼ Õ ¼ Ö ¼ Ô¼ Õ と定義する.すなわち,実行可能性の条件は, ¼ Ô½ Õ½½ · ¡ ¡ ¡ · ÔÒ Õ½Ò Ô½ ½ ºº º ½ ·¡¡¡·Ô Ò ÕÒÒ ÕÒ で与えられる. 消費者価格ベクトルの変化に伴って,新しい均衡では生産者価格ベクトルも変化するが,生産フ ロンティアが連続微分可能であれば,生産者価格ベクトルの変化も微小なものとなる(補題 º½º). 厚生改善 漸進的税制改革による厚生の改善を定義しよう. Ï Ð Ö ÁÑÔÖÓÚ Ò 関数は Ï 家計 の間接効用関数を Î ´Õ µ とおくと, Ö ×ÓÒ¹Ë ÑÙ Ð×ÓÒ 型社会厚生 Ï ´Î ½ ´Õ µ ¡ ¡ ¡ Î À ´Õ µµ となるから,消費者価格ベクトルが変化したときの社会 内積とベクトルの角の関係などについては,たとえば神谷・浦井(½ ¾ )第 章を参照せよ. ÈÙ Ð ÓÒÓÑ ×¸ ¾¼¼ » ͹ ¾ 厚生の変化は Ò À Ï ½ ½ Ï Î Î Õ ÖÏ ¼ Õ Õ ´ º µ と表現できる.すなわち,実行可能で厚生が改善する(ÏÁ Ï Ð Ö ÁÑÔÖÓÚ Ò )改革は ÖÏ ¼ Õ ¼ かつ Ö ¼ Õ ¼ を満たす. È Ö ØÓ ÁÑÔÖÓÚ Ò ¼ 価格変化にともなう各個人の効用変化を ÖÎ Î Õ½ ºº º ½ Î ÕÒ とおき,その ØÖ Ò×ÔÓ× を縦に並べた Ò ¢ Ò 行列 È を定義する. ¼ È ´ÖÎ ½ µ¼ ºº º ´ÖÎ À µ¼ ½ ¼ ν Õ½ ºº º Î Ò Õ½ ¡¡¡ ºº º ¡¡¡ ν ÕÒ ½ ºº º Î Ò ÕÒ このとき,Ò ¢ ½ のベクトル È ¡ Õ は各家計の効用変化を表すベクトルになるから,実行可能 でパレート改善する(ÈÁ È Ö ØÓ ÁÑÔÖÓÚ Ò )改革は È Õ ¼ かつ Ö ¼ Õ ¼ を満たす. それゆえ, 「望ましい税制改革が存在するか」という問題は,実行可能な ÏÁ あるいは ÈÁ な改革の 条件を満たす価格ベクトルの変化 Õ が存在するかどうか,という問題に帰着する. Å º¿º 望ましい税制改革の存在 すでに物品税が導入されているとき,実現している資源配分はすでになんらかの厚生ウェイトの もとで最適となっているか,あるいは,なんらかの 微小な 税率変更によって厚生が改善する余地が あるか,いずれかが必ず成り立つ.これを示すために二者択一定理(Ì ÓÖ Ñ Ó Ø ÐØ ÖÒ Ø Ú ×) を用いる. Ï Ð Ö ÁÑÔÖÓÚ Ò 定理 º½º(ÌÙ Ö³× Ø ÓÖ Ñ Ó Ø ÐØ ÖÒ Ø Ú )行列 とベクトル の次元が等しいとき,以下のいずれか一つのみが必ず成り立つ. ¿ について, の列数と ÈÙ Ð ÓÒÓÑ ×¸ ¾¼¼ » ͹ µ あるベクトル Ü が存在して, Ü µ あるベクトル ݽ 定理 º½º の行列 ¼ と ݾ ¼,かつ, Ü ¼ が存在して, に ÖÏ ¼ ´½ ¢ Òµ, にÖ ¼ ¼ ¾ ¼. ݽ · ¼ ݾ ¼ ´½ ¢ Òµ をあてはめる. ¯ 定理 º½º の µ が成り立つとき,ÖÏ ¼ Ü ¼ かつ Ö が存在するから,この Ü が Õ に相当する. ¼ ¼ が成り立つようなベクトル Ü´Ò ¢ ½µ Ü ¯ 定理 º½º の µ が成り立つとき, × Ð で Û Ð Ö ÑÔÖÓÚ Ò な改革は存在しない.このとき, ¼ ݽ · ¼ ݾ ¼ は,ݽ ݾ をスカラー(½ ¢ ½)として, À ½ Ï Î Î Õ Ò Ý½ · Ô Õ ½ ¼ ݾ ½ ¡¡¡ Ò ´ º½½µ が成り立つ.この式は,物品税の最適化問題の ÇÆ , À ½ Ï Î Î Õ Ò · ¼ Ô Õ ½ ½ ¡¡¡ Ò ´ º¿ µ に対応しているから,このときには社会厚生関数が最大化されている. È Ö ØÓ ÁÑÔÖÓÚ Ò 定理 º¾º(ÅÓØÞ Ò³× Ø ÓÖ Ñ Ó Ø ÐØ ÖÒ Ø Ú )列の数が等しい行列 と行列 について, 以下のいずれか一つのみが必ず成り立つ. µ あるベクトル Ü が存在して, Ü µ あるベクトル ݽ 定理 º¾º の行列 ¼ と ݾ に È ´À ¢ Òµ, ¼,かつ, Ü ¼ が存在して, にÖ ¼ ¼ ¼(ただし, ݽ · ¼ ݾ ¼). ¼ ´½ ¢ Òµ をあてはめる. ¯ 定理 º¾º の µ が成り立つとき,È Ü ¼ かつ Ö が存在するから,この Ü が Õ に相当する. ¼ ¼ が成り立つようなベクトル Ü´Ò ¢ ½µ Ü ¯ 定理 º¾º の µ が成り立つとき, × Ð で È Ö ØÓ ÑÔÖÓÚ Ò な改革は存在しない.このとき, ¼ ݽ · ¼ ݾ ¼ は,ݽ を À ¢ ½ のベクトル¸ ݾ をスカラー(½ ¢ ½)として, À Î ½ Õ Ò · ݽ ½ Õ Ô Ý¾ ¼ ½ ¡¡¡ Ò が成り立つ.この式が È Ö ØÓ ÓÔØ Ñ Ð な配分を特徴づけており,ÊÓÝ³× ´ º½¾µ ÒØ ØÝ を用いてさら に変形される. À Ü · ½ Ò ½ Õ Ô Ý¾ ¼ ½ ¡¡¡ Ò ´ º½¿µ ÈÙ Ð ÓÒÓÑ ×¸ ¾¼¼ » ͹ ¾ 厚生改善な税制改正の存在についての幾何的理解 Ï Ð Ö ÁÑÔÖÓÚ Ò ¼,ÖÏ ¼ Ü ¼ となる ようなベクトル Ü の集合によって定義される空間を考え,それぞれ É Ë とする.このとき,Ü はそれぞれのベクトルと鋭角をなす.よって,É Ë の共通部分が空集合でなければ,共通部 分に対応するベクトルが Õ である(定理 º¿º) È Ö ØÓ ÁÑÔÖÓÚ Ò ベクトル Ö ¼ と ÖÏ ¼ に対して,それぞれ,Ö ¼ Ü ベクトル ´ÖÎ µ¼ とに対して,´ÖÎ µ¼ Ü ¼ となるような Ü の集合 È ´Õ µ を 考える.このとき, Õ ¾ È ´Õ µ で表現される改革は,家計 の効用を増加させる.それゆえ, È ´Õ µ の共通部分が非空であれば,パレート改善な税制改革 Õ が存在する.このとき,´ÖÎ µ¼ がつくる錐( ÓÒ )は ÔÓ ÒØ になる.さらに,È ´Õ µ の共通部分と É との共通部分が非空 であれば,È Ö ØÓ ÑÔÖÓÚ Ò な税制改革が存在する. ÊÓÝ³× ÒØ ØÝ より ´ÖÎ µ¼ «Ü だから,ベクトル ´ÖÎ µ¼ に関する条件は,Ü に関する 条件に書き換えることができる. 情報の必要性 漸進的税制改革,とくに È Ö ØÓ ÑÔÖÓÚ Ò な税制改革の分析を行う場合には,社会厚生関数の形 状を知る必要はない.また,ÊÓÝ³× ÒØ ØÝ のために,所得の限界効用を知る必要もなく,実現した 需要と関連する弾力性がわかれば十分である.Ï Ð Ö ÑÔÖÓÚ Ò な税制改革の分析には社会厚生 関数の形状が必要だが,ベクトルの方向性だけわかればよいので,最適課税そのものを分析するよ りも情報上の要求は低い. Å º º 生産の非効率性との関係 Ï Ð Ö ÑÔÖÓÚ Ò な税制改革が存在するときに,どの税制改革を選べばよいのか,すなわち最適 な税制改革(ÓÔØ Ñ Ð Ø Ü Ö ÓÖÑ)を, Ü Ø ´½ µ の枠組みで考える. ここでは税率の微小な変化を扱っている(線形近似している)ので Õ に何らかの基準化が必要. ここまでは,Õ ¡ Õ ¼ となるように基準化しているが,ここでは異なる基準化を用いる.一般に, ÈÙ Ð ÓÒÓÑ ×¸ ¾¼¼ » ͹ ¾ Û Ð Ö ÑÔÖÓÚ Ò であれば,任意の正の定数 に対して ¡ Õ も Û Ð Ö ÑÔÖÓÚ Ò な税制改革と なるから,税制改革の「大きさ」を ½ に基準化する(ここで,½ は微小な変化を示している).つま り,ベクトル Õ は単位円上にあり, Ò ½ Õ ´ º½ µ ½ また,生産可能性フロンティアによる資源制約を ´Õ½ ¡ ¡ ¡ ÕÒ µ ¼ ´ º½ µ とする.このとき,最適な税制改革を求める最適化問題は以下のように定式化される. Ñ Ü Ï Õ ÖÏ ¼ Õ Ø ØÓ Ö ¼ Õ ¼ Ò Õ ½ ´ º½ µ ½ ラグランジアンと ÇÆ Ä ×Ù ÖÏ ¼ Õ ´Ö は Õµ · ¼ ½ Ò ´ º¾½µ Õ ½ Ä ÖÏ Ö Õ ¾ Õ ¼ ´ º¾½µ Õ は単位円上にあることから, Ò ÖÏ Ö ¾ ½ ÏÐ Ö ¾ ½ ´ º¾¿µ ÑÔÖÓÚ Ò な税制改正が存在するとすれば Ò ½ ¾ ¾ ½ 資源制約 Ö Ò ¼ ½ ¾ ´ÖÏ Ö µ ½ ÕÈÒÖÏ ´ÖÏ Õ ¼ だから, Õ Ö ´ º¾ µ Ö µ¾ ¼ が成り立つから,´ º¾ µ の分母が正であることに注意すれば, Ö ´ÖÏ Ö µ ¼ ½ Ö ¼ ÖÏ Ö ¼ Ö ¼ が成り立つ.それゆえ,ラグランジュ乗数 Ö ¼ ÖÏ Ö ¼Ö ´ º¾ µ について ´ º¾ µ が成立する.ここで,分母は正であるが分子の符号は定まらないから以下のいずれかが成り立つ. ÈÙ Ð ÓÒÓÑ ×¸ ¾¼¼ ¯ Ö ¼ ÖÏ » ͹ ¼ のとき, ¼ だから, ¾ ¼ は等号制約となり,生産の効率性が成り立つ. ¯ Ö ¼ ÖÏ ¼ のとき, ¼ となり, ¼ は不等号制約となる.このとき,生産の効率性は 成り立たず,生産の非効率性が存在する.またこのとき, Õ は ÖÏ に比例する. Ö ¼ ÖÏ の符号は税制改革前(初期時点)の経済状態に依存するから定まらない.すなわち,消費 者価格を微小に変化させたときの社会厚生の変化と,生産量の変化にはなんらかの関係は想定でき ない. 生産の効率性は最適税制では成り立つ( ÑÓÒ Ò Å ÖÖÐ × の補題)が,税制改革の途中では 成り立たないということは,税制改革が最適点を目指す途中では生産フロンティアから外れること もあることを示唆している. ¯ もし,一律の一括税(ÙÒ ÓÖÑ ÐÙÑÔ¹×ÙÑ Ø Ü)が利用可能であれば,税制改革の経路上で生 産の非効率性は発生しない.一括税が利用可能でないときに発生する非効率性を,一括税に よって配分することができるからである. Å º º 逆最適化問題 これまでの分析では,社会厚生関数やそこから導かれる分配ウェイトを所与として最適な税制改 革の可能性を検討してきた.実際の税制がなんらかの社会厚生関数のもとで最適に設計されてい るとすれば,逆に,実際の税制から分配ウェイトを逆算できないだろうか.逆最適化問題( ÒÚ Ö× ÓÔØ ÑÙÑ)はそのような問題を扱う. 理論 ¼ に基準化すると,社会厚生の変化は ÊÓÝ³× 税制改革 Õ を Õ½ ÖÏ À ½ Ï Î Î Õ¾ ¡¡¡ À ½ Ï Î Î ÕÒ À ½ ¬ ܾ ¡ ¡ ¡ と変形できる.ここで ´¬½ ¡ ¡ ¡ ¬À µ は分配ウェイト( ×ØÖ ÙØ ÓÒ Ð Û である. 逆最適化問題:もし現在の税制が最適であれば,ÖÏ ¼ Õ ÒØ ØÝ を用いて À ½ ´½µ ¬ ÜÒ Ø¸ ×Ó ÐÛ Ð Ö Û Ø) ¼ かつ Ö ¼ Õ ¼ は Õ ¼ という自明な 解以外の解をもたない.そのようなとき,´¬½ ¡ ¡ ¡ ¬À µ はどのような値をもたなければならないか を導出する. ´¬½ ¡ ¡ ¡ ¬À µ の解を求めるためには,家計の数 À は財の数 Ò と同じか,少なくなければならな い.もし求められた分配ウェイト ´¬½ ¡ ¡ ¡ ¬À µ が「変な」値であれば,その税制は最適ではない. たとえば,分配ウェイトのいずれかが負の値をとれば,È Ö ØÓ ÑÔÖÓÚ Ò な税制改革が可能. ÈÙ Ð ÓÒÓÑ ×¸ ¾¼¼ » ͹ ¾ 応用 Ñ Ò ËØ ÖÒ ´½ µ インドの家計データを用いて逆最適化問題を応用.財と家計の種類を に集約化し,各所得階層に与えられた分配ウェイトを計算.その結果,第 ½,¿, , , 階 層で分配ウェイトはマイナスの値を示した(Ì Ð º½).すなわち,当時のインドの物品税に は È Ö ØÓ ÑÔÖÓÚ Ò な税制改革の余地があった. Ö ×Ø Ò× Ò Ò Â Ò× Ò ´½ µ 分配ウェイトは政治的プロセスによって決まると想定し,分配 ウェイトの形状に制約をかけて逆最適化問題を応用.政治的に受け入れられる制度改革では各所 得層の所得の変化率が等しくなると想定し,分配ウェイトは所得 Å について ¬ ´Å µ ÃÅ ÒÙ という形状をとるとした.よって,逆最適化問題は の値を推定することに帰着する. ½ ¼ , いくつかの財の外部性を考慮するときには ¼ という結果を得た.このことは,外部性 をはじめとする消費関数の定式化に依存して の値が決まることを示唆している.また,社 会厚生関数はおおむね対数線形(ÐÓ ¹Ð Ò Ö)に近いとも考えられる. ノルウェイの物品税体系へ応用され,各財の消費の外部性を考慮しないときには Å º º 公的資金の限界費用 公的資金の限界費用(Å Å Ö Ò Ð Ó×Ø Ó ÔÙ Ð ÙÒ ×)は,既存の物品税体系が最適かど うかを判定する指標として開発されてきたが,より広く,他の政策評価に応用することもできる. 理論 最適な物品税のモデルを用いる.社会厚生関数を Ï Ï ´Î ½ ¡ ¡ ¡ Î À µ,間接効用関数を Î Ò À ´Õ½ ¡ ¡ ¡ ÕÒ Û Á µ,税収を Ê ½ ½ Ø Ü とする.財 への税率 Ø を微小に Ø だけ変化さ せたときの社会厚生の変分 Ï と税収の変分 Ê は È È À Ï À ½ Ï Î Î Õ Ü · Ê Ò À Ø ½ ½ ´ º ¾µ Ø ½ Ü ´ º ¿µ Ø Õ であるから, Ø だけの変化によって税収が ½ 単位変化したときの厚生の変化は Ï Ê ÈÀ ÈÀ ½Ü · ½ Ï Î Õ Î Ò À È È ½ ½Ø 最適課税における ÇÆ と比較すれば,最適税制であれば また, がたがいに等しくなければ,一定の条件のもとで, るのが望ましい. ´ º Ü Õ はすべての µ に等しいことが分かる. のおおきい財 の税率を引き下げ ÈÙ Ð ÓÒÓÑ ×¸ ¾¼¼ » ͹ ¾ 実証 Ó×Ø Ö Ò Ë Ó ÖØ ´½ µ はベルギーのデータを用いて物品税の Å を計算.½¾ 財につ ½ の値はもちろん, の値に依存する.算出 いて,分配ウェイトを ¬ ´Å Å µ として算出.Å した結果,どの についても各財の Å は一致せず,ベルギーの物品税体系が最適ではないこと が示唆された.また,たばこ税の Å はどの についても他の財よりも高い値を示したので,た ばこ税の税率を引き下げるべきという示唆が得られた. ¯ 物品税に限らず一般に,最適な税制においてはすべてての課税ベースに対する Å の値は等 しくなる.それゆえ,利用可能な課税ベースについての Å を推定することで望ましい税制 改革の方向性を示すことができる.たとえば Ð Ý ´½ µ は Å を累進所得税に応用し ている. ¯ Å は税収 ½ 単位当たりの社会厚生の減少と定義されるので,費用便益分析の「費用」側の 計算にも用いられる.すなわち,特定の公共プロジェクトを調達するために必要な資金は,一 般には全税収に比べれば微小なものであるから,厚生費用を考慮したそのプロジェクトの実効 的な費用は,名目的な費用と Å の積によって近似される. ¯ Å は租税負担の地域的な最適分布とも密接な関係があり,財政連邦制での最適な平衡交付 金の在り方への示唆をも含む. 参考文献 ½ Ñ ¸ º¸ ËØ ÖÒ¸ ƺ¸ ½ º Ì Ø ÓÖÝ Ó Ö ÓÖÑ Ò ÁÒ Ò Ò Ö Ø Ø Ü ×º ÂÓÙÖÒ Ð Ó ÈÙ ¾ ¸ ¾ ¹¾ º ¾ Ð ×Ø Ò¸ ź˺ ½ º ÇÒ Ø Ø ÓÖÝ Ó Ø Ü Ö ÓÖѺ ÂÓÙÖÒ Ð Ó ÈÙ Ð ÓÒÓÑ × ¸ ¹½¼ º ¿ 井堀利宏.½ ¼.公共経済の理論.有斐閣.第 ¿ 章 福島隆司.½ ¿.漸進的政策勧告の経済学.創文社. 引用文献 ½ Ö ×Ø Ò× Ò¸ κ¸ ºËº  Ò× Òº ½ Ð ÓÒÓÑ × º ÁÑÔÐ Ø ×Ó Ð ÔÖ Ö Ò × Ò Ø ÆÓÖÛ Ò ×Ý×Ø Ñ Ó Ò Ö Ø Ø Ü Ø ÓÒº ¹¾ º ¾ Рݸ º ½ º ÈÖÓ Ö ×× Ú Ø Ü Ø ÓÒ Ò Ø ×Ó Ð Ñ Ö Ò Ð Ó×Ø Ó ÔÙ Ð ÙÒ ×º ÂÓÙÖÒ Ð Ó ÈÙ Ð ÓÒÓÑ × ¸ ½¼ ¹½¾¾º ¿ Ü Ø¸ º ½ º ÈÖ ÒÚ × Ò ÓÔØ ÑÙÑ Ø Ü Ø ÓÒ Ò Ñ Òݹ ÓÒ×ÙÑ Ö ÓÒÓÑݺ ÂÓÙÖÒ Ð Ó ÈÙ Ð ÓÒÓÑ × ½½¸ ½ ¿¹½ º Ð ×Ø Ò¸ ź˺ ½ º ÇÒ Ø Ø ÓÖÝ Ó Ø Ü Ö ÓÖѺ ÂÓÙÖÒ Ð Ó ÈÙ Ð ÓÒÓÑ × ¸ ¹½¼ º 神谷和也・浦井憲.½ .経済学のための数学入門.東京大学出版会. ÂÓÙÖÒ Ð Ó ÈÙ Ð ÓÒÓÑ × ½¼¸ ¾½
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