《平成調剤薬局 最新 DI ピックアップ》 平成調剤薬局本部 DI 室‐Vol. 室‐Vol. 17‐ 2013. 07.01 【アダリムマブの適応追加: アダリムマブの適応追加:「腸管型ベーチェット病」に適応取得 「腸管型ベーチェット病」に適応取得】 適応取得】 ヒュミラ皮下注 40mg :アダリムマブ 2013 年 5 月 24 日、生物学的製剤のアダリムマブ(商品名ヒュミラ皮下注 40mg シリンジ 0.8mL)に腸管型ベ ーチェット病(腸管型 BD)の適応が追加された。BD に対する用法・用量は「初回 160mg、初回投与 2 週間後 に 80mg を皮下注射。初回投与 4 週間後以降は 40mg を 2 週に 1 回皮下投与」となっている。日本においてアダ リムマブは、関節リウマチ(2008 年 4 月)をはじめ、尋常性乾癬および関節症性乾癬(2010 年 1 月)、クロー ン病・強直性脊髄炎(2010 年 10 月) 、若年性特発性関節炎(2011 年 7 月)に適応を取得し、すでに広く臨床使 用されている薬剤である。 BD は、口腔粘膜のアフタ性潰瘍、皮膚症状、眼症状、外陰部潰瘍を主症状とし、急性炎症を繰り返しながら 慢性的な経過をたどる全身性炎症性疾患である。病因は、現時点では不明な部分も多いが、ヒトの主要組織適合 抗原であるヒト白血球抗原(HLA)の HLA-B51 というタイプの陽性率が高いことから、BD の発症には特定の遺 伝子素因が関連しているものと推測されている。 BD は、地域的にアジア、中近東、地中海沿岸地方に多く見られ、ヨーロッパ及びアメリカでは極めて稀な疾 患である。日本においては、BD の特定疾患医療受給者数は 1 万 8000 人以上(2010 年 3 月現在)で、このうち 10~15%は腸管型 BD といわれている。BD 発症にはほとんど性差がなく、発症年齢は男女ともに 20~40 歳に 多く、30 歳前半にピークを示すことが知られている。 腸管型 BD の治療は、炎症性腸疾患のクローン病や潰瘍性大腸炎と病態が類似していることから、ステロイド のほか、5-アミノサリチル酸製剤のメサラジン(商品名アサコール)やサラゾスルファピリジン(商品名アザル フィジン EN ほか) 、アザチオプリン(商品名アザニン、イムラン) 、抗 TNF 製剤などによる治療が行われていた。 しかし、どの薬剤も腸管型 BD には適応を有していないのが現状であった。 今回の適応追加により、アダリムマブは、日本で腸管型 BD に適応を取得した初の生物学的製剤となる。アダ リムマブは、炎症性反応あるいは免疫反応に関与する代表的な腫瘍壊死因子である TNFα を中和させるモノクロ ーナル抗体である。 薬剤使用に際しては、国内の臨床試験で何らかの副作用が 89.7%に認められているので十分に注意する必要が ある。主な副作用は、鼻咽頭炎(34.7%)、注射部位紅斑(11.7%)、注射部位反応(9.3%)、発疹(8.8%)、上 気道感染(7.4%)などであった。重大な副作用としては、従来からの警告欄にも記載されているように「結核、 肺炎、敗血症を含む重篤な感染症、脱髄疾患の新たな発生もしくは悪化」などが報告されている。 なお、今回 BD の適応が追加されたのは 40mg 製剤のみであり、20mg 製剤はこの適応を取得していないので 留意しておきたい。 (日経 DI オンライン: 2013. 6. 14 より引用)
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