熱海市地域新エネルギービジョン概要版 エネルギーと環境 ●地球温暖化とエネルギー 近年重要視されている地球温暖化の問題は、化石燃料の燃焼により発生する二酸化炭 素(CO2)濃度の増加が要因とされており、エネルギー消費と密接な関係があります。 これまでに発表された報告によると、人類が世界に放出する二酸化炭素ならびにその 他の温室効果ガス*が過去 50 年間に観測されてきた温暖化の実質的原因になっており、 2100 年までに地球表面の平均気温は 1990 年比で「1.4~5.8 度上昇する」とされていま す(「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第 3 次報告書)。 温室効果ガス ∗ このような気温の上昇を食い止めるために温室効果ガス特に二酸化炭素の早急な 排出抑制対策が望まれています。このため、2005 年 2 月 16 日に「地球温暖化防止の ための京都議定書」が発効されることとなりました。これを受け日本は、2010 年ま でに 1990 年比で温室効果ガスの 6%を削減することが義務付けられました。 適度な温室効果 温室効果ガスが濃い場合 年 平 均 地 上 気 温 の 平 年 差 0.80 0.60 0.40 0.20 0.00 -0.20 -0.40 -0.60 -0.80 -1.00 平均気温(世界) 移動平均(5年) 2000 1995 1990 1985 1980 1975 1970 1965 1960 1955 1950 1945 1940 1935 1930 1925 1920 1915 1910 1905 1900 1895 1890 1885 1880 地球温暖化の仕組み 年 過去100年間で約0.7℃の上昇 【気象庁「気候変動監視レポート」資料より作成】 地球表面の平均気温の推移 ∗ 温室効果ガス:大気中の気体が地表面から放出される赤外線を吸収し、熱を逃げにくくし地表面にもどす ため気温が上昇する現象のことを温室効果と呼びます。赤外線を吸収する気体には、水蒸気、二酸化 炭素、フロンガス、メタンガスなどがあり、温室効果ガスといわれています。 1 熱海市地域新エネルギービジョン概要版 ●エネルギー消費の抑制とエネルギー資源の確保 わが国のみならず世界的にエネルギーの消費の伸びは大きく、将来的にもその伸びは増 加するといわれており、石油を初めとする限りあるエネルギー資源の枯渇が心配されて います。また、世界第 4 位のエネルギー消費大国であるわが国は、化石燃料の大半を海 外に依存しており、これに代わるエネルギー資源を確保することが重要課題です。 ●新エネルギーの必要性 地球温暖化への対応とエネルギー資源の確保のためには、自然に多く存在し、循環再生可 能であり、かつ二酸化炭素の排出が少ない環境にやさしいクリーンな「新エネルギー」の 活用が期待されています。 新エネルギーには、太陽や風のエネルギーを電気に変換する太陽光発電、風力発電など の自然エネルギー、廃棄物をエネルギーとして利用するもの、電気自動車、天然ガスコー ジェネレーションのように今まで無駄にしていたエネルギーを有効に使うエネルギー利 用の方法などがあります。 技術面、経済 性から実用 化、普及して いるもの 供給サイドのエネルギー(再生可能エネルギー) 自然エネルギー リサイクル エネルギー 水力発電 地熱発電 新 エ ネ ル ギ ー 廃棄物発電 廃棄物熱利用 廃棄物燃料製造 温度差エネルギー 太陽光発電 太陽熱利用 風力発電 雪氷熱利用 技術面、経済性 から実用化の段 需要サイドの エネルギー バイオマス発電 バイオマス熱利用 バイオマス燃料製造 クリーンエネルギ自動車 クリーンエネルギ- 自動車 (輸送用代替燃料) 燃料電池 天然ガス 天然コージェネレーション ガスコージェネレー ション 燃料電池 海洋エネルギー (波力・温度差等) 階に達していな 地域新エネルギー (広義の新エネルギー) いもの 新エネルギーの分類 「新エネルギー」は、地球温暖化対策に加え、資源が少ないわが国にとって有益なエネ ルギー資源です。わが国は、2010 年までにこの新エネルギーの導入量を全エネルギー総 供給量の 3%を目標としています。 2 熱海市地域新エネルギービジョン概要版 熱海市におけるエネルギー事情 ●本市におけるにおけるエネルギー需要量の現況 熱海市全体のエネルギー需要量は、原油に換算しておよそ 103,000kl/年であり、ドラム缶 約 52 万本に相当します。需要量の最も多い部門は、民生部門業務用の約 54,000kl/年であ り、全需要量の 52.5%を占めています。これに次いで需要の多いの運輸部門(約 23,000kl/ 年)、民生部門家庭用(16,000kl/年) 、産業部門(約 10,000kl/年)の順となっています。 エネルギー種別にみると、需要量の多いのは、電力で全体の需要量の 33%を占めています。 このうちの約 60%は民生部門業務用です。重油の需要量 17.3%と多く、その約 90%は民 生業務用です。また、ガソリンの需要量も多く、その需要は自動車によるものです。これ らのことから民生部門業務と運輸部門でのエネルギー消費抑制対策が重要なことがわか ります。 30,000 原油換算値(kl/年) 25,000 産業 9.9% 運輸 22.1% 20,000 15,000 10,000 5,000 0 ン ソリ ガ 灯 油 軽 油 重 油 類 G LP 都 市 ガ ス 力 電 産 民 生 業 部 運 輸 部 門 部 門 民生 (業務用) 52.5% 門 部門別エネルギー需要量および部門別割合(原油換算) ●本市における二酸化炭素排出量の現況 熱海市全体の二酸化炭素排出量は、年間 31 万t-CO2*であり、排出量が最も多い部門は、 ∗ 民生部門業務用で全体の 54.3%を占め、次いで運輸部門の 19.4%となっていました。エ ネルギー種別にみると、排出量が最も多いのは、エネルギー需要量と同様に電力で全体の 35.8%を占め、次いで重油類の 16.1%となっておりました。これらの多くは民生部門業 務用からの排出です。また、運輸部門でのガソリン消費による排出も 13.0%と多くこれ らのことから、二酸化炭素排出抑制対策としても民生部門業務および運輸部門での対策が 望まれます。 ∗ t-CO2(トン/カーボン):二酸化炭素(CO2)の量を重量で表したもの。 3 民生 (家庭用) 15.5% 熱海市地域新エネルギービジョン概要版 90,000 80,000 産業 10.0% 運輸 19.4% 70,000 60,000 50,000 民生 (家庭用) 16.3% 40,000 30,000 20,000 10,000 0 民生 (業務用) 54.3% 油 運 民 力 電 都 市 ガ ス LP G 重 油 類 軽 油 灯 ガ ソリ ン 二酸化炭素排出量(t-C/年) 100,000 産 業 部 生 部 輸 部 門 門 門 熱海市における部門別二酸化炭素排出量および部門別排出割合 ●熱海市における新エネルギー賦存量 熱海市にどれ位新エネルギーが存在す るかを知るために、市内における新エネル ギー賦存量(期待可採量*)を推計しまし た。その結果、全新エネルギー量を原油の 新エネルギー 新エネルギー 賦存量 賦存量 量で表すと、市内の全エネルギー需要量の 29,040 29,040 103,000 103,000 エネルギー エネルギー 需要量 需要量 約 28%に相当する約 29 千kl/年であるこ とがわかりました。これは、ドラム缶約 15 00 万本に当ります。電力利用でみると、約 94 50,000 100,000 50,000 100,000 原油換算量(kl/年) 原油換算量(kl/年) 新エネルギー賦存量とエネルギー需要量の比較 新エネルギー賦存量とエネルギー需要量の比較 千 MWh**/年と算定され、これは、約 27,900 世帯の電力を賄える量となります。 賦存量として最も多いのは、「ガソリン 車やディーゼル自動車をクリーンエネル ギー自動車に転換すること」であり、次い GCG 7.0% で太陽光発電で全体の 16.5%となってお 中小水力発電 0.2% 波力 温度差 2.0% 8.1% 太 陽 光 16.5% 太陽熱 7.5% り、これと熱利用を合わせると、太陽エネ ルギーとして全体の 24.0%を占めていま ∗∗ 風 力 8.9% CEV 23.6% ∗ す。また、3番目に多いのはゴミ焼却によ ゴミ燃焼 13.8% るエネルギーで全体の 13.8%を占めてい バイオマス 12.6% *CEV:クリーンエネルギー自動車、GC:天然ガスゴジェネレーション ます。これらのエネルギー利用が有利なこ 熱海市における新エネルギーの賦存割合 とがわかります。 ∗ 期待可採量:エネルギーの存在量を表すもので、採取するための効率などエネルギー利用技術上の制約条 件を考慮した上で利用の可能性が期待される量。経済性や社会条件による制限要因は考慮しない。 ∗∗ Wh(ワットアワー): 仕事量、電力量を表す単位で、1Whは 1Wの仕事率で 1 時間になす仕事量、あるいは 1Wの電力を 1 時間消費した電力量。1kWh=1,000Wh、1MWh=106Wh、1GWh=109Wh 4 熱海市地域新エネルギービジョン概要版 熱海市の種類別新エネルギー賦存量 エネルギー源 太 陽 熱利用 (GJ/年) 光発電 (182,850) 熱利用 82,690 風力発電 (98,680) 農業廃棄物 バ イ オ マ ス 期待可採量 電力利用 原油換算 (MWh/年) (kl/年) 50,790 − 27,410 割合 (%) 4,787 16.5 2,165 7.5 2,583 8.9 4,150 [320] 109 0.4 木質バイオマス 101,800 [8,100] 2,665 9.2 し尿メタン醗酵 880 [70] 23 0.08 8,310 [660] 218 0.8 下水汚泥メタン醗酵 生ゴミのメタン発酵 24,230 [1,920] 634 2.2 小 計 139,370 [11,070] 3,649 12.6 可燃ゴミの燃焼 152,880 [12,130] 4,002 13.8 クリーンエネルギー自動車 261,800 [72,800] 6,853 23.6 9,200 2,021 7.0 [24,850] 2,342 8.1 44,100 天然ガスコージェネレーション (33,100) 温度差エネルギー(温泉排熱) 89,450 中小水力発電 海洋エネルギー(波力発電) 合 合 計 計(電力分を含む) (2,230) 620 58 0.2 (22,030) 6,120 577 2.0 803,390 1,142,280 94,140 − − 29,037 − 100 注) 1.風力の期待可採量は1,000kW級風車で風車間隔10D×10D とした場合の値である。(Dは風車直径) 2.熱利用における ( ) 内の数値は 1kWh=3.6MJ として電力利用を換算した値である。 3.原油換算には原油の発熱量1 l=38.2MJとした。 4.[ ]は熱利用を優先し、電力利用としては合計に加えない。 日射量は場所による大きな差はなく、エネル ギー源として市内に広く分布しています。 風力発電に適した風速 6m/s以上の場所は 山間部にのみ偏在しています。 熱海市における日射マップ 熱海市における風況マップ(地上高 30m) 5 熱海市地域新エネルギービジョン概要版 新エネルギービジョンの導入目標と基本方針 熱海市環境基本計画の「めざす環境像」である『自然にめぐまれた心あたたまる街、 環境にやさしい熱海』を新エネルギーの活用推進の面から実現するため、以下の導入目 標とキャッチフレーズを設定し、新エネルギーの導入を図ります。また、導入目標達成の ために基本方針を定めました。 【導入目標】 クリーンエネルギーあふれるまち、熱海 【キャッチフレーズ】 みんなでつくろう、熱海の新エネルギー 新エネルギー導入の目標とキャッチフレーズ 「まちづくり」の視点からみた新エネルギー導入の基本方針 ◇環境への負荷の少ない持続発展が可能な社会の構築のために新エネルギ ーを活用する。 ◇新エネルギーを一般に広く普及させる。 熱海市の特性からみた新エネルギー導入の基本方針 ◇新エネルギーを課題解決に活用し、観光の振興に役立てる。 ◇豊かな自然や観光地としての特性を新エネルギーとして活用する。 新エネルギー導入の基本方針 6 熱海市地域新エネルギービジョン概要版 新エネルギー導入の基本方針と新エネルギーの導入適用性に基づき熱海市において積 極的に導入すべき新エネルギーを位置づけました。 新エネルギー導入のための施策 施策 1: 活用する新エネルギー 観光と連系した新エネルギーの活用 ○生ごみ活用プロジェクト ------------------------------- ・生ごみのメタン発酵 ○天然ガスコージェネレーション導入プロジェクト --------- ・天然ガスCGN ○エネルギーアイランドプロジェクト --------------------- ・太陽光発電システム ・マイクロ風車/太陽光発電 ハイブリッド街灯 ○温泉活用プロジェクト --------------------------------- ・温度差エネルギー (温泉熱:温度差発電) 施策 2: 自然エネルギーの積極的な活用 ○エコスクールプロジェクト ----------------------------- ・太陽光発電システム ○災害対策プロジェクト --------------------------------- ・災害対応太陽光発電システム ○民間導入プロジェクト --------------------------------- ・産業用太陽光発電システム ・住宅用太陽光発電システム ○風力発電プロジェクト --------------------------------- ・風力発電システム 施策 3: 普及・啓発および環境教育の推進 ○クリーンエネルギー自動車導入プロジェクト ------------- ・ハイブリッド自動車 ○新エネルギーの身近な活用推進プロジェクト -------------・マイクロ風車/太陽光発電 ハイブリッド街灯 ・BDF ∗ の活用 ○ソフトの強化 ----------------------------------------- ・全ての新エネルギー 新エネルギー導入の施策と活用する新エネルギー ∗ BDF(バイオディーゼルフューエル):生物体を元にした軽油の代わりに使う燃料。てんぷらや揚げ物をした 後の捨てる油(廃食油)を精製すると軽油代替燃料であるBDFができます。 7 熱海市地域新エネルギービジョン概要版 積極的に導入すべき新エネルギーの中から重点的に導入を図るものに関してその具体 的な利用法を重点プロジェクトとして示しました。 新エネルギー導入重点プロジェクトの概要 プロジェクト 導入エネルギー 生ごみ活用 プロジェクト 概 要 観光宿泊施設から多く発生している「生ごみ」をメタン醗酵させバイオガスを作り発電、 熱利用、自動車燃料への利用を行います。将来的には、飲食店や家庭か バイオマスエネルギー ら発生する生ごみも対象とすることを視野に入れます。観光宿泊施設か (メタン発酵) ら発生する生ごみをエネルギー資源として捉え、有効利用することで観 光地としての課題解決に取組む先進的な姿勢を全国にPRできます。 コージェネレー 本市では大きなホテルが多く営業しています。これらでは電気と熱の両 シ ョ ン 導 入 プ ロ ジ 方の需要が多いため、この両者を効率良く作り出せるコージェネレーシ ェクト ョンは本市にとって有効な新エネルギーです。そこで、将来の天然ガス 天然ガスコージェネレ 化を睨み、天然ガスコージェネレーションの導入を奨励します。 ーション エ ネ ル ギ ー ア イ ラ エコアイランド化を目指している初島は、太陽エネルギーが市内でも特 ンドプロジェクト に豊富です。この豊富な太陽エネルギーを畜養施設へ活用します。また、 太陽光発電 島内トイレの浄化槽消費電力も太陽光発電システムやマイクロ風車で マイクロ風力発電 賄います。さらに、計画されている周遊道路にマイクロ風車と太陽光発 電ハイブリッド街灯を設置します。 温 泉 活 用 プ ロ ジ ェ 本市では温泉が多く湧出しています。この温泉の熱をエネルギー クト として利用します。温泉の熱を熱源とするランキンサイクルを使 温度差エネルギー った温度差発電を温泉のある学校へ試験的に導入し、温泉熱の効 (温泉:温度差発電) 率的な利用の先導的な検討を行います。 エコ・スクールプロ 学校で使われる電力の一部を太陽光発電で賄います。 ジェクト 学校に導入することにより、生徒への新エネルギーに対する意識の啓 太陽光発電 発とともに環境教育にも役立ちます。 クリーンエネル ギー自動車導入 プロジェクト 現在実用化が最も進んでいるハイブリッド車を中心にクリーンエネ ハイブリッド自動車 ンエネルギー自動車に転換します。 ルギー自動車の導入を図り、市内における運輸部門での燃料消費・ 二酸化炭素排出の削減に役立てます。市は率先して公用車をクリー 新 エ ネ ル ギ ー の 身 公園、学校の通学路等へマイクロ風車と太陽電池のハイブリッド街灯 近 な 活 用 推 進 プ ロ を導入することにより市民への新エネルギー利用を PR します。また、 児童・生徒の環境教育に役立てます。 ジェクト 太陽光発電 廃食油を回収し BDF 化・燃料利用を市民参加により検討します。こ マイクロ風力発電 れは、観光施設や飲食店が市民と連携した取組を行うことによって観 廃食油の BDF 化 光地による先進的な事例となります。 その他に、 「災害対策プロジェクト」 、 「民間導入プロジェクト」、 「風力発電プロジェク ト」、「新エネルギー導入のためのソフトの強化」など、各種のプトジェクトを推進しま す。 8 熱海市地域新エネルギービジョン概要版 新エネルギー導入モデルプロジェクト 熱海市において導入の可能性が高い新エネルギーの利用を推進するため、重点プロ ジェクトについて具体的な検討を行いました。主なものを以下に紹介します。 ◆生ごみ活用プロジェクト 観光地として知られる本市にはホテル等の宿泊施設や飲食店等が多く、業務系の生 ごみが日常的に多く発生しています。この生ごみをメタン発酵しエネルギー利用する バイオガスプラントの導入を検討します。このプロジェクトにより得られるバイオガ ス分の燃料消費量と二酸化炭素排出量の削減を図ることができます。また、「ごみ」 の発生が多いという本市の課題に対する対策の一助ともなるものです。 バイオガスプラントシステム図(例) 【出典:メーカーパンフレット】 ◆天然ガスコージェネレーション導入プロジェクト 本市は観光都市であるため、ホテル・ 旅館等の宿泊施設が多く営業しており、 これらの宿泊施設では、電気と熱の両方 を多く消費しています。このような電気 と熱の両方を消費する施設に有効な新 エネルギーである天然ガスコージェネ レーションの導入を推奨します。天然ガ スコージェネレーションは電気と熱の 総合効率が高いため燃料と電気の消費 量が削減でき、二酸化炭素の排出抑制に コージェネレーションシステム概念図 つながります。 9 熱海市地域新エネルギービジョン概要版 ◆エネルギーアイランドプロジェクト 熱海沖に浮かぶ初島は観光の島で、島全体のエコアイラ ンド化をめざしています。その一環として、豊富な太陽エ ネルギーを利用する太陽光発電システムや小さな風力発電 システムの導入を行います。 ①畜養施設への太陽光発電システム設置 初島畜養施設 ②公衆トイレへの太陽光発電システムの設置 ③公園の街灯をマイクロ風力・太陽光発電ハイブリッド街灯へ交換 ④周遊道路へマイクロ風力・太陽光発電ハイブリッド街灯の設置 太陽電池 接続箱 パワーコンディショナ 分電盤 商用系統 ~ 畜養施設 畜養施設の太陽光発電システム構成図 公衆トイレ太陽光発電システム設置例 ◆温泉活用プロジェクト マイクロ風車・太陽光発電 ハイブリッド街灯設置例 本市は、日本有数の温泉地であり多くの温泉が湧出しています。この豊富な温泉の 熱エネルギーの積極的な利用を図ります。熱海市立第二小学校では温泉水を水道水で 希釈して温泉プールに利 タービン 用しています。そこで、ア 校内電気 設備 ンモニア等を作動流体(冷 発電機 媒)として用い、温排水な どを熱源として、作動流体 電気 温水プール 蒸発器 凝縮器 を蒸発させ、その蒸気でタ ービンを回転させて発電 を行うランキンサイクル 温泉水 P 冷水 発電システムを導入し、得 作動流体ポンプ られた電気を校内の電気 温泉水利用のランキンサイクルによる温度差発電システム概念図 設備で利用します。このシ ステムを導入することによりエネルギー消費や二酸化炭素排出の低減を図ることが 可能です。 10 熱海市地域新エネルギービジョン概要版 ◆エコスクールプロジェクト 本市には、14 校の小中学校があり、多くの電力が消費されています。そこで、こ れらの校舎屋根や空きスペースに太陽光発電システムを設置し、照明等に発電電力を 用いることで、消費の削減を図ります。また、このことは、児童・生徒への新エネル ギーの普及啓発や環境教育としても役立つものです。また、避難場所として指定され ている学校に蓄電池設備を併設し、災害時の自立型エネルギーシステムとして利用す れば、さらに有効な活用がなされます。 太陽光発電システム導入事例と啓発表示板の例(京都府八木中学校) ◆風力発電プロジェクト 本市では、風況の良好な場所では風車建設に対する規制があったり、立地条件が厳 しかったりと風力発電に適した場所はあまりありませんが、風力発電は成熟した技術 であるため適した場所が選定されれば地球温暖化対策やエネルギー対策として有効 な方法です。そこで、今後適地の選定や風況調査の実施等の風力発電可能性をさらに 検討します。 電気利用施設 一般高圧配電線 分電盤 風車 系統保護装置 昇圧トランス オペレーション コンピューター コントロール パネル 信号ケーブル 高圧配電線 電源ケーブル 注)100%売電の場合「電気利用施設」は不要となる。 風力発電システムの構成図(風力発電導入ガイドブック、NEDO) ◆クリーンエネルギー自動車プロジェクト 本市では運輸部門によるエネルギー消費と二酸化炭素排出量が民生部門業務につ いで多くなっています。そこで、燃費が良く、CO2やNOxの発生も少ないクリーンエ ネルギー自動車を市内の現行車両と入れ換えることによりエネルギー消費とCO2 11 熱海市地域新エネルギービジョン概要版 の抑制を図ります。クリーンエネルギー自動車と しては現在実用化され普及が進んでいるハイブリ ッド自動車を対象とします。 ◆身近な新エネルギー導入プロジェクト マイクロ風車・太陽光ハイブリッド街灯は、値 ハイブリッド自動車(熱海市所有) 段が他の新エネルギー機器と比較して安価なこと や小さな風車や太陽光発電装置など一般の人も親しみ易い新エネルギー機器である ことから導入が容易です。このため、広場や公園など人が多く集まる場所に設置す ることで新エネルギーの普及・啓発を図ります。また、ワカガエルステーション等 の市民に親しみのある公園内や公園に付帯する施設に太陽光発電システムを設置し、 市民への新エネルギー活用の啓発に役立てます。 また、市内ホテルや旅館あるいは家庭から出る廃食油から作った BDF を市内を走 行しているディーゼル車「湯~遊~バス」の燃料として活用します。 ワカガエルステーション プロペラ型ハイブリッド街灯 ◆ソフト的プロジェクト 新エネルギーに関する認識は一般に未だ低いため、新エネルギー導入を促進するため には、地球環境問題やエネルギー問題に対する認識を高め新エネルギーの必要性を市 民・事業者が理解することが必要です。そのためにハード面での取組のみならずソフト 面の以下のプロジェクトを実施します。 ■総合学習の時間を活用した環境学習授業 ■環境・新エネルギーに関するセミナー、講演会の実施 ■新エネルギー実験教室の開催 ■新エネルギー・環境教育に関する情報発信 ■市独自の助成制度の創設 ■実践グループによる継続的な活動支援 12 熱海市地域新エネルギービジョン概要版 ●重点プロジェクトの効果 主な重点プロジェクトについて、その効果を以下にまとめました。 主な新エネルギー導入重点プロジェクトの効果 プロジェクト 導入 エネルギー 規 電力,燃料 削減量 模 設備規模: 生ごみ活用 プロジェクト バイオマスエ ネルギー(メ タン発酵) コージェネレー ション導入プロ ジェクト 天然ガスコー 設備容量: ジェネレーシ 320kW ョン 発電電力: 生ごみ量 343,300kWh 7t/日相当 発電電力: 2,520,000kWh エネルギー CO2排出 削減量 削減量 (原油換算) 64,800 l 87t その他 の効果 発生ごみ 対策 観光地で 595,000 l 740t の先進事 例 畜養施設太陽 エネルギーアイ ランドプロジェ クト 太陽光発電 マイクロ風力 発電 エコ・スクール プロジェクト 太陽光発電 風力発電 プロジェクト 風力発電 クリーンエネル ギー自動車プロ ジェクト ハイブリッド車 光発電システ 初島のエ ム 発電電力: 設備容量: 6,700kWh 1,580 l 4.5t 6kW コアイラ ンド化 普及啓発 設備容量: 発電電力 40kW 45,000kWh 設備容量: 発電電力 600kW 1,626,000kWh ガソリン 12,600 台 2,000kl 環境教育 11,000 l 30t 普及啓発 災害対策 384,000 l 515t 1,820,000 l 4,800t モニュメ ント 環境対策 注)電力・燃料削減量、原油換算及びCO2排出削減量は年間値。 熱海市地域新エネルギービジョン推進に向けて 本ビジョンにおいて設定した新エネルギーの導入目標「クリーンエネルギーあふれ るまち、熱海」を達成するためには、行政の率先的な導入や広報・啓発活動に加えて、 新エネルギー利用への理解と協力のもと、市民・事業者・行政が一体となった「まち ぐるみ」の取組みが不可欠です。 そこで各主体が、それぞれに自ら進めていかなければならない役割についてまとめ ました。 13 熱海市地域新エネルギービジョン概要版 行政の役割 ① 公共施設等への率先的導入 ② 市民や事業者への新・省エネルギーに関する推進と支援 ③ 地域活性化のための新エネルギーの導入 ④ 国・県・周辺自治体への働きかけ 市民・事業者の役割 ① 家庭や事業所への導入 ② 家庭や事業所における新エネルギーに関する普及・啓発 ③ 新エネルギー導入に関する活動 また、本ビジョンを遂行する上では、国、県、周辺自治体等との協力・連携関係を 構築し、具体的な検討を進めていくことが肝要です。そこで、以下の推進体制により 新エネルギーの導入に努めます。 国・県・NEDO・NEF 等 情報・助成・アドバイス 周辺自治体 学識経験者 熱海市環境基本計画 情報・協力 熱海市地域新エネルギービジョン 市民福祉部 情報・アドバイス 環境課 熱海市 環境基本計画 新エネルギー導入協議会(仮称) 推進協議会 市民代表 事業者代表 情報・意見・提言・技術開発 情報・意見・提言 地域団体 住民団体・NPO 等 住 民 静岡県地球温暖化防止 活動推進センター 新エネルギー導入に係る推進体制 14 事 業 者 熱海市地域新エネルギービジョン概要版 発行:平成 17 年2月 熱海市環境課 環境企画室 〒413-8550 熱海市中央町1番1号 TEL 0557-86-6272 FAX 0557-86-6276 メ ー ル 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