高萩市立秋山中学校 - 茨城県教育委員会

別添7
高萩市立秋山中学校
1
学校の概要
学校名
住所
協力校のURL
eメールアドレス
本事業の取 組 に関 連 する URL
高萩市立秋山中学校
茨城県高萩市高萩大字高萩273番地
http://www.city.takahagi.ibaraki.jp/aki-jhs
aki2-jhs@city.takahagi.ibaraki.jp
http://www.city.takahagi.ibaraki.jp/aki-jhs
学年
1年
2年
3年
学級数
3
3
2
4年
5年
6年
特別支援学級 教員数
2
21
児童生徒数
2
85
103
74
6
研究のねらい
(1)全国学力・学習状況調査,県学力診断のためのテスト等での結果を分析し,生徒
の実態をもとに授業を改善し,「わかる・楽しい授業」の工夫改善を図る。
(2)生徒が学校や家庭で主体的に学習に取り組む学習習慣づくりに,家庭と連携して
努める。
3 研究の概要
(1)研究の進め方
本校の学校経営の重点,努力事項の達成を目指して全職員で研究を進めることと
した。
①学校経営の重点
【学習指導】 ・主体的な学びを引き出す多様な指導法の工夫・改善
②努力事項
○ わかる・楽しい授業を目指し,指導方法を創意工夫し,確かな学力の定着に
努める
(2)研究の内容
①実態把握
20年度の県の学力診断のためのテストの結果を教科ごとに分析し,生徒の実
- 1 -
態を把握するとともに,「観点別の課題」を押え,「指導改善のポイント」と「今
後の支援」をまとめ,各教科の「学力向上支援プラン」を作成した。(資料下)
学力向上支援 プラン(理科)
☆
「県学力診断のためのテスト」分析と考察
理科部
1∼3年ともに,科学的な思考の観点に関する問いで,県の正答率を下回る結果が
多くみられた。内容の例として,1年では,「電流の向きと電磁石の極の変化」,2年
では,「面積と圧力の関係」,3年では,「1日の気象要素の変化」などであり,得た知
識を活用して考える力や計算力が不足していると考えられる。
分野別にみると,1年では,「物質とエネルギー」の領域における電流に関する内
容や「地球と宇宙」の領域における地層,火山に関する内容の正答率が低い。2年で
は,主に「化学」に関する領域で正答率が低く,3年では,主に「回路と電流」の領
域で正答率が低かった。上記の苦手な領域を念頭におき,同じ内容の領域を,今後,
学年が進むにつれて学習する際には,より一層,生徒の既有の知識の確認や復習を行
うことを意識して授業を展開するなど,工夫する必要がある。
☆
観点別の課題
科学的な思考
・問いの文章を理解する力やそれに対して自分の考えを理論的にまと
めたり,表現したりする力
・基礎的な計算力
観察・実験の
技能,表現
・回路図の作成等
・電流計など実験器具の使い方等
知識・理解
☆
・事物・事象の正しい理解
・重要語句の意味の理解
指導改善のポイント
科学的な思考
観察・実験の
技能,表現
知識・理解
☆
・自分の考えや実験結果の予想などをしっかりと書いたり,発表でき
るような場の確保する。
・計算力を補うため,時間を確保し個別指導に努める。
・グラフ,回路図などは,実験毎にできるだけ生徒の表現する機会を
増やしたり,レポート,ノート提出時に正しく表現しているか,指
導を心がける。
・実験器具等の使い方に関しては,パフォーマンステストなどを取り
入れていきたい。
・授業のはじめに,前時の学習における重要語句の確認などを行う。
今後の支援
・観察・実験を柱にし,目的意識をもって学習に取り組めるよう努め,理科学習全体の
学力向上につなげる。
・文章でまとめたり発表したりする表現力や計算力は生徒によって差が大きいため,個
別指導を行うなどして支援したい。
・知識面は,授業の導入時における復習や理科力テスト,プリント等を活用して学力の
定着を図りたい。
また,学習状況調査については,全国学習状況調査の生徒質問紙から学習にか
かわる項目を12項目取り出し,12月に全学年・全生徒を対象に実施し,状況
を把握するとともに,3年生については4月からの変容を確認した。
②研究の実際
ア
授業研究 「わかる・楽しい授業」
全職員が一人一提案授業を行い,授業参観者が授業評価を行い,指導改善に
- 2 -
努めた。その際,各教科の「学力向上支援プラン」具現化にあたった。
また,その分析結果と国語と数学で行う指導の改善との関連を図り,国語と
数学で行う指導の改善について,かかわりがあることについては授業で積極的
に取り入れることを確認し,支援していくことにした。
5
この時期の日本と世界の関係,日 ・学習したことをもとに,時代のタイトルやス
本の立場等を3,4の学習をもとに, ローガンを作るような感覚で短く表現するよ
自分の言葉で表現する。
う助言する。
・世界に飛び出す日本
・世界に負けるな日本
(評 知①)日本と世界の関係,日本の立場等
・世界と戦う日本
を自分の言葉で表現することがで
・世界のねらいは日本
きたか。(ノート)
・不平等条約をぶっ飛ばせ
【Aと判定する根拠】
・不平等条約なくして対等
・日本と世界の関係,日本の立場等を学んだこ
日本の地位
とをもとに具体的に短い言葉で表現している。
・鹿鳴館踊ってなくせ不平等
【Cと判定される生徒への支援】
・欧米をまねて目指せ近代化
・学んだことからキーワードを選ばせ,そこか
等
ら表現できるよう個別に助言する。
6
時代の特色を表現したタイトルや ・発表を聞いて,時代の特色について大観して
スローガンを表現したものを発表し
いる表現を共有し合えるようにする。
合い,時代の特色を確認する。
社会科指導案
展開の一部
また,生徒に向けては「学習の進め方」として,学習への取組やノートの使
い方,家庭学習等の学習習慣や取組についてを,
「学習の手引き」の中に示し,
学校としての支援を明確にした。教師側としては「学習活動の支援」として,
授業や板書,家庭学習の支援等の学習支援について職員全体で確認し,共通理
解を図って学校全体としての支援内容や方法を明確にした。
(資料 「学習の進め方(生徒)」の一部)
学習の進め方 (生徒)
学習への取り組み
1
2
3
4
5
授業開始時刻の2分前に着席(必要なものをロッカーから出すのもこの時まで)
授業に使うものを机の上に用意する。
ノートを開いて,前時の学習活動を確認し,本時の学習の予測をする。
教師や指名された友人が話し始めたら,顔を上げて話を聞く。
ノートや作業時は私語をせず,集中して取り組む。わからないことはすぐ質問し,解決
する。
6 重要な語句や文章は,教科書にアンダーライン(マーカー)を引く,ノートにメモする
等,自主的に行う。
ノートの使い方
1
日付,教科書のページ数を書く。
- 3 -
イ
「学校改善支援プラン」を活用した授業等
国語と数学については,
「茨城県学校改善支援プラン」の指導事例集の活用を
図った。指導事例集の中の「学習課題」や「視点に迫るための指導のポイント」
に配慮して授業の展開に心がけ,活用できるものを年間計画に位置付けた。
数学では,
「茨城県学校改善支援プラン」をもとに,身近なものや実生活と関
連づけた観察,操作や実験を取り入れた導入の工夫や,既習の学習内容を活用
する課題の設定,生徒が身に付けた学習内容の有用性を感じることができるよ
うな課題学習や身近な問題解決学習の設定等を工夫した。
2 問題を考える。
<問題>
太郎さんは,1次方程式を次のように解き
ました。
5x−2(x−3)=15
・・①
5x−2x−6=15
・・②
5x−2x=15−6 ・・③
3x=9
x=3
誤りを見つけて,正しい考え方を太郎さん
に説明しよう。
・集中力を高めて問題に取り組めるよう自力解決の
時間を予め設定し指示する。
・正しい考え方を説明できるよう,根拠を明らかに
し,わかりやすく説明をまとめるよう指示する。
・他の生徒のノートからクラスメイトの考えや見つ
けられなかった間違いなどに気づくよう自力解
決後,友達のノートを見ることができる時間を
設定する。
・友達のノートを見て気がついた説明についても,
自分のノートに改めてまとめるよう助言する。
・話し合いをする段階で,自信をもって発表ができ
るようあらかじめ,ノートの内容を確認してお
く。
数学科指導案
2
課題解決をする。
(問題1)
展開の一部
・説明文の最後にある,3つの数の和である3n
の意味を考えるように発問する。
・文字式による説明を丁寧に振り返って,3nは
何を表しているかをしっかりと読み取らせたい。
・ワークシートに自分の考えを記入させて,中央
の数であるnとの関係に気づいているかを観察
する。
・nを使った式の理解が難しい場合には,具体的
な3つの数の和がいくつになっているかを聞き,
中央の数の何倍になっているか気づくように助
言する。
・自分の考えを発表させて賞賛し,課題解決の意
欲が高まるように援助する。
数学科指導案
展開の一部
また,国語と数学では「茨城県学校改善支援プラン」にある評価問題を定期
- 4 -
テスト等に活用した。国語では掲載されたワークシートを活用しての授業も展
開した。
ウ TT形式による語彙力・表現力向上のための取組
語彙力の向上を目指して,まず生徒各自に辞書を持参させ,授業の中で積極
的に使う活動を進めた。導入時には各自が持参している辞書を使って言葉を調
べたり短文づくりをしたりした。また,TTでゲーム形式で問題を出す教師と
答えを支援する教師とに分かれて言葉や漢字の学習を行った。身に付けた語彙
を活用する活動として手紙を書いたりスピーチ活動を行ったりなど,学習した
語彙を実際に活用する機会を積極的に設定した。
表現力の向上については,短作文や自分の考えまとめる際にはT2が生徒の
良い意見について積極的に取り上げたり,生徒に発表を促したりして,みんな
でよい考えや表現を確かめ,共有できるように努めた。
敬語の学習では,T1とT2で敬語を使って会話する場面を演じ,実際のや
り取りを見せてから,実際に生徒自身が会話する活動を行うことで理解がしや
すいようにした。また,TTで会話する場面から間違いを探す学習なども行い,
理解を高める工夫に努めた。
エ 「学習の手引き」を作成・配付
宿題以外の家庭での学習が少なく,また課題として出された学習活動以外で
自分で進める学習への取り組み方がわからない生徒が多いという実態から,
「学
習の手引き」を作成し,全生徒に配付した。5教科において学習活動の例を示
し,補充・発展の学習時や家庭での学習時に取り組むことができるよう学習の
指針を示した。内容はどの教科も「予習のポイント」「授業のポイント」「復習
のポイント」
「さらに○○の力を伸ばすには・・」で統一し,できるだけ見やす
いものとした。また,教科ごとに教科書にも貼り,学習時にすぐ確認ができる
ようにした。各教科でこの手引きをもとに教師が学習の進め方などを具体的に
例示することで,自分のやり方で予習や復習を行い,授業時のノートの工夫が
できる生徒を育てることに努めた。(資料 学習の手引きの一部)
国語科学習の手引き
☆ 予習のポイント
○
何度も教科書を音読しよう。(黙読よりも目,耳,口を使うことで効果
があります)
○ わかりにくい言葉の意味を調べよう。(辞書で調べてノートに書く)
○ 漢字プリントの漢字をノートに書いて覚えよう。
(毎時間の5題テストは完璧にしておく)
☆ 授業のポイント
○
教科書,ノート,ワーク,辞書を忘れずに用意しよう。
- 5 -
オ
「ぐんぐんタイム」の実践
7月の課題研研修会で提案され,
9月から実施した。部活動がない月
曜の放課後,補充・発展の時間とし
て設定し,家庭学習が進んでいない
生徒や学習内容の定着に課題がある
生徒を中心に全校で学習する時間を
設定した。この時間には校長・教頭
を含め全職員で指導にあたり,各ク
ラスに担任のほかに一人の教師が入
ぐんぐんタイム
り,各教室に教師2人で支援に当たることで生徒からの相談にできるだけ応え
られるようにした。また,生徒によっては学習方法について「学習の手引き」
を活用するなどして,教師側から積極的にアドバイスしていくこととした。月
に1回程度の実施を予定したが,月2回の実施を目指している。
内容としてはドリル的な内容が多かったが,9月からは県の学力推進施策で
ある「算数・数学博士チャレンジ道場」の問題を活用している。
カ 「家庭学習の記録」カードの作成・活用,家庭との連携
「学習の手引き」をも
とに,家庭での学習習慣
の確立を図ったが,その
際「家庭学習の記録」カ
ードを作成し,全学年で
活用して,確認すること
にした。これにより,家
庭での学習の習慣化を図
るとともに,生徒の家庭
学習の取組について生徒
家庭学習の 記録カード
自身が客観的に評価し,
また担任も取り組み状況を把握して支援に努めることができるようにした。保
護者も確認印やサインをする欄も設け,見てもらうことを生徒に奨励した。カ
ードについては生徒の実態から記入に時間があまりかからないものを作成し
た。
また,保護者の協力を得るために全国学力・学習状況調査や県学力診断のた
めのテストの結果分析と学力向上に向けての本校の取り組み等について学校だ
よりに掲載し,生活のリズムや家庭学習について等,家庭における学習習慣や
生活習慣についての啓発を図った。あわせて「学習の手引き」を配付して家庭
でも「学習の手引き」を活用するように協力をお願いし,家庭との連携を図っ
た。(資料 次ページ 啓発を図る学校だよりの一部)
- 6 -
(資料
第8号
秋山中学校 学校だより
平成20年11月4日発行
秋山中学校
教務部
「全国学力・学習状況調査」分析
∼
学校だよりの一部)
秋 山 中 学 校
22−2760
心 の教室 ・カウンセラー相談室
22−5920
本校の傾向
学校課題研究主任
∼
益子
和則
秋山中学校では本年度,茨城県教育委員会 から「全国学力・学習状況調査等 を活用した学校改善
の推進に係る実践研究事業」の指定を受け,学力向上 を目指した研究に取り組んでいます。
具体的 には,昨年度から始まった「全国学力・学習状況調査 」
(国語と数学,学習や生活習慣等)
や,毎年行われている県の「学力診断のためのテスト 」などについて 分析し,学力や学習状況等に
見られる 課題を明確にし,その課題に対しての 支援を研究し実践するというものです。
「全国学力・学習状況調査」や県の「学力診断のためのテスト 」の結果を分析すると 本校の生徒
は次のような傾向があります。
○国語
・全体的には県や全国並 みである。
・読む力が弱い傾向がみられる。語彙力不足が原因の一つと考えられる。
○数学
・全体的に県や全国より低い傾向がみられる。
・基礎的な知識理解や式を解く力,数量関係に弱い傾向が見られる。
○学習状況等について
・学校の授業時間以外の学習時間や休日の学習時間が少ない。
・「早寝早起き朝ごはん 」,睡眠時間の確保がよくできている。
・1日当たりのテレビやビデオ・DVD の視聴時間は長い。テレビゲームの時間は短い。
・携帯電話での通話やメール をしている 生徒の割合は多くない 。
これらの傾向をもとに本校では次のような対策に取り組んでいます 。
○国語
・TT(チームティーチング )を組み,表現力 ・語彙力を高める授業に取り組む。
・学習した語彙を活用する機会を設定する。
・毎週,曜日を決めて朝の時間に読書の時間を設定する。また,学期に1∼2回,読書
週間を設け,朝の時間に35分間の読書時間 を設定する。
○数学
・身近なものや実生活と関連づけた 観察や実験,実物を使った学習を増やす。
・身につけた 学習内容を活用する必要性 を感じる課題を設定する。
・繰り返し学習する機会を設定する。
○学習状況等について
・月曜や部活動のない放課後 に,全校で学習する時間『ぐんぐんタイム』を設定し,自主
的な学習の時間を確保し,また家庭学習等の学習相談にも取り組む。
・『学習の手引』を全生徒,全家庭に配付し,学習方法や学習内容等について示し,主体
的に学習を進められるようにする 。
・家庭での学習習慣が定着するよう,『家庭学習 の記録』カード に生徒が記録し,毎日の
家庭学習について確認する。
・特にテスト 前に『家庭学習強調週間』を設定し,テスト 前の学習も含めた家庭学習への
意欲の向上を図る。
学校では,このほかにも細かい点で職員が共通理解 の下,授業での支援や一人一人の生徒への支
援の充実を目指して取り組んでいるところです 。
そしてさらに,学力の向上には,学習以外の点でも配慮していくべき点も多くあります。それは
生活態度 や生活習慣 です。文部科学省や県,市の「全国学力・学習状況調査 」分析によると,
「学習規律がしっかりできて 落ち着いている学校の方が正答率 が高い」
「学校のきまりを 守っている 生徒の方が正答率が高い傾向が見られる」
という学校での支援による結果が出ていますが ,それと同時に,
「携帯電話を持っていない生徒の方が正答率 が高い傾向が見られる 」
「1日当たりのテレビ やビデオ・DVD の視聴時間 やテレビゲーム をする 時間が長い生徒の方
が正答率 が低い傾向が見られる 」
「家の人と学校での出来事について話をしている生徒の方が正答率 が高い傾向が見られる」
などという家庭での支援による 結果も出ています。
生徒の学力向上を考えるとき ,いろいろな要因を改善していく 必要があるということが分かって
きています。そのためには学校と家庭がそれぞれ努力をし,協力していくことが今まで以上に大切
になってきていると 感じています。一人一人の生徒の学力向上に向けて,これからも学校全体 で支
援の研究と実践に努力していきます 。保護者の皆様にもぜひご理解いただき ,家庭での生活習慣や
学習習慣等でご協力をお願いいたします。
- 7 -
4 成果と課題
(1)成果
① 職員の意識を高めるために,全
国学力・学習状況調査の学校質問
紙をもとに17項目(国語は21
項目,数学は19項目)のアンケ
ートを全職員対象に12月に実施
したが,特に「テスト分析をもと
にした支援の改善ポイントを活用
して,基礎学力の定着を目指して,
支援の工夫改善を具体的に行って
いるか」という項目では,ほとん
どの職員が「している」
「どちらか
といえばしている」と回答してい
た。課題をおさえ,支援の工夫改
善を共通実践していることがわか
り,学校全体で研究への取り組みがなされていることが確認できた。
② 国語と数学での「茨城県学校改善支援プラン」活用では,指導事例集を活用する
ことで授業を展開しやすくなり,それを年間計画に位置付けることができた。数学
では,プランの中にあるカレンダーやペットボトル,線香を活用して操作する学習,
既習の学習内容を活用する学習等の工夫をすることを教師側も意識して支援した結
果,生徒の意欲や関心に高まりがみられた。
③ 授業前の準備,ノートの使い方等,学校での学習習慣について学校として統一で
きるところを統一したことで,支援がしやすくなり,教科や職員による支援の違い
を最小にすることができ,生徒も戸惑うことなく学習に取り組めるようになった。
④ 「学習の手引き」は,その教科以外の職員の活用が進まない点が見られたが,学
年や学級での積極的な活用を職員全体で確認し,課題を出す際や長期休業中の学習
の際に活用が進められている。
⑤ 全国学習状況調査の生徒質問紙から学習にかかわる項目を12項目取り出し,全
学年で実施(12月)した。3学年については4月の結果と比べることができた。
その結果,テレビやビデオ・DVDの視聴時間とテレビゲームの時間はかなり減っ
ていることが分かった。また,平日も休日も家庭での学習時間がかなり増えている
- 8 -
ことも分かった。
(上グラフ) 受験を控えた3年生であるので,受験生としての自
覚の高まりとも考えられるが,家庭学習の記録をカードに取り,本人が自己評価し,
保護者,教師が励ましている成果であるとも考えている。
⑥ 12月に行ったアンケートとは別に,
11月に行った学習時間と学習の計画
に関する生徒対象のアンケートによる
と,9割以上の生徒が平日の学習時間
が増えていると答えている。休日の学
習時間についても8割以上の生徒が増
えたと答えている。また,1学期に比
べて家で自分で計画を立てて勉強をす
るようになった生徒が6割を超え,自
分で家庭での学習内容について考える
生徒が増えていることが分かった。
(右グラフ) 「家庭学習の記録」カ
ードを活用し,生徒自身が自分の取組
を客観的に評価し,担任も取組状況を
みて毎日支援に努めた結果であると考
える。
⑦ 11月に実施した生徒・保護者・担
任の三者面談 では,「家庭学習の記
録」カードを保護者が見ることで,子
どもの家での学習の様子が以前よりよ
くわかるようになったと多くの保護者
から話があった。
⑧ 4月に実施した県の学力診断のため
のテストを活用し,1学年上のテスト
を実施し,その結果をもとに本校で取
り組んだ「学力向上支援プラン」の支援についての有効性について分析した。
その結果,成果が見られ,有効であったと考えられる支援や指導の工夫については
- 9 -
今後も継続していくことを確認できた。
国語では,各学年「読むこと」の力が不足していた。これは,語彙力の不足も原
因であると分析した。そこで毎時間音読を実施し,登場人物を表にしたワークシー
トで心情を対応させたり,色別の付箋紙を利用して,場面ごとに心情を書かせたり
して支援してきた。語彙力を高めるためには,国語辞典の活用や漢字小テストを実
施した。その結果,
「文脈に即した会話文を選ぶ力」
,
「指示する内容を読み取る力」
が向上したことが分かった。また,本校は昨年度の結果で「書くこと」の力が不足
していることが分かったが,書く意欲を高めるためにワークシートを用いて身近な
課題を提供し,書く内容を提示しながら「書く」授業を展開し,短い言葉でも「自
分の考えを書く」活動を多く取り入れてきた。その結果,
「字数制限」の問題で2年
生は,県平均と比較して−10.4から+4.3に向上した。このことから,書く意欲が向
上したということが言える。また,2年生は,
「根拠を明らかにして書く力」が県平
均に比較して−3.6から+15.2と向上し,「書くこと」の力が身に付いてきているこ
とがわかった。
社会では,全般的に知識・理解が不足しているために,それをもとに学習内容を
関連付けて考える力が不足していると分析した。そこで,本年度は知識・理解を深
めるために,学習した内容をまとめる際に,重要な語句や内容をキーワードとして
地域や時代のタイトルを考え,自分のまとめ方で大観できるようにしてきた。また,
語彙力の不足から学習内容にかかわる語句の意味が分からずに,学習内容の定着を
妨げることがあったので,国語辞典でその都度調べ,ノートや教科書に意味を書き
込むことをしてきた。4月のテストでは,知識理解の領域で県の正答率を上回った
問題は37.5%であったが,今回のテストにおいて県の正答率を上回った問題は67%
であった。学習内容にかかわる語句やキーワードを使って自分でまとめる学習活動
を通して,どの語句やキーワードを使って,どういう内容でタイトルとしてまとめ
るか考えたことで,学んだ語句やキーワードが自分のものになったのではないかと
考えている。また,辞書で語句の意味を調べたことで,学習内容の理解が深まり,
定着を促したと考えている。
数学では,4月のテストにおいて,「点対称な図形についての知識・理解」(−1
5.7)のように,図形分野で県平均を−7.7と大きく下回っていたため,図形の特徴
や性質を利用し,数学的に考えて問題解決をする能力を育てる必要があると分析し
た。2学期の証明の学習から,授業では予想(仮説)を立ててから検証するという
流れを大切にしてきた。予想を立てる時間をきちんと確保し,予想できない生徒を
減らすため,「必ず書く」「予想について理由は聞かない」とし,慣れるようにさせ
たところ,自分の考えをノートに書き留める生徒が増えてきた。3学期には,
「定理
の発見と証明」のところで,自分が予想したことが筋道を立てて証明され,理解が
深まる生徒が増えた。また,授業中「フリータイム」という活動を実施し,自由に
友達の考えに触れることができるようにしたところ,自分の考えに自信をもつよう
になってきた。授業で終わらないワーク学習は宿題にして次時にチェックすること
で,復習する習慣も徐々に身についてきた。その結果,今回のテストでは,図形は
県平均を上回り,「中点連結定理を用いて問題を解決する」(+10.2)や「円周角の
- 10 -
定理を用いて角度を求める」(+7.7)となった。
理科では,既有の知識を活用して考える力や計算力が不足していると分析した。
そこで,学習の際に既有の知識の確認や復習を行い,観察・実験を柱にして,自分
の考えをまとめたり表現したりする学習に取り組めるように努めた。その結果,計
算問題や数量的なデータ処理が入った問題は正答率がもうひとつ上がらなかった
が,実践や体験を伴う学習内容については,正答率が高くなったことが分かった。
2年生の解答状況の中にも,化合や電気分解などの実験を通して学んだ部分は70
%を超える正答率が確認できている。また,科学が普段の生活と関連していること
を十分理解させて授業を進め,実験と身の回りの事象とをリンクさせて指導した結
果,磁界の変化によって生み出された電気が発電機に応用されていることを答える
問題においては正答率82%となり,教科と実生活との関わりの部分では非常に高
い意識をもって学習に取り組んでいることが分かった。
英語では,4月のテストにおいて,4領域の中で「書くこと」の正答率が一番低
かった。また,生徒の意識調査でも,
「書くこと」を苦手と感じている生徒の割合は,
4領域の中で,一番高かった。そこで,「書く」力を高めるために,
○表現活動を支えるものとして単語や基本文を書く練習を繰り返し行う場を設
定する,
○「語形変化」や「文の構造」を視覚的にとらえることができる板書やワーク
シートを工夫する,
○「Writing Plus」題材を中心にテーマに沿って5文程度のまとまりのある文
章を書く活動を辞書を活用しながら行う,
ことの3点に力を入れ,指導してきた。この結果,
「書くこと」の領域の正答率は,
4領域の中で一番低かったことに変わりはないが,1学年,2学年ともに,県の正
答率(H20年度集計結果)を上回ることができた。(1学年+9.8%,2学年+5.
5%)これは,「単語練習の継続」と「視覚的効果を考慮した板書やワークシートの
工夫」の成果であると考えている。また,2学年大問6(英作文)では,93名中
58名が3文以上,27名が2文書くことができ,
「辞書を活用しながら,テーマに
沿って書く活動」をALTの協力を得ながら丁寧に行ってきたことで,書くことに
対する抵抗感が少しずつ弱まってきていると感じている。
さらにこれらの教科ごとの分析からは,成果の他に新たな課題が見つかったり,
今までの課題でさらに考えなければならないことがわかったりするなど,分析を繰
り返し行うことで課題が一層明確になってきている。そのため,その課題克服のた
めに支援や指導の方法をどう工夫していくかという職員の意識がさらに高くなって
きていることが感じられ,この点についても成果であると考えている。
(2)課題
① テストやアンケートによる生徒の変容の把握をもとに,授業等でさらに学力をつ
けるための学習支援についての検討
② ①をもとにした5教科以外の教科での授業等でさらに学力をつけるための学習支
援についての検討
③ 「茨城県学校改善支援プラン」の一層の活用
- 11 -
④
⑤
一人一人のニーズに合わせた学習方法への支援(家庭,自学の時間)
「学習の手引き」にある内容を生かした学習の仕方の具体的な例示と授業中や自
習の時間,「ぐんぐんタイム」での積極的な活用
⑥ 「家庭学習の記録」カードの修正または改善
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