とやま21世紀水ビジョンの概要 - 富山県

目次
序論 水ビジョンの策定
1
2
3
4
策定の趣旨 ……………………………………………………………………………
水ビジョンの役割 ……………………………………………………………………
水ビジョンの位置付け ………………………………………………………………
期間 ……………………………………………………………………………………
P.2
P.3
P.5
P.5
第1編 水を取り巻く環境
1 本県の水の現状 ……………………………………………………………………… P.6
2 本県の社会経済状況 ……………………………………………………………… P.21
3 世界の水問題 ………………………………………………………………………… P.23
第2編 新たな展望
1
2
3
4
基本理念 ……………………………………………………………………………… P.25
将来像 ………………………………………………………………………………… P.26
基本目標 ……………………………………………………………………………… P.26
施策展開の考え方 ………………………………………………………………… P.27
第3編 施策の展開方向
第1章
健全な水循環系の構築
第1節 水源対策(蓄え・はぐくむ)
1 森林の保全 …………………………………………………………………………… P.29
2 水源山地等の保全 ………………………………………………………………… P.31
3 地下水の保全と涵養 ……………………………………………………………… P.33
第2節 治水・利水対策(安全を高め・うまく使う)
1 治水対策の推進 ……………………………………………………………………… P.35
2 利水対策の推進……………………………………………………………………… P.38
3 用途間転用の推進 ………………………………………………………………… P.42
第3節 水環境対策(きれいに保ち・親しむ)
1 水質汚濁の防止 ……………………………………………………………………… P.44
2 汚水処理の促進と再利用 ………………………………………………………… P.46
3 水環境の保全と利用の調和 ……………………………………………………… P.48
目次
第2章
1
2
3
4
水に関する歴史風土と水文化の継承 …………………………………………… P.52
水を活かした産業の振興 ………………………………………………………… P.54
水を通じた交流と連携 ……………………………………………………………… P.56
水環境学習の推進 ………………………………………………………………… P.58
第3章
1
2
3
4
水を活かした文化・産業の発展(伝え・はばたく)
地球的規模の水問題へのとりくみ(未来をのぞみ・備える)
地球温暖化 …………………………………………………………………………… P.60
酸性雨 ………………………………………………………………………………… P.62
異常気象等による水危機 ………………………………………………………… P.63
仮想水問題 …………………………………………………………………………… P.65
第4章
実現目標……………………………………………………………… P.67
第4編 施策展開の基本姿勢
1
2
3
4
水循環に関する情報ネットワークの構築 ……………………………………… P.69
推進体制 ……………………………………………………………………………… P.69
県民の参画と協働 …………………………………………………………………… P.69
進行管理 ……………………………………………………………………………… P.69
参考資料
県政モニターアンケートの結果 …………………………………………………… P.71
水に関わる百選一覧
………………………………………………………………… P.78
とやまの名水(66選)
……………………………………………………………… P.80
用語集 ……………………………………………………………………………………… P.83
文中の※印はP.83以降の用語集を参照ください。
とやま21世紀水ビジョンの概要
序論 水ビジョンの策定
策 定の 趣旨
水ビジョンの役割
本県が豊かな水の恵みを受けられることとなったのは先人たちの努力の賜物であり、今後
ともふるさとの貴重な財産として県民全体で守り育むことが大切
21世紀は「水の世紀」と言われ、水施策の総合的な推進が重要な課題
「天然の円形劇場」ともいわれる本県は、ほぼ独立した水循環系を有しており、水ビジョ
ンの推進により健全な水循環系の構築においてモデル県をめざす
第1編 水を取り巻く環 境
水に関わる各種施策を総合的、横断的に推進するための指針
健全な水循環系の構築に向けて各主体が取り組む際の指針
第2 編 新たな展望
富山県の現状と動向
将来像
降水量が多く植生自然度は本州一位で緑豊かな自然を育む
山々に降る大量の雪や典型的な扇状地が豊富な水を育む
良質な水と安価な電力に支えられ、日本海側屈指の産業集積
清らかな水が、おいしいコシヒカリやお酒、飲料水等の地場産品を育成
主要7河川に46のダムを設置するなど、水資源開発はほぼ終了
都市型水害や局所的浸水被害が増加
冬期間の地下水位低下が発生
基本理念
恵みの水が美しく循環する
“水の王国とやま”
水は、大気と陸地、海洋の間を循環して、繰り返し利用される資源
である。
水は、上流から下流に及ぶ広域的で公共性の高い資源である。
水は、巨大なエネルギーを持った存在である。
水は、ふるさとの大地や自然、生命、文化の創造主である。
水は、時代や国境を越えて受け継がれる財産である。
基 本目標
①豊かな水を活かし健全な水循環系の構築をめざす
②地域に根ざした水文化・産業を継承し発展させる
③未来を展望し地球的規模の水問題にとりくむ
水を取り巻く社会の変化
施策展開の考え方
世界の多くの国で水不足が発生
地球的規模の水問題の進行(地球温暖化、酸性雨)
水に触れる機会の減少と水文化の衰退
第3 編 第1章 健全な水循環系の構 築
Ⅰ
各施策に共通
5つの施策の展開方向
「人づくり」
「地域づくり」 の視点
「仕組みづくり」
第 3 編 第2 章
第3編 第3章
Ⅱ
Ⅲ
「蓄え・はぐくむ」
「安全を高め・うまく使う」
「きれいに保ち・親しむ」
「伝え・はばたく」
「未来をのぞみ・備える」
水源対策
治水・利水対策
水環境対策
水を活かした文化・産業の発展
地球的規模の水問題へのとりくみ
1.森林の保全
1.治水対策の推進
・健全で機能の高い森づくり
・森林の適正な保全と管理
・計画的な治水対策の推進
・各種治水事業の推進
・都市型水害の浸水対策の推進
・防災体制の強化
2.水源山地等の保全
・治山・砂防事業の計画的な推進
・流域一貫の総合的な土砂の流出対策
・棚田等の保全
2.利水対策の推進
・水資源の適正な管理と利用
・水の有効利用や節水
・水の多面的活用
3.地下水の保全と涵養
・地下水の保全と適正利用
・冬期間の地下水位低下対策
・地下水の涵養
・湧水の保全管理
3.用途間転用の推進
・利水に関する情報交換の推進
・ダムの再開発
・水利用の適正な管理
1.水質汚濁の防止
1.水に関する歴史風土と水文化の継承
・発生源対策等の推進
・未然防止対策の推進
・公共用水域の水質常時監視体制の充実
2.汚水処理の促進と再利用
・治水・利水文化の継承
・伝統的産業における水文化の継承・発展
・暮らしの中の水文化の啓発
2.水を活かした産業の振興
・地域の実情に即した汚水処理施設の整備
・汚水処理施設の適正管理
・処理水等の有効利活用
3.水環境の保全と利用の調和
・生態系に配慮した河川、水辺の再生
・環境用水の確保と地域用水機能の活用
・水辺景観・親水機能の保全と整備
・水辺の安全確保と適正管理
Ⅳ
・名水の保全と利用
・深層水の利活用
・水を利用した産業の展開
・観光の振興
Ⅴ
1.地球温暖化
・地球温暖化対策の推進
・森林吸収源対策の推進
2.酸性雨
・酸性雨の実態把握
・大気汚染防止対策の推進
3.異常気象等による水危機
・異常気象に関する情報収集と対策の推進
・異常渇水対策の推進
・震災等対策の推進
3.水を通じた交流と連携
・地域の交流、連携の推進
・ボランティア活動の推進
・水文化を通しての海外交流
4.仮想水問題
・水の海外依存の改善
・世界的な水問題への協力
4.水環境学習の推進
・学習・観察機会の提供
・水環境や水文化に関する調査研究
・水文化の情報発信
安心とやま ∼健康で安全、安心な暮らしづくり∼
第 3 編 第 4 章 実 現目標
「水の王国とやま」の実現目標
基本目標を達成するため、平成33年度を目標年度とする主要な目標指標を設定する。
①森林整備延べ面積、②地下水揚水量の適正確保率、③河川整備率、④小水力発電の整備箇所、⑤土砂災害危険箇所の整備率、⑥水道水の満足度、⑦水
質環境基準の達成率、⑧汚水処理人口普及率、⑨水文化に関する活動に取り組んでいる団体数、⑩農村環境の保全を目指す集落数、⑪水に関する生活の知
恵や使い方に古くからのものが残っていると思う人の割合、⑫大気環境基準の達成率、⑬節水を心がけている人の割合、⑭食料自給率
第 4 編 施 策 展開の基 本 姿 勢
施策展開の基本姿勢
水循環に関する情報ネットワークの構築
推進体制
県民の参画と協働
進行管理
1
序論 水ビジョンの策定
1 策定の趣旨
( 1)水の恩恵
① 現在のように富山県が豊かな水の恵みを受け、暮らしのあらゆる場面で水を利用し、水
の恩恵を受けられることとなったのは、水との闘いを通して治水に励み、用水を切り開き、
「水の王国とやま」を築いてきた先人たちの努力の賜物である。
序
論
第
1
編
② 本県の豊かで清らかな水は、植生自然度※本州一の緑豊かな自然を育み、住み良い県民
生活や健やかな地域社会の形成に役立っている。
また、本県では、この良質の水を利活用し、おいしいコシヒカリなどの富山米やお酒など
の生産、さらには豊富な水と安価な電力に支えられた日本海側屈指の産業集積など、産業
の振興や豊かな県民生活の実現が図られてきている。
第
2
編
③ 今後とも、この豊かで清らかな水をふるさとの貴重な財産として県民全体で守っていくこ
とが大切である。
第
3
編
第
1
章
( 2 )水ビジョンの策定
現行水ビジョンは、これを受け継ぐとともに、この水の恵み多き郷土を「将来の県民から
の預かりもの」と理解し、
「県民が未来に向けて郷土を誇れるよう水を守り、未然に水の問
題に対応していくことが、これからの時代に求められている。」との基本認識に立って、水
に関わる各種施策を総合的に推進するため、その指針として、平成3年3月に策定され、平成
19年3月に改定されたものである。
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
( 3 )新世紀における改定
① 現行の水ビジョンは、策定後6年を経過し、この間、水と緑の森づくり税の創設や森林法の
改正、小水力発電の推進や平成の名水百選の選定など、水に関する新たな動きや取り組みが
あった。また、平成24年4月に富山県総合計画「新・元気とやま創造計画」が策定された。
さらに、近年、他道県において利用目的不明の森林買収事例の増加が問題となっている
ため、
「水の王国」といわれる本県の豊かで清らかな水を維持・保全するために、水源地域
保全条例(仮称)の制定を検討している。
こうしたことから、これらの新たな取り組みや動きを踏まえ、今回水ビジョンの改定を行う
ものである。
参
考
資
料
② 21世紀は「水の世紀」といわれ、地球的規模での水の問題に注目が集まっている。このこ
とから、今日、水に関わる施策を総合的に推進していくことが、ますます重要な課題となっ
てきている。
③
「天然の円形劇場※」ともいわれる独特な地形を有する富山県は、ほぼ独立した水循環
『健全な水循環系の構築においてのモデル県を
系※を有しており、水ビジョンの推進により、
目指す』こととしたい。
2
序論 水ビジョンの策定
2 水ビジョンの役割
( 1)水の特徴
水は、地球上の限りある資源(比較的容易に使える水は0.01%)であり、生物の命を育み、
県民の生活に不可欠な基本要素である。
序
論
第
1
編
( 2 )水施策の特徴
水に関わる施策の特徴としては、以下のものがある。
① 長期的、継続的な取り組み
森林の整備は、苗木の植栽から健全な森林への成長まで50年∼100年の年月が必要で
ある。
河川の整備は、上流から下流までの改修に数十年の年月が必要である。
地下水が滞留している年齢は、数年から100年と言われている。
第
2
編
第
3
編
② 問題発生の予知と対応
水資源の開発には、少なくとも十数年を要するため、問題発生を予知し未然に対応する
ための十分な用意が必要である。
河川や地下水などが一度汚染されれば、その影響するところは広汎多岐にわたり、復
元、回復には長い年月が必要である。
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
③ 利害関係者間の総合的な調整と問題発生時の迅速な対応
水利権とは、河川水を継続的、排他的に利用する権利として河川法上で認められたもの
であり、農業用水、水道用水、工業用水等の各用途間の変更に際しては多くの利害関係
者の調整が必要である。
地下水は、民法上土地所有権に属する私権の対象ではあるが、過剰な地下水利用は地
盤沈下等の問題を起こすことから、県民共有の貴重な財産としての保全の取り組みが必
要である。
近年、気候変動に伴う降水量の年々変動の拡大により河川流況が変化し、県内でも渇
水頻度が高くなることが懸念されるため、渇水時の利用調整には利水者間での迅速か
つ的確な対応が必要である。
第
4
編
参
考
資
料
3
序論 水ビジョンの策定
( 3 )水ビジョンの役割
このような水施策の特徴を踏まえ、水ビジョンに期待される役割としては、
序
論
①新しい県の総合計画の実現を図るとともに、豊かで清らな水を未来に残すため、水に関わ
る各種施策を総合的、横断的に推進するための指針(=ビジョン)であり、
第
1
編
②また、今日の水に関する諸課題に対しては、県や市町村のみならず、県民、事業者等の各主
体が連携、協力しながら取り組む必要があることから、健全な水循環系 ※の構築に向けて
各主体が取り組む際の指針
第
2
編
となるものである。
第
3
編
健全な水循環系の構築
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
※水循環系…蒸発・降水・浸透・流出を繰り返す自然の水文循環と、人間が人工的に整備した水道や下水道などを経由して流れる水
をあわせて、一連の水の流れを形成するシステムを意味する。このシステムの中には工場や家庭、農地などでの水利用を含む。
※健全な水循環系…流域を中心とした水循環系における一連の水の流れの過程で、水利用や治水など人間社会の営みに果たす水
の機能と、自然環境の保全に果たす水の機能が、適切なバランスのもとに、ともに確保されている状態で、それぞれの流域での自
然特性やそこでの水利用状況などの社会特性により規定されるもの。
4
序論 水ビジョンの策定
3 水ビジョンの位置付け
序
論
水ビジョンは、富山県総合計画「新・元気とやま創造計画」に掲げる「安心とやま」の実現を目指し
て、行政のみならず、あらゆる主体が健全な水循環系の構築を目的に、将来像を共有し、整合を図り
ながら、水にかかる施策等を総合的かつ横断的に推進するための基本的な方向を示すものである。
従って、関連する個別計画にあっては、このビジョンの基本的な方向に沿って策定・推進される。
第
1
編
水ビジョンの位置付け図
富山県総合計画
「新・元気とやま創造計画」
第
2
編
H24年4月策定
水循環系の将来像の共有
第
3
編
水源対策
水源対策
森づくりプラン
(後期計画)
第
1
章
地下水指針
H18年3月改定
H23年11月策定
第
2
章
第
3
章
治水・利水対策
水環境対策
河川整備計画
水質環境計画
水系ごとに随時策定
H20年4月改定
第
4
章
治水・利水対策
第
4
編
水環境対策
農業農村整備
実施方針
整
水ビジョン
全県域下水道化
構想2012
合
H20年4月改定
参
考
資
料
H24年6月改定
治水・利水対策
水環境対策
水道水質管理
計画
景観づくりの
基本方針(等)
H17年3月改定
H15年9月策定
地球的規模の水問題へのとりくみ
地球的規模の水問題へのとりくみ
地球温暖化
対策推進計画
大気環境計画
H16年3月策定
H24年3月改定
は関連する個別計画
4 期間
平成24年度を初年度とし、平成33年度を目標年次とする。
5
1 水を取り巻く環境
第 編
1 本県の水の現状
( 1)水の歴史
序
論
①「あばれ川」との闘い
3,000m級の山々に囲まれ、多数の急流河川が創る扇状地からなる富山の歴史は、その
まま人と水との闘いの歴史であった。河川は幾筋にも分かれ、幾たびも氾濫し、流路を変
え、人々の生活を脅かしてきた。しかし、長い年月をかけ今やこの水は、ダムに貯められて
全国一の水力発電のエネルギー源となり、農業用水路を通って整備された水田を潤し、一
方では工業用水として利用され、あるいは生活用水として県民に不可欠なものとなった。
人と水と地域は共存することができるようになったのである。
第
1
編
第
2
編
② 水に悩んだ時代と分県
富山県内で堤防が作られるようになったのは、
戦国時代から江戸時代にかけてであ
さっさてい
まつかわよ
る。常願寺川の「佐々堤 ※」、庄川の「松川除け ※」など全国的にも珍しい河川改修工事が
行われた。黒部川もしばしば洪水を繰り返して河道を変えており、川を渡ることができた
のは扇状地の最上流の愛本地点であった。神通川では、出水時の激流のため橋を架ける
こともできず、小舟を百艘あまり2本の鎖でつないで舟橋にしていた。
近代的な治水工事が行われるのは明治以降である。富山県が石川県から明治16年に分
県した契機となったのも、県予算における治水費の増額をめぐる越中と加賀との対立だっ
た。ちなみに、県の歳出に占める河川費の割合は、明治30年以前は5割を超え、大正期は2
割弱、昭和に入ってからは約5%であった。この財政負担によっても富山県の歴史がまさに
河川との闘いの歴史であったことがわかる。
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
ごうぐち
③ 災いを福に転じた合口用水
江戸時代には、社会が安定し技術も進んで、河川から用水を引くことにより新田開発が盛
んに行われた。人々は、水との戦いを通して、河川からの取水口がいくつも別の場所にあるこ
とが危険で不合理だとわかったため、扇状地の最上流部など条件のよい地点に取水施設を
ごうぐちか
ごうぐち
1つに統合して設置(合口化)することにした。これが「合口用水」であり、取水の安定化、水
ごうぐち
利用の合理化、維持管理費の節減などを図ることができたのである。用水の合口化は、大規
模事業で費用が莫大なものであったが、大正時代中頃から盛んとなった発電事業が大きな
ごうぐち
原動力となって、事業は大きく前進した。合口用水は、まさに富山県の近代の利水の特徴と
言え、こうした利水技術により、農地面積に占める水田率が全国一の96%(全国54%:平成23
年)となり、今日の良質米生産県の地位を築いてきたと言える。
ごうぐちか
口化の機運が高まり、昭和7年に愛本
黒部川では、
大正6年に発電事業を契機に用水の合
えんてい
堰堤が完成した。昭和44年の大洪水で損壊したものの、昭和48年に再建され、黒部川扇状
地の約7,500haを潤している。
ごうぐちか
じょうさい
常願寺川では、ヨハニス・デ・レイケの合口化の提案により、常西用水が明治26年、横江
とうしゅこう
頭首工と共通幹線水路は昭和27年に完成し、約7,900haの農地を潤している。また、この水は
富山市の水道水の72%の水源にもなっ
ている。
ごうぐちか
ごうぐちえんてい
庄川についても、発電事業により合口化事業が推進され、昭和18年に合口堰堤と幹線水
路が完成。約12,500haの広大なかんがい区域を擁し、そのほか水道、発電用水など県西部の
水利用の要となっている。
第
4
編
参
考
資
料
6
第1編 水を取り巻く環境
( 2 )水環境
富山県は、3,000m級の立山連峰をはじめとする山々、大小様々な急流河川と典型的な扇状
地、山々に降る大量の雪などの自然環境に恵まれており、清浄で豊かな水の恵みを受けている。
序
論
① 流域の地勢
北アルプス立山連峰などの山岳地帯に東西南側の三方を囲まれ、この急峻な山から一
年を通じて豊かな水が流れ、富山湾に注いでいる。
県内の主要河川流域は、小矢部川、庄川、神通川、常願寺川、早月川、片貝川、黒部川の
7流域であり、それぞれ典型的な扇状地平野を形成している。
また、庄川及び神通川は、上流域のほとんどが岐阜県であり、岐阜県が流域面積の約6
割から7割を占めている。
これらの河川は、全国有数の急流河川であることから、その源流部は侵食が著しく、県
土は過去から幾多の洪水や土砂災害に見舞われてきている。
第
1
編
第
2
編
第
3
編
河川縦断概略図
第
1
章
標 1,600
高
︵ 1,400
m
︶
第
2
章
早常 黒
片 月願 部
貝 川寺 川
川
川
1,200
第
3
章
小
矢
部
川
1,000
上
市
川
800
第
4
章
庄
川
600
400
第
4
編
参
考
資
料
木
曽
川 天
竜
川
利
根
川
信
濃
川
セ
ー
ヌ
川
200
0
神
通
川
20
40
60
80
100 120 140 160 180 200 220 240 260 280 300 320 距離(km)
このようなことから、本県では、洪水を防止するための治水ダムや堤防等の整備、
洪水の
えんてい
原因となる源流部からの土砂をコントロールするための砂防堰堤等の整備を推進してき
ている。
さらに、豊富な水資源を発電やかんがい用水に利用するため、発電や利水用ダムの整備
も進められ、今日の豊かな富山県が形づくられている。
農用地面積の96%が水田(水田率全国一)であり、水利用の約9割を農業用水が占め
ている。
ごうぐちか
各流域において、農業用水の合口化が図られ、県下一円網の目のように、農業用用排水
路が整備されている。
7
第1編 水を取り巻く環境
流域の概要 流域の地勢
流域と河川
表1 富山県の主要河川
(km2)
流路 流域面積
内は富山県内
延長
(km) ( )
河川名
・富山県は、
北アルプス立山連峰などの山岳地帯に東西南側の三
方を囲まれ、
この急峻な山から一年を通じて豊かな水が流れ、
富
山湾に注いでいる。
・県内の主要流域は、小矢部川、庄川、
神通川、
常願寺川、
早月川、
片貝川、
黒部川の7流域である。
・一方、
これらの河川は、
全国有数の急流河川で、
その源流部は侵
食が著しいことから、県土は過去から洪水や土砂災害に見舞わ
れてきている。
・このようなことから、本県では、
洪水を防止するための治水ダムや
堤防等の整備や洪水の原因となる源流部からの土砂流出をコン
トロールするための砂防堰堤等の整備を推進してきている。
・さらに、豊富な水資源を発電やかんがい用水に利用するため、
発
電や利水用ダムの整備も進められ、
今日の豊かな富山県が形づく
られている。
・現在、
黒部川、
常願寺川、
神通川、庄川、小矢部川の5流域の上流
には発電、
利水、
洪水調節用ダムが6∼18ヶ所整備されている。
五十谷川
宇波川
阿尾川
高戸ダム
余川川
論田川
鞍骨川
上庄川
仏生寺川
富山湾
庄
川
放生
津
常
願
寺
川
潟
新
堀
川
祖
父
川
和
田
川
土
川
小屋平ダム
八尾
ダム
雑穀谷7号
砂防ダム
神通第3ダム
小俣ダム
神通第
2ダム
熊野川ダム
利
賀
川
小口川ダム
真立ダム
祖山ダム
利賀
ダム
称名1号
砂防ダム
天鳥
砂防ダム
サブ谷
砂防ダム
新中地山
ダム
称名2号
砂防ダム
黒部ダム
鬼ケ城砂防ダム
水谷1号砂防ダム
長野県
湯川
真川1号
砂防ダム
白岩砂防ダム
真川ダム
真川4号
砂防ダム
久婦須川ダム
中山ダム
(建設中)
臼中ダム
仙人谷ダム
栃
津
川
室牧ダム
刀利ダム
出し平ダム
角川ダム
本宮砂防ダム
西
派
川
小牧ダム
太美ダム
宇奈月ダム
布施川ダム
称名川
若土ダム
庄
川 利賀ダム
北又ダム
布施川
白岩川ダム
太田川
湯谷川ダム
▲雨晴海岸から望む立山連峰
城端ダム
黒瀬川
上市川ダム
熊野川
山
田
川
新潟県
舟川ダム
上市川
第二ダム
峠
川
石川県
高橋川
朝日小川ダム
上
市
川
松川 い
た
ち
川
古洞ダム
旅
川
中 川
白
岩
川
赤
江
川
和田川ダム
渋
江
川
境
川
角
川
古
川
下
条
川
子撫川ダム
岸
渡
川
舟
川
早
月
川
神
通
川
内川
千
保
川
中
川
川
小
川
吉田川
片
貝
川
笹
木
流
川
大谷ダム
小
矢
部
川
五位ダム
寺
川
入
川
平
曽
川
万尾川
地
久
子
川
子
撫
川
黒
部
川
出典:・富山県東部主要水系調査書(平成14年)
・富山県中部主要水系調査書(平成13年)
・富山県西部主要水系調査書(平成12年)
三尾川
桑院川
大門山(1,572m)
667(667)
1,189(433) 烏帽子岳(1,625m)
川上岳(1,625m)
2,720(737)
北俣岳(2,661m)
368(368)
剱岳(2,998m)
134(134)
毛勝山(2,414m)
169(169)
鷲羽岳(2,924m)
682(682)
−
−(1,054)
−
5,929(3,190)
68
112
120
56
−
27
85
−
(468)
小矢部川
庄川
神通川
常願寺川
早月川
片貝川
黒部川
その他流域
合計
図1 主要河川の流域面積
水源地
(標高)
神通第
1ダム
菅沼
ダム
凡 例
有峰ダム
祐延ダム
:一級河川
(国土交通大臣管理)
真
川
:一級河川
(県知事管理)
:二級河川
久婦須川
第2ダム
:県営ダム
庵谷ダム
:国土交通省直轄ダム
▲縄ヶ池の水芭蕉
:主な利水ダム
:主な砂防堰堤
岐阜県
小原ダム
猿越ダム
千束ダム
赤尾ダム
境川ダム
成出ダム
利賀川ダム
▲五箇山菅沼集落
写真出典:富山県ホームページ「富山百景」
出典:「富山県河川海岸図」富山県土木部河川課
▲立山・みくりが池
▲立山・黒部アルペンルート雪の大谷
▲黒部ダム
県民生活課資料
8
第1編 水を取り巻く環境
農業用用排水路の設置状況
・各流域において、農業用水の合口化が図られ、県下一円網
目のように、農業用用排水路が整備されている。
(この地図は、国土地理院発行の5万分の1地形図を使用したものである。) 農村整備課資料
9
第1編 水を取り巻く環境
② 降水量
富山市の年降水量(平年値:S56∼H22年平均)は2,300mmで、全国平均(1,611mm)を
約4割上回る降水量となっており、豊かな水に恵まれている。
序
論
富山市の年降水量の変化
年 3500
降
水 3000
量
︵
㎜ 2500
︶
第
1
編
2000
第
2
編
1500
1000
500
0
S
14
年
S
24
年
S
34
年
S
44
年
S
54
年
H
元
年
H
11
年
H H
21 23
年 年
第
3
編
気象庁電子閲覧室より(富山気象台の年降水量)
第
1
章
近年、本県でも豪雨件数が増加傾向にあり、都市型水害や局所的な浸水被害が生じてお
り、その対策が求められている。
県内の1時間降雨量が50㎜を超える豪雨件数
回
数
︵
件
︶
12
10
9
8
第
3
章
第
4
章
14
12
第
2
章
第
4
編
7
6
3
4
2
2
1
1
1
0
0
2
1
0
0
H
元
年
0
1
0
1
1
1
2
1
0
H
6
年
0
H
11
年
H
16
年
H
21
年
注:1時間降雨量は、富山、伏木、泊など県内14観測所における富山地方気象台の観測値
(時間雨量50mmとは概ね10年に1回起こりうる雨)
H10
H11
H12
H
23
年
気象庁電子閲覧室より
県内の浸水家屋の被害状況
年度
参
考
資
料
(単位:棟)
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
床上
297
30
2
10
1
0
293
0
0
0
111
0
13
1
床下
3,223
446
88
813
66
47
628
72
5
3
819
48
92
44
防災・危機管理課資料
10
第1編 水を取り巻く環境
序
論
本県の豊かな水は、冬季の雪に由来するところが大きく、月別降水量においても冬季の
1月が最大となっている。雪は天然の巨大なダムとなり、年間を通じて豊かな水の恵みを
与えてくれている。
月別平年降水量
(昭和 56 年∼平成 22 年平均)
第
1
編
︵ 300
㎜
︶
富山
東京
250
第
2
編
200
150
100
第
3
編
50
0
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
11
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
気象庁電子閲覧室データより
第1編 水を取り巻く環境
( 3 )水 源
県土面積の約67%に当たる284千haが森林で、
うち196千haが保安林に指定されており、全
※
国第1位の保安林率 となっている。また、その下流には全国有数の扇状地平野が広がり、豊
かで清らかな水資源を育んでいる。
① 森林の概況
本県の森林面積及びその内訳は次表のとおりである。
森林面積
森林面積
民有林
178,482
105,814
284,297
内訳
人工林
合計
50,156
2,534
52,690
天然林
112,012
57,353
169,365
その他
16,314
45,925
62,239
森林政策課資料(平成23年3月31日現在)
② 保安林整備
富山県森林・林業振興計画に基づき、健全で機能の高い森林の整備を進めている。
保安林面積
保安林種別
水源涵養
災害防備
保健・風致等
計
第
1
編
(単位:ha)
区 分
国有林
序
論
(単位:ha)
基準年(S58) H23年 実績
77,186
114,794
6,420
198,400
81,315
119,603
19,385
220,303
(注)
面積は延面積で、
保安林種によって重複計上
されている。
長期目標(H28)
81,195
119,829
19,345
220,369
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
森林政策課資料
第
4
編
( 4 )地下水
① 地下水区毎の利用状況
地下水の量的な保全と適正利用を図るため、保全目標を設定して17地下水区毎に適正
揚水量※を設定している。
地下水の適正揚水量及び利用状況
地 域
適正揚水量
黒 部
14,670
5,800
16,100
13,110
580
50,260
魚津・滑川
富 山
高岡・砺波
氷 見
全 県
参
考
資
料
(単位:万㎥/年)
利用状況(H22年度) 備考(利用率)
3,430
2,980
9,890
5,430
200
21,930
( 23% )
( 51% )
( 61% )
( 41% )
( 34% )
( 44% )
環境保全課資料
12
第1編 水を取り巻く環境
序
論
第
1
編
② 地下水位
水利用のうち地下水利用は、年219百万㎥で、水需要全体量に占める率は約4%である。
冬期間の消雪設備の一斉稼働により、市街地では一時的に大幅な地下水位低下が見ら
れる。
富山地域の地下水位の変化
地表
(m)
1
0
第
2
編
第
3
編
下飯野
地 -1
下
水 -2
位 -3
︵
月 -4
平 -5
均
値 -6
︶ -7
-8
第
1
章
奥田北
19
年
4
月
8
月
12
月
20
年
4
月
8
月
12
月
21
年
4
月
8
月
12
月
22
年
4
月
8
月
12
月
23
年
4
月
8
月
12
月
環境保全課資料
第
2
章
第
3
章
第
4
章
③ 用途別地下水採取量
地下水採取量を用途別にみると、工業用は減少傾向にある。一方、道路等消雪用は消
雪設備の設置基数が増加傾向にあり、降雪の状況により採取量が変動している。
用途別地下水採取量の経年変化(地下水条例指定地域)
第
4
編
︵ 160.0
百
万
K
︶ 140.0
参
考
資
料
120.0
137.9
136.2
128.7
127.0
0.0
8.2
0.0
0.0
2.2
21.7
100.0
18.7
17.7
80.0
107.9
4.2
3.3
16.5
18.4
121.9
117.3
19.6
10.6
21.2
130.2
0.0
7.9
4.4
19.8
12.5
4.3
24.9
3.2
4.0
4.3
2.9
18.8
19.4
15.4
16.3
17.6
59.6
60.8
60.4
19.1
18.0
12.0
60.7
道路等消雪用
30.8
12.7
19.3
14.9
37.2
0.0
15.7
その他
0.0
108.8
0.0
0.4
0.3
60.0
40.0
78.4
73.7
77.5
65.0
63.0
平成3年度
平成8年度 平成13年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度
環境保全課資料
13
水道用
建築物用
工業用
20.0
0.0
農業・水産業用
第1編 水を取り巻く環境
( 5 )治水・利水
治水と利水は表裏一体であり、急流河川を相手にした水との闘いとともに現在の水利用が
育まれてきた。昭和30年代以降のダムによる水資源開発はほぼ終期を迎えており、今後は水
利用の適正管理や有効利用などによる安定した水利用が求められる。
① 治水・利水施設
とうしゅこう
(発
治水・利水施設として主要7河川にダム46ヶ所、頭首工17ヶ所が設置されている。
電用ダムを含む)
序
論
第
1
編
とうしゅこう
現在各流域に設置されているダム、頭 首工
流 域
ダム(高さ15m以上)
頭首工(高さ15m未満)
6
11
14
8
0
1
6
46
小矢部川
庄 川
神通川
常願寺川
早月川
片貝川
黒部川
計
第
2
編
6
2
4
1
1
2
1
17
第
3
編
第
1
章
第
2
章
河川課、農村振興課資料
a.多目的ダム
昭和30年代以降、洪水調節と水の総合的利用を図るため、河川総合開発事業等によ
り、これまで17の多目的ダムが完成し、現在、国土交通省の利賀ダムの建設が進めら
れている。
主な多目的ダム
(単位:千㎥)
ダム名
型式
目的
朝日小川
G
R
G
G
E
G
G
G
G
F,N,P
F,N,Es
F,N,Es
F,A,W,I,Es,P
F,N,Es
F,P,W
F,N,P,Es
F,N,Es
F,N,I
布施川
城端
境川
大谷
宇奈月
久婦須川
舟川
利賀
有効貯水量 かんがい用水
3,580
1,000
2,400
56,100
200
12,700
6,900
360
26,400
都市用水
機能維持用水
450
250
950
24,700
第
4
章
第
4
編
平2完成
平4完成
平4完成
26,000
平5完成
10
平10完成
1,250
480
備 考
第
3
章
参
考
資
料
平13完成
2,100
120
6,220
平14完成
平24予定
平34予定
河川課資料
b.農業用ダム
昭和30年代以降、農業用の利水、洪水調節目的として、7ダムが完成している。
最近の主な農業用ダム
(単位:千㎥)
ダム名
型式
目的
臼中
R
R
R
F,A
A
A
五位
湯谷川
有効貯水量 かんがい用水
6,070
8,100
1,400
形式 G:重力式コンクリート、R:ロックフィル、E:アース
目的 F:洪水調節、N:流水の正常な機能の維持、A:特定灌漑、
W:水道用水、I:工業用水、P:発電、ES:消流雪用水
4,770
8,100
1,400
都市用水
機能維持用水
備 考
平3完成
平4完成
平12完成
農村振興課資料
14
第1編 水を取り巻く環境
序
論
第
1
編
② 用途別水需要の実績
水需要の用途別の割合は、農業用水が92.4%と最も多く、工業用水、生活用水の順と
なっている。
地下水利用の割合は、全体の約4%となっている。
用途別水需要
(単位:百万㎥/年)
用 途
需要量
生活用水
142
269
6,039
28
60
6,538
工業用水
第
2
編
農業用水
克雪用水
建物用水
計
(用途別構成割合)
(参考)地下水利用(地下水の割合)
36
144
8
24
37
249
2.2%
4.1%
92.4%
0.4%
0.9%
100.0%
25.3%
1.5%
0.1%
85.7%
61.7%
3.8%
県民生活課資料(平成12年度)、地下水は環境保全課資料(平成15年度)
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
a.上水道の水源別取水量
取水量は近年緩やかな減少傾向にあり、水源別の割合は表流水(浄水受水 ※、表流
水)が7割を超え、地下水(伏流水含む)が3割未満となっている。
上水道の水源別取水量
取 140,000
水
量 120,000
︵
千 100,000
(1.6%)
2,299 (1.9%)
1,769
32,671 (26.5%)
K
31,383 (27.6%)
/
年 80,000
︶
60,000
38,698 (34.0%)
46,249 (37.5%)
42,032 (36.9%)
42,255 (34.2%)
湧水等
地下水
浄水受水
表流水
40,000
20,000
参
考
資
料
0
昭和59年
平成17年
生活衛生課資料
b.水道普及率
水道の普及は地域により差があり、地下水の豊富な地域や山間地で家屋が散在して
いる地域等で普及が遅れている。
水道普及率
(単位:%)
年度
H2
H7
H12
H17
H19
H20
H21
H22
県内
89.4
90.2
92.2
93.2
93.2
93.2
93.2
93.2
全国
94.7
95.8
96.6
97.2
97.4
97.5
97.5
97.5
生活衛生課資料
15
第1編 水を取り巻く環境
c.工業用水の水源別使用量
平成4年から平成22年の18年間で、総使用量は約36%の減少となっている。
工業用水の水源別使用量
種 別
H4
(単位:万㎥/日)
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
127.5 98.0 96.7 94.2 94.9 93.8 76.3
77.4
27.0 20.5 22.0 22.5 22.9 23.2 14.6 15.3
1.6
1.5
1.5
1.6
1.8
1.7
2.1
1.7
38.6 32.7 32.6 32.3
31.7 30.6 28.5 29.6
51.1 39.9 39.5
37.6 34.7 33.4
31.9 32.2
245.8 192.6 192.3 188.2 185.9 182.7 153.4 156.2
回収水
その他の淡水
上水道
工業用水道
地下水
合 計
序
論
「その他の淡水」とは、地表水と伏流水
統計調査課資料
d.農業用水量
平成3年から平成23年の20年間で、農地面積は約12%減少しており、農業用水量に
ついても減少傾向にある。
第
1
編
第
2
編
第
3
編
農地面積の推移
第
1
章
︵ 80,000
ha
︶
第
2
章
70,000
第
3
章
60,000
第
4
章
50,000
40,000
30,000
67,330
63,610
61,050
59,940
59,270
第
4
編
20,000
10,000
0
平成3年
平成8年
平成13年
平成18年
平成23年
参
考
資
料
富山農林水産統計年報より
16
第1編 水を取り巻く環境
( 6 )豊かな水による恩恵
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
① 水力発電
河川は暴れだすと手におえないが、逆にこの水を治めることができた場合には、水力発
電に適した好条件に恵まれていることになる。現在の県内の発電所は、黒部ダムや有峰ダ
ごうくち
ムなど峡谷の地形を利用した高落差のもののほか、合口用水を利用した低落差のものも
多くある。クリーンエネルギーのパイオニア県である本県の水力発電開発量は113地点(出
力1,000kW以上)、最大出力292万kWであり、水力発電出力及び年間水力発電電力量は
全国第1位(平成22年度)である。
② 工 業
本県の工業は、明治32年の水力発電の開発が原動力となって、大正時代には豊富で安
価な電力供給の下に、化学、電炉、機械、紡績など大手企業の立地が進み、第2次世界大
戦頃には大規模な工業集積が形成できた。主要産業としてはパルプ、肥料、医薬品、プラ
スチック原料等の化学工業、鉄鋼、アルミ関連等の金属・非鉄金属工業などの基礎資材
型産業をはじめ、繊維産業や機械産業に至るバラエティに富んだ業種が立地した。現在
では、全国一のアルミ関連業種を筆頭に近代的な医薬品工業、高度技術を有する機械工
業に発展し、精密、電気、輸送機械など加工組立型のウエイトが高まっている。新しい水
の技術としてハイテクでは、高圧のウォータージェットによるカッターや医療用メスへの応
用等がある。
③ おいしい水
山岳地帯に降った雨や雪は本州一の植生自然度を誇る森林地帯に蓄えられ、やがて浸
み出して表流水となって川を下り、また一部は地下を流れ平野や海岸部で湧き出してい
る。富山の河川は急流で一気に流れ落ちているため、途中で滞留する時間が少ない。ま
た、地下水の年齢は比較的若いと言われており、色々な成分がほどよく溶けこみ、富山の水
はのど越しの良いおいしい水になっている。県内の水道水は地下水や急流の河川水を使っ
ているものが多く、冷たくておいしい。
また、本県は急流河川が形成する扇状地に恵まれ、扇端部を中心に湧水や自噴井戸が
見られるほか、豊富な地下水が古くから生活用水等に利用されている。湧水や自噴井戸の
中には、故事来歴を有するものや古くから地域住民等によって保全が図られているものも
多い。
(66
県では、このような湧水をはじめとする本県の優れた水環境を「とやまの名水 ※」
件)として選定しているほか、環境省の「名水百選」
(昭和60年)及び「平成の名水百選」
(平成20年)に、本県からそれぞれ4ヶ所(計8ヶ所)が選定され、熊本県と並び全国最多
となっている。
④ コシヒカリなどの富山米とお酒
本県の豊かな水は、おいしいコシヒカリなどの富山米やお酒などの地場産品を育んでき
た。コシヒカリは、富山では8月初旬に穂が出て9月中旬ごろまでに実る。このおよそ40日間
の平均気温が、コシヒカリが最もおいしく実る約25℃である。
17
第1編 水を取り巻く環境
また、自然環境の面で見逃せないのが北アルプスの豊かな雪解け水である。コシヒカリ
が実る時期は日中の暑さが厳しく、放っておくと根の働きが弱くなり、米の味が落ちてしま
う。そこで、北アルプスから流れてきた冷たい水を水田に入れることにより、しっかり熟し
た米を実らせることができるのである。さらに、おいしい富山のお酒は、清らかな水と良質
の米により育まれてきたものである。
⑤ 富山湾
「森は海の恋人」と言われるように、森林は川や海に豊富な栄養分を含んだ水を安定
的に供給していると言われており、県土の約67%を占める森林から多数の川が流れ、豊か
な水が富山湾に注いでいる。
また、本県の豊富な降水量と典型的な扇状地は、大量の地下水を育み、さらに豊富な栄
養分を持った海底湧水となって富山湾に流出しており、多様な海の生物生態を支えている
と言われている。
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
( 7 )水質環境
下水道など生活排水処理施設の整備や、工場・事業場における排水対策の推進などによ
り、代表的な河川である黒部川や常願寺川、庄川では清流を保っているほか、過去に汚濁が
見られた神通川、小矢部川及び一部の都市河川の水質も改善されている。
① 汚水処理人口普及率
本県の平成23年度末の汚水処理人口普及率は94%(全国第8位)で、全国平均の88%
より高い。
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
汚水処理人口普及率
処 理 人 口
種 別
流域下水道
公共下水道
特環下水道
小 計
農村下水道
小 計
コミュニティ・プラント
合併処理浄化槽
小 計
合 計
昭和55年度
平成元年度
平成23年度
千人
%
千人
%
千人
%
0
175
6
181
0
0
11
ー
11
192
0
16
1
17
0
0
1
ー
1
18
33
251
10
294
11
11
15
0
16
321
3
22
1
26
1
1
2
ー
2
29
376
406
94
877
98
98
5
47
51
1,026
35
37
9
81
9
9
0
4
5
94
(注)表の数値については、四捨五入を行っているため
合計等が合わないことがある。
参
考
資
料
都市計画課資料
18
第1編 水を取り巻く環境
序
論
第
1
編
② 河川末端における水質(BOD)年度別推移
下水道事業等により水質改善が図られてきた結果、27河川すべてで、環境基準を達成し
ている。
さらに、多くの河川で環境基準のAA∼A類型に相当する清浄な水質を維持している。
河川末端における水質(BOD)年度別推移
水 域
水域類型
(単位:㎎/R)
H5年度 H17年度 H18年度 H19年度 H20年度 H21年度 H22年度 H23年度
基準値
小矢部川
第
2
編
主
要
5
河
川
神通川
庄川
常願寺川
黒部川
上庄川
第
3
編
湊川
内川
都
市
河
川
第
1
章
第
2
章
中川
角川
鴨川
黒瀬川
第
3
章
第
4
章
下条川
高橋川
木流川
中
小
河
川
阿尾川
余川川
新堀川
第
4
編
参
考
資
料
白岩川
そ
の
他
の
河
川
上市川
早月川
布施川
吉田川
入川
小川
笹川
境川
※1
D
(C)
※1
C
(B)
A
A
AA
B
C
C
※1
B
(A)
B
A
B
A
B
※2
B
(A)
A
A
B
※1
B
(A)
A
AA
A
B
A
A
※2
A
(AA)
※2
A
(AA)
(
8 5)
(
5 3)
2
2
1
3
5
5
(
3 2)
3
2
3
2
3
(
3 2)
2
2
3
(
3 2)
2
1
2
3
2
2
(
2 1)
(
2 1)
3.0
1.5
0.6
1.0
0.6
2.0
2.9
5.5
1.8
2.3
1.7
4.1
1.2
1.3
1.6
1.1
1.0
1.8
1.1
0.5
0.6
1.2
1.9
0.6
0.7
<0.5
<0.5
2.7
1.6
0.7
1.2
0.7
1.5
2.0
1.1
1.1
1.3
0.9
1.4
1.3
0.8
1.1
1.1
1.5
2.0
1.0
0.5
<0.5
0.5
0.9
1.1
0.5
0.5
<0.5
2.3
1.2
0.7
1.0
0.6
1.3
2.1
1.4
1.3
1.1
1.0
1.5
1.2
1.0
1.1
1.1
1.2
1.6
1.0
0.6
<0.5
0.6
1.2
0.7
<0.5
0.5
<0.5
2.6
1.8
0.7
0.9
0.5
1.0
2.2
1.3
1.0
1.2
1.1
0.9
1.0
0.6
1.0
1.1
1.6
1.5
1.1
0.5
<0.5
0.8
1.0
0.7
<0.5
<0.5
<0.5
2.2
1.7
0.7
1.1
0.6
1.4
2.2
0.9
1.0
1.0
0.7
1.0
0.9
0.6
1.2
1.1
1.6
1.2
1.0
<0.5
<0.5
0.6
1.0
0.7
<0.5
<0.5
<0.5
1.7
1.3
0.6
0.9
0.6
1.3
2.2
0.9
1.2
1.0
0.7
0.8
0.9
0.8
0.8
1.3
1.3
1.3
1.2
<0.5
<0.5
0.6
0.7
0.6
0.5
<0.5
<0.5
1.5
1.4
0.6
0.8
0.6
1.2
2.1
2.1
0.9
1.0
0.8
0.8
1.0
0.7
0.8
0.9
0.8
1.2
1.1
0.6
<0.5
0.8
1.0
0.6
0.5
<0.5
<0.5
1.1
0.9
0.8
0.7
0.5
0.7
1.8
2.1
0.8
1.2
0.9
1.1
1.2
1.1
1.1
0.7
0.6
1.0
0.9
0.8
0.6
0.8
0.9
0.9
0.7
0.7
0.6
(注)
「水域類型」のAA、A、B、C及びDは、
「水質汚濁に係る環境基準について(昭和46年環境庁告示第59号)」に示された「河川」
の類型をいう。
(※1は平成22年4月1日から、※2は平成23年4月1日から()内の類型が適用されている。)
類型ごとにBODなどの水質基準値が定められており、AAは最も清浄な水質を目標とする水域である。
環境保全課資料
19
第1編 水を取り巻く環境
( 8 )国内、世界への情報発信
本県の水との闘いの歴史や水の利活用は、内外の有識者から高い評価を受けている。
「水の王国とやま」の展示ブース
平成15年3月の京都・大阪での「世界水フォーラム ※」では、
の出展や「くろべ水の少年団」などの活動報告を行うなど、国内のみならず世界に向けての
情報発信に取り組んでいる。
平成20年には、日本国内で始めて第36回国際水文地質学会(IAH)が富山県で開催され、
本県の水環境の保全と利活用などについて情報発信がなされた。
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
20
第1編 水を取り巻く環境
2 本県の社会経済状況
( 1)人 口
序
論
富山県では、全国よりも早く、平成11年(1999年)に総人口が減少に転じており、今後、生
活用水等の水需要の変動に影響が生じてくる。
総人口の推移
第
1
編
1,300 富
全 130,000
国
︵
千 125,000
人
︶
126,926
124,100
120,659
117,060
1,120
115,000
110,000
山
県
︵
1,200 千
人
︶
123,611
120,000
第
2
編
127,768 128,057
126,597
1,121
1,112
1,033
1,100
116,618
1,093
1,103
1,058
1,030
112,124
1,000
1,019
975
第
3
編
105,000
929
103,720
100,000
第
1
章
95,000
第
2
章
90,000
全国
900
880
800
富山
93,419
1960
1970
1980
1990
2000
2005
2010
(H22)
2015
2020
2025
2030
2035 年
(H47)
700
総務省「世界人口の推移」
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
( 2 )土地利用の変化(平成元年∼平成22年)
県全体面積に占める割合で、宅地は1.5ポイント増加、農用地は2.2ポイント減少しており、
かんよう
水田等の水源涵養や洪水調節機能等への影響が懸念される。
富山県における土地利用の推移
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
平成元年
16.2%
66.7%
4.2% 3.7% 4.9% 4.3%
平成11年
14.6%
67.0%
4.8% 3.9% 6.0% 3.7%
平成22年
14.0%
66.9%
4.8% 4.2% 6.4% 3.7%
農用地
森林・原野
水面・河川・水路
道路
宅地
その他
県民生活課資料
21
第1編 水を取り巻く環境
( 3 )産業構造
富山県は、良質で豊かな水と安価な電力に支えられ、日本海側屈指の工業集積が形成され
ており、産業構造は、全国と比較して第2次産業のウエイトが高くなっている。
序
論
産業別総生産構成比
第
1
編
【全国】
平成2年
2.5%
36.6%
平成7年
1.9%
平成12年
1.8%
平成17年
1.2%
25.6%
平成21年
1.2%
23.5%
64.2%
31.6%
70.5%
29.7%
0%
72.5%
72.5%
第
3
編
74.6%
20%
第1次産業
第
2
編
第2次産業
40%
60%
80%
第3次産業
100%
国民経済計算報告
第
1
章
第
2
章
【富山県】
平成2年
2.2%
平成7年
1.7%
平成12年
1.3%
37.9%
63.9%
平成17年
1.2%
37.2%
64.6%
平成21年
1.3%
0%
44.5%
41.8%
第1次産業
59.6%
29.2%
20%
第2次産業
第
3
章
56.0%
第
4
章
第
4
編
72.7%
40%
第3次産業
60%
80%
100%
県民経済計算報告
参
考
資
料
(注)産業別総生産構成比は、産業別に控除不能な項目があるため、合計が100%にならない。
22
第1編 水を取り巻く環境
3 世界の水問題
序
論
21世紀は、
「水の世紀」と言われ、地球的規模で水の問題が注目され、国際的な議論の中でも、
水問題は解決が急がれる最優先事項の一つとなっている。
特に、海外に食料や工業製品の多くを依存する日本にとって、世界の水問題は決して他人事では
ないという意識が大切である。
第
1
編
( 1)地球の水資源
第
2
編
「水の惑星」と言われる地球だが、その水の約97.5%は海水などで、淡水は約2.5%にすぎ
ない。しかも淡水のほとんどは南極や北極の氷で、人類が比較的容易に利用できる水は河
川・湖沼の水などでわずか0.01%でしかない。
地球上の水資源
地球上の水の量
約13.86億L
第
3
編
第
1
章
第
2
章
氷河等
1.76%
約0.24億L
海水等
97.47%
約13.51億L
淡水
2.53%
約0.35億L
地下水
0.76%
約0.11億L
第
3
章
河川、湖沼など0.01%
約0.001億L
第
4
章
第
4
編
(注)1. World Water Resources at the Beginning of 21st Century ; I. A.
Shiklomanov and John C. Rodda , 2003 をもとに国土交通省水資源部作成。
2. 南極大陸の地下水は含まれていない。
( 2 )深刻化する世界の水問題
参
考
資
料
23
人口の急激な増加と社会の発展に伴い、多くの国で水不足が発生している。水の不足は、
生活用水の不足だけではなく、深刻な食料不足や生態系への影響をもたらす。
汚水処理施設の未整備による水の汚染、危険な氾濫地域への居住人口の増加による洪水
被害の増大等、様々な問題が発生しており、今後の世界の人口の増加によって、水不足をは
じめとしたこれらの問題が一層深刻化・顕在化することが懸念されている。
世界の人口70億人のうち、
ア)7.8億人が安全な飲料水を継続的に得ることができない。
イ)25億人が下水道等の基礎的な衛生施設を継続的に利用できない。
2011年に70億人を突破した世界の人口は、2025年には80億人に達すると予想される。これ
に伴って世界の水需要も大幅に増加する。
水資源として利用可能な量は、降水量の変動等により絶えず変化し、豪雨、干ばつ等の異
常気象が大きな影響を及ぼす。
将来的には、人為的な要因等による酸性雨や地球温暖化等の気候変動等が水資源に大き
な影響を与えると予想される。
第1編 水を取り巻く環境
( 3 )利用できる水の量
わが国の年降水量は1,690mmと、世界平均の約2倍となっている。しかし、狭い国土に人口
が多く、一人当たりの年降水量は世界平均の3分の1程度である。
序
論
世界各国の降水量等
一人当たり年降水総量・水資源量(K/人・年)
降水量(㎜/年)
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
0
世
界
カ
ナ
ダ
ニュージーランド
オーストラリア
スウェー デ ン
ル ーマニア
アメリカ合衆国
オ ーストリ ア
イ ンド ネ シ ア
ス
イ
ス
タ
イ
フィリピ ン
フ ラ ン ス
日
本
ス ぺ イ ン
英
国
中
国
イ
ラ
ン
イ
ン
ド
エ ジ プ ト
サウジアラビア
20,000
40,000
60,000
80,000
100,000
第
1
編
159,221
107,257
188,741
第
2
編
第
3
編
第
1
章
一人当たり年降水総量
一人当たり水資源量
(注)1. FAO(国連食糧農業機関)
「AQUASTAT」の2012年4月時点の公表データをもとに国土交通省水資源部作成。
2.「世界」
の値は「AQUASTAT」
に「水資源量
[Water resources: total renewable(actual)
]」
が掲載されている177カ国による。
(注)
日本の降水量は昭和51年∼平成17年の平均値である。
(参考)富山市の年降水量(平年値)
は2,300㎜であり、
日本平均の約1.4倍、
1人あたり年降水量は、日本平均の約1.8倍である。
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
24
2 新たな展望
第 編
1 基本理念
序
論
水に関わる諸施策を進めるにあたっては、水が本来有している特性を十分に認識し、利用と保全
の調和に努めなければならない。
具体的には、以下の5項目を基本理念とし、水源、治水・利水、水環境、水文化等の諸施策を推進
する。
第
1
編
( 1)水は、大気と陸地、海洋の間を循環して、繰り返し利用される資源である。
第
2
編
水は、大気と陸地、海洋の三つの間を循環して、繰り返し利用されるが、地域の自然条件や
季節によって地理的かつ量的に偏りがある。
水の循環過程を損なうことのないよう、水源である森林や山地の保全、地下水の涵養、水
質の保全等、健全な水環境の維持、創出に努めなければならない。
( 2 )水は、上流から下流に及ぶ広域的で公共性の高い資源である。
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
水利用は、水源域である上流域から下流域に至るまで連続的な構造を持ってなされる。流
水や水質の管理は、上流域から下流域まで一貫した対策を必要とする。
水は、地域的に偏在し、有限な資源であり、社会的な共有物としての性格を持っている。
水は、流域を単位として公共性の高い資源であり、広域的、計画的に管理しなければならない。
( 3 )水は、巨大なエネルギーを持った存在である。
富山県は急峻な山岳地帯が多く、梅雨や台風時には、山崩れ、土石流、洪水等により、田畑
や家屋の破壊、多くの人命が奪われてきた。
水は水力発電や生活用水として、水辺はレクリエーションの場などとして活用されている
が、時には危険な側面を持っており、備えを怠らないように努めなければならない。
( 4 )水は、ふるさとの大地や自然、生命、文化の創造主である。
水は、大地を刻み、荒々しい流れが段丘や平野をつくってきた。
様々な生物にとって生存が保障され、生態系の健全性が維持される水域であるよう、自然
豊かな水環境の保全、創出に努めなければならない。
富山湾から間近に仰ぎ見る雄大な景観、水の流れがつくりだす変化に富んだ地形、そこに
息づく自然は、心のふるさととして潤いと安らぎを与える。
水は、人々の日常生活に欠くことのできないもので、健康の元となるものである。日々の生活
や水に係わる祭事や生き物等を通じて、地域での様々な水文化を創り上げてきた。
( 5 )水は、時代や国境を越えて受け継がれる財産である。
水は、太陽のエネルギーと地球の重力によりたえず地球上を循環しており、人々は、昔から
変わることなく繰り返されているこの大きな循環の中で水を利用している。
水は、人々が共有する貴重な財産であり、水を使うものは水を創るという考え方を大切に
し、次の世代に引き継いでいく責任がある。
25
第2編 新たな展望
2 将来像
水ビジョンの目指す将来像は、
「恵みの水が美しく循環する“水の王国とやま”」とする。
豊かな水の恵みを受け、暮らしのいたる場面で水を利用し、
「水の王国とやま」を築いてきた
富山県。現在のように水の恩恵を受けられるようになったのは、水との闘いを通して治水に
励み、用水を切り開いた先人たちの努力の賜物である。
しかし、近年、わたしたちは、快適で便利な生活を追及するあまり、水が育んできた美しい自
然環境を損なってきたことも否めない。
水は地球上すべての生物が共有する、限りある資源であることを再認識し、水の利用を自然
の営みのなかに調和させていかなければならない。
また、水を大切に思い大切に使うことや、水に生きる生き物を次世代に引き継いでいかなけ
ればならない。
このような認識のうえに、わたしたちは、恵みの水が、多様な県土を自然のリズムで、人間社
会の多彩な営みと調和しながら、
「美しく循環する」ことを目指す。
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
3 基本目標
将来像「恵みの水が美しく循環する“水の王国とやま”」を目指すため、以下の三つの基本目標を
設け、水に関わる各種施策の積極的な展開を図る。
( 1)豊かな水を活かし健全な水循環系の構築をめざす。
大気から大地、河川等を経て海域に向かう水の循環は、河川や地下水の水量の確保、水質
の浄化、水辺環境や生態系の保全に大きな役割を果たしている。
流域全体を視野に入れた水循環系の健全化に向け、豊かな水を活かし人間の諸活動と水
循環系との調和を図るため、水源、治水・利水、水環境の対策を推進する。
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
( 2 )地域に根ざした水文化・産業を継承し発展させる。
先人から引き継がれてきた水文化の衰退、水に触れる機会の減少が問題となってきてお
り、水を大切にする意識を育み、水文化の継承と発展を図る。
豊かな水の恵みが、日本海側屈指の産業集積やおいしいコシヒカリなどの富山米やお酒な
どの地場産品を育成してきており、さらなる発展を図る。
( 3 )未来を展望し地球的規模の水問題にとりくむ。
地球的規模の水問題(地球温暖化、酸性雨、異常気象等による水危機、仮想水問題 ※)の
進行が危惧されてきている。
地球的規模の水問題の解決に向けて、水に関する調査研究や保全活動、啓発普及など富
山の取り組みを国内外に発信する。
26
第2編 新たな展望
4 施策展開の考え方
序
論
健全な水循環系を構築し、水文化 ※の継承・発展や安心できる水利用社会を実現していくため、
以下の「人づくり」
「地域づくり」
「仕組みづくり」の視点から、各種施策を推進していく。
( 1)健全な水循環系の構築を担う「人づくり」の推進
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
27
健全な水循環系の構築を担う人づくりを推進し、県民の知恵を生かし、地域に密着したき
め細かな取り組みの展開を図る。
健全な水循環系の構築に積極的に取り組む県民を適切に評価し、県民の自発的な行動意
欲の増進を図る。
( 2 )本県の特色を踏まえた「地域づくり」の推進
本県の自然的・社会的な条件を踏まえ、県民の生活水準を維持しつつ、環境への負荷が少
ない地域づくりを推進し、県民にうるおいと安らぎを与える豊かな水環境の保全を図る。
手入れの遅れている森林や身近な里山など水源地域の保全については、上下流連携など
流域全体での取り組みを進める。
地域住民が自ら行動を起こし、自分たちの地域は自分達で保全、創造、利用、伝承し、さら
に現状よりもより良い状態を伝え残せるような水の取り組みを推進する。
( 3 )県民の諸活動と水循環系との調和を目指す「仕組みづくり」の推進
県民が水環境の価値を認識し、その保全と創造に向けて積極的に行動するための基盤を
整備し、インターネット等による情報発信により全県的な規模での取り組みの誘導を図る。
自然との調和を目指した施策を推進するため、専門家の意見等を十分取り入れる体制づく
りを図る。
3 施策の展開方向
第 編
第1章
健全な水循環系の構築
第1節 水源対策(蓄え・はぐくむ)
序
論
1 森林の保全 ………………………………………………………………………………………………… P.29
2 水源山地等の保全 ……………………………………………………………………………………… P.31
3 地下水の保全と涵養 …………………………………………………………………………………… P.33
第
1
編
第2節 治水・利水対策(安全を高め・うまく使う)
1 治水対策の推進 …………………………………………………………………………………………… P.35
2 利水対策の推進 …………………………………………………………………………………………… P.38
3 用途間転用の推進 ……………………………………………………………………………………… P.42
第3節 水環境対策(きれいに保ち・親しむ)
1 水質汚濁の防止 …………………………………………………………………………………………… P.44
第
2
編
第
3
編
2 汚水処理の促進と再利用 ……………………………………………………………………………… P.46
3 水環境の保全と利用の調和 …………………………………………………………………………… P.48
第
1
章
第
2
章
第2章
水を活かした文化・産業の発展(伝え・はばたく)
1 水に関する歴史風土と水文化の継承 ……………………………………………………………… P.52
2 水を活かした産業の振興 ……………………………………………………………………………… P.54
第
3
章
第
4
章
3 水を通じた交流と連携 ………………………………………………………………………………… P.56
4 水環境学習の推進 ……………………………………………………………………………………… P.58
第3章
地球的規模の水問題へのとりくみ(未来をのぞみ・備える)
1 地球温暖化 ………………………………………………………………………………………………… P.60
第
4
編
参
考
資
料
2 酸性雨 ………………………………………………………………………………………………………… P.62
3 異常気象等による水危機 ……………………………………………………………………………… P.63
4 仮想水問題 ………………………………………………………………………………………………… P.65
第4章
実現目標 …………………………………………………………………………………………………… P.67
28
第3編
施策の展開方向
1
第 章
健全な水循環系の構築
第1節 水源対策(蓄え・はぐくむ)
1 森林の保全
現状と課題
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
木材価格の低迷による林業経営意欲の減退や、不在森林所有者の増加などにより、間伐等の手入
かんよう
れが不十分な人工林や利用されずに放棄されている里山林は、水源涵養機能など森林の公益的機
能の低下が懸念される。このため、富山県森づくり条例に基づいて策定した富山県森づくりプラン
に沿って、引き続き幅広い県民の参加を得ながら「とやまの森づくり」を推進する必要がある。
全国的に利用目的が定かでない森林買収事例が増加していることから、森林等の水源地域が適正
に保全され、県民の貴重な財産である本県の豊かな水資源の適正な利用が図られるよう、水源地
域の保全に取り組む必要がある。
施策の基本方向
森林の整備及び保全にあたっては、天然林を里山林と保全林に、人工林を生産林と混交林
に区分して取り扱うこととし、森林の状態や立地条件に加え、地域ニーズ等を反映した多様な
森づくりを推進する。
とやまの森づくりを推進するにあたっては、計画、実行、評価、改善(PDCAサイクル)の各プ
ロセスにおいて、幅広い県民の参加を得ながら進める。
森林法の改正により、森林計画制度が見直され、適切な森林施業が確実に行われる仕組み
が構築されたことから、これを適切に運用し、森林の有する諸機能を高度に発揮するための森
づくりを推進する。
施策の推進方向
( 1)健全で機能の高い森づくり
① 多様な森づくりの推進
かんよう
森林は、水源涵養だけでなく、山地災害防止、地球温暖化防止、水質浄化、野生動植物
の生息地などの多面的な機能を有していることから、森林の状態や立地条件及び地域
ニーズに応じた健全で機能の高い多様な森づくりを県民参加により推進する。
天然林では、集落周辺の里山において、水と緑の森づくり税を活用して「地域ニーズ等
に応じた多様な里山の再生」を図るとともに、奥山においては、自然の推移に委ね、保
全・保護する。
人工林では、伐採・再造林といった林業活動を通じた「循環型社会に貢献する持続的
な木材生産」に重点を置いた森林整備を推進するとともに、風雪害を受けた人工林や
手入れ不足で過密となった人工林、さらには竹林が侵入した人工林など、林業経営が
困難な所では、水と緑の森づくり税を活用して、広葉樹とスギなどが混在する混交林へ
の誘導を目指した森林整備を推進する。
② 県民参加による森づくりの推進
森づくりは、長期的、継続的に取り組んでいく必要があることから、森づくりの理念、施
策の基本方針等を盛込んだ「富山県森づくり条例」に基づき、水と緑の森づくり税を活
用して、県民全体で支える森づくりを推進する。
森づくりの推進にあたっては、計画・実行・評価・改善の各プロセスにおいて、幅広い県
民の参加を得ながら進める。
29
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第1節 水源対策(蓄え・はぐくむ)
県民参加による森づくり活動を推進するため、とやまの森づくりサポートセンターを通じ
て、森林ボランティア活動を支援する。
とやまの森づくりホームページによる森づくり情報の提供や、県内各界の代表者や有識
者からなる「富山県水と緑の森づくり会議」を開催し、森づくり全般について幅広い意
見を反映しながら森づくりを推進する。
森づくりを支える県民意識の醸成を図るため、森林環境教育や普及啓発活動を推進する。
序
論
第
1
編
( 2 )森林の適正な保全と管理
① 保安林機能の充実と公益的機能の確保
かんよう
水源流域で水源涵養等の公益的機能の発揮が特に要請される森林については保安林の
指定を進めるとともに、保安林機能の高い森林を造成するため治山事業等を推進する。
適切な森林の施業を確保するため、森林法の改正に基づいた「伐採及び伐採後の造林の
届出制度」や「森林の土地所有者となった旨の(事後)届出制度」の適切な運用により、適
正な森林管理に努める。
② 森林の公益的機能評価手法等の確立
森林の公益的機能の評価手法確立のため、崩壊地など森林への復元過程における直
接流出量の変化等のモニタリング調査を進める。
③ 水源地域の保全
森林などの水源地域を無秩序な開発から未然に守るとともに、豊かで清らかな水を将
来にわたって維持・保全するため、水源地域の保全に関する条例を制定し、水源地域
における土地取引を事前届出により把握するとともに、適切な管理が行われるよう、必
要に応じ指導・助言を行う。
県民参加による森づくりの推進
森づくりの
計画
(Plan)
公益的機能の維持・
向上と木 材 資 源 確
保の両立
森づくりの
評価・改善
(Check・Action)
県民への 情 報 提 供
と森づくりの評価と
改善 への県民 意 見
の反映
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
地域住民、森林所有
者及び 幅 広い県民
の計画づくりへの参
画と合意形成
自然 の 推 移に委ね
保全・保護
混交林
循 環 型社会に貢 献
する持 続 的な木 材
生産
第
2
編
豊かな水を育むとやまの森
保全林
生産林
里山林
人工林
天然林
地域ニーズ等に対応
した多様な里山の再
生
森づくりの
実行
(Do)
ボランティアや企業
など幅 広い県民 の
参加
花とみどりの少年団の森林体験学習
30
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第1節 水源対策(蓄え・はぐくむ)
2 水源山地等の保全
現状と課題
序
論
第
1
編
水源地域の保全のため、森林の維持造成や山地災害防止対策を進めているが、未だ要整備箇所
が多数ある。特に、所有者のみでは適正な管理が困難で、公益的機能が低下した保安林の整備
は、緊急を要する。
ぜいじゃく
本県は、急峻な山岳地帯に囲まれ、脆 弱な新第三紀層 ※が広く分布することから、河川の上流域
においては、著しい荒廃が進んでおり、土砂の流出対策が必要となっている。
かんよう
水源涵養や環境保全等多面的機能を有する中山間地域の棚田等の耕作放棄等が増加し、水源
地域の荒廃が懸念されている。
第
2
編
施策の基本方向
かんよう
第
3
編
第
1
章
水源涵養機能を有する保安林を維持・造成・管理し、またダム等の利水・治水施設の機能を
長期的に維持するとともに、水源地域の山地災害を防止・軽減するため治山・砂防事業を推進
する。
かんよう
また、地下水涵養等の多面的機能を有する棚田等の保全に努める。
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
施策の推進方向
( 1)治山・砂防事業の計画的な推進
森林所有者が自助努力を行っても適正な管理が困難で、かつ公益的機能が低下した保安
林の整備を推進する。
新設治山ダムにおいて堆積内貯留水の透過促進工法の導入を図る。
せっしょく
山腹荒廃地の復旧と、雪食崩壊地の拡大防止と緑化復元を図る。
なだれ防止対策工の実施と、被災森林の復元を図る。
えんてい
とこがためこう
流域の荒廃抑制のため、砂防堰堤や床固工等の整備を計画的に行う。
地すべりによる土砂災害を防ぐため、地下水排除工などの抑制工や杭工などの抑止工を計
画的に行う。
砂防指定地、地すべり防止区域などの適正な管理により、区域内の荒廃を助長する行為を
制限し、水源山地等の保全を図る。
( 2 )流域一貫の総合的な土砂の流出対策
河道の安定的維持や、河川施設の機能の維持、生態系への影響の緩和、海岸の保全等の
ため、総合的な土砂管理を行う。
土砂移動状況の調査・分析の検討を行い、土砂の量・質を把握するモニタリングを推進す
る。
えんてい
流域の特性を考慮し、河川、渓流の連続性確保のため、透過型砂防堰堤 ※の設置や既設砂
えんてい
防堰堤のスリット化を進める。
31
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第1節 水源対策(蓄え・はぐくむ)
( 3 )棚田等の保全
棚田等の農地の利活用や保全活動の支援など総合的な振興対策を推進することにより、農
業・農村の活性化を図り、水源地域の荒廃を防止する。
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
えんてい
透過型砂防堰堤(境川)
[朝日町]
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
スリット型治山施設(谷止工)
[南砺市(旧平村)]
参
考
資
料
棚田オーナーによる稲刈[氷見市]
32
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第1節 水源対策(蓄え・はぐくむ)
かんよう
3 地下水の保全と涵養
現状と課題
序
論
第
1
編
第
2
編
かんよう
都市化の進展、水田の減少等により、地下水涵養量の減少が懸念されており、また、湧水帯の減
少により、湧水帯を住処とする魚などが減少している。
冬期間の消雪水への利用により市街地の一部の地域で、一時的に大幅な地下水位の低下がみら
れる。
地下水揚水量は、適正揚水量の範囲内で推移しているが、今後とも地下水の使用の合理化を促進
し、地下水の保全と適正利用を図る必要がある。
かんよう
かんよう
水源涵養機能を有する農地を確保するとともに、水田等を活用した地下水涵養及び事業者による
かんよう
地下水涵養を推進していく必要がある。
施策の基本方向
第
3
編
第
1
章
豊富で良質な地下水を将来にわたって利用していくため、地下水は県民共有の貴重な資源で
あるとの認識のもとに、地下水採取条例や「富山県地下水指針」に基づき、県民、事業者及び行
かんよう
政が一体となって各種の地下水保全、涵養のための施策を推進するとともに、地下水の水質保
全に努める。
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
施策の推進方向
( 1)地下水の保全と適正利用
公害防止条例に基づく事前協議や環境影響評価条例に基づく適切な環境影響評価の推
進により、開発行為等に対する事前協議や事業者による自主的な地下水保全対策を推進
し、地下水障害の未然防止を図る。
地下水位、地下水塩水化、地盤沈下等に関する観測体制を整備し、定期的な監視調査を実
施する。
地下水位等に関する情報の提供や自噴井戸の保全の啓発など、県民や事業者による自主
的な地下水保全の取り組みを推進する。
水質汚濁防止法、土壌汚染対策法等の適切な運用や事業者による化学物質の管理促進を
図り、地下水汚染の未然防止を図る。
( 2 )冬期間の地下水位低下対策
市町村や関係機関と連携して、冬期間の現状を踏まえた合理的・効率的な消雪方法や揚水
量削減等の具体的な地下水位低下対策を推進する。
地下水位の常時監視を行うとともに、基幹観測井の地下水位については、インターネットに
より県民等に対し最新の情報を提供する。
消雪設備維持管理マニュアルに基づき、節水型消雪設備の普及・啓発に努める。
河川水や冬場でも比較的暖かい下水処理水の利用など、消雪水源の多様化を推進する。
33
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第1節 水源対策(蓄え・はぐくむ)
かんよう
( 3 )地下水の涵養
かんよう
かんよう
水田等を活用した地下水涵
養について、技術的手法を取りまとめた「地下水涵 養マニュア
かんよう
ル」や地下水涵養の必要性、効果等を示した啓発リーフレットにより、関係機関、地下水利
用者、農業者等に対し、取り組みの普及や技術的支援を行う。
雨水等の地下浸透施設の普及を推進する。
かんよう
涵養に要する水源の手当て、水利権の対応等について検討する。
序
論
第
1
編
( 4 )湧水の保全管理
湧水や自噴井戸は、水循環系の健全性を示すシンボルとなることから、
その実態把握に努
かんよう
めるとともに、自噴地帯周辺における地下水使用の合理化や地下水涵養の取り組みを進め
る。
「とやまの名水」のうち、不特定多数の人々が訪れ、飲用に利用している湧水などについて
は、健康被害等の発生を防止するため、管理者、市町村と連携して飲用対策・衛生対策を講
じる。
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
かんよう
し だ に お
水田を活用した地下水涵養[立山町四谷尾]
参
考
資
料
かんよう
地下水涵養の現地見学会[魚津市黒谷]
34
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築
第2節 治水・利水対策(安全を高め・うまく使う)
1 治水対策の推進
現状と課題
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
本県は急流河川を多く有し、たびたび災害を被ってきたことから、河川整備やダム建設を進めてき
ているが、整備水準がまだ低く、着実な整備が求められている。
近年、ゲリラ豪雨などの集中豪雨の頻発や都市化の進行により、市街地やその周辺地域において
浸水被害が多発しており、官民一体となった雨水流出抑制対策をより強化する必要がある。
河川や雨水排水路の整備などハード対策とともに、災害の情報提供や防災意識の啓発などソフト
施策の充実が求められている。
施策の基本方向
河川改修などの抜本的な治水対策を引き続き着実に推進するとともに、特に近年の集中豪雨
の頻発や都市型水害に対応するため、緊急浸水対策を推進するとともに、浸透・貯留施設の整
備を強化する。
また、洪水発生時に地域住民の避難などの判断・行動に役立つよう、雨量や水位のリアルタイ
ムでの情報提供や、避難訓練、防災教育の実施等のソフト施策を推進する。
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
施策の推進方向
( 1)計画的な治水対策の推進
河川、砂防、下水道、農業用用排水路との連携体制を強化し、総合的、計画的な治水対策
を進める。
( 2 )各種治水事業の推進
① 大河川の治水事業
はんらん
大河川の氾濫による壊滅的被害の防止等を目的として、都市及びその周辺地域を重点
的に河川改修事業等を進める。
② 中小河川の治水事業
中小河川における洪水等による災害の発生防止や被害の軽減等を目的として、人家密
集地を重点的に河川改修事業等を進める。
上流域における土砂の流出を調節し、下流域の中小河川での水害を防止するため、砂防
事業を進める。
③ ダム事業
既存ダムにおける堆砂対策等を実施し、ダム機能の維持、回復を図る。
既存ダムの再開発 ※等により、ダムの治水機能の向上を図る。
多目的ダム等のダム事業の推進を図る。
35
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第2節 治水・利水対策(安全を高め・うまく使う)
④ 内水※対策事業
市街地等における浸水対策として、市町村が下水道事業で行う雨水排水路、排水ポンプ場、
雨水貯留池等の整備を促進する。
たんすい
農村の混住化等の進展に伴い排水量が増加していることから、農地への湛水被害を防止す
たんすい
るため、農地防災事業、湛水防除事業、かんがい排水事業を推進する。
序
論
第
1
編
( 3 )都市型水害の浸水対策の推進
① 市町村の緊急浸水対策計画の推進
近年の浸水被害状況を踏まえ、緊急的かつ総合的な浸水対策を進めるために、市町村が定
めた「緊急浸水対策計画」について、県と市町村の連携により重点的・効率的な推進を図る。
② 浸透・貯留施設の整備の強化
雨水排水路の整備や雨水貯留浸透施設の設置を促進するとともに、一般住宅における
雨水貯留タンク等の普及を図る。
雨水浸透桝や雨水浸透側溝の整備、家屋の屋根排水等の浸透施設の整備に努める。
水田の雨水貯留機能を発揮・向上させるよう努める。
③ 地下空間への浸水対応の確立
近年の地下空間の増加に伴い浸水被害への対応策を検討する。
( 4 )防災体制の強化
① ハザードマップによる浸水想定区域等の情報提供
洪水ハザードマップを活用し、浸水想定区域や避難場所など河川の洪水時における円
滑かつ迅速な避難に必要な情報を周知する。
市街地等における内水浸水へのソフト対策として、浸水想定区域等の情報を記載する
内水ハザードマップの市町村作成を促進する。
② 水害情報の収集・伝達システムの確立
新河川情報システムの構築により、雨量や河川水位の観測データを確実に収集・提供す
るとともに、新たに河川監視カメラを設置し、的確な状況把握と市町村や関係機関への
適切な情報提供を行う。
洪水の予知、予報及び被害を軽減させる広報システムを確立する。
集中豪雨予報の早期かつ詳細な提供を行う。
降雨予測と連動した土砂災害の警戒情報を提供する。
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
③ 地域水防力の強化と防災意識の向上
企業やNPO等を水防協力団体と位置付け、水防体制の強化を図る。
高齢者等のいわゆる災害時要援護者の避難誘導を強化するとともに、災害時要援護者
の避難支援のあり方を検討する。
流域全体(上流地域を含めた広い範囲での連携)での防災意識の向上を図る。
災害時の飲料水を確保するため、ライフポイントとして、井戸水、湧水などの保全に努める。
36
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第2節 治水・利水対策(安全を高め・うまく使う)
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
洪水ハザードマップ
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
水防訓練
雨水貯留池(イメージ図)
富山県水墨美術館隣接の公園地下に建設(洪水時に雨水を一時的に貯留)
貯留池の貯水能力4,250㎥(縦29m,横55m、高さ2.9m)
37
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第2節 治水・利水対策(安全を高め・うまく使う)
2 利水対策の推進
現状と課題
用途別水需要の現状や動向を踏まえ、水資源の適正な管理と利用が必要である。
上水道の整備とともに、運営・管理基盤の強化を図り、水道施設の耐震化や広域的なバックアッ
プ機能の強化が求められている。 小水力発電の推進など水の多面的活用が求められている。
序
論
第
1
編
施策の基本方向
水資源の適正な管理と利用を推進するとともに、水の有効利用や雨水の利用などによる節水
に努める。
安全でおいしい水道水の安定供給を図るとともに、小水力発電の推進など水の多面的活用に
ついて環境に配慮しながら推進する。
施策の推進方向
( 1)水資源の適正な管理と利用
① 長期的な水需要見通しに基づく適正利用
用途別水需要の現状や動向を踏まえながら、将来の需要見通しの適正な把握に努める。
ダム、ため池や堰などの水源施設を適正に管理し、既存ストックの有効活用に努める。
② 広域的な水管理の推進
市町村域を越えた広域的な水利用を可能にする施設整備や水管理を推進する。
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
( 2 )水の有効利用や節水
① 生活用水
水道普及率の向上に努めるとともに、小規模な水道施設の統廃合による広域化、運営
基盤の強化、水質管理体制の強化を図る。
水道施設の耐震化や広域的なバックアップ機能の充実強化を図る。
老朽管の更新を推進し、水道水の有効率の向上を図る。
参
考
資
料
② 工業用水
運営基盤や水質管理体制を強化するとともに、老朽管の更新、工業用水道施設の耐震
化や広域的なバックアップ機能の充実強化を図る。
地下水を利用する工場や事業場における、節水や水の循環利用、多段利用 ※などの合理
的な利用を促進する。
③ 農業用水
農業用水需要の実態把握、水利施設の合理化及び水管理技術の向上を図る。
農業用水の安定確保のため、老朽化した用排水路など農業水利施設の計画的な整備・
更新を推進する。
38
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第2節 治水・利水対策(安全を高め・うまく使う)
序
論
第
1
編
④ 克雪用水
れんたん
人家連 坦部など機械除雪が困難な区間などにおいて消融雪施設の整備を進めるととも
に、老朽化した消雪施設の更新を進め、機能の維持に努める。
消雪施設の水源の多様化を促進するとともに、節水型消雪設備の普及促進、消雪設備
の適正な維持管理に努める。
⑤ 建物用水(大規模店舗等が所有する井戸によって揚水される地下水)
節水型器具の普及や生活排水の再利用により、節水を図る。
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
⑥ 雑用水利用
下水や産業排水等の再生水や雨水などの雑用
水の有効利用を図る。
最も身近な水資源である雨水の利用を促進する
ため、一般住宅や公共施設に雨水貯留施設(雨
水貯留タンク等)の積極的な普及を図る。特に効
果の大きい大規模建築物での設置を啓発する。
渇水対策としての雨水の家庭の植栽への散水、
ヒートアイランド※対策としての打ち水、緊急防災
かんよう
用の水、地下浸透による地下水の涵養など、雨水
の大切さと有効利用について啓発する。
もしも…全世帯で設置すると
ぼくんちにも
つけたもんね。
雨水貯留施設の設置による雨水利用
( 3 )水の多面的活用
① 小水力発電の推進
開発可能地点における小水力発電の整備を推進する。
開発可能地点の実態を把握するための調査・研究を進める。
環境に配慮しながら小水力発電等に関する普及啓発を推進する。
小水力発電設備の低コスト化などの研究開発を推進し、国などの助成事業を活用して
事業が効果的に推進されるよう支援する。
② 熱エネルギーの利用
本県は、河川、地下水が豊かで、海水も利用可能であり、また、汚水処理施設整備率が
高いことから、大規模な都市開発プロジェクト等の実施に際して、水の熱エネルギー利
用の導入を促進する。
39
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第2節 治水・利水対策(安全を高め・うまく使う)
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
庄発電所[砺波市]
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
山田新田用水発電所[南砺市]
発電所内の水車
仁右ヱ門用水と発電所
仁右ヱ門用水発電所[立山町]
40
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第2節 治水・利水対策(安全を高め・うまく使う)
序
論
富山県の水循環と水利用状況(推計)
(単位 億m3/年)
第
1
編
第
2
編
雨 と 雪
201.02
蒸 発 散
47.55
57.72
地下浸透
32.86
河川流出
120.61
表流水利用
62.89
第
3
編
1.25 1.06 60.31 0.04 0.23
第
1
章
第
2
章
第
3
章
工 業 生 活 農 業 克 雪 建 物
2.69 1.42 60.39 0.28 0.60
1.44 0.36 0.08 0.24 0.37
(水利用合計 65.38)
地下水利用
2.49
第
4
章
海
第
4
編
参
考
資
料
41
(注)
蒸発散量及び地下浸透量には、耕地(農業用水)
からの量は含まれていない。
・水利用量:県水需要現状調査(平成12年)
・地下水利用量:県地下水実態調査(平成15年)
・雨と雪・蒸散量・流出量:富山県地学地理研究論集 伊東・藤井(平成5年)
〇水利用の区分
・工業用水
工場の生産活動のために使用される用水
・生活用水
家庭内、事業所、公共施設などで使用される用水
・農業用水
稲作等の栽培に使用される水田かんがい用水、野菜・果樹等の栽培に使用される畑地かんがい用水及び
牛・豚・鶏などの飼育に使用される畜産用水
・克雪用水
消雪パイプの稼働により使用される消雪用水及び流雪溝に使用される流雪用水(ただし、農業用水を利用
している流雪溝は含まない)
・建物用水
大規模店舗やオフィスビルなど自ら揚水し、使用する地下水
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第2節 治水・利水対策(安全を高め・うまく使う)
3 用途間転用※の推進
現状と課題
本県の水資源開発はほぼ終期を迎えており、今後は需給動向を十分に把握し、用途間転用も含め
た水資源の有効利用を図ることが必要である。
今後、克雪用水や環境用水 ※などの水需要の増加が見込まれることから、河川管理者や既存水利
権者との調整による水利用の適正な管理が求められる。
序
論
第
1
編
施策の基本方向
水資源の有効利用を図るため、河川流況や利水の状況等を把握し、利水者や関係機関と連
携・協力し、既存ダムの再開発などによる用途間転用により適正かつ合理的な水利用の促進に
努める。
水の再利用、循環使用、節水等水の有効利用により、用途間転用可能な水源を生み出し、新
たな水資源開発への依存を最小限に留めるよう努めるとともに、水利用の適正管理を行い、安
定した水利用社会の実現を目指す。
第
2
編
第
3
編
第
1
章
施策の推進方向
( 1)利水に関する情報交換の推進
水資源の有効利用の観点から、水の用途間転用を推進するため、河川管理者・利水関係者
等による連絡調整の場を設け、利水に関する情報交換を推進する。
( 2 )ダムの再開発
① ダム容量の見直し等
ダム容量の増加(変更)が必要な河川においては、既存ダムの再開発や用途間転用につ
いて検討する。
② ダムの弾力的管理・運用
河川維持流量が不足している河川において、当面使用されないダム容量がある場合は、
関係機関との調整を図り、暫定的な河川維持流量※(環境用水)の確保等を進める。
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
( 3 )水利用の適正な管理
限りある水資源を有効に活用するため、利水者は社会情勢の変化にあわせて、国等関係機
関との協議を踏まえ、取水量、取水期間等を見直す。
42
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第2節 治水・利水対策(安全を高め・うまく使う)
〇熊野川ダムの再開発∼治水安全度の向上∼
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
〇宇奈月ダム水環境改善事業∼黒部川の生態系に配慮した水環境の改善∼
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
宇奈月ダム(国直轄)は、洪水調節を主目的とし、水道用水の供給、発電を合わせた多目的ダムとして建設さ
れ、平成12年度に完成した。このダム機能のうち、未利用となっている水道用水容量を有効活用して、一定量の
水を放流することにより、ダム下流における水環境の改善を図るもので、平成15年度から実施している。
43
第1章 健全な水循環系の構築
第3編 施策の展開方向
第3節 水環境対策(きれいに保ち・親しむ)
1 水質汚濁の防止
現状と課題
こしょう
河川、湖沼等の公共用水域の水質は概ね良好な状態を保っているが、富山湾の水質汚濁や富岩
運河のダイオキシン類汚染などの課題に適切に対応する必要がある。
施策の基本方向
「魚がすみ、水遊びが楽しめる川、湖、海」の実現をめざして、水質環境計画(クリーンウォー
ター計画)に基づき、生活系、産業系の排水対策や化学物質等による汚染の未然防止対策を
推進し、公共用水域の水質保全に努める。
施策の推進方向
( 1)発生源対策等の推進
① 生活系排水対策
下水道の整備が遅れている地域に重点をおいて、公共下水道、農村下水道、浄化槽など
地域の実情に即した効率的な各種汚水処理施設の整備を推進する。
下水処理場ごとに管理者が計画放流水質を定め、求められる放流水質に応じた下水処
理方法を導入する等、水質の安定・向上に努める。
富山湾等への環境負荷をより低減するため、流域下水道の下水処理場において高度処
理を推進し、市街地において合流式下水道の改善を促進する。
国や市町村と連携して、中山間地や散居村といった人口散在地域等における浄化槽の
整備を促進するとともに、浄化槽法に基づく定期検査の受検率向上を図り、水質の適正
な維持管理を推進する。
② 産業系排水対策
水の合理的利用と処理施設の高度化の促進や維持管理の徹底など、産業系排水対策
を推進する。
水質汚濁防止法の対象とならない飲食店等の小規模な事業場からの排水管理を推進する。
窒素、
りん削減対策技術マニュアルに基づき、富山湾への窒素、
りんの排出負荷量削減の取
り組みを推進する。
油や化学物質の流出等の水質汚濁事故の未然防止を促すとともに、事故発生時の迅速か
つ適切な対応による被害拡大防止を図る。
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
③ 面減負荷対策
せ ひ
富山県適正農業規範に基づき、効率的な肥料の使用など施 肥方法の改善、農薬の適
正使用や総合的な防除技術の利用による化学合成農薬の使用量低減など、環境の保
全に配慮した環境にやさしい農業を推進する。
森林地域からの土壌流出による汚濁を抑制するため、大規模な伐採の抑制と伐採跡地
への植林等森林の適正な管理を推進する。
44
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第3節 水環境対策(きれいに保ち・親しむ)
序
論
第
1
編
④ 河川等の浄化対策
水生生物の保全により河川の自浄作用を活かすとともに、美しい水辺景観を創出するた
め、多自然川づくりを推進する。
富岩運河等におけるダイオキシン類汚染底質の改善対策については、改善効果、施工
性、経済性などを総合的に考慮し、推進する。
( 2 )未然防止対策の推進
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
① 環境影響評価の実施
水環境に影響を及ぼすおそれのある事業については、必要に応じて環境影響評価等を
推進し、事業者による自主的な環境保全対策による環境影響の低減を図る。
中小企業環境施設整備資金融資制度を運用し、事業者による環境保全対策を促進する。
② 化学物質等の適正管理の推進
化学物質の適正管理や排出量の削減に関する指針に基づき、事業者による自主的取り
組みを促進する。
油や化学物質の流出等の事故時に備えた連絡体制等の整備を推進する。
③ 隣県との連携の強化
上流県から流入する1級河川等の水域の保全にあたっては、協議会等の組織等により、
連携した取り組みを推進する。
( 3 )公共用水域の水質常時監視体制の充実
第
4
編
① PRTR※制度の活用
有害性が判明している化学物質の動向を把握し、環境汚染を未然に防止するため、
PRTR制度の普及啓発に努める。
県内における化学物質の排出・移動の状況を踏まえ、事業者の自主的対策を促進する。
参
考
資
料
② 有害化学物質の調査
ダイオキシン類や新たに有害物質に指定される可能性の高い物質について水質調査を
実施する。
③ 水生生物保全環境基準の類型指定及び水質監視
生物多様性の観点から、水生生物の生息状況等を踏まえ、水生生物保全環境基準の
類型指定を進めるとともに、定期的な水質監視を実施する。
上中島浄化センター(農村下水道)
[魚津市]
45
清流(早月川)
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第3節 水環境対策(きれいに保ち・親しむ)
2 汚水処理の促進と再利用
現状と課題
河川や海域などの汚濁防止や生活環境の改善を図るため、下水道や農村下水道、浄化槽等の早
期整備が求められている。
本県の平成23年度末の汚水処理人口普及率は94%と前年よりも1ポイント増加し、全国で第8位で
ある。
(全国平均は88%)
神通川左岸流域下水道事業や小矢部川流域下水道事業をはじめ各種下水道の整備を県内全て
の地域で推進している。
施策の基本方向
公共下水道、農村下水道、浄化槽の普及等、地域の実情に即した効率的な汚水処理を促進
し、健康で快適で安全な生活環境の確保を図る。
また、処理水等の有効利活用を図るとともに、汚水処理施設の適正な維持管理の徹底及び
処理の高度化等により、放流水の水質の安定向上に努めるなど、清浄な水環境の保全を図る。
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
施策の推進方向
( 1)地域の実情に即した汚水処理施設の整備
公共下水道、農村下水道や浄化槽などの汚水処理施設の長期整備指針としてとりまとめ
た「富山県全県域下水道化構想2012」に基づき、地域の実情に即した汚水処理施設の整
備、汚水処理人口普及率の向上、下水処理場の統廃合による効率化を推進する。
① 市街地の下水道整備
市街地及びその周辺地域において、
流域・公共下水道等の計画的な整備を引き続き推
かんきょ
進する。特に、面整備(支線管渠の整備)の進捗が遅れている地域については重点的
に整備を促進する。
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
② 農村・漁村地域の下水道等整備
農村・漁村において、集落排水事業を引き続き推進し、農業用用排水の水質保全、農村
生活環境の改善を図り、併せて公共用水域の水質保全に寄与する。
③ 浄化槽等による汚水処理システムの整備
国や市町村と連携して、中山間地や散居村といった人口散在地域等における浄化槽の
整備を促進する。
自然公園内において、環境に配慮した、し尿処理システムを持つトイレを整備する。
( 2 )汚水処理施設の適正管理
① 下水道等への早期接続(水洗化率向上等)
下水道等処理区域内において、住環境の維持・保全や公共用水域の水質保全の観点か
ら下水道等への早期接続を推進する。
46
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第3節 水環境対策(きれいに保ち・親しむ)
序
論
第
1
編
② 汚水処理施設の管理
排水中の窒素、りん等の削減を図るため、汚水処理施設の機能を十分に発揮する等、適
正な維持管理を行う。
より良好な水環境を保全するため、処理の高度化等を図る。また、発生汚泥量の削減等
に努める。
( 3 )処理水等の有効利活用
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
① 処理水の再利用
冬場でも比較的暖かい処理水を消雪用水として有効利用し地下水位の低下を抑制する
など、処理水の再利用に努める。
水環境保全や水再生を広く県民に周知する観点から、処理水をせせらぎ水路や親水公
園の用水として有効利用を図る。
② 汚泥の有効利用
緑地利用や建設資材利用などの有効利用を推進する。
民間活力の活用と共に、下水処理場間等の広域処理や共同処理を検討し、地域ごとの
特色を活かしたより効率的な汚泥処理を推進する。
③ 未利用エネルギー活用の推進
下水処理場での処理水の放流落差を利用した小水力発電や、下水汚泥によるバイオマ
ス発電を推進し、未利用エネルギーの活用を図る。
処理水の再利用状況
処理場名
第
4
編
浜黒崎浄化センター
水橋浄化センター
魚津市浄化センター
黒部浄化センター
参
考
資
料
宇奈月浄化センター
二上浄化センター
神通川左岸浄化センター
(平成24年度末)
市町村名(流域下水道名)
用 途
富山市
消雪装置の水源 延長7,344m
富山市
消雪装置の水源 延長950m
流雪溝へ供給 延長1,270m×2条
ありそドーム(体育施設)の冷暖房の熱源
魚津市
消雪装置の水源 延長1,750m
アクアパーク(親水公園)の人工滝・せせらぎ水路の水源
黒部市
無散水消雪装置の熱源 延長80m
黒部市
消雪装置の水源 延長618m
消雪装置の水源 延長3,070m
小矢部川流域下水道 下水処理水の放流落差を利用した小水力発電
(有効落差:約2m、最大出力:10kw)
消雪装置の水源 延長13,401m
海竜スポーツランド(体育施設)の冷暖房の熱源
元気の森公園内のやすらぎ池の水源
神通川左岸流域下水道 せせらぎ水路の水源
足洗潟公園の池の浄化用水
新湊大橋の無散水消雪装置の熱源 延長370m
新湊大橋の消雪装置の水源
延長3,230m
神通川左岸浄化センター[射水市]
47
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第3節 水環境対策(きれいに保ち・親しむ)
3 水環境の保全と利用の調和
現状と課題
水辺空間は、県民の日常生活にうるおいとやすらぎを与えているとともに、多くの生物の生息・生
育の場となっており、地域の特性を活かし、生態系に配慮した利用と保全が望まれている。
えんてい
多くの河川において、堰堤や落差工等の河川構造物により魚類の移動が妨げられており、魚道の
設置・改善等が求められている。
農業用水は本県の水利用の9割を占め、扇状地に網の目状に張り巡らされて地域用水機能 ※を果
たしているが、都市化の進展、農家数の減少や集落機能の低下等により、その維持管理が難しく
なっている。
河川や水路等の安心かつ快適な水辺空間の景観の保全、復元、創出が求められている。
ごみのないきれいな水辺景観をつくるためには、県民の美化意識やモラルの向上を県民総ぐるみ
で進めていく必要がある。
県内のほぼ全域の海岸で海岸漂着物等が確認されており、効率的・効果的かつ持続性のある回
収・処理体制の構築が必要である。
施策の基本方向
地域の特性を活かし、生態系に配慮した河川・水辺の再生や環境用水の確保に努め、水環
境の保全と利用の調和を図る。
農業用水が有する消流雪、防火、生態系保全等の地域用水機能の保全と利活用を図る。
水面に映える緑樹景観や水辺の広がりの空間は、生活にうるおいとやすらぎをもたらし、余
暇活動の場としても重要な役割を果たしている。
「自然豊かな美しい水辺景観」の保全と整備を進めるとともに、地域が一体となって保全し
ていく体制が構築できるよう支援する。
多様な主体の役割分担と連携による、海岸漂着物の円滑な処理や発生抑制を推進する。
施策の推進方向
( 1)生態系に配慮した河川、水辺の再生
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
① 多自然川づくりの推進
治水上の安全性を確保しつつ、河川が本来有している生物の生息・生育環境や自然景
観に配慮した川づくりを推進する。
② 県民参加による川づくりの推進
地域の住民や団体が行う様々な河川愛護ボランティア活動を積極的に支援するなど、県
民と協働で地域の特性を活かした川づくりを推進する。
③ 横断構造物等の影響の低減
河川等において、生き物の循環が確保できるように、魚道の設置・改良等を進める。
生物の生息環境の確保を図るため、水田と水路の間の連続性が確保される水田魚道等
について、営農条件にも配慮しつつ整備を促進する。
ふち
流れが急な河川や水路等で魚が安らぐ場所(淵 )の確保、生育環境としての湿地帯の
保全に努める。
48
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第3節 水環境対策(きれいに保ち・親しむ)
序
論
第
1
編
用排水路を使った小水力発電においては、一部流量の使用や魚道設置等により魚類の
生態に配慮した対策を促進する。
えんてい
えんてい
透過型砂防堰堤の採用や既設砂防堰堤のスリット化により、渓流の連続性を確保する。
④ 外来種※対策の推進
侵略的な外来種の侵入防止、早期発見・早期対応、防除(影響緩和)対策を進める。
( 2 )環境用水の確保と地域用水機能の活用
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
49
河川維持流量が不足している河川において、当面使用されないダム容量がある場合、関係
機関との調整を図り、暫定的な河川維持流量(環境用水)の確保等を進める。
利水者は、水利権更新時に必要水量及び取水期間等の精査を行い、水利用の適正な管理
に努める。
農業用水が有する消雪用水、防火用水、生態系保全用水等の地域用水としての活用を推
進する。
地域用水機能を活用するため、農家、地域住民、関係行政機関等の関係者による調整・合
意を図る。
地域用水機能を有する農業用水の維持管理について、土地改良区や農家だけでなく非農
家等も含めた地域ぐるみによる保全管理を推進する。
( 3 )水辺景観・親水機能の保全と整備
身の回りにある水環境の実態を充分認識したうえで、水辺の眺望や生態系への配慮、水辺
の活用に留意しながら「水辺の景観づくり」を進める。 水辺景観の整備にあたっては、構成要素である水生植物、魚、昆虫、人、建造物に配慮する。
市町村や民間団体等と共に行う、水辺を活かしたまちづくり、地域づくりを推進する。
① 河川
治水上の安全性を確保しつつ、自然環境との調和等の観点から、水辺景観に配慮した
河川・砂防事業を実施する。
② 農業用水路
自然環境との調和に配慮した農業用水路の整備を推進する。
地域住民への憩いとやすらぎの空間の提供など、農村地域における生活空間の質的向
上に努める。
③ 都市水路等
浄化用水の導入を図り、水量の確保と水質の保全を図る。
遊歩道、植栽、せせらぎ水路など市街地の良好な水環境の創出を図る。
④ 親水型公園
都市公園においては、自然石を用いた水路やせせらぎ、カスケード(水階段)等の整備
に努め、身近に水と親しむことのできる環境づくりの推進を図る。
富岩運河環水公園など大規模な水面を持った新しい水辺空間、都市における憩い・親
水のオアシスの充実に努める。
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第3節 水環境対策(きれいに保ち・親しむ)
( 4 )水辺の安全確保と適正管理
① 安全対策の推進
水辺の整備にあたっては、子どもや高齢者等に十分配慮した構造にするとともに、必要
な安全施設の整備を図る。
② 管理体制の整備
行政、水利使用者、県民が一体となり、各々の責任分担を明確にして水辺の管理にあた
り「美しい水辺景観」の保全に努める。
③ 河川ごみ対策の推進
県土美化推進運動や河川愛護団体による川をきれいにする運動、不法投棄防止パト
ロール等の水辺の美化活動を推進する。
地域住民やボランティアによる清掃、美化活動を推進する。
④ 海岸漂着物対策の推進 大量の海岸漂着物等が蓄積することによって清潔の保持に支障などが生じている海岸
においては、その円滑な処理を推進する。
海岸を有する地域のみならず、河川の上流域を含む全ての地域において、ごみなどの効
果的な発生抑制、循環的利用及び適正処理を推進する。
−参考−「県景観づくりの基本方針等」
(水辺の眺望に対する配慮)
・水辺から周囲の眺望の保全や水際線の連続性の確保など、水辺の持つ広がりのある開放的な眺望を生
かすよう配慮する。
(地域の水辺の活用)
・生活や産業活動の場として親しまれてきた水辺を景観づくりに生かすとともに、利用のための親水性の向
上などに配慮する。
(水辺の生態系への配慮)
・水辺の景観の基盤となっている水辺の生態系の保全や再生のほか、水量の確保や水質の保全に配慮する。
(公共事業の景観づくり)
・水辺の自然植生の保全や都市の緑にせせらぎを配するなど、水と緑に彩られた景観を創出するよう工夫する。
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
多自然川づくり:泉川[氷見市]
50
第3編 施策の展開方向
第1章 健全な水循環系の構築 第3節 水環境対策(きれいに保ち・親しむ)
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
河川愛護ボランティア:高橋川[黒部市]
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
サケの放流:鴨川[魚津市]
水辺空間の活用:松川[富山市]
51
第3編
施策の展開方向
2
第 章
水を活かした文化・産業の発展(伝え・はばたく)
1 水に関する歴史風土と水文化の継承
現状と課題
高度経済成長時代に社会構造や都市機能、環境が大きく変化し、地域社会と水との関わりが希
薄となり、地域で受け継がれてきた固有の水文化が忘れかけられてきている。
水との多様な関わりの喪失は、日常生活を味気ないものとし、本県固有の水文化を失うことにもつ
ながりかねない。
序
論
第
1
編
施策の基本方向
水文化の良さや大切さを見直し、地域で育まれた水文化の保全を図り、次世代に継承し発展
させる。
第
2
編
第
3
編
施策の推進方向
( 1)治水・利水文化の継承
ごうくち
① 治水・利水技術の紹介・継承:急流河川工法、合口用水、電源開発 等
ごうくち
富山県の特徴である急流河川工法や合口用水、電源開発等の治水、利水システムにつ
いて、県民に広く紹介するとともに情報ネットワーク化を図る。
② 水防工法の継承:木流し※、川倉※、竹蛇かご 等
伝統的水防工法は、長年にわたる人々と水との闘いの経験則を積み重ねた中から生ま
れてきた水文化であり、伝統的な木流し、川倉、竹蛇かご等の水防工法の継承を図る。
ばんすい
まきえ
じゅうにかんの
③ 水配分方法の継承:番水※、巻江※(十二貫野用水)等
ばんすい
渇水に備えて、限られた水を極限まで有効に利用する方法や、番 水等の水配分の仕組
みの継承を図る。
( 2 )伝統的産業における水文化の継承・発展
ひきもの
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
すげがさ
① 伝統的地場産業の継承・発展:庄川挽物※、菅笠※、チューリップ球根栽培※ 等
水に関わる伝統的な技法や地場産業等を、地域の財産として評価し、継承・発展させる
ため、担い手や地場産業の育成に努める。
とあみ
② 伝統的川魚漁の継承:小屋がけオトリ投網漁※、流し網漁※ 等
内水面漁業を振興し、神通川におけるサケの小屋がけオトリ投網等の伝統的な漁法の
継承に努める。
また、魚が住みやすい河川環境の整備やサクラマス等の水産重要魚種の増殖を促進す
る。
52
第3編 施策の展開方向
第2章 水を活かした文化・産業の発展(伝え・はばたく)
( 3 )暮らしの中の水文化の啓発
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
① 日常生活の中での水文化の継承:打ち水 等
先人が創り上げてきた暮らしの中に生きる身近な水文化の価値を再評価し、継承す
る。
② 子供達への水文化の継承:ミズガキ※、水の少年団※の育成 等
子供たちの創造力や感性を高める上で重要な役割を果たすことができる、地域に育くま
れてきた水文化を継承する。
③ 新たな水との付き合い方や生活様式の転換:雨水(天水)利用、雨水浸透 等
県民がこれまで享受してきた豊かな水の恩恵を引き続き受け続けることができるよう、
雨水(天水)利用や雨水浸透の普及、促進など、水との付き合い方や生活様式を節水型
に変える意識の啓発を図る。
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
打ち水大作戦[滑川市]
水を湛えた散居村(砺波平野)
53
第3編 施策の展開方向
第2章 水を活かした文化・産業の発展(伝え・はばたく)
2 水を活かした産業の振興
現状と課題
本県の豊かで清らかな水は、立山連峰をはじめ、扇状地や散居村など全国に誇る自然景観、名
水、湧水などの地域資源を育むとともに、おいしいコシヒカリなどの富山米やお酒などの地場産品
の生産に貢献している。
豊かな水と安価な電力に支えられ、一般・電気機械をはじめ、アルミ等の金属製品、医薬品等の
化学などバラエティに富んだ日本海側屈指の産業集積が形成されている。また、平成12年より深層
水の商業利用が開始され、深層水関連産業の振興が図られている。
全国名水百選に選ばれた8つの名水や富岩水上ライン、射水市(新湊)の内川地区など「水」に関
連する豊かな観光資源に恵まれているが、さらに活用の拡大を図っていく必要がある。
序
論
第
1
編
第
2
編
施策の基本方向
量・質ともに優れた水を、かけがえのない地域資源、地域の誇りとして捉え、その魅力を県内
外にPRし、名水の保全や深層水のさらなる利活用に努める。
恵まれた水を生かし、企業の誘致・産業の振興を図るとともに、水の魅力を活かした観光の
振興を図る。
施策の推進方向
( 1)名水の保全と利用
富山の水が持つきれいさ、豊かさ、優れた水環境等を紹介することを目的として選定してい
る「とやまの名水」66件(環境省の名水百選4ヶ所、平成の名水百選4ヶ所を含む)を、優良
な水環境として守り育て、より価値を高めていくため、インターネットなどにより県内外に積
極的にPRする。
飲用されている「とやまの名水」について、健康被害等の発生を防止するため、管理者、市
町村と連携して飲用対策・衛生管理対策を講じる。
「とやまの名水」のPRを推進するとともに、ミネラルウォーターや水を利用した地場産品等
の販売促進を図る。
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
( 2 )深層水の利活用
多様な可能性を秘めた深層水の利活用を促進するため、産学官連携による深層水の基礎・
利用研究を一層推進するとともに、利用企業の開拓を進め、利用量及び利用商品数の増加
を図る。
「富山の深層水 ※」ブランドの確立と利用商品の市場等への普及・浸透を進め、利用商品
の販路拡大を支援する。
( 3 )水を利用した産業の展開
ウォータージェット技術など水の特性を活用した新技術の開発や新事業の創出を促進する。
本県の豊富で良質な水を活用した企業の誘致・産業の振興を、水環境との調和を図りなが
ら推進する。
54
第3編 施策の展開方向
第2章 水を活かした文化・産業の発展(伝え・はばたく)
序
論
第
1
編
立山連峰で生まれた豊かで清らかな水を利用したお酒やおいしいコシヒカリなどの富山米
の生産を推進し、
「富山ブランド」として確立する。
魚の生息しやすい河川環境を整備するとともに地場産系アユの放流やサクラマス増殖を進
める。
漁場環境のモニタリング体制を充実させるとともに、森づくりによる上下流交流 ※を促進し
漁場環境の保全に努める。
( 4 )観光の振興
第
2
編
第
3
編
第
1
章
本県は、黒部峡谷、神通峡、庄川峡といった美しい峡谷や、大小様々な河川、全国の名水百
選に選ばれた8つの名水、宇奈月温泉峡、庄川温泉郷、氷見温泉郷、春日温泉郷などの温
そすい
「水」に関連する豊かな観光資源に恵まれている。
泉、疏 水百選 ※(県内で4地区)など、
み だ が は ら
だいにちだいら
これらに加え、
「立山弥陀ヶ原・大日平」のラムサール条約 ※湿地登録や、立山連峰におけ
る氷河の発見など、新たな魅力が加えられたところであり、その保全と観光情報の効果的
な提供等に努め、水の魅力を活かした観光の振興を図る。
「とやまの名水」にまつわる観光資源の魅力を活用した観光モデルコースづくり及びPRを
進める。
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
いたち川のドンドコ
石倉町延命地蔵の水
しみず
平成の名水百選:いたち川の水辺と清水[富山市]
そすい
じょうさいごうぐち
疏水百選:常西合口用水[富山市]
55
第3編 施策の展開方向
第2章 水を活かした文化・産業の発展(伝え・はばたく)
3 水を通じた交流と連携
現状と課題
社会構造や機能、環境が大きく変化し、都市部など下流地域に暮らす人々は、上流に暮らす人々の
山を守る努力のおかげで安心した生活がおくれるということを忘れつつある。
農業用用排水路は、県内全域を網の目のように流下しており、古くから水のあるところに人が住
み、農業が営まれてきたが、高齢化、混住化の進展に伴い、コミュニティ機能の低下が懸念されて
いる。
水はどこで創られてどこから来るのかという水循環の意識が、都市に暮らす人々にも、更には農村
地域で暮らす人々にとっても希薄化している。
序
論
第
1
編
第
2
編
施策の基本方向
水問題に対処するためには、流域における地域住民の参加と連携が極めて重要であり、水を
介した地域の交流、連携の強化、推進を図る。
第
3
編
第
1
章
施策の推進方向
( 1)地域の交流、連携の推進:上下流交流、都市と農村の交流 等
水問題に適切に対処するためには、流域における地域や住民の参加と連携が極めて重要
であるため、ウオーキングイベントなどの都市住民が水に親しむ機会を創出する。
漁業者による森づくり活動や都市住民の森や棚田等を守る活動など、近県も含めた上下流
交流や都市と農村の交流を推進する。
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
( 2 )ボランティア活動の推進:ボランティア、NPO、NGO 等
水文化は、広大なフィールドに分布しているため、これらを調査、保存し、紹介するために
は、県民、団体、企業などのボランティアの協力が必要である。上下流交流や国際交流を進
める上でもNPO、NGO等の活動が重要であり、これらの活動を支援する。
参
考
資
料
( 3 )水文化を通しての海外交流:急流河川工法、かんがい技術、らせん水車 等
県民が獲得してきた治水、利水技術や水神信仰、祭り等の底流を流れる精神世界も含め、
ハード、ソフト両面にわたる富山の水文化を、環日本海交流の一環として近隣諸国へ発信す
る。
56
第3編 施策の展開方向
第2章 水を活かした文化・産業の発展(伝え・はばたく)
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
黒部川扇状地
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
共同洗い場※[黒部市生地]
水土里探訪ウォーク:円筒分水槽[魚津市]
57
第3編 施策の展開方向
第2章 水を活かした文化・産業の発展(伝え・はばたく)
4 水環境学習の推進
現状と課題
水に触れる機会が減少し、水利用や水環境の保全に対する関心も薄れてきている。
都市化や地域開発が進められる環境の中で、身近に水と親しむことができる空間が不足している。
地域に住む人々により育くまれてきた水文化が、埋もれ途絶えかねない。
施策の基本方向
水に関する学習や観察、体験活動を通して水に対する興味を持ち、水環境の大切さを認識す
ることは、次世代への水文化の継承とともに、豊かな人間形成のためにも、重要なことである。
水環境や水文化に関する調査研究を進めるとともに、情報発信に努める必要がある。
施策の推進方向
( 1)学習・観察の機会の提供
水辺などでの県民総ぐるみの県土美化推進運動を展開する。
地域や学校、家庭が主体となって、身近にある水辺での活動や、バス等を利用したツアーや
体験学習会等を開催し、水に触れる機会の提供に努める。
環境教育推進方針に基づき、総合的な環境教育を推進することにより、水辺における学
習・観察の機会を提供し、県民の理解を深めるとともに、自発的な環境保全活動への意欲
を高める。
児童、生徒が身近な自然に対して関心を高めるよう、ビオトープ ※づくりを支援する。
農村独自の地域資源を生かした体験教育を実践できるよう、土地改良施設等の情報提供
及び支援を行う。
名水等優れた水環境や水生生物を保全する地域の住民及び活動団体への支援等により、
水辺への県民の関心を高め、水環境保全意識の高揚を図る。
地域に根ざした地下水保全活動を担う人材を養成し、県民の地下水保全意識の高揚を図
る。
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
( 2 )水環境や水文化に関する調査研究: 地域固有の水環境や水文化の調査、
フィールドミュージアム※としての水博物館、
田園空間博物館の活動 等
地域に住む人々が水を通して地域を研究し、その成果を情報発信する活動を通して学術振
興を図る。また、調査研究において富山大学などとの連携協力を推進する。
( 3 )水文化の情報発信
水の週間(毎年8月1日∼7日)を中心に、啓発活動の全県的な展開を図る。
豊かな水や歴史・恩恵など幅広い水文化の情報を、国内外に向けて発信する。
58
第3編 施策の展開方向
第2章 水を活かした文化・産業の発展(伝え・はばたく)
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
「水辺のすこやかさ指標(みずしるべ)」による水辺の調査[高岡市]
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
海辺の漂着物調査[氷見市]
59
第3編
施策の展開方向
3
第 章
地球的規模の水問題へのとりくみ(未来をのぞみ・備える)
1 地球温暖化
現状と課題
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告書(2007年)によれば、地球の平均気
温は過去100年間に0.74°C上昇し、今世紀末には1.1∼6.4°C上昇すると予測されている。
地球温暖化により、海面水位の上昇が観測されるとともに、異常気象の頻発化等による被害の増
加、水資源、健康、生態系及び食糧生産等への悪影響が懸念されている。
本県でも「とやま温暖化ストップ計画」に基づき、温室効果ガスの排出量の削減に向けた取り組
みを進めている。本県の2009年度の温室効果ガス排出量は、1990年度比で11.4%減少している
が、民生家庭部門や民生業務部門等では排出量が増加している。
序
論
第
1
編
第
2
編
施策の基本方向
地球温暖化により地球規模の気候が大きく変動することが予測される中、本県の水資源に与
える影響も懸念されるため、地球温暖化対策を推進する。
第
3
編
第
1
章
施策の推進方向
( 1)地球温暖化対策の推進
民生部門を中心とした省エネルギー、再生可能エネルギーの導入を推進し、温室効果ガス
の排出が少ない低炭素社会への転換を図る。
県民への情報提供や普及啓発を推進する。
地球温暖化の本県への影響についてさらなる調査研究を進める。
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
( 2 )森林吸収源対策の推進
人工林については、間伐などの森林整備に努めるとともに、天然林については、伐採規制
かんよう
等の運用により、二酸化炭素の吸収による地球温暖化の防止をはじめ、水源の涵養、土砂
の流出防備などの機能が適切に発揮されるよう、適切に管理・保全を行う。
参
考
資
料
60
第3編 施策の展開方向
第3章 地球的規模の水問題へのとりくみ(未来をのぞみ・備える)
富山県における温室効果ガス排出量の推移
序
論
第
1
編
温 16,000
室
効 14,000
果
ガ
ス 12,000
11,180
排
出
10,000
量
︵
千t
ー 8,000
CO2
︶ 6,000
第
2
編
14,938
13,020
9,906
11.4%減少
4,000
2,000
0
第
3
編
1990
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
第
3
章
第
4
章
第
4
編
部門別の温室効果ガス排出状況
温
室
効
果
ガ
ス
排
出
量
︵
千t
ー
CO2
︶
12,000
10,000
606
8,000
6,283
▲31.7%
1,856
+25.8%
921
+22.7%
1,130
1,235
+24.8%
1,541
4,294
6,000
4,000
0
61
その他
産業
運輸
民生業務
民生家庭
886
2,000
参
考
資
料
2008
2009 (年度)
平成24年度版 環境白書より
第
1
章
第
2
章
2007
1990
2,335
2009
(年度)
平成24年度版 環境白書より
第3編 施策の展開方向
第3章 地球的規模の水問題へのとりくみ(未来をのぞみ・備える)
2 酸性雨
現状と課題
酸性雨は、硫黄酸化物や窒素酸化物が雲粒に取り込まれるため発生する酸性の度合いが強い雨
(pH5.6以下)で、地域や国境を越えてその影響が及ぶ。
県内の雨水の酸性度については、昭和61年度以降、pHの年平均は4.5∼5.1の範囲で推移している
が、酸性雨による植生衰退や土壌の酸性化など、生態系への悪影響は認められていない。
序
論
第
1
編
施策の基本方向
国等と連携して、酸性雨のモニタリングや調査研究を継続的に実施し、実態把握等に努める。
施策の推進方向
第
2
編
第
3
編
( 1)酸性雨の実態把握
酸性雨による生態系等への悪影響を未然に防止するため、酸性雨の状況や土壌・植生等
への影響について、モニタリングや調査研究を継続的に行う。
第
1
章
第
2
章
第
3
章
( 2 )大気汚染防止対策の推進
酸性雨の主な原因である硫黄酸化物及び窒素酸化物の排出を抑制するため、大気環境計
画(ブルースカイ計画)に基づき、工場・事業場対策及び自動車排出ガス対策を推進する。
大気汚染の状況を的確に観測し、環境基準の達成状況を把握するとともに、観測局の適切
な維持管理に努める。
第
4
章
第
4
編
酸性雨実態調査(雨水のpH)
年度
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
射水市
4.6
4.6
4.6
4.5
4.5
4.6
4.7
4.6
4.6
富山市
4.7
4.8
4.8
4.7
4.7
4.7
4.8
4.8
4.8
参
考
資
料
調査地点:射水市=富山県環境科学センター
富山市=立山黄砂酸性雨観測局(らいちょうバレースキー場山頂駅傍)
62
第3編 施策の展開方向
第3章 地球的規模の水問題へのとりくみ(未来をのぞみ・備える)
3 異常気象等による水危機
現状と課題
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
日本の年降水量は、年毎の変動が大きくなっており、今後は気候変動に伴う降水量の年々変動の
拡大や雪解け時期の早期化に伴い河川流況が変化し、利水安全度が低下するとともに渇水発生
の頻度が高くなることが懸念される。
富山の気温は長期的に上昇傾向を示しており、平成22年8月は、平均気温が統計開始以来1位の
29.3度(平均最高気温34.3度)を記録した。また、降雪量は減少傾向にあり、特に平成19年は最
深積雪深が統計開始以来最も少ない20cmを記録するとともに、累計積雪深も低水準の101cmを
記録した。
上水道施設においては、渇水・地震等の災害に対応できる施設整備面の対応や災害発生後の迅
速な応急復旧等の危機管理体制の充実が求められている。
施策の基本方向
渇水・地震等の災害に対応できる施設設備や災害発生後の迅速な応急復旧等の危機管理体
制の充実を図る。
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
施策の推進方向
( 1)異常気象に関する情報収集と対策の推進
近年の渇水頻度の高まり等、異常気象の情報収集を行い、具体的な対策の検討を進める。
( 2 )異常渇水対策の推進
① 連絡調整体制の整備
渇水時における利水関係者間の連絡調整体制を充実する。
渇水対策マニュアルを作成する。
他府県等との広域連携体制を整備する。
② 水源・用水の確保
渇水に強い水道を構築するため、異なる流域も視野に入れた複数水源の確保及び広域
的なバックアップ機能の充実強化等を推進する。
災害時の飲料水を確保するため、ライフポイントとして、井戸水、湧水などの保全に努める。
③ 節水の徹底・支援等
節水等の水利用の合理化を啓発し、地域住民の節水意識の向上を図る。
63
第3編 施策の展開方向
第3章 地球的規模の水問題へのとりくみ(未来をのぞみ・備える)
( 3 )震災等対策の推進
① 水需給情報の把握と提供
緊急時を想定した水需給情報の把握・提供体制を確保する。
② 水供給、適切な水処理の確保
災害時に活用できる業務用井戸や消雪井戸等の実態を把握し、飲料水としての供給可
能性調査や水質管理に努める。
耐震性貯水槽による緊急飲料水の確保や排水処理施設(可搬式トイレ等)の整備を促
進する。
③ 災害時給水能力の強化
地震等の災害に強い水道を構築するため、老朽管の更新、水道施設の耐震化や広域的
なバックアップ機能の充実強化等を推進する。
地震発生時に水道事業者等が実施する応急給水、応急復旧体制の充実等を一層促進
する。
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
子撫川ダムの渇水状況[小矢部市]
64
第3編 施策の展開方向
第3章 地球的規模の水問題へのとりくみ(未来をのぞみ・備える)
4 仮想水問題
現状と課題
序
論
第
1
編
日本は、降水量は多いが一人当たり水資源賦存量 ※は、世界平均である約8,000㎥/人・年に対し
て、約3,400㎥/人・年と2分の1以下であり、決して水資源に恵まれているとはいえない。また、国内
だけの水資源を見ていても水資源問題は解決しない。
仮想水(バーチャルウォーター)の研究によれば、日本への食料等の総輸入量に対して年間約800
億㎥の水が海外で使用されており、これは、国内の年間かんがい用水使用量の544億㎥を上回る。
日本のように、農産物、畜産製品等の輸入を通じて海外の大量の水を間接的に輸入して成り立つ
生活は、見直すことが望まれる。
第
2
編
施策の基本方向
第
3
編
第
1
章
日本は、輸入している食料等を生産するために海外で多量の水資源を消費しており、間接的
に多量の水資源を輸入しているといえる。
世界では、水不足や水質汚染など水問題が深刻化している地区も少なくない状況であり、水
の海外依存の改善や世界的な水問題への協力が必要である。
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
65
施策の推進方向
( 1)水の海外依存の改善
地産地消や富山型食生活の確立等の食育などを推進するなかで、県民が求める安全・新
鮮な農産物の生産・供給拡大を図り、食料自給率を向上させることによって、水の海外依存
を改善する。
( 2 )世界的な水問題への協力
海外の深刻化している水不足、水質汚濁等に対して水に関わりの深い富山県において、水
に関する調査研究を進め、国際水文地質学会(IAH)など国際的な会議を開催するととも
に、引き続き有益な情報発信に努める。
第3編 施策の展開方向
第3章 地球的規模の水問題へのとりくみ(未来をのぞみ・備える)
バーチャルウォーター輸入量(2005年度)
序
論
(億㎥/年)
第
1
編
第
2
編
第
3
編
総輸入量:800億㎥/年
出所:輸入量
工業製品 通商白書(2005年)
農畜産物 JETRO貿易統計(2005年)、財務省貿易統計(2005年)
水消費原単位 工業製品 三宅らによる2000年工業統計の値を使用
農産物 佐藤による2000年の日本の単位収量からの値を使用
丸太 木村需要表等より算定した値を使用
環境省作成資料
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
66
第3編
施策の展開方向
4
実現目標 第 章
基本目標を達成するため、平成33年度を目標年次とする目標指標を設定する。
−水源対策−
序
論
第
1
編
第
2
編
目標指標
概ね5年前 現 況
(H17) (H23)
目 標
H28
H33
説 明
①
森林整備延べ面積
森林資源の現況を踏まえ、健全な人
平成2年度以降実施した間 15,379ha 27,302ha 36,000ha 45,000ha 工林を育成するため、1年間に必要
な間伐1,800haの実施を目指す。
伐の延べ面積累計
②
地下水揚水量の適正確保率
地下水条例対象地域(8地
下水区)における適正揚水
量の確保状況
100%
100%
100%
100%
地下水の節水や合理的な利用を推
進し、引き続き揚水量の実績が適
正揚水量を上回らないことを目指
す。
−治水・利水対策−
第
3
編
目標指標
目 標
H28
H33
説 明
③
河川整備率
河川整備が必要とされる区
間延長のうち、概ね10年に
1回の確率で発生する降雨
(時間約50ミリ)以上を対
象とした改修済みの割合
54.2%
55.0%
56%
57%
局所的な集中豪雨の頻発や都市化
の進行により、依然として県内各地
で浸水被害が発生していることか
ら、引き続き、着実な河川整備を進
める。
④
小水力発電の整備箇所
中小河川、農業用水を利用
した小水力発電所の整 備
箇所数
12か所
19か所
23か所
28か所
建設有望地調査の結果を踏まえ、
今後も建設候補地の小水力発電所
を確実に整備することを目指す。
⑤
土砂災害危険箇所の整備率
保全人家5戸以上等の土砂災
害危険箇所のうち砂防施設
が整備済みの箇所の割合
36%
脆弱な地質が広く分布することや集
中豪雨の頻発により、土砂災害が発
生しており、今後とも砂防設備等の
整備を進める。
⑥
水道水の満足度
県政モニターアンケートに
おいて「満足している」又は
「特に不満はない」と回答
した人の割合
第
1
章
第
2
章
概ね5年前 現 況
(H17) (H23)
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
28.8%
71%
32.2%
81.1%
34%
健康志向への変化から従来の水道
2∼3年毎
水から浄水器を通した水等へ多様
に県政モ
ニターア 90%以上 化しているが、富山のおいしい水の
啓発等により、満足度の向上を目指
ンケート
す。
を実施
ー水環境対策ー
目標指標
⑦
67
水質環境基準の達成率
水質調査地点のうち、環境
基準を達成している地点の
割合
概ね5年前 現 況
(H17) (H23)
河川
100%
海域
92%
(H16)
河川
100%
海域
92%
目 標
H28
H33
説 明
クリーンウォーター計画※1 等の推進に
河川
河川
より、河川については100%の現状維
100%
100%
持を目指し、海域については人為的汚
海域
海域
染のほか気象・海象等の影響も考慮
90%以上 90%以上
し、90%以上の達成維持を目指す。
第3編 施策の展開方向
第4章 実現目標
⑧
汚水処理人口普及率
下水道や農村下水道、浄化
槽等の汚水処理人口の普
及割合
86%
94%
96%
98%
富山県全県域下水道化構想2012に
基づき汚水処理施設の着実な整備
促進に努める。
(※1)クリーンウォーター計画(水質環境計画)
:水質環境を保全するための基本方向を示す計画であり、
「きれいな水」
と「うるおいのある水辺」の確保を目標としている。
序
論
第
1
編
ー水を活かした文化・産業の発展ー
目標指標
⑨
⑩
⑪
概ね5年前 現 況
(H17) (H23)
目 標
H28
H33
説 明
水文化に関する活動に取り組
今後も活動の普及を図ることによ
んでいる団体数
119団体
182団体
200団体
210団体
り、平成33年度までに約30団体の
水とのふれあい活動や水文化
増加を目指す。
の継承活動等を行っている住
民・ボランティア団体等の数
農村環境の保全を目指す集落数
地域ぐるみで農地や水を守る
共同活動や用水路などの長寿
命化に向けた活動を行う集落
協定を締結した集落数
水に関する生活の知恵や使
い方に古くからのものが残っ
ていると思う人の割合
県政モニターアンケートにおい
て「思う」と回答した人の割合
380
集落
29%
1,239
集落
48.0%
1,280
集落
1,300
集落
中山間地域直接支払制度や農地・
水保全管理支払制度の推進により
県内農業集落(2,064)の2/3程度
の集落での協定締結を目指す。
2∼3年毎
水に関する生活の知恵や使い方に
に県政モ
意識の向
ついて、掘り起こしや活用に努め
ニターア
上を図る
る。
ンケート
を実施
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
−地球的規模の水問題へのとりくみ−
目標指標
概ね5年前 現 況
(H17) (H23)
目 標
H28
H33
説 明
⑫
大気環境基準の達成率
二酸化硫黄 二酸化硫黄 二酸化硫黄 二酸化硫黄
ブルースカイ計画※2 等の推進によ
100%
100%
100%
100%
大気測定局のうち、環境基
準を達成している測定局の 二酸化窒素 二酸化窒素 二酸化窒素 二酸化窒素 り、100%の現状維持を目指す。
100%
100%
100%
100%
割合
⑬
節水を心がけている人の割合
県政モニターアンケートに
おいて「常に」又は「どちら
かといえば節水に心がけて
いる」と回答した人の割合
⑭
食料自給率
77%
72%
(H22 概
本県のカロリーベースによ
(H16)
算値)
る自給率
78%
85.8%
2∼3年毎
に県政モ
ニターア
ンケート
を実施
79%
90%
若年層も含め、今後も節水意識の
拡大に努める。
81%
米の県内生産量の維持や園芸生産
などの拡大を図るとともに、地産地
消の一層の推進により、食料自給率
の向上を目指す。
参
考
資
料
(※2)ブルースカイ計画(大気環境計画):大気環境を保全するための基本方向を示すための計画であり、
「安全で健
康な大気環境の確保」及び「快適な大気環境の創造」を目標としている
68
4 施策展開の基本姿勢
第 編
1 水循環に関する情報ネットワークの構築
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
69
富山県における地域の水環境保全活動等を、インターネットやイベント等を活用して情報発信
する。
水循環に関するポータルサイトを構築し、本県独自のバーチャルミュージアム※としての水博物
館や環境科学センターなどの行政機関、富山大学などの高等教育機関、さらには、㈶環日本海
環境協力センターなどと連携しながら、水循環に関する情報を国内外に向け発信する。
2 推進体制
水に関する施策は、広範囲で多岐な分野が密接に関係するため、循環資源である水に対する
共通の認識に立ち、連携を取りながら推進する。
流域を単位とした取り組みや地域に密着した取り組みなど、国や市町村との連携や役割分担
により施策を推進する。
3 県民の参画と協働
施策の推進にあたっては、自治会や地域団体、民間団体、ボランティア組織、NPOなど様々な
形での県民の参画と協働を得る。
かんよう
節水や水の有効活用、水質の保全、水源の涵養、防災活動、水を通じた交流と連携など、水の
役割や大切さ、様々な水問題、水に関する事業や取り組みなどの情報の収集・発信に努める。
4 進行管理
学識経験者や関係団体代表等で構成されている「水ビジョン推進会議」を定期的に開催し、
各種施策が適正かつ効果的に実行されているか、幅広い視点からの助言等を得て施策を推
進する。
水ビジョンの基本目標に向かって、各種施策がどのように実施され、成果を発揮しているか、
定期的に検証していく必要がある。このため、
「水ビジョン推進会議」において、設定した目標
指標の到達度を評価し、施策の進行管理を行う。
参考資料
県政モニターアンケートの結果
………………………………………………………………………………………… P.71
序
論
水に関わる百選一覧
………………………………………………………………………………………………………… P.78
第
1
編
とやまの名水(66選)
用語集
……………………………………………………………………………………………………… P.80
……………………………………………………………………………………………………………………………… P.83
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
70
参考資料
県政モニターアンケートの結果(平成24年1月実施)
本資料は、以下のとおり実施された「水に関する意識調査」について、
データを県民生活課で取りまとめたものである。
1.調査の概要
序
論
(1)調査期間 平成24年1月10日∼1月31日
(4)回収数
(率) 148名(78.3%)
(2)調査方法 郵送法 (3)調査対象 県政モニター189名
(5)調査内容 「水に関する意識調査」
2. 調査結果の概要
第
1
編
第
2
編
富山県では、
「水の王国」にふさわしい水に関する取り組みを総合的に進めるため、
「とやま21世
紀水ビジョン」を作成しております。
この水ビジョンの施策の一つである「水を活かした文化・産業の発展」を進めるにあたっては、皆
さんのご意見をお聞きし、今後の取り組みに反映していくことが大切であると考えています。
問1 節水(水の節約)についてお聞きします。次の中から1つ選んでください。
第
3
編
第
1
章
①常に節水している
②どちらかといえば節水に心がけている
全体(%)
第
2
章
第
3
章
第
4
章
③節水は必要だと思うが、日頃は心がけていない
④全く気にせず水を使っている
④
3.4
③
10.8
男性(%)
① 23.0
女性(%)
③ ④
8.6 2.5 ① 24.7
④
4.5 ① 20.9
③ 13.4
第
4
編
参
考
資
料
② 62.8
② 61.2
② 64.2
年代別(%)
60歳以上
37.5
55.4
19.2
50歳代
57.7
15.0
40歳代
30歳代
20
40
コメント
1 全体では、85.8%の人が節水に心がけている。
2 女性の方が比較的節水意識が高い。
3 30歳代と60歳以上の節水意識が高い。
71
5.0
8.6
54.5
3.6
3.8
15.0
80.0
18.2
0
19.2
65.0
8.6
29歳以下
3.6
2.9
27.3
60
80
100
参考資料
県政モニターアンケートの結果
問2 普段、飲料水として主にどのような水を飲んでいますか。次の中からいくつでも選んでください。
序
論
①水道水をそのまま
②浄水器を通した水
③水道水を一度わかした水
④お店で売られているペットボトルの水
⑤井戸水
⑥その他
第
1
編
第
2
編
(回答総数 234)
全体(%)
⑥
5.6
⑤
8.5
(回答総数 110)
男性(%)
第
3
編
① 40.6
④ 17.5
(回答総数 124)
女性(%)
⑥
⑤ 5.5
10.0
⑥
⑤ 5.6
7.3
③ 17.1
① 40.0
④ 18.2
③ 13.6
②
10.7
第
2
章
① 41.1
④ 16.9
②
8.9
第
4
編
年代別(%)
60歳以上
44.6
50歳代
40.4
40歳代
41.4
30歳代
9.8
4.3
15.2
19.1
17.6
13.8
21.6
60.0
29歳以下
0
20
15.2
12.8
13.8
21.6
13.3
40
5.4
19.1
17.2
27.5
第
3
章
第
4
章
③ 20.2
②
12.7
第
1
章
60
4.3
6.9
参
考
資
料
11.8
20.0
80
6.9
9.8
6.7
100
コメント
1 全体では、40.6%の人が水道水をそのまま飲んでいる。
2 男性は浄水器を通した水を飲む割合が比較的多く、女性は一度わかした水を飲む割合が
多い。
3 各世代で水道水をそのまま飲んでいる人が最も多い。
4 29歳以下が水道水をそのまま飲んでいる人が非常に多く、30歳代は水道水をそのまま飲
んでいる人が比較的少ない。
72
参考資料
問3 現在ご利用の水道水について、どのように思いますか。次の中から1つ選んでください。
序
論
第
1
編
①満足している
②特に不満はない
③少し不満である
④不満である
第
2
編
全体(%)
⑤
④
5.4
4.1
③ 9.5
第
3
編
第
1
章
第
2
章
⑤水道水は利用していない
① 26.4
(%)
④ 3.7 女性
男性(%)
④ ⑤
4.5 6.0
③ 9.0
⑤
4.9 ① 21.0
③ 9.9
① 32.8
第
3
章
② 54.7
第
4
章
② 47.8
② 60.5
第
4
編
年代別(%)
60歳以上
参
考
資
料
33.9
7.7
50歳代
65.4
35.0
40歳代
29歳以下
40
3.6
11.5
20.0
14.3
54.5
20
3.8
10.0
54.3
27.3
0
11.5
35.0
22.9
30歳代
1.8
3.6
57.1
8.6
18.2
60
80
100
コメント
1 全体で81.1%の人が水道水に満足している。
2 満足度に男女の差異はない。
3 満足度は、すべての年代で70%以上で、60歳代以上では90%以上の人が満足している。
73
参考資料
問4 身近な水遊びや水に触れるなど、水と親しむことのできる場所はどこですか。次の中か
らいくつでも選んでください。
①河川
②渓流、滝
③海岸
④湖沼、池
⑤湧き水
⑥公園
⑦水路
⑧その他
⑨特にない
序
論
第
1
編
第
2
編
⑧ 2.8
(回答総数 325)
全体
(%)
⑦
5.8
(回答総数 162)
男性(%)
第
3
編
⑨
5.2
① 18.8
第
1
章
(回答総数 163)
女性(%)
② 8.6
⑥ 22.2
⑧ 1.2
⑨
⑧ 6.1 ① 17.8
⑦ 4.3
5.5
② 8.6
⑥ 22.7
⑨
⑦
4.3 ① 19.8
6.2
③ 19.7
⑥ 21.6
⑤ 12.3
② 8.6
⑤ 13.6
④
4.3
第
2
章
④
4.6
③ 20.4
⑤ ④
11.0 4.9
第
3
章
第
4
章
③ 19.0
第
4
編
年代別(%)
20.7
60歳以上
9.0
13.5
50歳代
11.4
40歳代
13.5
4.3
0
8.3
20
16.6
9.6
8.6
22.9
20.8
29歳以下
5.8
21.2
8.6
21.7
30歳代
6.2
18.6
2.9
17.4
25.0
40
17.9
17.3
28.6
8.7
3.8 1.9
5.7
29.0
4.2 8.3
60
7.6
0.7
2.8
参
考
資
料
13.5
11.4
2.9
5.8 4.3 5.8
29.2
80
4.2
100
コメント
1 全体では公園が最も多く、次いで河川、海岸が多い。
2 男女での差異は認められない。
3 29歳以下から40歳代は公園が最も多いが、50歳代は海岸、60歳以上は河川が最も多い。
74
参考資料
県政モニターアンケートの結果
序
論
第
1
編
問5 あなたは、この2∼3年の間に「水」に関する地域活動やボランティア活動に参加したこ
とがありますか。次の中からいくつでも選んでください。
①自主的な水質調査・監視活動
②水辺のごみ拾いなどの美化運動
③水辺の花壇づくりなどの緑化運動
④水辺の生き物の保護活動や観察会
⑤水辺についての勉強会や交流会
⑥水辺を活用した催事やお祭り
⑦水源地域の森林保全活動
⑧参加したことはない
第
2
編
(回答総数 183)
全体
(%)
第
3
編
①
3.8
② 19.1
第
1
章
第
2
章
第
3
章
(回答総数 92)
男性(%)
(回答総数 91)
女性(%)
⑧ 42.6
③ 4.4
④ 4.4
①
5.4
⑧ 28.3
② 16.5 ③ 1.1
⑤ 7.1
② 21.7
第
4
章
④ 3.3
⑤ 4.4
⑧ 57.1
⑥ 15.3
③ 7.6
④
⑥ 15.2 ⑤ 5.4
9.8
⑦ 6.5
第
4
編
① 2.2
⑦ 3.3
⑥ 15.4
⑦0
年代別(%)
参
考
資
料
27.2
60歳以上 3.7
50歳代 3.7
14.8
3.7
7.4
14.8
4.9
29歳以下
8.3
0
14.3
20
3.7
22.2
55.6
76.2
2.4 9.5 2.4
16.7
17.3
7.4
40歳代 4.8 4.8 4.8 4.8 4.8
30歳代 2.4
13.6
16.7
52.4
16.7
58.3
40
60
80
100
コメント
1 水に関する地域活動やボランティア活動に参加したことのある人の中では、
「自主的な水
質調査・監視活動」と「水辺を活用した催事やお祭り」が多い。
2 男性の方が比較的に参加したことがある人が多く、女性の方が参加したことがない人が多い。
3 60歳以上の世代は参加割合が高いが、それ以外の年代は半数以上の人が参加したことが
ない。
75
参考資料
県政モニターアンケートの結果
問6 あなたは、あなたがお住まいの地域で「水」に関する生活の知恵や使い方に、古くから
のものが残っていると思いますか。次の中から1つ選んでください。
①残っていると思う
②特に思わない
③全く思わない
④わからない
⑤その他
第
1
編
第
2
編
(%)
⑤ 0.7 全体
③ 8.8
⑤ 1.5
④
6.8
第
3
編
男性(%)
① 48.0
④
③ 4.5
10.4
序
論
第
1
章
(%)
⑤ 0 女性
第
2
章
④
③ 8.6
7.4
② 35.8
第
3
章
① 40.7
① 56.7
第
4
章
② 26.9
② 43.2
第
4
編
年代別(%)
60歳以上
50歳代
25.0
40.0
30歳代
20.0
42.9
37.1
29歳以下
63.6
0
20
19.2
26.9
50.0
40歳代
1.8
42.9
53.6
60
3.8
参
考
資
料
15.0
2.9
18.2
40
1.8
17.1
18.2
80
100
コメント
1 全体では、48.0%の人が「水」に関する生活の知恵や使い方に古くからのものが残っている
と思っている。
2 男性の方が比較的「思う」と答えた人が多い。
3 30歳以上では、年代が高くなるほど「思う」と答えた人が多くなる傾向にある。
4 29歳以下の60%以上の人が「思う」と答えている。
76
参考資料
県政モニターアンケートの結果
問7 水に関しての意見があれば、どのようなことでも記入してください。
(件)
序
論
1 健全な水循環系の構築
57
( 1 )水源対策
第
1
編
地下水、河川水の使用料を高く設定し、山林や河川の保全に使用すべき。
豊富な地下水を守るため、地下水の汲み上げを厳しく規制すべき。
消雪装置はありがたいが、冬になると地下水位が下がることが問題である。
2
1
1
( 2 )治水・利水対策
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
77
近所の川が河川改修のおかげで水害の心配がなくなり喜んでいる。
数年前、河川の氾濫で住宅が浸水する被害を受けた。今後、このようなことがないよう、万全の対策
を取って欲しい。
富山の水道水は都会と比べて匂いが無くおいしい。今後も安全安心でおいしい水の提供をお願いし
ます。
水道水が白く濁ったり、塩素の匂いがする時がある。
水道代が高い。
主要道路に消雪設備が完備されており感謝している。
雨樋の水を受ける貯留タンクの設置希望者に補助し、積極的に普及すべき。
もっと節水を心がけるべき。
小水力発電を推進すべき。
豊富な水の有効活用を検討すべき。
1
1
6
3
3
2
1
2
4
5
( 3 )水環境対策
地震の多発や原発事故により地下水が汚染されていないか心配である。
井戸水を使用している施設は、水質検査を定期的に実施しているのか心配である。
湧水の水質検査実施日が何年も前になっており心配である。
水は命の源。県民は一丸となって水質汚濁を防止するよう努力すべきだ。
地域の水質等の状況が把握できるマップのようなものがあればよい。
下水道料金が高い。
自然環境に配慮した水辺空間を作ってほしい。
川の汚れがひどい。川、水路等にゴミを流さないよう啓蒙してほしい。
川の除草などの手入れが行き届いていないため散歩もできない。
子どもたちが遊べる親水公園を作ってほしい。
農業用水を火災の消火、除排雪の処理等に利用している。ありがたい。
4
3
1
1
1
2
2
3
2
4
2
2 水を活かした文化・産業の発展
41
富山のきれいで豊富な水を誇りに思う。
古くからの水に関する習慣を大切にすることも重要だと思う。
融雪装置を使った打ち水をすればどうか。
富山の水をもっとPRすべき。
富山の水を利用した産業にもっと力をいれるべき。
富山の水を観光資源としてうまく利用してほしい。
水に関する祭りを開催すれば参加しやすいと思う。
水の良さだけではなく、水の怖さも子供たちに教えるべき。
14
3
5
10
2
3
1
3
参考資料
水に関わる百選一覧
名称
名水百選
平成の名水百選
水の郷百選
水源の森百選
所管、内容
環境省(昭和60年)
全国100ヶ所選定
うち富山県関連
4ヶ所
・黒部川扇状地湧水群
(黒部市、
入善町)
・穴の谷の霊水(上市町)
・立山玉殿湧水(立山町)
・瓜裂の清水(砺波市)
環境省(平成20年)
全国100ヶ所選定
4ヶ所
・いたち川の水辺と清水(富山市)
・弓の清水(高岡市)
・行田の沢清水(滑川市)
・不動滝の霊水(南砺市)
国土庁(平成7、8年)
全国107地域認定
4地域
・黒部市
・砺波市
・入善町
・庄川町
林野庁(平成7年)
全国100地域認定
3地域
・ありみね
・利賀ふれあいの森
・赤祖父山のブナ林
農林水産省(平成11年7月)
全国134ヶ所認定
2地区
・長坂(氷見市)
・三乗(富山市)
疏水百選
農林水産省(平成18年2月)
全国110ヶ所選定
4ヶ所
・十二貫野用水(黒部市)
・常西合口用水(富山市)
・鷹栖口用水(砺波市、小矢部市)
・舟倉用水(富山市)
ため池百選
農林水産省(平成22年3月)
全国100地区選定
2地区
・赤祖父溜池(南砺市)
・桜ヶ池(南砺市)
日本の滝百選
日本の滝選考会選定
(平成2年
4月)
(環境省、
林野庁後援)
全国100ヶ所選定
1ヶ所
・称名滝
甦る水100選
建設大臣(平成12年)
全国81団体表彰
2団体
・高岡市(水濠の浄化がつくる雨・
雪に強いまち)
・黒部市(黒部きららの滝)
日本の棚田百選
備考
序
論
熊本県と並んで
全国最多
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
78
参考資料
水に関わる百選一覧
名称
序
論
ダム湖百選
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
79
快水浴場百選
所管、内容
(財)
ダム水源池環境整備セン
ター(平成17年3月)
全国65ダム湖選定
環境省(平成18年5月)
全国100ヶ所選定
うち富山県関連
2ヶ所
・黒部湖
・有峰湖
2ヶ所
・島尾海水浴場(氷見市)
・宮崎・境海岸(朝日町)
備考
参考資料
とやまの名水(66選)
注:★は、環境省の「名水百選」選定名水 ◆は、環境省の「平成の名水百選」選定名水
№
名称
しっちゃだき
1
七重滝
2
★杉沢の沢スギ
すぎさわ
さわ
たかせゆうすい
3
高瀬湧水の庭
はか
4
にわ
き しぜんこうえん
墓ノ木自然公園
くろべきょうこく
5
黒部峡谷
6
十二貫野用水
7
★清水の里
8
★生地の共同
洗い場
所在地
区分
説明
下新川郡朝日町
笹川
滝
約60mの断層崖を七段に落下する雄大な滝。名勝として、古くから人々に
親しまれています。
下新川郡入善町
吉原
湧水
黒部川扇状地扇端部の湧水地帯。沢杉が生い茂り、沢には地下水が白砂
を上げて湧き出ています。
下新川郡入善町
高瀬
湧水
黒部川右岸の自噴地帯における代表的な湧水で、清冷で豊富な量に恵ま
れています。県内外、他市町村からも多くの利用者があります。
下新川郡入善町
墓ノ木
その他
さと
めいすいこうえん
10
月見嶋の清水
つきみじま
黒部市
農業
用水
江戸時代に、椎名道三が高度な技術で開削した用水。一部の区間は、地
域の文化遺産として復元・保存される予定になっています。
黒部市吉田
(JR 生地駅)
湧水
北陸本線生地駅前に湧き出る清らかで冷たい水。御影石で作られた水
飲み場が整備され、乗降客や市民ののどを潤しています。
黒部市生地
湧水
黒部川扇状地の豊富な湧水を利用し、地域住民が共同で管理している
洗い場。主婦たちの語らいの場ともなっています。
第
1
章
黒部市生地中区
湧水
生地漁港内の公園で「魚の駅」にも隣接していることから、毎年多くの
人々が訪れており、おいしい水が飲める公園として親しまれています。
第
2
章
黒部市生地山新
湧水
新治神社の境内にある月見嶋の池に湧き出す清水。12世紀ごろにあった
「越之湖」の名残とされています。
第
3
章
黒部市飛騨
湧水
黒部川扇状地にある豊富な水量と水の冷たさを誇る自噴井で、地域住民
に愛され、大切に保全・整備されています。
しょうず
むらつばき
しょうず
11
村椿(飛騨)の清水
12
箱根の清水
黒部市長屋
井戸
江戸時代に北陸道を行き来した旅人がのどを潤した休憩所が、宇奈月
へと上がる県道の脇で現代人ののどと心を潤しています。
おりたて
黒部市宇奈月町
下立
湧水
地元地域住民はもちろん近隣市町村からも多くの人が霊水として水を汲
みに訪れます。付近一帯は、とやま森林浴の森に指定され、自然環境学
習の場としても利用されています。
黒部市嘉例沢
湧水
戦国時代の武将たちが馬を洗い清めた池と伝えられ、今も美しい清水を
たたえています。
魚津市
河川
万葉の歌人、大伴家持が「可多加比の川の瀬清く行く水の絶ゆることな
くあり通ひ見む」と歌った清流です。
井戸
日本一うまい水と池田弥三郎教授が折り紙をつけた魚津の水。旅行者
や市民に親しまれています。
湧水
ちょうどごはんをてんこ盛りにしたように、川の底から水が湧き出てくる
ので、この名が付いたといわれます。
その他
早月川の伏流水が湧き出した清水。付近一帯は、自然林に囲まれ、市民
が水と緑に親しむ格好の散策場所となっています。
中新川郡上市町
黒川
湧水
行者が霊水として利用していたもので、近年は、この霊水を求めて全国
から多くの人々が訪れます。
中新川郡上市町
護摩堂
湧水
弘法大師ゆかりの清水で、地域の人々に利用されてきました。これを飲む
と頭がよくなるといわれています。
中新川郡上市町
大岩
湧水
古くから北陸の霊場として知られている大岩の不動。岩を回り出る藤水
は、眼病に霊験有りと人々に信じられてきました。
はこね
しょうず
れいすい
13
下立の霊水
14
駒洗い池
こまあら
いけ
かたかいがわ
15
片貝川の清流
16
「うま 魚津市釈迦堂
魚津駅前の
(JR 魚津駅)
い水」
17
てんこ水
18
◆行田の沢清水
19
★穴の谷の霊水
20
弘法大師の清水
21
大岩山日石寺の藤水
うおづえきまえ
すい
ぎょうでん
魚津市諏訪町、
本町
さわしみず
あなんたん
こうぼうだいし
おおいわさんにっせきじ
れいすい
しみず
ふじみず
第
2
編
河川
しょうず
名水公園の清水
黒部川の清流や、自然をそのままの形で生かした河川敷に広がる約22ha
の公園であり、水と緑に親しみ、自然観察する格好の場所となっています。
大小無数の渓流が黒部の本流となり、岩を削り、日本で最も深く、そして
幽玄な峡谷美を形作っています。
いくじ
9
第
1
編
富山市、黒部市、
中新川郡立山町
じゅうにかんの
しょうず
序
論
滑川市上小泉
第
3
編
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
80
参考資料
とやまの名水(66選)
注:★は、環境省の「名水百選」選定名水 ◆は環境省の「平成の名水百選」選定名水
№
序
論
名称
所在地
区分
説明
中新川郡上市町
釈泉寺
農業
用水
上市川の沿岸域の水争いを解決するため整備されました。地元では、先
人の技術と熱意を後世に伝えるため、保存に努めています。
中新川郡上市町
滑川市、魚津市
河川
北アルプスの剱岳に源を持ち、全国屈指の急流河川となって、富山湾に
そそいでいます。その河口の海は、ホタルイカ漁でにぎわうところです。
中新川郡立山町
室堂
湧水
立山黒部アルペンルートの立山トンネルの開通により噴出した湧水。2∼
5℃と非常に冷たく、水量も豊富です。
かみいちがわえんがん
上市川沿岸
22
えんとうぶんすいじょう
円筒分水場
えんとうぶんすいそう
円筒分水槽
第
1
編
はやつきかわ
23
早月川の清流
24
★立山玉殿の湧水
25
黒部湖
富山市、中新川
郡立山町
湖沼
日本一の高さを誇るアーチ式ダムによる人造湖。エメラルドグリーンの湖
水に周囲の雄大な山々を映します。
26
みくりが池
中新川郡立山町
室堂
湖沼
標高2,400m、立山黒部アルペンルートにある神秘的な湖。青々とした水
面に映える立山の雄姿は美しい。
富山市、中新川
郡立山町
河川
長さ56㎞、万年雪を頂く立山・薬師岳に源を発し、日本海に注ぐ、我が国
屈指の急流河川です。
中新川郡立山町
芦峅寺ブナ坂
滝
日本一の落差350mを誇る大滝。4段になって落ちるその豪快さは、訪れ
る人を驚嘆させます。
中新川郡立山町
虫谷
滝
落差24m、白布を垂らしたような滝。谷川が岩石の軟弱部を浸食後退し
てできたもので地質学上貴重です。
富山市
河川
富山市の中心部を流れます。ニシキゴイが群泳し、桜並木と彫刻が川べ
りを彩る市民の憩の川となっています。
富山市石倉町
井戸
いたち川の川べりにある延命地蔵の御手洗い水。万病に効く名水ともい
われています。
富山市上滝
湧水
弘法大師が祭られている祠の下から湧いている水。不老長寿、皮膚病に
効く霊水といわれています。
富山市有峰
湖沼
北アルプスの霊峰薬師岳に連なる山々の清流を集め、満々と水をたたえ
た湖です。湖面には美しい山々の姿を映します。
富山市
農業
用水
明治時代に、常願寺川左岸に12の用水を合併合口化してできた用水です。
富山市の水道水源となっています。
富山市春日
湧水
昔、殿様が好んでこの湧水を飲んだことからこの名が付いたといわれま
す。今も茶人などに愛用されています。
富山市八木山
湧水
八木山の不動尊の祠から湧く水は、昔けものが傷をいやしたといわれ、
現在は滝となり、絶えることなく落ちています。
富山市
河川
飛騨盆地から富山平野に抜ける風光明びな渓谷。県下屈指の景勝地で、
県定公園となっています。
富山市八尾町大
玉生
湧水
大玉生八幡社横にある樹令千年といわれる桂の大木。その根元から沸
き出す清冽な水で、人々の生活水として守られてきました。
富山市婦中町千
里
湧水
常願寺観音堂地内の湧水。聖観音が山田村から常楽寺へ移された時に
湧き出てきたものと伝えられています。珍しい「ヒカリモ」があります。
たてやまたまどの
く ろ べ こ
第
2
編
じょうがんじがわ
第
3
編
27
常願寺川の清流
しょうみょうだき
28
称名滝
第
1
章
29
岩室の滝
第
2
章
30
松川
第
3
章
31
第
4
章
◆石倉町の
えんめいじぞう
延命地蔵の水
32
中ノ寺の霊水
33
有峰湖
いわむろ
まつかわ
いしくらまち
なかのてら
ありみねこ
第
4
編
じょうさいごうくちようすい
34
常 西合口用水
とのさましょうず
参
考
資
料
35
殿様清水
36
八 木山の滝
や き や ま
じんづうきょう
37
神通峡
かつら
しみず
38
桂の清水
39
加持水
40
花山寺の霊水
富山市山田若土
湧水
谷川沿いの岩間から湧き出る水。花山寺では水かけ地蔵を建立し、霊水
として利用しています。
あさひ
41
朝日の滝
富山市婦中町安
田
湖沼
この滝は、霊験があり不治の病も治すといわれ、親しまれてきました。江戸時代中期∼後期
には、全国から大勢の参拝者が訪れ、参道には、茶店や旅籠も立ち並んでいたといいます。
42
薬勝寺池
射水市中太閤山
湧水
かんがい用のため池として、約500年前に作られたと伝えられています。
現在は薬勝寺池公園として、地域住民の憩の場となっています。
43
誕生寺の誕生水
射水市島
井戸
約600年前、法華宗の開祖日隆聖人が誕生の折に湧出した清泉。聖人
の産湯とされたことから「誕生水」と名付けられました。
か じ す い
か ざ ん じ
たき
やくしょうじいけ
たんじょうじ
81
たんじょうすい
参考資料
とやまの名水(66選)
注:★は、環境省の「名水百選」選定名水 ◆は環境省の「平成の名水百選」選定名水
№
名称
ゆみ
44
所在地
区分
説明
高岡市中田常国
湧水
木曾義仲が、平家との戦いのとき、部下の進言により弓矢を射ったところ
湧き出た清水と伝えられています。
高岡市滝
農業
用水
地元住民と小・中学校児童の保存活動により、毎年ホタルが飛び交うようになり、観察会には多くの
参加者があります。付近一帯は、県の天然記念物(ゲンジボタル等の生息地)に指定されています。
高岡市伏木一宮
湧水
大伴家持が住んだ万葉の里。杉木立にかこまれた岩壁から清泉が出てい
ます。
高岡市末広町
井戸
高岡市の中心部にあり、約230年前、親孝行な六兵衛が掘ったと伝えら
れています。市民により大切に保存されています。
高岡市古城
その他
前田利長の築いた城で設計者は高山右近と伝えられています。約67,000㎡
の水濠は満々と水をたたえ、四季を通じて美しい景観を映しています。
高岡市福岡町矢
部
その他
庄川の伏流水が湧く矢部地内では、豊富な地下水を利用して、観賞用や
食用のコイが盛んに養殖されています。
氷見市朝日本町
湧水
古くより、無病長寿に効く霊水といわれ、飲用されてきました。側には、
国の天然記念物の大イチョウがそびえ立っています。
小矢部市埴生
湧水
埴生護国八幡宮の境内にあり御手洗水などに利用されています。年中枯
れることなく、参拝者に潤いを与えています。
河川
小矢部川の支流、子撫川の清流に沿った谷間。小さなナイアガラといわ
れる。
「一の滝」をはじめ、多くの滝や淵からなっています。
湧水
底から清水が白砂を上げて湧き出しています。池には、市の天然記念物
に指定されているアシツキが自生しています。
湧水
綽如上人の馬のひづめが陥没してできたという故事があります。瓜をひや
したところ、冷たくて自然に裂けたことから命名されました。
砺波市増山
湧水
増山城築城の折、家臣の山名又兵衛が発見したと伝えられます。城跡を
訪れるハイカーに親しまれています。
南砺市蓑谷
湖沼
原生林に囲まれ、伝説を秘めた池。四季を通じて清澄な水を満々とたた
え、天然記念物のミズバショウが群生しています。
南砺市立野原
湖沼
池の周囲に桜の木が多いことからこの名が付けられました。春の新緑、
秋の紅葉など水と緑に恵まれた自然を満喫できます。
南砺市中江
湧水
「水神様の水」とも呼ばれ、村の祭神「水波廼女神」を祭った社の床下
から湧出している神聖な水です。
砺波市、南砺市
河川
小牧ダム湖を中心とする周辺一帯は県定公園に指定されています。四季
織りなす景観は見事です。
しょうず
◆弓の清水
きゅうろっかようすい
45
旧六ヶ用水
46
気多神社の清泉
47
影無し井戸
けたじんじゃ
せいせん
かげな
たかおかこじょうこうえん
すいごう
48
高岡古城公園の水濠
49
矢部の養鯉池
や
べ
よ う り ち
じょうにちじ
かんのんぼさつれいすい
50
上日寺の観音菩薩霊水
51
鳩清水
はとしみず
みやじまきょう
52
宮島 峡
小矢部市宮島
おおしょうず
53
大清水
小矢部市臼谷
うりわりじょうす
54
砺波市庄川町金
屋
★瓜裂清水
ま た べ え し み ず
55
又兵衛清水
56
縄ヶ池
なわがいけ
さくらがいけ
57
桜ヶ池
58
中江の霊水
なこえ
れいすい
しょうがわきょう
59
庄川峡
まるいけ
60
丸池
南砺市新屋
湧水
合掌造りで知られる越中五箇山の上平村。浄土真宗を広めた赤尾道宗の
信心による湧水の池です。
わきたに
61
脇谷の水
南砺市利賀村栗
当
湧水
脇谷橋の橋詰にある御地蔵様の祠から湧き出ています。住民やドライ
バーに飲用され親しまれています。
62
赤祖父池
南砺市川上中
湖沼
赤祖父川の水をせき止めてできたかんがい用の貯水池。ヘラブナが放流
され釣り大会等により親しまれています。
63
◆不動滝の霊水
南砺市大谷
湧水
岩から清らかな水が噴出しています。古くから、旱魃を救った霊水として
大切にされてきました。
64
妃の清水
南砺市安居
湧水
安居寺の下を流れる御手洗川の川沿い、切り立った岩壁の割れ目から枯
れることなく湧出ています。
65
小矢部川の長瀞
南砺市中河内
河川
小矢部川上流の峡谷。奇岩がそそり立ち、岩肌に松、桧が盆栽のように
生える光景は水墨画を思わせます。
とやまわん
66
富山湾の深層水
取水地:滑川市、
その他
入善町
あかそぶいけ
ふどうだき
ひ
れいすい
しょうず
お や べ が わ
ながとろ
しんそうすい
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
「富山湾の深層水」は、冷たく清浄で、ミネラル分を豊富に含んでいることから、
未知の可能性を秘めた新しい地域の資源として、大きな注目を集めています。
82
参考資料
用語集
しょくせいしぜんど
植生自然度(2P)
序
論
第
1
編
てんねん
第
2
編
第
3
編
ぐんらく
きょくそう
植生への人為的な影響を表す指標であり、高山植物群落や極相林のように人間の手の加わっていな
いものを10又は9とし、緑のほとんどない住宅地や造成地を1、その中間に二次林、植林地、農耕地等を
ランクし、10段階で表示する。
本県は、自然植生の10、9の面積割合では、北海道、沖縄県に次いで多いため、人の入り込まない手
付かずの自然が広がっており、県土全体として自然度が高いといえる。
えんけいげきじょう
天然の円形劇場(2P)
富山県は、蝶々が羽根を開いたような形で、山と海に囲まれたまとまりのよい県土である。3,000m級
の山々が連なる立山連峰と、ここに源を発する黒部川、早月川、常願寺川などの急流河川、その下流には、
緑に包まれた扇状地平野、日本海側最大の外洋性湾で海底谷が発達した水深1,000mを超える富山湾
に至るまで、高低差4,000mのダイナミックで変化に富んだ地形を有している。かつて19世紀に“日本近
代登山の父”と呼ばれたウォーター・ウエストン(英国人)が「三方が、峰々でできた一つの壮麗な“天
然円戯場(天然の円形劇場)”」と感嘆した地形がここにある。
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
みずじゅんかんけい
水循環系(2P)
蒸発・降水・浸透・流出を繰り返す自然の水文循環と、人間が人工的に整備した水道や下水道などを
経由して流れる水をあわせて、一連の水の流れを形成するシステムを意味する。このシステムの中には
工場や家庭、農地などでの水利用を含む。
けんぜん
第
4
編
参
考
資
料
みずじゅんかんけい
健全な水循環系(4P)
流域を中心とした水循環系における一連の水の流れの過程で、水利用や治水など人間社会の営みに
果たす水の機能と、自然環境の保全に果たす水の機能が、適切なバランスのもとに、ともに確保されてい
る状態で、それぞれの流域での自然特性やそこでの水利用状況などの社会特性により規定されるもの。
さっさてい
佐々提(6P)
じょうさい
常願寺川左岸、富山市馬瀬口を流れる常西用水の川底から顔をのぞかせている古い石の堤防。戦国
時代、大水が出ると馬瀬口あたりからあふれ、富山城下を水浸しにした。こうした水害を無くするため
に佐々成政が造らせた堤防である。
まつかわよ
松川除け(6P)
83
1653年(承応2年)、太田(現在の砺波市太田)の南から西の千保川へ流れていた水が、柳瀬(現在
の砺波市柳瀬)の西で切れ込んで、石代(現在の高岡市石代)で増仁川へ入り、高岡の瑞龍寺にも迫る
大洪水を起こした。この寺は加賀班2代藩主、前田利長の菩提寺として当時建設中だったことから、
藩
やなせふしん
は柳瀬の西で大規模な水防工事を行った。
この工事を柳瀬普請と言う。
やなせふしん
その後、柳瀬普請だけでは砺波平野を洪水から守れないので、庄川扇状地の扇頂部の弁財天社前
で庄川の流れを一本にする工事を始めた。堤防の長さ2kmにもわたり、45年の歳月と延べ100万人を超
える労力を費やし1714年
(正徳4年)ついに完成した。堤防をしっかり固めるために松の木が植えられ
まつかわよ
たことから「松川除け」と呼ばれるようになった。
参考資料
用語集
ほあんりんりつ
保安林率(12P)
天然林や人工林等の森林面積に対しての保安林の面積の割合のこと。
なお、保安林は、森林法に基づき、水源のかん養、土砂の流出の防備、魚つき、公衆の保健などの目
的を達成するため農林水産大臣又は都道府県知事が指定した森林で、伐採・土地の形質変更などが制
限される。
序
論
第
1
編
てきせいようすいりょう
適正揚水量(12P)
塩水化の進行や大幅な地下水位の低下等の地下水障害を生じさせない揚水量で、かつ、地域の特性
や住民の意向などの社会的条件を考慮した量。
第
2
編
じょうすいじゅすい
浄水受水(15P)
水道事業者が水道用水供給事業者から飲用に適するよう浄化された水(浄水)の供給を受けること。
県内では高岡市、氷見市、小矢部市、射水市が県から、砺波市、南砺市が砺波広域圏事務組合から
それぞれ受水しており、これらの水は表流水(庄川水系及び小矢部川水系)を水源としている。
めいすい
とやまの名水(17P)
富山の水が持つきれいさ、豊かさ、優れた水環境を広く県内外に紹介することを目的として県が選定
したもの。昭和61年2月に55件を選定した後、平成18年に富山湾の深層水を含む11件を追加選定し、全
部で66件となっている。
「とやまの名水」選定基準
① きれいな水で、古くから生活形態や水利用等において、水質保全のための社会的配慮が払われ
ているもの
② 湧水等で、ある程度の水量を有する良質なものであり、地方公共団体等において、その保全に力
をいれているもの
③ いわゆる名水として、故事来歴を有するもの
④ その他、特に自然性が豊かであり、希少性や特異性を有するなど、優良な水環境として後世に残
したいもの
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
せかいみず
世界水フォーラム(20P)
21世紀の国際社会における水問題の解決に向けた議論を深め、具体的な提案を興し、その重要性を
広く世界にアピールすることを目的として、3年に一度、3月22日の国連水の日を含む時期に開催される。
第1回はモロッコ・マラケシュ、第2回はオランダ・ハーグ、第3回は日本の京都・滋賀・大阪の琵琶湖・淀
川流域で開催され、2012年3月にフランス・マルセイユにて第6回世界水フォーラムが開催された。
かそうすいもんだい
仮想水問題(26P)
我が国が輸入している農畜産物や工業製品を生産するために、海外で多量の水資源が消費されてお
り、間接的に多量の水資源を輸入していることになるという考え方を仮想水問題と称している。
84
参考資料
用語集
みずぶんか
水文化(27P)
序
論
「地域の人々が水を上手に活用し、また水を制する中で生み出されてきた有形、無形の文化の伝統」
である。具体的には、祭事等の行事・イベント、水車や堰の伝統施設や工法、伝統工芸等、水を中
心として形成された特徴的な生活スタイル・生活様式など。
第
1
編
〇水文化の特徴
・地域特有の水とのかかわりを背景に、地域社会内部から生み出されたもの。
・長い年月をかけて醸成されたもの。
・地域の人々が共有する生活様式、生産様式、価値観等が伴うもの、または象徴するもの。
・地域で人から人へと継承されるもの。
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
4
編
参
考
資
料
〇水文化の種類
・治水、利水の水文化……
治水、利水技術
:急流河川工法、合口用水、電源開発等
水防工法
:木流し、
川倉、
竹蛇かご等
ばんすい
まきえ
じゅうにかんの
水配分方法
:番水、巻江(十二貫野用水)等
・伝統的産業の水文化…… ひきもの すげがさ
伝統的地場産業 :庄川挽物、菅笠、チューリップ球根栽培等
伝統的川魚漁
:小屋がけオトリ投網漁、流し網漁
・暮らしのなかの水文化……
日常生活の中での水文化
子供達の水文化
水との付き合い方や生活様式
地域特有の水環境
:祭り、打ち水等
:ミズガキ、水の少年団等
:雨水(天水)利用、雨水浸透等
:フィールドミュージアムとしての水博物館、散居村等
しんだいさんきそう
新第三紀層(31P)
「新第三紀」は、地質年代の新生代第三紀を二分した場合の後半。約2300万年前から180万年まで。
さらに、古い方から中新世・鮮新世に分ける。新第三紀層は、その地層。
とうかがたさぼうえんてい
(31P)
透過型砂防堰堤
えんてい
えんてい
砂防堰堤には、開口部をもち、
平常時の流出土砂は流下させて、堰堤の容量を確保している透過型のも
えんてい
のがある。透過型砂防堰堤のうち、鋼材やコンクリートでくし型の透水構造にしたものをスリット型という。
さいかいはつ
ダムの再開発(35P)
一般に、既設のダムについて機能の保全・拡充のための事業を実施すること。例えば、既設堰堤の
嵩上げや下流に新設して既設堰堤は水没又は除却、貯水池掘削などによる容量保全や増強、取水塔や
取水堰の改築又は新設など。
85
参考資料
用語集
ないすい
内水(36P)
平坦地等において、一時的に大量の降雨が生じた場合に、下水道や河川などに雨水を排水しき
れず、地表面に溜まった水のこと。
ただんりよう
多段利用(38P)
序
論
第
1
編
地下水を冷却用に利用した後、洗浄、希釈などの生産工程に使うなど、有効利用を図るもの。
ヒートアイランド(39P)
ビルや道路の舗装による地表面状態の変化、冷房に伴う排熱、工場などの排煙や交通量の増
加がもたらす大気汚染などによりひきおこされる都市域に特徴的な気候のことを、都市気候とい
う。都市中心部が郊外に比べて数°Cも気温が上昇するヒートアイランド現象が顕著で、その軽減
のための対策が各方面で取られている。
ようとかんてんよう
用途間転用(42P)
水資源の有効利用を図るため、水道用水、工業用水、農業用水等の各用途の水利用を、他の用
途へ変更すること。
かんきょうようすい
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
環 境用水(42P)
水質の浄化、親水空間の創出、修景、生態系の保護等自然環境、社会環境、生活環境の維持
改善を図ることを目的とする用水(国土交通省HPより)」のこと。
かせんいじりゅうりょう
河川維持流量(42P)
河川には一定の流量がなければ河川環境、河川利用、河川管理などに支障が生じることになる。そこで、
舟運、漁業、景観、塩害防止、河川管理施設の保護などを総合的に考慮し、渇水時においても維持すべ
き流量が定められており、これを維持流量と呼ぶ。維持用水、または河川維持用水と呼ぶこともある。
第
4
編
参
考
資
料
PRTR(45P)
化学物質排出把握管理促進法(平成11年7月制定)として制度化され、有害性のある多種多様な化
学物質が、どのような発生源から、どれくらい環境中に排出されたか、あるいは廃棄物に含まれて事業
所の外に運び出されたというデータを把握し、集計し、公表する仕組みである。
ちいきようすいきのう
地域用水機能(48P)
かんがい用水である農業用水が有する生活用水機能、防火用水機能、景観保全機能、消流雪用水機
能等を地域用水機能と称している。
86
参考資料
用語集
がいらいしゅ
外来種(49P)
序
論
国内の在来種に対して、国外から来るもののこと。
在来種に悪影響をもたらす外来生物(外来種)を特定外来生物に指定し、飼育、栽培、保管、譲渡、
運搬、輸入、さらに野外への放出などを原則禁止するとして、
「特定外来生物による生態系等に係る被
害の防止に関する法律」が、2005年6月、施行されている。
第
1
編
きなが
木流し(52P)
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
せんくつ
洪水時に枝葉の繁茂した樹木におもり土のうをつけて、洗
掘部をカバーするものである。この工法は、
せんくつ
設定も容易で流速を緩和するので、激流による洗 掘予防、拡大予防に用いられ、数個並置することによ
り大きな効果が期待される。
かわくら
川倉(52P)
川倉は、洪水時の水防活動に使用される水防資材のひとつで、木で組んだ枠で出来ており、それを流
れに投入し堤防にぶつかる水流の勢いを弱めるものである。
ばんすい
番水(52P)
かんがい地域を適切に区分し、それぞれの地区に限られた時間ずつ、順番にかんがいすること。一
般に干ばつ時に行われるが、水不足地区では常時行われることもある。
まきえ
第
4
編
参
考
資
料
巻江(52P)
まきえ
「巻 江」とは、高台の水田からの浸透水や湧水、かんがい用水等のいわゆる「オタレ」を集めるため
に掘った小用水であり、この水を次の段丘面の水田のかんがい水や生活用水として利用していた。
ひきもの
挽物(52P)
ひきもの
ひきもの
「庄川挽物」は、庄川町が木材の集積地であったことから生まれた産業。挽物とは、木材をろくろで
回転させながら椀や盆、皿などに加工するもので漆塗りの器の木地となることから、
これらを作る職人
ひきもの
のことを木地師と呼ぶ。庄川挽物の始まりは、1866年(慶応2年)頃で、昭和になると生産量も増えて全
国に出荷されるようになった。現在では、木地はもちろん木のぬくもりを生かした木製品の産地としても
知られている。
すげがさ
菅笠(52P)
1585年(天正13年)の大地震と付近を流れる小矢部川のたび重なる氾濫により、
所々に沼ができ、そ
すげがさ
すげがさ
こに自然繁殖した菅を利用して菅笠を製造したのが始まり。旧福岡町の菅笠作りは、農作業用から踊り
用まで各種作っており、全国シェアの約90%を占めている。
87
参考資料
用語集
きゅうこんさいばい
チューリップ球根栽培(52P)
砺波平野の扇状地の土壌は砂質土で水はけがよくチューリップ球根栽培に適している。稲作の裏作
として砺波地方では古くから栽培されている。今では、球根のほかに切花やチューリップを原料とした
商品開発が盛んに行われており、花びら染め、香水、石鹸、入浴剤などがある。
こ や
とあみりょう
小屋がけオトリ投網漁(52P)
神通川の伝統漁法として「小屋がけオトリ投網漁」がある。川岸に仮設小屋を建てる。岸から2メート
ルほどの川の中にひもでつないだおとりの雄サケを泳がせる。おとりのシッポから10センチほどうしろに
水面から少し離してつり糸を張りつめる。糸の片方を置石に、片方は小屋の中に引きこんで鈴につなぐ。
そして、鈴が鳴れば、小屋を出て投網を川に打つものである。
なが
あみりょう
流し網漁(52P)
神通川の伝統漁法として「流し網漁」がある。全国的にも珍しい漁法で江戸時代に始まったといわれ
ている。2艘の舟の間に網をはり、上流から下流へ川の流れにあわせて舟を流しながら漁をする。網の
幅は約15m、漁師は4人1組で、舟をあやつる人と網をあつかう人に分かれサケやマスを捕る。
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
ミズガキ(53P)
水辺で遊ぶ子供のこと。
みず
第
3
章
第
4
章
しょうねんだん
水の少年団(53P)
河川の水質やサケの遡上調査、川の清掃奉仕や発電所見学などの活動をとおして子供たちに資源と
しての「水」を認識してもらうこと、そしてなによりも清流・川を守るために最も重要な「水」を大切にす
る心が育まれることを期待して創られた組織で、
「くろべ水の少年団」等がある。
とやま
しんそうすい
第
4
編
参
考
資
料
富山の深層水(54P)
深層水とは、一般的に、大陸棚より沖合で太陽光が届かない水深200m以深にある海水のことをいい、
「低温安定性」、
「富栄養性」、
「清浄性」という3つの大きな特徴をもっている。
富山県では、水深300m以深にあり、日本海の海水の85%程度を占める「日本海固有水」を取水し、
「富山の深層水」として利活用を進めている。
富山の深層水は、太平洋側の深層水に比べて10°C程低い2°C前後であることから、低温性を活か
し、マダラなど冷水性魚介類の栽培技術の研究に利用されている。また、人間が必要とするカルシウム
やマグネシウムなどミネラル分をバランスよく含んでいることなどから、飲料、食品や医薬、健康増進など
の幅広い分野で商品化、利活用研究が進められている。
じょうかりゅうこうりゅう
上下流交流(55P)
上流の山間地域は水源地として、治水、利水、環境面において下流地域の発展を支えてきた。近年は、
流域という視点から、上下流の流域交流を行っている地域がある。例えば、下流の住民が上流の水源の
88
植林を行ったり、上下流の住民が情報交換を行ったりする例がある。
参考資料
用語集
そすいひゃくせん
疏水百選(55P)
序
論
第
1
編
第
2
編
第
3
編
第
1
章
第
2
章
第
3
章
農業生産基盤であり国土保 全や景観形成などの多面的機能を有する疏 水(農業用水等)につい
そ す い
て、国民運動として次世代に引継ぐため、農林水産省が「疏 水百選」を実施し、平成18年2月に全国で
110ヶ所を選定した。
じゅうにかんの
じょうさいごうぐち
たかのすぐち
そ す い
(黒部市)
、常
西合口用水
(富山市)
、鷹
栖口用水
(砺波平野疏
水
富山県内では、十二貫野用水
ふなくら
群)
(砺波市・小矢部市)、舟 倉用水(富山市)の4ヶ所が選定された。
ラムサール条約(55P)
1971年にイランのラムサールで採択された「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する
条約」のことであり、この条約は、特に水鳥の生息地等として国際的に重要な湿地及びそこに生息・生
育する動植物の保全を促進することを目的とし、各締約国がその領域内にある湿地を1ヶ所以上指定し、
条約事務局に登録するとともに、湿地の保全及び賢明な利用促進のために各締約国がとるべき措置等
について規定している。2012年8月10日現在、締約国162ヶ国、登録湿地数は2,046ヶ所となっている。
きょうどうあら
ば
共同洗い場(57P)
黒部市生地には、湧水を利用した共同洗い場がいくつもある。古くから日常の洗濯、炊事のほか、夏
には水団子や西瓜を冷やし、秋には大根洗いもする。生地固有の風景としても親しまれている。今では、
観光ルートとして位置付けられ多くの観光客にも楽しまれている。
第
4
章
ビオト−プ(58P)
第
4
編
「ビオトープ(Biotop)」とは、
「生物」を意味するBiosと「場所」を意味するToposを合成した、ギリ
シャ語を語源とするドイツ語で、直訳すると「生物生息空間」ということになる。日本でもたとえば岩波
書店の「生物学辞典」では「特定の生物群集が生存できるような、特定の環境条件を備えた均質なある
限られた地域」と定義されている。
参
考
資
料
フィールドミュージアム(58P)
屋外の博物館のこと。
みずしげんふぞんりょう
水資源賦存量(65P)
水資源として、理論上、人間が最大限利用可能な量であり、降水量から蒸発散によって失われる量を
引いたものに当該地域の面積を乗じた値。
バーチャルミュージアム(69P)
仮想の博物館のこと。バーチャルは、仮想の、実質上の、インターネットに代表される架空の空間、ま
たは、そこに存在するもの、やりとりなど。
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