&シート」 「エールベベ・フラット

高級チャイルドシート
「エールベベ・フラット &シート」
の快適性と問題点を 考える
景気対策のひとつに法令等の規制緩和がある
部保護構造を採用している。乳児にとって最
が、それと同時に新たに義務化される項目も増
も重要な頭部を徹底的に保護したいという考
えている。そのひとつが来春から装着の義務化
え方である。
が施行されるチャイルドシートである。自動車
第二は、本体シートの向きに関わらず車内
メーカーはもちろん各自動車部品メーカー、
で安定を保つ「低重心安定化」ベースである。
カー用品メーカー各社も一斉にチャイルドシー
本体をフラット状態で使用する際、ベースに
トの新製品を開発し、発売する予定だ。
重心を置いた安定感のある底面形状設計に
そこで先頃、記者発表されたカー用品メー
よって乳幼児を安心して乗せることができる。
カー大手( 株) カーメイトの新型チャイルド
要するに、ベッド兼チャイルドシートの持つ
シートをチェックする。
課題を低重心安定化ベースでクリアしたとい
最近は少子化現象が進行し、子供の人数が
うことだ。
少く、親が子供にかける金額は当然高額とな
見逃せないのが第三の特長である「リバウ
る傾向が強い。つまり、チャイルドシートの世
ンドディフェンサー」である。簡単に言えば、
界も高性能と高級化が進行している。
(株)カー
事故や急ブレーキ時の反動による傷害を最小
メイトの自信作である『エールベベ・フラット
限に抑える機構。例えば、後ろ向きシート時に
&シート』はその代表的商品である。
心配なのが衝突や緊急時の急ブレーキの際に
『エールベベ・フラット&シート』の特徴は
起こる反動(リバウンド)だ。二次的な傷害を
11層頭部保護構造だ。最大60mmの厚さ
防止するため、リバウンドを最小限に抑える
を持つ3層ウレタン構造のプロテクターと4
独自の「リバウンドディフェンサー」を開発し
層からなるヘッドサポート。さらに本体シー
ている。
ト頭部の4層保護構造を合わせて11層の頭
ほどだ。収納式フットレストは便利で、幼児の
いうことは、ある意味で安定感があるという
足が疲れず正しい着座姿勢をサポートするに
メリットにもつながるが、反面、取りはずし、
違いない。しかもベルトクリップを収納でき
脱着、持ち運びが不便であるという欠点を持
るポケット付き。肩ベルトホールは4段階。新
つ。確かに、一度マイカーに装着したチャイル
生児のポジションを含め成長に合わせて4段
ドシートを何度も取りはずす機会は少ない。
階に調整可能な肩ベルトホールなどよく配慮
しかし、リアシートに正確に取りつけるとき、
されている。
シート本体が重いので、横向き、後ろ向き、前
本体背中部に通気穴を設け、背中のムレを防
ぐよう考えられており、リクライニング操作が
向きなど、動かすための作業は意外に重労働
となる。
左右どちらからでも簡単にできる点も親切だ。
とにかく、これまでチャイルドシートなど
究極は3ポジションのレッグレストである。
一度も購入したことのない一般ユーザーが
ふくらはぎ部分を優しくサポートしてくれる
カー用品店などで購入するわけだから、チャ
レッグレストはなんとベッド時フラット、
イルドシート自体の重量が重ければ装着作業
シート時に30度か60度の角度でアジャス
にかかる時間的ロスは計り知れない大きい。
トできる。
記者発表の際、開発担当者に「装着にどの位
かかるのか」と質問をしたところ、担当者は
この新型チャイルドシートは子供の成長に
合わせて3段階に使い分けができる。具体的
子供の成長に合わせた3段階の使い方がで
きる最適なチャイルドシートである。
には、新生児から6ヶ月程度の乳児の場合、車
さらに、嬉しいのは新生児の段階で使用す
のシートに対して横向きに使用する。新生児
るフルプロテクトカプセルの親切設計である。
の首の座らない時期はベッド状態が乳児の快
このカプセルは乳幼児の全身を優しく包み込
適ポジションと考えているようだ。首筋や背
み、振動や衝撃を吸収し、さまざまなサポート
骨に負担をかけず、振動や衝撃から全身を保
機能が頭や首筋を保護してくれる。例えば、
護することができる。もちろんフルプロテク
ヘッドサポート。これは頭部にかかる衝撃を
トカプセルを使用し、体重は3400g以上
和らげる4層ウレタン構造を採用。もちろん、
8kg未満、身長は50cm∼75cm以内の
成長に合わせて最適な位置に移動することが
子供に適合する。
できる。ネックサポートは文字通りまだ首が
次の段階が6ヶ月∼1才未満。体重では、8
すわっていない新生児の首筋を優しくしっか
kg∼10kg未満。この頃になると、子供も
りホールドする。フロントサポートは、フロン
首がシッカリすわり、ひとり座りができるよ
トパッド部に設置され、おなかを圧迫せず、腹
うになる。そこで、チャイルドシートは後ろ向
式呼吸を妨げないのでいよう工夫されている。
きシートとして使用する。
最後の段階は1才∼4才、体重は10kgか
ら18kg、身長は100cm以下まで育った
シート生地は吸水、速乾素材の帝人アクア
ロフトを採用し、汗などの水分を吸収・拡散
し、常に快適に保てる。
ら、前向きシートとして使用する。ようやく両
さらに、装備内容が豪華である。これが本当
親と同じ景色を眺めながらドライブができるよ
にチャイルドシートなのかと感心させられる
うになるわけだ。
求められる販売店側の
丁寧な装着アドバイス
「実際の装着にかかる時間は初めての方で約20
分くらいでしょう」と簡単に言うではないか。
仮に20分間の装着時間がかかったとして、
だが、問題点もある。それは製品重量が
正確に取り付けができているかどうかの確認
18.5kgと重いことだ。シートが重いと
はいったい誰がするのか。初めての装着で正
(株)カーメイトはチャイルド
シート国内メーカー初のISO
9001を取得し、国際的にも最
も信頼のおける品質保証システム
を獲得している。
確にできるユーザーはどれだけいると言うの
らどうするのか。この問題はシートの重量だけ
だろうか。もし、不適正な取りつけ方をした場
の問題ではない。現実の販売方法の問題と言え
合、チャイルドシートはその役目を果たさな
る。装着方法自体が安全か否かの問題に直結す
いでのである。
る商品だけに売りっぱなしではなく、装着込み
つまり、万一の事故の際には子供を衝撃か
ら守ることができないのだ。
(株)カーメイト側
はその点に関して「チャイルドシートと同時
で販売するか、装着の指導、チェック込みでの
販売とするべきであろう。
この点に関しては「販売店の問題ですから、
に正しい装着方法を解説したビデオテープを
なるべく取り付け方法は的確なアドバイスがで
必ず手渡す」と言っているが、それだけで本当
きる方法をとりたい」と言う。快適装備が満載
に正しい販売方法と言えるのだろうか。
され、性能面、品質面で最高ランクと自負して
例えば、ある販売店でチャイルドシートを購
も大切なのはチャイルドシートを使うユーザー
入して店の駐車場ですぐに装着した場合、当然
とそれに座る子供である。正しい装着方法を1
ユーザーはビデオを見ていない。つまり、正し
台1台真剣にアドバイスする販売方法を採用し
い取り付けが出来ているのかどうかをチェック
てこそ本当の意味で「セーフティシート」メー
することはできない。そのまま子供をチャイル
カーといえるのではないかと思う。
ドシートに座らせて、万が一の事故に遭遇した
『エールべべ・フラット&シート』
¥85,000
高品質で多機能な新型チャイルドシートは製品重量 18.5kg