京大平面幾何過去問題 1 1.1 60 年 2 円 O1 , O2 に交わる 2 直線 l, l を引く (l, l の交点は円 O1 , O2 の周上にないものとする).円 O1 と直線 l の交点を A, B,円 O1 と直線 l の交点を A , B ,円 O2 と直線 l の交点を C, D,円 O2 と直線 l の交点を C , D とする.また直線 AA は直線 CC および DD とそれぞれ K, L で交わり, 直線 BB は直線 CC および DD とそれぞれ M, N で交わるとする.このとき 4 点 K, L, M, N は 同一円周上にあることを証明せよ. 1.2 70 年 半径 r の円 O の定弦を AB とし,その長さを 2l とする.円 O の周上の動点 P について,積 √ AP · BP が 2r(r − r2 − l2 ) となるのは,P がどの位置にあるときか. 1.3 77 年 (1) 底辺の長さ a が一定で,他の 2 辺の和 m も一定 (m > a) であるような三角形のうち,面積 最大のものは,二等辺三角形であることを示せ. (2) 周囲の長さが一定な四辺形のうち,面積最大のものは正方形であることを示せ. 1.4 83 年 A = 90◦ である直角三角形 ABC がある.頂点 B,C をそれぞれ始点として,辺 BC に垂直な 半直線 l,m を頂点 A のある側にひく.次に辺 BC 上の任意の点 P より辺 AB,AC に垂線をひき, この延長が l,m と交わる点をそれぞれ Q,R とする. (1) 3 点 Q,A,R は一直線上にあることを示せ. (2) 台形 BCRQ の面積が三角形 ABC の面積の 2 倍になるとき,この台形の形を求めよ.ただし, AB = AC とする. 1.5 86 年 同一平面上に 2 つの三角形 ABC, A B C があり,それぞれの外接円の半径は共に 1 であ るとする.この 2 つの外接円の中心を結ぶ線分の中点を M,線分 AA ,BB ,CC の中点をそれ ぞれ P,Q,R とする. (1) MP < = 1 となることを示せ. = 1,MR < = 1,MQ < (2) もし PQR が鋭角三角形でその外接円の半径が 1 となるならば,点 M はこの外接円の 中心と一致することを示せ.さらにこのとき ABC, A B C , PQR はすべて合同とな ることを示せ. 1.6 07 年 ABC において, A の二等分線とこの三角形の外接円との交点で A と異なる点を A とす る.同様に A, B の二等分線とこの外接円との交点をそれぞれ B , C とする.このとき 3 直練 AA , BB , CC は 1 点 H で交わり,この点 H は三角形 A B C の垂心と一致することを証明せよ. 1.7 09 年 平面上の鋭角三角形 ABC の内部(辺や頂点は含まない)に点 P をとり,A を B,C,P を通 る円の中心,B を C,A,P を通る円の中心,C を A,B,P を通る円の中心とする.このとき A,B,C,A , B , C が同一円周上にあるための必要十分条件は P が ABC の内心に一致するこ とであることを示せ. 解答 2 2.1 60 年 l と l が一方の円の内部で交わる場合. L D D K C B A N C B M A AKC と B LD において, KAC = π − A AB = A B B = LB D KCA = C CD = C D D = LD B したがって AKC = B LD この結果 MKL + MNL = π となり,4 点 K, L, M, N は同一円周上にあることが示された. l と l が一方の円の内部で交わらない場合も図のように角の相等が示され,同様の結論になる. 2.2 70 年 解1 点 P から中心を通り直径 PQ を引く.また点 P から直線 AB への垂線の足を H とする.円の中心 √ O から弦 AB に下ろした垂線を OM,直線 OM と円の交点を D とする.このとき OM = r2 − l2 なので MD = r − r 2 − l2 である.つまり 2r(r − r2 − l2 ) = PQ · MD ··· 1 P P Q A M H B M Q A B H D D 点 P から直線 AB への垂線の足 H が線分 AB 上にあるとき (図左).円周角の相等から PBA = PQA したがって,2 つの直角三角形 PQA と PBH は相似である.対応する辺の比例より PA : PQ = PH : PB これから PA · PB = PQ · PH · · · 2 √ 1 , 2 から,条件 AP · BP = 2r(r − r2 − l2 ) は条件 PQ · MD = PQ · PH,つまり PH = MD と同値である. 点 P から直線 AB への垂線の足 H が線分 AB 上にないとき (図右).円周角の相等から QPA = QBA また π − PBH 2 π QPA = − PAQ 2 QBA = あわせて PBH = PAQ したがって,2 つの直角三角形 PQA と PBH は相似である.対応する辺の比例より PA : PQ = PH : PB これから PA · PB = PQ · PH · · · 3 √ 1 , 3 から条件 AP · BP = 2r(r − r2 − l2 ) は条件 PQ · MD = PQ · PH,つまり PH = MD と 同値である. これを満たす点 P は,l < r なら,左図の点 P0 , P1 , P2 .l = r なら,右図の点 P0 , P1 . P1 P1 P2 r− √ A r 2 − l2 A B B P0 解2 l は弦の長さなので l > 0.ゆえにまた 2r(r − P0 √ r2 − l2 ) > 0 である.よって点 P は点 A, B で はあり得ない. APB = θ とおく. √ また,円の中心 O から弦 AB に下ろした垂線を OM,直線 OM と円の交点を D とする.OM = r2 − l2 なので MD = r − である. r 2 − l2 P O M A B H D ABP = 1 AP · BP sin θ 2 である.一方, AOB = 2θ であるから, MOB = θ,つまり sin θ = BM l = OB r である.ゆえに AP · BP = 2r(r − r2 − l2 ) 1 ⇐⇒ AP · BP sin θ = r(r − r2 − l2 ) sin θ 2 √ ここで r sin θ = l なので,条件 AP · BP = 2r(r − r2 − l2 ) は ABP = l(r − r 2 − l2 ) = ABD と同値である.点 P から直線 AB への垂線の足を H とすると. ABP と ABD は底辺 AB を共 有しているので,結局この条件は PH = DM と同値である. これを満たす点 P は,l < r なら,左図の点 P0 , P1 , P2 .l = r なら,右図の点 P0 , P1 .(図略) 2.3 77 年 解1 (1) 図のように PA = PB となる点 P をとり,点 P を通って AB に平行な直線 l を引く.AP = m である. PB = 2 B l P Q A B AQ + QB = m となる点 Q で点 P とことなる点をとる. 点 B の l に関する対称点を B とする.このとき AQ + QB > AP + PB = m = AQ + QB ∴ QB > QB これは点 Q が,l に関して直線 AB と同じ側にあることを意味している.よって点 Q と直線 AB の距離は,点 P と直線 AB の距離より小さい. ∴ ABP > ABQ 底辺の長さ a が一定で,他の 2 辺の和 m も一定(m > a)であるような三角形のうち,面 積最大のものは,二等辺三角形であることが示された. (2) 四角形 ABCD で,3 点 A, B, C を固定し,CD + DA の和を変えないように点 D を動かす. すると (1) から CD = DA のとき ACD の面積が最大である. これが他の 3 組の隣りあう辺どうしについてもいえる.よって面積最大の四角形 ABCD で は 4 辺の長さはすべて等しい.四角形 ABCD は菱形であり,隣りあう 2 辺のなす角の一つ を θ とすると,四角形 ABCD の面積は AB2 sin θ である. これが最大になるのは角 θ = 90◦ のときである.つまり周囲の長さが一定な四辺形のうち, 面積最大のものは正方形であることが示された. 解2 a 図のように底辺の両端を A − , 0 ,B 2 a , 0 とおく.また.他の頂点を P(x, y) とする. 2 P A B このとき PA + PB = m から x+ 2 a 2 + y2 + x− 2 a 2 + y2 = m である.これから, x+ a 2 2 x+ a 2 x2 + y 2 + a2 4 + y2 + 2 2 + y2 x− a 2 2 + y2 + x − a 2 を得る.これを整理して 2 − a2 x2 = m2 a2 − x2 + y 2 + 2 4 2 + y 2 = m2 再び両辺平方して a2 4 x2 + y 2 + 2 − a2 x2 = これから m4 a2 − x2 + y 2 + 4 4 4x2 4y 2 + =1 m2 m2 − a2 m2 + x2 + y 2 + a2 4 2 ··· 1 を得る. PAB = である.したがって a|y| 2 PAB の面積が最大になるのは y の絶対値が最大のときである. 1 から,y 2 が最大になるのは x = 0 のときである.このとき PA = PB つまり 2.4 PAB は二等辺三角形である. 83 年 解1 (1) ABC = RPC = PQB ACB = QPB = PBR より 2 つの直角三角形 C m P R T S BPQ と CRP は相似である. B A l Q ここで点 B, C から直線 l と m に下ろした垂線と辺 AB, AC と の交点を S, T とする.このとき BS と CT は,2 つの相似な直角三角形の対応する頂点から 対辺への垂線なので, QS : PT = SP : TR つまり QS : SA = AT : TR これは 2 つの直角三角形 QSA と ATR が相似であることを意味している.よって QAS + BAC + RAT = π となり 3 点 Q,A,R が一直線上にあることが示された. (2) 図のように台形 BCRQ が長方形のとき,あきらかに台形 BCRQ の面積が三角形 ABC の面 積の 2 倍になる. 2 点 Q, R が図のように点 Q , R となったとする.AB = AC なので, AQQ ≡ ARR よって台形 BCR Q の面積は台形 BCRQ と一致することはあり得ない.つまり台形 BCRQ が長方形以外の台形の場合,三角形 ABC の面積の 2 倍になることはない. したがって台形 BCRQ の面積が三角形 ABC の面積の 2 倍になるのは,台形 BCRQ が長 C m R R P B A l Q Q 方形のときにかぎることが示された. 解2 (1) 直角三角形 ABC を,点 B を x 軸上にとり点 C を y 軸上にとって xy 平面におく. B(b, 0), C(0, c), 0 < b, c とする. y m C P R B x A l Q 直線 BC の方程式は x y + =1 b c ··· 1 である.また 2 つの半直線 l,m はそれぞれ (b, 0),(0, c) を通り 1 と直交しているので x−b y + =0 c b x y−c − + =0 c b − である. 次に点 P を P(s, t) とする.(s, t) は方程式 1 を満たす. s t + =1 b c ··· 1 点 P を通り辺 AB,AC に垂直な直線はそれぞれ x 軸,y 軸に平行である.したがって点 Q と点 P は x 座標が等しい.これを Q(s, u) とおく.点 Q は l 上にあるので − を満たす.これから u = s−b u + =0 c b b(s − b) b(s − b) .つまり Q s, .同様に R(v, t) とおけ c c v t−c =0 − + c b c(t − c) .つまり R b 1 から cs + bt = bc であるから を満たす.これから v = −→ OQ = = −→ OR = = s, c(t − c) , t . b b(s − b) c b 1 (cs, b(s − b)) = (c − t, s − b) c c c(t − c) , t b c 1 (c(t − c), bt) = − (c − t, s − b) b b したがって −→ −→ OQ // OR となり,3 点 Q,A,R が一直線上にあることが示された. (2) (1) で求めた点 Q の y 座標の絶対値が, ABQ の底辺 AB に対する高さとなり,点 R の x 座標の絶対値が, ACR の底辺 AC に対する高さとなる. ABQ b2 1 b(b − s) b· = (b − s) 2 c 2c 1 c(c − t) c2 c· = (c − t) 2 c 2b = ACR = 台形 BCRQ の面積が三角形 ABC の面積の 2 倍になるとき, ABQ + である.これから ACR = ABC b2 c2 1 (b − s) + (c − t) = bc 2c 2b 2 つまり b3 s + c3 t = b4 + c4 − b2 c2 これと cs + bt = bc を連立して t を消去すると b3 (b2 − c2 ) = (b4 − c4 )s AB = AC より,b = c であるから b3 = (b2 + c2 )s.これから s=b· b2 b2 c2 , t=c· 2 2 +c b + c2 このとき −→ OQ = = b2 − b2 c2 , · b2 + c2 c b2 + c2 b2 b2 −→ (b, −c) = 2 CB 2 2 b +c b + c2 b· つまり直線 QR は直線 BC と平行になる. これは,台形 BCRQ が長方形であることを意味している. 2.5 86 年 解1 (1) ABC, A B C の外接円の中心をそれぞれ O, O とする. A A P M B O O R C Q B C 次に線分 OA の中点を N とする.中線連結定理から MN = 1 1 OA , NP = OA 2 2 ∴ MN + NP = 1 (OA + OA = 1 2 A P A N O O M ここで MP < = MN + NP ··· 1 であるから MP < =1 が示された.Q, R についても同様に示される. (2) PQR の外接円の中心を M とする. PQR が鋭角三角形なので,その中心は PQR の 内部にある.(1) から MP < = 1, MQ < = 1, MR < =1 である. したがって点 M は点 P を中心とする半径 1 の円の周または内部にある.同様に,点 M は点 Q と点 R を中心とする 2 つの半径 1 の円の,それぞれの周または内部にある. ところが PQR の外接円の半径が 1 なので,3 点 P, Q, R を中心に半径 1 の 3 つの円を描 いたとき,それぞれの円の周と内部の共通部分は外接円の中心 M のみである.したがって M = M である. 次に,このとき MP = 1, MQ = 1, MR = 1 である.(1) で MP = 1 となるのは 1 で等号が成立するときなので, OA // MP // O A である.同様に OB // MQ // O B が成り立つので OAB ≡ MPQ ≡ OA B これから AB = PQ = A B 他の 2 辺も同様に相等しい. ∴ ABC ≡ PQR ≡ ABC 解2 (1) 2 つの円の中心を (−p, 0), (p, 0) として.A(−p + cos α, sin α),A (p + cos α , sin α ) とし cos α + cos α sin α + sin α て一般性を失わない.このとき M(0, 0) で,さらに P , で 2 2 ある. 2 MP2 = = = cos α + cos α sin α + sin α + 2 2 2 + 2(cos α cos α + sin α sin α ) 4 2 + 2 cos(α − α ) < =1 4 2 (2) (MP = 1, MQ = 1, MR = 1) を導くところまでは同様の考察が必要である.) このときは 2 + 2 cos(α − α ) =1 4 となるときなので,α = α である. ∴ A(−p + cos α, sin α), A (p + cos α, sin α), P(cos α, sin α) となる.他の 2 つの対応する頂点についても同様である.ゆえに p の平行移動で 2.6 ABC と PQR に重なる,つまり 3 つの三角形は合同である. A B C は長さ 04 年 A = 2α, B = 2β , C = 2γ とする.直線 AA と直線 B C の交点を K とする.円周角の定 KB A において 理を用いることにより α+β+γ = KA B = AA B = ABB = β KB A = C B B + BB A = C CB + BAA = γ + α π π なので A KB = .つまり 2 2 AA ⊥B C 外接円の中心を O とし, ··· 1 −→ −−→ −−→ −−→ OH = OA + OB + OC A C B B C −−→ −−→ とおく. OB = OC なので = A −→ −−→ OH − OA · −−→ −−→ OB + OC · = −−→ OB −−→ −−→ AH·BC = 2 −−→ − OC −−→ −−→ OB − OC −−→ −−→ OB − OC 2 =0 つまり A H⊥B C 1 とあわせて点 H は直線 AA 上にある. 1 と同様に BB ⊥C A , CC ⊥A B , もなり立つ.よって同様に点 H は直線 BB ,直線 CC 上にもあり 3 直線は 1 点 H で交わることが 示された.この点を垂心というのは垂心の定義である. 2.7 09 年 点 P と A , B , C が題意のように定まっている前提のもとで次の二条件の同値性を示す. 条件甲:A,B,C,A , B , C が同一円周上にある. 条件乙:P が ABC の内心 I と一致する. (1) 甲ならば乙を示す. C A I A B A B = A C より A は弧 BC の中点.円周角の相等より A AB = A AC.つまり直線 AA は角 A の二等分線である.従って内心 I は AA 上にある.他についても同様なので,三直線 AA , BB , CC は内心 I で交わる. CIA = IAC + ICA, ICA = ICB + BCA である. ここで角の二等分より ICA = ICB.円周角の相等によって BCA = BAA = IAC.こ れから CIA = ICA が結論される. この結果 A I = A C となり,内心 I は A を中心とし B, C を通る円周上にある.点 P も同じ 円周上にある.B , C についても同様に成り立つ. 三点 A , B , C を中心とする三円上に I と P の両点がある.これら三円の中心が一直線上に来 ることはない.よって三円が共有する点は一点しかない.つまり P = I である. (2) 乙ならば甲を示す. A の二等分線と ABC の外接円の交点を A とする.点 P は内心なので,(1) と同様にして, PA = BA = CA である. つまり A は三点 P, B, C から等距離にある.点 A も等距離にある.同一直線上にない三点 から等距離にある点は一つなので A = A である.つまり A は 同様である. C A P A B ABC の外接円上にある.他も
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