「社外」への挑戦について - エイジェック

vol.46
AGEKKE RISK MANAGEMENT
1
10月号
発行:株式会社エイジェック
グループリスクマネジメント本部
監修:株式会社フィールドプランニング
発行:毎月 10 日
コンプライアンス通信 -ARM-
2012 年
高年齢者雇用安定法
高年齢者雇用安定法の一部を改正する法律が平成
24年8月29日に成立しました。これにより企業
は平成25年4月から、次のいずれかが必要となり
ます。
①定年を引き上げる場合は65歳以上とする
②65歳まで働くことのできる継続雇用制度
︵再雇用︶の仕組みを用意すること
今までも65歳までの継続雇用は義務付けられてい
ましたが、その対象者は労使協定で基準を定めるこ
とができました。つまり、希望者全員を雇用し続け
る制度ではなかったのです。しかし、平成25年4
月からは希望者全員の再雇用が義務付けられます。
ただし経過措置が設けられていますので、次の方々
には以前同様、労使協定の基準が有効です。
・平成25年4月1日∼平成28年3月31日
61歳以上の者
・平成28年4月1日∼平成31年3月31日
62歳以上の者
・平成31年4月1日∼平成34年3月31日
63歳以上の者
・平成34年4月1日∼平成37年3月31日
64歳以上の者
この期間と年齢は、昭和28年4月2日生まれ以降
の男性から ︵=平成25年4月2日以降に60歳
を迎える︶ 老齢厚生年金の支給開始年齢が61歳
へ引き上げられる措置が始まることに関係していま
す。
60歳から老齢厚生年金が支給されない社員につい
ては企業側に年金が支給されるまでの間、希望者全
員の再雇用を義務付け、収入に空白期間が生じるこ
とのないようにしているわけです。
これにより企業側には様々な課題が発生します。
まず懸念されるのがコスト増です。再雇用に伴
い、賃金の見直しを図るというのは当然ですが、
労働生産性をも視野に入れると、組織変更が必要
になってくるでしょう。
その場合に、人件費の増加を防ぐため、能力の高
い高齢者の賃金までが一律に抑制されかねない不
安もあります。
また、高齢者の雇用が増える結果、若年者の雇用
が阻害されるといった声も聞かれます。
今回の改正では、継続雇用の会社はグループ企業
まで範囲が拡大されることになりました。した
がって、別会社︵別事業部︶を設立し、雇用を守
るとともに、ベテラン社員の能力を存分に発揮し
ていただく環境をつくることも一案でしょう。
︵社会保険労務士法人トップアンドコア 西崎透
﹁社外﹂への挑戦
高年齢者雇用安定法に対応した定年の引き上げや
継続雇用制度の導入と同時に、役職定年制の整備
︵仕組みの厳格化や対応年齢の引き下げ等︶見直
しをおこなう企業様が増えています。
これは、組織構造の変化︵若年層の減少や、海外
比率の売上シフトなど︶への対策としても必要な
施策とされています。
﹁雇用の創出﹂と﹁次なる管理職ポストの移行﹂
への同時対応は待ったなしの状況です。
その中で、シニア世代の活躍の場をどのように考
えるかが重要な経営課題の一つとなっています。
シニア世代の活用としては次の策が一般的です。
①グループ会社や取引先などの管理職として
②自社内で管理職待遇での専門職として
③自社内で専門組織のメンバーとして
)
しかし、社内︵グループ内︶での活躍の場の確保に
も限界があるとの声も聞かれます。
株( キ)ャリアパートナーズでは、役職定年者向け
に、早期から社外での活躍を見据えた活動をサポー
トする﹁役職定年者支援プログラム﹂を実施してい
ます。シニア世代が広く社外を見据え、市場価値を
付ける能力開発へのチャレンジをサポートいたしま
す。
︵株式会社キャリアパートナーズ 渡邉諭︶
﹁社内﹂での配置転換
役職に関わらず、シニア社員の社内︵グループ内︶
での職種転換・再配置の実施がもう一つの人事・経
営課題となっています。
厚労省は、高年齢者雇用安定法改正の目的を﹁急速
な高齢化の進行に対応し、高年齢者が少なくとも年
金受給開始年齢までは意欲と能力に応じて働き続け
られる環境の整備﹂としています。
この法改正に対し、﹁コスト増以上に、能力の低い
從業員も雇用しなくてはならず労働生産性の低下を
懸念﹂という声が出ているようです。まさに﹁意欲
と能力﹂の開発を通じて、労働生産性を向上させる
必要に迫られてきているのではと感じております。
今後、エンプロイアビリティ︵雇用される能力︶の
開発は、企業のみならず、個人にも喫緊の課題とな
ります。株式会社 能力開発は、雇用能力教育に特
化した法人として企業内での配置転換にともなう教
育訓練や階層別研修、また個人向けの実務教育な
ど、仕事と雇用に直結することを重視した能力開発
に取り組みます。
︵株式会社 能力開発 秋田文子︶
AGEKKE RISK MANAGEMENT