川村知子 ●救急看護認定看護師/救命救急センター ●急性・重症患者看護専門看護師/救命救急センター 地方独立行政法人 岐阜県立多治見病院 企画制作 中日新聞広告局 編集 プロジェクトリンクト事務局 HERE! www.project-linked.jp/ 命を救う。 命の質を高める。 私たちにできる救急への挑戦。 有我夏美 ように、有我は救急患者のケア 夜間も、センター内を飛び回る そうしたリソースナース(※) としての動きとともに、日中 も を実施したのである。 全 国レベルの標 準 化 され た研 修 アップだ。 看護部の協力を得て、 スに 基 づいた 救 急 看 護のレベル 病院に戻り有我が力を入れた のは、 経 験 則ではな くエビデン 搬送しかありません。 当院に運 タ ーヘリ が飛べず、 救 急 車 での だいいんです。 でも夜 間はドク クターヘリ が飛びます から、 ま いを何度もしました。 日中はド 助 かった方 もいて …。 悔 しい思 方、 もっと早 く 治 療 ができ れば 当 院に着 く 前に亡 く なられる 方 か ら 運 ば れ る 方 のな かには、 ら 救 急 患 者 さ ん が 来 ま す。 遠 院から飛び出し、 患 者 さんのと ならば発生した段階ですぐに当 んな 時 間 的 余 裕はあ り ません。 時間以上かけて当院に運ぶ、そ ショックの患 者 さ ん は、 陸 路 1 有 我は言 う。「 例 えば、 出 血 性 ると 「地域に出ていきたい」 と 医療資源が乏しい地域でどう 救急医療を守るか。 それを考え そう思うこともあります」。 がなされていたら救えたのにと、 ● 本 文で紹 介したトップ同 士の会 三次救命救急センターに勤める救急看護認定看護師と急性・重症患者看護専門看護師。 二人の看護師の行動には、 医療資源の不足する東濃医療圏にあって、 救える命は、 救いたい。 に全力を注ぐ。 ばれる前に、何らかの応急処置 話。それは、多治見市・土岐市・瑞浪 市・恵 那 市・中 津 川 市・可 児 市にあ る総合的な病院の 「病院長・事務長 連携会議」を指す。第1回は平成 になると思います」。 できる信 頼 関 係を育むことが可 能 で、互いに何でも相談し合うことが 「 自 らの 責 任 を 果 たし 、そ のう え ことが前提と、原田病院長は言う。 んと 確 保し 、きちんと 医 療 を 行 う 見病院自体は医師や看護師をきち ●その会話を進めるためにも、多治 必要と考えます」(原田病院長) 。 療の実態を、浮き彫りにすることが り、全 体 としての東 濃 医 療 圏の医 ました。ここでは各病院が自らを語 はスタートラインに立つことができ 可欠です。その連携に向けて、 まず れにおいても、病院同士の連携は不 超高齢社会における医療全体の流 ●「 東濃地域の事情だけではなく、 れている。 年6月に開催され、第2回も予定さ 26 有 我 夏 美。 救 急 看 護 認 定 看 護師。「認定看護師」 とは、日 本 看 護 協 会の認 定 資 格で あ り、 特定の看護分野において、熟練 した看護技術と知識を有すると 認 め ら れ た 者 で あ る。 有 我 は、 年目に認定看護 入職5年目に救命救急センター 配属となり、 「 当 院には東 濃 医 療 圏 全 域 か 師の資格を取得した。 17 C O LU M N 救急医療を死守するという覚悟と決意があふれている。 岐阜県立多治見病院 (以下、多治見病院) の三次救命救急センターは、 年間1万3957名の救急患者を診る。 そのなかで4,368名は救急搬送である (どちらも平成24年度実績) 。 センターに勤める40名の看護師のなかで、今回は二人の看護師を紹介したい。 地域への思いは熱く、救急を通して、全身で地域貢献に取り組む姿がある。 年に資 川村知子は、入職9年目に急 性・重症患者看護専門看護師を その家 族へのケア も 忘 れてはな る。いずれも患者だけではなく、 らないという。 を得 ない人への終 末 期 看 護 もあ いたいのです」。 めざし、3年後の平成 格を取得した。その動機は「もっ ころに走りたい。 救える命は救 ※ リソースナース/患者への直 接 的 な ケアだけではな く、他 職 職 員 全 員 が持 ち、ICUのリハ と 深 く 看 護 実 践 を 学 び たい 」。 を自らに強いたのだ。 ワーカーの早期介入などを果た 種への働きかけ、看護部全体の質 「 有 我 看 護 師 が 必 死 になって 救った命。 それを単に引き継ぎ せば、 患 者 さ んにとって 質の高 そ れ ら は すべて、「 患 者、 家 族のその後の生 活へ繋 ぐ 」 ため 特 定 の 専 門 看 護 分 野 に おい て、 実 践・相 談・調 整・倫 理 調 集 中 管 理 するのではな く、 救っ い早 期 社 会 復 帰に繋がると思い 入職以来、救命救急センターで 整・教 育・研 究 の6つの役 割 を た命の質 を高 めることが、IC ます」。 の向上を図る役割を持つ看護師 果たし、保健医療福祉や看護学 Uの使 命 だと思いま す 」。 治 療 もある。多治見病院病院長の原 にある。「救った命には、その後 の発展に貢献する。 それが 「専 時の苦 痛 を ど う 緩 和 させる か。 看護倫理の研究、病棟看護師 の目標、そしてスタッフ教育と、 田明生医師は言う。 「一般の方に 主にICU勤 務 が中 心の彼 女に 門 看 護 師 」 の 役 割 で あ る。 資 センタ ー や 院 内の人 的 資 源 を、 リソースナースとして看 護 部 全 は、自 分の症 状 が軽 症 か中 等 症 の生活があります。 この目線を 格取得には看護系大学院修士課 患者の必要に応じて、迅速にど 体 を 見つめる とともに、ICU か な ど 解 り ま せ ん。で す か ら一 とって、 そこでの看 護の高 度 化 程を修了し、看護系大学での専 う調整し活用するか。 そして残 での日常勤務も果たす川村。 視 線は常に、 患 者をどのように地 仕 方 ないと思います。三 次の方 次の患者さんが頼って来るのは、 ビリテーション開始、ソーシャル 門看護師教育課程基準を満たさ 念にも、ICUで死 を迎 えざる 域へ帰すかにある。 な数 字はそれほど多いわけでは 独歩で訪れる一次(軽症)患者、 使 命 で あ る。だ が、実 際 に は、 篤 な患 者への治 療 を担 うことが 患 者のな かで も、最 も 重 症・重 タ ー は、本 来 で あ る な ら、救 急 東濃医療圏全域をカバーする 多治見病院の三次救命救急セン ことである。 絶対数が足らなけ 従事者の絶対数が不足している その 「悩ましい」 とは、東濃 医療圏全体に、医療機関や医療 悩ましいところです」と言う。 前に処置ができるかできないか、 さんの多 さですね。当 院に来る あ り ません。問 題は二次の患 者 も、発 症 率 か らいえ ば、実 質 的 東濃医療圏 救急医療の実態。 二次( 中 等 症 )患 者の救 急 搬 送 なければならない。 命の質を、 高めたい。 25 れば、 個々の医 療 機 関において における救急医療の問題を解決 を図りつつ、一方で、病院のトッ でしょう。 そうした風 土の熟 成 れ ばいいと 思いま す 」。 有 我 看 仕方など、公開講座などができ か。 これを出し合ってはじめて、 するには、各地域の核となる病 えば、医師数、看護師数、得意・ どう補完し合うかを考えること の負荷は大きい。 救急医療では 不得意分野…。 当院においても ができ ます。 そのトップ同 士の 護 師も川 村 看 護 師も、 地 域への が自院にいない場合、多治見病 然り。 救急はもちろん、地域で 会話がスタートしました。 まだ プ同士が胸襟を開いて会話をす 院への搬 送 を選 択せざるを得 な 頻 回に発 生 する疾 患のすべてに 時間は必要ですが、地域のため 院 間の︿ 連 携 ﹀しかあ り ません」 い状況が生まれるのだ。 受ける 対 して、一定 水 準の医 療 を 提 供 に、みんなで前 進を図 りたいと そのマイ ナス点 が大 き く クロー 多治見病院も、医療資源には限 す るべく 努 めていま す が、ハー 考えます」。 思いは熱い。 り がある。 現 在は、100%以 ド的にまだまだ問 題はあ り ま る。 自 院 の 強 み は 何 か、 反 対 上のフル回 転で 対 応 しているの す。 それでもどの病院も、今あ 「 よその病 院 で 救 急 にいる 看 護 師 と情 報 交 換 をしていま す。 と 言 う。「 い ず れ の 病 院 に も、 が現実だ。 る医療資源を活用し、懸命に取 み ん な 頑 張っているのがよく 解 ズアップされる。 救 急 搬 送 が重 限 ら れ た 医 療 資 源のな かで、 それぞれの医療機関が、必死に り 組 んでいるこ とは 事 実 で す。 る。そうした人たちとネットワー に不 都 合 が生じているのはどこ 救 急 医 療 を 守っている。 そこに その懸 命 さ を 病 院 間 で 繋 げる。 ク を 作 り たいで す ね 」「 私 は一 病院固有の事情があります。 例 何 らかの解 決 方 法はないのだろ 単独ではなく総力で、医療圏の 般の方々と接点を作りたい。 疾 TEL 052-221-0694 FAX 052-212-0434 プロジェクトリンクト事務局 TEL 052-884-7831 FAX 052-884-7833 http://www.project-linked.jp/ ● 医 療 過 疎 地の救 急 医 療をどう守る か。多治見病院は大きな課題を突きつ けられている。東 濃 医 療 圏において、他 急を行い、それでも現実問題、 やれない の二次救急病院がギリギリの状態で救 事 情も生まれる。それが同 院に押し寄 せているのだ。 ●そうした状 況で何ができるか。伊 藤 淳 樹 救 命 救 急センター長は、東 濃 地 区 全体の救急隊員へのアプローチを続けて いる。それは救 急 隊 員を対 象に月1回 定 期 開 催 する「 検 証 会 」。同 院の専 門 診療科の医師が、隊員に対して具体的 名は参加する な 症 例に基づきレクチャーするものだ という。 が、毎回東濃全域から 濃 地 区 救 急 医 療の総 合 力 を 高めるた も、顔と顔が見える関係をより深め、東 ローチをも 果たす 多 治 見 病 院 。 いずれ に取り 組 む一方で 、こうした別のアプ ● 原田病 院 長が 「 連 携 会 議 」に積 極 的 60 なったとき、 また、 専 門の医 師 うか。 救急医療を考えることが必要だ B AC K S TAG E めの取り組みといえよう。 vol.15 タイアップ 病 予 防や病 院への適 切 な受 診の お問い合わせ と思います」。 岐阜県立多治見病院 そのためには、 病 院 間の相 互 理解が大切であり、そこに達す 〒507-8522 岐阜県多治見市前畑町5-161 TEL 0572-22-5311 (代表) http://www.tajimi-hospital.jp/ るにはステップ があ る と原 田 病 編集協力 地方独立行政法人 相互理解に基づく 総力で守る。 原田病 院 長は、「 東 濃 医 療 圏 中日新聞広告局 院 長は言 う。「 まずは院 内の職 員一同の意 識 統一で す ね。 どの 検索 プロジェクトリンクト 部 署においても、 自 院のことだ けではなく、地域全体に対する 意 識 を 持つこと。一部の職 員 だ けでは、本質的な取り組みには なりませんからね。 地域全体に 目を向ければ、自らがどのよう に機 能 するべき か、 見 えてくる 企画制作 中日新聞広告局広告開発部
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