資料 2-1 - 財務省

資料2-1
平成 20 年度関税改正検討項目について
Ⅰ
税関における水際取締りの充実・強化及び税関手続の簡素化
1. 犯則調査に係る事項の民間団体等への照会規定の整備等 ······· 1
2. 知的財産侵害物品に係る水際取締りの強化及び手続の簡素化 ··· 2
Ⅱ
個別品目の関税率の改正 ······································ 4
Ⅲ
国別・品目別特恵適用除外措置
及び高所得国に係る特恵適用除外措置 ·························· 5
平 成 19 年 10 月 29 日
関税・外国為替等審議会
関
税
分
科
会
企画部会懇談会合同会議
財 務 省 関
税 局
Ⅰ
税関における水際取締りの充実・強化及び税関手続
の簡素化
1.犯則調査に係る事項の民間団体等への照会規定の整備等
(1)
現状
組織犯罪の台頭など現下の犯則調査の現状は益々厳しさを増してきており、
これに対応するために税関の犯則調査機能を拡充する方向で検討していく必
要がある。当面は、目下必要とされる税関の犯則調査機能の向上について、
現在の犯則調査の類型の枠内で、手続の適正性を確保しつつ、規定の整備・
明確化を図る。
(2)
検討内容
上記観点から、具体的には犯則調査に携わる実務者から特に要望の強い以
下の項目につき、規定の整備・明確化を図るための改正を行う。
① 犯則調査に係る事項の民間団体等への照会規定の整備
税関の犯則調査においては、犯則嫌疑者を特定する等のために官公署又
は公私の団体(以下「民間団体等」という。)に対して様々な照会を行う
必要があるが、個人情報保護法の施行等を受けて、民間団体等における個
人・企業情報の取扱いがより慎重・厳格になってきている。犯則調査規
定が導入されている金融商品取引法及び独占禁止法においては、民間団体
等への照会規定を設けているところであり、関税法においても、民間団体
等が少しでも回答をしやすい環境を整備するため同様の規定を整備する。
② 捜索差押及び鑑定嘱託に係る必要な処分の規定の明確化及び整備
近年の密輸事犯の巧妙化に伴い、隠匿物を取り出すために貨物を破壊し
たり、鑑定のために一部を消費する必要がある事案が増加している。これ
ら事案に対する迅速な犯則調査を実施するため、鑑定処分に係る規定等を
関税法に整備する。
(3)
その他(新たな行政ニーズへの対応)
近年、国際的に、資金洗浄及びテロ資金対策の一つとして、キャッシュ・
クーリエ対策の強化の要請が高まっている。このため、関税法における申告
義務を明確にし、当該申告義務違反を無許可輸出入罪の対象として積極的に
取り締まっていく必要がある。
1
2.知的財産侵害物品に係る水際取締りの強化及び手続の簡素化
(1)
知的財産推進計画2007
知的財産戦略本部は、平成15年7月に、知的財産の創造、保護及び活用に
関し集中的かつ計画的に改革を進める事項等を取りまとめた「知的財産の創
造、保護及び活用に関する推進計画」(知的財産推進計画)を決定し、その
後も毎年度新たな計画を5月又は6月に決定している。本年5月31日に決定
した「知的財産推進計画2007」において、次のような水際取締り関連事
項が盛り込まれており、これらを踏まえた制度改正を検討する必要がある。
①
模倣品・海賊版の輸出・通過を取り締まる制度を整備する
模倣品・海賊版を侵害発生国・地域から第三国で積み替えて輸出を行うな
どの新たな手口が発生している現状やG8サミットなどにおいて世界的な取
組の重要性が指摘されていること等にかんがみ、模倣品・海賊版の拡散防止
をより強力に推進するため、一時的に知的財産侵害物品を保税地域に搬入し
た場合についても、税関が取締りを実施できるよう、2007年度中に検討
し、必要に応じ法改正等制度を整備する。
②
差止申立てに係る手続を簡素化する
2007年度は、権利者の利便性向上という観点から、いずれかの税関が
差止申立書を受理した場合には全ての税関が受理したこととして取り扱うこ
とができるよう、差止申立書の提出部数等について見直しを行い、必要に応
じ法改正等制度を整備する。
(2)
知的財産侵害物品の水際取締りに係る国際的な取組
知的財産侵害物品の水際取締りの強化のためには、国際的な協力が重要で
あり、我が国としても次のような取組を積極的に推進しているところ。
①
日中韓3か国関税局長・長官会議 知的財産作業部会
本年 10 月 15 日から 17 日までの3日間、日中韓3か国の税関当局の知的
財産保護に関する実務責任者による作業部会が開催された。本作業部会では、
より効果的な取締りのため、情報交換の促進、啓発活動の強化、権利者との
協力等を含むアクション・プランがとりまとめられ、今後、3か国の税関当
局が協力して具体的な取組みを実施する予定。(資料 2-2 P4 参照)
2
②
ACTA
本年 10 月 23 日、知的財産権の執行を強化するための新しい国際的な法的
枠組みである「模倣品・海賊版拡散防止条約(Anti-Counterfeiting Trade
Agreement, ACTA)(仮称)」の実現に向け、知的財産権の保護に関心の高い
国々と緊密に連携を図り、本条約において実現していくべき内容について集
中的な協議を開始することが公表されたところ。本条約構想は、水際取締り
を含む知的財産権の執行に係る強力な法的規律と、その執行の強化及び国際
協力を柱とする、高いレベルでの国際的な法的枠組みの構築を目指すもの。
(資料 2-2 P6 参照)
③
WCO・SECURE
本年6月のWCO総会において、知的財産侵害物品の水際取締りに関し、
①法令及び取締体制の整備、②リスク分析及び情報共有、③キャパシティ・
ビルディング及び国際協力について取り組むべき暫定的基準を定めた「知的
財産侵害物品の取締りのための暫定的基準(provisional Standard Employed by
Customs for Uniform Rights Enforcement, SECURE)」が採択された。現在、基
準の正式な採択に向け、我が国を含め各国税関当局による改訂作業が進めら
れているところ。また、同基準に基づき実施されるキャパシティ・ビルディ
ングについても、我が国から積極的な貢献をする予定。(資料 2-2 P8 参照)
3
Ⅱ 個別品目の関税率の改正
高炭素フェロクロムの関税無税化
(1) 現状
高炭素フェロクロム(実行税率 5.3%(協定))は、ステンレス鋼等の特殊鋼
を生産する際に耐腐食性、耐摩耗性を付与する添加剤として使用される鉄と
クロムの合金であり、炭素の含有量が4%を超えるものである。
高炭素フェロクロムについては、国 内 生 産 者 の 国 際 競 争 力 低 下 の 結 果 、
事業からの撤退が相次ぎ、現在では、特殊鋼を生産する一部の固定需
要者向けの特注品が極少量、国内生産されている以外は、その需要の
全 て を 輸 入 に 依 存 し て い る 状 況 で あ る 。また、今後、国内生産が再開され
る予定もない。
(2) 検討内容
高炭素フェロクロムの関税を無税(基本)とする。
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Ⅲ
国別・品目別特恵適用除外措置
及び高所得国に係る特恵適用除外措置
1.根拠規定
関税暫定措置法第8条の2
関税暫定措置法施行令第 25 条及び別表第1
2.特恵適用除外の概要
我が国の特恵関税制度においては幅広い国・品目を対象としているが、特
恵対象品目であっても、産品の国際競争力等を勘案して、国・品目を指定し
て特恵適用除外を行うことが可能となっている。
国別・品目別特恵適用除外措置基準(注1)及び高所得国に係る特恵適用
除外措置基準(注2)を満たす以下の4品目について、特恵適用除外を行う。
(1)国別・品目別特恵適用除外措置基準対象物品
①ソーダ灰(関税定率法別表第 2836.20 号の一)(中国産)
②はさみ、テーラースシヤーその他これらに類するはさみ及びこれらの刃
(同表第 8213.00 号)(中国産)
③スプーン、フォーク等その他これらに類する台所用具及び食卓用具
(同表第 8215.99 号)(中国産)
(2)高所得国に係る特恵適用除外措置基準対象物品
・エチレングリコール (関税定率法別表第 2905.31 号)(サウジアラビア産)
(注1)国別・品目別特恵適用除外措置基準
当該品目について、2年連続して当該受益国からの輸入額が我が国の総輸入額
の 50%を上回り、かつ、当該受益国からの輸入額が 10 億円を上回ること(平成
19 年3月財務省告示第 134 号一)。
(注2)高所得国に係る特恵適用除外措置基準
当該品目について、
当該受益国からの1年間の輸入額が我が国の総輸入額の 25%
を上回り、かつ、当該受益国からの輸入額が 10 億円を上回ること(平成 19 年3
月財務省告示第 134 号二(一))。
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