特集「“攻め”の保守 」 - Nomura Research Institute

特集「“攻め”の保守」
10
2009 Vol.26 No.10
(通巻310号)
10/2009
視 点
特 集 「“攻め”の保守」
トピックス
海外便り
NRI Web Site
“エンハンスメントの時代”へ
淵田眞弘
4
「エンハンスメント業務革新活動」を全社に
浸透させるには
鈴木昌人
6
─────────────────────────────────────────────
若手がチームの意識を変えていく
―トップダウンから若手主体の活動定着へ―
平石信介、加藤沙織
10
─────────────────────────────────────────────
“障害ゼロ業務”を目指して
―業務系システムの障害削減活動の実例―
森口 孝、増田啓之
12
─────────────────────────────────────────────
パートナー企業と共同で取り組む業務革新
岩井正樹
14
地方公共団体におけるSLA活用の課題
小林慎太郎
16
─────────────────────────────────────────────
保育サービスの質を高めるIT活用
―携帯サイトを利用した保育園と保護者の情報共有―
木坂靖子、山口進一郎
18
アジアにおけるクロスボーダー証券取引の
実現に向けて
田崎嘉邦
20
NRIグループと関連団体のWebサイト
22
視 点
“エンハンスメントの時代”へ
いつのころからか、システム保守全般を
め、ユーザー部門とのつながりは強く、必然
「エンハンス」または「エンハンスメント」と
的にユーザーの業務にも詳しくなる。さまざ
呼ぶことが多くなってきた。OS(基本ソフト)
まな仕事を並行的にこなす必要があり、いつ
やミドルウェア、パッケージソフトなどは、
も忙しい。最大の悩みは障害対応である。障
操作性や機能などに基本的な変更・改良が行
害の原因が何であれ、いち早くユーザーの業
われると、「バージョンアップ」という形で
務を復旧させるためにすべてのリソースをつ
リニューアルされる。これに対して、比較的
ぎ込むことを強いられる。そうなると、もと
大型の業務システムなどでは、システムの大
もと予定していた仕事ができなくなり、障害
枠は維持しながら、保守作業を通じて細かい
の原因を残すことになる。
改良や新たな機能の追加が継続的に行われ
それだけに、重要な役割を果たしていると
る。現状の性能・機能を保つことを目的とす
いう自負はある。保守作業を通じてユーザー
る保守と違って、システムの保守は「拡張す
の業務を支えているのはわれわれだという自
る」ことに重点がある。そのため、これを
負である。そもそも業務システムは、システ
「エンハンス」
(辞書では「高める、促進する、
ムを構築すること自体が目的ではないし、最
改良する」
)と呼ぶわけである。
新の技術が採用されているからといって価値
システムの保守は新規構築プロジェクトに
が高まるものでもない。システムがいかに安
比べれば地味な仕事という印象がある。しか
定して稼働し、システムによって業務やサー
し、その役割の重要さはもっと評価されてし
ビスにどのような効果がもたらされるか、す
かるべきであろう。「エンハンス」という言
なわちシステムの“営み”にこそ意味がある。
い方には、そういう意識も働いていると思わ
われわれはその“営み”に直接関与しており、
れる。
ユーザーにサービスを提供している充実感を
感じることは少なくない。ユーザーから文句
システムの保守業務は、だいたいはサブシ
ステムごとに組まれたチームによって行われ
を言われることもあるが、激励や感謝の言葉
をかけてもらうことも多い。
る。その各チームが、決められた時間・コス
ト・要員の枠内で作業を行う。作業内容は、
4
長らく企業はITを取り込むため、次々と
例外的な業務処理が発生した場合の対応も含
プロジェクトを立ち上げシステム化を推進し
め小規模な開発・改修がメインで、ユーザー
てきた。「情報化」や「IT経営」は企業にと
からの問い合わせにも答える。詳細な仕様を
って最優先の課題であり目標であった。多く
直接、ユーザー部門と調整する必要があるた
の努力と試行錯誤の結果、その目標はおおむ
2009年10月号
レポートに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法及び国際条約により保護されています。
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野村総合研究所
執行役員
証券ITサービス事業本部
副本部長
淵田眞弘(ふちだまさひろ)
ね達成されたと考えるべきであろう。現在で
タ ・ オ リ エ ン テ ッ ド ・ ア ー キ テ ク チ ャ )、
は、その満足度合いはさておき、ほとんどす
SOA(サービス・オリエンテッド・アーキ
べての業務についてシステム化が完了してい
テクチャ)などがある。
る。システムがビジネスや業務に不可欠な存
しかし、エンハンス力の向上に的を絞った
在として企業に根づいたいま、システムは次
方法論は、標準化やフレームワークに関する
の段階に入ろうとしているのではないだろう
ものを除いてあまり見受けられず、今後の研
か。すなわち、とにかく企業にITを取り込も
究が急がれるところである。エンハンスメン
うという“新規構築重視”の時代から、いま
トによってシステムが巨大化・複雑化し、真
稼働している現行のシステムを、その“営み”
の意味でのエンハンスが阻害されるというよ
のなかでどのように発展させるかという時代
うな事態に陥らないようにするためには、上
へと変わっていくように思われるのである。
記のシステムアーキテクチャとも関連してエ
エンハンスメントにはメンテナンス(維
持・保守・点検)よりも前向きなニュアンス
ンハンスの方法論を考える必要がある。
その際、特に重要なのは人の問題である。
がある。私はこの言葉に、より良いものを目
地味な仕事と見られがちなエンハンスメント
指す“推進力”のようなものを感じる。その
業務のモチベーションを高め、品質を向上さ
意味を込めて、これからの時代を“エンハン
せるための仕組みづくりの重要性は小さくな
スメントの時代”と呼びたい。
い。以上のような問題意識から、野村総合研
究所(NRI)においても「エンハンスメント
システム戦略をシステムの“営み”として
とらえようとするとき、重要な観点が 3 つあ
業務革新」と名付けた多角的な取り組みが行
われている。
る。1 つ目は「システムの現状を可視化する」
こと、2 つ目は、現状を評価した上で「シス
システム戦略は、技術や方法論も大事だが、
テムの将来像を描く」こと、3 つ目は、将来
そうした面に傾きすぎると、本来実現すべき
像を実現するために必要となる「エンハンス
企業戦略とかい離してしまうことがまれでは
力の向上」である。
ない。筆者は「システムの“営み”を通じて
現状を可視化すること、将来像を描くこと
システムが成長する」という概念をエンハン
に関しては、完成度の高いシステムアーキテ
スという言葉に込め、システム戦略の中核に
クチャの理論や手法が提起され浸透してきて
そのエンハンスを置いて考えたい。そこから、
いる。その代表的なものにはEA(エンター
少しでも地に足のついたシステム戦略が見え
プライズ・アーキテクチャ)、DOA(デー
てくるのではないかと期待している。
■
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特 集 [“攻め”の保守]
「エンハンスメント業務革新活動」を
全社に浸透させるには
ともすると“守り”の業務ととらえられがちなシステムの保守業務は、顧客へ新しいビジネ
スを提案するために必要な重要な業務である。この観点から、野村総合研究所(以下、NRI)
では“攻め”の保守業務を「エンハンスメント」と呼び、保守業務にあたるチームを活性化さ
せるための「エンハンスメント業務革新活動」に継続的に取り組んでいる。
保守業務が抱える問題点
システムの保守業務は、その呼び名からも
NRIではこのような保守業務を“攻め”の
“守り”の業務ととらえられがちである。顧
業務と位置づけ、「エンハンスメント(拡
客のビジネスを支えるためにはシステムの安
張・改良)業務」と呼んでいる。エンハンス
定稼働が最優先であり、顧客の要求や予期せ
メント業務に求められるスキルは、システム
ぬ障害にもタイムリーに対応しなければなら
と業務の両方に精通していることであり、
ない。こうした対応に常に追われているため、
NRIにとって非常に重要なものである。
どうしても“守り”の側面が目につくのはや
むを得ないのかもしれない。
既存の業務に影響を与えずにシステムに手
を加え、本番稼働中のシステムを変化に応じ
その一方で、コンピュータシステムは社会
て常に最適化していく技術、顧客からの問い
インフラとなりつつあり、障害が発生するこ
合わせに答え、障害発生時には迅速に復旧さ
とで社会的に大きな損失が発生するケースが
せる技術は、新たにシステム構築をするだけ
増えている。また、システムの度重なる変更
ではなかなか身に付かない。
やネットワークを介してのシステム間の結合
このような高度な専門知識、技術を持った
など、システムの複雑さは増すばかりである。
保守担当者が、ビジネスの中核として日々動
保守業務の重要性が高まり、同時にその難し
いているシステムを相手にし、顧客との太い
さが増していくといった厳しい環境のなか
パイプを築くことで、ビジネスの効率化や発
で、保守業務の担当者はさらなる品質と生産
展につながる提案の種を見つけだすことがで
性の向上を求められているのである。
きる。エンハンスメント業務はNRIのコアビ
ところが日々の対応業務に追われている
と、担当者はどうしても“やらされ感”や
6
保守業務は“攻め”の業務
ジネスであり、同時に人材(人財)の源泉な
のである。
“ゴールが見えない”といった感じを持つこ
したがって、エンハンスメント業務は、そ
とになり、モチベーションの低下が起こって
の担当者のモチベーションの低下により品質
くる。
や生産性が低下することは許されない。その
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野村総合研究所
品質監理本部
生産革新推進部
エンハンス業務革新担当部長
鈴木昌人(すずきまさと)
専門はエンハンスメント業務革新活動を
中心とした生産革新に関する活動の支援
ためNRIでは品質監理本部が推進役となって
まりのチームに対象を絞って活動を始めた。
2005年 4 月に「エンハンスメント業務革新活
モデルチームは、活動の成果を上げることで
動」を立ち上げ、これまで継続して取り組ん
後に続くプロジェクトの手本になることが求
できている。以下では、現在に至るNRIの活
められた。それには品質監理本部の十分な支
動を紹介しつつ、保守業務改革の進め方や効
援が必要である。そのため、支援できる範囲
果について考えてみたい。
の規模に限定したのである。
「いきいきわくわく!
!」を合い言葉に
改善のPDCAサイクル
エンハンスメント担当者のモチベーション
活動を始めるにあたって、また年度ごとの
を向上させていくには、担当者一人一人がし
計画策定の前に、自分のチームが抱える課題
っかりした目標を持ち、自身の成長や達成感
や弱みを把握し、改善の達成状況を確認する
を味わえる成功体験を持てるようにならなく
ため、品質監理本部が用意するアセスメント
てはならない。その意味を込めて、「エンハ
シートに沿ってマネジメントレベルの測定を
ンス業務革新活動」の合い言葉を「いきいき
行う。アセスメントシートは、「エンハンス
わくわく!
!」と定めた。
メントのマネジメントには最低限何を行うべ
エンハンスメントは継続的に行われる業務
であるため、活動を 1 年で区切り、年度が改
きか」という観点から、チェック項目を100
の設問にまとめたものである。
まるごとに新たな改善目標を設定することに
次ページの図 1 は、あるチームが実施し
した。この改善のPDCAサイクルを毎年繰り
た、アセスメントによるマネジメントレベル
返していくことで業務革新を実現する。目標
の測定結果である。活動が進むにつれてレベ
を達成することだけでなく、改善のプロセス
ルが上がっていることがわかる。
を通じてチームを活性化させることにも重点
を置いた。
「エンハンスメント業務革新活動」を始め
るにあたって、最初に全社員を対象とした
「エンハンスメント業務革新活動」の基本
は改善のPDCAサイクルを回すことである。
その要点は以下のとおりである。
(1)計画の策定(Plan)
「エンハンスメント業務革新決起大会」を開
アセスメントの結果に基づいて、課題や弱
いた。ここでは、先行して改善に取り組んだ
みを改善する活動計画を立てる。リーダーが
エンハンスメントチームから、その取り組み
計画を立てて部下に指示するのではなく、各
の成果が発表された。活動はいきなり全社に
担当者が自分の問題として解決策を考えるプ
広げるのではなく、モデルケースとして20あ
ロセスが重要である。
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7
特 集
図1 アセスメントに見る改善の進ちょく状況
統合管理
コミュニケーション
文書管理
本番運用
環境管理
100%
80%
60%
40%
20%
0%
お客様対応
パートナー対応
100%
80%
60%
40%
20%
0%
100%
80%
60%
40%
20%
0%
問い合わせ管理
テーマ管理
品質管理
進ちょく管理・課題管理
2006年度
(2)計画の実行(Do)
2008年度
ソリューションを楽しむ会(エン楽会)」を
立てた計画に基づいて改善活動を実践す
月に一度、また、1 年間の活動成果を発表し
る。システム変更や性能向上といったテーマ
あう「成果報告大会」を年度末に開催してい
と同じように、各改善テーマについてそれぞ
る。2007年度からは、ともに改善活動に取り
れ誰が担当するか、期限はいつかを決め、進
組むパートナー企業にもこれらの催しに参加
ちょく状況を管理することが大切である。
してもらっている。これらの催しは、活動の
(3)状況の確認(Check)と対策(Action)
成果を評価する場として重要な役割を持って
1 年を待たず、定期的に状況と効果を確認
いる。自分たちの活動を多くの人の前で発表
し、必要であれば対策を施す。NRIの場合は
し、その成果が評価されることは達成感を高
四半期ごとにチェックを行うこととした。改
めるものである。こうした活動の“見せる化”
善効果の定量的な評価だけでなく、その効果
は、この活動の意義を経営層から若手まで広
を実際に体感できているかをチェックするこ
く理解してもらうことに役立ち、活動の拡大
とが重要である。効果が体感できなければ、
につながる。
次の目標に向かって活動を継続することは難
しいからである。
活動の“見せる化”
品質監理本部が各チームへの支援とあわせ
8
2007年度
活動の定着
2008 年度から、「エンハンスメント業務革
新活動」はNRIのすべての事業本部で取り組
まれることになった。
て力を入れたのが、活動の“見せる化”であ
いまでは200近いチームが、アセスメント
る。これを目的として、各チームの成果、成
シートを使った点検、計画策定・実行、四半
功事例を共有するための「エンハンスメント
期ごとの進ちょく状況の確認を行っており、
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「エン楽会」へも毎月150∼200名が参加して
いる。2008 年 度の「成果報告大会」には400
名の役職員のほか、パートナー企業の担当者
も多数参加している(図 2 参照)。最近では
事業本部単位の成果報告会も多く行われてお
り、この活動が社内に定着したと言える。
継続的な改善活動に向けて
図2 2008年度成果報告大会
「エンハンスメント業務革新活動」の最大
の成果は、それぞれの担当者が自ら目標を決
2009年 4 月には、「エンハンスメント業務
めて改善を実行していこうという意識が定着
革新活動」の推進母体である「エンハンスメ
したことである。少なくとも、“やらされ感”
ント業務革新推進室」を「生産革新推進部」
や“ゴールが見えない”といった状況は過去
に統合し、これまでの活動と生産革新活動を
のものと言える。
融合していくこととした。
「エンハンスメント業務革新活動」が始ま
これまでの活動では、改善のPDCAサイク
った2005年 4 月からの 3 年間で、NRI全体で
ルを回すことでエンハンスメント業務のマネ
システム障害の件数は約 3 分の 1 にまで削減
ジメントレベルを引き上げてきた。今後は、
されている。これは障害の事象や原因を表面
このPDCAサイクルを生産活動そのものにも
的にとらえるのではなく、その背後にある根
適用することで、さらなる品質および生産性
本的な原因を考え、障害を再発させないとい
の向上につなげていく。
う強い意志のもとで改善をきちんと実行して
きたことによるものである。
活動の成功のポイントとしては、以下のよ
NRIでは、エンハンスメント業務の生産
性・品質を向上させることで顧客に喜ばれ、
それによって従業員の満足度も上がっていく
うな点があげられる。
と考えている。そのことは、次ページ以降で
①活動の意義を理解する
紹介する各事業本部における事例でも読み取
②問題意識を持つ
ることができると思われる。
③問題の解決策を自ら考える
NRIがこれまで進めてきた「エンハンス業
④改善も 1 つのテーマととらえる
務革新活動」は地道な活動の積み重ねであり、
⑤実感できる成果を上げる
今後も継続して進められる。エンハンスメン
⑥成果を評価する場を設ける
ト業務の品質改善活動に終わりはない。
■
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特 集 [“攻め”の保守]
若手がチームの意識を変えていく
―トップダウンから若手主体の活動定着へ―
システムが新規に構築されてからエンハンスメントの段階に入り、その期間が長くなってく
ると、エンハンスメント品質の低下につながるいくつかの問題に直面することが少なくない。
本稿では、現場で業務に携わる人材のマネジメントという観点からエンハンスメントの改善活
動に取り組んだ野村総合研究所(以下、NRI)の事例を紹介する。
プロジェクト自己点検の必要性
NRIは、ある保険会社の大規模なバックオ
検用に社内共通で使用している「セルフアセ
スメントシート」により現状を可視化した。
フィスシステムのエンハンスメント業務を行
その結果「教育ドキュメントの整備」
「ノウハ
っている。このシステムは十数年前に新規構
ウの整理・共有」
「成果物・管理資料・プロセ
築されたもので、NRIでは毎年、保守業務と
スの標準化」などが不十分であること、年度
ともに一定規模のエンハンスメント(拡張・
開発予定案件が可視化されておらず、適切な
改良)を行ってきた。エンハンスメントの対
タイミングで人員の配置やチーム編成ができ
象となるシステムの範囲も次第に拡大してい
ていなかったことが問題として抽出された。
き、それに応じて新規メンバーの補充など業
務体制の拡大も図られてきた。
若手メンバー中心で改善活動を実施
よく言われるように、エンハンスメントフ
自己点検の結果を受けて、保険システムの
ェーズに入ってから長い時間が経つと、モチ
エンハンスメントチームは業務改善の取り組
ベーションの低下が起こりやすい。また、シ
みを始めた。以下、若手メンバーを中心にし
ステムが拡大して業務範囲も広くなってくる
た改善活動の内容を紹介する(図 1 参照)
。
と、ノウハウの属人化や、システム全体の
10
ントチームも、NRIがプロジェクトの自己点
(1)トップダウンで活動を開始( 1 年目)
“標準化の崩れ”も生じる。新規メンバーの増
改善活動を定着させるためには、エンハン
加は、開発時の事情に通じた既存メンバーの
スメント業務に携わるメンバーが自ら改善点
負荷の増大にもつながる。これらを放置して
を発見し、主体性を持って活動することが理
いると、さらなる案件の増加には対応しきれ
想である。しかし、若手メンバーのみで改善
ず、エンハンスメント品質に悪影響を及ぼし
活動の具体的な進め方を決めることや、改善
かねない。
活動の優先順位をコントロールすることは実
これを防ぐためには、まずエンハンスメン
際には難しいため、最初の 1 年目はトップダ
ト業務を自己点検し、問題を客観的に整理す
ウンの活動とした。マネージャが若手メンバ
る必要がある。保険システムのエンハンスメ
ーに活動の進め方や優先順位を示しながら改
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野村総合研究所
保険システム事業本部
保険システム三部
主任システムエンジニア
野村総合研究所
保険システム事業本部
保険システム三部
副主任システムエンジニア
平石信介(ひらいししんすけ)
加藤沙織(かとうさおり)
専門は生命保険システムの開発・維持
管理
専門は生命保険システムの開発・
維持管理
図1 活動の開始から定着までのポイント
◆Step 1
トップダウンでの活動開始
◆Step 2
若手主体での活動へ
◆Step 3
活動の定着
マネージャ自ら改善活動の進
め方、優先順位を示す活動
若手が楽しみながら、やりがいと
達成感を得られる進め方の工夫
「活動を継続すれば変えられる」、
「チーム貢献できる」ことの実感
善に取り組み、「年度開発予定案件一覧」「開
ことでメンバーの改善活動への意識が高まっ
発環境利用マニュアル」の作成などを行った。
ていった。
(2)若手主体の活動へ( 2 年目)
(3)活動の定着( 3 年目以後)
2 年目からは若手主体の活動へとシフトし
以上の活動を通じて各メンバーは、問題意
ていった。あらかじめテーマを決めてメンバ
識を持って創意工夫をしながら活動に取り組
ーを割り振ったり、検討の進め方や解答を与
めば改善が可能になること、その成果をチー
えてしまったりすると、メンバーが主体的に
ム内に展開することでチームに貢献できるこ
活動を行うことにはならない。そこで、メン
とが実感できた。こうして、若手メンバーの
バーが活動を通じてやりがいと達成感を得ら
改善活動への主体的な取り組みが定着してい
れるように、以下の 3 つの点を心がけた。
った。
①自発的なテーマ選定
検討テーマは、メンバーが自ら問題と思う
ことを取り上げるようにし、やりがいを持っ
顧客対応にも大きな改善
本稿で紹介したエンハンスメント業務改善
て活動を進められるようにした。
活動の結果、顧客に提供するサービス品質も
②自ら考える
向上した。具体的には、
「年度開発予定案件一
改善策を検討するにあたっては、
“やらされ
覧」を顧客の協力を得ながら作成することで、
感”が強くならないように、メンバー自らが
顧客と問題意識を共有することが可能になっ
十分に納得するまで問題の根本原因を追究す
た。これにより、先を見据えて計画的に要員
るようにした。その結果、改善活動自体を楽
を配置し、開発力を確保することが可能とな
しみながら実施でき、若手メンバーに主体性
り、顧客に対し安定したシステムインテグレ
が生まれていった。
ーションサービスを提供することができるよ
③活動を継続させる
うになった。さらに、障害発生数などの品質
従来はメンバーのみで不定期に実施してい
面においても、プロセスの標準化、ドキュメ
た改善検討会を、マネージャも必ず参加する
ントの整備などにより、活動開始前と比較し
毎週定例の会とした。マネージャも参加する
て大きな改善効果が得られた。
■
2009年10月号
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特 集 [“攻め”の保守]
“障害ゼロ業務”を目指して
―業務系システムの障害削減活動の実例―
システムがエンハンスメントフェーズに入ると、システムの拡大に伴って障害発生数が増大
する。これは時を経るに従って顕著になるので、障害対応に労力を割かれて本来のエンハンス
メント業務に十分に手をかけられないという事態にもなりかねない。本稿では、野村総合研究
所(以下、NRI)が取り組んだ障害削減活動について紹介する。
効果が大きい障害対応の効率化
システムの拡大に伴う障害発生数の増大は、
どんなシステムでも避けられない。NRIが受
注している食品卸売企業の業務系システムの
再構築プロジェクトでも、ビジネスの拡大や
新規システムのリリースによってシステム規
段階的に取り組んだ障害削減活動
障害削減の取り組みは、以下のように段階
を踏んで実施することにした(図 1 参照)
。
(1)障害の“見える化”
障害の月間 4 %削減を実現するにあたり、
模が拡大するのに伴い、障害発生数が増加し
第一段階としてコールおよびメッセージをプ
ていった。そのため、当プロジェクトでは
ロジェクト全体で“見える化”し一元管理で
「エンハンスメント業務革新活動」の一環とし
きるようにした。それまでは、サブシステム
て、
「無駄なタスクの削減」に取り組み、多く
や担当者によって管理レベルがまちまちで、
の時間をとられている障害対応に焦点を当て、
プロジェクト全体としての障害発生状況の把
障害そのものの削減を目標にした。
握や、障害対応の管理ができていないという
毎月 4 %削減を目標に
本当の意味での障害削減とは、障害の根本
12
に活動を開始した。
問題があった。そこで社内情報共有ツールの
「Devnet」を活用して、障害ランクの定義な
ど、管理レベルを全体で統一した。
原因を分析・追究し、一時的な数字上の帳尻
その結果、プロジェクト全体としてとらえ
合わせでなく、継続的な品質改善活動を実現
きれていなかった障害事象、対応状況、所要
することである。
工数などを明確にすることができた。これに
そこで当プロジェクトでは、継続的に障害
より、件数の多いもの、原因切り分け・対応
削減・品質改善活動を推進するチーム体質と
に工数が多くかかるものを優先的に処理する
するため、独自の削減目標を設定することと
ことも可能になった。また、件数の多いもの
し、2006年より「障害・運用のコールおよび
について、そもそもコールおよびメッセージ
メッセージの数を前月比で毎月 4 %削減する
の出力が必要なのかを検証することもできる
こと( 3 年間で77%の削減)
」を目標に本格的
ようになり、より効果的で効率的な対策が行
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野村総合研究所
サービス・産業システム事業本部
産業システム事業一部
GM
野村総合研究所
サービス・産業システム事業本部
産業システム事業三部
主任システムアナリスト
森口 孝(もりぐちたかし)
増田啓之(ますだひろゆき)
専門は流通・産業分野における業務シス
テムの設計・開発
専門は流通・産業分野における業務シス
テムの設計・開発
図1 品質改善活動3年間の歩み
〈数値目標〉
障害・コール・メッセージ数の前月比4%削減
3年後には77%減
月間目標を設定し定期的にチェックすることで“継続的”な活動を促進
■活動プロセス
Step 2:2007、2008年度
Step 3:2009年度
Step 1:2006年度
発生障害の“見える化”
根本原因分析・追究の習慣づけ
“障害ゼロ業務”の実現
障害を“見える化”することが
改善への第一歩
次なる一歩「恒常的な障害撲滅・
品質改善の取り組みの定着」
えるようになった。
(2)根本原因追究の習慣づけ
究極の目標「障害ゼロ」に向け
た取り組み
これまで行ってきた施策は、障害の“是正処
置”であり、そもそも「障害は発生しない
第一段階の施策により、一部のサブシステ
(させない)」というのがあるべき姿である。
ムでは障害発生数が前年比で40∼60%も減少
そこで今後は第三段階として“障害ゼロ業務”
した。しかし、そもそも障害が発生するとい
を目指した取り組みを続けていく方針である。
うことは、どこかにその要因が潜んでいると
いうことである。
そこで第二段階として、発生した障害に対
顧客の期待に応えるために
障害の発生状況を一元的に管理することが
応するだけでなく、過去に発生した障害も含
できれば、バックログ(対応に未着手の障害)
め、障害の根本原因を分析・追究し、その原
への対策を集中して行うことなど、顧客との
因をなくす活動を行うことにした。また、プ
間の業務調整も容易になる。実際に、当プロ
ロジェクト内に根本原因を分析・追究する意
ジェクトでは 3 カ月でバックログを半数以下
識を浸透・定着させるとともに、その活動内
に減らすことができた。
容を各サブシステム間で共有するため、改善
障害が削減されれば、それだけ顧客の情報
策の実施状況や結果を相互に参照しあえるよ
システム部門やユーザー部門の無駄な負荷も
うにした。これらの活動は、対策漏れをなく
減る。また障害の削減により、これまで障害
し、よりよい改善策を案出するためにも有効
対応にかけていた工数を開発保守テーマや本
であった。
質的な問題解決への対策に向けることができ、
(3)
“障害ゼロ業務”を目指して
より顧客のニーズに合ったサービスを提供す
上記の施策の結果、コールおよびメッセー
ることができるようになる。今後も、障害削
ジ件数削減については、3 年を待たず2008年
減活動を続けるとともに、開発生産性向上の
後半にすでに目標を達成した。しかしながら、
取り組みに力を入れていきたい。
■
2009年10月号
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13
特 集 [“攻め”の保守]
パートナー企業と共同で取り組む
業務革新
情報システムは、新規構築であれシステム稼働後の保守業務であれ、1 社だけですべてを行
うケースは今日ではおそらくない。野村総合研究所(以下、NRI)も、パートナー企業との協
業により業務を遂行している。本稿では、品質と生産性の向上を目指すNRIの「エンハンスメ
ント業務革新活動」に、どのようにパートナー企業各社と共同で取り組んでいるか紹介する。
パートナーとともに進める改善活動
NRIとパートナー企業各社のマネジメント
協業の上に成り立つ業務では、だれが作業
層の間で、エンハンスメント業務に改善活動
しても品質が保てることは最重要な課題であ
を組み込む重要性と効果について認識を共有
り、そのためにNRIではさまざまな工夫をし
する。マネジメントシステムや数値管理手法
ている。2003 年 3 月から始められた「e パー
の導入手順の確認も行う。これらは2006年度
トナー」制度もその 1 つである。NRIは専門
下期からパートナー企業のリーダー層向け研
性の高い業務ノウハウおよび高度な技術力を
修のメニューにもなっており、受講者はノウ
有する優良なパートナー企業とeパートナー契
ハウを現場に持ち帰り、
「エンハンスメント業
約を交わし、エンハンスメント業務の改善活
務革新活動」の担い手として活躍している。
動を計画的に展開している。
e パートナー企業は、NRIが2005年 4 月から
(2)パートナー人材育成部会
パートナー企業各社のプロジェクトリーダ
開始した「エンハンスメント業務革新活動」
ークラスや上級SEクラスの人材に対する期待
でも、各社がそれぞれ受け持っているエンハ
スキルをマップ化し、eパートナー企業各社の
ンスメント業務から特定のプロジェクトを選
人材育成の参考とするようお願いした。
定し、NRIと共同で活動を進めてきた。2006
年度には、「エンハンスメント業務革新活動」
(3)環境整備部会
業務の生産性向上を目的に、パートナー企
が本格化するのに合わせ、対象プロジェクト
業のメンバーが働きやすいオフィス環境を整
が拡大するとともに、業務革新の活動状況に
備するための活動を行う。ノンペーパー化の
ついてe パートナー企業のマネジメント層と
推進、パートナーからの改善提案とそれへの
認識を共有するために、NRIの品質監理本部
対応の仕組みづくりなど、新しいオフィス環
とe パートナー企業が参加する「エンハンス
境を考える上での参考ともなる。
メント業務革新e パートナー委員会」が作ら
れた。
「e パートナー委員会」の下には以下の
3 つ の部会も作られた。
14
(1)エンハンスメントマネジメント部会
広がる活動の輪
NRIでは毎年度末に 1 年間のシステムの品
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野村総合研究所
品質監理本部
パートナー推進部
上席
岩井正樹(いわいまさき)
専門はパートナー企業に関わる
活動の企画・推進
質向上に向けた改善活動の成果を発表する
革新を推進していく考えである。
「品質向上活動成果報告大会」を開催してい
この方針を受けて、2009 年度からは「e パ
る。2006年 3 月からは、e パートナー企業もこ
ートナー委員会」の下に以下の 3 つの分科会
の大会に参加している。
を新設し、新たな活動を開始した。
2007年度からは、新たに「エンハンスメン
(1)生産性向上分科会
ト業務革新e パートナー成果報告大会」を毎
生産性向上に向けての施策をパートナー企
年開催し、e パートナー企業の業務革新活動
業から積極的に提言してもらうことを目的と
の成果や成功事例の発表が行われている。
する。
e パートナー企業のなかには、エンハンス
(2)品質保証分科会
メント業務以外の業務を含めて、全社に改善
一定水準の「品質」を保証するため、受れ
活動を展開していく企業や、自社の中にエン
入れ・受け渡しのルールづくり、開発プロセ
ハンスメント業務改善を先導する専任部署を
スの整備を行うことを目的とする。
設けて、会社をあげて活動に取り組もうとい
う企業も出てきている。
2008年度からは、会社全体でエンハンスメ
ント業務改善を推進しているe パートナー企
業を特に「e-e パートナー」
(extended e パー
トナー)と認定する制度も発足した。
(3)ワークスタイル革新分科会
品質・生産性向上のためのワークスタイル
革新を目指し、諸々のテーマの検討を進める。
より高度なサービスを提供するために
エンハンスメント業務の革新は、NRIだけ
NRIから始まった「エンハンスメント業務
でもパートナー企業だけでもうまく進めるこ
革新活動」は、個々のパートナー企業の中に
とはできない。NRIとパートナー企業とで課
もしっかりと根付いてきている。
題を共有し、それを解決していくことを通じ
パートナーとの活動は次のステップへ
て品質および生産性の向上が実現できる。
当初、e パートナー企業とともにいくつかの
NRIでは、これまでのエンハンスメント業
プロジェクトで始めた「エンハンスメント業
務革新をはじめとした「マネジメント革新」
務革新活動」も 5 年あまりが経過し、パート
を継続しつつ、
「生産革新」に取り組んでいく
ナー企業の人材の成長にもつながっているよ
ことを今後の基本方針としている。これまで
うである。今後も、パートナー企業と良好な
の「品質向上」に向けた取り組みを、
「品質を
関係を維持しつつ、お互いのベクトルをしっ
前提とした生産性向上」へと深化させ、エン
かりと合わせながら、顧客により高度なサー
ハンスメントソリューションを核にした生産
ビスを提供できるよう努めていきたい。
■
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トピックス
地方公共団体におけるSLA活用の課題
地方公共団体で、情報システムの運用にサービスレベル契約(Service Level Agreement:
SLA)を導入する事例が増えている。SLAは、コストとサービスの水準を適正化することに役
立つ一方、サービスの硬直化や評価コストの増大につながる危険もある。本稿では、ユーザー
としての地方公共団体の視点から、SLAを効果的に活用するための要点について整理する。
地方公共団体に浸透するSLA
SLAは、サービス利用者(ユーザー)とサ
ービス提供者(ベンダー)の間で、サービス
の内容と水準について合意した内容を明文化
したものである。総務省の調査によると、
44.7%
都道府県
市区町村
40.4%
7.7%
6.2%
0
10
20
出所)総務省調査に基づきNRI作成
2007年
2006年
30
40
50%
SLAを導入したことのある地方公共団体の数
ン」
(2004年 3 月)など)で SLAの導入が推奨
は増えており、都道府県単位では 4 割以上に
されていることも影響しているであろう。
のぼっている(図 1 参照)
。これは大企業とほ
SLAの適用範囲は、稼働率などの一般的な
ぼ同じ水準である(社団法人日本情報システ
項目に加え、ハードウェアやデータセンター
ム・ユーザー協会「企業IT動向調査2008」)。
設備などのITリソースに基づく項目、障害管
ただし市区町村でSLAを導入しているところ
理や変更管理といったマネジメントに基づく
は 1 割未満であり、これから本格的に普及し
項目までと幅広い。民間企業ではあまり見ら
ていくと思われる。
れないペナルティー条項(目標水準に達しな
SLAの導入が進む背景には、レガシー化し
た基幹システムをオープン系システムへ移行
する際にアウトソーシング業務を拡大してい
ること、個人情報保護や事業継続性確保のた
めに、システムの運用を庁舎外の民間のデー
16
図1 SLAを導入している地方自治体の割合
かった場合に減額するなどの罰則規定)を設
定する事例も少なくない。
SLA導入のメリットとデメリット
SLAは、場合によりメリットにもデメリッ
タセンターへ移行していることなどがある。
トにもなる。地方公共団体がSLAの内容を自
また、政府がIT調達改革の一環として定めた
ら設定してベンダーに求める場合、ユーザー
行政機関向けのガイドライン(総務省「公共
とベンダーにとってのメリットとデメリット
ITにおけるアウトソーシング関するガイドラ
は表 1 のように整理される。
イン」(2003年 3 月)、経済産業省「情報シス
ユーザー側は、サービス水準とコストを明
テムに係る政府調達へのSLA導入ガイドライ
確にすることで行政の透明性を高められるメ
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野村総合研究所
コンサルティング事業本部
社会システムコンサルティング部
上級コンサルタント
小林慎太郎(こばやししんたろう)
専門は電子政府・個人情報保護などの IT
公共政策およびITマネジメント
表1 SLA導入のメリットとデメリット
メリット
デメリット
コストとサービス水準(品質)を明確化するこ
とで、行政の透明性を高めることができる。
サービス水準が硬直的となり、柔軟な対応を
依頼できない(契約外で依頼していたサービ
スを受けられなくなる)。
ベンダー
契約外で無償で提供してきたサービスを有償
化、または除外することができる。
サービス水準の達成に追われる。
共通
目標管理を通じて、継続的なサービス向上が
図れる。
互いの関係がぎくしゃくする。
評価コストが増大する。
ユーザー
(地方公共団体)
リットがある。一方、SLAを最低保証事項と
政府や業界団体が定めているガイドラインな
とらえずにサービス水準を高く設定すると、
どを参考に設定するのが効率的である。
コストが高くなったり、サービスが硬直化し
一方、障害対応や保守のようなITサービス、
て柔軟な対応を依頼できなくなったりするこ
問題管理や変更管理などのマネジメントに関
とが懸念される。特に個人情報を扱う住民情
するサービス水準は、人的資源の割り当てに
報系のシステムでは、一般に要求水準が高く
依存する部分が大きいためにSLAとして明文
なる傾向がある。
化するのが難しい場合がある。
ベンダー側から見ると、これまでは契約に
このような場合には、何を実現できるかと
明記されずに無償で提供してきたサービスを
いう“アウトカム志向”で評価項目の絞り込
有償化したり、あるいは除外したりできるよ
みと水準設定を行うことが有効である。ガイ
うになる。デメリットとして、最低保証事項
ドラインには重要そうな評価項目が列挙され
以上の内容をSLAに盛り込みすぎてしまうと、
ているが、業務遂行の観点から本当にモニタ
サービス水準の達成に追われることになる点
リングが必要な項目はそれほど多くないはず
があげられる。ペナルティー条項が設定され
である。いたずらに評価項目を多くすると、
ている場合はなおさらである。地方公共団体
評価される側のベンダーが数字合わせに終始
は、このようなベンダーの事情も考慮してサ
して、本質的なサービスが低下してしまうお
ービス水準を設定することが必要である。
それがある。また、サービス水準については、
評価項目の選定は“アウトカム志向”で
ハードウェアやネットワーク、設備といっ
保証値と目標値を明確に区別し、継続的な改
善を図っていくための目標管理を意識した範
囲に設定することが重要である。
たITリソースに関するサービス水準は、情報
地方公共団体は上記の要点を踏まえ、ベン
システムやデータセンターの環境によって一
ダーと共同でサービス評価項目やサービス水
定範囲に収まることが想定されることから、
準を洗練させていくことが必要であろう。■
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トピックス
保育サービスの質を高めるIT活用
―携帯サイトを利用した保育園と保護者の情報共有―
親が仕事を続けながら安心して子供を生み育てることのできる環境を作るために、保育園の
社会的な重要性はますます高まっている。本稿では、野村総合研究所(以下、NRI)とNRI社
会情報システムが少子化時代を見据えたIT活用提案の一環として実施した、保育サービスの質
を高めるための情報共有システムを使った実証実験について紹介する。
にITを活用することで保護者との信頼関係を
保育園と保護者の情報共有の重要性
より強められることを確かめる点にある。ま
NRI 社会情報システムは、少子高齢社会を
た「言った、言わない」などのトラブルも回
支えるITインフラの提供に力を入れており、
避でき、結果的に保育士の精神的負担を軽減
高齢者の就労を支援するためのシルバー人材
することができると考えた。
(図 1 参照)
センター向けシステムを提供している。こう
した取り組みの一環として、NRIとNRI 社会
実証実験の内容とその評価
実証実験は、東京都内の社会福祉法人の協
情報システムは、保育園と保護者を結ぶ育児
力を得て 1 カ月間にわたって実施され、2 歳
支援システムの実証実験を行った。
保育士は、保護者との連絡に用いる「お便
り帳」や、日々の日誌、自治体による監査に
児クラスの20名を対象に、その保護者と 5 名
の保育士が参加した(図 2 参照)
。
保育士はPCで「お知らせ」と「園児管理」を
必要な「保育指導計画」など、数多くの情報
を記録・伝達する業務
を抱えている。さらに
図1 サービスの概念
情報共有による連携を強化し、子どもの育ちの基盤を整える
2009年 4 月からは、園
児が就学する小学校へ
の「保育所保育要録」
の提出も義務づけられ
保育職員間
の情報共有
保育園と親との
信頼関係を築く
親が保育園への
理解を深める
保育園と親
との連携
職員間の情報
共有を確実に
ともに子どもを
育てる
親の家族間
で情報共有
た。しかしITを活用し
た業務効率化の取り組
みは進んでいないのが
現状である。
今回の実証実験の目
的は、保育士が特に気
保護者との連絡・連携に特化したシステムで保育士と保育園を守る
●保護者へのお知らせ・個別連絡の確実化
連絡・回収が効率的に
保育士を守る
●保育士のストレス軽減
保護者とのコミュニケーション過程でのス
トレス軽減
早番/遅番、正規/非正規職員間の認識の統一
保育園を守る
●情報の一元管理による
リスクマネジメント
保護者とのやりとりがすべて記録に残る
状況を正確に把握、適切な対応が行える
を使う保護者との連絡
18
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野村総合研究所
情報技術本部
コンサルタント
木坂靖子(きざかやすこ)
専門はWebサイトのユーザビリ
ティ評価・設計
NRI社会情報システム
開発部長
山口進一郎(やまぐちしんいちろう)
専門は公共・社会分野におけるシステム設
計・プロジェクトマネジメント
行う。「お知らせ」は保護者に一斉連絡する
図2 システムの概念
機能で、保育園のその日の様子を記録した
[保育園]
「園日記」や給食の献立、行事出欠の確認な
どを入力した。「園児管理」には当日の在園
…
園長
保育士A
保育士B
保育士C
状況や、園児の迎えに誰が来るかが一覧で表
PC
示される。また、保護者が入力した園児の預
園児管理
お知らせ
かり時間や家での園児の様子を確認できる。
携帯電話
保護者は、携帯電話向けのWebサイトで
「お知らせ」と「園児管理」を閲覧するとと
もに、園児の自宅での様子や遅刻などによる
送り迎え時刻の変更などを入力した。
…
保護者A
保護者A
の家族
保護者B
保護者B
の家族
[保護者]
実験終了後にアンケートとインタビューに
よって保護者と保育士から意見を聞いた。
者への情報伝達を保育業務の 1 つと位置づけ
保護者からは、「夕方迎えに行く前に、そ
た新しい業務フローの導入を、園長以下トッ
の日に何をしたのかがわかって便利」「写真
プダウンで計画的に推進する必要があろう。
で子どもの様子がわかってうれしい」など、
IT活用の効果を評価する意見が多かった。保
護者からの書き込みも、従来の手書きの「お
便り帳」に比べて増加した。
質の高い保育サービスのために
認可外保育園とは異なり、自治体の認可保
育園に子どもを入園させる場合、現在は保護
保育士の側からも、送り迎えなどに関する
者が自治体に申し込む制度になっている。し
保護者からの連絡が口頭でなく記録に残る形
かし厚生労働省は、保護者が認可保育園を自
で確認できる点を評価する声があった。その
由に選んで直接契約できるようにする制度を
一方で、保育業務の合間にPCに入力しなけ
2011年にも導入する計画であり、認可保育園
ればならないことや、これまでのやり方を変
にも自由競争原理が働くようになる。
えることには抵抗感があり、総じて保育士に
よる評価は低かった。
このため、今後、本格的なITの導入を検討
保護者に選ばれる保育園となるには、保育
園が保育への取り組みの様子を適切に公開
し、保護者との信頼関係を築く必要がある。
する上では、ペン入力や音声認識の活用など
保育園が制度改革を変革の機会ととらえてIT
も視野に、保育士の入力の負担を軽減する工
を効果的に活用することで、保育環境のさら
夫が必要だろう。同時に、ITを活用した保護
なる改善が実現されることを期待したい。■
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海外便り
アジアにおけるクロスボーダー証券取引の
実現に向けて
中国と台湾との間の関係改善が進むなか、これまで直接取引ができなかった金融分野でも規
制緩和が進みつつあり、今後、香港も含めた中台間の証券取引所の連携が強まることが予想さ
れる。本稿では、このようなクロスボーダー取引を活発化する動きを紹介するとともに、日本
はどのような役割を果たすべきかを考察する。
進む金融規制の緩和
合意された(http://www.taiwanembassy.org/
台湾で2008年 5 月に馬英九新総統が就任し
ct.asp?xItem=89745&ctNode=1453&mp=1)。
て以来、中国と台湾の関係改善が進んでいる。
こうしたことから、今後も引き続き、金融業
2008年12月には、これまで香港やアモイを経
務の規制緩和に関する法改正が行われ、中
由していた中国∼台湾間の航空機および船舶
国・台湾双方の金融機関による相互的な市場
にも直行便が運航されるようになり、人およ
参入が活発化することが予想される。
び物の行き来に要する時間とコストが大幅に
削減されるようになった。
2009年 1 月には、馬総統が初めて中台間の
金融市場にも変化の兆し
このような規制緩和を受けて、台湾証券取
ECFA(Economic Cooperation Framework
引所は、中台間の金融MOU締結を待って、
Agreement:経済協力枠組み協議)の開始
上海、台湾、香港の 3 つの証券取引所の上場
について言及し、2009年秋頃から始まる予定
企業を包括したETF(株価指数連動型上場
の本格協議に向けた検討に入っている(2009
投資信託)を相互に上場する計画を発表して
年 7 月25日付『経済日報』)。
いる。これは、おのおのの証券取引所の上場
こうしたなかで、これまでは規制によって
企業から、まずは30∼50社程度を抽出して組
できなかった中台間の金融取引や、中国から
成したETFを、3 つの取引所で相互に上場さ
台湾への直接投資について、その解禁に向け
せるものであり、台湾証券取引所では年内に
た検討も進んできている。
も実現させたいとしている。また、中国、台
たとえば、中国と台湾の「金融協力協議」
湾、香港の各証券取引所をつなぐ共通金融プ
のなかで、銀行、保険、証券の 3 業種につい
ラットフォームの構築構想についても公表し
て金融業務監督・管理の覚書(金融MOU)
ている。
(2009年 4 月20日付『工商時報』)
を結ぶ意向が双方から示され、2009年 8 月現
20
理・監督と通貨の管理についての協力事項が
内需を中心に成長を続けている中国企業、
在、締結に向けた調整が行われている。また、
エレクトロニクスを中心とする製造業が集積
2009年 4 月の 3 回目の協議では、金融の管
する台湾、金融や不動産分野の大手企業が集
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NRI台北支店
副支店長
田崎嘉邦(たざきよしくに)
専門はICT関連政策、事業戦略、グ
ローバル戦略
積する香港という 3 つの証券取引市場が一体
台湾、香港間で構築することができれば、取
化することで、魅力的な金融商品を組成する
引の即時性および安全性を確保できる。さら
ことが可能になろう。
には、情報共有に関する協定を各取引所間で
このように、近年の中台間の関係改善、中
締結することで、各地の証券会社が機関投資
国金融市場の成長などを背景として、今後、
家から取引を受託する際に、投資の意思決定
中国、台湾、香港の金融市場の一体化が進み、
に参考となる企業情報の提供など、より多く
それを生かした新たな金融商品の開発や、金
のソリューションを提供できるようになる。
融取引に関する共通プラットフォーム構築と
いった動きが出てくることが予想される。
金融関連システムへの影響
日本を含めたアジアの連携強化に向けて
東京証券取引所はアジアで最大の証券取引
市場であり、さまざまな業種の世界的な企業
今後、中国、台湾、香港の取引所システム
も数多く上場している。こうした市場の特性
が統合されて相互取引が開始されると、東京
を考えると、欧米など世界の投資家にとって
証券取引所に匹敵する世界有数の取引所が出
は、日本を含めたアジア各地の市場の商品が
現することとなる。
一体的に取引できるようになることは、きわ
現在、中国、台湾、香港の証券取引所での
めて魅力的なことと思われる。
取引は、多くの場合、地場の証券会社が処理
東京証券取引所は、シンガポール取引所に
している。そのため、それらの取引所で取引
約 5 %の出資をし、韓国、上海、台湾の取引
を行う場合、これまでは取引効率と安全性を
所との提携協議を行うなど、すでにアジアの
考慮して、地場の多数の証券会社に委託して
他の取引所との連携強化に動いているが、今
取引を進めると同時に、有価証券の保護預り
後はこうした活動をさらに強化していくこと
を専門に行うカストディアンと呼ばれる金融
になるであろう。
機関とも一部確認をする必要があった。こう
アジアの取引所の連携強化は、日本の金融
したことから、多数の証券会社と取引を行う
機関や金融システム関連企業にとって、アジ
システムが各地で個別に発達してきた。
アへの事業展開を行う上でのチャンスとな
しかし中国、台湾、香港の証券取引市場の
る。特に日本の金融関連のシステム構築を手
一体化が進むと、各地の投資家の利便性を高
掛けている企業は、アジアの他市場との連携
めるために各取引所における取引プラットフ
強化に向けて、日本の証券取引所や金融機関
ォームの機能を強化していく必要が出てくる。
と一体となって取り組んでいくことが求めら
たとえば、専用の取引ネットワークを中国、
れよう。
■
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NRI Web Site
■『 I Tソリューション フロンティア』本誌記事およびバックナンバーは、野村総合研究所(以下、NRI)ホームページで閲覧
できます。
URL:http://www.nri.co.jp
■『 I Tソリューション フロンティア』に関するご意見、ご要望などは、氏名・住所・連絡先を明記の上、下記あてにお送り
ください。
E-mail:[email protected]
NRIグループと関連団体のWebサイト
野村総合研究所
http://www.nri.co.jp
NRIネットワークコミュニケーションズ
http://www.nri-net.com
NRIセキュアテクノロジーズ
http://www.nri-secure.co.jp
NRIサイバーパテント
http://www.patent.ne.jp
NRIデータi テック
http://www.n-itech.com
NRI社会情報システム
http://www.nri-social.co.jp
ユビークリンク
http://www.ubiqlink.co.jp
NRIパシフィック
野村総合研究所(北京)有限公司
上海支店
http://www.nri.com
http://beijing.nri.com.cn
http://shanghai.nri.com.cn
野村総合研究所(上海)有限公司
http://consulting.nri.com.cn
野村総合研究所(香港)有限公司
http://www.nrihk.com
NRIシンガポール
http://www.nrisg.com
NRIソウル支店
http://www.nri-seoul.co.kr
NRI台北支店
http://www.nri.com.tw
(財)野村マネジメント・スクール
http://www.nsam.or.jp
マッチング・ポータルサービス
B2Bポータルサイト
「BizMart」
http://www.bizmart.ne.jp
情報収集、情報交換、商取引などの企業活動を総合的
に支援する企業間ネットワークサービス
NRIサイバーパテントデスク
http://www.patent.ne.jp
国内外の特許情報や主要企業の技術雑誌(技報)の検
索・閲覧サービス
コンサルティング事業本部
サイト(異才融合)
http://www.consul.nri.co.jp
コンサルティング事業本部の概要や提供サービス、NRI
で活躍中の経営コンサルタントの素顔などを紹介
情報技術本部サイト
http://www.nri-aitd.com
最先端のITに取り組む技術集団である情報技術本部の
活動内容や研究開発を紹介
http://www.japandesk.com.tw
台湾経済部と共同で、日本企業の台湾進出を支援
オブジェクトワークス
http://works.nri.co.jp
MVCモデルに基づくWebアプリケーション開発のため
のJ2EE準拠開発フレームワークの紹介
BESTWAY
http://www.bestway.nri.co.jp
金融リテール投信ビジネスの“De-facto”スタンダード
システム。100社を超える金融機関が利用中
TRUE TELLER
(トゥルーテラー)
http://www.trueteller.net
コールセンターからマーケティング部門まで、様々なビ
ジネスシーンで活用可能なテキストマイニングツール
統合運用管理ソリューション
(Senju Family)
http://senjufamily.nri.co.jp
NRIが培ったノウハウを結集した統合運用管理製品群。
企業の「ITサービスマネージメント」の最適化を実現
http://www.pcls.jp
企業内のPC運用コスト削減と品質向上を同時に実現す
る、PC運用管理の再構築サービス
http://truenavi.net
NRIが戦略策定等のコンサルティングに際して独自に開
発したインターネットリサーチを企業向けに提供
ナレッジ・ポータルサービス
日本企業台湾進出支援
「ジャパンデスク」
ソリューション・サービス
PCLifecycleSuite
インターネットリサーチ
TRUENAVI
ナビゲーションサービス
携帯電話の総合ナビサービス http://www.z-an.com
「全力案内!」
(ユビークリンク)
22
携帯総合ナビサービス。世界初の携帯プローブ交通情報
で道案内も。NTTドコモ、au、ソフトバンクから提供中
2009年10月号
レポートに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法及び国際条約により保護されています。
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編集長
野村武司
編集委員(あいうえお順)
安積隆司 岡田充弘 尾上孝男
小野島文久 武富康人 都丸岳行
富安孝典 鳥谷部 史 中澤 栄
濱島幸生 肥後雄一 古川昌幸
三崎友雄 南本 肇 見原信博
目木克昌 八木晃二 吉川 明
吉田幸久
編集担当
高尾将嘉
2009年10月号 Vol.26 No.10(通巻310号)
2009年 9 月20日 発行
発行人
藤沼彰久
コーポレートコミュニケーション部
発行所
〒100−0005
東京都千代田区丸の内1−6−5
丸の内北口ビル
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