非接触三次元微細形状計測に関する研究(3)

非接触三次元微細形状計測に関する研究(3)
– 光学ピックアップを用いた低コスト形状測定センサの開発 –
機械電子担当
深尾 典久
1.目的
光学部品あるいは半導体部品などの製造に当たっては、従来から幅、厚さ、内外径などの寸法計測が行わ
れているが、それに加えて最近では三次元形状を精密に計測する重要性が増加している。精密部品の形状
を計測するに場合、計測速度や損傷を回避するなどの観点から非接触で光学的に行うことが望ましい。
この観点から、本研究においては家庭用の CD プレーヤーや DVD デッキ、あるいはコンピュータの光
ディスクドライブなどに組み込まれ光ディスクの読み出しや書き込みに用いられる、光学ピックアップを用
いた形状測定についての研究を行う。
2.内容
光学ピックアップは精密・小型の光学部品であるが、大量に製造されるため非常に安価に入手することが
可能である。また光学ピックアップは、回転する光ディスクの微細な情報ピットにレーザのスポットを安定
して追従させるためのセンシング機構と対物レンズを動かしてレーザスポットの位置を移動させるための
アクチュエータを持ち、それらの機械・電子部品などの表面形状の計測にも利用できると考えられる。従っ
て光学ピックアップをセンサとして用いることにより、小型・安価で高精度な形状計測装置を構成すること
が可能であると考えられる。そこで本研究では、光学ピックアップを応用した表面形状計測システムを提案
すると共に実験測定装置を作製し機械加工面や硬貨の刻印形状の計測を行うことで、光学ピックアップを用
いる計測の有効性を確認した。さらに本年度は、対物レンズの移動に PD フィードバック制御を取り入れる
ことにより、計測の高速化を図った。
3.結果
実験装置の構成を図 1 に、硬貨表面の面測定結果を図 2 に示す。また、図3に表面粗さ測定機(Taylor
Hobson Talysurf S5C) と比較した旋削面の面測定形状を示す。結果からは、機械加工面を精度良く計測で
きていることが解る。また、ピックアップ対物レンズを PD フィードバック制御することにより計測の高速
化を図った。
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図 1: 実験装置の構成
図 2: 面測定結果(100 円硬貨)
2
4
4
2
2
1
0
Height [μm]
0
Height [μm]
Height [μm]
Height [μm]
2
0
0
−2
−2
−1
−2
0
1
Position [mm]
Measured by the Proposed System
(a) Ra = 0.4µm ,
Proposed system
0
0.5
1
Position [mm]
Measured by Talysurf S5C
(b) Ra = 0.4µm ,
Talysurf
1.5
−4
0
1
Position [mm]
Measured by the Proposed System
(c) Ra = 0.8µm ,
Proposed system
図 3: 旋削面計測結果
2
−4
0
1
Position [mm]
Measured by Talysurf S5C
(d) Ra = 0.8µm ,
Talysurf
2