Short cervixに対する治療

産婦人科教室抄読会
平成 24 年 6 月 11 日
NAME
鈴木 聡子
TITLE
Short cervix に対する治療
・ 頸管短縮(24 週で 25 mm 以下)は早産のハイリスクとされている
・ 無症候性の頸管長短縮に対する治療法は確立していないが、いくつかの方法
が試されている
・ 治療法として、ベッド上安静、hydration、頸管縫縮、プロゲステロン投与等
が報告されている
〈Methods〉
頸管長が 25 mm 以下の妊婦(18〜43 歳)を無作為にペッサリー挿入群と待
機群に割り付けた。Primary outcome は 34 週以前の自然分娩である。
〈Findings〉
385 人の頸管長短縮を認めた妊婦をペッサリー群(n=192)と待機群(n=193)
にわけ、両群とも 190 人を解析した。34 週以前の自然分娩はペッサリー群
で有意に少なかった(12 (6%), 51 (27%) オッズ比 0.18, 95%信頼区間
0.08-0.37; p < 0.0001)。ペッサリー使用による重大な有害事象はなかった。
〈Interpretation〉
子宮頸管ペッサリーは妊娠中期に明らかに頸管短縮を認めた妊婦に対する
早産予防として有用である。
REFERENCE
1) 産婦人科用語集・用語解説集 改訂2版 ①
2) 標準産婦人科学 第4版 ②
3) Iams et al. N Eng J Med 1996 ④⑥
4) Guzman et al. Ultrasound Obstet Gynecol 2001 ⑤
5) Arisoy and M.Yayla. Jounal of pregnancy 2012 ⑦
6) M.S.To et al Lancet 2004 ⑧
7) 切迫早産の頸管長による予知・管理 日産婦誌 61 巻 9 号 ⑨
8) S.S.HASSAN et al. Ultrasound Obstet Gynecol 2011 ⑩
9) Goya M et al. Lancet 2012;379:1800–06 ⑪
①切迫早産の定義
妊娠22週以降37週未満に下腹痛(10分に1回以上の陣痛)、性器出血、
破水などの症状に加えて、外測陣痛計で規則的な子宮収縮があり、内
診では、子宮口開大、頸管展退などBishop scoreの進行が認められ、早
産の危険性が高いと考えられる状態。
②ハイリスク
現症
多胎妊娠
細菌性腟症
子宮頸管短縮
前期破水
羊水過多
高齢妊娠
合併症妊娠
既往歴
頸管無力症
前回分娩が早産
円錐切除後
生活習慣 喫煙
ストレス
やせ
④妊娠24週における頸管長と早産率
③子宮頸管短縮
6.19
3.79
頸管長(mm)
⑥カットオフ値を25 mmとした
場合の妊娠延長期間の比較
▲28週未満
△30週未満
■32週未満
□ 34週未満
子宮頸管長 0.5,1.0,1.5,2.0,2.5,3.0,3.5,4.0の順にプロット
Sensivity(%)
⑤子宮頸管長のROC曲線
⑦頸管短縮の治療法
(1)ベット上安静 :エビデンスなし
(2)頸管縫縮 ⑧
(3)プロゲステロン投与 ⑨
⑧頸管縫縮術を施行した群と待機療法群の比較
34週未満の早産、妊娠期間の延長など、有意はなし
⑨頸管短縮による頸管縫縮の適応と効果
⑩プロゲステロン腟錠投与群とプラセボ投与群の早産率
プロゲステロン腟錠投与群
待機群
プロゲステロン腟錠投与群で33週未満の早産は
有意に少なかった (P=0.020)
⑪
〈Background〉
頸管長の短縮は早産のハイリスクである。
多くの子宮頸管ペッサリーの有用性に関するstudyは後ろ向き研究や、症例報告であ
り、それらは早産予防になりうると報告しているが、無作為対照試験は行われていな
い。そこでわれわれは20〜23週の妊婦の頸管長を測定し、頸管短縮を認めた症例を
無作為にわりつけ、ペッサリーを挿入した群で早産の率が減少するかを調べた。
〈Methods〉
頸管長が25mm以下の妊婦(18〜43歳)を無作為にペッサリー挿入群と待機群に割り
付けた。主要なoutcomeは34週未満の自然分娩である。
〈Findings〉
385人の頸管短縮を認めた妊婦をペッサリー群(n=192)と待機群(n=193)にわけ、両
群とも190人を解析した。34週以前の自然分娩はペッサリー群で有意に少なかった
(12[6%],51[27%]オッズ比0.18,95%信頼区間0.08-0.37;p<0.0001)。ペッサリー使用
による重大な有害事象はなかった。
〈Interpretation〉
子宮頸管ペッサリーは妊娠中期に明らかに頸管短縮を認めた妊婦に対する早産予
防として有用である。
⑪ペッサリー
⑫研究背景
⑬患者背景
経腟超音波施行
頸管短縮(6%)
385人(53%)参加
ペッサリー群
待機群
2群に有意な差はなかった
⑭ペッサリー挿入群と待機群
Primary outcome:34週以前の早産
→ペッサリー群で有意に少ない
37週以前の早産;有意に少ない
満期産;有意に多い
ペッサリー挿入群で全例帯下の
増量があったが、重大な有害事
象は発生しなかった
胎児・新生児死亡は2群で
有意な差はなかった。
2500g以下の低出生体重児はペッ
サリー挿入群で有意に少なかった
⑮ペッサリー挿入群と待機群の妊娠延長期間の比較