◇ TUTORIAL どうすれば超音波の生物学的作用に関する実験ができるか ◇ 日本超音波医学会機器と安全に関する委員会 超音波の生体作用に関する基礎研究に興味を持つ若手研究者のためのガイドブック シリーズ どうすれば超音波の生物学的作用に関する実験ができるか 名 取 道 也 このような若手研究者の役に立つシリーズを本学会誌に掲載することになり,心から嬉しく思います.この 連載のきっかけは,機器と安全に関する委員会で,超音波の生体作用に関する研究に興味を持つ若手研究者の ためのハウツー本がない,とのお話があったことです.超音波は, 「潜水艦のスクリュー音」というテーマでは, 常に世界の超最先端研究の一つですし,医学・生物学の世界においても,通常の画像診断から顕微鏡的画像診 断,歯ブラシから虫歯の治療,骨折の治療,癌の診断からがん細胞の破壊,胎児の診断から胎児の病気の治療 など,超音波の世界はいつも最先端のテーマに溢れています.しかし残念ながら,このホットなツールである 超音波を使用しての研究も,超音波の生物学的作用についてチャレンジしようとなると,途端に研究数が激減 しますし,それを専門とする研究者は世界的にみても非常に少ないのが現状です. その原因の一つは,細胞などの標的に投与される超音波エネルギーの正確な計測が結構面倒なことがあげら れるでしょう.でも競争相手が少なく,方法が面倒な研究テーマですから,少しの手間で,あなたも世界のトッ プレベルの研究者に仲間入りです. この連載は入門編レベルの話から始めますので決して難しいものではありません.しかし入門編レベルの研 究でも成果を出して論文を書くことは十分可能です.今回から数回にわたり,我が国のトップ研究者たちが, わかりやすく,研究のやり方を解説します. 1 回目は実験で使用する超音波の特徴を知ろう −その 1 − として実験で使用する超音波の特徴(ターゲッ トに与える影響の強さ)を摑まえるにはどうすればよいか,について解説をお願いしました.例えば癌をやっ つけようとする薬の研究でも,まずはどのような種類の物質か,どれくらいの量か,どのくらいの時間にわたっ て投与するか,など実際に癌細胞にぶちこまれる攻撃の全貌を知る必要があります.超音波でも全く同じで, 今回のお話は,あなたが使用する超音波がどのような種類の超音波かを知る方法を明らかにします. How to experiment ultrasound bioeffects. 機器と安全に関する委員,東京医科大学産婦人科 Michiya NATORI, Ultrasound Equipment and Safety Committee Member, Department of Obstetrics and Gynecology, Tokyo Medical University, Tokyo, Japan Jpn J Med Ultrasonics
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