1179号 - 金沢大学教職員組合

2 0 1 2 年1 月 2 7 日暑
ゆ
[ゆ に
通
2012年
巻 1 1 7 9 暑( 1 )
1月 27日
通巻 11793
発行 '金沢大学教職員組合執行委員会
〒9201192金 沢市 角 間町
「
EL076 262 96∞
角 間 内線 2105
E lvaAL kanazavva@ku一
union org
Yukon,Larger than Life》
《
カナダ ユ ー コ ン準州 ホ ワイ トホー ス
結城 正 美 (外 国語教育研究センター)
Yukon,Larger than Life一 一 人生よ りも大 きな場所、 ある
いは、人生 を包 み込 む土地。 ユ ー コンの随所 で 目にす る この言
葉 、 は じめはピ ンときませ んで したが、 数 日間 の滞在 中 にそ の
意味が実感 され ま した。
ユ ー コ ン準州 はカナダ 北西部 にあ り、 アラスカに隣接 して い
ます。 面積 は 日本 の約 13倍 。 人 回は準州全体 で 約 3万 、そ の
うち の 2万 人余がホ ワイ トホー ス に住 んで い ます。
私 が ホ ワイ トホ ー ス を訪 れた の は 2011年 12月 初旬。本学
の英語研修 先 の 開拓 の ため、 ホ ワイ トホ ー ス にあるユ ー コ ンカ
レ ッジ (以下 YCと 略)を 訪 問 しま した。 カナダ に本学 の話学
研修先 が欲 しい、 とい う学生 の要望 に応 えた い と思 い、東京 の
カ ナ ダ 大 使 館 で 開 かれ た カ ナ ダ 留 学 フ ェアで 情 報 を収 集 し、
YCが 最適 と判 断 したわ けです。そ の理 由は、(1)日本人が少な
―
J
い、(2)すぐれた授業内容、(3)都市文 明 と異 なる価値観 、 にあ ります。
なんだか 「
地球 の歩 き方」 とい うよ りも出張報告 のよ うになって きま したね。 けれ ども、 上記 3 点 を説明
す る ことでユ ー コ ンの魅 力が おわか りい ただ ける と思 うので、 続 けます。
カナダは英語研修先 として超 人気で、上述 の カナダ留学 フェア も大盛況 で した。 とはいえ、l ヶ 月足 らず
の語学研修 で 日本 人が 多 い場所 に学生 を送 るのは教育効果 上 いかがな ものか … と考 え、日 本人居住者や留学
生が 少 な い とい う こ とを研修先 の選定基準 の一 つ にしました。そ うす る と、バ ンクー バ ー 、ト ロ ン ト、 モ ン
トリオ ー ルな ど大 きな都市 はアウ トです。 ここでユ ー コンに 目が留 ま りま した。 ホ ワイ トホ ー ス には 日本人
居住者が少 な く、 日本か らの留 学 生 も、なん と片手 にお さまる数 なのです。 オ ー ロ ラ鑑賞 ツアー な どで 日本
か ら観光客 は来 ますが、日 本人居住者 の数が こんなに少 な い場所 はそ うあ りません。
次 に授業 内容 ですが、せ っか くユ ー コ ンで学 ぶ のだか ら、 とい う ことで、地元が誇 る 自然や 先住 民文化 を
学 ぶ機会 を織 り交ぜ た英語 プ ログ ラムが提供 されて い ます。既 に早稲 田大学 と明治大学 が、それぞれ 8 月 と
2 月 に Y C で の研修 を開始 して い ますが、早稲 田は英語 で 野外活動 を行 うアウ トドア リー ダ ー シ ップ養成 プ
ログ ラム、明治は教室 での授業 を主 としつつユ ー コン文化 を体験す る 内容 のよ うです。金 沢 の場合 は …乞 う
ご期待 │
ユ ー コ ンでは都市文 明 とは 異
な る価値観 に 日常 的 に触れ る こ と
ー
がで きます。 無論、ホ ワイ トホ スは ウ ォル マ ー トが進 出 し、 マ
ク ドナル ドな ど主 要 フランチ ャイズ も軒 を並 べ て い るので、 都市
文 明 の影響 を受 け て いな い とは い え ませ んが、それ で も この土地
特有 の価値観 が根付 いてい ます。
そ の価値観 を説 明す る ことは難 しいのですが、 ホ ワイ トホ ー ス
で 出会 った人 には、 人生で何が大切 な の か を見極 めて い る人が じ
▲ ユ ー コ ン川
つに多 かつた、 と言えばおわか りいただけるので はな いで しょうか。
(2)通 巻 1179暑
ゆ にゆ に
2012年 1月 27日 暑
ホ ワイ トホ ー スは 余裕 と活 気 に満 ちてお り、日 本 の 回舎 町 と
全 く違 い ます。 2 時 間 も歩 けば ダ ウ ンタウ ンを網羅 で きて しま
うほど小規 模 で ある にもかかわ らず、至る所 にカフェが あ ります。
ア ー ト系 のお 店 もた くさんあ る し、 本屋 も充実 して いる。 田舎
町 に漂 うさびれた雰 囲気 もなければ、 都市 のせ かせか した感 じ
もあ りませ ん。 こだわ りの店 の オ ー ナ ー たちは、 ユ ー コン育 ち
の 人 も いれ ば、他 所 か ら移 り住 んだ 人 も いる との ことで す が、
いずれにしても、資本主義的価値観 とは異質なものの考え方を持っ
ていました。
▲午 前 8:50の キ ャ ンパ ス
人生で何が大切なのかを見極 めて いる 一一 それは、YCの 教
職員 と話 して いるときにも感 じました。
た とえば、リ サ ー チセ ンター のセ ンター長。 ユ ー コ ンで生 まれ育 つた彼 は、故郷 を離れて大 学教育 を受 け
研 究者 としてキ ャ リアを積ん で い ま したが、 数年前 に戻 つてきたそ うです。 リサ ー チセ ンター には環境分野
の プ ログ ラムが い くつ か あ り、 他 の 大学か ら共 同研 究 者が訪
れ るほ どす ぐれ た研 究 がな されて い るよ うです。 で も、 ここ
はカ レ ッジ。1 ∼ 2 年 生 しかお らず、 最先端 の研 究 を教育 に
還元す る環境 にはあ りませ ん。 また、研究 者 と して の 高 い社
会 的 ・国際的評価 も期待 で き ませ ん。 共 同研 究 や地域連携 に
つ いて熱 く語 るセ ンター 長 の話 に耳 を傾 けなが ら、 「どうして
▲コー コンカレッジの昼休み
もっ と大 きな大学で研 究 な さ らな いので すか」 と思わず 訊 い
て しまいました。すると、 「
小規模だか らアイデアをす ぐに実
こと
ので
に
ができる
す
行 移す
」 と即答が返ってきました。
Y C の 学長は、カ レッジをユニ ヴァー シテ ィにしようとい
う構想 を抱 いているよ うですが、教員 の反応 は い ま いちだ とか。 小回 りの き く小規 模 の 良 さを多 くの教員が
誇 りに思 つて いるので しょう。
研究成果 を地元が必 要 とす る知識や技術 として提 供す る 一― そ のよ うな考 えが YCで の研究生活 を選 ん
だ人たちに共 有 されて い るので しょう。 研究業績 をあげよ うな どとい う考 え とは無縁 で、 大学 ランキ ング も
問題 にせ ず、地域 との連携 、地 域 へ の貢献 こそが 自分た ち研究者 の ミッシ ョン、 と語 るセ ンター長 の研究 ヘ
の情熱 と場所 へ の想 いに接 し、 同 じく研究 に従事 し地 元 ・石川育ち の私は多 くの ことを考 えさせ られ ま した。
さて、 ここで驚 きの事実 をひ とつ。 みな さんはいつ も何時 に帰宅 しますか。遅 くまで大 学 に残 っている方
は 少な くないで しょう。YCの 定時 は 5時 だそ うですが、残 業す る 人はほ とん どいな い との こと。職員だ け
ではな く、実験装置がキ ャ ンパスにある研究者 も定時 には 帰宅す るそ うです。 家族や友人 と過 ごす時間が大
切だか ら残業は しない 一一 何が大切か を見 極 めて い る人たち、価値観が ぶれな い人たちな のです。
「
東京 の学生はホームステイ先で、毎晩家族そろって食卓を囲むという事実に衝撃を受けるようです」 と、
Y C の 英語研修 コーデ ィネーターが話 して くれました。家族や友人 との時間を何よ りも大切にするユー コン
の人 々。そ ういう人たちとの出会 いは、現代の都市生活 のあ り方を再考する貴重な機会 となるにちがいあ り
ません。
最後 に、ユー コンといえばオー ロラ。冬はオー ロラがきれ いに見えるのでは… と大 いに期待 していたので
す が、曇 りや雪で難 しいそ うで、 私 も残念なが らチ ャ ンス に恵
まれ ませ んで した。 オ ー ロ ラが もっ ともよ く見 えるのは、 なん
と 9 月 中旬 との こと。本学学生 を対 象 とす る英語研修 は 9 月 を
考 えて い るので、 オー ロ ラを見 る確率は高そ うです。
自然 での 経験や 人 との 出会 い を とお して、 人生 で何 が大切 な
の か を考 え させ られ る場所 一一 ユ ー コンは まさ しくL a r g e r
t h a n L i f e l 学生 にも行 ってほ しい けれ ど、人生の壁 に直面 し
て い る 中高年 の方 々に とくにオスス メの場所 です。
▲サ ンタクロースご夫妻 と一緒 に
2012年 1月 27日 暑
ゆ にゆ に
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徹し
通巻 1179暑 (3)
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水 口 亜 紀 ( 地域 連 携 推 進 セ ンタ ー )
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地域連携推進セ ンター の 「
里山里海プ ロ ジェク トJ を ご存知 ですか ? 能 登半島 の 先端 ・珠洲市 の 「
能登
学舎」 を拠点 に、 能登 の地域振興 を 目指 して人材養成な ど複数 の事業 を展開 して い ます。
里 山里海 アクテ ィビテ ィJ は 、 能登 をフィー ル ドに、里 山里 海 を活用 した教育や
私 が担 当す る交流事業 「
交流活動 の企画運営、 コーデ ィネー トを しています。例 えば、金 沢大学 であれば 共通教育 の里 山/ 里 海体験
実習や、地域創造学類 のエ クス カー シ ョン、留学 生の体験 ツアー な ど。 県外 では、 長野大学 の環境 ツー リズ
ム学部 の実習 、滋 賀県 立大学 の 合宿、」I C A の 里 山研修 な ど、 さまざまです。
先 日は、輪島 の 金蔵 とい う棚 田が美 しい里 山集落 で、 「
能登 のお コ メ産地訪問ツアー J と 題 して 1 泊 2 日
の 企画 を実施 しま した。 参加者は学 生、教 員、行政 マ ン、研究者、 N P O 関 係者 な ど多彩 な 顔ぶ れ。
1 日 目は 「
棚 田米 の 食 べ 比 べ」 をテ ー マ に、 奥能登 で ウマイ と評判 の 3 集 落 の米 をマ ジメに鑑定 ( の真似
事) 。 ご飯 に合 う地元 のおかず を肴 に、 地元 の方たち といろんな話 を しなが ら夜が更 けて い きま した。
2 日 目は、 国 の神様 に稲 の収穫 を感謝 し 自宅 で もてなす 伝統行事 「
アエ ノコ トJ を 体験学習。観光化 され
た もので はな く、地域で 普通 に、 各家庭 で行 われて い る実際を垣 間見 る ことがで き、参加者 のみな さんは も
ちろん、 私 自身 にとって もたいへ ん貴重な機会 とな りました。
●アエノコ トの授業●
▲ 2時 間 目の準備体験
1 0 寺間 目
「
あえのこと」基礎講座
2時 間目
3時 間目
日の神をお迎えする準僑体験
日の神様をお迎えする東習
給
あえのこと風ランテ
食
4 0 寺間目
「
金蔵のあえのこと」調査実習
ー
ー
ホ ムル ム : ン ェアの時間
▲地域 の 食材 を使 った
御膳 料理
▲ 4 時 間 自は地域 の方 を
訪ね てお話 を聞き ま した
里 山 の 美 しい 風 景 を生み だ して い る 「
農 業J 。そ の 中心 で あ る 米 づ く りか ら、 里
つ
い
の
い
い
山 未来 を な で ければ と願 って ます。 そ こで 、 この 金蔵地 区 で は、 今春 か
ら一 般 参 加 型 で 米 づ く りを行 い ます。 ご興 味 の あ る方 はお気 軽 にお 問 い 合 わ せ くだ
さ い。
▲ 1 日 目は棚 日米
食 べ此 ベ
そ の ほか、ゼ ミやサ ー クル の 合宿 , 実 習、研 究会や研修 、 視察 な どの コーデ ィネ ー トもお手伝 い します。
能登 で 自然 と共生 した暮 らしや、里 山里海 の癒 しを体感 しませんか ?
⇒ イベ ン ト情報 はH P 、 ブ ログを ご覧 くだ さい。
httpソ/crlib kanazaぃFa u aCjp/activity/
●参力Bされた方のご感想●
あ宅訪問な どを通 じて、地域の多 くの世帯が高齢の夫婦のみ
や単身 で暮 ら していることを改 め て矢0り、村落 さら│こ
は 「あえ
のこと」のような 行事 を存続 してい <た め │こ
何 ができるかとい
うことを、 よ り身近な問題 と感 じた。 (人文学類 :宮 下博幸)
初日の夜、農家さんといっしょに食事 し、米づ< り の苦労│ こ
限らず、普段の生活や者えていることにつ
いて、あれこれ話が聞│ す
たのが印象│ こ
残 つた。 2 日 目は盛りだ< さ んの内容かつ参力0 ・添験型でよかった。
ー
:
佐
( 外国語教育研究センタ
藤文彦)
(4)通
巻 1179暑
ゆ にゆ に
2012年 1月 27日 暑
BAR SHIRASAGI
松田 洋 介
今回は、新天地 にある B a r S h i r a 理1 を紹介 します。 ラブ ロ片町 の憂偵1 から新天地 に入 り、左 手 に 「
火 ― 卜」
や 「
赤城」 を横 日に少 し進む とぶ つ か る分岐点 に位置す る 白い扉 のお店 で す。新天地、それ も外か ら店 内が
覗 けな いので 、慣れて いな い 人には 少 し勇気が必要か もしれ ませんが、思 い切 って扉 を開けてみて下 さい。
優 しいマスター が 丁寧 につ くりあげた、 緩やか で落 ち着 いた空間がそ こに広 が って い るはずです。
店 内 の灯 りはキ ャ ン ドル ベ ー スで ほの暗 く、 白壁 には常 に名作映画が投写 されています ( 座席数はカウン
ター が 6 ∼ 7 席 、テ ー ブルが 7 ∼ 8 席 程度 で しょうか) 。先 日は、 1 9 2 0 年 代 の ドイツ映画 「
最後 の人」 が
上 映 されて い ました。 マ ス ター とのぽ つ りぽ つ りとした会話 を楽 しみなが らグ ラス を傾 けて い る女性、 同窓
会 の二 次会 で 来た のか昔話 に興 じる 6 人 組。思 い思 いに過 ごして い ます。 隠 れ 家 のよ うな 2 F に は さ らに幻
想的な雰 囲気が広 が つてお り、広 い窓か ら、新天地 を行 き来す る人 々 を上か ら眺 めなが ら過 ごす こともで き
ます。 そ の洗練 された空 間 を見 る と、 自らが発信源 とな り、金沢 の街 の文化 をつ くって い こうとい う思 い も
感 じられ ます ( 実際 にマスター は 「
白篤 美術J と して活動 もされて い ます) 。
このよ うに書 くと、 自意識過剰 の客 が集 うオサ レ志 向 のお店か と思 う向 きもあるか もしれ ませんが、 決 し
てそ んな ことは あ りませ ん。客 層は雑多 で、 ( チ
F 若年) 女 性 の一 人客 も多 く、 皆 、適 度 に緩 い。常連 でな く
て も問題な しです。そ の 日は寒か つた ので、ホ ッ トワインとホ ッ トウ ィスキ ー を飲み ま した。 暖 ま りました。
深夜 1時 を過 ぎて い ま したが、 店 内 には まだ人が 残 つて い ま した。
イ
`
☆★ B A R S H l R A S A G I D a t a ☆☆
住 所 : 金沢市片町 2 - 4 - 1
T E L:076-231-4550
営業時間 : 2 0 : 0 0 ∼ 翌 日2 : 0 0
火曜定休
※場所の詳細は
http://www kanazawa ntenctt
s怖
com/
を ご覧ください。
*編 集 後 記 *
『ゆにゆに』 新年号 をお届 け します。 新年会 でお 配 りした いので、 と い う強引なお 願 いに、短
い時 間 で 素敵 な 原稿 を書 き上げて くだ さった 結城 さん、 水 回さん、 松 田さん ( 掲載 順) に この
場 をお借 りしてお礼 を申 し上 げ ます。 ご紹介 いただ いた のは、 どれ も′
い惹かれ る場 所。 お 忙 し
い方 も、ぜ ひ 2 度 目の初夢 ( ? ) で 訪 れ、大人の休 日を楽 しんで いただ ければ と思 い ます。 ( K )