新潟県立看護大学看護研究交流センタ一年報

新潟県立看護大学看護研究交流セ ンター年報
新 潟県 内の訪 問看護 ステー シ ョンにお ける在 宅療養 支援診療所
との連携 に関す る研 究
藤川 あや,飯 吉令枝,小 林恵子,平 澤則子
新 潟県立看護 大学
キ ー ワー ド:訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン,在
宅 療 養 支 援 診 療 所,連
携
目的
在 宅 療 養 を 可 能 に す る 条 件 と し て,住
民 の8割
以上が
「
家 族 の 理 解 と協 力 」 「
往 診 医 の支
援 」「
訪 問 看 護 ・介 護 の 整 備 」「24時 間 の 相 談 機 関 」が 必 要 で あ る と考 え て い る(浅 見 ら,2007).
24時
間 の 在 宅 療 養 を 支 え る た め に 往 診,訪
問 看 護 を 行 え る 体 制 が24時
間 整 っ て い る在 宅 療
養 支 援 診 療 所 の 機 能 は 重 要 で あ る(武 田,2007).
本 研 究 で は,新
潟 県 内 に お い て在 宅療 養 を 可能 にす る 条件 の一 つ で あ る訪 問看 護 ス テー シ
ョ ン と在 宅 療 養 支 援 診 療 所 と の 連 携 の 実 態 を 明 ら か に す る こ と を 目的 とす る.
研究方法
平 成20年11月
に 新 潟 県 内 の 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン99か
送 調 査 を 行 っ た.調 査 項 目 は,常 勤 換 算 職 員 数,24時
間 外 対 応,緊
急 訪 問 看 護 の 指 示,1年
示 書 を 受 け て い る 医 療 機 関(在
交 換 ・情 報 共 有 と した.分
数 ・自宅 で の 死 亡 数,意
定,t検
所 の 管 理 者 を 対 象 に,質
間 連 絡 体 制,24時
間 対 応 体 制,営
間 の 利 用 者 の 総 死 亡 数 と 自宅 で の 死 亡 数,訪
業時
問看 護 指
宅 療 養 支 援 診 療 所 ま た は そ れ 以 外 の 病 院 ・診 療 所)と
析 は,在
問紙 郵
の意 見
宅 療 養 支 援 診 療 所 か ら の 指 示 書 の 有 無 と利 用 者 の 総 死 亡
見 交 換 ・情 報 共 有 に つ い てSPSS16.OJforWindowsを
用 い て x2検
定 を 行 っ た.
倫 理 的 配 慮 と し て,研
究 対 象 者 へ 研 究 の 趣 旨 お よび プ ラ イ バ シ ー の 保 護,回
文 書 で 説 明 し,調 査 票 の 回 答 を も っ て 同 意 とみ な す こ と を 明 記 した.本
答 の 自由等 を
研 究 は新 潟 県 立 看 護
大 学 倫 理 審 査 委 員 会 の 承 諾 を 得 て 実 施 し た.
結果
回 答 が 得 られ た 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン は55か
職 員 数 は4.6±2.04人
か 所(76.4%)で
(92.9%)で
うち,在
で あ っ た.24時
あ り,そ の う ち24時
あ っ た.訪
収 率 は55.6%で
あ っ た.常
勤換算
間 連 絡 体 制 を と っ て い た 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン は42
間 対 応 体 制 を と っ て い る訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン は39か
問 看 護 ス テ ー シ ョ ン が 指 示 書 を 受 け て い る 医 療 機 関 の 総 数805か
宅 療 養 支 援 診 療 所 は88か
ス テ ー シ ョ ン が1件
所 で,回
所 で あ り10.9%を
占 め て い た.ま
た,約
所
所の
半 数 の 訪 問 看護
以 上 の 在 宅 療 養 支 援 診 療 所 の 指 示 書 を 受 け て い た.
在 宅 死 亡 率 に つ い て,在
宅療養支援診療所か ら 「
指 示 書 を受 けて い る」 訪 問看護 ステ ー シ
ョン が 「
指 示 書 を 受 け て い な い 」 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン に 比 べ 有 意 に 高 か っ た(表1).
在 宅 療 養 支 援 診 療 所 と意 見 交 換 ・情 報 共 有 を 行 っ て い る 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン は,76.9%で
−11−
情 報 共 有 ・意 見 交 換 の 内 容 は 「
本
人 の症 状 」 「
治 療 」 が9割
表1.在
以上 で
宅療養支援診療所 の指示書 と在宅死亡率の関連
あ っ た.「 療 養 に つ い て の 家 族 の
SD
在 宅 死 亡 率(%)
意 向」 「
療養 について
指示 書あ り
52.5
28.81
指示 書な し
33.5
30.62
P
*
の 本 人 の 意 向 」 「ケ ア の 内 容 」 「
看
取 り」 に つ い て の 意 見 交 換 ・情 報
在 宅 死 亡 率:在 宅 死 亡 数/総 死 亡数 ×100
t検 定*P<0.05
共 有 は 半 数 以 下 で あ っ た(表2).
表2.訪
問 看 護 ス テ ー シ ョン と 医療 機 関 との 意 見 交 換 ・情 報 共 有
考察
(複 数 回 答)
新 潟 県 内 の訪 問看 護 ステ
ー シ ョン が指 示 書 を受 け て
意見交換情報共有の内容
い る 医 療 機 関 の うち,在 宅 療
養 支 援 診 療 所 は1割
に とど
ま っ て お り全 国 と 同 様(堀 川,
2007)で
あ っ た.連
携 状況
を み る と,在 宅 療 養 支 援 診 療
所から 「
指 示 書 を受 け てい
る 」訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン の
在 宅 死 亡率 が 「
指 示 書 を受 け
て い な い 」訪 問 看 護 ス テ ー シ
ョ ン に 比 べ 有 意 に 高 か っ た.
在 宅 療 養 支 援 診 療 所 と訪
問看 護 ステ ー シ ョン の意 見
n=20
P
n=46
%
度数
%
本 人 の症 状
20
100
45
97.8
ns
治療
19
95
42
91.3
ns
療養 につ い て の 家族 の 意 向
11
55
35
76.1
ケ ア の 内容
10
50
27
58.7
ns
療養 につ い て の 本 人 の 意 向
9
45
30
65.2
ns
衛生材料
8
40
25
54.3
ns
往診依頼
7
35
19
41.3
ns
看取 り
6
30
16
34.8
ns
医療機器
5
25
20
43.5
ns
指 示 書 の 内容
5
25
16
34.8
ns
入院
4
20
17
37.0
ns
ⅹ2検
定ns non-significant
人 の症 状 」 「
治療 」 に つ い て
以 上 で あ っ た.し
族 の 意 向 」や
問 看 護 ス テ ー シ ョ ン は,在
高 め る た め に,「 療 養 に つ い て の 本 人,家
†
†P<0.1
か し 「
療 養 に つ い て の 本 人,家
に つ い て の 情 報 共 有 は 半 数 以 下 で あ っ た.訪
のQOLを
以外の診療所
ま た は病 院
度数
交 換 ・情 報 共 有 を み る と 「
本
の 情 報 共 有 が9割
在宅療養支援
診療所
「
看 取 り」
宅 療 養 者 とそ の 家 族
族 の意 向 」 「
ケ ア の 内容 」 「
看 取 り」 に 関
す る 情 報 共 有 を 在 宅 療 養 支 援 診 療 所 と積 極 的 に 行 い 連 携 を 図 っ て い く必 要 が あ る.
文献
浅 見 洋,水
島 ゆ か り,金 川 克 子,他3名(2007):人
実 態 と住 民 意 識−
武 田誠 一(2007):新
第1報
中能 登 町 の 場 合−.石
川 看 護 雑 誌,4,11-18.
潟 県 内 の 在 宅 医 療 サ ー ビ ス 基 盤 に 関 す る 研 究−
宅 療 養 支 援 診 療 所 」 の 開 設 状 況 −.新
堀 川 尚 子(2007):「
口減 少 地 域 に お け る在 宅 終 末 期 医 療 の
新潟 県内におけ る 「
在
潟 青 陵 大 学 紀 要,7,74-85.
訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン に お け る 在 宅 療 養 支 援 診 療 所 と の 連 携 に 関 す る研
究 」 調 査 結 果 の 概 要.看
護,59(13),28-29.
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