2 アジェンダ Ⅰ.研究背景・内容 超軽量量産車実現のための リサイクラブル複合材料の開発と評価 Ⅱ.材料成形方法 Ⅲ.試験結果・考察 指導教官:高橋 淳 助教授 学籍番号:30739 氏名:塩澤 大 Ⅳ.結言 4 研究背景・内容 部門別最終エネルギー消費 部門別最終エネルギー消費 300 運輸(旅客) 1973年比(%) Ⅰ.研究背景・内容 250 民生(家庭) 200 民生(業務) 運輸(貨物) 非製造業(産業) 製造業(産業) 非エネルギー 150 100 50 0 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 年 出典:EDMC エネルギー消費、CO2排出を減らすには、運輸部門の 伸びを抑えることが重要。 1 輸送機関別エネルギー消費推移、CO2排出割合 5 輸送機関別エネルギー消費 (1012kcal) 600 輸送機関別CO2排出割合 Fuel efficiency (L/km) 消費エネルギー 鉄道 自動車 航空 88.0 海運 100 0 1965 内航海運 自動車 200 70 75 80 85 90 95 車体重量と燃費はほ ぼ比例関係。つまり車 体を半分に軽量化す ると燃費は2倍に 0.18 5.8 400 0.2 鉄道5.8 航空 3.4 85.4% 500 300 6 軽量化による燃費向上 00 年度 0.16 0.14 0.12 0.1 0.08 0.06 0.04 出典:EDMC 0.02 0 0 自動車の燃費改善が緊急課題 σf/ρ 1000 1500 2000 2500 Vehicle weight (kg) 7 軽量化素材 比強度 500 比強度比剛性比較 軽量化が 省エネ、CO2削減 に有効! 8 CFRTSの長所 軽量(密度:1.4 Mg/m3:鉄鋼の5分の1以下) CFRTS 高強度( 700 MPa ) 比強度:47 鉄の9倍 高剛性( 46 GPa ) 比剛性:0.22 鉄の3倍 40 30 チタン 軽量化素材として 鉄鋼 アルミニウム CFRTS(Carbon Fiber Reinforced Thermo10 Setting Resin):炭素繊維強化熱硬化性樹脂 GFRP が優れている! マグネシウム 20 0.1 0.2 比剛性 3√E/ρ 出典:Boeing社 出典:JAXA 出典:Olympus社 2 CFRTSの問題点 値段が高い リサイクルが難しい 成形に時間がかかる 9 CFRTPの研究課題 10 ① CFRTP連続繊維の量産化研究 ② ①の長寿命化(Reuse,Reduce)としてリペ ア・品質保証の研究 ③ ①のRecycle後の品質向上の研究 量産車には不向き 安価で迅速な生産ができ、リサイクル性に優れた CFRTP:炭素繊維強化熱可塑性樹脂 本研究では③を扱った が注目される RecycledCFRTPについて 11 短繊維ランダム配向CFRPPの問題点 12 研究対象とした材料 炭素繊維:2種類 ①使用済みCFRTSを破砕してCFを取り出したもの ②未使用の炭素繊維を6mmに切断したもの 樹脂 安価で安定した大量生産が可能。 リサイクル実績が豊富である。 →PP(ポリプロピレン)を使用。 →短繊維ランダム配向CFRPP(以下、ランダム材) CFとPPの界面接着性が悪く、繊維束に対する含浸性も 悪い。 →強度、剛性の発現率が低い 破壊が脆性的で吸収エネルギーが小さい ランダム材を補強することが必要 以下、①をCFRP/PP ②CFRPPとする 3 13 研究背景・内容 研究背景のまとめ 自動車用軽量新素材であるCFRTPの開発が急務 とされているが強度・剛性の発現が低く、吸収エネ ルギーが小さい。 Ⅱ.材料成形方法 そこで本研究では、PPをマトリックスに用いたCFRPP (炭素繊維強化ポリプロピレン)のランダム配向材の補 強方法を開発することにより、リサイクル可能な量産車 ※ 用超軽量素材の実現 を目的とした。 ※目標値として曲げ弾性率20GPa、曲げ強度200MPaを設定した。 15 補強コンセプト 16 模式図 ランダム材 25mm 100mm 外側から亀裂が入る 剛性・強度発現率の弱いランダム材を中間層にし、その表 面に発現率のよい一方向シートを貼りつけることで強化。 2mm ランダム材:弱い 一方向シート:強い シート厚:0.2mm 補強タイプ: ①両面 ②片面(引張側) ③補強なし 4 Ⅱ ランダム材 の作成 Ⅳ 一方向シート の貼り付け Ⅴ 準備 サイズ加工 加熱 成形 成形温度:230℃ ボイド抜き 加圧方法: 段階加圧法 5MPa 10MPa 20MPa 35MPa :1分ずつ 冷却:水冷による急冷 アニーリング:120℃で60分 Ⅲ 一方向シート の作製 加圧 冷却 アニー リング 40 250 35 Pressure, MPa I 材料の混練 18 Ⅱ.ランダム材の成形方法 200 30 25 150 20 100 15 10 50 5 0 Temperature, degree 17 材料成形方法 0 0 10 アルミ板 上板・下板 20 30 40 50 60 Processing Time, min 70 80 中枠 ホットプレス機 Ⅲ.一方向シートの成形方法 準備 成形 冷却 使用機器:ホットプレス機 ボイド抜き 成形温度:230℃ 加圧方法: 段階加圧法 5MPa 10MPa 20MPa 35MPa :1分ずつ 冷却方式:水冷による急冷 アニーリング:120℃で60分 アニー リング 19 Ⅳ.一方向シートとランダム材の貼り付け方法 20 準備 加熱 加圧 冷却 使用機器:ホットプレス機 成形温度:200℃ 加圧方法:15MPa 10分間 冷却方式:水冷による急冷 5 22 試験方法 3点曲げ試験にて評価を 行った。 Ⅲ.結果・考察 5 mm/min • 支持スパン:80mm • クロスヘッドスピード :5mm/min 80mm 23 荷重-変位曲線 300 Typical Expermental Data and Theory Reinforcement of CFRP/PP 250 CFRPP Load,N Reinforcement of CF/PP 250 Experiment (DSR) Experiment (SSR) Experiment (N/R) Theory (DSR) Theory (SSR) Theory (N/R) 200 曲げ弾性率 45 150 100 100 50 50 0 0 0 2 4 6 8 10 Displacement,mm 12 14 16 Experiment (DSR) Experiment (SSR) Experiment (N/R) Theory (DDR) Theory (SSR) Theory (N/R) 0 2 4 6 8 10 12 14 Displacement,mm 500 50 200 150 曲げ強度 Typical Expermental Data and Theory Flexural modulus, GPa 300 16 40 35 450 CFRP/PP CFRPP Flexural strength, MPa CFRP/PP Load,N 24 曲げ弾性率・曲げ強度 30 25 20 15 ギー(グラフの下の面積)は数十倍のオーダーで拡大 350 CFRP/PP CFRPP 300 250 200 150 10 100 5 50 0 破壊形態が脆性から延性へと変化し、ピーク荷重後の吸収エネル 400 0 NonReinforcemnt Single-Side Reinforcement Double-side Reinforcement NonReinforcemnt Single-Side Reinforcement Double-side Reinforcement 両面補強では、曲げ弾性率、曲げ強度共に、目標値(20GPa、 200MPa)を越え、実用化に向けて大きく前進した。 6 25 破断面の観察 Load,N 26 物性MAP Load,N 300 300 Typical Expermental Data and Theory Reinforcement of CFRP/PP 250 200 200 150 150 Experiment (DSR) Experiment (SSR) Experiment (N/R) Theory (DSR) Theory (SSR) Theory (N/R) 100 50 Reinforcement of CF/PP σf/ρ Experiment (DSR) Experiment (SSR) Experiment (N/R) Theory (DDR) Theory (SSR) Theory (N/R) 100 40 リサイクル材においても剛性では チタン 2 4 6 8 10 Displacement,mm 引張側 12 14 16 圧縮側 0 2 4 6 8 10 Displacement,mm 12 14 圧縮側 16 20 CFRTP マグネシウム 一方向/ランダムハイブ リッド材 0 0 CFRTS 鉄やGFRP等に対して軽量化代替素 材として利用可能 30 50 0 比強度比剛性比較 比強度 Typical Expermental Data and Theory 250 鉄鋼 アルミニウム 10 本研究の補強 GFRP 0.1 CFRPPランダム材 0.2 CFRP/PPランダム材 考察・まとめ 比剛性 3√E/ρ 27 非常に薄いシートだけで、大きな補強効果が ある。 →応力の最もかかる表面に、物性の高い一方 向シートを配したことが要因である。 両面補強と片面補強ともに、圧縮側シートか ら破壊が起きた。 →圧縮側により強い補強をすることで強度およ び吸収エネルギーの増加が期待される。 Ⅳ.結言 7 29 結言 結言 CFRPPランダム材と、CFRP/PPランダム材に、薄い一 方向シートを貼る簡便な手法を開発し、エネルギー吸 収、剛性、強度の向上に大きな効果があることを確認 した。 参考資料 本技術は、 ・超軽量量産車の実現 ・CFRTP及びCFRTSのリサイクル確立 に大きく寄与する技術である。 31 研究背景 地球温暖化の原因はCO2である Degree of contribution to the global warming of greenhouse gas in Japan 13.5 試験結果・考察 軽量自動車導入のシミュレーション結果(世界) →CO2排出を2/3∼1/4に削減 ■MA■ Degree of contribution to the global warming of greenhouse gas in Japan 1.4 0.4 6000 1.3 リファレンスケース 楽観ケース 悲観ケース 5000 2.8 4000 6.2 32 Mtoe 1.7 車両軽量化による 省エネ効果 FCEVによる 省エネ効果 3000 2000 19.8 60.1 CO2 メタン 一酸化二窒素 フロン その他 92.9 1000 0 2000 軽油ハイブリッ ド車による省エ 2010 ネ効果 2020 2030 2040 2050 year 8 33 • ボイド抜きについて • アニーリングについて 35 材料特性比較と軽量化率 Steel Hightensile steel CF/EP CF/PP (Vf30%) (Vf60%) Virgin Recycle Hybrid 7.8 7.8 1.53 1.16 1.16 1.16 Strength (MPa) 400 1470 700 230 130 200 Specific Strength 5.2 19.2 46.7 20.2 11.4 17.6 Young s Modulus(GPa) 206 206 46 30 10.5 20 0.077 0.077 0.218 0.273 0.193 0.239 36 CFRPリサイクルの必要性 • ライフサイクル全体を通しての 環境負荷の低減 Density Specific Stiffness 34 ボディ 450 素材製造 組立 走行 従来車 • CFRPによる鉄鋼部品の代 替 内外装 200 CFRP車 シャーシ 350 CFRP車 (3R) 0 20 40 60 80 エネルギー消費量(%) 素材製造段階での低コスト・省エネ化 100 エンジン他 250 電装他 100 従来車 1350kg -30% ボディ 225 内外装150 シャーシ 270 エンジン他 200 電装他 100 CFRP車945kg (内CFRP約250kg) 自動車リサイクル法(リサイクル率95%) への対応 9 評価方法 LCA 37 •目的 FEM解析で実証された軽量化効果によりどれだけ環境負荷を削減できるかを評価する。 •機能単位および基準フロー 乗車率30%、15年使用、43万キロ走行可能なバス1台 •システム境界 コスト 38 • 炭素繊維が1500∼2,000円/kg、 • 母材に樹脂としてよく使われるエポキシは汎用で450∼ 480円/kg、複合材料用で2,000∼3,000円/kg • PPは、 円/kg • 鉄鋼の材料費は450円/kg、アルミニウム800円/kg 素材製造段階、車体組立段階、走行段階 •環境負荷項目 エネルギー消費量 •素材製造原単位 Energy intensity(MJ/kg) Steel 33 CFRP 232 •燃費 Steel製大型バス 2.34km/L を基準に車両重量から求めた 10
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