20-40<問い合わせ回答>2009/01/16 【問合せ内容】 テーマ:JIS C 6802-2005 の内容について 概要: レーザクラス別措置基準関係について、使用者としてお伺いいたします。 ①JIS C 6802-2005 の31ページの 10.6「ビーム光路」の記載内容に「表 10」と記載され ていますが、その「表 10」はどこに記載されているのでしょうか。 ②JIS C 6802-2005 の 10.6「ビーム光路」の記載内容で、「適切な反射率と熱特性をもつ拡 散反射体又は吸収体」と記載されていますが、代表的な拡散反射体や吸収体の材質は、どのよう なものがあるのでしょうか。 ③初歩的な質問ですが、レーザー光線による眼・皮膚に対するAELが記載されていますが、眼に 対する個人防護対策として、レーザー用保護眼鏡(山本光学等)がありますが、皮膚に対する個 人防護対策として、JISの 10.9 項目保護着衣(難燃性耐熱材料という表現で)記載されていま すが、もしご存知で推奨するレーザー用保護手袋があればお教えいただきたい。 【回答①】 表 10 は p24~25 にあります。JIS C 6802(2005)の表は、表番号の順が出現ページ数の順通りに なっていません。 【回答②】 可視域のクラス 3R では CW の限界出力は 5 mW ですから、反射率が低い材料なら耐熱性は問題 になるパワーレベルではないでしょう。 クラス 3B では CW の限界パワーは 0.5W ですから、黒色梨地処理のアルマイト材料程度で終端 できるでしょう。 クラス 4 になると CW では 0.5 W を越すので、適切な反射率と熱特性を持つ拡散反射体又は吸収 体の選択には注意が必要です。IEC 60825-4 Ed. 2.0 Safety of laser products - Part 4: Laser guards の附属書 F「レーザガードの適合性評価ガイドライン」には、実験データが掲載されていま す。これによればアルミニウムシート、亜鉛鍍金鋼、ポリカーボネート(CO2 用)などが実験に供 され、数 kW まで、照射時間 10 s、100 s など、スポットサイズを数種に設定した貫通時間などの データが掲載されています。一概に最適材料がどれであるとは特定できないので、これらのデータ を参考に、利用条件で満足できる材料を個別に選択する必要があるでしょう。概してアルミニウム よりまた樹脂材料であるポリカーボネートより亜鉛鍍金鋼板が耐久性に優れているようです。高出 力ビームでの金属表面からの反射を低下して吸収体として用いる場合は、鋼板板材を V 溝構成にし て谷部分でビームを終端することで吸収率を V 溝内の内面でのビームの多重吸収現象によって向上 できます。 上記 IEC 60825-4 を入手されたい場合は IEC または日本規格協会から購入してください(いず れも Website から購入可能)。 【回答③】 特に指定された規格の手袋は無いでしょうが、パワーレベル、作業目的に応じてレーザ光をでき るだけ直接通過させない材料で製作されたものがよいでしょう。保護着衣では織り方が緻密な不燃 性で、万が一発火しても類焼しないで、有害ガスの発生のない布地で、光の透過率が小さくできた ものがよいでしょう。また、UV レーザの場合は保護具の表面から反射して周囲に散乱光を放出し ないためにも光吸収性に優れ、表面からの 2 次反射光の低いものが障害防止の点からも大切でしょ う。 UV レーザ光に対しては顔面被ばくも防止することが大切でしょう、このためには目に対する保 護めがねに限定しないで顔面全体をカバーする遮光マスクが必要でしょう。 これらの保護具は皮膚又は目に対する最大許容露光量(MPE)が JIS C 6802 で制定されている ので、その値を超えない値にまで光減衰作用を有する性能であることが要求されます。皮膚に対す る MPE は JIS の表 8、目に対する MPE は表 6 に提示されています。その MPE 値を超えないこと、 UV の被ばく量は放射露光( J/m2 )で与えられているので露光時間が長時間の場合には積分され て MPE 値に達するので注意が必要です。 以上
© Copyright 2024 ExpyDoc