SEMI News

SEMIの最近の活動から
今年も早7月、SARSやイラク戦争で厳しい状況下にあった昨年の同時期に比べ、今年
は格段に明るい環境下で後半を迎えることができました。イラク暫定政権への主権移
譲も予定より2日早く6月28日に完了し、新生イラクに向けての歩みが開始されました。
月初に発表された6月の日銀短観によれば大企業の業況判断指数は約13年ぶりの高水
準を示し、景況感はバブル崩壊後の最高レベルに回復したとのこと、しかもこの回復の
重要な要因の一つがディジタル産業の旺盛な需要とそれに伴う設備投資、さらにそれを
支える半導体・FPDを中心とするハイテク製造装置の顕著な需要増と考えられていま
す。SEMI業界にとっては何よりの吉報であります。
かかる追い風の中、SEMIの各イベントも順調に推移しており、昨年SARSで中止とな
ったSEMICON Singaporeも今年は予定通り5月に滞りなく開催されました。FPD
Taiwanは今年より会場を新竹より台北の世界貿易センターに移し、PIDA (台湾の(財)
光電科技工業協進会) との共催で6月9日より12日までの4日間に亘り、昨年比約2.3倍
の560小間を擁しての開催となりました。近時の台湾における液晶パネルメーカーの
相次ぐ巨額投資を反映し、大変な活気に満ちた展示会となり、特に台湾のパネルメーカ
ー上位5社が競って展示したパネルゾーンは会期中のほとんどが来場者で埋め尽くされ
ました。台湾の液晶産業の活況と今後のさらなる躍進の可能性を如実に反映した展示
会となりました。
その翌週、6月15日より17日にかけて大阪のグランキューブで開催致しました第4回
SEMI FORUM JAPAN (SFJ)は、延べ1,630名の参加者を得て盛況裡に開催されまし
た。初日冒頭の基調講演はシャープの三坂副社長にお願いし、今や日本におけるほとん
ど唯一の大型パネルメーカーとなったシャープが、何故に日本でのモノ作りにこだわる
かにつき、歴代社長の経営哲学や事業戦略を俯瞰しつつ、選択と集中、開発力重視、擦り
合わせ技術、オンリーワン商品戦略等々の基本施策を中心に縦横無尽に語っていただき
ました。関西色が色濃く滲み出た、熱い思いの本音が飛び交ったエグゼクティブシンポ
ジュームとそれに続くパネル討論も大変な好評を博しました。詳細は別項をご参照く
ださい。
さて久々に活気に満ちた中で、後半の最初のSEMIメインイベントであるSEMICON
Westを迎えましたが、今年のWestでの特筆事項はなんと言っても、恒例のSEMI会員
年次総会において東京エレクトロンの東哲郎会長が日本からの3人目のSEMI会長に就
任されたことであります。日本の半導体産業の復権が再び世界の熱い注視を浴びる中
での日本からの選出で、SEMIジャパンにとっては真に喜ばしいことであり、心からお祝
い申し上げる次第であります。副会長にはMetron Technologies社のEd Segal会
長、新役員にはAir Products & Chemicals社のArthur Katsaros副社長、Lam
Research社のSteve Newberry社長、Novellus Systems社のThomas Dennis副
社長の三人が就任いたしました。
また、8月11日から13日の三日間、昨年SEMICON Singaporeに続いてSARSで中止
となった中国での初めてのFPD総合イベント FPD China を昆山 (Kunshan)にて開
催いたします。展示会に加え、市場セミナーや交流パーティー等、多彩な併催行事も予定
されています。多数の皆様のご参加をお待ち申し上げております。
8月のアテネオリンピックも目前に迫り、秋のアメリカ大統領選挙に向けたブッシュ、ケ
リー両候補の戦いもますます熱気を帯びています。世界経済も日本経済もこのスポー
ツと政治の2大イベントを控えますます活況を呈することは間違いありません。
どうか皆様折角ご自愛の上、夏の暑さを吹き飛ばされ、この熱気に満ちた日本経済の真
っ只中でますますご活躍されますことを祈念申し上げます。
SEMIジャパン
代表 内田 傳之助
2004, 7-8
Contribution Article
SEMI会長 就任にあたり
−イノベーションとニューフロンティアスピリッツの強化を目指して−
東京エレクトロン株式会社 取締役会長 東 哲郎
この7月よりSEMI会長に就任いたしました。皆様、宜しくお願
SEMIは、SEMICONショー、スタン
いいたします。ニコン会長の吉田さん、ディスコ会長の関家さ
ダード活動、そして半導体産業の
んについで、日本人としては3人目の会長就任となります。お二
グローバリゼーションサポート活動
人によるこれまでのSEMIへの貢献があればこそという認識を新
を通じて、半導体および関連産業の発展に大きく貢献してまい
たにしており、是非とも、歴代の会長に負けないよう、良い仕事を
りました。SEMICONショーは元来、まさにこの業界の命である
したいと思っております。
技術イノベーションを世の中に形として出現させ、英知を競い会
2001年のITバブル崩壊以降、低迷の続いた半導体設備投資も、
う祭典であり、お客様は競い合ってそれらの技術を採用し、半
昨年秋口より本格的に回復してまいりました。また、半導体の売
導体業界は大きく成長してまいりました。また、成功したイノベー
り上げに関しても、今年度は過去のピークを凌駕する勢いとなっ
ションの担い手は、大きな利益を得て富を蓄積し、次の開発へ
ています。PC、および携帯電話の買い替え需要増加に加えて、
と向いました。スタンダード活動はこのイノベーションを軸に標準
新興地域における需要増加、また、デジタルカメラ、DVDレコー
化を促進し、製造装置メーカー、部品メーカー、材料メーカーか
ダー、薄型テレビに代表されるデジタルコンシューマー製品の需
らなる半導体固有の業界を生み出し、その健全な発展を促し
要が一段と勢いを増しております。私は、これは多少の山谷を
ました。そしてグローバリゼーションは、このイノベーションを新興
経て将来生じる大きな飛躍の前触れと考えております。
地域へと拡大する動きであり、富の蓄積を世界的なものといた
下の図にあるように、半導体のビジネスは数年のレンジだけで見
しました。私はここに我々半導体産業の原点、エネルギーの源
ると、山谷のサイクルを繰り返すだけで、大きな成長がないよう
泉があり、また、SEMIの重要なミッションもここにあると信じる
にも見えますが、より大きなレンジで見ると、マーケットの索引力
1人であります。
となる主要アプリケーションが変わるたびに、数年の準備期間
21世紀に入り、半導体のアプリケーションはメインフレーム、PCに
を経て過去のピークを超える大きな成長が到来するというサイ
よるコンピューターの世界から、人間1人1人がもつ知覚とコミュ
クルを繰り返しながら、次のステージ、その次のステージへと力
ニケーションの世界へと大きく転換しつつあり、多方面に渡る大
強く成長していることが見てとれると思います。成長率は、マー
きなイノベーションがこれまで以上に必要な時期にきております。
ケットが小さい時期に比較して鈍化しているものの、ある程度成
それは、従来技術の延長線ではなく、いわゆる破壊的イノベー
長した大きなマーケットで10%程度の年平均成長率を保持して
ションと言えるような変革であると考えます。単なる改良、改善、
いること自体、他産業に比べ極めて大きな成長力を内在した産
機能追加だけでは装置が一層複雑化し、差別化の力も弱くな
業であると考えています。人類の英知が新たな技術イノベーシ
り、競争力低下、利益率の低下をもたらします。しかし、一方で
ョンを促し、新たなマーケットを創造しているのであります。技術
半導体産業はここまで述べたような問題に直面してはいるもの
開発の蓄積、新たなマーケットへの熟成期間をあまり悲観的に
の、各方面で新たな技術イノベーションが脚光を浴びてきてい
見るべきではないと思います。
るのも事実です。
私は、今年度、SEMI会長に就任するにあたり、この産
Market into a New Stage of Growth
業のエネルギーの源泉であるオリジナルスピリッツ
「Challenge for Innovation」 を軸に、SEMIの活動を
充実させていきたいと考えます。また、当面、光を当
(Billions of U.S. Dollars)
60
てるべきニューフロンティアとして、アプリケーションで
Wafer FAB equipment marker
50
New
applications
40
ットなどの半導体、FPD関連アプリケーション、技術面
では、これらのアプリケーションを強化する半導体、
Preparation period
30
Personal
computer
Mobile phone
Mobile device
FPD新技術に加えて、MEMS、Nanotechnologyを視野
に入れたいと思います。地域としては、アジアからさ
20
Mainframe
computer
10
0
は、モバイル、デジタルコンシューマー、自動車、ロボ
Preparation period
らにBRICsと呼ばれるような他の新興地域にも注目
したいと考えます。「イノベーションとニューフロンテ
82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04(E)
ィアスピリッツ」、そして皆様のご発展を祈念して、就
任の挨拶とさせていただきます。
7-8, 2004
1
SEMI FORUM JAPAN 2004 Report
「SEMI FORUM JAPAN 2004」レポート
-テジタル家電、自動車分野に焦点をあて、日本の半導体事業戦略のあるべき姿を議論去る6月15日
(火)
∼17日
(木)
の3日間、大阪市のグランキューブ大
●液晶テレビの事業展開
−2005年 国内テレビを全て液晶に−
阪(大阪国際会議場)で開催された第4回 「SEMI FORUM
当社は、シャープペンシル開発以来、ラジオ、テレビ、電卓、ビデ
JAPAN
(SFJ)2004」 は、3日間で19のプログラムおよび9つのス
オ、液晶ビューカム、ザウルス、最近は液晶テレビに挙げられる
タンダード関連会議に業界関係者延べ1,630名の参加を得て、
新しい商品を、「日本初・世界初」 を念頭に開発してきた。
成功裡に閉幕した。第4回の開催となる本年も
「IT System &
液晶テレビにおいては、現在、45インチの液晶TVをフルハイビジョ
ULSI Technology」
をテーマに、今後のビジネス拡大が期待される
ンで622万画素のデジタル対応を可能とし、当社がテレビについ
テジタル家電、自動車分野に焦点をあて、日本の半導体事業戦
て当面考えている最大規模をラインナップに加えた状況である。
略のあるべき姿が議論された。また、日本半導体ベンチャー協
それまで、テレビはブラウン管等の基幹部品を外部から購入、
会(JASVA)、SSIS半導体シニア協会、応用物理学会、半導体
ブラウン管の価格がコストの4割を占めていた。基幹部品を外
業界ソフトウェア供給会社交流会
(VANS)
よりも協賛・協力を受
部に依存していては、なかなか当社のブランドイメージが上がら
け、これら各団体が主催するプログラムも開かれた。
ない。そこで 「基幹部品であるディスプレイを液晶にして、2005
初日6月15日の 「SEMI/JASVA基調講演会」 では、液晶TV等
年までには当社が国内で販売するテレビを全て液晶に変える」
のデジタル家電分野をリードするシャープ株式会社の代表取締
と内外に表明し、液晶テレビの事業がスタートした。20インチの
役副社長 三坂重雄氏をお迎えした。
液晶テレビを発表した時、当社が初めてテレビを開発してちょ
同日午後のエグゼクティブシンポジウムでは、ゴールドマン・サッ
うど50年であった。1973年に電卓の低消費電力のディスプレ
クス証券 松橋郁夫氏、日本アイ・ビー・エム 岩野和生氏、ルネ
イとして液晶を採用、1ライン8桁の白黒の表示として実用化して
サスソリューションズ 林義弘氏、松下電器産業 河嶋和美氏、
以来、長年に渡って基礎的な研究開発を行い、さまざまな所に
三洋電機 春木俊宣氏の五氏(講演順)
による講演と、同メンバ
実用化されてきた。そのような状況の中で 「2005年にテレビを
ーによる
“新世代アプリケーションに向けた半導体ビジネス”
と
液晶に全部変えよう」 というトップのビジョンの元に動き出し、
題したパネル討論が行われた。
また 「家電の王様であるテレビを、当社のブランドイメージを上
本稿は、基調講演の内容を、事務局にてまとめたものである。
げるために1∼2の地位へ持ち上げよう。そのためには、基幹部
■SEMI/JASVA基調講演会:「シャープの事業戦略 デバイス/
品である液晶を自分たちで作り、実用化する」という考え方が、
デジタル家電」シャープ
(株)代表取
全社開発部隊を含め意思統一されて、液晶テレビが実用化さ
締役副社長 技術・情報通信事業統轄
れた。本格的な液晶テレビが1999年にスタート、ちょうど液晶を
三坂 重雄 氏
実用化して以来30年目の2003年に、白黒8桁ワンラインディスプ
●「ナンバーワン」
より
「オンリーワン」
レイが、カラーのテレビになった。
「経営トップのビジョンを末端の
を目指す
社員にまで伝えて全体のベクトルを合わせてモノ作りをする」こ
当社は創業92年目であるが、家電商品
の理念により、今日のフラットパネルディスプレイの中で当社の存
から、電卓をはじめとする情報関連機器、
在感が示せているのではないだろうか。
携帯電話を含めた通信関係機器で事
●IC事業
業領域を次の戦略で拡大してきた。
もう一つ当社の垂直統合の戦略を行っていく中で、IC事業がある。
−選択と集中−
・1912年創業当時は、シャープペン
当社のICは事業規模としては生産高が今年で3,000億を若干
シルの開発やベルトのバックルなど金属加工でスタートし、「他
下回る程度、これまでランキング20位くらいで、特に世の中に知
社に真似される商品作り」 を念頭に置いていた。
られている訳ではなかった。「当社のIC事業は液晶を中心に
・2代目社長は 「新たな需要の創造」 を主眼に置き、マーケッ
トの拡大を目指した。
・3代目社長は「ユーザーの目線に立った商品」をスローガンに、
商品開発を行った。
・98年に4代目である現社長(町田氏)
が就任した時は、バブル
家電商品、特にテレビ分野で事業展開をして行こう」 と決めた
1998年の当社営業利益に占めるICの比率は、なかなか採算の
取れない液晶に比べ、それなりに利益をあげていた。設備投
資の面では、1998年当社の設備投資全体を100にした場合、約
43%をICに、24%を液晶に投入していた。しかし、2004年に向
が崩壊後、不況の真っ只中に突入した厳しい時期であった。
け、テレビ、液晶モニター、ノートパソコンその他モバイル用の製
「世の中にないもの、他者に真似される製品を作ろう」 と原
品に液晶を応用していく、液晶中心へと舵を切り替えた時、当
点に回帰し、「オンリーワン商品戦略」 を主眼に置き、独自技
社の事業規模では液晶とIC両方に設備投資をする余裕がな
術にこだわったモノ作りを目指し、現在に至っている。
く、ICの設備投資を液晶にシフトした。このような状況の中で当
2
2004, 7-8
SEMI FORUM JAPAN 2004 Report
社のICをどのように生き延びさせ、さらに当社の内需の製品に
貢献するのか?いわゆる「選択と集中」 を行おうと、“生産”に
重点を置いていたものから、“開発力”
を重視、“How to”では
なく
“What”に重点を置き、“What”の分野でホームとモバイル
に重点を置くと定めた。それまでの多様な半導体から、フラッ
シュメモリー、液晶用のLSI、CCD、CMOSイメージセンサーなど
に集中して商品開発をし、それがいろいろな応用製品に使われ
始めた。特にフラッシュメモリーについては、携帯電話をはじめ
とするモバイル機器製品の小型化に大きく貢献できた。CCDや
CMOSイメージセンサーは、デジタルカメラやカメラ機能が搭載さ
れる携帯電話で有効に働いてきた。
のなかなか目が出ない時期があった。しかし、携帯電話の白黒
また、必要なシステムLSIは自社開発しているため、ウェーハの大口
ディスプレイしか使えなかった時期に当社はカラーSTN液晶を
径化や微細化は重要な問題である。これまでは、「何を作るか」、
携帯電話に搭載し、これがディスプレイのカラー化に火をつけ
また需要からの強い要請があった上で供給能力を高めていたが、
た。だが、マーケットが非常に大きく、当社の供給能力が不足し
今後は当社としても300mm、90nmの加工技術が必要になってき
た。デバイスビジネスを行う時はスタート時点で供給能力を十
た。「どのように微細化を含めた生産能力を高めるか」 という観
分に持たなくてはいけないということも身に染みて経験した。そ
点では、需要に合わせて、できれば細かく刻みながら供給能力を引
れ以後もっと精細度の高い液晶を載せたいというニーズが生
き上げたいと考えている。我々の事業規模/キャシュ・フローの範囲
まれ、2000年にはTFT搭載の携帯電話ができ、さらに現在は高
内で設備投資ができ、かつ300mm、90nm以降の能力をどのように
精細CGSの液晶が搭載された。これが国内外で大ヒットして、
持つかが、当社にとってのIC事業における重要なポイントであり、ミ
現在の日本国内では携帯電話のほとんどのディスプレイがカラ
ニファブの構想を含め、いろいろな対策を今講じている所である。
ー化、また海外でも猛烈なスピードでカラー化が進展中である。
●システム液晶
−中小型液晶の領域での重点分野−
もう一つ、携帯電話にカメラを搭載したモバイルカメラを作り、カ
次に液晶のもう一つ重要な分野について説明する。液晶には
メラ付き携帯が、以後の携帯電話の需要に大きく火を付けた。
大型液晶と中小型液晶、2つの分野があり、大型液晶に視点が
このように、携帯電話の中に当社の液晶、半導体がうまく相乗効
集まりがちであるが、実は、当社は中小型液晶の領域が非常に
果を持ち、現在ではある程度の国内シェアを得られており、またこ
大きな比重を占め、シェアを持っている。低価格STN、TFT液晶、
れに関連したデバイスも外部のユーザーに採用いただいている。
CGS(低温ポリシリコンの技術に近い効果があるプロセスで、コ
●デジタル家電市場の成長と日本の強み
ンティニュアス・グレイ・シリコンの略)、の3つのプロセスで中小
現在、新三種の神器と言われている、薄型テレビ、DVD、デジタ
型液晶事業を展開している。中小型液晶はICで言うとシステム
ルカメラ。これらは急成長し、第一次IT革命から現在デジタル家
LSIに近い商品であり、現在、液晶の中心であるアモルファス液
電による家庭・個人中心の第二次IT革命に変わりつつある。第
晶は、液晶ドライバと液晶コントローラを介してCPUとさまざまな
一次IT革命はパソコン、携帯電話を中心に大幅に普及が進み、
表示情報をやり取りする。この液晶ガラスの上にドライバ、液晶
限界普及率に近づいた。しかし、現在は新三種の神器に代表
コントローラーを内蔵し、この上に将来はCPUとしての機能を実
されるデジタル家電が家庭・個人向けに大幅に上向きつつあ
現し、それにより消費電量を下げるなど、いろいろなことができ
る。第一次と第二次のIT革命の本質的な違いは、パソコンや
る。さらにはドライバ、CPU、オーディオ機能などをモノリシック
(一
携帯電話などは、それまでになかった“全く新しいもの”
を生み
元的)
にガラスの上に実現する、いわゆる中小型液晶ディスプレ
出したが、第二次は既に形成された非常に大きな需要を、新た
イのシステムインテグレーションが実現できる。さらにこれを進
なデジタル化した技術で置き換えるということである。現在日本
め、それが携帯電話、デジカメ、PDAに搭載されて、小型薄型
国内だけで1億台あるといわれるTVが、仮に年間1,000万台フ
化、低消費電力高性能化などに大いに貢献してきている。これ
ラットパネル化するだけでも10年かかる。急激な立ち上がりの
は液晶の中でもコモディティではなくてお客様の需要に合わせ
みで終わらず、息の長い、安定的な需要を引き起こしたのが第
てフルカスタムで製品開発することになり、非常に付加価値の高
二次IT革命だろう。当社としてもこのデジタル家電に対する生
いビジネスになっている。大型液晶と合わせ、中小型液晶の領
産の考え方、それに必要な基幹部品をどのように設備投資して
域ではここを重点的に投資する考えである。
いくかが非常に重要で、しかも今、海外、特に韓国・台湾、今後
●携帯電話
は中国との厳しい市場競争が起こる中で、どのように日本で生
−液晶、 半導体による相乗効果−
このように、半導体、液晶を通してさまざまな製品の垂直統合を
産を続けられるかという観点からも見ていかなければならない。
進めてきた。ここで携帯電話を例に説明する。当社は携帯電
日本のメーカーとして一番のメリットは、日本人という良質なユー
話に最後発で参入、それ以後、さまざまな製品を開発したもの
ザーを持っている点だろう。「日本の消費者の目線・嗜好に合っ
7-8, 2004
3
SEMI FORUM JAPAN 2004 Report
た、また品質に対する厳しい目を持ったユーザーに受け入れら
電の大きな力となって動き出している中で、供給能力をつけるに
れる商品企画・品質を達成できれば、世界にも通用する」 とい
は最適の時期に投資判断ができたと思っている。「日本で製造
う考え方でモノ作りをしていく。企画・設計はやっていけるが、
業を極める、擦り合せ型の生産をやって行く」 ということであ
問題はどのように生産を日本で続けられるかがポイントである。
る。この中で特に重要視したいのは、「液晶を製造するノウハウ
●日本でのモノづくりへのこだわり
をこの工場の中で守る」 という考え方で工場設計をしている
東京大学 藤本教授によると、製品には 「組み合わせ型」と、
点である。繰り返しとなるが、当社はモノ作りの観点からも、日
「擦り合せ型」 がある。「組み合わせ型の製品」 はPCに代表
本でやりたい。またその製品開発については、さまざまな独自
される既製モジュールの組み合わせの商品作りである。これに
の特徴のあるデバイスを製品に応用、また製品の側から出てく
ついては、システム設計など全体の構想に非常に長けたアメリ
るさまざまなニーズをデバイスに反映することで、強いデバイス作
カ等、また生産という面では台湾・中国等がモジュールの組み
りをしていく。当社内では“スパイラル”
と言っているが、製品と
立てで、安い労働力と資金調達とその集中で強みを発揮して
デバイスの“スパイラル”で垂直統合することによって強い製品
いる。一方、「擦り合せ型の製品」 つまり多様な技術を応用し
とデバイスを実現したい。このような事業展開を行うには、社内
て設計、部品を調整して組み立てる、自動車・複写機・デジタル
のチームワーク、つまり研究開発から事業化までのロスをできる
家電といった領域の商品については、生産ノウハウをうまく社内
限り少なくするためのマネジメントが必要だと考えている。また、
に蓄積することによって、日本は海外に対抗できるとのことであ
垂直統合を行う上では、商品とデバイスグループの“横の連携”
る。当社も
“チームワーク”、つまり、生産現場と設計する技術者
が非常に重要である。どのように全社の技術者が協力し目的
の連携を強めることが重要であると考えている。そこでは技術
に沿って動いて行くか、これは大変難しいマネージメントだが、そ
力の蓄積もでき、日本の消費者の目線にあったオンリーワン商品
れを行うことによって今後の力を付けて行きたいと考えている。
を作れば、さらに知的所有権などでガードをすることで、十分に
当社としては、デジタル家電の領域が2007年まで猛烈な勢いで
強みが発揮できる。当社はメーカーである以上、「製造を極め
伸びていくと考えている。現在は液晶テレビと携帯電話が柱で
よう。できるだけ日本での生産にこだわろう」 と考えている。部
あるが、我々が持っている製品分野の領域、すなわち通信・テレ
品後工程の一部やレガシーに近い商品などは海外に生産をシ
ビ等の映像・パソコン・PDA分野などから、2または3つの業際の
フトしているが、基本的には最も重要なところは日本でモノづく
中で組織の壁を越えて特徴的なデバイスを、全社の技術を融合
りをしたいと考えており、設備投資も日本に集中している。
してシナジー効果を高めて製品開発し、これに対する投資を続
●
“他社にない強み”
を磨く−製品とデバイスの“スパイラル”−
けて行きたい。
当社は国内に10の生産拠点を持っており、近い地域に生産拠
点を集中して、いろいろな製品の消長(浮き沈み)があった場
「SEMI FORUM JAPAN 2004」参加者数
合、事業の大きな変動を受けず、ワーカーをうまく転用できるよ
プログラム名
うに工場転換して行こうという考え方で進んでいる。当社の工
SEMI/JASVA基調講演会
271
SEMI FORUM JAPAN エグゼクティブシンポジウム
124
SEMI FORUM JAPAN フレンドシップパーティ
120
Standards Meeting
33
JASVA Day OSAKA(主催: 日本半導体ベンチャー協会)
67
応用物理学会シリコンテクノロジー分科会(主催: 同分科会)
84
マニュファクチャリングサイエンスセミナー
58
フロントエンドプロセスセミナー
47
IC Tutorialセミナー: 多層配線
34
IC Tutorialセミナー: リソグラフィ
40
第6回マイクロマシンセミナー
107
Standards Meeting
37
SSIS半導体シニア協会特別シンポジウム
(主催: 同協会)
129
応用物理学会関西支部主催セミナー
90
多層配線技術セミナー
66
微細化のブレイクスルーセミナー
51
プロセス・デバイス技術セミナー
41
IC Tutorialセミナー: エッチング
30
IC Tutorialセミナー: 拡散・注入
29
SEMIマーケットセミナー
81
Standards Meeting
21
VANSセミナー
(主催: 半導体業界ソフトウェア供給会社技術交流会) 70
場展開の特徴は、統合工場による効率的な運営ということで、
1)景気変動に合わせた柔軟な生産対応、2)過剰な設備投資
の防止、3)不採算事業からの用意なシフト、4)
トータルコストの
ミニマイズであり、これが現在の非常に厳しいし景気変動の中
で有効に機能し、幸いにも人員のリストラなども行わずにやって
いくことができた。
「日本で製造業を極める」 ことを内外に発信し、この3年、当社
が日本国内で設備投資したその代表が本年1月に立ち上げた
亀山工場である。ここは液晶テレビの工場で、パネルとして作
られた液晶からテレビまでを、一貫生産として流す。それにより
輸送、検査も省略化してコスト力をつける。工場周辺にバックラ
イト、マザーガラスはじめ、さまざまな部材を供給するメーカーが
集積、三重県のいわゆるクリスタルバレー構想が急速に立ち上
がってきている。もう一つ当社が力を入れているのが三重・多
気工場で、CGSの液晶工場である。この2つの工場の設備に
多大な投資をした。このように、日本で投資を続けたいと考え、
参加者
(人)
実践している。今年1月に稼働した亀山工場の投資を決心した
のは2年半前で、不況真っ只中であった。今、FPDがデジタル家
4
3日間
計 1,630
2004, 7-8
FPD Taiwan 2004 Report / The 20th ITPC
FPD Taiwan 2004 報告
−現地業界団体との協力により一気に2倍規模に急拡大−
去る6月9日
(水)
∼12日
(土)
の4日間にわたって、台湾の台北世
界貿易センター
(TWTC: Tapei World Trade Center)
の展示ホー
ル本館でFPD Taiwan 2004が開催された。現地の
(財)
光電科技
工業協進会
(PIDA: Photonics Industry & Technology Development
との協力により、同会が昨年までDisplay Taiwanと
Association)
して単独で開催していたものと、SEMIが開催していた FPD Expo
Taiwanを統合し、両団体による共催として本イベントが実現した。
これにより展示会規模は、一気に昨年の倍となる208社560小間
(昨年:150社250小間)
となった。また、PIDAによるOPTO Taiwan
(台湾光電大展:光学関連製品の展示会)
とOpto Com Taiwan
(光通訊寛頻展:光通信関連の展示会)
も、2展合わせてFPD
ってみると、台湾の景気全体が上向きである上にFPD業界でも
Taiwanとほぼ同規模で、同ホール内で同時開催された。これによ
台湾パネルメーカ各社が第6世代ラインへの投資を発表するなど
り、台湾最大の展示場である同ホールは埋め尽くされ、非常に熱
前向きな材料が多く、活気づく様子が窺えた。また台湾を経由
気のあふれるイベントとなっていた。また、隣接する台北国際会議
しての中国大陸への物の流れもあり、中国まで含めると巨大な
センターでは、Business & Technology Forumが開催された。
ポテンシャルを持つ市場として期待されていることが感じられた。
FPD Taiwanでは、台湾のパネルメーカ5社がひとつのゾーンを
またFPD Taiwanの会場内で、台湾経済部工業局カラーイメー
形成して多数のパネルを展示し、注目を集めていた。特に、向
ジング産業推進事務所(CIPO: Color Imaging Industry Promotion
かい合って出展していた奇美電子とAUOは大変な人気で、時
Office)
とSEMIの共催による国際FPD産業技術交流会も行われ
間帯によっては通路が来場者で完全に埋まってしまうときがある
た。本交流会は海外のFPD関連メーカに対する台湾資本の投
ほどだった。台湾以外からの出展社としては、韓国からの出展
資促進活動であるが、本交流会のみならず今回の全てのイベ
が19社と目立ち、韓国パビリオンを形成していた。日本からの出
ントに対して現地の公共団体が積極的に関与しており、産官が
展は13社であった。日本からの出展社に立ち寄ってお話しを伺
一体となって本産業に取り組む。
第20回 ITPC 国際トレードパートナーズ会議 参加申込受付中
−Driving Forces for Growth in the New Economy−
■ 参加申込受付開始
会期:2004年10月3日
(日)
∼6日
(水)
・Samsung Electronics, President & CEO, Semiconductor
Business, Chang-Gyu Hwang氏
場所:The Fairmont Orchid, ハワイ島
・AU Optronics, President, H. B. Chen氏
ITPC 国際トレード・パートナーズ会議
・Texas Instruments , CTO, Hans Stork氏
は、半導体デバイス・FPD業界と装
・Former Federal Chancellor of Austria, Franz Vranitzky氏
置・材料業界、ならびに広く関連業界
■ バラエティに富んだパネルディスカッヨンのテーマ
のエグゼクティブの皆様にご参集いただき、自由な雰囲気の中
・Who Shares the Cost of Future Development
で相互のご交流を深めていただくとともに、半導体・FPD産業
・Nanotechnology and its impact to the Semiconductor/FPD Industry
のビジネスの方向性や技術の潮流を掴み、さらには、業界が一
・Is there a Profit Shift along the Electronic Food Chain?
丸となって当産業の発展に資するアクションプラン構築の機会
・Managing Profitable Business Models through the Cycles
を提供することを、主たるミッションと致しております。
記念すべき20回目を迎える本年も、充実したプログラムで皆様
プログラムの詳細・お申込み:
のご参加をお待ちしております。
ITPCホームページ http://www.semi.org/itpc
■ ITPCを彩る世界各国からの著名スピーカー
お問合先:
・三洋電機(株)取締役副会長 兼 取締役会 副議長 近藤 定男氏
SEMIジャパン イベント受付
・Hua Hong NEC China, President, Peng Fang氏
E-mail: [email protected] Tel: 03-3222-5993
7-8, 2004
5
ITPC (Intemational Trade Partners Confererce)
ITPCにおけるアロハシャツ着用規定
−ITPCの20周年を祝う
(1985年∼2004年)
−
アロハシャツの着用が、今年20周年を祝うSEMI ITPC(国際
トレードパートナーズ会議)
の服装規定である。しかし、当初は
そんな具合には進まなかった。
1985年、ITPCの初日の晩餐パーティに、日本からの出席者はビ
ジネススーツで参加した。
「彼らは全員スーツを着用し、ネクタイ
を締めていました」
とKen Levy氏
(ITPC創立者の一人)
は思い出
を語っている。
最初の会議は、なにか別の堅苦しいビジネス会議の始まりの
ようだった。そこで、当時KLA InstrumentsのCEOだったLevy氏
は、あることを思いついて実行してみた。
「私は大きなプラカー
ドを掲げました。それには次のように書いていました。
『ネクタ
1987年 左から当時のSEMIプレジデント Bill Reed、ニコン 吉田庄一郎氏
イ厳禁、ジャケットも厳禁です。アロハシャツを着用しましょ
う。
』」。
「私はホテルから手数料をもらうべきでした。というのは、翌日ホ
テルのアロハシャツの売店には100人を超える人達が列を成し
ていたからです」
と、Levy氏(現KLA Tencorの会長。KLA
TencorはKLAがTencor Instrumentsと合併した1997年に創立)
は楽しげに語った。
Levy氏らは、来る10月3日
(日)
∼6日
(水)
にハワイで開催予定の
トレードパートナーズ会議の設立当初のことを思い出す。この会
議は、SEMIが国際的になるべきか、米国に限定したトレードグ
1998年 左からTEKコンサルティング 川西剛氏、伯東 高山成雄氏
ループに留まるべきかに関して、1980年代初期にSEMI内で討
議したことから誕生している。
出し、その過程の中で信頼と友好関係を築こうというものでし
「米国人は日本でのビジネスのやり方を知りませんでした。日本
た。問題が存在しても信頼と友好関係を構築できれば、敵で
人もまた米国でのビジネスのやり方を知りませんでした。そのた
はなく友人であるため、問題はより簡単に解決できるようになり
め、我々は、相互に教え合う会議を開催しようということになり
ます。
」
とRapozo氏は語る。ハワイは米国と日本とのほぼ中間に
ました」
とLevy氏は語っている。
位置し、主催者が求める打ち解けた雰囲気があるので、当地
が会議の理想的な開催場所として選ばれた。
しかし、事態をより複雑にしたのは、日本は半導体において新
興勢力であり、これが原因で両国の政府間で貿易摩擦が起き
Levy氏は米国側の主要人物であり、高山成雄氏(伯東(株)
の
ていたことであった。
「当時、米国と日本は正に戦争状態にあ
会長)
は、最初参加に二の足を踏んでいた日本側の協力を取
り、経済戦争と呼ばれていました」
とBarry Rapozo氏は語って
り付けることに尽力している。
いる。彼は、11年間 ITPC組織委員会に奉仕し、ITPCへの彼
日本側が参加に乗り気でなかった理由には、日本人が海外の
の貢献に対して、SEMI Bob Graham Awardが2001年に授与
顧客と直接取引きをする経験に欠けていたということがある、と
されている。Rapozo氏は1997年以来Tokyo Electron America
関家憲一氏(ディスコ
(株)
の会長)
は語っている。
「当時、ほとん
の長であり、
トレード会議ではLevy氏を支えている。
どの日本企業は自社製品を直接輸出せず、輸出ビジネスのほと
「Kenの考えは、対立的でない環境で問題を解決する方法を見
6
んどは商社を経由して行われていました。このため、日本企業
2004, 7-8
ITPC (Intemational Trade Partners Confererce)
は国際会議に参加する経験をほとん
プキンを使用する。このアイデアにより、両者は交互に隣同士で
ど持っていなかったのです」
と、当初
着席することになり、相互の理解に役立つことになった。
からITPCに関わっていた関家氏は
「当初、全員がこのアイデアを好みませんでした。というのも、真
語っている。しかし時間の経過とと
にやり取りするのは面倒であり、特に隣に着席した人が英語を
もに、ITPC参加のメリットが日本企業
話せない、あるいは日本語を話せない場合は、事が簡単では
に知られるようになり、参加者の数は
ないからです。しかし、1年、2年と経過するうちに、このアイデア
徐々に増加するようになった。
ディスコ 関家憲一氏
が機能し始めるようになったのです。
」
とRapozo氏は振り返る。
パーティや会議室以外でも交流が促進されるようになった。会
議の合間に、日本人と米国人がビーチでのオリンピックゲームに
同じチームメンバーとして参加した。言語の壁はもはや問題で
はなくなった。
「我々は共通の目標と目的を所有するチームのメ
ンバーになり、水風船を投げ合いました。風船の割れた数が一
番少ないチームが勝者になります。このようなゲームを通して、壁
が突然なくなり始めました。
」
と Rapozo氏は語る。
ITPCの20年間で、東西の友好関係の絆は切っても切れないも
のになっている。毎年開催されるITPCの成果として、数えきれ
ないほどの商談、ジョイントベンチャー、および幹部の採用が生
まれている。
1998年 左からApplied Materials, J. Mogan氏、ソニー 牧本次生
氏、Novellus Systems, R. Hill氏
ITPCは日本と米 国 の 間 で 始まり、当 初は U.S.-Japan Trade
Partners Conferenceと呼ばれていたが、半導体業界のグロー
会議の基になっている考え方は、Rapozo氏によると、
「共通の
バル性からすぐに欧州や他の国々からも参加するようになった。
地盤を見つけよう、我々の相違を解決する方法を見つけようと
いう精神で、相互の問題を率直にかつ偏見なく討議する」
とい
うものである。また、
「このプロセスを通じて友好関係を築くこと
ができれば、問題をより容易に解決でき、うまくいけば、我々の
運命を自分たちで管理でき、政府に我々の将来を規制させる
必要がなくなります」
と彼は付け加えている。
日本と米国のデバイスメーカー間で貿易摩擦が続いていたとき、
機器と材料のサプライヤーはハワイの海岸で語らっていた。
「雰
囲気は素晴らしかった。デバイスメーカーの人達は我々を羨ま
しがっていました」
と吉田庄一郎氏(
(株)
ニコンの会長兼CEO)
は語っている。
ディスコの関家氏は、ITPCのオープンな対話の雰囲気と良好
2003年 寛いだ雰囲気の中で話し込む参加者
な日米関係の重要性を相互に理解したことが、SEMIメンバー
ITPCの将来は、業界を繋ぐ主要イベントしてまったく確かなも
間の摩擦を防止することに役立ったと信じている。
のである。
「この会議の開催期間はわずか3日間ですが、世界
しかし、当初は友好関係を築くことが容易ではなかった。文化
中からハイレベルの人達が集うすばらしい機会です。もちろん、
と言語の相違から、両者は打ち解けることができなかったので
通常のビジネスライフではなかなか実現できないことです。人が
ある。ITPC委員会は両者を融合させるアイデアを見つけようと
出会い理解し合うには何週間、何ヵ月もかかるものです」
とHeinz
努めた。1つのアイデアが生まれた。パーティのテーブルに黄色
Kundert氏(Unaxis Management AGのCEO)
は語る。
と赤色のナプキンを交互に置くことにしたのである。そして、日
本からの出席者は赤のナプキンを使用し、米国人は黄色のナ
7-8, 2004
著者: Craig Addison
(SEMIシニアコミュニケーションエディタ)
7
Market Statistics
SEMIマーケット・レポート
−持続的な成長を視野に新しいエレクトロニクス文化を創造−
グローバルネット株式会社 代表取締役 武野 泰彦
アテネオリンピックが間近に迫り、フラットパネルディスプレイテレ
に見ると、2004年1月∼4月の月別受注も日本がトップシェアを
ビ(FPD TV)の需要が拡大している。それに伴って、DVDプレ
維持している
(図2)
。台湾も好調に推移しており日本市場を追
ーヤ/レコーダが売れている。FPDを中心とした新しい生活が構
い越す勢いとなっている。また、ROWの受注が拡大しており、
築されようとしている。しかし、この状況下、半導体やFPDディス
米国に次いで4位となっている。世界半導体製造装置市場の
プレイの過剰投資による、景気後退が懸念されている。これか
1∼4月受注/販売合計を年別に比較した。2000年1∼4月(同
らの企業戦略は、景気後退が懸念されるから、様子を見ようと
期)の受注額は166億9,300万ドル、販売額は139億5,200万ドル
いうことでは勝ち抜けない。景気が持続できるように、新しいエ
でB/Bレシオは1.20であった
(図3)
。しかし2001年同期受注額
レクトロニクス市場を開拓しなければならない。このようなとき
は前年同期比37%減の106億4,700万ドルとなり、B/Bレシオは
こそ思い切った戦略を構築するときである。新しい生活文化を
0.75となった。2002年の同期受注額は前年同期比51%減の52
提案する半導体応用製品を創造することが重要だ。
億9,300万ドル、B/Bレシオは0.93であった。2003年の同期受注
額は11%増の126億8,900万ドルとなり、復調の兆しが現れた。
■ 活気づく台湾市場
2004年の同期受注額は前年の115%増の126億8,900万ドル、
WorldwideSEMSのデータも全て好調となっている。2004年3月
販売額も前年同期比76%増の123億7,100万ドルとなった。
の受注額が32億ドルとなり、前年同月比118%増、前月比6.9%
B/Bレシオも1.03と好調を持続している。地域別に見ると、日本
増であった
(図1)
。4月の受注額が前年同月比136%増、前月
市場は2000年同期受注合計額が30億1,900万ドル、販売額が
比9.3%増の35億ドルであった。2003年1月から受注額は順調
27億4,100万ドルで、B/Bレシオは1.14であった
(図4)
。2001年
に伸びている。この傾向はしばらく続くと予想される。地域別
は前年同期比23%減の26億9,000万ドル、B/Bレシオが1.11、
6,000
2.00
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
5,000
18,000
1.20
1.80
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
16,000
1.60
1.00
14,000
1.40
1.20
1.00
3,000
0.80
2,000
1,000
0.80
12,000
100万ドル
100万ドル
4,000
10,000
0.60
8,000
0.60
6,000
0.40
4,000
0.40
0.20
0.20
2,000
0.00
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3
月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
0
0.00
0
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2000年1月から2004年4月
図1 SEMI世界半導体製造装置市場月別推移(SEMI/SEAJ)
North America
800
図3 世界の半導体製造装置各年別
(1∼4月合計)
推移(SEMI/SEAJ)
4,500
Japan
1.20
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
4,000
700
1.00
3,500
Taiwan
0.80
3,000
500
ROW
400
100万ドル
100万ドル
600
2,500
0.60
2,000
Korea
300
1,500
200
1,000
0.40
0.20
Europe
100
China
0
1月
2月
3月
4月
図2 2004年地域別半導体製造装置市場推移(SEMI/SEAJ)
8
500
0.00
0
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
図4 日本の半導体製造装置市場各年別
(1∼4月合計)推移(SEMI/SEAJ)
2004, 7-8
Market Statistics
2002年同期の受注額は前年比66%減の9億400万ドル、2003年
■ 2003年6月から受注が拡大しているCVD装置市場
は前年同期比68%増の15億2,300万ドルと増加し、2004年の同
装置別の受注状況を見ると、CVD装置が2003年6月から順調
期受注額は前年同期の77%増の27億800万ドル、販売額は2000
に受注を伸ばしている
(図8)
。2003年6月の受注額が1億3,900
年を上回る27億9,700万ドルとなり、過去最高の売り上げにな
万ドルで12月が1億9,000万ドルと39%増であった。2004年2
る可能性がでてきた。米国市場の2000年同期受注額は43億
月は2億4,800万ドル、3月は2億8,000万ドル、4月は2億8,300万
6,100万ドル、販売額は33億2,600万ドルでB/Bレシオ1.31であ
ドルの受注となっている。これは、多層配線用のCVD絶縁膜
った
(図5)
。2003年の同期受注額は前年同期比9.6%減の13
が評価され、量産プロセスに導入されているからと推測でき
億5,600万ドル、B/Bレシオ0.75と最悪であった。しかし、2004年
る。地域別に見ると韓国がトップシェアで、次いで中国が2位
の受注額は前年同期比50%増の20億4,500万ドル、B/Bレシオ
となった(図9)。
1.21となった。台湾市場に活気がでてきた。2003年1∼4月の
2,000
受注額が前年同期比62%減の4億2,800万ドルでB/Bレシオが
1.40
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
1,800
0.65と落ち込みが激しかった。しかし、2004年は約5.6倍の24
億ドルになり、B/Bレシオが0.91と飛躍的な伸びを示している
韓国は2003年から好調で、2003年1∼4月の受注合計額が前
1.00
1,400
100万ドル
(図6)
。
1.20
1,600
1,200
0.80
1,000
0.60
800
年同期比130%増の9億8,500万ドル、B/Bレシオが0.75であった
600
(図7)
。2004年1∼4月の受注合計額は前年同期比130%増の
400
0.40
0.20
200
16億1,500万ドル、販売額が前年同期比29%増の17億7,600万
0.00
0
ドルでB/Bレシオは0.98と、投資拡大による受注増加が見込ま
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
れる。
図7 韓国の半導体製造装置市場
(1∼4月合計)
推移)
(SEMI/SEAJ)
5,000
400
1.40
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
4,500
1.80
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
350
1.20
4,000
1.40
300
1.00
3,500
1.60
1.20
2,500
0.60
2,000
1.00
200
0.80
B/Bレシオ
0.80
100万ドル
100万ドル
250
3,000
150
0.60
1,500
0.40
100
0.40
1,000
0.20
50
0.00
0
0.20
500
0
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
図5 米国の半導体製造装置市場各年別
(1∼4月合計)
推移(SEMI/SEAJ)
3,500
2
月
3
月
4
月
5
月
6
7
月
月
2003年
8
月
9
月
10
月
11
月
12
月
1
月
2
3
月
月
2004年
4
月
0.00
図8 CVDEquipmentの月別推移(SEMI/SEAJ)
1.40
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
3,000
100万ドル
1
月
1.20
2,500
1.00
2,000
0.80
1,500
0.60
1,000
0.40
500
0.20
0.00
0
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
図6 台湾の半導体製造装置市場
(1∼4月合計)
推移(SEMI/SEAJ)
7-8, 2004
図9 2004年4月の世界CVD装置受注市場地域別シェア
(SEMI/SEAJ)
9
SEMI Standards
台湾におけるSEMIスタンダード活動近況
−FPD関連活動−
■ はじめに
31年に及ぶ歴史を有するSEMIスタンダード活動において、と
EHS WG
FPD Materials WG
りわけ近年、FPD分野に関する比重が高まってきている。もっ
とも、このことはもっぱら日本ならびに韓国におけるボランティ
アメンバーのご尽力に拠るところが大きく、残念ながら台湾に
FPD SG
(TILA環安衛委員会會焉基礎)
おける活動は韓国とほぼ同じくしてスタートしたにもかかわら
ず、その後の紆余曲折を経て停滞し、最近になってようやく、再
議題一TF
議題二TF
興の兆しを見せてきたところである。一般的傾向として、台湾
議題一TF
議題二TF
のFPD業界には、日本との協調を求める意向が強い。
図1 台湾 SEMI FPD スタンダード活動
■ 台湾におけるFPDスタンダード活動の経緯
前述の通り、韓国と時を同じくして台湾においても2000年にFPDス
SEMI台湾事務局へのスタンダードスタッフの配置等があいまっ
タンダード活動が始まった。当初は、「STEP」
(Standards Technical
て、大きな転換点を迎え、台湾におけるSEMIスタンダード活動
Education Program)
プログラムをはじめとして、SEMIスタンダードを
は復活を遂げてきている。組織の青写真がSEMICON West
紹介するための複数のワークショップが開催されるとともに、2002年
2003( 7月)後に描かれ始め、組織再編がSEMICON Taiwan
までの2年間は隔月でスタンダード会議が開催されていた。初期の
2003(9月)後に実施された。そして現在、FPD分野における実
ワーキンググループ組織は、カラーフィルタ、基板、装置の三分野で
際のスタンダード活動が、「FPD安全」と「FPD部品材料」 の二
構成されており、ブレインストーミングを繰り返して検討した結果、いく
分野において動き出している。双方とも、しっかりしたリソースと
つかのスタンダード・ドキュメントの素案にまではこぎつけた。しかし、
協力体制が敷かれており、図1のような組織形態となっている。
さらにメンバー企業との会議を重ね、「台湾TFT-LCDスタンダードロ
1)EHS分野のFPDスタンダード活動について
ードマップ」 に着手しようとした矢先に行き詰まることとなった。要
この分野では、従来からの業界の課題に基づいて、コミュニケ
因としては、当時は台湾のFPD業界自体が新興であり、業界コンセ
ーションが図られる素地があったが、特に今年に入ってから活
ンサスを得るには時期尚早であったために、各企業の経営者層の
動が活発になった。3月には、FPD製造現場で日夜、実際にEHS
支援が十分でなかったことが挙げられる。ところが、台湾のFPD業
関連業務に携わっているメンバーとの会議が実現した。続いて
界の成熟に伴い、当業界におけるスタンダード活動の必要性への
4月には、SEMI FPD Expo Japan 2004において開催されたスタン
理解が次第に高まってきた。そこで、スタンダード活動に各社から参
ダードワークショップ 「超大型基板を使ったFPD製造の課題」
加者ならびに必要なリソースを提供してもらうべく、より上位の経営
のFPD安全セッションの準備を端緒に、日本のカウンターメンバ
層への働きかけを開始した。同時に、スタンダード活動を牽引でき
ーとのコラボレーションが開始した。その後のフォローアップを
るニューリーダーを求めて、各方面・各層を通じて、諸団体との活発
重ねて、以下の日台共同ワークショップ(会議:議事詳細は図2)
なコミュニケーションを開始した。そして、このように2002年以降
が実現した。
開始した一連の試みが、ようやく奏功し始めてきたところである。
上記ワークショップが絶好の契機となったことは確かであるが、
今後の状況はまだまだ予断を許さず、台湾でのスタンダード活
■ 最近の活動と進展
動の運営には一層の配慮が求められる状況である。具体的に
台湾における初期のFPDスタンダード活動にとっては、国内の団
は日本と台湾のスタンダードメンバー間に、更なる 「良好な関
体や企業と同時に、海外メンバーからの理解と支援が必要で
係」 が築かれなければならない。双方がこれまで以上に胸襟
あった。しかし、日本からの支援を除いては、活動への支援が
を開き、深く理解し、度量をもって接することで初めて、真の意味
得られずに難航し、特に国内からの非難にさらされることを余儀
で良いスタンダードを開発することが可能になるであろう。当地
なくされた。しかしながら最近になって、コミュニケーションチャ
台湾にてスタンダード活動を推進している台湾のSEMIスタッフ
ネルの再開、業界からのリーダーシップを心機一転したこと、
の立場であるからこそ、今の状況の難しさと繊細さを痛感して
10
2004, 7-8
SEMI Standards
- FPD Safety Standards Workshop and Meetings Date: June 11, 2004(9:45-16:40)
Venue: Taipei International Convention center(TICC), #101D
Program / Session Co-Chairs:
Dr. Shuh-Woei, Yu
(Center for Environment, Safety and Health Technology, ITRI)
Mr. Shigehito Ibuka
(Tokyo Electron, Japan Facilities & Safety Division Co-chair)
Topics:
1)
Opening Remarks / Dr. Shuh-Woei Yu, ITRI
2)
History of FPD Safety Issues in SEMI / Shigehito Ibuka
3)
Taiwan Industry Input / Dr. CC Hwang, ITRI
4)
Safety Standards and Critical Design Issues for Large
Area LCD Facilities / Sebastian Kaden(M&W Zander)
5)
Outline of Doc.3814 ( Safety Guidelines for FPD
Manufacturing System)/ Naokatsu Nishiguchi / DNS, Ikuo
Goto / Murata Machinery(FPD System Safety TF Co-leaders)
6)
SEMI S21: Safety Guideline for Worker Protection / Supika
Mashiro / Anelva(Japan EHS Committee Co-chair)
7)
Doc.3815 Safety Guideline for Working Environment”
Draft Development Status / Kenji Okada / Tokyo
Electron(Workplace Safety TF Co-leader)
8)
Survey on FPD Fabs’Safety / Supika Mashiro
9)
Discussion & Summary
図2 「FPD Taiwan 2004」スタンダードワークショップ概要
「FPD Taiwan 2004」スタンダードワークショップにおけるディスカッション風景
■ 結びにかえて
(今後の検討課題)
以上のように、これまでのSEMIスタンダード活動を台湾で普及
させようとする中で、台湾の業界関係者から次のような質問を何
度となく受けてきたし、現在も受けている。
1)SEMIグローバルスタンダードとは何か?
2)
スタンダード活動分野における、FPD業界に対するSEMIの役
割は何か?
3)FPD分野のSEMIスタンダードはいくつあるのか?SEMIが
いる。日本と台湾の間において、彼我を区別することはむしろ
発行している40件近くのFPD関連スタンダードは、その内容
活動の妨げにしかならず、何よりも更なる日台の相互理解と一
が必ずしも台湾の関係者が使いやすいものではない。こ
体感のある活動が望まれるところである。
のことについて、SEMIは何かしてくれるのか?
2)部品材料(部材)分野のFPDスタンダード活動について
4)FPDスタンダードの分野で、SEMI以外の主要な組織はどこ
台湾FPD産業の振興を目的として昨年、TDMDA(Taiwan Flat
か?それらの組織とSEMIとの相違点は?IECといった他の
Panel Display Materials & Devices Association)が発足した。
組織にも属したいとしたらどうなるのか?
このTDMDAも、FPD製造業界のためのFPD部材関連スタン
5)SEMIスタンダードは、そもそも何の役に立つのか?
ダードを開発することを主要命題の1つとしている。先日のFPD
Taiwan 2004において 「2004 Taiwan FPD Industry Standards
最後に以下の点を強調して結びとしたい。
Forum & Banquet」(6月10日/於GRAND HYATT TAIPEI)が
コスト低減、マーケット効率促進、新規のマーケットや技術の創
TDMDA主催で実施され、部材関連活動を紹介する目的で、
造、といった点において、スタンダードはFPD業界全体に対して
日本ならびに韓国のSEMIスタンダード組織のリーダーが招か
大きな効用をもたらす。全てのFPD製造者とそのサプライヤが
れた。日本からはSEMIカラーフィルタ・オプティカル委員会幹
利用できるような共通プラットフォームを造る点において、スタン
事の有賀久 氏(セイコーエプソン)が、韓国からはKorea
ダードはコスト低減に寄与するのである。しかし、スタンダード活
FPD Standards Working Group 幹 事 で あ る Il-Ho Kim氏
動を効果的かつ効率的に行おうとするとき、あらゆる階層(経営
(Light Measurement Solution)が招かれ、SEMIのスタンダード活
レベル、エンジニアレベル等々)
において、グローバルなコミュニ
動に関する講演を行った。
ケーションが極めて重要になる。
今回、このように台湾と日本・韓国の三者間でグローバルに情報
このように考えると、オープンフォーラムかつグローバルという性
共有の端緒が実現できたことは画期的であるが、部材分野に
格をもつ 「SEMIスタンダード活動」 が、昨今グローバル規模で
おいて、台湾も参加した形で今後のグローバルスタンダード開発
結びつきを深めているFPD業界のためのスタンダードとして最適
が行われるためには、日韓両国とのより一層の相互理解が必要
であることは明らかである。
であり、そのためにはこの分野での更なるコミュニケーションが
求められるものと考えられる。
7-8, 2004
(SEMI South-east Asia Taiwan/Sr. Manager, Technical &
Standards Programs, Kuang-Han Ke(葛 廣漢)
)
11
EHS
半導体材料ガスを通して見た化学物質の規制・管理の動向 その2
日本酸素株式会社 開発・エンジニアリング本部 副本部長/つくば研究所 所長 長谷川 英晴
本稿は、SEMI News, 2004年5-6月号 P.14・15に掲載された
「半導体材料ガスを通して見た化学物質の規制・管理の動向
その1」の続きです。
5. 周知の義務と知る権利
(1)知る権利
先日死去されたレーガン元米大統領は1986年に、産業界の健
全性を取り戻し産業復興の礎となる施策を次々と実施している。
4. シランの保安対策
これは旧ソ連邦がチェルノブイリ原発事故に対し、満足な対策
容器内で危険なガス混合がなされる危険は排除された。しかしそれで
も打てず、ソ連邦はその後崩壊していったのと好対照である。
もシランの爆発危険性は排除されていない。ではどう扱えば良いのか。
1986年の最初に 「知る権利:Community Right to Know Act
(1)フローリストリクター
(オリフィス弁)
of 1986」 が制定されたが、これは明らかにインド、ボパールの
フローリストリクターという
大惨事を念頭に置いている。また、406種類の化学物質を指定
非常に単純で有効な安全
し
(406 extremely hazardous substances, 40CFR Part-335)、使用
対策がある。
量の届出と監視、周辺住民への周知を義務付けている
(これは
米国Matheson社が1980年
現在のPRTR法の基になっている)
。
にモトローラ社との間で試
(2)SARA, Title Ⅲ
験的に始めた方法である。
また、全ての化学物質にMSDSの使用を義務づけている。これは
この方法は瞬く間に全米に
通称SARA, Title Ⅲ ...
(the superfund amendment and reautho-
波及し、毒性の強い半導
rization act of 1986の title Ⅲ ... の部分)
と呼ばれ、大気拡散性物
体材料ガスや、シランのよう
質の規制を新たに加え、緊急時に化学業界の連携を義務づける
な自然発火性高圧ガス容
器弁の標準的姿となった。
図3 容器弁出口に取り付けた
フローリストリクター
形で強化された。
この化学物質の安全情報を供給者側から個々の使用者に開示し、
これは容器弁の出口に小
安全および保安の向上を図るシステム作りはOECD
(経済協力開発
さなオリフィスを組み込む工夫である。オリフィスの口径は0.3mm程
機構)
、ILO
(国際労働機関)
、UNEP
(国連環境計画)
、WHO
(世
度であり、ここから流れるガス流量は毎分数L程度に絞られる。高
界保健機関)
などが中心に全世界的に推進されるきっかけとなった。
圧ガス容器弁は、ガス流量特性が非常に大きいという特性を持つ。
6. 化学物質審査規制法(化審法)
この容器弁の大流量特性は容器を真空引きしてガスを充填する
化審法はもともとPCB汚染によるカネミ油症の社会問題を契機
のには好都合だが、ガスを使用する時には不要の場合が多い。
に、1974年に制定された。86年に第一次改訂がなされ、今回
この小さなオリフィスを装着した容器弁(オリフィス弁)
により、有
(2003年)
の改訂ではリスク管理のあり方が入ってきた。なお、
害物質の瞬時大気拡散性は通常の容器弁の1/1,000程度に激
74年の制定当時、まだ内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)
の
減する。
考えはなく、したがってカネミ油症とダイオキシン問題の議論は
(2)普及促進策
その後に始まった。はじめは化学物質の毒性と生態蓄積性を
米国ではこの対策は広く普及している。
規制対象として捉える法体系であり、それまで産業界で実績の
この方式は米国で行政に強く支持された。オリフィス付き容器
ある
(年間1t以上使われている)
化学物質はとりあえず既存化学
弁を使用する場合、緊急除害装置の能力は通常の場合と比べ、
物質名簿に収録し、それ以外の新規化学物質が安全性を評
1/10として良いという便宜(緊急除害設備コストを大幅に下げら
価されず世の中に出て行くのを防ごうという網がけである。
れる)
が与えられた。このためオリフィス弁の利用は瞬く間に進
(1)半導体材料ガスと化審法
み、災害ポテンシャルは大きく減じた。
半導体材料ガスは、産業界での実績がない化学物質が優れた
特に見逃せないのは、シランの場合、オリフィスのところで一旦
活性を持ち、製造プロセスにとって有用性が高いために急激に
流量を抑えてあるので、ガスが容器弁から先のどんな箇所で大
普及していくものが多く、新規化学物質という取り扱いを受ける
気中に流出しても瞬時流出速度が小さく、必ず着火し大事故に
ものが多い。
ならないという思いがけない保安効果を生み出した点である。
使用量が年間1tを超える段階になると、その毒性、分解性、生
12
2004, 7-8
EHS
態蓄積性のデータを出して審査を受けることがメーカーあるい
欧州連合(EU)
の動きは端的にいうと、化学物質をその生産段
は輸入業者に要求される。さもないと、化審法に従い、我が国
階だけで規制するのではなく、メーカーに使用済みの製品の処
でこの化学物質は消費することができなくなる。
分や再資源化まで求める 「拡大生産者責任」 という考え方の中
この1tの総量規制を解除する作業は、我が国の半導体産業の
で包括的に捉えるやり方である。家電リサイクル法などはこの
勃興と同じ歩みをしている。1984年のホスフィン解除に始まり、
流れに沿ったものである。「作りっぱなし」 の時代は確実に過
アルシン、ジシラン、ゲルマンと解除され、90年の業界上げての
ぎ去ろうとしている。
一大事業であった三フッ化窒素(特殊ガス業界8社の共同作
(3)REACHの影響
産業界において、注目を集め、議論が活発化している話題のひ
業)
の総量規制解除により一段落した。
(2)地球環境サミットの影響
とつに欧州のREACH(Registration, Evaluation, Authorization of
我が国の化審法と似たTSCA(Toxic Substance Control Act
Chemicals)
システムがある。現在、規制がなく、自由に製造、輸
毒性物質管理法、1977年制定)
が米国にあり、日米同じような規
入、使用が行われている化学物質についても、その製造・輸入
制を布いてきた。そこに環境問題が登場する。
量に応じて一定期間を定め、どの程度の有害性があるかを調
1992年のリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議
べて登録する考え方である。
(UNCED)
は、通称地球環境サミットと呼ばれる。このアジェン
今までの化学物質規制は現状をある程度肯定して、これから
ダ21の19章に化学物質の21世紀に向けての新たな行動計画
新たに地球上に現れる化学物質を重点的に規制する考え方
が謳われ、その後の各国の化学物質管理政策に反映されてい
であったが、この視点を変えるものである。このシステムの新た
くこととなる。
な導入を巡り、論争が白熱している。
これを受け、化学物質の製造者、輸入業者など、化学物質を世
欧州では約十万種類の化学物質が使われており、「危険な物
の中に供給する事業者の自主管理の発想を取り入れ、事業者
質の分類、包装および表示に関する理事会指令(Directive
が得た化学物質に関する有害性情報を提供するように今回
67/548/ EEC)」や「既存化学物質の評価と管理に関する理事
会規則(Regulation793/93)」 を含む4つの指令・規制により登
(2003年)
の化審法改正がなされている。
主な追加要素は次の3点である。
録・管理されている。しかし、既存化学物質に関するリスク評価
①蓄積性の高い化学物質は、環境中の濃度が仮に低くとも、生
が進んでいないこと等が問題となり、欧州委員会は2001年2月
物濃縮により相当高い濃度になって人の健康被害を起す恐れ
に 「White Paper, Strategy for a Future Chemical Policy」 を発表
がある。このリスクに配慮して、難分解性で高蓄積性の化学物
し、生産量が1tを超える全ての既存および新規化学物質に対
質は、毒性が不明である段階で、第1種監視化学物質として製
して、「登録」「評価」「許可」に関する統一的なシステムを構築と
造・輸入の数量届出の義務を課し、その動向に注意を払う。
具体的なルールの検討が提唱されている。
②今までは人に対する影響のみに着目した制
度であったが、動植物に対し悪影響のある
化学物質を規制対象に加えた。
製造・輸入事業者の把握する
有害情報報告の義務付け
既存化学物質
新規化学物質
③環境中への放出の可能性が極めて低い中間
体、閉鎖系用途、輸出専用品については、事
前確認と製造許可後の立ち入り検査により
実態の確認をすることで規制を和らげた。
欧州では、2000年に入り将来の統合に絡んで
難分解
高蓄積性
難分解
人への影響
動植物への影響
難分解性あり
長期毒性の疑い
環境放出の危険
が極めて少ない
事前審査
(<10t/y)
難分解性のみ
通常の製造・輸入可
事前確認
難分解、動植物毒性
事後の監視
域内での統一的な化学物質管理を実施するた
め、主に次の3つの指令が出されて共同歩調の
取り組みがなされてきている。
①ELV(End-of-life Vehicle廃車)指令
第1種監視化学物質
難分解、高蓄積性、長期毒性
または高次捕食動物への毒性
②WEEE( Waste Electrical and Electronic
Equipment 電気・電子機器廃棄物)指令
③RoHS(Restriction of Hazardous Substances電気・電
子機器における特定有害物質の使用制限)指令
7-8, 2004
第2種監視化学物質
(現行の指定化学物質)
第1種特定化学物質
(事実上使用禁止)
図4
難分解
長期毒性有り
環境残留
第3種監視化学物質
難分解、高蓄積性、
生活環境植物への毒性
環境残留
第2種特定化学物質
(条件付製造・輸入)
化審法の新しい体系(網掛のところが改正箇所)
13
EHS
世界進出で必要となった卓越したEHS成績
−Global Care参加企業のEHS活動事例から−
SEMIが推し進めているEHS推進運動、Global CareTMには、現
職業安全・保険局(OSHA)基準を翻訳し、またフィールドエンジ
在48社が加入しており、うち日本からは、アネルバ、エステック、大日
ニアに、海外の顧客工場での安全要求を実践できるよう、また
本スクリーン製造、ディスコ、東京エレクトロン、ニコン、伯東、日立
言語の壁を乗り越えられるようにトレーニングした。TELがEHS
化成工業、日立国際電気、堀場製作所の10社
(五十音順)
が参
で本格的に取り組んだのが、ISO 14000環境管理システムを工
加されています。本誌SEMI Newsでは、本号より各社からお聞き
場で実施することであった。1999年の9月までには国内7工場が
した活動事例のご紹介を連載します。会員各社のEHS活動のご
ISO 14000認証を取得し、次の目標を掲げた:
参考になれば幸いです。第1回は東京エレクトロンの事例です。半
・廃棄物の削減とリサイクル率の向上
導体製造装置ビジネスの世界進出を成功させるために同社がと
・省エネルギー、省資源
った手段は、EHSの成績を向上させ、海外の顧客、従業員、周辺
・化学物質制御の改善
住民、規制当局といった多くの関係者を満足させることでした。
・環境に優しい製品の開発
地域社会への貢献を示すため、TELは清掃運動や献血運動を
■ CHALLENGE−課題
九州にある主要工場で展開した。また、地域社会のリーダーお
東京エレクトロン
(TEL)
は、1963年から現在までに、小さな部品
よび住民に工場からの大気汚染データを提供もしている。TEL
商社から世界第2位の国際的な半導体製造装置サプライヤへ
はこうした活動の成果についてデータをとり、年次環境報告書
と驚くべき変貌をとげた。TELの環境安全(EHS)への取組み
で公表するようにしている。これには、TELの社会貢献や労働
強化が加速されたのは、同社が半導体分野にフォーカスしてか
安全衛生活動も盛り込まれている。この報告書は2000年に初
らのことだ。政府からの圧力も理由のひとつであった。危険ガ
めて発行された。
スの死亡事故を繰り返した半導体産業の関連企業に対して、
日本政府は、1980年代後期から1990年代初期にかけて、いま
■ EHSに留まらない効果
まで以上に厳しい安全規則を課したのである。TELは速やか
TELでは、EHS管理システムの構築を通じて次のような効果が
に自社の事業を国内EHS法令に適合させたが、次に直面した
得られたと、井深氏は語る。
のが、さらに厳しい米国とヨーロッパの要求への対応であった。
・多方面におけるEHSパフォーマンスの継続的改善
これは、TELが1990年代に米国やヨーロッパの顧客を開拓する
・世界中の顧客に対応可能となり、収益を上げる機会が増加
につれて深刻な問題となった。
「装置のスループットといった性
・EHS管理の知識を、サプライヤやアジアの顧客にも提供
能や、品質、プロセス管理でいくら優っていても、EHS管理シス
・環境意識の高い日本人新卒者を雇用しやすくなる
テムがなければ米国やヨーロッパではビジネスを拡大できなくな
・EHSを重視する投資家にとって魅力ある企業となる
った」
と、TELのEHSインダストリーリレーション担当部長 井深
・TEL事業所周辺住民からの信頼が高まる
成仁氏は述べる。TELの装置が世界各地のEHS要求に適合
した後も、フィールドエンジニアのトレーニングを増やし続けてい
る。
「当社はSEMI S2への適合はしているが、作業安全におい
てはまだまだ改善しなければならい」
と井深氏は言う。
− Global Careのご案内 −
Global Careは、SEMIの会員企業とその顧客、サプライヤが、
EHS活動を推進するための枠組みを提供するものです。この
■ RESPONSE−対処
TELの経営トップはEHSの基本理念の実現に全力であたること
を決断し、環境に対する認識とEHS諸問題に対する配慮につい
て高い基準が採択されている。同社は、1998年9月に環境保全
に関する基本理念を、同年11月には健康/安全に関する基本理
念を公表した。1999年6月には、安全第一宣言を発表している。
枠組みとは、職場の健康と安全、資源保全、生産者管理責任、
コミュニティへの奉仕、卓越性という、5つの原則です。原則の
実践は各社で柔軟に取り組んでいただくため、企業の規模に
かかわらず無理なくご参加いただけます。詳しくは、以下のウ
ェブサイトをご覧いただくか、または担当までお問合せください。
ウェッブサイト:www.semi.org/globalcare
お問合せ:SEMIジャパン 安藤([email protected])
米国やヨーロッパのEHS規則を遵守するため、TELは米国連邦
14
2004, 7-8
SEMItrack
ビジネス成功の鍵となる規制情報の早期探知
SEMItrack − 全世界のEHS情報のワンストップ・オンライン・リソース
グローバルに拡大する現代のビジネス環境下では、世界各地
ートが掲示されていますが、今後2年間で約1,000に増加する予
の規制情報を遅滞なく入手することが成功への鍵となります。
定です。こうした情報分野が購読者のニーズに適切に対応す
環境、健康、安全
(EHS)
の分野では、知らなかったというだけで、
るように、購読者の定期会議を通じて、EHSの専門家である購
ビジネスを失ってしまうほど高くつくかもしれないのです。製品
読者の意見を徴収し反映します。
やオペレーションに対する規制は国や地域ごとに異なり、全世
界では何千にものぼります。その全てを掌握しなければならな
地域ごとに提供される規制情報の分類
いのですが、それには膨大な時間と費用がかかります。こうした
オペレーション上のEHS規制
状況への産業の対処を支援するため、SEMIはESHconnect社
環境放出、環境影響、装置の汚染除去と危険物質の輸送、人間工
と共同して、全世界のEHS情報を無理のないコストで提供する
学、EHSトレーニング、施設の設計と建設、危険有害性周知、危険廃
オンラインサービス、SEMItrack をこのほど発表しました。
棄物、人命安全、労働安全衛生、物理的安全
(ホイスト・リフト等)
TM
製品安全
■パワフルなオンライン情報ツール
自動搬送/ロボット、化学的安全、電気設計・インターロック・エネルギー
SEMItrackは、半導体とその関連産業にフォーカスしたEHSの最
遮断、人間工学、防火、危険エネルギー制御、電離・非電離放射・レ
新かつ包括的な情報を一箇所で入手できるインターネットベー
ーザー・騒音、機械設計・耐震設計、資源保全・固形廃棄物管理
スの情報源です。購読者は、パスワードを使用してSEMItrack
生産者管理責任
のウェブサイトにログインします。SEMItrackには、次のようなパワ
電池、環境配慮設計、梱包、製品回収/リサイクル、規制物質、廃
フルな機能が備わっています。
棄物越境異動、警告ラベル
・レギュラーレポート:行政地域の概要と、分類毎の規制情報。
年1度のアップデート。
■ SEMItrackの執筆チーム
・規制アラート:新しい規制動向についての速報。一例として5
SEMItrackは、法律、環境政策、技術の分野における世界有数
月4日に「Report on Possible Approach to Compliance with
の専門家集団によって支えられています。国際チームには、
the RoHS Directive」が発行されている。
ESHconnectに加え、Hunton & Williams, LLP、Beveridge &
・スペシャルレポート:半導体産業に影響する規制が急遽浮上
した場合には、詳細なスペシャルレポートを随時発行。
・Q&A:SEMItrackを介しての一般性のある質問に専門家が回
答し、情報を共有。
・Eメール通知:指定した地域情報のアップデートをEメールで通
知。頻度、詳しさを指定可能。
Diamond, LLP、TUV、EORM、CREM(東京海上)等の著名な
組織が参画しています。一例として、中国の法規制についてレポ
ートを提供するBeveridge & DiamondのRichard Ferris氏は、中国
の国家環境保護総局(SEPA)等の立法機関や行政機関の弁
護士を勤めています。中国で多くの時間を暮らすFerris氏は北
京語に堪能なほか、福建語、ミン南語、日本語、フランス語を話
・規制物質データベース:半導体産業で使用される化学物質
します。Ferris氏は、レギュラーレポートに加え、2つのスペシャル
について、どこでどのような規制がされているかを検索。
レポート「China Takes Substantive Policy and Regulatory Steps」、
「Chinese Regulatory Initiatives Affecting the Semiconductor
■ 広範な情報提供
Industry」 を寄稿しています。
SEMItrackは、製品安全だけではなく、生産者管理責任や、操
業上のEHS規制についても取り上げています。その各項目につ
■ 詳しい情報・購読のお問合せ
いて、地域ごとに該当する情報をレギュラーレポートで調べるこ
SEMItrackの購読価格(SEMI会員には割引料金で提供されま
とができます。現在の地域分類は、アジアは中国、日本、台湾、
す)等の詳しい情報については、SEMIウェブサイトのSEMItrack
韓国、ヨーロッパは欧州連合、北米は米国連邦となっており、今
のページ(www.semi.org/semitrack)
をご覧ください。こちら
後はさらに追加・細分化がされ、例えば欧州は国レベル、米国
で、実際の情報画面のプレビューもご覧いただけます。お問合
は州レベルに細分化される予定です。5月現在、約160のレポ
せは、SEMIジャパン 安藤まで([email protected])
。
7-8, 2004
15
MEMS
熱電発電型マイクロパワー源
松下電工株式会社 R&D企画室 友成 惠昭
1. はじめに
システムLSIやMEMS( Micro Electro Mechanical Systems)
な
どの技術開発によって電子機器が急速に小形軽量化され、携
帯電話をはじめとする多様な携帯機器の普及が拡大してきた。
しかしながら、これらを駆動する電池等のパワー源のエネルギ
ー密度(出力×時間/体積または重量)
は比較的低いままであ
り、パワー源が全体システムの寸法、性能、機能、使い勝手など
を制限している場合が多くなっている。エネルギー密度が高い
燃料を燃焼させ発電を行うマイクロパワー源は、電池に代わる
新しいエネルギー源として大いに期待されている。当社は、
MEMS分野への新しい展開として、熱電発電型マイクロパワー
源の開発を独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構
(NEDO)
の基盤技術研究促進事業「携帯型パワー源のマイク
図1.1 熱電発電型パワー源の構造
ロ化に関する研究開発」
として取り組んできた。
2. 何故マイクロパワー源なのか
石油に代表される炭化水素系の燃料は、電池の数十倍のエネ
ルギーをもつ。例えば、市販されている電池のエネルギー密度
は、200Wh/ リトッル 程度である。これに対し、ガソリンのもつエネルギ
ー密度は13kWh/ リトッル にも達すると言われている。そこで、このエ
ネルギーの数%を電気に変えることができれば、容易に電池を
超えるパワー源を実現することができるのである。このようなコ
ンセプトに基づき、現在、MEMS技術を使った多くのマイクロパ
ワー源が研究開発されている。われわれは熱電発電型のマイ
クロパワー源に注目し、その可能性について検討してきた。熱
図1.2 熱電発電型パワー源の原理図
電発電型パワー源は、マイクロ燃焼器と熱電素子モジュールか
導入されると、そこで触媒燃焼反応が起こり、熱を発生する。そ
らなり、構造が簡単で可動部を持たない小形・高信頼性のパワ
の熱は、両側に設けられた熱電素子(図には片側のみを記載)
ー源として大いに期待されている。
を通過して大気中に放出される。このとき、熱電素子中で熱の
3. 熱電発電型マイクロパワー源
一部が電気に変換され、これを電気出力として外部に取り出し
3.1 構造と動作原理
電力として利用する。
われわれが開発している熱電発電型マイクロパワー源の構造
3.2 マイクロ燃焼器
と原理について説明する。図1.1に示すように、中央にマイクロ
図2.1に、本研究で開発したマイクロ燃焼器の構造図を示す。図
マシニング技術によって形成されたマイクロ燃焼器と、その両側
に示すように、マイクロマシニング技術を使って加工できる2次元
にBiTe系の熱電モジュールを設置した構造になっている。図
形状の燃焼器構造を採用した。マイクロ燃焼器は、ガラス基板
1.2に発電原理を示す。種類の異なった二つの物質をつなぎ、
の両側にシリコン基板を接合した3層構造からなり、着火源とし
一方の接合部を加熱(冷却)
し、接合間で温度差が生じると電
てPt薄膜ヒータが形成されている。また、それぞれのシリコン基
圧が発生するという現象は、ゼーベック効果(Seebeck Effect)
板はエッチングにより凹形状に加工され、凹部にはTiO2担体に
としてよく知られている。熱電発電はこの現象を使って電気を
担持されたPt触媒層が形成されている。シリコン基板が陽極接
発生させるものである。具体的には、図に示すようにp形とn形
合等でガラス基板と接合されると、この凹部分が微小空間とな
の熱電半導体を金属電極により複数個直列に接続した熱電モ
り、マイクロ燃焼室(リアクタ)
が形成される。ブタン等の燃料が
ジュールとして使用される。ブタン等の燃料がマイクロ燃焼器に
マイクロ燃焼室に導入されると、Pt触媒層と接触して触媒燃焼
16
2004, 7-8
MEMS
を流し触媒燃焼を起こさせ、そのときの発電特性を測定した。
その結果、マイクロ燃焼器の燃焼により発生する熱量が12Wの
ときに、出力290mW、発電総合効率2.4%を得た。このとき、熱電
モジュールの平均温度差は110.1℃、外部抵抗は8Ωであった。
図2.1 マイクロ燃焼器の構造図
図3.1 試作したマイクロパワー源の外観写真
図2.2 チップ外観写真
がスタートする。図2.2には、試作したマイクロ燃焼器のチップ外
観写真を示す。マイクロ燃焼器の全体サイズは、14mm×
10mm×1.8mmである。このときのマイクロ燃焼室の容積は、
8mm×8mm×0.4mm(0.0256cc)
である。
図2.3には、ブタンガスをマイクロ燃焼器に導入し、触媒燃焼させ
表3.1 マイクロパワー源の仕様
た場合の温度分布を示す。表面温度200℃以上で、均一性の
良い温度分布特性が得られている。
4. まとめ
マイクロ燃焼器と熱電モジュールを組み合わせた「熱電発電型
マイクロパワー源」のプロトモデルを試作し、携帯型パワー源と
しての可能性を検証した。具体的には、マイクロマシニング技術
を使って開発した触媒燃焼型のマイクロ燃焼器と熱電モジュー
ルを組み合わせ、熱電発電型マイクロパワー源の試作を行い、
発電出力290mW(総合変換効率2.4%)
を得た。これらの結果
より、携帯情報機器を駆動できる携帯型パワー源としての可能
性を検証することができた。しかし、実用化に向けては、高効率
図2.3 マイクロ燃焼器の燃焼特性
3.3 マイクロパワー源の試作と評価
熱電発電技術、マイクロ燃焼技術、放熱技術等、開発すべき多
くの課題がある。
最後に、マイクロ燃焼器と熱電モジュールを組み合わせて熱電
発電型マイクロパワー源を試作した。図3.1に試作したマイクロ
パワー源の外観写真を示す。試作したパワー源に使用した熱
電モジュールは、7.8mm×9.6mmの面積に34対の微細な熱電
素子を実装し形成した。このときの熱電素子1本のサイズは
0.65mm×0.65mm×2mmであった。詳細な仕様を表3.1に示
す。試作したマイクロパワー源に、メタノールと空気の混合ガス
7-8, 2004
PowerMEMS2004
-The 4th International Workshop on Micro and
Nanotechnology for Power Generation and Energy
Conversion Applications-
日程:2004年11月29-30日 場所:京都
アブストラクト提出:8月31日
URL:http://www.conferences.jp/PowerMEMS04
E-mail:[email protected]
17
FPD Industry
有機EL黎明期のころ その1
千歳科学技術大学 光科学部 物質光科学科 助教授 安達 千波矢
本稿は2回に分けての連載となります。後半部分は次回SEMI
News 9-10月号に掲載致します。
■1985
15年前には、ほとんどの研究者が興味を持っていなかった有機EL
が現在では次世代ディスプレーとして大きな注目を集めている。
現在、有機EL
(有機LED)
は、100%に近い発光量子効率で電気
エネルギーを光エネルギーに変換することができる
“凄い技術”
で
ある。私の有機エレクトロニクスとの出会いは、1985年、学部4
年生の時に雀部博之教授
(当時理研)
から受けた分子エレクトロ
ニクスに関する魅力ある講義であった。その当時“分子素子”や
“有機・無機ハイブリッド材料”
という聞き慣れない言葉に対し、
学部学生ながらに何となく
“怪しさ”
を感じながらも大きな魅力を
感じていた。物理学科に在籍していた私が、そろそろ量子電磁
力学、素粒子論などの理論物理学に対して、学力的に不安を感
Fig.1:ITO/P3MTperylene/AIデバイスのP3MT挿入効果
(S.Havashi. al..JJAP.25.L680
(1986)
)
じつつあったことも、正直、材料を肌で感じることができる物性物
理
(実験系)
に大きな魅力を感じた理由の一つかもしれない。
研時代に書かれた報告書から伺える。
(当時有機ELに興味を持
卒業研究では、理研の生体高分子物理研究室(雀部研)
で当
っていたグループは国内では、九大、出光興産の細川地潮さん、凸
時流行であったポリアセチレン薄膜へのイオン注入によるドーピ
版の伊藤祐一さん、慶応大学の大場先生のグループくらいであっ
ングに関する研究を和田達夫先生の元で行った。少々現実離
た。
)
しかし、当時、研究室の花形研究は、導電性高分子である
れした分子素子よりも、まずは、より現実的なマクロデバイスの電子
PPVと、分子素子の香りがするLB膜であった。それらの研究を横
物性の解明に従事できたことは、今思えば幸運だったかもしれな
目に、私は実験室の片隅に鎮座していたガラスベルジャーの青色
い。この研究で、有機薄膜は多くの物質がホールを伝導し、電
の蒸着装置と格闘し始めた。
(今では信じられないが、当時は膜厚
子を輸送する物質が極めて少数に限られていることを初めて知
計すら付いていなかった。
)
った。なぜ有機物に電子を輸送する物質が少ないのかという
当時、齋藤研究室には、Bell研で有機ELの研究を行い、留学か
素朴な疑問が、その時以来、私の頭の片隅にずっと残っていた。
ら戻って来られたばかりの林省二先生がおられ、駆け出しの私に
“有機物で電子を流す物質を見つけたい”
という強い欲求が、
とってはこうした先達の存在が大きかった1)。林先生は、半年後、
そのままその後の私の大学院での研究テーマになった。n型性
私に分厚い
“Electrical Transport in Solid(Pergamon Press)
”
の本
の有機材料が見つかれば、応用デバイスへの幅広い展開が可
を置土産に、三菱レイヨンに転出された。林先生は、今となっては
能になるだろうということも直感的に感じていた。実際、その後
本当に悔やまれるが、ITO/polythiophene/perylene/Al型の2層型
の有機EL材料のbreak-throughはn型電荷輸送材料が確立さ
デバイス構造をJJAPに発表されている2)。この論文は、後述のTang
れたことにあると言っても過言ではないと思う。
のAPLよりも先の発表であり、世界で初めて明確に2層構造の効
■1986
果を示した論文と言える
(Fig.1)
。しかしながらperylene薄膜の製
1986年春、東京から福岡に移り、九州大学の齋藤省吾研究室
(現
膜性の悪さ
(論文では3μmの厚膜を用いている!)
とperyleneから
筒井研)
で大学院の研究活動をスタートさせた。分子素子に未練
polythiopheneへの顕著なエネルギー移動のためにEL効率が低
のあった私は、“LB膜の研究をしたい”
と直訴したが、“君は物理
かったことが、より深い検討を断念させたものと思われる。
学科の出身だから蒸着をやりなさい”
と言われた。せっかく福岡
一人残された私は、もう一度原点に戻り、材料の純度が低い限り
までやって来たのに好きな研究テーマができないのかとちょっと
は材料固有の本質が見えてこないだろうと考え、材料の昇華精製
残念に感じたが、そこは気を取り直して研究テーマに取り組ん
装置の作成に取りかかった。Train sublimation型の昇華精製装置
だ。齋藤先生が、有機ELに強い感心をもたれていたことは、電総
であり、現在では、有機EL材料の高純度精製法としては必需品と
18
2004, 7-8
FPD Industry
なっている。有機合成に興味があった私は、ペリレン誘導体の合
成を行ったが、不溶不融の粗精製物が得られ、物理屋でも簡単
に精製できるTrain sublimation法はかなり重宝した。当時は研
究室に転がっていた廃材を利用して作成した装置であり、不覚に
も水漏れを何度も起こし、ある日の朝、研究室のドアを開けると1cm
ぐらいの大きな水槽ができていたことも思い出す。昇華精製で高
純度になったと思われるフタロシアニン
(Pc)
とペリレン誘導体
(PV)
を用い、基礎的な導電性の測定や熱起電力の測定を繰り返し
行った。これら二つの材料は全く逆の挙動を示し、ペリレン誘導
体
(PV)
が明確に電子をキャリヤーとしていることを掴んだ。
■1987
昇華精製にかなりの時間を費やし、M2の春がやって来た。Pc/PV
型の太陽電池特性の測定を中心に研究を進めていたが、ある日、
Fig.3: 有機ダブルヘテロ構造の最初の構築
(C.Adachi. et al.JJAP.27.L269(1998)
)
デバイスに順バイアスを印加してみた。暗幕の中で眼を凝らし、ジッ
と5分間待ち、暗闇にうっすらと光る赤い光を観測した。この光が
Alq3という聞いたこともない材料に戸惑いながらも、大体のことが
私にとって始めて見るEL発光であった
(Fig.2)
。
理解できた。ある程度の技術と蒸着装置と材料が揃っていた
ので、それから約一ヶ月で追試を終えたと思う。とは言っても当
時はITOすら研究室にはなく、代わりにAuを陽極として用い、陰
200
Brightness / counts-sec-1
極も共蒸着などというアクロバットもできず付着性の悪い単層の
Mgを用いた。(それにしても、すぐに追試ができたところが最
近の一連のSchönの結果とは大きく異なるところである。)追試を
終えた後、とにかくTang以外のデバイス構造を創りたいという強
い欲求と、それまで密かに温めてきた電子輸送材料を組み合わ
100
せたいという思いが重なり、新しい有機ELのデバイス構造を考え
出した(Fig.3)。この成果を直ちに、Jpn. J. Appl. Phys.に発表し
た。世界で初めて、有機ダブルヘテロ構造(Organic double
heterostructure)
、発光層を電子輸送層とホール輸送層で積層した
デバイス構造を報告した5,6)。当時、筒井助教授の強力な後押しも
0
400
600
800
λ / nm
Fig.2: Au/H2Pc/perylene deri./AlのELスペクトル
(当時の実験ノートから)
あって、論文を年内に投稿するよう追いまくられ、論文の受理が
同じ年の12月14日であった。Tangの論文を読んでから約2ヶ月
でやってしまったことになる。
(SEMI News 9-10月号に続く)
タルの発光を研究しており、有機ELには人一倍強い関心を持って
参考資料
1."Electroluminescence in amorphous films of pyrazoline derivatives", S.
Hayashi, T. T. Wang, Y. Uchida and S. Saito, Mol. Cryst. Liq. Cryst. Letters,
2, 201(1985)
.
2."Electroluminescnece of perylene films with a conductiong polymer as an
anode", S. Hayashi, H. Etoh and S. Saito, Jpn. J. Appl. Phys., 25, L773(1986)
.
3.“昇華精製したペリレン誘導体蒸着膜の電気的性質”安達千波矢・時任静
士・筒井哲夫・齋藤省吾、日本化学会第55回秋季大会 S62.10
(福岡)
4."Organic electroluminescent diodes", C. W. Tang and S. A.
VanSlyke, Appl. Phys. Lett., 51, 913(1987)
.
5."Electroluminescence in organic films with three-layer structure", C. Adachi, S.
Tokito, T. Tsutsui and S. Saito, Jpn. J. Appl. Phys., 27, L269(1988)
.
6."Organic electroluminescent device with a three-layer structure", C. Adachi, S.
Tokito, T. Tsutsui and S. Saito, Jpn. J. Appl. Phys., 27, L713(1988)
.
いた。その晩、二人で意気投合し、博多駅前の飲み屋で有機ELの
※本稿は
(社)
応用物理学会の「Molecular Electronics and
談義を遅くまで行った。翌日、問題のAPLを興奮して一気に読み、
Bioelectronics, 14, 205(2003)
」に掲載されたものです。
今でも何となく網膜に焼き付いている気がするくらい感動したこ
とを覚えている。p-n型はうまくいくぞと感じた瞬間である。
この結果は、その年の日本化学会・秋の年会(九州大学)
で発表し
たが3)、同じ日の午後の特別講演(確かNECの方)であったと思
うが、米国のC. W. TangがTAPC/Alq3という積層構造により
1000cd/m2以上の明るい有機ELをAPL4)に発表したことが報告さ
れた。その会場には、この報告に強い興味を持った人物がもう一
人いた。凸版印刷の伊藤祐一さんである。彼は学生時代からホ
7-8, 2004
19
Topics
開発秘話:イオン注入装置
日新イオン機器株式会社 理事 松田 耕自
イオン注入装置は、シリコン基板にn型またはp型の不純物(ド
技術の国産化から、国産技術の開発に切り替えた。
ーパント)
をイオン注入し、半導体デバイスのゲート、ソースおよ
国産技術に切り替えたと言っても、導入技術も要素機器の製作
びドレインを作る装置である。ドーパントをシリコン基板に注入
では参考にした。参考例に電磁石の設計がある;イオン源から
するだけなら熱拡散法でも可能であるが、イオン注入法の特徴
出たイオンビームの質量分析をする電磁石の磁界制御は、これ
は、注入するドーパント量の定量制御および注入部位の制御
まで、電磁石コイルに流す電流で制御していたが、導入技術で
が格段に優れている所である。
は磁界を計るホール素子で制御するため、電磁石の大きさがコ
現在、イオン注入装置は用途別に3種類に分けられ、それぞれ
ンパクトになった。国産技術は主に装置の自動制御部分であ
半導体デバイスのゲート周辺部形成のために高精度なイオン
ったが、顧客クレーム対策にはことのほか敏感に対応した。クレ
注入をする中電流イオン注入装置、ソースおよびドレイン形成
ーム対策の中に英語表示の変更もあった。装置の操作盤に記
のために高ドーズイオン注入をする大電流イオン注入装置、ウ
載されているイオン種区分ボタンの英語表示について、BとPの
エル形成等のために高エネルギーイオン注入をする高エネル
ボタン表示を間違え誤注入するトラブルが発生した時、BとPの
ギーイオン注入装置である。このうち、当社が現在取り扱ってい
表現が誤認されやすいと顧客に指摘された。
るのは中電流イオン注入装置である。
当時、国内の半導体デバイス製造メーカーが使用しているイオ
ン注入装置は、ほとんど、米国製の装置であった。このため、デ
1. 装置市場参入
バイス製造メーカーの中に国産技術育成の必要性を考えてお
当社の中電流イオン注入装置は、幾多の変遷を経てこの種類
られる所があり、当社の自主技術開発に協力していただける顧
に的を絞って来たもので、当初から中電流イオン注入装置に
客と出会えたのは大変幸運なことであった。
目標を決めていたものではない。
きょうとうほ
当社
(前身は日新ハイボルテージ
(株)
)
がイオン注入装置事業に
2. 橋頭堡
(※橋を守るため、その前方に築くとりで)
参入することになったきっかけは、1970年代当時世界的に著名な
当社の技術が顧客に認められる契機となったのは、国産技術
加速器製造メーカーであった米国HVE社からの勧誘によるもの
で複数台の装置製作の実績を重ねるまでになったこともある
である。HVE社は、本社で高エネルギーイオン加速器と電子
が、外国製のイオン注入装置が起こすウエーハのキズ、ゴミの
線照射装置を製造し、オランダにある小会社(HVEE社)でイオ
発生問題を解決したことと、150ミリ径基板対応のイオン注入装
ン注入装置を製造していた。電子線照射装置ではHVE社との
置をいち早く開発したことである。
間で合弁会社(上記)
を作る等、友好関係を築いていたので、
当時、海外の中電流イオン注入装置では、シリコン基板の取り
この関係を背景に、HVE社は当社に、HVEE社から技術導入
扱いはピンセットで行い、シリコン基板をイオン注入室に通すの
することを薦めたものである。
は、予備真空室から斜め下方に基板を自力で滑らすスライドダ
イオン注入装置の技術導入に先立ち市場調査を行ったところ、
ウン方法が使われていた。シリコン基板の重量が増すと、この
少数の方からは、注入ドーパントの定量制御ができるから良い
方式では基板がスライド溝の周辺に接触してチッピングを起こ
技術になり得るとの意見をいただいたが、多数意見は否定的で
しやすくなり、またデバイスの集積度が増しつつあったこともあ
あった。否定的意見としては、イオン注入法で製作される半導
り、基板のキズ、ゴミ付着が問題視され始めていた。当社は、
体デバイスはノイズが多いと言われた。1973年当時、半導体デ
シリコン基板の機械的摩擦を極力少なくするため、シリコン基
バイスの製作にイオン注入法を使うことはまだ充分には普及し
板をベルトで水平搬送する方法を採用した。また、150ミリ径基
ておらず、一方熱拡散法が最盛期にあったためでもある。技術
板対応のイオン注入装置は、顧客要求に忠実に応じた。
導入は、結局、実行することになったが、これは市場調査の結果
シリコン基板をベルト搬送する方式を採用したエンドステーシ
ではなく、HVE社のアドバイスを信用したからであった。
ョンと150ミリ径基板が使用できる中電流イオン注入装置は、当
業務提携を契機に精力的に顧客と接触するにつれ、競合先の
社にとって最初のヒット商品となった。この時期、海外の競合先
装置内容も明らかになり、顧客ニーズと導入技術の間にギャッ
がシリコン基板のベルト搬送方式を真似ているとの風評も立っ
プがあることが判明した。その結果、当初の方針であった導入
た。ヒット商品を手中にして、半導体デバイス製造装置事業の
20
2004, 7-8
Topics
特異性を理解することとなった。即ち、No.1製品のみが適正な
HVE社製高エネルギー加速器等の輸入販売を開始した。半導
利益を上げられるということである。
体産業の規模拡大気運もあり、一層の業務拡大を目指し、イオ
中電流イオン注入装置で一定の地歩を築いたと思えたので、
ン注入装置事業を日新ハイボルテージ
(株)
から親会社の日新
より大きな市場である大電流イオン注入装置への参入も検討
電機(株)
に移管した。
していた所、顧客より、ウエスタンエレクトリック社(後のAT&T
半導体デバイス製造用イオン注入装置では、基本原理および
社)が長寿命のイオン源を搭載した大電流イオン注入装置を
主要機能の発祥地は米国であり、装置の市場占有度も米国勢
開発しているとの情報を得て、調査のため出張した。事前情報
が大半を占めていたが、液晶ディスプレイ製造用イオン注入装
とは異なり、イオン源寿命は普通程度で、イオンエネルギーも
置(当社呼称イオンドーピング装置)
は、当社が最初に開発し、
30keV程度止まりであったが、自力で改善できる見込みもあり、
1988年に完成した。
技術導入に踏み切った。技術導入した大電流イオン注入装置
イオンドーピング装置では、最終製品が液晶パネルであり半導
のイオンエネルギーの低さは直ぐに問題となり、200keVまでの
体チップより格段に大きいが、製品の付加価値が半導体デバ
増強を余儀なくされる事態となり、30keV装置技術の習得とほ
イスより低いため、装置構成を単純にしなければならなかった。
とんど平行して、200keV大電流イオン注入装置の開発をした。
このため、半導体デバイス製造用イオン注入装置に使用してい
150ミリ径基板対応中電流イオン注入装置が市場に浸透する
るイオン質量選別機構およびイオンビーム走査機構を削除し、
につれ、装置技術開発の増大により開発費負担が大きくなり
代わりにパネル相当の大面積イオン源を製作し、また不純物
始めた。そのため、開発費捻出目的も兼ね、HVE社と掛け合い
の発生を極力防ぐ対策をした。顧客の中には、不純物混入に
懸念を表明する方もおられたが、緊密な協議と事前試験を繰
り返し理解を求めた。
3. まとめ
イオン注入装置の取り扱い部署が、1999年4月、日新電機(株)
か
ら分社した日新イオン機器(株)
に移った。日新イオン機器(株)
は
イオン注入装置専業の会社である。半導体製造装置市場がアジ
ア地区に移りつつある一方、先端技術の自国内復興がなされつ
つある。イオン注入技術は今後も発展を続けることには変わりない
が、イオン注入装置は種々の変革を遂げて行くものと思われる。
繁閑のサイクルはこれからも繰り返し到来するであろうが、半導体
300ミリ径基板対応中電流イオン注入装置(EXCEED2300)
デバイス製造装置業界の一翼を担い続けたいと思っている。
セミコン・ジャパン 2004のお知らせ
日本経済の本格的な回復基調のもと、半導体・FPD産業を中心とする製造業はじめIT産業の復活は顕著で、電機・情報大手各社の
研究開発・設備投資への積極姿勢は軒並み二桁を超える増加となっております。世界全体でも設備増強への積極姿勢は共通してお
り、今年から来年への世界景気上昇が大いに期待されます。この追風を背景に、セミコン・ジャパン 2004へのご出展社様ならびに展
示スペースも増加の傾向にあり、お蔭様にてセミコン・ジャパンの開催規模は、昨年を大きく上回る予定です。
ご出展社様の最新技術・最新製品の展示ならびにSEMI特別企画の準備が進む中、出展スペースにまだ若干の余裕がございます。
今からのご出展、またスペースの拡張をお考えの企業様には、SEMIジャパン展示会部にご相談ください。
セミコン・ジャパン 2004
1. 開 催 日: 2004年12月1日
(水)∼3日
(金)
2. 会 場: 幕張メッセ
(日本コンベンションセンター)
1∼11ホール、イベントホール
3. 開催規模: 1,500社 4,000小間
4. 問 合 先: SEMIジャパン展示会部 Tel: 03-3222-6022
7-8, 2004
E-mail: [email protected]
21
Topics
ソフトなカメラシステム
アキュートロジック株式会社 代表取締役社長 増田 孝
■ 開発の意図
■ Gemini2 システム構成
従来の産業用カメラシス
開発に当たっての重点課題は、次の3点とした。
テムは、カラープロセス、
①シンプルなハードウェア構成とする
ビデオプロセスに特化した処理を実現することを主眼としたも
②システムの物理的な大きさを 「カメラ」 を実感させうる程
度に纏める
のが一般的であった。
ところが、近年のセキュリティ意識の高まり、今後の車載カメラ
③当社の優れたアプリケーションソフトを多く当システムに搭
の普及といった現状に鑑み、これからのカメラは単に画像をキ
載することで、「ソフトなカメラ」 のコンセプトを明瞭に呈示
ャプチャし、出力するといった単一機能の製品から、カメラシス
できるようにする
テム内部にてアプリケーション処理をも行い、そのアプリケーシ
以下、本システムについて詳述する。
(図②)
ョン自体をプログラマブルにすること
(
“ソフトなカメラ”
)で、カ
前段のカメラ信号処理(センサ入力から色生成まで)
について
メラシステムとしての新たな可能性の展開と発展が考えられ
は、処理自体は定型的でさして複雑ではないものの、演算量は
る。そのようなシステムの実現に向け、当社では一昨年来「ジ
非常に多いので専用プロセッサに担わせることとした。その後
ェミニ」
と称するカメラシステムの開発に鋭意取組んで来た。
段にアプリケーションプロセッサとしてDSPを搭載し、ネットワー
■ システムの変遷
ク制御を含むシステム制御はマイコンが行う、というのが基本
当システムの第一世代機は一昨年央より開発に着手したが、
構成である。
アプリケーションソフトが不明確だったため、万能型を考えた結
前段のカメラ信号処理プロセッサには当社が共同開発に関わ
果、非常に複雑なシステム構成になってしまった。
(図①)
った共信テクノソニック社のKTS7001“Luminous”を用いた。
このシステムはどんなアプリケーションソフトにも対応できるよ
これはA/D変換後のRGB、ベイヤー配列のイメージセンサー出
う、開発時点で入手できる最高水準の処理性能を持った
力を受け、その信号に対し画像前処理、色補間処理を行った
Analog Devices社 の DSP ADSP-TS101S“ TigerSHARC”を4
上で、JPEGに圧縮する機能やシェーディング補正の機能も備
個、並列に動作するよう搭載した。このため複雑かつ大規模な
えた 産 業 用カメラプロセッサで 、 画 像 処 理 速 度としては
システムとなり、メインの基板はA4サイズにもなった。またシス
30Mpixel/秒の性能、2Mの画像に換算すると15フレーム/秒、
テム開発に大きく手間取ることになった。
VGAでは約90フレーム/秒の高速でカメラ信号処理が行えるデ
これらを教訓として昨年より第二世代機(Gemini2)の開発に
バイスである。因みに、当社からは、本デバイスに内蔵されてい
着手し、高性能で、かつ、画像ブレ補正などの当社の優れた設
る色生成用のロジックを提供している。
計資産を搭載したシステムの完成をみるに至った。
後段のアプリケーションプロセッサには、性能・コスト両面の詳細
な検討の結果、市販のDSPであるTexas
DSC BOARD
Flash ROM
Flash ROM
SDRAM
SDRAM
Camera Link
Driver
Link port
DSP
(sub1)
Link port
DSP
(sub2)
Link port
Link port
DSP
(main1)
Link port
UART
RS232C
CPU BOARD
NTSC
Output I/F
DSP
(main2)
BUS
RGB Output
FPGA21 RGB 4:4:4
RGB 4:4:4
Input I/F
Link port
Link port
Link port
CPU BOARD
FPGA1
Camera Link
Link port
DAC
RGB 1:1:1
Instruments社 のTMS320 DM642を1個 使
用 することとした。このプロセッサは 、
BUS
Link port
NTSC Video
Encoder
NTSC
NTSC
BUS
図① Gemini 2システム構成
600MHz駆動時に最大4.8GMACの演算能
力を有する高速・高性能DSPである。
システム制御用マイコンにはNet Silicon社
のNet+50という、コアにARM7TDMIを搭載
した製品を採用した。マイコンの動作周波
BUS
SDRAM
SDRAM
Flash ROM
Flash ROM
FPGA3
(Dual port memory)
数自体は44MHzと決して高いとは言い難
いものの、TCP/IP関連のドライバ、プロトコ
RS232C
ル等のリソースが豊富に用意されているこ
と、そして制御の負荷がさほど大きくない当
社のカメラシステムには適したデバイスであ
22
2004, 7-8
Topics
CCD BOARD
MOTHER BOARD
INTERFACE BOARD
は引き続きJPEGエンジンで圧縮された後、
Net+50のFTPあるいはHTTPdの機能を使
SDRAM
いネットワーク上に出力され、Web上でその
BUS
BUS
SDRAM
MII
CCD
CCD Out
CDS
Bayer
Timing
Timing
Generator
DSP
YUV 4:2:2
Bayer to YUV
Processor
Ethernet PHY
YUV 4:2:2
Application
Processor
VIDEO Encoder
10/100Base-T
Ethernet
NTSC
CAMERA-LINK Camera-Link
Driver
YUV 4:2:2
Timing
Lens
Luminous
高精細画像がリアルタイムで確認できる、と
いうものである。
BUS
上記はすべてGemini内で実行される処理
SPI
CPU
System
Controller
SDRAM
Flash ROM
BUS
UART
MII
USB2.0 PHY
RS232C
Ethernet PHY
USB2.0
RS232C
10/100Base-T
Ethernet
であるが、仮に、時間、日によっては別のプ
ログラムをカメラ内で実行させたい、といっ
たニーズがある場合にも、そのプログラムを
図② Gemini 2システム構成
Ethernetを介してカメラにダウンロードするこ
とで処理内容を切り換えることも可能とな
るとの判断を下した。
カメラヘッドには200万画素(UXGA)
と33万画素(VGA)の2タ
っている。
イプを標準として用意したが、カメラ信号処理部の出力速度は
さて、本機は、ユーザーが独自に開発したアプリケーションを試
前者が15FPS、後者で60FPSとなる。なお、当カメラシステム内
してみるカメラシステムの開発環境として、あるいはプログラマ
でアプリケーション処理を実行した場合の、システム全体として
ブルカメラのレファレンスプラットホームとして利用されることを
の画像処理速度はアプリケーション処理の軽重に依存するこ
想定している。ユーザー独自のアプリケーション開発も、Texas
とは論を待たない。
Instruments社の充実した開発環境を利用することで随意に行
うことができるほか、その際、ユーザーがカメラのシステム制御
■ 搭載アプリケーション
について頭を悩ませることがなくてすむよう、当社よりカメラ制
上述の構成からなるGemini2であるが、特色としては、カメラシ
御ソフトをご提供し、カメラ制御インターフェースを公開してい
ステム内部にアプリケーション処理機能を付加したこと、アプリ
る。これにより、ユーザーは購入したその日から開発に取り組
ケーション自体はソフトで実行しているためにプログラマビリテ
むことが可能となる。
ィが確保されていること、そしてシステムが汎用のコンポーネン
セキュリティ、車載、FAといった分野に向けたアプリケーション
トのみから成り立っていることが挙げられる。特に最後の点に
開発のためのプラットホームとしての活用が大いに期待される。
ついては、産業用カメラではディスクリートの回路、FPGA、ASIC
等の利用が一般的であることに鑑みると、そのユニークな点が
■ 今後の展開
ご理解いただけるのではないかと思う。
「ソフトなカメラ」
というコンセプトを推し進めるにあたり、以下二
Gemini2には、当社が独自開発した以下のアプリケーションを
様のアプローチが存在しうるのではないかと考えている。
搭載済みである。
第一は、プログラマブルである、という機能は生かしたまま、カ
・静止画・動画ブレ補正
メラの基本性能をさらに強化し、ハイビジョンクラスの動画に対
・ワイドダイナミックレンジ
応したもの。
・侵入物検出“Acusafe”
第二は、画像そのものでなくアプリケーションの処理結果のみ
・色抽出
を出力するようなシステムにおいて、カメラ信号処理はほとん
・魚眼画像補正
ど行わず、センサ出力を直接用いた画像処理に力点を置く用
上記処理のいずれもが、本カメラシステム内部で
(PC等を介在
例もあるのではないかと考えている。
させることなく)完結するようになっているが、Gemini2の能力を
前者については、カメラ信号処理の速度アップとの観点から、
端的に示すアプリケーションの例として、侵入物検出“Acusafe”
カメラ信号プロセッサにはハードワイヤードのデバイスが最適
について簡単な説明を加えたい。
で、その性能をさらに強化することが優先される。後者につい
このアプリケーションでは、通常はカメラプロセッサの「間引き」
ては、信号処理はDSP一個ですべてをまかなう、“ワンチップイ
モードで低解像度の画像を処理し、その画像を元に後段の
ンテリジェントカメラシステム”
も今後具体性を帯びて来ようし、
DM642側で常時侵入物検出処理を行い、侵入物が検知され
ここではDSPの速度、性能向上が大きな意味を持ってくる。
た瞬間にこのDSPからLuminousに対し2Mの高精細画像を複
当社では、今後上記両面から、デバイスメーカーとの密接な協
数枚連続してキャプチャするよう命令が発行される。この画像
力関係の下、さらに面白いソリューション提案ができるよう引き
7-8, 2004
23
SEMI Membership
SEMI新会員企業紹介
−日本で入会された会員企業をご紹介します−
■ 会社名 1)
所在地、Eメール/Webアドレス 2)
代表者 3)
設立年度
4)
取扱製品 5)
半導体/FPD製造装置・材料関連売上高
■ 日本ブサーク アンド シャンバン株式会社
1)
〒130-0002 東京都墨田区業平3-14-4 日土地押上ビル5F
■(財)
機械振興協会経済研究所
Tel: 03-5610-1828 [email protected]
1)
〒105-0011 東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館
http://www.busakshamban.co.jp
Tel: 03-3434-8251 [email protected]
2)代表取締役 岡崎 寛
http://www.eri.jspmi.or.jp
3)1984年11月
2)会長 豊田 章一郎
3)1964年
4)半導体製造工程に必要な耐プラズマ、耐薬品、耐熱、耐圧
のクラス100のパーフロロエラストマー
4)産業の調査研究および資料情報収集・提示
5)0.3億円
5)
−
■ 日本プロフィバス協会
(NPO法人)
■ ケー・ピー・アイ株式会社
1)
〒141-8641 東京都品川区東五反田3-20-14 高輪パークタ
1)
〒113-0021 東京都文京区本駒込6-11-23 Tel: 03-3943-2031
[email protected] http://www.keyproducts.jp
ワー シーメンス
(株)内
Tel: 03-5423-8628 [email protected] http://www.profibus.jp
2)代表取締役 蒲生 寛
2)会長 元吉 伸一
3)2002年10月
3)2003年7月(ただし、任意団体としての活動は1997年2月から)
4)半導体テスター、半導体関連カスタムメカニカル、半導体関
4)オートメーションに使う工場ネットワークシステムの技術の普
連ソフトウエアー、ガルボメーター、他
及活動
5)1億円
5)
−
■ 株式会社酒井製作所
■ 株式会社BBS金明
1)
〒453-0858 愛知県名古屋市中村区野田町中深15
1)
〒924-0004 石川県松任市旭丘1丁目11番地
Tel: 052-411-5131 [email protected]
Tel : 076-275-6131 [email protected]
http://www.sakai-mfg.com
http://www.bbs-ltc.com
2)代表取締役社長 酒井 義孝
2)代表取締役社長 川原 幸夫
3)1960年4月
3)1956年6月
4)制御モータ用精密カップリング、ベルト式無段変速機
4)
ウェハーエッジポリッシングシステム、消耗副資材、平面研磨
5)5億円
■ ティーシーエスジャパン株式会社
機、工作機械、自動車・産業専用加工機
5)10億円
1)
〒225-0013 神奈川県横浜市青葉区荏田町72-1
Tel: 045-914-5100 http://www.tcsj.co.jp
SEMI会員制度について
2)代表取締役 Richard Dyck(リチャード・ダイク)
SEMIには、半導体およびFPD産業に従事する企業や団体に
3)1999年3月
入会いただいています。
4)
バックプレーンの専門メーカー。多層、大型基板の提案、設計、
■ 業種による4種類の会員区分
製造、組み立て、検査およびテラダイン社のコネクタ販売。
①正会員
(Corporate Member)
5)15億円
半導体およびFPD関連業界に装置・材料、部品等を供給され
■ 東芝三菱電機産業システム株式会社
ている企業が該当します。
1)
〒108-0073 東京都港区三田3-13-16 三田43MTビル
②準会員(Associate Member)
Tel: 03-5441-9755 [email protected]
半導体およびFPDデバイスの設計、製造、販売に従事されて
http://www.tmeic.co.jp
いる企業が該当します。
2)代表取締役社長 松山 功武
③賛助会員
(Allied Member)
3)2003年
研究、教育、規制機構、協会・団体等が該当します。
4)オゾン発生装置、ヒートパイプ式均熱プレート、UPS・瞬低補
④関連会員
(Affiliate Member)
償装置、トータルソリューション
5)−
24
半導体およびFPD関連業界に出版、コンサルティング、保険、
運送等のサービスを提供している企業が該当します。
2004, 7-8
Column
SEMI News コラム:Jカーブ
水野 修
酒は百薬の長、という。
がら飲んでいてはこれほど味気ないこともない。酒は嗜好品
長とは“おさ”
という意味であろう。つまりその集団での最高位
であり、飲める体質でもそれほど飲まない人もいれば、中毒に
を表す。ということは、酒はあらゆる薬の中で最高の薬効を示
なるまで飲んで命を縮める人も多い。もっと自制すればよいも
すということになる。
のを、と思うのだが、どうにも止められない人もいるようだ。自
しかしこれは、どう見ても酒飲みの言い分であろう。
己破産するまでパチンコを止められない人もいるのと同じだろ
確かに酒に薬効はある。血流を良くし、食欲を増進させ、気分
うか。どうもよく分からない。結局は本人しか分からないのだ
を明るくしてリラックスさせる。だが、それはいうまでもなく適量
ろう。分かりたくもない。
の場合である。度を越せば毒薬の長となる。いや、百厄の
安芸の国
(広島県)
から興り、中国半島を席巻した戦国の武将、
長、と言うべきかもしれない。
毛利元就は過度の飲酒をよく戒めたらしい。というのも、身内に
話がそれるが、百薬の長の百は“全て”
という意味を表す。全
酒によって命を縮めた者が多かったからである。死亡年齢とし
て、ということならもっとケタの大きい千や万のほうがよいと思うが、
て、祖父の豊元が33歳、父の弘元が39歳、兄の興元が24歳、と
なぜか百である。百獣の王、百貨店、百科辞典、等々。百姓と
いうように。元就は
いうのは、古代、貴族と奴婢を除く姓氏を有する全ての公民のこ
「飲みすぎなければ60、70歳まで生きられる」
とだった。一方、千や万は“非常に多い”
という意味で用いられ
と言ったそうである。事実、元就は75歳まで生きた。
ることが多い。千人塚、千枚漬け、千畳敷、等々。千両箱や千
楽しく飲んでそれが薬になるのならこれほど良いものはない。
枚田は実際に千あった。万では万年筆、万灯会、万華鏡、等々。
しかし、常にJカーブの最小値を心掛けるのも困難である。気
ただし万は万事というように“全て”
を表すこともあるが、なにやら
の合った仲間と楽しくやれば間違いなく酒量はふえる。悲し
百と千・万の使い方が逆のような気がしないでもない。
ければやはりふえる。時にはヤケ酒もある。結局はトータルで
さて、薬は大別すれば治療薬と保健薬に分けられよう。酒は
適量であればよいと考えるほかない。
百薬の長のうちは保健薬の部類に入ると思われる。つまり、健
酒は有史以前からあるらしいが、庶民がいつでも飲めるように
康増進剤である。であれば、飲めばより健康になり、寿命が延
なったのは近代になってからといってよい。古代では酒は宗教
びる。換言すれば死亡率が低くなる。そのはずである。
行事のためのものであった。時代が下っても庶民が飲めるの
事実そうらしい。
はハレの日や慶弔のときに限られた。近世になって江戸の市
例えば、ある年齢層の死亡率と飲酒量との相関を調べてみ
中に居酒屋なるものが出現するが、それでも日本中で日常飲料
る。グラフの縦軸に死亡率、横軸に飲酒量をとると、死亡率は
となったわけではなさそうである。日常的に飲めたのは特権階
飲酒量の増加とともに初め低下する。そしてある飲酒量で最
級と富裕層、それに一部の都市住民のみであった。
小値を示す。それ以上の飲酒量では死亡率はどんどん高くな
明治になり、近代国家となって徴兵制ができた。兵舎では酒
るのは言うまでもない。このグラフはアルファベットのJのような
が出た。つまり兵にとられれば酒が飲めた。これが魅力で徴
形をしていることから
「Jカーブ」
と呼ばれる。
兵されることを希望する者が結構いたらしい。
飲酒の適量とは、要するにJカーブが最小値となるところであろ
要するに、庶民が日常的に酒を飲むようになったのは明治以後
う。そこが薬効としての最大値となるところであり、副作用の最
である。かといってここから急に日本人の寿命が延びたわけで
も少ないところということである。
もない。また一般的に言って、女より男のほうが飲酒量は多い。
しかし人間には個体差がある。つまり適量は人によって異な
現在はいざしらず、つい最近までは、飲めても飲まない女は多
るはずだが、どうも大きくは違わないものらしい。1日あたりの適
かった。にもかかわらず、一貫して寿命は女のほうが長い。
量はビールなら大瓶1∼2本、日本酒なら1∼2合といわれてい
る。同様な結果がイギリスではウィスキーで、フランスではワイ
つまるところ、酒による延命効果など眼に見えるほどのもので
ンで得られている。それらの結果はアルコールの絶対量に換
はないようだ。それよりも酒は楽しむことだ。楽しむということ
算するとほぼ一致する。
は何であれ体に良い。体に良ければ健康が増進して寿命が
それにしても、酒を保健薬と考えて最適摂取量を常に考えな
延びる……はずである。わずかながらも。
7-8, 2004
SEMIイベント・カレンダー
2004年
7月12日
(月)∼16日
(金)
セミコン・ウエスト
12日∼14日
(Wafer Processing)
サンフランシスコ
14日∼16日
(Final Manufacturing)
サンノゼ
8月11日
(水)∼8月13日
(金)
FPD China
中国江蘇省昆山
9月13日
(月)∼15日
(水)
SEMICON Taiwan
台北
9月27日
(月)∼10月2日
(土)
SEMI Expo CIS
モスクワ
10月3日
(日)∼6日
(水)
International Trade Partners Conference
ハワイ
1 2 月1 日
(水)∼3 日
(金)
セミコン・ ジャパン
幕張メッセ
2005年
2月2日
(水)∼4日
(金)
セミコン・コリア
ソウル
FPD China 2004 開催間近!
FPD Chinaの開催が近づいてきました。本展示会は、 SEMIと中国電子商工
会議所(CECC: China Electronic Chamber of Commerce)の共催により
開催されます。FPDパネルならびに製造装置・ 部品材料を対象としたFPD
総合展示会は、 中国国内でも初の開催となります。めまぐるしい市場成長を
遂げる中国でのホットな展示会に、 ぜひご来場くださいますようお願い申し
上げます。
3月15日
(火)∼17日
(木)
セミコン・チャイナ
上海
4月12日
(火)∼14日
(木)
セミコン・ヨーロッパ
ミュンヘン
1 . 開催日:2004年8 月11日
(水)∼8 月13日
(金)
2 . 会 場:中国江蘇省昆山市(上海より西へ約50km)
2 . 会 場:昆山科技博覧センター(Kunshan Science & Culture Exhibition Center)
5月4日
(水)∼6日
(金)
セミコン・シンガポール
シンガポール
詳細は下記のサイトをご覧になるか、下記の担当者にお問合せください。
FPD Chinaのサイト http://www.semi.org/fpdchina
お問合せ: SEMIジャパン 加藤隆司 Email: [email protected]
お問合せ: Tel: 03-3222-5810 Fax:03-3222-5757
6 月7 日
(火)∼9 日
(木)
SEMI FORUM JAPAN
グランキューブ大阪
6月8日
(水)∼11日
(土)
FPD Taiwan
台北
SEMICON Taiwan 2004
台湾最大の半導体製造装置・部品材料の展示会
7月12日
(火)∼14日
(木)
セミコン・ウエスト
サンノゼ
現在、業界はきわめて好調で、生産・取引ともに昨年に比べて大幅な延びを
見せております。活気あふれる展示会にぜひご来場ください。
*予定は変更される場合があります。
1. 開催日:2004年9月13日
(月)∼15日
(水)
2. 会 場:Taipei World Trade Center(1∼3ホール)
詳細はWebサイトをご覧ください。http://www.semi.org
SEMI会員数 2003年5月末日現在
正会員:
2,335社
内訳:北米
1,120社
日本
574社
ヨーロッパ
289社
SEMI News 7-8月号
韓国
139社
2004年7月14日発行
(隔月刊)
台湾
125社
シンガポール他
準会員他:
合計:
古紙配合率100%再生紙を使用しています
88社
174社
2,498社
SEMI ジャパン
〒102-0074 東京都千代田区九段南4-7-15 健和ビル7F
Tel: 03(3222)
5755(代表) Fax: 03
(3222)
5757
E-mail:[email protected]
SEMI OnLine:www.semi.org
2004 SEMI ジャパン